JP2008128872A - タイヤ室内走行試験機の調整方法 - Google Patents

Abstract

【課題】タイヤ室内走行試験における試験結果のバラツキを改善し、試験精度を高めることが可能なタイヤ室内走行試験機の調整方法を提供する。
【解決手段】複数の空気入りタイヤを複数のタイヤ室内走行試験機１，２により同一走行条件下で試験を行う時に、調整用タイヤ３を用いてタイヤ室内走行試験機１，２を調整する方法である。この方法は、調整用タイヤ３を一台のタイヤ室内走行試験機１で走行させた時の走行中のタイヤ温度を温度センサ８により測定する。調整用タイヤ３を残りのタイヤ室内走行試験機２で走行させた時に、走行中のタイヤ温度が温度センサ８により測定したタイヤ温度と同じ温度レベルになるように、タイヤ室内走行試験機２の周囲の雰囲気温度を調整する。
【選択図】図１

Description

本発明は、タイヤ室内走行試験機の調整方法に関し、更に詳しくは、試験精度を改善するようにしたタイヤ室内走行試験機の調整方法に関する。

空気入りタイヤの性能を調べるタイヤ室内走行試験機として、例えば、試験タイヤを回転走行させる回転ドラムを備えたタイプのタイヤ耐久試験機が周知である（例えば、特許文献１，２参照）。このようなタイヤ耐久試験機を複数用いて複数の空気入りタイヤの耐久試験を同一走行条件下で行う場合がある。その際、通常、試験タイヤから略１ｍ離れた位置でセンサにより検出した試験機の雰囲気温度が同じ温度レベルになるように、空調設備の調整を行い、複数のタイヤ耐久試験機における試験時の温度条件を揃えるようにしている。

他方、複数の空気入りタイヤを時間的間隔を置いて、例えば、夏と冬に同じ場所に設置した１台のタイヤ耐久試験機により同一走行条件下で耐久試験を行う際にも、上記と同様にして温度条件を揃えるようにしている。

しかしながら、同じ仕様のタイヤにもかかわらず、試験結果に大きなバラツキが発生することがしばしばあり、その改善策が強く求められていた。
特開昭５７−１６１６３４号公報 特開２００５−１８０９５３号公報

本発明の目的は、タイヤ室内走行試験における試験結果のバラツキを改善し、試験精度を高めることが可能なタイヤ室内走行試験機の調整方法を提供することにある。

上記目的を達成する本発明のタイヤ室内走行試験機の調整方法は、複数の空気入りタイヤを複数のタイヤ室内走行試験機により同一走行条件下で試験を行う時に、調整用タイヤを用いてタイヤ室内走行試験機を調整する方法であって、前記調整用タイヤを前記複数のタイヤ室内走行試験機の内の一台で走行させた時の走行中のタイヤ温度を測定し、前記調整用タイヤを残りの各タイヤ室内走行試験機で走行させた時に、走行中のタイヤ温度が前記測定したタイヤ温度と同じ温度レベルになるように、前記残りの各タイヤ室内走行試験機周囲の雰囲気温度を調整することを特徴とする。

本発明の他のタイヤ室内走行試験機の調整方法は、複数の空気入りタイヤを時間的間隔を置いて１台のタイヤ室内走行試験機により同一走行条件下で試験を行う時に、調整用タイヤを用いてタイヤ室内走行試験機を調整する方法であって、前記調整用タイヤを前記タイヤ室内走行試験機で走行させた時の走行中のタイヤ温度を測定し、前記調整用タイヤを時間的間隔を置いて前記タイヤ室内走行試験機で走行させた時に、走行中のタイヤ温度が前記測定したタイヤ温度と同じ温度レベルになるように、前記タイヤ室内走行試験機周囲の雰囲気温度を調整することを特徴とする。

上述した本発明によれば、調整用タイヤを用いて、タイヤ室内走行試験機走行中のタイヤ温度が同じ温度レベルになるように、タイヤ室内走行試験機周囲の雰囲気温度を調整するようにしたので、同一走行条件下で試験を行った際の各タイヤの温度が同じ温度レベルになり、タイヤ温度に大きなバラツキが発生するのを防ぐことができる。そのため、試験結果に大きなバラツキが発生するのを回避し、タイヤ室内走行試験における試験精度を改善することができる。

以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図１は本発明のタイヤ室内走行試験機の調整方法の一実施形態を示し、この調整方法は、複数の空気入りタイヤを複数のタイヤ室内走行試験機により同一走行条件下で試験を行う時に、調整用タイヤを用いてタイヤ室内走行試験機を調整するものである。

図１では複数のタイヤ室内走行試験機として、２台のタイヤ耐久試験機を使用する例を示し、１は１台目のタイヤ耐久試験機、２は２台目のタイヤ耐久試験機、３は調整用タイヤ、４は１台目のタイヤ耐久試験機１を設置した部屋、５は２台目のタイヤ耐久試験機２を設置した部屋、６，７は部屋４，５内の温度調整をするための空調設備、８，９は調整用タイヤ３の表面温度を測定するための温度センサ、１０，１１は空調設備６，７のダクトである。

以下、図１を参照しながら、本発明のタイヤ室内走行試験機の調整方法の一実施形態を説明する。

先ず、リム組みして所定の空気圧を充填した調整用タイヤ３を、空調設備６により予め温調した部屋４内のタイヤ耐久試験機１に装着する。１台目のタイヤ耐久試験機１に調整用タイヤ３を取り付け、この１台目のタイヤ耐久試験機１を基準に他のタイヤ耐久試験機２を合わせるようにする例を示すが、それに代えて、２台目のタイヤ耐久試験機２に調整用タイヤ３を取り付け、２台目のタイヤ耐久試験機２を基準に他のタイヤ耐久試験機１を合わせるようにしてもよく、ここではいずれかの一台を基準に決め、それに装着するようにすればよい。

続いて、所定の荷重を調整用タイヤ３に負荷し、回転ドラム１Ａを回転させて調整用タイヤ３を回転ドラム１Ａ上を一定の速度で回転走行させる。回転速度は、一定速度にするのが調整を容易にする上で好ましいが、可変速度であってもよい。走行時間としては、温度を安定化させるため、３０分以上、好ましくは１時間以上がよい。

調整用タイヤ３の走行中、温度センサ８により調整用タイヤ３の表面温度を測定する。タイヤの温度は、負荷荷重と速度の積に比例し、調整用タイヤ３に加える荷重が一定で、回転ドラムの回転速度が一定の場合、所定の温度まで上昇したタイヤはその温度レベルを維持する。

走行終了後、調整用タイヤ３をタイヤ耐久試験機１から取り外す。２台目のタイヤ耐久試験機２に取り付ける前に、調整用タイヤ３を冷却し、１台目のタイヤ耐久試験機１に取り付ける前と同じ温度にする。同じ温度にした後、調整用タイヤ３内の空気圧を１台目のタイヤ耐久試験機１に取り付ける前と同じ空気圧にする。即ち、調整用タイヤ３を１台目のタイヤ耐久試験機１に取り付ける前と全く同じ状態にする。

次いで、調整用タイヤ３を残りの２台目のタイヤ耐久試験機２に装着する。１台目のタイヤ耐久試験機１で加えた荷重と同じ負荷荷重を調整用タイヤ３に負荷し、回転ドラム２Ａを回転させて調整用タイヤ３を回転ドラム２Ａ上を１台目のタイヤ耐久試験機１と同じ速度で回転走行させる。

調整用タイヤ３の走行中、温度センサ９により調整用タイヤ３の表面温度を測定する。その測定値が、温度センサ８により測定したタイヤ表面温度と同じ温度レベルになるように、空調設備７を調整して、部屋５内の温度（タイヤ耐久試験機周囲の雰囲気温度や風量等）を調整する。この調整した条件で、同じ仕様の複数の空気入りタイヤの耐久試験を上記２台のタイヤ耐久試験機１，２で行えるようにするのである。

空調設備７による調整としては、ダクト１１から供給される空気の温度、ダクト１１から部屋５内に供給される空気の方向、ダクト１１から供給される空気の速度などを挙げることができる。

タイヤ耐久試験機が３台以上更にある場合には、残りの各タイヤ耐久試験機を２台目のタイヤ耐久試験機と同様に調整する。

本発明者は、複数のタイヤ耐久試験機を用いて同じ仕様の複数の空気入りタイヤの耐久試験を同一走行条件下で行う時に、同じ仕様のタイヤにもかかわらず試験結果に大きなバラツキが発生する点について鋭意研究した結果、以下のことを知見した。

室内に設置される複数のタイヤ耐久試験機による試験では、タイヤ耐久試験機の設置条件が全く同じであれば問題ないが、タイヤ耐久試験機を設置する室内の広さ、室内に温調した空気を吹き出すダクトの位置、雰囲気温度を検出するセンサのダクトに対する位置などが相違すると、試験タイヤから１ｍ離れた位置でセンサにより検出した試験機の雰囲気温度を同じ温度レベルになるように空調設備を調整しても、同一走行条件下で試験する同じ仕様の試験タイヤの温度が同じにならずに温度差が出ることがわかった。

他方、走行条件を次第に厳しくしていくタイヤの耐久試験では、走行中の試験タイヤの温度が高くなる程、空気圧の低下が大きくなり、空気圧の低下が大きくなる程、タイヤ故障が発生するまでの走行距離が短くなる。そのため、同一走行条件下で試験をする同じ仕様のタイヤにもかかわらず、試験結果に大きなバラツキが発生していたのである。

そこで、本発明では、上述したように調整用タイヤ３を複数のタイヤ耐久試験機１，２の内の一台のタイヤ耐久試験機１で走行させた時の走行中のタイヤ温度を測定し、次いで同じ調整用タイヤ３を残りのタイヤ耐久試験機２で走行させた時に、空調設備７の調整を行い、走行中の調整用タイヤ３の温度がタイヤ耐久試験機１で測定したタイヤ温度と同じ温度レベルになるように、残りのタイヤ耐久試験機２の周囲の雰囲気温度を調整するようにしたのである。これにより、複数のタイヤ耐久試験機１，２を用いて同じ仕様の複数の空気入りタイヤの耐久試験を同一走行条件下で行った際のタイヤ温度を同じレベルにすることが可能になるので、試験結果に大きなバラツキが発生することを回避することができる。従って、試験精度の改善が可能になる。

図２は、本発明のタイヤ室内走行試験機の調整方法の他の実施形態を示す。この調整方法は、複数の空気入りタイヤを時間的間隔を置いて１台のタイヤ室内走行試験機により同一走行条件下で試験を行う際に、上記と同様に調整用タイヤを用いてタイヤ室内走行試験機を調整するものである。図中、２１はタイヤ耐久試験機、２２は調整用タイヤ、２３はタイヤ耐久試験機を設置した部屋、２４は部屋２３内の温度調整をするための空調設備、２５は調整用タイヤ２２の表面温度を測定するための温度センサ、２６は空調設備２４のダクトである。

図２に示す本発明のタイヤ室内走行試験機の調整方法は、先ず、リム組みして所定の空気圧を充填した調整用タイヤ２２を、空調設備２４により予め温調した部屋２３内のタイヤ耐久試験機２１に装着する。続いて、所定の荷重を調整用タイヤ２２に負荷し、回転ドラム２１Ａを回転させて調整用タイヤ２２を回転ドラム２１Ａ上を一定の速度で回転走行させる。回転速度は、上記と同様に一定速度にするのが好ましいが、可変速度であってもよい。走行時間は、上記と同様である。調整用タイヤ２２の走行中、温度センサ２５により調整用タイヤ２２の表面温度を測定する。走行終了後、調整用タイヤ２２をタイヤ耐久試験機２１から取り外す。

時間的間隔をおいて（例えば、上記の前回が夏で今回が冬）、前回使用した調整用タイヤ２２を前と同じ状態（空気圧とタイヤ温度を同じにする）にして、同じタイヤ耐久試験機２１に装着する。前回と同じ負荷荷重を調整用タイヤ２２に負荷し、回転ドラム２１Ａを回転させて調整用タイヤ２２を回転ドラム２１Ａ上を前回と同じ一定の速度で回転走行させる。

調整用タイヤ２２の走行中、温度センサ２５により調整用タイヤ２２の表面温度を測定する。その測定値が、前回温度センサ２５により測定したタイヤ表面温度と同じ温度レベルになるように、空調設備２４を調整して、部屋２３内の温度（タイヤ耐久試験機周囲の雰囲気温度や風量等）を調整する。この調整した条件で、同じ仕様の空気入りタイヤの耐久試験を行えるようにするのである。空調設備２４による調整としては、上記と同様である。

室内に設置されるタイヤ耐久試験機２１による試験を、異なる季節で行うなどの時間的な間隔がある場合にも、同一走行条件下で試験する同じ仕様のタイヤの温度が同じにならずに温度差が出ることがあり、それが試験結果に大きなバラツキを発生させていた。そこで、図２の本発明のタイヤ室内走行試験機の調整方法では、調整用タイヤ２２をタイヤ耐久試験機２１で走行させた時の走行中のタイヤ温度を測定し、時間的間隔を置いてその調整用タイヤ２２を同じタイヤ耐久試験機２１で走行させた時に、走行中のタイヤ温度が前回測定したタイヤ温度と同じ温度レベルになるように、タイヤ耐久試験機２１の雰囲気温度を調整するようにしたのである。

これにより、夏と冬など、時間的間隔をおいて同じ場所に設置した１台のタイヤ耐久試験機２１により同一走行条件下で試験を行った際のタイヤ温度を同じレベルにすることが可能になるので、試験結果に大きなバラツキが発生するのを回避でき、試験精度の改善が可能になる。

本発明において、上記実施形態では、タイヤ温度として表面温度を用いたが、それに代えて、タイヤ空洞部内の温度であってもよい。好ましくは、耐久性に大きく寄与するタイヤ空洞部内温度が試験結果のバラツキを一層改善する上でよい。

タイヤ表面温度を測定するセンサとしては、例えば、赤外線温度計やサーモグラフィ（赤外線熱画像装置）などを好ましく挙げることができる。タイヤ空洞部内の温度を測定するには、温度センサとその温度センサで検出した温度を外部に送信する送信手段をユニット化した装置をタイヤ空洞部内に配置したり、空気を充填するためのバルブ穴から熱電対をタイヤ空洞部内に挿入するなどの手法がある。タイヤ空洞部内の温度は、好ましくは、タイヤ空洞部内のリム上の温度とするのがよく、それにより安定した温度測定が可能になる。

上記実施形態では、タイヤ室内走行試験機としてタイヤ耐久試験機の例を挙げたが、本発明はそれに限定されず、タイヤを室内で走行させる試験機であればいずれにも適用することが可能であり、例えば、タイヤを回転ドラム上を回転走行させながら転がり抵抗を調べる試験機などであってもよい。

本発明は、同じ仕様の複数の空気入りタイヤを複数のタイヤ室内走行試験機により同一走行条件下で試験を行う時に、或いは時間的間隔を置いて１台のタイヤ室内走行試験機により同一走行条件下で試験を行う時に好ましく用いることができるが、異なる仕様の複数の空気入りタイヤを同様に試験する場合にも使用することができる。また、調整タイヤは、複数の空気入りタイヤと同じ仕様のタイヤであっても異なる仕様のタイヤであってもよい。

本発明のタイヤ室内走行試験機の調整方法の一実施形態を示す説明図である。 本発明のタイヤ室内走行試験機の調整方法の他の実施形態を示す説明図である。

符号の説明

１，２ タイヤ耐久試験機（タイヤ室内走行試験機）
３ 調整用タイヤ
４，５ 部屋
６，７ 空調設備
８，９ 温度センサ
２１ タイヤ耐久試験機（タイヤ室内走行試験機）
２２ 調整用タイヤ
２３ 部屋
２４ 空調設備
２５ 温度センサ

Claims (5)

1. 複数の空気入りタイヤを複数のタイヤ室内走行試験機により同一走行条件下で試験を行う時に、調整用タイヤを用いてタイヤ室内走行試験機を調整する方法であって、
   前記調整用タイヤを前記複数のタイヤ室内走行試験機の内の一台で走行させた時の走行中のタイヤ温度を測定し、
   前記調整用タイヤを残りの各タイヤ室内走行試験機で走行させた時に、走行中のタイヤ温度が前記測定したタイヤ温度と同じ温度レベルになるように、前記残りの各タイヤ室内走行試験機周囲の雰囲気温度を調整するタイヤ室内走行試験機の調整方法。
2. 複数の空気入りタイヤを時間的間隔を置いて１台のタイヤ室内走行試験機により同一走行条件下で試験を行う時に、調整用タイヤを用いてタイヤ室内走行試験機を調整する方法であって、
   前記調整用タイヤを前記タイヤ室内走行試験機で走行させた時の走行中のタイヤ温度を測定し、
   前記調整用タイヤを時間的間隔を置いて前記タイヤ室内走行試験機で走行させた時に、走行中のタイヤ温度が前記測定したタイヤ温度と同じ温度レベルになるように、前記タイヤ室内走行試験機周囲の雰囲気温度を調整するタイヤ室内走行試験機の調整方法。
3. 前記タイヤ温度がタイヤ表面温度である請求項１または２に記載のタイヤ室内走行試験機の調整方法。
4. 前記タイヤ温度がタイヤ空洞部内温度である請求項１または２に記載のタイヤ室内走行試験機の調整方法。
5. 前記試験が耐久試験である請求項１，２，３または４に記載のタイヤ室内走行試験機の調整方法。

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