JP2008129265A - セルロースアシレートの回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】脂肪酸エステル及びポリマーを含む脂肪酸エステル層とセルロースアシレート層とを含む複層シートからセルロースアシレートを劣化させずに回収する。
【解決手段】脂肪酸エステル層15とセルロースアシレート層13とが一体とされている複層シート10を、細かく切断してチップ26とする。脂肪酸エステル層には脂肪酸エステルとポリマーとが含まれている。このチップ26を、水56、研磨剤55とともに研磨洗浄部56の本体60に入れて攪拌機62で撹拌することにより、チップ26から光学補償層の成分を削って除去する。この研磨工程の後でチップ26を水で洗浄して乾燥部57で乾燥し、セルロースアシレートを得る。
【選択図】図3

Description

本発明は、セルロースアシレートの回収方法に関するものであり、特に脂肪酸エステルを含む層とセルロースアシレート層とを備える複層シートからセルロースアシレートを回収する方法に関するものである。
セルロースアシレートフィルム、中でも57.5%〜62.5%の平均酢化度を有するセルローストリアセテート(TAC)から形成されるTACフィルムは、その強靭性と難燃性とから写真感光材料のベースとして利用されている。また、TACフィルムは光学等方性に優れていることから、近年市場の拡大している液晶表示装置の偏光板の保護フィルム,光学補償フィルム(例えば、視野角拡大フィルムなど)として用いられている。
TACフィルムを写真感光材料のベースとして用いる場合には、写真感光層が容易に塗布されるように、予め、いわゆる下引き層がこのTACフィルムに塗布で形成される。そして、ハレーション防止層、中間層、赤感性乳剤層、中間層、緑感性乳剤層、イエローフィルタ層、青感性乳剤層、保護層等が形成するために多層塗布が行われ、写真感光材料がつくられる。また、TACフィルムの他方の面、いわゆるバック面には、バッキング層と呼ばれる層が形成される。このバッキング層は、バック面の耐擦傷性の向上を図り、帯電防止、ハレーション防止、カールの防止、バック面と表面の乳剤層との接着の防止等のために付与される。中でも、バック面と表面の乳剤層との接着を防止する目的には、バッキング層に潤滑性を付与する脂肪酸エステル(ワックス)を使用することが効果的である。この脂肪酸エスエルは高級脂肪酸エステルとされる。なお、高級脂肪酸エステルのバインダー成分としてセルロースジアセテート(DAC)等のポリマーが用いられている。
ところで、近年では、プラスチック製品に関しては埋め立てや焼却などの廃棄処理が困難になってきている。そこで、環境保護並びに環境保全の観点から、プラスチック製品の再利用等のリサイクル化が望まれるようになってきた。そこで、写真感光材料についても再利用を図ろうと、前記乳剤層を酸化ハロゲン化合物又は過酸化物を含む10℃〜40℃の水溶液で処理した後に、酸化ハロゲン化合物又は過酸化物を含む50℃〜100℃の水溶液で処理し、これにより、TACを再生する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
偏光板からのTACの再生は、偏光板を粉砕,切断等により所望のサイズのチップ、例えば、0.1mm〜20mm角のチップとした後に、pHが7以上の水溶液でTACと偏光膜とを剥離分離している。偏光膜はヨウ素や二色性色素で染色されているために、pHが7以上の水溶液で剥離分離を行った際にTACが着色されることがある。このような場合には、還元剤により脱色する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−029407号公報 特開2003−003009号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、バッキング層に含まれる高級脂肪酸エステルを除去することはできない。また、特許文献2の方法は、接着により複層とされた複層材料を剥離する方法であり、塗布により形成されたバッキング層をTACから除去するには効果的でない。
そこで、本発明は、セルロースアシレート層と脂肪酸エステル及びポリマーを含む脂肪酸エステル層とが積層されている複層シートから、セルロースアシレート層成分を劣化させずに回収する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のセルロースアシレート回収方法は、セルロースアシレートからなるセルロースアシレート層と、このセルロースアシレート層の一方の面に備えられ脂肪酸エステル及びポリマーを含む脂肪酸エステル層とを有する複層シートが切断されて得られる小片を、珪藻土が含まれる粒体に水の中で接触させ、脂肪酸エステル層を小片から削り取る削り工程と、この削り工程により得られるセルロースアシレートの小片を液で洗浄する洗浄工程と、洗浄工程の後にセルロースアシレートの小片を乾燥する乾燥工程と、を有することを特徴として構成されている。
脂肪酸エステルの融点をMPとするときに、削り工程での水の温度TWは20(℃)≦TW<MPの条件を満たすことが好ましく、水に対する粒体の質量比率は0.15%以上12%以下の範囲であることが好ましく、粒体は界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明により、セルロースアシレート層と脂肪酸エステル及びポリマーを含む脂肪酸エステル層とが積層されている複層シートから、セルロースアシレートを劣化させずに回収することができる。
本発明は、セルロースアシレート層を含む複層シートから、セルロースアシレートを再使用できるように劣化を抑制して回収する方法及び装置に関するものであり、その一実施態様を以下に説明する。前記複層シートは、矩形のものでも長尺のものであってもよく、その形状は限定されない。
図1は、複層シートの断面図である。複層シート10は、支持体としてのセルロースアシレート層13と、脂肪酸エステルとポリマーとを含む脂肪酸エステル層15とを備える。脂肪酸エステル層15はセルロースアシレート層13の一方の面に備えられる。セルロースアシレート層13の他方の面には、例えば感光材料からなる感光層や入射した光の位相差を補償する光学補償層等が備えられることがある。セルロースアシレート層13と脂肪酸エステル層15とは、セルロースアシレート層13となるセルロースアシレートフィルムと脂肪酸エステル層15となるフィルムとが貼り合わされて一体とされてもよいし、脂肪酸エステル層15となる塗布液がセルロースアシレートフィルムに塗布されて一体とされてもよい。
セルロースアシレート層13の成分としては、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテート(DAC)等のセルロースアシレートが挙げられる。また、セルロースアシレート層13は、セルロースの低級脂肪酸エステルと低級アルキルエーテル(50重量%未満)とが複合したものでもよい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、好ましくは炭素原子数が4以下の脂肪酸である。低級アルキルエーテルの低級アルキルとは、炭素原子数が4以下のアルキル基を意味する。さらに、本発明は、溶液製膜用のドープに用いられる有機溶媒、例えばメチレンクロライド:メタノール=9:1(重量比)の混合物に完全に溶解するようなポリマーをセルロースアシレート層13に代えて用いる場合にも有効である。
セルロースアシレート層13となるフィルムは溶液製膜方法によりつくることが好ましい。溶液製膜方法は、溶融製膜などの他の製造方法と比較して、光学的性質などの物性に優れるフィルムを製造することができるからである。溶液製膜方法は、ポリマーをジクロロメタンや酢酸メチルを主溶媒とする混合物に溶解した高分子溶液(以下、ドープと称する)をつくり、このドープを流延ダイより支持体上に流延して流延膜を形成し、この流延膜を剥ぎ取って乾燥することによりフィルムを製造する方法であり、例えば、発明協会公開技報公技番号2001−1745号等に詳しく説明されている。
セルロースアシレート層13のセルロースアシレートをTACとする場合には、このTACは、セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、つまりアシル基の置換度(以下、アシル基置換度と称する)が下記式(I)〜(III)の全ての条件を満足するものが好ましい。なお、(I)〜(III)において、A及びBはともにアシル基置換度であり、Aにおけるアシル基はアセチル基であり、Bにおけるアシル基は炭素原子数が3〜22のものである。なお、セルロースアシレート層13となるセルロースアシレートフィルムを溶液製膜方法によりつくる場合には、90質量%以上が0.1mm〜4mmの粒子であるセルロースアシレートを溶剤に溶かしてドープをつくることが好ましい。
(I)2.5≦A+B≦3.0
(II)0≦A≦3.0
(III)0≦B≦2.9
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号公報の[0140]段落から[0195]段落に記載されており、これらの記載は本発明にも適用することができる。
TACフィルムのドープをつくるための溶剤としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、本発明において、ドープとはポリマーを溶媒に溶解または分散して得られるポリマー溶液、分散液を意味している。
上記溶剤の中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく、ジクロロメタンが最も好ましい。TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムとしたときの機械的強度及び光学特性などの物性の観点からは、炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類ジクロロメタンに混合することが好ましい。この場合には、アルコールの含有量が溶剤全体に対し2質量%〜25質量%であることが好ましく、5質量%〜20質量%であることがより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどが挙げられ、中でも、メタノール、エタノール、n−ブタノールあるいはこれらの混合物が好ましい。
環境に対する影響を最小限に抑えることを目的にした場合には、ジクロロメタンを用いずにドープを製造してもよい。この場合の溶剤としては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素原子数1〜12のアルコールが好ましい。これらを適宜混合して用いることもでき、この場合の例として、酢酸メチル、アセトン、エタノール、n−ブタノールの混合物が挙げられる。エーテル、ケトン、エステル及びアルコールは、環状構造を有していてもよい。なお、エーテル、ケトン、エステル及びアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−及び−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も溶剤として用いることができる。
なお、このセルロースアシレート層13には、添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、紫外線吸収剤、レタデーション調整剤、マット剤、可塑剤等が挙げられる。
溶剤及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤,光学異方性コントロール剤,染料,マット剤,剥離剤等の添加剤についても、同じく同じく特開2005−104148号公報の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
脂肪酸エステル層15のポリマーとしてはDAC、TAC等のセルロースアシレートが好ましい。脂肪酸エステルは、矩形の複層シート10を複数重ねたときや長尺の複層シート10をロール状に巻いたときに複層シート10同士が接着しないように、つまり滑り性付与のためにポリマー中に添加された、いわゆる滑り剤である。滑り性を複層シート10に付与するための脂肪酸エステルは特に限定されず、公知の各種化合物を用いることができる。脂肪酸エステルの代表例としては、C1633−CH(OH)−C1020−CO−O−C50101が挙げられる。
図2は、セルロースアシレート回収工程を示すフロー図である。セルロースアシレート回収工程20は、複層シート10を細かく切断して小片(以降、チップと称する)26にするためのチップ化工程27と、チップ26を研磨材で研磨する研磨工程31と、研磨された後のチップ26を洗浄する洗浄工程32と、洗浄された後のチップを乾燥してセルロースアシレート33を得る乾燥工程34とを有する。
チップ化工程27は、後工程である研磨工程31、洗浄工程32、乾燥工程34の各処理を効率的かつ効果的に行うためのものであり実施する方が好ましいが、略すことができる。研磨工程31は、チップ26を研磨してセルロースアシレート層から脂肪酸エステル層を削り取る工程である。この研磨工程により、チップ26は、チップ状のセルロースアシレート(以降、セルロースアシレートチップと称する)と粉状の脂肪酸エステル層成分とに分離する。洗浄工程32では、研磨剤とチップ26から削り落とされた脂肪酸エステル層成分とを除去するために、水等の洗浄液でセルロースアシレートからなるチップを洗浄する。その後、乾燥工程34でセルロースアシレートのチップを乾燥する。このようにして得られたセルロースアシレート33は、保存用の容器や袋等に入れられて使用するまで保存される場合もあるし、風送ラインでドープ製造装置に風送される場合もある。なお、セルロースアシレート層の一方の面上に感光層や光学補償層等が備えられてある場合には、研磨工程31の前に感光層や光学補償層等を公知の方法により除去するとよい。
図3は、複層シート10からセルロースアシレートを回収するための装置の概略図である。セルロースアシレート回収装置50は、複層シート10をチップ26にするクラッシャ55と、研磨工程31(図2参照)と洗浄工程32(図2参照)とを実施するための研磨洗浄部56と、乾燥工程34のための乾燥部57と、乾燥されたセルロースアシレートのチップを回収するための回収部58とを備える。
クラッシャ55は、複層シート10を細かく切断してチップ26にするための切断部材(図示せず)と、チップ26を研磨洗浄部56に送り出す送出手段(図示せず)とを有している。切断部材としては、ロータリカッタ等の周知のものを使用することができ、また、送出手段としては、風によりチップを次工程に送り出す市販の風送機等が挙げられる。
研磨洗浄部56は、チップ26と研磨剤66と水67とが入れられてこれらがともに撹拌される本体60と、内部温度を制御するための温度コントローラ61と、軸62aを回転中心として回転する攪拌機62と、この攪拌機62の回転条件を制御するための撹拌コントローラ63とを有し、研磨及び洗浄に使用された後の廃水を所定の水質となるように処理するための廃水処理部72に接続する。本体60には、水67の温度を所定値にして所定量の水67を供給する供給機構60aと、使用済みの廃水を排出する排出口60bとが設けられる。なお、供給機構60aでは、チップ26の量が予め入力されるとこの量に応じて本体60に供給すべき水67の量を算出して、この算出値に基づき水67を本体60に供給する。そして、本体60には、研磨材66と粉状の脂肪酸エステル層成分とを含む廃水を通過させてセルロースアシレート33を通過させないフィルタ60cとが設けられてある。
乾燥部57には、乾燥部本体71の外部から空気を取り込み温度を制御して乾燥部本体71の内部に送り込む送風機構73と、セルロースアシレートのチップから蒸発した水を凝縮させて外部に排出する排出機構(図示せず)とが備えられる。
セルロースアシレート回収装置50を用いた場合のセルロースアシレート回収方法について説明する。クラッシャ55では、複層シート10を好ましくは0.5cm×0.5cm〜1.0cm×1.0cmの大きさのチップ26とすることが好ましい。チップ26が0.5cm×0.5cmよりも小さいと、廃水を排出するときに、フィルタ60cが閉塞しやすくなったり、チップ26が廃水とともに排出されてしまうことがあり、1.0cm×1.0cmよりも大きいと、洗浄工程32(図2)を終えて得られたセルロースアシレートのチップを後述のように風送することが困難となるからである。チップ26の大きさは0.5cm×0.5cm〜0.7cm×0.7cmであることがより好ましい。
次に、チップ26を研磨洗浄部56に送り、研磨剤66と水67と混合し、攪拌機62の回転によりこれらの混合物を撹拌する。これにより、研磨剤66をチップ26に接触させてチップ26を研磨し、チップ26から光学補償層を除去する。
供給機構60aにより水67を所定の温度とし、本体60に供給する。撹拌中の水の温度は、温度コントローラ61により制御される。ここで、滑り剤である脂肪酸エステルの融点をMP(℃)、撹拌中の水の温度範囲は20℃以上MP未満とすることが好ましく、(MP−20)℃以上MP未満がより好ましい。ただし、これは、研磨工程で用いる液(研磨液と称する)の沸点をBP(℃)とすると、20(℃)<MP≦BP(℃)が成り立つような脂肪酸エステルと研磨液との組み合わせのときである。つまり、研磨液が水67であるときには、水67の温度を20(℃)以上100(℃)未満とするとよい。
水67の温度をこの範囲に保持して研磨することにより脂肪酸エステルが軟化し、研磨剤66による研磨の効果と効率とが向上するとともに、熱によるセルロースアシレートの変性を防ぐことができる。脂肪酸エステルの融点MP以上の温度では脂肪酸エステルが液体となるために、研磨剤を用いた意味がない。また、水67の温度が20℃よりも低い温度であると、水の冷却工程が必要となる、脂肪酸エステルが研磨するには硬くなりすぎる、研磨剤と脂肪酸エステルとが互いに滑りやすくなる、という問題が生じる。なお、BP<MPであるような脂肪酸エステルと研磨液との組み合わせのときには、研磨液の温度は20℃以上BP以下とするとよい。
水67の量はチップ26の量に応じて決定することが好ましく、研磨剤66の量は水67の量に応じて決定するとよい。そして、研磨剤66の質量は、水67の質量の0.15%以上12%以下の範囲とすることが好ましく、0.15%以上0.4%以下の範囲とすることがより好ましい。研磨剤66の質量をこのような範囲とすることにより、研磨剤66の使用量と研磨剤66とチップ26との接触頻度の高さとの両立を図ることができる。研磨剤66の質量が水67の質量の0.15%未満であると、研磨効果を得るための時間が大きくなりすぎ、12%より大きくしても研磨剤66の使用量が増えるわりに研磨効果は大きくは向上せず、また攪拌機62への負荷が大きくなりすぎるため好ましくない。
この研磨工程における処理時間は、80分〜100分とすることが好ましい。100分より長い時間としても研磨効果に変化はほとんどなく、また、80分より短い時間では研磨不十分となることがある。
好ましい研磨剤66としては、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム(カルサイト)、ケイ酸アルミニウム鉱物、天然ケイ酸系鉱物等を例示することができるが、入手性からは天然ケイ酸系鉱物が特に好ましい。
研磨剤66には界面活性剤が含まれていることが好ましい。界面活性剤を用いることにより、研磨による物理的除去と界面活性剤による化学的除去との両方の効果を得ることができる。界面活性剤は、研磨剤66としての各粒体の表面に付着されていてもよいし、粒体として研磨剤66の粒体郡に添加されていてもよい。なお、本明細書中で、粒体は必ずしも断面が真円である必要はなく、また粒径が不均一であってもよい。なお、粒体の平均粒径は10〜100(単位;μm)であることが好ましく、このように非常に細かないわゆる粉体であってもよい。
本実施形態ではセルロースアシレートが疎水性であるために研磨液を水67とするが、セルロースアシレートを溶解しないものであれば水以外のものでもよい。ただし、取り扱いが容易であることを考慮すると水が好ましい。
研磨剤66でチップ26を研磨した後、研磨洗浄部56から排水して、再度水67を研磨洗浄部56に送り、チップ26のすすぎとしての洗浄を行う。この洗浄により、研磨剤66を完全に除去するとともに、水に溶解するような不要成分を完全に除去することができる。洗浄は2〜10回実施することが好ましい。洗浄に用いる液(以降、洗浄液と称する)は、研磨液と同様にセルロースアシレートを溶解しないものである。後の乾燥工程での乾燥効果及び乾燥効率を向上するために、研磨液よりも低い沸点をもつ化合物を用いてもよい。
なお、研磨後及び洗浄後にチップ26に付着している研磨液や洗浄液を除去するための液除去機能が研磨洗浄部56に備えられることがより好ましい。
研磨に用いられた水及び洗浄後の水は、廃水処理部72に送られ、廃水として許容される性状となるように適宜所定処理がなされる。
さらに、研磨洗浄部56には、次工程である乾燥部57にセルロースアシレートのチップを送り出すだめの送出機能(図示せず)が備えられており、セルロースアシレートのチップは洗浄脱水後、乾燥部57に風送されて乾燥される。乾燥部本体71に送り込まれる空気の温度は、100〜120℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは105〜110℃の範囲である。
乾燥後のセルロースアシレートは、本実施形態では回収部58に送られて、適宜容器詰めまたは袋詰めされて保存されるが、本発明はこの様態に限定されるものではない。例えば、乾燥部57とドープ製造装置とを接続して、乾燥後のセルロースアシレートをドープ製造に連続して用いることができる。
セルロースアシレート層13と脂肪酸エステル層15とが積層されている複層シート10からセルロースアシレート層成分を以下に挙げる実験1〜4の条件で回収した。なお、実験5は、本発明に対する比較実験である。セルロースアシレート層は、トリアセチルセルロース(ガラス転移点Tg=140℃)を主たる成分とし、厚みは122μmである。脂肪酸エステル層15は、これを形成するための塗布液をセルロースアシレートフィルムに塗布して形成した。脂肪酸エステル層15に含まれる脂肪酸エステルは、融点が100℃のC1633−CH(OH)−C1020−CO−O−C50101である。実験の詳細は実験1で説明し、実験2〜5については実験1と異なる条件のみを記載する。
[実験1]
脂肪酸エステル層15を研磨により除去した。複層シート10をクラッシャ55で0.7cm×0.7cm〜1cm×1cmの大きさのチップ26にした。そして、チップ26と、研磨剤66と、水67とを研磨洗浄部56の本体60aに入れた。本体60aの容量は3m3である。チップの質量は1000kg、研磨剤66は粒径10μm〜100μmの範囲の粒体状の珪藻土であって、界面活性剤を含まず、この質量は3kg、研磨液としての水67の質量は2000kgである。攪拌機62の回転条件は110rpmとした。研磨工程31における水67の温度は20℃、研磨剤66の水に対する質量割合は0.15%、撹拌時間は1.5時間とした。
脂肪酸エステル層15の除去の程度を求めた。具体的には、得られたセルロースアシレート33のチップから評価用に所定量をサンプリングし、このサンプルを50℃のメタノールに8時間浸漬したあと70〜80℃のヘキサンで1時間還流して脂肪酸エステルを抽出した。そして、抽出物について、 1H−NMRにより脂肪酸エステルに起因するピークを検出してその面積とサンプルの面積との比率から除去された脂肪酸エステルの質量を求めた。1H−NMRにおける脂肪酸エステルの溶媒には重水素化クロロホルムを用い、ピークを求める際の積算回数は128回とした。なお、脂肪酸エステルの除去率が光学補償層の除去率に比例することは予め確認しており、脂肪酸エステルの除去率が70%以上であると実用化可能なレベルである。
得られたセルロースアシレートが劣化しているか否かを評価した。評価は、得られたセルロースアシレートのチップから溶液製膜用のドープをつくり、このドープについてゲル状の不純物の有無を確認するという方法で実施した。不純物の有無の確認は目視で行った。
本実験1の結果、脂肪酸エステルの除去率は72%であった。
[実験2]
研磨工程31における研磨剤66の質量を240kg、つまり研磨剤66の水に対する質量割合を12%とした。その他の条件は実験1と同じである。
本実験2の結果、脂肪酸エステルの除去率は80%であった。
[実験3]
研磨工程31における水67の温度を90℃とした。その他の条件は実験1と同じである。
本実験の結果、脂肪酸エステルの除去率は78%であった。
[実験4]
研磨工程31における水67の温度を90℃とし、研磨剤66の質量を6kgつまり研磨剤66の水に対する質量割合を0.3%とした。
本実験4の結果、脂肪酸エステルの除去率は80%であった。
[実験5]
研磨剤66を使用せず、水67の温度を20℃とした以外の条件は実験1と同じである。
本実験5の結果、脂肪酸エステルの除去率は5%であった。
以上の結果より、複層シートのチップを珪藻土が含まれる研磨剤に水の中で接触させた後で、液により洗浄し乾燥することにより脂肪酸エステルが含まれたポリマー層を除去できることがわかる。さらに、研磨時の水の温度、水に対する研磨剤の質量比率等を所定の値にすることにより、除去率を向上できることがわかる。これにより、本発明によると、脂肪酸エステル層とセルロースアシレート層とが積層されている光学複層シートから、セルロースアシレートを劣化させずに回収することができることがわかる。
セルロースアシレート回収の対象である複層シートの断面図である。 セルロースアシレートの回収工程の一例を示すフロー図である。 セルロースアシレート回収装置の概略図である。
符号の説明
10 複層シート
13 セルロースアシレート層
14 脂肪酸エステル層
26 チップ
50 セルロースアシレート回収装置
56 研磨洗浄部
57 乾燥部
58 回収部
61 温度コントローラ
62 攪拌機

Claims (4)

  1. セルロースアシレートからなるセルロースアシレート層と、前記セルロースアシレート層の一方の面に備えられ脂肪酸エステル及びポリマーを含む脂肪酸エステル層とを有する複層シートが切断されて得られる小片を、珪藻土が含まれる粒体に水の中で接触させ、前記脂肪酸エステル層を前記小片から削り取る削り工程と、
    前記削り工程により得られる前記セルロースアシレートの小片を液で洗浄する洗浄工程と、
    前記洗浄工程の後に前記セルロースアシレートの小片を乾燥する乾燥工程と、
    を有することを特徴とするセルロースアシレートの回収方法。
  2. 前記脂肪酸エステルの融点をMPとするときに、前記水の温度TWは20(℃)≦TW<MPの条件を満たすことを特徴とする請求項1記載のセルロースアシレートの回収方法。
  3. 前記水に対する前記粒体の質量比率は0.15%以上12%以下の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載のセルロースアシレートの回収方法。
  4. 前記粒体は界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載のセルロースアシレートの回収方法。
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JP2013061372A (ja) * 2011-09-12 2013-04-04 Fujifilm Corp フィルム・パターンド・リターダーの製造方法、並びにフィルム・パターンド・リターダー、及びそれを有する偏光板及び画像表示装置

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