以下、本発明に係る過給機付き内燃機関の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図7は本発明に係る過給機付き内燃機関の第1の実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。図1は内燃機関(以下、エンジンという)を示す図である。図1は車両に搭載された直列6気筒の過給機付きエンジンの概略構成図である。図1において、エンジン1の吸気系には、吸気動脈または吸気干渉を防止するためのサージタンク2が設けられており、サージタンク2の上流側には、スロットルボディ3が設けられている。
このスロットルボディ3の内部には、図示しないアクセルペダルの操作に連動して開閉されるスロットル弁4が設けられており、このスロットル弁4が開閉されることによってサージタンク2への吸入空気量が調整される。また、このスロットル弁4の開度Tsvはスロットル開度センサ101によって検出されるようになっている。
また、サージタンク2の下流側には、エンジン1の各気筒♯1、♯2、♯3、♯4、♯5、♯6毎に分岐された吸気マニホールド5を備えており、この吸気マニホールド5には、エンジン♯1〜♯6毎に燃料を噴射するインジェクタ6A、6B、6C、6D、6E、6Fがそれぞれ設けられている。
また、各インジェクタ6A〜6Fには図示しない燃料ポンプの作動によってフューエルタンクから所定圧力の燃料が供給されるようになっている。また、エンジン1の各気筒♯1〜♯6に応じて点火プラグ7A、7B、7C、7D、7E、7Fがそれぞれ設けられている。
一方、エンジン1の排気系には、排気マニホールド8が設けられており、この排気マニホールド8は排気干渉を伴わない気筒群♯1〜♯3と、♯4〜♯6との2つに集合され、その集合部8a、8bが連通路9によって互いに連通されている。
また、エンジン1の吸気系および排気系には、第1の過給機を構成する主ターボチャージャ10および第2の過給機を構成する副ターボチャージャ11がそれぞれ並列に設けられている。
また、主ターボチャージャ10の排気部であるタービン10aおよび副ターボチャージャ11の排気部であるタービン11aは、その上流側が排気マニホールド8の各集合部8a、8bにそれぞれ連通されている。
すなわち、主ターボチャージャ10に対応してエンジン1の気筒群♯1〜♯3が連通され、副ターボチャージャ11に対応してエンジン1の気筒群♯4〜♯6が連通されている。但し、上述したように気筒群♯1〜♯3および気筒群♯4〜♯6は連通路9によって連通されている。
また、タービン10aの下流側には排気通路としての主排気通路12が連通されており、タービン11aの下流側には排気通路としての副排気通路13が連通されている。
これら主排気通路12および副排気通路13はその下流側で合流しており、主排気通路12および副排気通路13は三元触媒を内蔵する触媒コンバータ14および図示しないマフラーを介して外部に連通している。
一方、主ターボチャージャ10の吸気部であるコンプレッサ10bの上流側は吸気通路としての主吸気通路15に連通しており、副ターボチャージャ11の吸気部であるコンプレッサ11bの上流側は吸気通路としての副吸気通路16に連通している。
これら主吸気通路15および副吸気通路16の上流側はそれぞれエアフローメータ102a、102bおよびエアクリーナ18a、18bを介して外部に連通している。すなわち、主吸気通路15は第1の吸気口としての吸気口15aから第1のエアクリーナとしてのエアクリーナ18aを介して主ターボチャージャ10のコンプレッサ10bに連通しており、吸気口15aから外部の空気を主ターボチャージャ10のコンプレッサ10bに供給するようになっている。
また、副吸気通路16は第2の吸気口としての吸気口16aから第2のエアクリーナとしてのエアクリーナ18bを介して副ターボチャージャ11のコンプレッサ11bに連通しており、吸気口16aから外部の空気を副ターボチャージャ11のコンプレッサ11bに供給するようになっている。したがって、本実施の形態の主吸気通路15および副吸気通路16はそれぞれ独立しており、連通していない。
また、各コンプレッサ10bの下流側は吸気通路としての主吸気通路19に連通しているとともに、コンプレッサ11bの下流側は吸気通路としての副吸気通路20に連通しており、これら主吸気通路19および副吸気通路20の下流側は1本の共通吸気通路21に合流して連通され、吸気冷却用のインタークーラー22およびスロットルボディ3を介してサージタンク2に連通されている。
また、主ターボチャージャ10は低吸入空気量域から高吸入空気量域、すなわち、エンジン1の低回転領域からエンジン1の中・高回転領域まで作動するようになっている。この主ターボチャージャ10はエンジン1の全ての運転領域で作動されるものであり、副ターボチャージャ11は低吸入空気量域で停止され、特定の運転領域である高吸入空気量域で作動するようになっている。本実施の形態では、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11により、所謂、「パラレルシーケンシャルターボシステム」が構成されている。
また、副ターボチャージャ11のタービン11aに連通する副排気通路13の途中には、排気切換弁23が設けられているとともに、コンプレッサ11bに連通する副吸気通路20の途中には吸気切換弁24が設けられており、排気切換弁23および吸気切換弁24は、ダイヤフラム式のアクチュエータ25、26によってそれぞれ開閉されるようになっている。
そして、排気切換弁23および吸気切換弁24の両方が全開のときには、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11が作動する「ツインターボステージ」に移行し、排気切換弁23および吸気切換弁24の両方が全閉のときには、主ターボチャージャ10が作動する「シングルターボステージ」に移行する。
また、副ターボチャージャ11のタービン11aに連通する副排気通路13には、副ターボチャージャ11のタービン11aの下流側と主ターボチャージャ10のタービン10aの下流側とを連通する排気バイパス通路27が設けられており、この排気バイパス通路27は、主ターボチャージャ10のみの動作時に副ターボチャージャ11の空転による温度上昇を防止するために解放される。
この排気バイパス通路27には排気バイパス通路27を開閉する排気バイパス弁28が設けられており、この排気バイパス弁28はダイヤフラム式のアクチュエータ29によって開度、すなわち、排気バイパス弁28の開口量が可変制御される。なお、本実施の形態では、排気バイパス弁28およびアクチュエータ29が排気量制御手段を構成している。
また、吸気切換弁24の上流側の副吸気通路20と、主ターボチャージャ10のコンプレッサ10bよりも上流側の主吸気通路15との間には、副吸気通路20と主吸気通路15とを連通する吸気バイパス通路30が設けられており、この吸気バイパス通路30は、主ターボチャージャ10のみの動作から主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11への切換えをスムーズにするために開放される。
また、吸気バイパス通路30の一端側には吸気バイパス通路30を開閉するために、ダイヤフラム式のアクチュエータ31によって駆動される吸気バイパス弁32が設けられている。
また、副吸気通路20において吸気切換弁24の上流側と下流側との間にはバイパス通路33によって連通されており、このバイパス通路33にはリード弁34が設けられている。そして、副ターボチャージャ11のコンプレッサ11bでの出口圧力が主ターボチャージャ10の出口圧力よりも大きくなったときに、そのバイパス通路33およびリード弁34を介して吸気切換弁24の上流側から下流側へと空気がバイパスされるようになっている。
一方、主ターボチャージャ10において、タービン10aの上流側と下流側との間にはウェイストゲート通路35が設けられており、このウェイストゲート通路35にはウェイストゲート通路35を開閉するウェイストゲート弁36が設けられている。
このウェイストゲート弁36は、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11による過給圧が予め設定された過給圧を超えることを防止するために、タービン10aへの流入排気ガスを、タービン10aの出口側にバイパスしてタービン10a、11aの出力を調整し、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11による過給圧を制御するためのものである。そして、ウェイストゲート弁36は、アクチュエータ37によって開度、すなわち、ウェイストゲート通路35の開口量が可変制御される。
一方、アクチュエータ25、26、29、31、37にはそれぞれ第1、第2、第3、第4、第5の電磁弁111、112、113、114、115が接続されており、電磁弁111〜115の切換えは、ECU100(図2参照)からの指令に基づいて行われる。
アクチュエータ29、37は、主吸気通路19または共通吸気通路21からの過給圧をそれぞれのダイヤフラム室に導入し、それぞれ第4の電磁弁114および第5の電磁弁115によるデューティ制御によってエアクリーナ18aの下流側への戻し量を調整することにより、ダイヤフラム室の圧力を調整するようになっている。
また、アクチュエータ25、26、31は、正圧タンク50からの過給圧をそれぞれのダイヤフラム室に導入し、それぞれ第1の電磁弁111、第2の電磁弁112および第3の電磁弁113によるオン/オフ制御によって、ダイヤフラム室の空気をエアクリーナ18aの下流側に空気を戻すか、戻さないようにするのかを制御することにより、ダイヤフラム室の圧力を調整するようになっている。
また、第1の電磁弁111はバキュームスイッチングバルブから構成されており、第1の電磁弁111が“オン”になると、吸気切換弁24を全開とするようにアクチュエータ26が作動され、“オフ”になると、吸気切換弁24が全閉とするようにアクチュエータ26を作動される。
また、第3の電磁弁113はバキュームスイッチングバルブから構成されており、第3の電磁弁113が“オン”になると、排気切換弁23が全開するようにアクチュエータ25が作動され、“オフ”になると排気切換弁23が全閉するようにアクチュエータ25が作動される。
また、第2の電磁弁112はバキュームスイッチングバルブから構成されており、第2の電磁弁112が“オン”になると、吸気バイパス弁32を全閉するようにアクチュエータ31が作動され、“オフ”になると、吸気バイパス弁32を全開するようにアクチュエータ31が作動させる。
また、第5の電磁弁115は、オン/オフ制御でなく、上述したようにデューティ制御式のバキュームスイッチングバルブから構成されており、ウェイストゲート弁36の開度は、アクチュエータ37のダイヤフラム室に導入される過給気のエアクリーナ18aの下流側への戻し量を第5の電磁弁115のデューティ制御によって可変させることにより可変可能となっている。
一方、排気バイパス弁28は、図3に示すよう排気下流側に開くスイングアーム弁から構成されており、排気バイパス弁28と連結されるダイヤフラム式のアクチュエータ29には、ダイヤフラム室29aが形成されている。ダイヤフラム室29aはダイヤフラム29cによって区画されており、ダイヤフラム室29aの反対側の室29bにはダイヤフラム29cをダイヤフラム室29a側に押圧するスプリング29dが収納されている。
ダイヤフラム室29aには、主吸気通路19から過給圧が導かれるようになっており、ダイヤフラム室29aに導かれた過給気は、第4の電磁弁114によりエアクリーナ18aの下流側に戻されるようになっている。
エンジン1の運転中は、排気バイパス弁28の弁体28aには排気ガスの排圧が作用しており、この排圧Pbによって弁体28aにかかる力と、排気バイパス弁28と連結されるダイヤフラム式のアクチュエータ29のダイヤフラム室29a内に作用する過給圧によって生じる力との和が一定値を超えることによって排気バイパス弁28は開弁される。また、排気バイパス弁28の閉弁動作は、スプリング29dの付勢力によって行われる。
また、排気バイパス弁28を作動させるアクチュエータ29に過給圧を導入する第4の電磁弁114は、オン/オフ制御でなく、上述したようにデューティ制御式のバキュームスイッチングバルブから構成されており、排気バイパス弁28の開度制御は、アクチュエータ29のダイヤフラム室29aに導入される過給気のエアフローメータ102bの下流側への戻し量を第4の電磁弁114のデューティ制御によって可変させることにより可変可能となっている。
一方、主吸気通路15および副吸気通路16に設けられたエアフローメータ102a、102bはそれぞれ吸入空気量を検出するようになっている。また、エンジン1にはクランク角センサ103が設けられており、このクランク角センサ103はクランク軸またはカム軸の回転よりクランク角度と共にエンジン回転数Neを検出するようになっている。また、主排気通路12には酸素センサ104が設けられており、この酸素センサ104は排気ガス中の酸素濃度を検出するようになっている。
図4、図5は、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11に潤滑油を供給するための構成を示す図であり、図4は潤滑油の供給経路の概略図、図5は主ターボチャージャ10と副ターボチャージャ11の構成図である。なお、主ターボチャージャ10と副ターボチャージャ11も同様の構成であるため、図5によって両ターボチャージャ10、11の説明を行う。
図4において、図示しないオイルパン内の潤滑油は、オイルポンプによって吸い込まれた後に、多数の潤滑油供給通路からエンジン1の要部潤滑部に供給された後、オイルパンに還流される。潤滑油供給通路の所定位置には、潤滑油を冷却するオイルクーラーや潤滑油中の異物を除去するオイルエレメントが設けられており、異物が除去された潤滑油の一部は、潤滑油供給通路51を介して第1供給通路52と第2供給通路53に分岐される。
第1供給通路52は主ターボチャージャ10に潤滑油を供給するようになっており、主ターボチャージャ10を潤滑した潤滑油は第1戻り通路54を介してオイルパンに還流される。
また、第2供給通路53は副ターボチャージャ11に潤滑油を供給するようになっており、副ターボチャージャ11を潤滑した潤滑油は第2戻り通路55を介してオイルパンに還流される。
一方、図5において、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11は、ベアリングハウジング61と、ベアリングハウジング61の一側に設けられたタービンハウジング62と、ベアリングハウジング61の他側に設けられたコンプレッサハウジング63と、タービンハウジング62内に回転可能に設けられたタービン10a、11aと、コンプレッサハウジング63内に回転可能に設けられたコンプレッサ10b、11bと、タービン10a、11aとコンプレッサ10b、11bとを連結し、ベアリングハウジング61からベアリング64を介して回転可能に支持されたシャフト65とを備えている。
また、ベアリングハウジング61には、図5中、前後方向に延在し、第1供給通路52または第2供給通路53に連通する第1連通路66と、第1連通路66に連通するとともに図5中、左右方向に延在する第2連通路67と、第2連通路67に連通し、シャフト65とベアリング64に向けて開口する一対の第3連通路68とを備えており、主ターボチャージャ10、副ターボチャージャ11の潤滑が終了したし潤滑油は第1戻り通路54、第2戻り通路55を介してオイルパンに還流される。
なお、本実施の形態では、潤滑油供給通路51、第1供給通路52、第2供給通路53、第1連通路66、第2連通路67および第3連通路68が潤滑油供給手段を構成している。
一方、ECU100は、図2に示すように、スロットル開度センサ101、エアフローメータ102a、102b、クランク角センサ103、酸素センサ104が接続されており、ECU100は、エンジン1を制御するための各種演算を行うCPU(central processing unit)100a、読み出し専用のメモリであるROM(Read Only Memory)100b、一時記憶用のRAM(Random Access Memory)100c、入出力インターフェイス(I/Oインターフェイス)100d、各種センサからのアナログ信号をディジタル量に変換するA/Dコンバータ100eを備え、スロットル開度センサ101、エアフローメータ102a、102b、クランク角センサ103、酸素センサ104からの検出情報に基づいて燃料噴射弁であるインジェクタ6A、6B、6C、6D、6E、6Fを制御する。
また、ECU100は、スロットル開度センサ101、エアフローメータ102a、102b、クランク角センサ103、酸素センサ104からの検出情報に基づいてアクチュエータ25、26を“オン/オフ”にするようになっており、アクチュエータ25、26が“オン”になると排気切換弁23および吸気切換弁24を全開にし、アクチュエータ25、26が“オフ”になると排気切換弁23および吸気切換弁24が全閉にするようになっている。
また、ECU100は、スロットル開度センサ101、エアフローメータ102a、10b、クランク角センサ103、酸素センサ104からの検出情報に基づいて アクチュエータ29、31を制御することにより、排気バイパス弁28または吸気バイパス弁32の開度を調整して、排気バイパス通路27または吸気バイパス通路30の排気流量を調整するようになっている。
次に、図6、図7に基づいて過給制御を説明する。なお、図6は過給制御のフローチャートであり、このフローチャートはECU100のCPU100aによって実行されるROM100bに記憶されたプログラムである。また、図7はターボチャージャの作動とエンジン回転数およびエンジン負荷との関係を示す図である。
まず、ECU100のCPU100aは、スロットル開度センサ101、エアフローメータ102a、102bおよび酸素センサ104の検出情報に基づいて算出されたエンジン負荷とクランク角センサ103に基づいて算出されたエンジン回転数から運転状態を判断し、この運転状態に基づいて主ターボチャージャ10のみを作動するか否かを判別する。
具体的には、ECU100のCPU100aは、図7に示すマップに基づいて運転状態が判定ラインA未満であるか否かを判別する(ステップS1)。CPU100aは、ステップS1で判定ラインA未満であるものと判断した場合には、低速・高負荷域または中速・低負荷のシングルターボ領域、すなわち、低吸入空気量域であるものと判断して、排気切換弁23および吸気切換弁24を閉じた状態にして主ターボチャージャ10のみを作動する「シングルターボステージ」に移行する(ステップS2)。
このとき、エンジン1からの排気ガスは主ターボチャージャ10のみに供給され、主ターボチャージャ10のタービン10aのみが回転する。この「シングルターボステージ」では、第1供給通路52を介して主ターボチャージャ10にエンジン1の回転数に応じた潤滑油が供給される。
具体的には、第1供給通路52から第1連通路66、第2連通路67および第3連通路68を介して主ターボチャージャ10のシャフト65とベアリング64に潤滑油が供給され、この潤滑油は第1戻り通路54を介してオイルパンに還流される。
また、主ターボチャージャ10のタービン10aを通過した排気ガスは、主排気通路12を経て、主排気通路12および副排気通路13の合流部に到達し、さらに下流の触媒コンバータ14を通過して外部に排出される。
このように低吸入空気量域では、主ターボチャージャ10のみで過給を行う「シングルターボステージ」に移行するので、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11の両方で過給を行う場合よりも過給特性を向上させることができるとともに、エンジン1の負荷の立ち上がりを速くして、低速域の応答性を向上させることができる。
一方、ステップS1でCPU100aは、判定ラインA以上であるものと判断した場合には、判定ラインB未満であるか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3では、CPU100aは、図7に示すようにエンジン負荷とエンジン回転数に基づいて算出された運転状態が判定ラインA以上で、判定ラインB未満であるものと判断した場合には、エンジンの運転状態が低速・高負荷の判定ラインAを超えた時点で、第4の電磁弁114によりアクチュエータ29をデューティ制御することにより、排気バイパス弁28を小開度で開弁する(ステップS4)。
このため、排気バイパス通路27が開放されて、排気ガスの一部が副ターボチャージャ11に導入される。また、第2の電磁弁112を“オン”にして吸気バイパス弁32を全閉するようにアクチュエータ31を作動する。このため、副ターボチャージャ11のタービン11aの助走回転が開始される。
また、助走回転が行われると、第2供給通路53を介して副ターボチャージャ11にエンジン1の回転数に応じた潤滑油が供給される。
一方、CPU100aは、ステップS3で判定ラインB以上であるものと判断した場合には、エンジンの運転状態が高速・高負荷のツインターボ領域、すなわち、高吸入空気量域であるものと判断して、第1の電磁弁111および第3の電磁弁113を“オン”にして吸気切換弁24を全開とするようにアクチュエータ26を作動させるとともに、排気切換弁23が全開するようにアクチュエータ25を作動し、さらに、第4の電磁弁114によりアクチュエータ29をデューティ制御することにより、排気バイパス弁28を全閉状態にして副ターボチャージャ11の助走回転を終了する(ステップS5)。
このため、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11により過給が行われる「ツインターボステージ」に移行する。また、副ターボチャージャ11が助走回転しているので、「ツインターボステージ」に移行する瞬間に衝撃が生じることがなく、ステージの移行がスムーズに行われる。
また、「ツインターボステージ」に移行した場合には、第1供給通路52および第2供給通路53を介して副ターボチャージャ11および副ターボチャージャ11に潤滑油が供給される。
また、「ツインターボステージ」移行後には、エンジン1からの排気ガスは、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11を流れ、主ターボチャージャ10のタービン10aおよび副ターボチャージャ11のタービン11aを回転駆動させる。
さらに、各タービン10a、11aを通過した排気ガスは、主排気通路12、副排気通路13を経てそれらの合流部に到達し、さらに、下流の触媒コンバータ14を通過して外部に流れる。
このように「ツインターボステージ」にすると、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11によって十分な過給圧を得ることができ、高速域におけるエンジン1の出力を向上させることができる。
また、「ツインターボステージ」から「シングルターボステージ」に移行する場合には、CPU100aは、判定ラインB未満になったときに、第4の電磁弁114によりアクチュエータ29をデューティ制御して排気バイパス弁28を開弁するとともに、アクチュエータ25、26を“オフ”にして排気切換弁23および吸気切換弁24を全閉して副ターボチャージャ11の減速を行う。
その後、判定ラインA未満になったときに、アクチュエータ29を“オフ”にして排気バイパス弁28を全閉する。また、副ターボチャージャ11が回転している間には、副ターボチャージャ11に潤滑油を供給する。
このように本実施の形態では、主吸気通路15と副吸気通路16とを独立して設け、主吸気通路15と副吸気通路16とが連通しないようにしたので、主ターボチャージャ10のコンプレッサ10bの上流側に大きな負圧が発生した場合であっても、この負圧の影響を受けて副ターボチャージャ11のコンプレッサ11bから潤滑油が漏出するのを防止することができる。
このため、副ターボチャージャ11の作動時に副ターボチャージャ11に潤滑油を十分に供給することができるとともに、エンジン1の焼き付けが発生するのを防止することができる。
(第2の実施の形態)
図8〜図12は本発明に係る過給機付き内燃機関の第2の実施の形態を示す図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
図8において、主ターボチャージャ10の吸気部であるコンプレッサ10bの上流側は第1の分岐吸気通路としての主吸気通路71に連通しており、副ターボチャージャ11の吸気部であるコンプレッサ11bの上流側は第2の分岐吸気通路としての副吸気通路72に連通している。
これら主吸気通路71および副吸気通路72の上流側は1本の共通吸気通路73によって合流しており、エアフローメータ102およびエアクリーナ74を介して外部に連通している。すなわち、共通吸気通路73はエアクリーナ74を備えた外部に連通する吸気口73aを備えており、吸気通路71および副吸気通路72はこの共通吸気通路73によって分岐されている。本実施の形態では、共通吸気通路73が分岐部を構成している。
また、各コンプレッサ10bの下流側は主吸気通路19に連通しているとともに、コンプレッサ11bの下流側は副吸気通路20に連通しており、これら主吸気通路19および副吸気通路20の下流側は1本の共通吸気通路21に合流して連通され、吸気冷却用のインタークーラー22およびスロットルボディ3を介してサージタンク2に連通されている。
また、共通吸気通路73の下流側と副ターボチャージャ11の間の副吸気通路72には、副吸気通路72を開閉する開閉手段としての副吸気通路開閉弁75が設けられており、この副吸気通路開閉弁75はダイヤフラム式のアクチュエータ76によって開閉制御される。
また、アクチュエータ76は正圧タンク50からの過給圧とエアフローメータ102の下流からの大気圧とを選択的に切換えるために、第6の電磁弁116が接続されており、第6の電磁弁116の切換えは、ECU100(図9参照)からの指令に基づいて行われる。
また、アクチュエータ76は、正圧タンク50からの過給圧をダイヤフラム室に導入し、第6の電磁弁116によるオン/オフ制御によって、ダイヤフラム室の空気をエアフローメータ102の下流側に空気を戻すか、戻さないようにするのかを制御することにより、ダイヤフラム室の圧力を調整するようになっている。なお、本実施の形態では、エアフローメータ102は1つだけ設けられており、アクチュエータ25、26、29、31、37のダイヤフラム室に供給される過給圧はエアフローメータ102の下流側に戻される。
また、第6の電磁弁116が“オン”になると、副吸気通路開閉弁75が全開とするようにアクチュエータ76が作動され、“オフ”になると、副吸気通路開閉弁75が全閉とするようにアクチュエータ76が作動される。
図10は、副吸気通路開閉弁75の構成を示す図である。図10において、副吸気通路開閉弁75は、吸気下流側に開く弁体75aを備えたスイングアーム弁から構成されており、副吸気通路開閉弁75と連結されるダイヤフラム式のアクチュエータ76には、ダイヤフラム室76aが形成されている。ダイヤフラム室76aはダイヤフラム76cによって区画されており、ダイヤフラム室76aの反対側の室76bにはダイヤフラム76cをダイヤフラム室76a側に押圧するスプリング76dが収納されている。
ダイヤフラム室76aには、正圧タンク50から過給圧が導かれるようになっており、ダイヤフラム室76aに導かれた過給気は、リーク通路72aを介して副吸気通路72にリークされるようになっている。
低吸入空気量域では、副吸気通路開閉弁75の弁体75aにはエアフローメータ102の下流からの大気圧がダイヤフラム室76aに導かれるようになっており、この大気圧はスプリング76dの付勢力よりも小さいので、弁体75aはスプリング76dによって閉弁方向に付勢され、副吸気通路72は閉弁される。
また、高吸入空気量域では、第6の電磁弁116による切換制御によってダイヤフラム室76aには正圧タンク50からの正圧が導かれるようになっており、この正圧はスプリング76dの付勢力よりも大きいので、副吸気通路開閉弁75の弁体75aはスプリング76dの付勢力に抗して開弁方向に移動して、副吸気通路72が開弁される。
一方、ECU100は、副ターボチャージャ11の回転数に基づいて第6の電磁弁116をオン/オフ制御する。具体的には、副ターボチャージャ11には、作動状態検出手段および回転数検出器としてのギャップセンサ105が設けられており、このギャップセンサ105は、例えば、タービン11aの羽根が通過したことで生じるギャップの変動、すなわち、変調を検出してECU100に検出信号を出力するようになっている。ECU100は、ギャップセンサ105からの検出情報に基づいて変調周波数(羽根の数/毎秒)から副ターボチャージャ11の回転数(rpm)を算出するようになっている。
ECU100はギャップセンサ105からの検出情報に基づいて第6の電磁弁116をオン/オフ制御することにより、アクチュエータ76によって副吸気通路開閉弁75を開閉することにより、副吸気通路72を開閉する。本実施の形態では、ECU100、第6の電磁弁116が制御手段を構成している。
次に、図11、図12に基づいて過給制御を説明する。なお、図11は過給制御のフローチャートであり、このフローチャートはECU100のCPU100aによって実行されるROMに記憶されたプログラムである。また、図12は副ターボチャージャの回転数と副吸気通路開閉弁75の関係を示す図である。
まず、ECU100のCPU100aは、スロットル開度センサ101、エアフローメータ102、クランク角センサ103、酸素センサ104に基づいてエンジン負荷とエンジン回転数に基づいて運転状態を判断し、この運転状態に基づいて主ターボチャージャ10のみを作動するか否かを判別する。
具体的には、ECU100のCPU100aは、図7に示すマップに基づいて運転状態が判定ラインA未満であるか否かを判別する(ステップS11)。CPU100aは、ステップS11で判定ラインA未満であるものと判断した場合には、低速・高負荷域または中速・低負荷のシングルターボ領域、すなわち、低吸入空気量域であるものと判断して、排気切換弁23および吸気切換弁24を閉じた状態にして主ターボチャージャ10のみを作動する「シングルターボステージ」に移行する(ステップS12)。
このとき、エンジン1からの排気ガスは主ターボチャージャ10のみに流れ、主ターボチャージャ10のタービン10aのみに流れる。このとき、第1供給通路52を介して主ターボチャージャ10にエンジン1の回転数に応じた潤滑油が供給される。
また、主ターボチャージャ10のタービン10aを通過した排気ガスは、主排気通路12を経て、主排気通路12および副排気通路13の合流部に到達し、さらに下流の触媒コンバータ14を通過して外部に排出される。
次いで、CPU100aは、副吸気通路開閉弁制御処理を実行する(ステップS13)。この副吸気通路開閉弁制御処理では、CPU100aは、ギャップセンサ105からの検出情報に基づいて図12を参照し、副吸気通路開閉弁75を開閉するか否かを判断する。
すなわち、CPU100aは、副ターボチャージャ11の回転数rpm>rpm1であるか否かを判断する。この副ターボチャージャ11の回転数rpm1は判定ラインAと判定ラインBの間にあるときに、副ターボチャージャ11の回転数に対応するような値に設定されており、このrpm1が所定値を構成している。
したがって、副ターボチャージャ11が停止しているときには、CPU100aは副ターボチャージャ11の回転数がrpm<rpm1と判断して第6の電磁弁116を“オフ”にする。このため、副吸気通路開閉弁75の開弁は行われず、副吸気通路72と主吸気通路71とは遮断される。
一方、ステップS11でCPU100aは、判定ラインA以上であるものと判断した場合には、判定ラインB未満であるか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14では、CPU100aは、図7に示すようにエンジン負荷とエンジン回転数に基づいて算出された運転状態が判定ラインA以上で、判定ラインB未満であるものと判断した場合には、エンジンの運転状態が低速・高負荷の判定ラインAを超えた時点で、第4の電磁弁114によりアクチュエータ29をデューティ制御することにより、排気バイパス弁28を小開度で開弁する(ステップS15)。
このため、排気バイパス通路27が開放されて、排気ガスの一部が副ターボチャージャ11に導入される。また、第2の電磁弁112を“オン”にして吸気バイパス弁32を全閉するようにアクチュエータ31を作動する。このため、副ターボチャージャ11のタービン11aの助走回転が開始される。
また、排気バイパス弁28の開弁するのと同時にCPU100aは、副吸気通路開閉制御処理を実行する(ステップS16)。この副吸気通路開閉制御処理では、CPU100aは、副ターボチャージャ11の回転数がrpm>rpm1であるか否かを判断する。このrpm1は判定ラインAと判定ラインBの間にあるとき、すなわち、上述したように副ターボチャージャ11の助走回転を行っているときの副ターボチャージャ11の任意の回転数に設定されているため、CPU100aは、副ターボチャージャ11の回転数のrpm<rpm1と判断したときに、第6の電磁弁116を“オフ”にして副吸気通路開閉弁75の開弁は行わない。このため、副吸気通路72と主吸気通路71とは遮断される。
また、このときには、第2供給通路53から第1連通路66、第2連通路67および第3連通路68を介して副ターボチャージャ11のシャフト65とベアリング64に潤滑油が供給され、この潤滑油は第2戻り通路55を介してオイルパンに還流される。
また、CPU100aは副ターボチャージャ11の回転数がrpm>rpm1と判断したときには、第6の電磁弁116を“オン”にして副吸気通路開閉弁75の開弁を行う。このように、副ターボチャージャ11の助走回転中に副ターボチャージャ11の回転数が十分に上昇して副ターボチャージャ11の回転数がrpm1に到達したときに、副吸気通路開閉弁75の開弁を行う。
一方、CPU100aは、ステップS14で判定ラインB以上であるものと判断した場合には、エンジンの運転状態が高速・高負荷のツインターボ領域、すなわち、高吸入空気量域であるものと判断して、第1の電磁弁111および第3の電磁弁113を“オン”にして吸気切換弁24を全開とするようにアクチュエータ26を作動させるとともに、排気切換弁23が全開するようにアクチュエータ25を作動し、さらに、第4の電磁弁114によりアクチュエータ29をデューティ制御することにより、排気バイパス弁28を全閉状態にして副ターボチャージャ11の助走回転を終了する(ステップS17)。
このため、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11により過給が行われる「ツインターボステージ」に移行する。また、副ターボチャージャ11が助走回転しているので、「ツインターボステージ」に移行する瞬間に衝撃が生じることがなく、ステージの移行がスムーズに行われる。
また、「ツインターボステージ」に移行した場合には、ECU100はギャップセンサ105からの検出情報に基づいて副吸気通路開閉制御処理を実行する(ステップS18)。この副吸気通路開閉制御処理では、CPU100aは、副ターボチャージャ11の回転数がrpm>rpm1であるか否かを判断する。
このときには副ターボチャージャ11の助走回転が終了しているため、CPU100aは、副ターボチャージャ11の回転数がrpm>rpm1と判断し、第6の電磁弁116を“オン”にして副吸気通路開閉弁75を開弁する。このため、副吸気通路72と主吸気通路71とが連通される。
また、「ツインターボステージ」移行後には、エンジン1からの排気ガスは、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11を流れ、主ターボチャージャ10のタービン10aおよび副ターボチャージャ11のタービン11aを回転駆動させる。
さらに、各タービン10a、11aを通過した排気ガスは、主排気通路12、副排気通路13を経てそれらの合流部に到達し、さらに、下流の触媒コンバータ14を通過して外部に流れる。
また、「ツインターボステージ」から「シングルターボステージ」に移行する場合には、CPU100aは、判定ラインB未満になったときに、第4の電磁弁114によりアクチュエータ29をデューティ制御して排気バイパス弁28を開弁するとともに、アクチュエータ25、26を“オフ”にして排気切換弁23および吸気切換弁24を全閉して副ターボチャージャ11の減速を行うとともに、CPU100aはギャップセンサ105からの検出情報に基づいて副吸気通路開閉制御処理を実行する。
この副吸気通路開閉制御処理では、CPU100aは、副ターボチャージャ11の回転数がrpm>rpm1であるか否かを判断し、副ターボチャージャ11の回転数がrpm<rpm1と判断したときに、CPU100aは、第6の電磁弁116を“オフ”にして副吸気通路開閉弁75を閉弁する。このため、副吸気通路72と主吸気通路71とが遮断される。
その後、判定ラインA未満になったときに、アクチュエータ29を“オフ”にして排気バイパス弁28を全閉する。そして、運転状態が判定ラインA未満になったときには、CPU100aはギャップセンサ105からの検出情報に基づいて副吸気通路開閉制御処理を実行する。
この副吸気通路開閉制御処理では、CPU100aは、副ターボチャージャ11の回転数がrpm>rpm1であるか否かを判断する。このとき、副ターボタージャ11は低速回転または、停止状態にあるため、CPU100aは、副ターボチャージャ11の回転数がrpm<rpm1と判断し、第6の電磁弁116を“オフ”にしたままの状態を維持することにより、副吸気通路開閉弁75を閉弁する。このため、副吸気通路72と主吸気通路71とが遮断される。
このように本実施の形態では、共通吸気通路73と副ターボチャージャ11のコンプレッサ11bの間の副吸気通路72に、副吸気通路72を開閉する副吸気通路開閉弁75を設け、副ターボチャージャ11の回転数に基づいて副吸気通路開閉弁75を開閉制御するようにしたので、エアクリーナ74の圧力損失が発生したときに主ターボチャージャ10のコンプレッサ10bの上流側に大きな負圧が発生した場合に、この負圧の影響を受けて副ターボチャージャ11のコンプレッサ11bから潤滑油が漏出するのを防止することができる。このため、副ターボチャージャ11の作動時に副ターボチャージャ11に潤滑油を十分に供給することができるとともに、エンジン1の焼き付けが発生するのを防止することができる。
また、本実施の形態では、副ターボチャージャ11の回転数を直接検出して副吸気通路開閉弁75を開閉制御しているので、副ターボチャージャ11の実際の作動状態に応じて副吸気通路開閉弁75を開閉制御することができる。
また、本実施の形態では、低吸入空気量域では、副吸気通路開閉弁75を閉塞し、高吸入空気量域では、副吸気通路開閉弁75を開弁するようにしたので、低吸入空気量域において副ターボチャージャ11やエンジン1から潤滑油が漏出するのを防止することができ、高吸入空気量域において副ターボチャージャ11に十分な吸入空気を供給して、主ターボチャージャ10と副ターボチャージャ11の両方によってエンジン1に圧縮空気を供給することができる。
(第3の実施の形態)
図13〜図15は本発明に係る過給機付き内燃機関の第3の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
本実施の形態では、図13、図14に示すように、排気バイパス弁28の開度を検出する作動状態検出手段および開度検出器としての排気バイパス弁開度センサ106を設け、ECU100がこの排気バイパス弁開度センサ106の検出情報に基づいて副吸気通路開閉弁75を開閉制御するようにしたものである。
排気バイパス弁開度センサ106としては、排気バイパス弁28の回転軸の回転角度に応じた電気信号を発生して回転軸の回転角度、換言すると、排気バイパス弁28の開度を電気的に検出するセンサ等を用いれば良い。
なお、過給制御については、図11のフローチャートに基づいて説明を行う。また、潤滑油の供給に関しては、第2の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
まず、ECU100のCPU100aは、スロットル開度センサ101、エアフローメータ102、クランク角センサ103、酸素センサ104に基づいてエンジン負荷とエンジン回転数に基づいて運転状態を判断し、この運転状態に基づいて主ターボチャージャ10のみを作動するか否かを判別する。
具体的には、ECU100のCPU100aは、図7に示すマップに基づいて運転状態が判定ラインA未満であるか否かを判別する(ステップS11)。CPU100aは、ステップS11で判定ラインA未満であるものと判断した場合には、シングルターボ領域、すなわち、低吸入空気量域であるものと判断して、排気切換弁23および吸気切換弁24を閉じた状態にして主ターボチャージャ10のみを作動する「シングルターボステージ」に移行した後(ステップS12)、副吸気通路開閉弁制御処理に移行する(ステップS13)。
この副吸気通路開閉弁制御処理では、CPU100aは、排気バイパス弁開度センサ106からの検出情報に基づいて図15を参照し、副吸気通路開閉弁75を開閉するか否かを判断する。
すなわち、CPU100aは、排気バイパス弁28の開度Q>Q1であるか否かを判断する。この開度Q1は判定ラインAと判定ラインBの間にあるときに、排気バイパス弁28の開度に対応するような値に設定されており、この開度Q1が所定値を構成している。
したがって、排気バイパス弁28が閉塞されて副ターボチャージャ11に排圧が作用しないときには、CPU100aはQ<Q1と判断して第6の電磁弁116を“オフ”にする。このため、副吸気通路開閉弁75の開弁は行われず、副吸気通路72と主吸気通路71とは遮断される。
一方、ステップS11でCPU100aは、判定ラインA以上であるものと判断した場合には、判定ラインB未満であるか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14では、CPU100aは、図7に示すようにエンジン負荷とエンジン回転数に基づいて算出された運転状態が判定ラインA以上で、判定ラインB未満であるものと判断した場合には、エンジンの運転状態が低速・高負荷の判定ラインAを超えた時点で、第4の電磁弁114によりアクチュエータ29をデューティ制御することにより、排気バイパス弁28を小開度で開弁する(ステップS15)。
このため、排気バイパス通路27が開放されて、排気ガスの一部が副ターボチャージャ11に導入される。また、第2の電磁弁112を“オン”にして吸気バイパス弁32を全閉するようにアクチュエータ31を作動する。このため、副ターボチャージャ11のタービン11aの助走回転が開始される。
また、排気バイパス弁28の開弁するのと同時にCPU100aは、副吸気通路開閉制御処理を実行する(ステップS16)。この副吸気通路開閉制御処理では、CPU100aは、排気バイパス弁28の開度Q<Q1であるか否かを判断する。この開度Q1は上述したように判定ラインAと判定ラインBの間にあるとき、すなわち、排気バイパス弁28が開放されて副ターボチャージャ11の助走回転を行っているときに対応する開度に設定されているため、CPU100aは、Q<Q1と判断したときに、第6の電磁弁116を“オフ”にして副吸気通路開閉弁75の開弁は行わない。このため、副吸気通路72と主吸気通路71とは遮断される。
また、CPU100aはQ>Q1と判断したときには、第6の電磁弁116を“オン”にして副吸気通路開閉弁75の開弁を行う。このように、副ターボチャージャ11の助走回転中に排気バイパス弁28の開度Q>Q1となったときには副吸気通路開閉弁75の開弁を行う。
一方、CPU100aは、ステップS4で判定ラインB以上であるものと判断した場合には、エンジンの運転状態が高速・高負荷のツインターボ領域、すなわち、高吸入空気量域であるものと判断して、第1の電磁弁111および第3の電磁弁113を“オン”にして吸気切換弁24を全開とするようにアクチュエータ26を作動させるとともに、排気切換弁23が全開するようにアクチュエータ25を作動し、さらに、第4の電磁弁114によりアクチュエータ29をデューティ制御することにより、排気バイパス弁28を全閉状態にして副ターボチャージャ11の助走回転を終了する(ステップS17)。
このため、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11により過給が行われる「ツインターボステージ」に移行する。また、副ターボチャージャ11が助走回転しているので、「ツインターボステージ」に移行する瞬間に衝撃が生じることがなく、ステージの移行がスムーズに行われる。
また、「ツインターボステージ」に移行した場合には、ECU100は排気バイパス弁開度センサ106からの検出情報に基づいて副吸気通路開閉制御処理を実行する(ステップS18)。この副吸気通路開閉制御処理では、CPU100aは、排気バイパス弁28の開度Q>Q1であるか否かを判断する。
このときには副ターボチャージャ11の助走回転が終了しているため、CPU100aは、Q>Q1と判断し、第6の電磁弁116を“オン”にして副吸気通路開閉弁75を開弁する。このため、副吸気通路72と主吸気通路71とが連通される。
また、「ツインターボステージ」移行後には、エンジン1からの排気ガスは、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11を流れ、主ターボチャージャ10のタービン10aおよび副ターボチャージャ11のタービン11aを回転駆動させる。
また、「ツインターボステージ」から「シングルターボステージ」に移行する場合には、CPU100aは、判定ラインB未満になったときに、第4の電磁弁114によりアクチュエータ29をデューティ制御して排気バイパス弁28を開弁するとともに、アクチュエータ25、26を“オフ”にして排気切換弁23および吸気切換弁24を全閉して副ターボチャージャ11の減速を行うとともに、CPU100aは排気バイパス弁開度センサ106からの検出情報に基づいて副吸気通路開閉制御処理を実行する。
この副吸気通路開閉制御処理では、CPU100aは、排気バイパス弁28の開度Q>Q1であるか否かを判断し、Q<Q1と判断したときに、CPU100aは、第6の電磁弁116を“オフ”にして副吸気通路開閉弁75を閉弁する。このため、副吸気通路72と主吸気通路71とが遮断される。
その後、判定ラインA未満になったときに、アクチュエータ29を“オフ”にして排気バイパス弁28を全閉する。そして、運転状態が判定ラインA未満になったときには、CPU100aは排気バイパス弁開度センサ106からの検出情報に基づいて副吸気通路開閉制御処理を実行する。
この副吸気通路開閉制御処理では、CPU100aは、排気バイパス弁開度センサ28の開度Q>Q1であるか否かを判断する。このとき、排気バイパス弁28が閉弁されて副ターボタージャ11は停止状態にあるため、CPU100aは、Q<Q1と判断し、第6の電磁弁116を“オフ”の状態を維持して副吸気通路開閉弁75を閉弁する。このため、副吸気通路72と主吸気通路71とそのまま遮断される。
このように本実施の形態では、共通吸気通路73と副ターボチャージャ11のコンプレッサ11bの間の副吸気通路72に、副吸気通路72を開閉する副吸気通路開閉弁75を設け、排気バイパス弁28の開度に基づいて副吸気通路開閉弁75を開閉制御するようにしたので、エアクリーナ74の圧力損失により主ターボチャージャ10のコンプレッサ10bの上流側に大きな負圧が発生した場合であっても、この負圧の影響を受けて副ターボチャージャ11のコンプレッサ11bから潤滑油が漏出するのを防止することができる。このため、副ターボチャージャ11の作動時に副ターボチャージャ11に潤滑油を十分に供給することができるとともに、エンジン1の焼き付けが発生するのを防止することができる。
また、本実施の形態では、排気バイパス弁28の開度を直接検出して副吸気通路開閉弁75を開閉制御しているので、副ターボチャージャ11の実際の作動状態に応じて副吸気通路開閉弁75を開閉制御することができる。
なお、上記各実施の形態では、主ターボチャージャ10および副ターボチャージャ11をそれぞれ1つ以上設けているが、主ターボチャージャおよび副ターボチャージャはエンジン1の大きさに応じてそれぞれ1つ以上設けても良い。また、主ターボチャージャを1つ設け、副ターボチャージャを2つ設けるよう等にしても良い。要は、主ターボチャージャと副ターボチャージャは少なくとも1つ以上設けられていれば良い。