JP2008128000A - ポンプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定常運転時にポンプ内に液体が存在するか否かを正確に検知することができるポンプ装置を提供する。
【解決手段】本発明のポンプ装置は、羽根車とポンプケーシング10aとを有するポンプ10と、ポンプ10を駆動する駆動源15と、ポンプ10の負荷に応じて変動する少なくとも1つのパラメータを計測する計測器26と、計測器26の出力値に基づいて落水を検知する落水検知部28とを備える。落水検知部28は、出力値が所定の設定値に達したときに落水が起こったと判断するように構成されている。なお、落水とは、ポンプケーシング10a内から移送すべき液体がなくなり、羽根車が液体に没していない状態をいう。
【選択図】図1

Description

本発明は、海水や河川水などの液体を移送するポンプ装置に係り、特に運転中にポンプ内から液体が欠落したことを検知する落水検知機能を備えたポンプ装置に関する。
海水や河川水などの液体を移送するポンプ装置においては、羽根車を吸込水槽内の液面よりも高い位置に配置するタイプのものがある。このようなポンプ装置を起動する場合には、ポンプケーシング内に呼び水をして羽根車を液中に没した後に羽根車を回転させる。一方、ポンプ装置を停止する場合には、羽根車の回転を停止させた後に、ポンプケーシングに空気を導入してポンプから液体を排出させる(以下、これを落水という)。より具体的には、斜流ポンプの場合は、まず吐出弁を閉じて液体の吐出側からの逆流を防ぎ、その後羽根車の回転を停止させ、次いでポンプから液体を排出(落水)させる。軸流ポンプの場合は、まず羽根車の回転を停止させ、その後吐出弁を閉じ、次いでポンプから液体を排出(落水)させる。
定常運転時においても、シールの不良などの原因により落水が発生することがある。定常運転時に落水が起こると、液体の移送ができなくなるのみならず、羽根車が空転し、軸受などが損傷してしまう。そこで、落水を検知するために、吸込管に静電容量式または電極式水位検知器を設け、定常運転時に水位検知器によって落水が検知された場合には、速やかにポンプ装置の運転が停止される。
特開2001−295784号公報 特開2004−162589号公報 特開2004−339970号公報
しかしながら、上述した水位検知器は液体に直接接触することで液面位置を検知するため、液体が汚水である場合や、水位検知器の汚れなどに起因して誤動作を起こす場合があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、定常運転時にポンプ内に液体が存在するか否かを正確に検知することができるポンプ装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、羽根車とポンプケーシングとを有するポンプと、前記ポンプを駆動する駆動源と、前記ポンプの負荷に応じて変動する少なくとも1つのパラメータを計測する計測器と、前記計測器の出力値に基づいて落水を検知する落水検知部とを備え、前記落水検知部は、前記出力値が所定の設定値に達したときに落水が起こったと判断することを特徴とするポンプ装置である。
ここで、落水とは、移送すべき液体がその自重によりポンプケーシング内から流れ出し、羽根車が液体に没していない状態をいう。
本発明の好ましい態様は、前記少なくとも1つのパラメータは、前記ポンプの駆動に必要なトルクであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記所定の設定値は、第1の設定値と、該第1の設定値よりも小さい第2の設定値であり、前記落水検知部は、前記出力値が前記第2の設定値に達したときに落水が起こったと判断することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ポンプケーシング内を真空排気する真空排気装置をさらに備え、前記出力値が前記第1の設定値に達したときに、前記真空排気装置を駆動して前記ポンプケーシング内を真空排気することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記出力値が前記第1の設定値に達したときに、前記ポンプの運転速度を上昇させることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ポンプケーシング内の液面位置を検知する液面検知器をさらに備え、前記落水検知部は、前記出力値が前記所定の設定値に達したとき、または前記液面検知器によりに落水が起こったことが検知されたときに、前記ポンプの運転を停止させることを特徴とする。
本発明によれば、液体に直接接触することなく落水を検知することができるので、液体の種類や液質によらず正確に落水を検知することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るポンプ装置を示す模式図である。図1に示すように、このポンプ装置は、吸込水槽1から吐出水槽2に液体を移送するポンプ10と、ポンプ10と吸込水槽1とを連通する吸込管11と、ポンプ10と吐出水槽2とを連通する吐出管12と、吐出管12に設けられた吐出弁13と、ポンプ10を駆動する駆動源15とを備えている。ポンプ10は、ポンプケーシング10aと、このポンプケーシング10aに収容される図示しない羽根車とを備えている。羽根車は回転軸16を介して減速機(動力伝達装置)18に連結され、減速機18は駆動源15に連結されている。このポンプ10は、回転軸16が水平方向に延びる、いわゆる横軸ポンプである。
吸込管11は垂直に延び、その吸込口11aは吸込水槽1内の液体中に位置している。ポンプ10は吸込水槽1内の液面位置よりも上方に配置され、吸込水槽1の上部を構成する設置床20に架台21を介して設置されている。吸込管11の下流側部分は曲管部となっており、これにより吸込管11とポンプ10とが滑らかに接続されている。吐出管12は、吐出水槽2内で開口する吐出口12aを有している。この吐出口12aはポンプ10よりも低い位置にあり、かつ吸込口11aよりも高い位置にある。吐出口12aには、吐出水槽2に移送された液体の逆流を防止するためのフラップ弁22が設けられている。
本実施形態では、駆動源15としてモータが用いられている。この駆動源15には図示しない電源から電線25を介して電力が供給される。電線25には駆動源15に供給される電力の電流値を計測する電流計26が設けられている。この電流計26の計測値は制御部28によって監視されている。
図1から分かるように、吸込管11、ポンプケーシング10a、および吐出管12は、全体としてサイフォン型通路を形成している。ポンプケーシング10aの上部には、内部に電極棒を有する満水検知器30が設けられており、この満水検知器30によりポンプケーシング10a内が液体で満たされているかどうかが検知される。さらに、ポンプケーシング10aの内部(ポンプ10の内部)は満水検知器30を介して真空ポンプ(真空排気装置)31に連通している。
このような構成において、ポンプ装置を起動するときは、まず、吐出弁13を全閉した後、真空ポンプ31によりポンプケーシング10aの内部を真空引きして負圧を形成し、吸込管11内の液面位置を上昇させる。ポンプケーシング10aの内部が液体で満たされていることを満水検知器30が検知すると、駆動源15により羽根車が回転し、吐出弁13が開かれ、これにより液体が吸込水槽1から吐出水槽2に移送される。
上述したように、ポンプ10は吸込水槽1の液面位置よりも高い位置にある。このため、ポンプ装置の運転中に落水が起こると、ポンプ10が排水不能に陥ってしまう。そこで、本実施形態では、駆動源15のトルクの変動に基づいて落水を検知する。具体的には次の通りである。落水が起こると、移送すべき液体、すなわち負荷が存在しなくなるので、駆動源15のトルク(ポンプ10を駆動するのに必要なトルク)が大幅に減少する。そこで、駆動源15のトルクが所定の設定値まで低下したときは、ポンプ装置の運転が停止される。
図1に示すように、減速機18の出力軸にはトルクを計測するトルクメータ33が設けられており、このトルクメータ33の出力値(トルク値)は制御部28に常時送られている。制御部28には、上述の設定値が予め入力されている。そして、トルクメータ33の出力値が低下して上記設定値に達したときは、制御部28は落水が起きたと判断し、吐出弁13に指令を出して吐出弁13を閉じるとともに、駆動源15を停止させてポンプ装置の運転を停止する。このように、制御部28は落水検知器として機能する。
ポンプ装置の運転を停止させるしきい値となる設定値としては、ポンプ10が無負荷で運転しているときのトルクの値を設定することができる。または、落水を検知してからポンプ装置の運転が停止されるまでの応答時間の遅延などを考慮し、上記設定値としてポンプ10が無負荷で運転しているときのトルクの値よりもやや大きい値を設定してもよい。なお、トルクに代えて、駆動源15に供給される電流値(すなわち電流計26の出力値)に基づいて落水を検知してもよい。この場合も、ポンプ10が無負荷で運転しているときの電流値、またはこの電流値よりもやや大きい値を上記設定値として設定することができる。
モータに代えて、ディーゼルエンジンやガスタービンエンジンなどの内燃機関を駆動源15として用いることもできる。この場合は、図2に示すように、駆動源15に供給される燃料の流量を計測する流量計34が燃料供給ライン36に設けられ、および/または駆動源15から排出される排気ガスの温度を計測する温度計35が排ガス排出ライン37に設けられる。この構成例においても、ポンプ10が無負荷で運転しているときのトルクの値、燃料の流量または排気ガス温度に基づいて、上述の例と同様に上記設定値が設定される。
図3は上述の第1の実施形態におけるポンプ装置の始動方法を説明するためのブロック図である。
図3に示すように、起動指令が制御部28より出されると(ステップ1)、真空ポンプ31が駆動され(ステップ2)、ポンプケーシング10a内および吸込管11内に負圧が形成される。これにより吸込管11内の液面位置は徐々に上昇し、やがてポンプケーシング10a内が液体で満たされる(すなわち、羽根車が液体に没する)。満水検知器30がこの状態を検知すると(ステップ3)、ポンプ10の運転が開始され(ステップ4)、同時に真空ポンプ31が停止される(ステップ5)。その後、ポンプ10が増速して所定の定格速度に達すると(ステップ6)、吐出弁13が開かれて液体の排水が開始される(ステップ7)。このとき、制御部28による落水検知が開始される(ステップ8)。やがて吐出弁13が全開となり、定格の排水量で液体が排水される(ステップ9)。なお、本実施形態のポンプ10は斜流ポンプであるが、軸流ポンプを用いてもよい。軸流ポンプの場合は、吐出弁13を全開した後にポンプの運転が開始される。
図4は本発明の第1の実施形態におけるポンプ装置の停止方法を説明するためのブロック図である。
図4に示すように、制御部28から停止指令が出されると(ステップ1)、この停止指令を受けて吐出弁13が閉じられ始める(ステップ2)。吐出弁13は完全に閉じられると(ステップ3)、ポンプ10の運転が停止される(ステップ4)。なお、軸流ポンプの場合は、ポンプの運転が停止された後に吐出弁13が全閉される。
図5は本発明の第1の実施形態におけるポンプ装置の落水を検知したときの動作を説明するためのブロック図である。
図5に示すように、制御部28により落水が検知されると(ステップ1)、吐出弁13が閉じられ始め(ステップ2)、同時にポンプ10の運転が停止される(ステップ3)。やがて吐出弁13は完全に閉じられる(ステップ4)。このように、接触式の水位検知器を用いることなく、ポンプケーシング10a内の液体の有無を間接的方法で検知することができるので、液質によらず正確な落水検知が可能となる。
図6は本発明の第2の実施形態に係るポンプ装置を示す模式図である。本実施形態と第1の実施形態との違いは、吸込管11に水位検知器(液面検知器)40を配置した点である。他の構成は第1の実施形態と同様である。この水位検知器40は、吸込管11のポンプ10に近い部分に設けられており、その位置はポンプ10の中心部とほぼ同じ高さである。水位検知器40には、静電容量式または電極式のものが用いられる。本実施形態では、上述の制御部28による間接的な落水検知と水位検知器40による直接的な落水検知が併用される。
図7は本発明の第2の実施形態におけるポンプ装置の始動方法を説明するためのブロック図である。
図7に示すように、起動指令が制御部28より出されると(ステップ1)、真空ポンプ31が駆動され(ステップ2)、ポンプケーシング10a内および吸込管11内に負圧が形成される。これにより吸込管11内の液面位置は徐々に上昇し、やがてポンプケーシング10a内が液体で満たされる。満水検知器30がこの状態を検知すると(ステップ3)、ポンプ10の運転が開始され(ステップ4)、同時に真空ポンプ31が停止される(ステップ5)。さらにこのとき、水位検知器40による落水検知が開始される(ステップ6)。その後、ポンプ10が増速して所定の定格速度に達すると(ステップ7)、吐出弁13が開かれて液体の排水が開始される(ステップ8)。このとき、制御部28による落水検知が開始される(ステップ9)。やがて、吐出弁13が全開となり、定格の排水量で液体が排水される(ステップ10)。ポンプ装置を停止させるときは、第1の実施形態と同様に行われる(図4参照)。
本実施形態では、図7に示すように、ポンプ10の運転が開始されてからポンプ10が定格速度に達するまで、水位検知器40のみを用いて落水が検知される。ポンプ10が定格速度に達した後は、水位検知器40および制御部28を用いて落水が検知される。より具体的な動作を図8および図9を用いて説明する。
図8は満水が検知されてからポンプ10が定格速度に達するまでにおける落水検知動作を説明するためのブロック図である。図8に示すように、水位検知器40により落水が検知されると(ステップ1)、吐出弁13が閉じられ始め(ステップ2)、同時にポンプ10の運転が停止される(ステップ3)。やがて吐出弁13は完全に閉じられ(ステップ4)、液体の移送が完全に停止される。
一方、図9はポンプ10が定格速度に達した後の落水検知動作を説明するためのブロック図である。図9に示すように、水位検知器40または制御部28により落水が検知されると(ステップ1)、吐出弁13が閉じられ始め(ステップ2)、同時にポンプ10の運転が停止される(ステップ3)。やがて吐出弁13は完全に閉じられ(ステップ4)、液体の移送が完全に停止される。このように、本実施形態によれば、制御部28による間接的な落水検知と水位検知器40による直接的な落水検知とが併用されるので、信頼性の高い落水検知システムを構築することができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係るポンプ装置について説明する。なお、特に説明しない本実施形態の構成および動作は第1の実施形態と同様である。
本実施形態では、落水を検知するためのしきい値として、第1の設定値および第2の設定値が制御部28に設けられている。これら第1および第2の設定値は次のようにして決定される。
図10は、ポンプ装置の運転を停止させるしきい値となる第1の設定値および第2の設定値を決定する工程を説明する図である。なお、図10に示すQ−H曲線はポンプ10の羽根車が100%の速度で回転しているときの揚程曲線を示している。
図10において、R1は吐出弁13(図1参照)の開度が最大のときの抵抗曲線を表し、R2は吐出弁13の開度が最小のときの抵抗曲線を表している。Q−H曲線と抵抗曲線R1との交点は作動点P1であり、Q−H曲線と抵抗曲線R2との交点は作動点P2である。作動点P2のときのトルク(軸動力または駆動源15の出力)は、ポンプ10が運転可能な最低トルクLHとなる。また、ポンプ10の空転時(完全な落水時)のときのトルクLLは、負荷がないために定常運転時よりも低くなり、かつほぼ一定となる。
第1の設定値は最低トルクLHよりもやや小さい値に設定され、第2の設定値はポンプ10の空転時のトルクLLよりもやや大きい値に設定されている。また、第1の設定点は第2の設定点よりも大きい値となるように設定される。第1の設定値をLHよりもやや小さい値に、第2の設定値をLLよりもやや大きい値に設定するのは、外的要因によるトルクの変動や、応答時間の遅延などを考慮したことによる。なお、第2の設定値は、第1の実施形態で説明した設定値に相当する。
図11はポンプ10の回転速度が可変に構成されているときの第1の設定値を決定する工程を説明する図である。この場合も、第1の設定値は、それぞれのQ−H曲線と抵抗曲線R2との交点である作動点P2にそれぞれ対応する最低トルクLHよりもやや下の値を第1の設定値に設定することができる。なお、図11には図示しないが、第2の設定値は図10の場合と同様に決定され、第1の設定値よりも小さい値に設定される。
図12は上述した本発明の第3の実施形態におけるポンプ装置の落水を検知したときの動作を説明するためのブロック図である。図12に示すように、ポンプ装置の運転中にトルクが低下して第2の設定値に達したときは、制御部28は落水が生じたと判断する(ステップ1)。制御部28により落水が検知されると、吐出弁13が閉じられ始め(ステップ2)、同時にポンプ10の運転が停止される(ステップ3)。やがて吐出弁13は完全に閉じられ(ステップ4)、液体の移送が完全に停止される。なお、第2の実施形態のようにポンプ装置に水位検知器が設けられている場合は、ステップ1において、第2の設定値に基づく落水検知を水位検知器による落水の検知に代えてもよい。
ところで、落水にはさまざまな原因が考えられる。例えば、ポンプケーシング10aと吸込管11との微小な隙間からポンプケーシング10a内に少しずつ空気が流入すると、徐々にポンプケーシング10a内の液体の液面位置が低下し、ついには完全な落水に至る。そこで、本実施形態では、第1の設定値を利用してポンプケーシング10a内の液面位置の低下を検知し、完全な落水を回避する。具体的には次の通りである。
図13は落水を回避するための動作を説明する一例を示すブロック図である。シール部材からの漏洩などの諸原因によりポンプケーシング10a内の液面位置が徐々に低下すると、ポンプ10を駆動するトルクも徐々に低下し、やがてトルクメータ33の出力値は第1の設定値に到達する。制御部28はトルクメータ33の出力値が第1の設定値に達したことを検知すると、落水が起こりつつあると判断する(ステップ1)。そして、制御部28は真空ポンプ31の運転を開始させてポンプケーシング10a内から空気を排気する(ステップ2)。
次に、制御部28はポンプケーシング10a内の液面位置が上昇してトルクメータ33の出力値が第1の設定値を上回ったか否かを判断する(ステップ3)。トルクメータ33の出力値が第1の設定値を上回った場合には真空ポンプ31が停止され(ステップ4)、その後ポンプ装置の運転は継続される。一方、トルクメータ33の出力値が第1の設定値以下である場合には、真空ポンプ31の運転が継続される。このように、本実施形態によれば、落水が起こり始めてから完全な落水に至るまでの過渡状態を制御部28によって検知することができ、駆動源15を停止させることなく完全な落水を回避することが可能となる。
図14は落水を回避するための動作を説明する他の例を示すブロック図である。この例のポンプ装置では、駆動源15とポンプ10との間に図示しないクラッチ機構が設けられている。図14に示すように、トルクメータ33の出力値が低下して第1の設定値に達したことを制御部28が検知すると(ステップ1)、クラッチ機構が切られ(ステップ2)、次いで真空ポンプ31の運転が開始される(ステップ3)。ポンプ10内が液体に満たされたことを満水検知器30が検知すると(ステップ4)、真空ポンプ31が停止され(ステップ5)、同時にクラッチ機構が入り(ステップ6)、ポンプ10の運転による排水が再開される。一方、ポンプ10内が液体に満たされたことを満水検知器30が検知されるまでは、真空ポンプ31の運転が継続される。この例においても、落水が起こり始めてから完全な落水に至るまでの過渡状態を制御部28によって検知することができ、駆動源15を停止させることなく完全な落水を回避することが可能となる。
図15は落水を回避するための動作を説明する他の例を示すブロック図である。この例は、ポンプ10の運転速度が可変に構成されている場合の落水回避方法である。図15に示すように、トルクメータ33の出力値が低下して第1の設定値に達したことを制御部28が検知すると(ステップ1)、制御部28から駆動源15に増速指令が出され、ポンプ10の運転速度を増速させる(ステップ2)。次に、制御部28は、ポンプケーシング10a内の液面位置が上昇してトルクメータ33の出力値が第1の設定値を上回ったか否かを判断する(ステップ3)。トルクメータ33の出力値が第1の設定値を上回った場合には増速指令が解除され(ステップ4)、その後ポンプ装置の運転は継続される。一方、トルクメータ33の出力値が第1の設定値以下である場合には、ポンプ10の運転速度がさらに上昇される。この例においても、落水が起こり始めてから完全な落水に至るまでの過渡状態を制御部28によって検知することができ、駆動源15を停止させることなく完全な落水を回避することが可能となる。
図16は本発明の第4の実施形態におけるポンプ装置を示す図であり、図17は、図16に示すポンプ装置において落水を回避するための動作を説明するブロック図である。なお、特に説明しない本実施形態の構成および動作は、第3の実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
図16に示すように、本実施形態のポンプ装置は、液体の吐出流量を所定の値に制限するためのバイパス戻し通路41と、バイパス戻し通路41に設置されるバイパス弁42とを有している。バイパス弁42の開度は可変に構成されており、このバイパス弁42の開度を調整することにより、パイパス戻し通路41を通って吸込水槽1に戻される液体の流量が調整されるようになっている。なお、本実施形態においては、ポンプ10の運転速度は可変に構成されている。
図17に示すように、トルクメータ33の出力値が低下して第1の設定値に達したことを制御部28が検知すると(ステップ1)、制御部28から駆動源15に増速指令が出され(ステップ2)、ポンプ10の運転速度を増速させる(ステップ3)。次に、制御部28は、ポンプケーシング10a内の液面位置が上昇してトルクメータ33の出力値が第1の設定値を上回ったか否かを判断する(ステップ4)。同時に、制御部28は吐出される液体の流量が所定の値以上か否かを判断する(ステップ5)。
ステップ5において、吐出される液体の流量が所定の値以上である場合にはバイパス弁42の開度が増加し(ステップ6)、吐出流量を減少させる。一方、吐出される液体の流量が所定の値を下回る場合にはバイパス弁42の開度が固定される(ステップ7)。トルクメータ33の出力値が第1の設定値を上回った場合には増速指令が解除され(ステップ8)、その後ポンプ装置の運転は継続される。一方、トルクメータ33の出力値が第1の設定値以下である場合には、ポンプ10の運転速度がさらに増速される。このように、本実施形態においても、落水の初期段階から完全な落水に至るまでの過渡状態を制御部28によって検知することができ、駆動源15を停止させることなく完全な落水を回避することが可能となる。
なお、第1乃至第4の実施形態では、トルクの減少に基づいて落水が検知される例について説明しているが、パラメータとしてトルクに代えて駆動源15に供給される電流値に基づいて落水検知を行う場合も同様にして設定値(第1の設定値および第2の設定値を含む)が決定される。さらに、駆動源15としてディーゼルエンジンやガスタービンエンジンを用いる場合も、上述の図10および図11に示す方法と同様に第1の設定値および第2の設定値を決定することができる。具体的には、図10および図11のグラフの縦軸を表すトルクを、電流値、燃料流量(燃料消費量)、または排気ガス温度に代えることで、上記設定値を決定することができる。なお、上述の実施形態においては、トルクメータ33、電流計26、流量計34、温度計35が、ポンプの負荷に応じて変動するパラメータを計測する計測器を構成する。
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。例えば、本発明は、液体通路にサイフォンが形成されているか否かを検知する検知システムとしても用いることができる。
本発明の第1の実施形態に係るポンプ装置を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係るポンプ装置の他の構成例を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態におけるポンプ装置の始動方法を説明するためのブロック図である。 本発明の第1の実施形態におけるポンプ装置の停止方法を説明するためのブロック図である。 本発明の第1の実施形態におけるポンプ装置の落水を検知したときの動作を説明するためのブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るポンプ装置を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態におけるポンプ装置の始動方法を説明するためのブロック図である。 本発明の第2の実施形態における満水が検知されてからポンプが定格速度に達するまでにおける落水検知動作を説明するためのブロック図である。 本発明の第2の実施形態におけるポンプが定格速度に達した後の落水検知動作を説明するためのブロック図である。 ポンプ装置の運転を停止させるしきい値となる第1の設定値および第2の設定値を決定する工程を説明する図である。 ポンプの回転速度が可変に構成されているときの第1の設定値を決定する工程を説明する図である。 本発明の第3の実施形態におけるポンプ装置の落水を検知したときの動作を説明するためのブロック図である。 落水を回避するための動作を説明する一例を示すブロック図である。 落水を回避するための動作を説明する他の例を示すブロック図である。 落水を回避するための動作を説明する他の例を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態におけるポンプ装置を示す図である。 図16に示すポンプ装置において落水を回避するための動作を説明するブロック図である。
符号の説明
1 吸込水槽
2 吐出水槽
10 ポンプ
10a ポンプケーシング
11 吸込管
12 吐出管
13 吐出弁
15 駆動源
16 回転軸
18 減速機
20 設置床
21 架台
22 フラップ弁
25 電線
26 電流計
28 制御部(落水検知部)
30 満水検知器
31 真空ポンプ
33 トルクメータ
34 流量計
35 温度計
36 燃料供給ライン
37 排ガス排出ライン
40 水位検知器(液面検知器)
41 バイパス戻し通路
42 バイパス弁

Claims (6)

  1. 羽根車とポンプケーシングとを有するポンプと、
    前記ポンプを駆動する駆動源と、
    前記ポンプの負荷に応じて変動する少なくとも1つのパラメータを計測する計測器と、
    前記計測器の出力値に基づいて落水を検知する落水検知部とを備え、
    前記落水検知部は、前記出力値が所定の設定値に達したときに落水が起こったと判断することを特徴とするポンプ装置。
  2. 前記少なくとも1つのパラメータは、前記ポンプの駆動に必要なトルクであることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
  3. 前記所定の設定値は、第1の設定値と、該第1の設定値よりも小さい第2の設定値であり、
    前記落水検知部は、前記出力値が前記第2の設定値に達したときに落水が起こったと判断することを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
  4. 前記ポンプケーシング内を真空排気する真空排気装置をさらに備え、
    前記出力値が前記第1の設定値に達したときに、前記真空排気装置を駆動して前記ポンプケーシング内を真空排気することを特徴とする請求項3に記載のポンプ装置。
  5. 前記出力値が前記第1の設定値に達したときに、前記ポンプの運転速度を上昇させることを特徴とする請求項3に記載のポンプ装置。
  6. 前記ポンプケーシング内の液面位置を検知する液面検知器をさらに備え、
    前記落水検知部は、前記出力値が前記所定の設定値に達したとき、または前記液面検知器によりに落水が起こったことが検知されたときに、前記ポンプの運転を停止させることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
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