JP2008129311A - 微細構造体を利用した光学フィルターおよび製造方法 - Google Patents

微細構造体を利用した光学フィルターおよび製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】キズによる影響の少ない、ポーラスアルミナメンブレン光学フィルターの提供。
【解決手段】光透過部と、遮光部とを有する光学フィルターであって、該光透過部が、特定の径の細孔を有し、該特定の径未満の波長を透過する光学フィルター。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルターおよびその製造方法に関する。
アルミの陽極酸化皮膜いわゆるアルミナを用いた光学フィルターとしては、例えば特許文献1等で記載されているように、アルミナの染色性を生かして、染色する方法が一般的であり、これにより、赤、青、緑、等様々なフィルターの製造が可能である。
このような染色型のフィルターは、その染色により特定波長領域の光を透過せずに吸収することで、光学フィルターとしての効果を発現させるが、任意の波長をカットしうるフィルターの製造には、数種の色素を混合させたりする方法が用いられている。
しかしながら、このような染色型の光学フィルターは、カットしたい波長領域の光透過/遮断のオン/オフが不明確であり、光分離効果の改良が求められていた。
また、汚れ、キズ、経時による色褪せ、等による本来の光学フィルターとしての機能を発現できなくなる問題があり、改良が求められていた。
特開昭53−110379号公報
したがって、本発明は、キズによる影響の少ない、ポーラスアルミナメンブレン光学フィルターを提供することが目的である。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、染色波長だけではなく、平均径の揃ったマイクロポア構造を付与することで、従来のフィルター以上の光分離効果を得ることを見出した。すなわち、ポア径の揃った黒色等の有色のポーラスアルミナフィルターにより、ポア径よりも大きな波長光はポアを通過せず有色部に吸収され、ポア径よりも小さい波長光のみが通過できると推定している。
即ち、本発明は、以下の(i)〜(vi)を提供する。
(i)光透過部と、遮光部とを有する光学フィルターであって、該光透過部が、特定の径の細孔を有し、該特定の径未満の波長を透過する光学フィルター。
(ii)前記光学フィルターがアルミニウムを陽極酸化して得られるものであり、該細孔が陽極酸化処理によって得られた陽極酸化体のマイクロポアであって、遮光部が陽極酸化体材料の色以外の有色の陽極酸化体よりなる、上記(i)に記載の光学フィルター。
(iii)前記マイクロポアの平均径が、前記有色の陽極酸化体の吸光領域波長未満である、上記(i)または(ii)に記載の光学フィルター。
(iv)前記マイクロポア径の分散が平均径の3%以内である、上記(i)〜(iii)のいずれかに記載の光学フィルター。
(v)前記有色の陽極酸化体が、アルミニウム元素と、Co、Fe、Au、Pb、Ag、Se、Sn、Ni、Cu、Bi、Mo、Sb、CdおよびAsからなる群から選択される少なくとも一つの元素とを含む酸化物である上記(i)〜(iv)のいずれかに記載の光学フィルター。
(vi)アルミニウム、またはアルミニウム合金基材に、
(A)少なくとも、Coイオン、Feイオン、Auイオン、Pbイオン、Agイオン、Seイオン、Snイオン、Niイオン、Cuイオン、Biイオン、Moイオン、Sbイオン、CdイオンおよびAsイオンからなる群から選択される少なくとも一つのイオンを含有する電解液中で陽極酸化処理により酸化皮膜を形成させる工程、
(B)上記(A)で得られた酸化皮膜からアルミニウムまたはアルミニウム合金を除去する工程、
(C)上記(B)で得られた酸化皮膜のマイクロポアを貫通化させる工程、
を順に施す上記(i)〜(v)のいずれかに記載の光学フィルターの製造方法。
本発明によれば、光分離効果に優れ、且つキズによる影響が少ない、ポーラスアルミナメンブレン光学フィルターを得ることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の光学フィルターは、光透過部として、特定の径の細孔と、遮光部を有する光学フィルターであって、該光透過部は特定の径未満の波長を透過する光学フィルターであって、上記細孔がマイクロポアであって、遮光部が有色のアルミ陽極酸化体よりなる、光学フィルターである。
<アルミニウム部材>
本発明に用いられるアルミニウム部材は、アルミニウム基板と、前記アルミニウム基板の表面に存在する、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜とを有する。このアルミニウム部材は、アルミニウム基板の少なくとも一方の表面に陽極酸化処理を施して得ることができる。
<アルミニウム基板>
アルミニウム基板は、特に限定されず、例えば、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハー、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板が挙げられる。
アルミニウム基板のうち、陽極酸化処理により陽極酸化皮膜を設ける表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であるのが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上記範囲であると、マイクロポア配列の直管性が十分となり、透過すべき光量が高くなり好ましい。
アルミニウム基板の表面は、あらかじめ脱脂処理および鏡面仕上げ処理を施されるのが好ましい。
また、本発明により得られる微細構造体を、光透過性を利用する用途に用いる場合は、あらかじめアルミニウム基板が熱処理を施されるのが好ましい。熱処理により、ポア配列の直管性が向上する。
<熱処理>
熱処理を施す場合は、200〜350℃で30秒〜2分程度施すのが好ましい。これにより、後述する陽極酸化処理により生成するマイクロポアの配列の直管性が向上する。
熱処理後のアルミニウム基板は、急速に冷却するのが好ましい。冷却する方法としては、例えば、水等に直接投入する方法が挙げられる。
<脱脂処理>
脱脂処理は、酸、アルカリ、有機溶剤等を用いて、アルミニウム表面に付着した、ほこり、脂、樹脂等の有機成分等を溶解させて除去し、有機成分を原因とする後述の各処理における欠陥の発生を防止することを目的として行われる。
脱脂処理には、従来公知の脱脂剤を用いることができる。具体的には、例えば、市販されている各種脱脂剤を所定の方法で用いることにより行うことができる。
中でも、以下の各方法が好適に例示される。
アルコール(例えば、メタノール)、ケトン、ベンジン、揮発油等の有機溶剤を常温でアルミニウム表面に接触させる方法(有機溶剤法);石けん、中性洗剤等の界面活性剤を含有する液を常温から80℃までの温度でアルミニウム表面に接触させ、その後、水洗する方法(界面活性剤法);濃度10〜200g/Lの硫酸水溶液を常温から70℃までの温度でアルミニウム表面に30〜80秒間接触させ、その後、水洗する方法;濃度5〜20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を常温でアルミニウム表面に30秒間程度接触させつつ、アルミニウム表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して電解し、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;各種公知の陽極酸化処理用電解液を常温でアルミニウム表面に接触させつつ、アルミニウム表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して、または、交流電流を流して電解する方法;濃度10〜200g/Lのアルカリ水溶液を40〜50℃でアルミニウム表面に15〜60秒間接触させ、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;軽油、灯油等に界面活性剤、水等を混合させた乳化液を常温から50℃までの温度でアルミニウム表面に接触させ、その後、水洗する方法(乳化脱脂法);炭酸ナトリウム、リン酸塩類、界面活性剤等の混合液を常温から50℃までの温度でアルミニウム表面に30〜180秒間接触させ、その後、水洗する方法(リン酸塩法)。
脱脂処理は、アルミニウム表面の脂分を除去しうる一方で、アルミニウムの溶解がほとんど起こらない方法が好ましい。この点で、有機溶剤法、界面活性剤法、乳化脱脂法、リン酸塩法が好ましい。
<鏡面仕上げ処理>
鏡面仕上げ処理は、アルミニウム基板の表面の凹凸をなくして、電着法等による粒子形成処理の均一性や再現性を向上させるために行われる。アルミニウム部材の表面の凹凸としては、例えば、アルミニウム部材が圧延を経て製造されたものである場合における、圧延時に発生した圧延筋が挙げられる。
本発明において、鏡面仕上げ処理は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨が挙げられる。
機械研磨としては、例えば、各種市販の研磨布で研磨する方法、市販の各種研磨剤(例えば、ダイヤ、アルミナ)とバフとを組み合わせた方法が挙げられる。具体的には、研磨剤を用いる方法を、用いる研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行う方法が好適に例示される。この場合、最終的に用いる研磨剤としては、#1500のものが好ましい。これにより、光沢度を50%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに50%以上)とすることができる。
化学研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法が挙げられる。
また、リン酸−硝酸法、Alupol I法、Alupol V法、Alcoa R5法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好適に挙げられる。中でも、リン酸−硝酸法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好ましい。
化学研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
電解研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法が挙げられる。
また、米国特許第2708655号明細書に記載されている方法が好適に挙げられる。
また、「実務表面技術」,vol.33,No.3,1986年,p.32−38に記載されている方法も好適に挙げられる。
電解研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
これらの方法は、適宜組み合わせて用いることができる。例えば、研磨剤を用いる方法を、用いる研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行い、その後、電解研磨を施す方法が好適に挙げられる。
鏡面仕上げ処理により、例えば、平均表面粗さRa0.1μm以下、光沢度50%以上の表面を得ることができる。平均表面粗さRaは、0.03μm以下であるのが好ましく、0.02μm以下であるのがより好ましい。また、光沢度は70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。
なお、光沢度は、圧延方向に垂直な方向において、JIS Z8741−1997の「方法3 60度鏡面光沢」の規定に準じて求められる正反射率である。具体的には、変角光沢度計(例えば、VG−1D、日本電色工業社製)を用いて、正反射率70%以下の場合には入反射角度60度で、正反射率70%を超える場合には入反射角度20度で、測定する。
<(A)陽極酸化によるマイクロポア形成処理>
本発明のマイクロポアを得るための陽極酸化処理としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、後述する自己規則化法を用いるのが好ましい。
自己規則化法は、陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、直管性、径の均一性を向上させる方法である。具体的には、高純度のアルミニウムを使用し、電解液の種類に応じた電圧で、長時間(例えば、数時間から十数時間)かけて、低速で陽極酸化皮膜を形成させる。
この方法においては、ポア径は電圧に依存するので、電圧を制御することにより、ある程度所望のポア径を得ることができる。
陽極酸化処理をする際の平均流速は、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが更に好ましい。上記範囲の流速で陽極酸化処理を行うことにより、高い均一性を有することができる。
また、電解液を上記条件で流動させる方法は、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法が用いられる。かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため、好ましい。そのようなかくはん装置としては、例えば、AS ONE社製のマグネティックスターラーHS−50Dが挙げられる。
陽極酸化処理は、例えば、酸濃度1〜10質量%の溶液中で、アルミニウム基板を陽極として通電する方法を用いることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、酸溶液であることが好ましく、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等がより好ましく、中でも硫酸、リン酸、シュウ酸が特に好ましい。これらの酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度0.1〜20質量%、液温−10〜30℃、電流密度0.01〜20A/dm2、電圧3〜300V、電解時間0.5〜30時間であるのが好ましく、電解液濃度0.5〜15質量%、液温−5〜25℃、電流密度0.05〜15A/dm2、電圧5〜250V、電解時間1〜25時間であるのがより好ましく、電解液濃度1〜10質量%、液温0〜20℃、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧10〜200V、電解時間2〜20時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理の処理時間は、0.5分〜26時間であるのが好ましく、1分〜20時間であるのがより好ましく、2分〜20時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理は、一定電圧下で行う以外に、電圧を断続的または連続的に変化させる方法も用いることができる。この場合は電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
マイクロポアの占める面積率は、20〜50%であるのが好ましい。なお、マイクロポアの占める面積率は、アルミニウム表面の面積に対するマイクロポアの開口部の面積の合計の割合で定義される。
<脱膜処理>
脱膜処理は、上述で得られた陽極酸化皮膜付きアルミニウム部材を、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しないアルミナ溶解液を用いて行う。
アルミニウム部材の陽極酸化皮膜は、アルミニウム基板に近くなるほど径の均一性が高くなっているので、この脱膜処理により、一度陽極酸化皮膜を除去して、アルミニウム基板の表面に残存した陽極酸化皮膜の底部分を表面に露出させて、規則的な窪みを得る。したがって、脱膜処理は、アルミニウムは溶解させず、アルミナ(酸化アルミニウム)からなる陽極酸化皮膜のみを溶解させる。
アルミナ溶解液は、クロム化合物、硝酸、リン酸、リン酸ジルコニウム系化合物、リン酸チタン系化合物、リチウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、ケイフッ化ナトリウム、フッ化亜鉛、マンガン化合物、モリブデン化合物、マグネシウム化合物およびハロゲン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有した水溶液が好ましい。
具体的なクロム化合物としては、例えば、酸化クロム(III)、無水クロム(VI)酸等が挙げられる。
ジルコニウム化合物としては、例えば、フッ化ジルコンアンモニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシリン酸ジルコニウム類(ピロリン酸ジルコニル、メタリン酸ジルコニル、リン酸二水素ジルコニル)が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、酸化チタン、硫化チタンが挙げられる。
リチウム塩としては、例えば、フッ化リチウム、塩化リチウムが挙げられる。
セリウム塩としては、例えば、フッ化セリウム、塩化セリウムが挙げられる。
マグネシウム塩としては、例えば、硫化マグネシウムが挙げられる。
マンガン化合物としては、例えば、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カルシウムが挙げられる。
モリブデン化合物としては、例えば、モリブデン酸ナトリウムが挙げられる。
マグネシウム化合物としては、例えば、フッ化マグネシウム・五水和物が挙げられる。
ハロゲン単体としては、例えば、塩素、フッ素、臭素が挙げられる。
具体的なバリウム化合物としては、例えば、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウム、塩素酸バリウム、塩化バリウム、フッ化バリウム、ヨウ化バリウム、乳酸バリウム、シュウ酸バリウム、過塩素酸バリウム、セレン酸バリウム、亜セレン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、亜硫酸バリウム、チタン酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸バリウム、あるいはこれらの水和物等が挙げられる。
上記バリウム化合物の中でも、、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウムが好ましく、酸化バリウムが特に好ましい。
中でも、上記アルミナ溶解液が、酸を含有する水溶液であるのが好ましく、酸として、硫酸、リン酸、クロム酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、2種以上の酸の混合物であってもよい。
酸濃度はとしては、0.01mol/L以上であるのが好ましく、0.05mol/L以上であるのがより好ましく、0.1mol/L以上であるのが更に好ましい。上限は特にないが、一般的には10mol/L以下であるのが好ましく、5mol/L以下であるのがより好ましい。不要に高い濃度は経済的でないし、より高いとアルミニウムの溶解のおそれがある。
アルミナ溶解液は、−10℃以上であるのが好ましく、−5℃以上であるのがより好ましく、0℃以上であるのが更に好ましい。なお、沸騰したアルミナ溶解液を用いて処理すると、規則化の起点が破壊され、乱れるので、沸騰させないで用いるのが好ましい。
アルミナ溶解液は、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しない。ここで、アルミナ溶解液は、アルミニウムを実質的に溶解させなければよく、わずかに溶解させるものであってもよい。
脱膜処理は、アルミニウム部材を上述したアルミナ溶解液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
浸せき法は、アルミニウム部材を上述したアルミナ溶解液に浸せきさせる処理である。浸せき処理の際にかくはんを行うと、ムラのない処理が行われるため、好ましい。
浸せき処理の時間は、10分以上であるのが好ましく、1時間以上であるのがより好ましく、3時間以上、5時間以上であるのが更に好ましい。
<再陽極酸化処理>
この陽極酸化処理は、上述した脱膜処理の後に行われる。これにより、脱膜されたアルミニウム部材に、フィルター形状の陽極酸化皮膜を形成させ、本発明の基となる微細構造体を得ることができる。
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した自己規則化法と同一の条件で行われるのが好ましい。
また、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法、直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法も好適に用いることができる。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
陽極酸化処理を低温で行うと、マイクロポアの配列が規則的になり、また、ポア径が均一になる。
一方、陽極酸化処理を比較的高温で行うことにより、マイクロポアの配列を乱し、また、ポア径のばらつきを所定の範囲にすることができる。また、処理時間によっても、ポア径のばらつきを制御することができる。
陽極酸化皮膜の膜厚は、0.1〜1000μmであるのが好ましく、1〜500μmであるのが更に好ましい。
マイクロポアのポア径は0.01〜0.5μmであるのが好ましい。
平均ポア密度は50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
マイクロポアは、1μm2の範囲において、マイクロポアの分散が平均径の3%以内であることが好ましく、2%以内であることがより好ましい。
Figure 2008129311
ここでXiは、1μm2の範囲で測定された1個のマイクロポアのポア径である。
<皮膜の有色染色>
なお、上述した再陽極酸化処理を行う際には、形成されるマイクロポア径に対応した皮膜染色を行うのが好ましい。具体的には、マイクロポアの平均径以上の高波長領域に光吸収領域を有する色を着色する。マイクロポアの平均径よりも小さい波長領域に光吸収領域を有する色を着色した場合、透過すべき光の吸収が生じてしまい、好ましくない。
陽極酸化皮膜の着色としては、例えば、「陽極酸化」金属表面技術協会編.金属表面技術講座B(1969 PP.195〜207)、「新アルマイト理論」カロス出版(1997 PP.95〜96)等に記載されているような有色染色性のイオン種、具体的には、Coイオン、Feイオン、Auイオン、Pbイオン、Agイオン、Seイオン、Snイオン、Niイオン、Cuイオン、Biイオン、Moイオン、Sbイオン、Cdイオン、および・またはAsイオンを電解液に混入して処理する。
具体的には、上記イオンの、酢酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硝酸化合物、ハロゲン化物、が用いられる。これらの濃度としては、0.01〜3.00mol/Lが好ましく、0.03〜1.50mol/Lが好ましい。この値よりも濃度が低いと有色染色性が不十分で、濃度が高いと陽極酸化による皮膜形成性に影響してくるため好ましくない。
得られるアルミニウムの有色の陽極酸化体は、例えば、Al2SeO2、Al2CuO4化合物である。
<(B)アルミニウム除去処理>
上記で得られた微細構造体は、マイクロポアを形成したアルミナから基材であるアルミニウムを除去する処理が施される。アルミニウム除去処理は、アルミナは溶解せず、アルミニウムを溶解する処理液を用いて処理される。
処理液としては、アルミナは溶解せず、アルミニウムを溶解する液であれば特に限定されないが、例えば、塩化水銀、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、王水、塩酸/塩化銅混合物等の水溶液等が挙げられる。
濃度としては、0.01〜10mol/Lが好ましく、0.05〜5mol/Lがより好ましい。
処理温度としては、−10℃〜80℃が好ましく、0℃〜60℃が好ましい。
アルミニウム除去処理は、上述した処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒〜5時間が好ましく、1分〜3時間がより好ましい。
<(C)ポア貫通化処理>
ポア貫通化処理は、アルミニウム除去処理後、酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきさせることにより、陽極酸化皮膜を溶解させ、マイクロポア底部のアルミナを除去し貫通させる方法が好ましい。
ポア貫通化処理に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜40℃であるのが好ましい。
ポア貫通化処理にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
また、上記方法以外にも、イオンミリング等でマイクロポア底部のアルミナを削る方法や、「表面技術協会第89回講演大会資料 18B−25」等に記載されている、溶解処理と中和処理を同時に行う方法等、公知の貫通化処理方法を用いることができる。
<(D)ポア径調整処理>
ポア径調整処理は大きくポア径拡大処理とポア径縮小処理に分けられる。ポア径拡大処理は先述した(C)ポア貫通化処理と同様の方法で処理される。ポア径拡大処理の処理時間は10秒〜120分が好ましい。
一方、ポア径縮小処理は、一般的には、熱水処理による封孔処理が一般的である。具体的には、温度40〜80℃の熱水への浸漬処理方式や、80〜100℃の熱水から発する蒸気に直接あてる蒸気処理方式が知られているが、蒸気処理方式が径均一性の観点から好ましく、処理時間は5秒〜30分が好ましく、10秒〜15分がより好ましい。
この処理により、ポアの平均径は、30〜900nmの範囲で任意に調整することができる。また、これらのマイクロポアは、1μm2の範囲において、マイクロポアの平均分散が平均径の3%以内であることが好ましく、2%以内であることがより好ましい。
[実施例1]
1.電解研磨処理
高純度アルミニウム、住友軽金属(株)製、純度99.99質量%、厚さ0.4mmを、10cm四方の面積で陽極酸化処理できるようカットし、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧25V、液温度65℃、液流速3.0m/minの条件で電解研磨処理を行なった。陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
<電解研磨液組成>
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
2.(A)マイクロポア形成処理
上記で得られた研磨処理後のサンプルを、0.03mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧180V、液温度3℃、液流速3.0m/minの条件で10時間処理した。
さらに得られたサンプルを、0.2mol/L無水クロム酸、0.6mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて50℃の条件で12時間浸漬した。
その後、再陽極酸化処理として、0.1mol/L塩化セレンと0.03mol/Lシュウ酸の混合電解液で、電圧180V、液温度3℃、液流速3.0m/minの条件で10時間処理した。遮光部である有色のAl陽極酸化体は、ESCAによる表面元素分析による測定でAl2SeO2であった。
なお、プレ陽極酸化処理、再陽極酸化処理共に、陰極はステンレス電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、冷却装置としては、NeoCool BD36(ヤマト科学社製)、かくはん加温装置としてペアスターラー PS−100(EYELA社製)を用いた。電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
3.(B)アルミニウム除去処理
上記で得られたサンプルを、20質量%塩化水銀水溶液を用いて、20℃、3時間浸漬させ、アルミニウムを除去した。
4.(C)マイクロポア貫通化処理
上記で得られたサンプルを、5質量%リン酸を用いて、30℃、30分間浸漬処理し、マイクロポアを貫通化させた。
5.(D)径調整処理
上記で得られたサンプルを、5質量%リン酸を用いて、10℃、3分間浸漬処理し、径調整を行い実施例1の光学フィルターを得た。
また、ポアの平均径、分散の算出として、FE−SEMにより表面写真(倍率20000倍)を撮影し、1μm×1μmの視野で、任意のマイクロポア300個の径から求めたところ、平均径450nm、分散3.5nmであった。渦電流式膜厚計で測定した膜厚は100μmであった。
[実施例2]
実施例1の(A)マイクロポア形成処理として、0.05mol/Lリン酸の電解液で、電圧220V、液温度5℃、液流速6.0m/minの条件で20時間処理し、再陽極酸化処理として、0.3mol/L硫酸銅と0.05mol/Lリン酸の電解液で、電圧220V、液温度5℃、液流速6.0m/minの条件で20時間処理した以外は、実施例1と同様の処理を施し、実施例2の光学フィルターを得た。遮光部である有色のAl陽極酸化体は、ESCAによる表面元素分析による測定でAl2CuO4であった。
また、マイクロポアの平均径は550nm、分散は14.0nmであった。渦電流式膜厚計で測定した膜厚は180μmであった。
[実施例3]
実施例1において、(D)径調整処理を省略した以外は、実施例1と同様の処理を施し、実施例3の光学フィルターを得た。
また、マイクロポアの平均径は450nm、分散は21.5nmであった。渦電流式膜厚計で測定した膜厚は180μmであった。
また、上記で得られた実施例1〜3および下記の比較例の光学フィルターの光透過性を評価した。具体的には、400〜600nm領域において、反射光/紫外可視分光光度計(「U−Best V560」,日本分光(株)製)を用いて測定した。結果を図1に示す。各測定値は吸光度0.0のラインからそれぞれ特定波長での吸光度1.0への立ち上がりが異なっている。
[比較例1]
汎用光学フィルターとして、朝日分光株式会社製バンドパスフイルターFZ0450の光透過性を上記と同様の方法で測定した。結果を図1に示す。
[比較例2]
汎用光学フィルターとして、朝日分光株式会社製バンドパスフイルターFZ0550の光透過性を上記と同様の方法で測定した。結果を図1に示す。
図1から明らかなように、実施例1〜3の光学フィルターは比較例1、2のフィルターに比べて、光分離効果に優れている。
図1は、実施例、比較例の光学フィルターの光透過性を評価したグラフである。

Claims (6)

  1. 光透過部と、遮光部とを有する光学フィルターであって、該光透過部が、特定の径の細孔を有し、該特定の径未満の波長を透過する光学フィルター。
  2. 前記光学フィルターがアルミニウムを陽極酸化して得られるものであり、該細孔が陽極酸化処理によって得られた陽極酸化体のマイクロポアであって、遮光部が陽極酸化体材料の色以外の有色の陽極酸化体よりなる、請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 前記マイクロポアの平均径が、前記有色の陽極酸化体の吸光領域波長未満である、請求項1または2に記載の光学フィルター。
  4. 前記マイクロポア径の分散が平均径の3%以内である、請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルター。
  5. 前記有色の陽極酸化体が、アルミニウム元素と、Co、Fe、Au、Pb、Ag、Se、Sn、Ni、Cu、Bi、Mo、Sb、CdおよびAsからなる群から選択される少なくとも一つの元素とを含む酸化物である請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルター。
  6. アルミニウム、またはアルミニウム合金基材に、
    (A)少なくとも、Coイオン、Feイオン、Auイオン、Pbイオン、Agイオン、Seイオン、Snイオン、Niイオン、Cuイオン、Biイオン、Moイオン、Sbイオン、CdイオンおよびAsイオンからなる群から選択される少なくとも一つのイオンを含有する電解液中で陽極酸化処理により酸化皮膜を形成させる工程、
    (B)上記(A)で得られた酸化皮膜からアルミニウムまたはアルミニウム合金を除去する工程、
    (C)上記(B)で得られた酸化皮膜のマイクロポアを貫通化させる工程、
    を順に施す請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルターの製造方法。
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