以下、本願発明の一実施形態に係る自吸式ポンプの運転装置、液体供給装置、及び自吸式ポンプの運転方法を図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、自吸式ポンプの可変速運転装置の一例としてインバータを説明し、液体供給装置の一例として給水装置を説明するが、これには限られない。
図1は、本実施形態の自吸式ポンプの運転装置(自吸式遠心ポンプ)、及びこれを用いた給水装置の構成を示す図である。図1は、自吸式ポンプの一例としての自吸式遠心ポンプ1の概略構成と、自吸式遠心ポンプ1を用いた給水装置を示している。
給水装置100は、自吸式遠心ポンプ1を有する。図1に示すように、自吸式遠心ポンプ1は、一端(図で左側)に吸込口2が設けられ、自吸式遠心ポンプ1の内部には、吸込口2に連通された吸込室3が、隔壁4によってポンプ室8と隔離して設けられている。ポンプ室8には、羽根車5、それを取り巻くディフューザ6及び上部に気水分離室7等が備えられる。
吸込室3の上部には、逆止弁(フラップ弁)9が吸込口2と隔離して設けられている。逆止弁9は、自吸式遠心ポンプ1の運転に先立ち、ポンプ内部を満水して自吸を行わせるに必要な水を確保すると共に、ポンプ停止時の水の逆流を防止し、常にポンプ内部を満水
にする役割を有する。
羽根車5は電動機軸11に取り付けられ、可変速電動機20の発生する回転力を得る。図中、12は仕切り鍔、13は軸封装置(メカニカルシール)、14はドレン抜栓である。
自吸式遠心ポンプ1の始動時、ポンプケーシング内部へ補給水(呼び水)を注入し、満水にした状態で羽根車5を回転させると、吸込室3の補給水は羽根車5の入口から吸込まれ、羽根車5からポンプ室8内に吐出される。この時、吸込室3が負圧になるので、逆止弁9が開いて吸込口2より吸込側の空気を吸い込み、空気と共にポンプ室8へ吐出される。
ポンプ室8へ吐出された気水混合体は気水分離室7で分離され、水のみがディフューザ6内に戻され、回転する羽根車5の翼内へ進入する。そして、吸込室3から羽根車5内へ新たに吸入された空気と一体となって、再びポンプ室8へ吐出される。気水混合体は、気水分離室7で再び分離され、空気は吐出し口16より外へ排除され、水は再び羽根車5内へ戻され、このような動作を繰り返しながら、吸込側の空気を徐々に排気して自吸作用を進行させるようになっている。
気水分離室7で分離された水のみを羽根車5の翼内へ戻す手段として、例えば、ディフューザを2個(1対)に分割し、それぞれ羽根車を取り巻くようにして、ほぼ対称的に左右に配設するようにしたもの、或いはポンプ室8と吸込室3とを弁付循環用通路で連通させるようにしたものなどがある。
自吸式遠心ポンプ1は、始動後、自吸運転を経て通常運転に入るが、自吸運転中、羽根車内は空気と水が混合状態となっており、流体の見かけ比重は小さい。そのため、自吸運転中の軸動力は通常運転時に比べて遥かに小さい。したがって、自吸運転中は、通常運転時に比べて、回転速度を大きくすることができる。本実施形態は、この点に鑑みてなされたものであり、その詳細については後述する。なお、本明細書において、自吸運転とは、自吸式遠心ポンプ1の内部又は吸入配管内に気体が混入した状態において行われる運転であり、通常運転とは、自吸運転以外の運転、つまり、自吸式遠心ポンプ1の内部又は吸入配管内に気体が混入しておらず液体で満たされている状態において行われる運転である。
自吸式遠心ポンプ1は、吐出し口16と吐出し配管18との間、もしくはその近傍部分に、吐出し配管18内の水が自吸式遠心ポンプ1内へ逆流することを防ぐために、逆止弁17が配置される。さらに、逆止弁17の下流側には圧力計19が設置される。圧力計19は、吐出し配管18内の圧力を検出するとともに、検出した値を信号に変換し、外部へ出力する。
ここで、本実施形態の給水装置は、上述の自吸式遠心ポンプ1に限らず、渦流ポンプ(ウェスコポンプ)で構成する自吸式ポンプにも同様に適用できることができる。以下、ウェスコポンプについて説明する。
図2は、本実施形態の自吸式ポンプの運転装置(渦流ポンプ(ウェスコポンプ))、及びこれを用いた給水装置を示す図である。図2に示すように、給水装置300は、ウェスコポンプ500を有する。ウェスコポンプ500の自吸運転においては、まず、呼び水栓512を開けて呼び水口514から呼び水を行う。これにより図2に示すようにケーシング516内は呼び水時水位518まで満水となる。この時、フロースイッチ506はフロート504の自重で閉じているため、吸込口502まで水は流れ込まない。
この状態でウェスコポンプ500の運転を開始する。すると、ポンプ室520の羽根車524の回転によりケーシング516内の水が撹拌されると同時に吸込口502側に負圧が発生する。吸込口502から入ってくる吸込管内の空気はフロート504を押し上げポンプ室520内へ吸い込まれる。吸い込まれた空気とケーシング516内の水の混合液がポンプ室520より吐出される。
吐出された混合液は、ケーシング516内に設けられたバッフル526にぶつかり気水分離室510へ流れる。気水分離室510で分離された空気は吐出し口522側へ流れ、水は気水分離室510の下方の穴より再びポンプ室520へ戻る。ポンプ室520内では常に戻ってくる水により吸込口502側に負圧を発生させている。
吸込管内の空気がなくなり、水が上がってくると、気水分離室510の役目は終わり、ポンプ室520の吐出し側(気水分離室510を含む)は吐出し圧で満たされる。そして、ケーシング516内に完全に空気が無くなり、水で満たされると圧力が上昇する。これを圧力センサ508(又は圧力スイッチ)が検出することができる。
上述のように、本実施形態の給水装置は、自吸式遠心ポンプ1、及びウェスコポンプ500のいずれに対しても適用できる。以下の説明では、代表的に、ウェスコポンプ500を有する給水装置300について説明する。まず、ウェスコポンプ500を有する給水装置300使用例を説明する。図3は、本実施形態の給水装置の使用例を示す図である。
図3に示すように、本実施形態の給水装置300におけるウェスコポンプ500の吸込口502には、一方の端部が井戸などの貯水内に埋没するように設置される吸込配管15が接続される。吸込配管15の端部には、貯水内の異物を除去するためのストレーナ105が設けられる。また、ウェスコポンプ500の吐出し口522には、一方の端部が需要者側配管(例えば水栓220)へ接続される吐出し配管が接続される。
図2の説明に戻って、給水装置300の構成について説明する。なお、給水装置300は、以下に説明するインバータ30及び給水装置コントローラ40等を有するが、これらの構成は、図1の給水装置100についても同様であるので、代表的に給水装置300についてのみ説明を行う。給水装置300は、任意の電圧/任意の周波数に電力の変換を行うインバータ30(自吸式ポンプの運転装置)を有する。羽根車524には、図示していない可変速電動機(モータ)が接続されており、可変速電動機は、外部の商用電源200から電力を受けて、インバータ30から電力ケーブル36を通じて電力を得て、動力源としての働きを行う。
また、インバータ30は、運転信号線46を介して給水装置コントローラ40から送られてくる運転状態信号(周波数値、圧力値、流量、温度、電圧値、電流値等、装置の運転状態を示す信号)に基づいて、電圧や周波数の制御や各種演算を行うインバータ制御部31を有する。また、インバータ30は、自吸運転を行っているか否かを判定する際に用いられる電流検出器(電流検出部)32を有する。なお、電流検出器32は、インバータ30が制御用に電流センサなどを用いている場合は、この電流センサの出力を利用してもよい。
また、インバータ30は、電流検出器32によって検出された駆動電流に基づいて、ウェスコポンプ500が自吸運転をしているか、又は自吸運転以外の通常運転をしているかを判定する判定部33を有する。さらに、インバータ30は、自吸運転要否の判定基準の各種データを記憶する記憶装置34、及び判定部33によって自吸式遠心ポンプ1が自吸運転をしていると判定された場合には、ウェスコポンプ500を通常運転する際の回転速度より高い回転速度で可変速電動機20を介してウェスコポンプ500を回転駆動する運
転指令部35を有する。
また、給水装置300は、給水装置コントローラ40を有する。給水装置コントローラ40は、圧力信号線47を介して圧力計19からの信号を受信し、この信号に基づいて、あらかじめ記憶装置45に記憶された運転プログラムに従って給水装置制御部44で演算処理を行い、その結果を運転信号線46を介してインバータ30へ出力する。運転プログラムは、給水装置として運転するために必要なプログラムであり、給水装置の運転方法、すなわち制御方法としては、例えば、吐出し圧力一定制御や推定末端圧力一定制御などがある。通常運転では負荷運転となり、吐出し圧力一定制御、推定末端圧力一定制御により制御された回転速度で自吸式ポンプの運転が行われる。
給水装置制御部44による演算結果は、表示器41、警報機42、外部出力端子43などを用いて、外部へ通知することも可能である。なお、運転信号線46での通信は給水装置コントローラ40からインバータ30への出力だけではなく、給水装置コントローラ40が過電流などのインバータ30の異常も把握できることを可能とするために、インバータ30から給水装置コントローラ40への信号送信も可能な双方向通信となっている。
そして、例えばウェスコポンプ500の運転始動後の自吸運転中、羽根車524内は空気と水の混合状態となっており、流体の見かけ比重が小さいため、可変速電動機の電動機軸を介して駆動される羽根車524の軸動力は、定常運転時に比べて遥かに小さい。そのため、可変速電動機の運転電流も定常運転時と比べ遥かに小さい。
そこで、本実施形態では、例えばウェスコポンプ500の運転始動時に、判定部33が電流検出器32の値と記憶装置34に記憶された電流値を比較し、自吸運転要否判定を行う。自吸運転が必要と判定した場合、始動後、ウェスコポンプ500の最大回転速度で自吸運転が行われる。ここで、ウェスコポンプ500の最大回転速度とは、ウェスコポンプ500の駆動電流が所定の値以下になるようにウェスコポンプ500の回転速度を制御する方式と、ウェスコポンプ500の機械的に許容できる最大の回転速度以下になるようにウェスコポンプ500の回転速度を制御する方式とを併用して制御される回転速度である。また、通常運転時の負荷と同様の負荷における回転速度とすることもできる。判定部33による自吸運転要否判定は随時行われ、自吸運転不要と判定された時は、該自吸作用が終了(完了)し、ウェスコポンプ500の回転速度を通常運転時の回転速度に自動的に下げるようになっている。
本実施形態によれば、上記のように自吸運転時、羽根車524の回転速度を上げ、羽根車524の周速を大きくすることにより、自吸作用が促進され、良好な自吸特性、すなわち、大きな自吸高さと短い自吸時間を得ることができる。
また、本実施形態においては可変速電動機が用いられているので、自吸作用終了後、ウェスコポンプ500が通常運転に入った後も、使用状態(環境条件)に応じて最適の揚程、水量になるように回転速度を変化させ、圧力、流量制御を行なうことによって無駄のない省エネルギ効果を奏することもできる。
上記した羽根車524の回転速度の切換えは、可変速電動機の運転電流をインバータ30が備える電流検出器32で検出することで行われる。より具体的には、羽根車524の大きさや可変速電動機の出力に応じて、運転電圧および/または周波数と運転電流の関係をテーブルデータとし、予め記憶装置34へ記憶させておく。そして、ウェスコポンプ500が始動を開始したら、判定部33は運転電圧および/または周波数における運転電流の値と、予め記憶させておいたテーブルデータの運転電流値を比較し、動作中の運転電流の値の方が小さい場合は、空気と水の混合状態であると判定し、自吸運転を行う信号をイ
ンバータ制御部31へ出力する。
また、ウェスコポンプ500が始動を開始したら、判定部33は運転電圧および/または周波数における運転電流の値と、予め記憶させておいたテーブルデータの運転電流値を比較し、動作中の運転電流の値の方が大きい場合や、小さい値から大きい値へと変化した場合、通常状態であると判定し、通常のポンプ運転を行う信号をインバータ制御部31へ出力する。
次に、ウェスコポンプ500が通常状態となっている場合からの制御について説明する。この場合は、判定部33は予め記憶させておいたテーブルデータの運転電流値を比較し、動作中の運転電流の値が大きい値から小さい値へ変化した場合は、空気と水の混合状態であると判定し、自吸運転を開始する信号をインバータ制御部31へ出力する。
このように構成することにより、ウェスコポンプ500の定常運転中、多量の空気を吸込んで一時的にポンプ作用が中断され、再び自吸作用が必要とされる事態(現象)が生じたとき、自吸運転を開始し、羽根車の回転速度が増速されるので、自吸時間が短縮され、速やかに定常時のポンプ運転が再開される。
本実施形態のウェスコポンプ500の運転装置についてさらに詳細に説明する。図4は、自吸式ポンプの流量と電流との関係、及び周波数と電流との関係を示す図である。
図4の左図において、横軸はウェスコポンプ500の吐出し流量、縦軸は可変速電動機の駆動電流を示している。また、図4の右図において、横軸はウェスコポンプ500の周波数、縦軸は可変速電動機の駆動電流である。
図4の左図は、ウェスコポンプ500の回転速度ごとの、ウェスコポンプ500の吐出し流量と可変速電動機の駆動電流との関係を示している。例えば、曲線302は、回転速度が通常運転速度又は定格運転速度の場合の吐出し流量と駆動電流との関係を示しており、曲線304は、最大回転速度の場合の吐出し流量と駆動電流との関係を示している。
図4に示すように、ウェスコポンプ500は、流量が大きくなるにしたがって駆動電流が小さくなる傾向にある。また、ウェスコポンプ500は、回転速度が高くなるにしたがって駆動電流が大きくなる。
本実施形態では、ウェスコポンプ500を定格周波数で、かつ、最大の流量で運転した場合の駆動電流の値を第2のしきい値として設定している。そして、第2のしきい値より小さい値を第1のしきい値として設定している。
図4の右図に示すように、ウェスコポンプ500を締切運転した場合の周波数と駆動電流の関係は曲線306のようになり、ウェスコポンプ500を最大流量で運転した場合の周波数と駆動電流の関係は曲線308のようになる。一方、ウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定された場合には、まず、曲線310に示すように、ウェスコポンプ500の周波数(回転速度)を最大回転速度まで上昇させる。すると、可変速電動機の駆動電流は自吸運転による自吸作用の進展と共に徐々に上昇し、第2のしきい値以上になる。すると、ウェスコポンプ500は自吸完了と判定し自吸運転から通常運転に移行したと判定され、ウェスコポンプ500の周波数は通常運転時の周波数へ減少される。
次に、自吸式ポンプの自吸運転と通常運転との切り替え判定の態様について説明する。図5は、自吸式ポンプの自吸運転と通常運転との切り替え(移行)としきい値との関係を示す図である。図5において横軸は時間経過を示しており、縦軸は可変速電動機の駆動電
流を示している。また、図5において、特性線402,406は、ウェスコポンプ500が自吸運転を行っている状態を示し、特性線404は、ウェスコポンプ500が通常運転を行っている状態を示している。
まず、判定部33は、可変速電動機の駆動電流の値が第1のしきい値より小さい場合にはウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定する。すなわち、判定部33は、図5に示すように、特性線402のうち、可変速電動機の駆動電流の値が第1のしきい値より小さい場合、及び特性線406のように可変速電動機の駆動電流の値が第1のしきい値より小さい場合には、ウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定する。
また、判定部33は、可変速電動機の駆動電流の値が第2のしきい値以上の場合にはウェスコポンプ500が通常運転をしていると判定する。すなわち、判定部33は、図5に示すように、特性線404のうち、可変速電動機の駆動電流の値が第2のしきい値以上の場合には、ウェスコポンプ500が通常運転をしていると判定する。
また、判定部33は、可変速電動機の駆動電流の値が第1のしきい値以上であり、かつ、第2のしきい値より小さい場合には、それまでの運転状態により判定が分かれる。つまり、判定部33は、可変速電動機の駆動電流の値が第1のしきい値より小さい状態から第1のしきい値以上であり第2のしきい値より小さい状態に移行した場合には、ウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定する。これは、図5における特性線402のうち、可変速電動機の駆動電流の値が第1のしきい値以上であり第2のしきい値より小さい場合を示している。
一方、判定部33は、可変速電動機の駆動電流の値が第2のしきい値以上の状態から第1のしきい値以上であり第2のしきい値より小さい状態に移行した場合には、ウェスコポンプ500が通常運転をしていると判定する。これは、図5における特性線406のうち、可変速電動機の駆動電流の値が第1のしきい値以上であり第2のしきい値より小さい場合を示している。
なお、上記の例は、第1のしきい値と第2のしきい値を設けることにより、可変速電動機の駆動電流の値のハンチング等によって自吸運転と通常運転との判定の切り替えが頻繁に起こるのを抑制しているが、これには限られない。例えば、判定部33は、1つのしきい値(例えば、第1のしきい値)だけを設定することもできる。この場合、判定部33は、可変速電動機の駆動電流の値が第1のしきい値より小さい場合にはウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定し、駆動電流の値が第1のしきい値以上の場合にはウェスコポンプ500が通常運転をしていると判定することができる。
次に、1つのしきい値だけを設定した場合の処理フローについて説明する。図6は、本実施形態の自吸式ポンプの運転装置による処理フローの一例を示す図である。
まず、給水装置コントローラ40のスイッチがONされる(ステップS101)。
給水装置コントローラ40のスイッチがONされたら、インバータ制御部31は、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500の運転を開始する(ステップS102)。
続いて、判定部33は、運転開始から所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS103)。判定部33は、運転開始から所定の時間が経過していない場合は(ステップS103,No)、ステップS103の処理を繰り返す。
一方、判定部33は、運転開始から所定の時間が経過したら(ステップS103,Ye
s)、ウェスコポンプ500を駆動する可変速電動機の駆動電流値(電流検出器32によって検出された電流値)≧電流しきい値であるか否かを判定する(ステップS104)。
インバータ制御部31は、可変速電動機の駆動電流値≧電流しきい値であると判定されたら(ステップS104,Yes)、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500の運転を行う(ステップS105)。これは、判定部33によってウェスコポンプ500が通常運転を行っていると判定されたので、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500を回転駆動するということである。
一方、運転指令部35は、可変速電動機の駆動電流値≧電流しきい値ではないと判定されたら(ステップS104,No)、ウェスコポンプ500の回転速度を高速化する(ステップS106)。言い換えれば、ウェスコポンプ500を自吸運転用の回転速度で運転する。これは、判定部33によってウェスコポンプ500が自吸運転を行っていると判定されたので、これに応じて高い回転速度でウェスコポンプ500を回転駆動するということである。運転指令部35は、例えば、ウェスコポンプ500の最大回転速度でウェスコポンプ500を回転駆動することができる。
ステップS106でウェスコポンプ500を高い回転速度で駆動した後、判定部33は、可変速電動機の駆動電流値≧電流しきい値であるか否かを判定する(ステップS107)。
インバータ制御部31は、可変速電動機の駆動電流値≧電流しきい値であると判定されたら(ステップS107,Yes)、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500の運転を行う(ステップS105)。これは、判定部33によってウェスコポンプ500が自吸運転から通常運転へ移行したと判定されたので、ウェスコポンプ500を高回転速度から通常運転時の低い回転速度へ戻すということである。
一方、判定部33は、可変速電動機の駆動電流値≧電流しきい値ではないと判定したら(ステップS107,No)、ウェスコポンプ500の吐出し側圧力(圧力センサ508で検出された圧力)≧圧力しきい値であるか否かを判定する(ステップS108)。
インバータ制御部31は、ウェスコポンプ500の吐出し側圧力≧圧力しきい値であると判定されたら(ステップS108,Yes)、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500の運転を行う(ステップS105)。これは、ウェスコポンプ500の吐出し側圧力がある程度高くなったら、ウェスコポンプ500が自吸運転から通常運転へ移行したと推測することができるので、ウェスコポンプ500を高回転速度から通常運転時の低い回転速度へ戻すということである。
一方、判定部33は、ウェスコポンプ500の吐出し側圧力≧圧力しきい値ではないと判定したら(ステップS108,No)、ステップS106で回転速度を高速化してから所定の時間以上経過しているか否かを判定する(ステップS109)。
インバータ制御部31は、所定の時間以上経過していると判定されたら(ステップS109,Yes)、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500の運転を行う(ステップS105)。これは、自吸運転の時間がある程度続いたら、ウェスコポンプ500が自吸運転から通常運転へ移行したと推測することができるので、ウェスコポンプ500を高回転速度から通常運転時の低い回転速度へ戻すということである。このように制御することによって、何らかの理由で自吸が完了しない場合の保護をすることができる。
一方、判定部33は、所定の時間以上経過していないと判定したら(ステップS109
,No)、ステップS107へ戻って処理を繰り返す。
判定部33は、ステップS105において通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500の運転を行った後、給水装置コントローラ40のスイッチがOFFされたか否かを判定する(ステップS110)。給水装置コントローラ40のスイッチがOFFされたと判定したら(ステップS110,Yes)、処理を終了し、一方、給水装置コントローラ40のスイッチがOFFされていないと判定したら(ステップS110,No)、ステップS104へ戻って処理を繰り返す。
この実施例によれば、ウェスコポンプ500の駆動電流を検出し、検出された駆動電流に基づいて、ウェスコポンプ500が自吸運転をしているか、又は自吸運転以外の通常運転をしているかを判定することができる。これにより、従来技術のように圧力センサ又は圧力スイッチ等を用いて自吸運転と通常運転の判定を行う必要がないので、ウェスコポンプ500が自吸運転を行っているか否かの判定の信頼性を簡易な構成で向上させることができる。
なお、上記の例では、ウェスコポンプ500を可変速に回転駆動するためにインバータ30を用いる例を示したが、これには限られない。例えば、ウェスコポンプ500を変速機を介して定速電動機によって駆動し、自吸運転時には、回転速度を通常運転時より大きくすることも可能である。
また、上記の例では、判定部33及び運転指令部35をインバータ30に設ける例を示したが、これには限らず、例えば給水装置コントローラ40に設けることもできる。また、給水装置300は、ウェスコポンプ500、可変速電動機、インバータ30、及び給水装置コントローラ40を一つの筐体に納めてもよい。さらに、可変速電動機とインバータ30が一体構成でもよく、インバータ30と給水装置コントローラ40が一体構成でもよい。また、インバータ30内の各機能ブロックと給水装置コントローラ40の各機能ブロックを一つの基板や一つのCPUに集約してもよい。また、上記の例では、インバータ30及び給水装置コントローラ40の双方に商用電源200から電力の供給を行う例を示したが、これに限らず、例えば、インバータ30のみに商用電源200から電力の供給を行い、インバータ30から給水装置コントローラ40へ電力の供給を行うこともできる。
また、上記の例では、ウェスコポンプ500の始動時における自吸運転と通常運転との判定を主に説明したが、これには限られない。例えば、ウェスコポンプ500の配管接続部分の漏れなどで、ウェスコポンプ500内部が空気と水の混合状態のままとなり、自吸運転を継続してしまうことがある。この自吸運転継続状態を避けるために、判定部33は、ウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定された継続時間があらかじめ設定された時間しきい値よりも長くなったら、外部へ警報信号を出力することができる。具体的には、判定部33は、自吸運転が長時間続いている旨を警報機42から出力することができる。
また、ウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定された継続時間があらかじめ設定された時間しきい値よりも長くなったら、運転指令部35は、自吸運転を中止して、ウェスコポンプ500を停止することができる。なお、上記の時間しきい値は、運転指令部35に入力・設定機能を持たせたり、給水装置コントローラ40を通じて任意に設定したりできるようにする。また、判定部33は、ウェスコポンプ500が通常運転をしていると判定された状態からウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定された状態へ移行した場合にも、上記と同様に外部へ警報信号を出力することができる。
また、上記の例では、ウェスコポンプ500の始動時における自吸運転と通常運転との
判定を主に説明したが、ウェスコポンプ500が小水量停止から始動した場合にも同様に行うことができる。この点について、図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態の自吸式ポンプの運転装置による処理フローの一例を示す図である。まず、ウェスコポンプ500が小水量停止したら(ステップS201)、判定部33は、小水量停止からの始動条件が成立したか否かを判定する(ステップS202)。ステップS202は、小水量停止からの始動条件が成立するまで繰り返される。
一方、小水量停止からの始動条件が成立したら(ステップS202,Yes)、インバータ制御部31は、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500の運転を開始する(ステップS203)。
続いて、判定部33は、運転開始から所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS204)。判定部33は、運転開始から所定の時間が経過していない場合は(ステップS204,No)、ステップS204の処理を繰り返す。
一方、判定部33は、運転開始から所定の時間が経過したら(ステップS204,Yes)、ウェスコポンプ500を駆動する可変速電動機の駆動電流値(電流検出器32によって検出された電流値)≧電流しきい値であるか否かを判定する(ステップS205)。
インバータ制御部31は、可変速電動機の駆動電流値≧電流しきい値であると判定されたら(ステップS205,Yes)、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500の運転を行う(ステップS206)。これは、判定部33によってウェスコポンプ500が通常運転を行っていると判定されたので、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500を回転駆動するということである。
一方、運転指令部35は、可変速電動機の駆動電流値≧電流しきい値ではないと判定されたら(ステップS205,No)、ウェスコポンプ500の回転速度を高速化する(ステップS207)。言い換えれば、ウェスコポンプ500を自吸運転用の回転速度で運転する。これは、判定部33によってウェスコポンプ500が自吸運転を行っていると判定されたので、これに応じて高い回転速度でウェスコポンプ500を回転駆動するということである。運転指令部35は、例えば、ウェスコポンプ500の最大回転速度でウェスコポンプ500を回転駆動することができる。
ステップS207でウェスコポンプ500を高い回転速度で駆動した後、判定部33は、可変速電動機20の駆動電流値≧電流しきい値であるか否かを判定する(ステップS208)。
インバータ制御部31は、可変速電動機の駆動電流値≧電流しきい値であると判定されたら(ステップS208,Yes)、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500の運転を行う(ステップS206)。これは、判定部33によってウェスコポンプ500が自吸運転から通常運転へ移行したと判定されたので、ウェスコポンプ500を高回転速度から通常運転時の低い回転速度へ戻すということである。
一方、判定部33は、可変速電動機の駆動電流値≧電流しきい値ではないと判定されたら(ステップS208,No)、ウェスコポンプ500の吐出し側圧力(圧力センサ508で検出された圧力)≧圧力しきい値であるか否かを判定する(ステップS209)。
インバータ制御部31は、ウェスコポンプ500の吐出し側圧力≧圧力しきい値であると判定されたら(ステップS209,Yes)、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ
500の運転を行う(ステップS206)。これは、ウェスコポンプ500の吐出し側圧力がある程度高くなったら、ウェスコポンプ500が自吸運転から通常運転へ移行したと推測することができるので、ウェスコポンプ500を高回転速度から通常運転時の低い回転速度へ戻すということである。
一方、判定部33は、ウェスコポンプ500の吐出し側圧力≧圧力しきい値ではないと判定されたら(ステップS209,No)、ステップS207で回転速度を高速化してから所定の時間以上経過しているか否かを判定する(ステップS210)。
インバータ制御部31は、所定の時間以上経過していると判定されたら(ステップS210,Yes)、通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500の運転を行う(ステップS206)。これは、自吸運転の時間がある程度続いたら、ウェスコポンプ500が自吸運転から通常運転へ移行したと推測することができるので、ウェスコポンプ500を高回転速度から通常運転時の低い回転速度へ戻すということである。
一方、判定部33は、所定の時間以上経過していないと判定したら(ステップS210,No)、ステップS208へ戻って処理を繰り返す。
判定部33は、ステップS206において通常運転時の回転速度でウェスコポンプ500の運転を行った後、ウェスコポンプ500の運転が終了したか否かを判定する(ステップS211)。判定部33は、ウェスコポンプ500の運転が終了していないと判定したら(ステップS211,No)、ステップS205へ戻って処理を繰り返す。
一方、判定部33は、ウェスコポンプ500の運転が終了したと判定したら、給水装置コントローラ40のスイッチがOFFされたか否かを判定する(ステップS212)。判定部33は、給水装置コントローラ40のスイッチがOFFされたと判定したら(ステップS212,Yes)、処理を終了し、一方、給水装置コントローラ40のスイッチがOFFされていないと判定したら(ステップS212,No)、ステップS201へ戻って処理を繰り返す。
この実施例によれば、ウェスコポンプ500の駆動電流を検出し、検出された駆動電流に基づいて、ウェスコポンプ500が自吸運転をしているか、又は自吸運転以外の通常運転をしているかを判定することができる。これにより、従来技術のように圧力センサ又は圧力スイッチ等を用いて自吸運転と通常運転の判定を行う必要がないので、ウェスコポンプ500が自吸運転を行っているか否かの判定の信頼性を簡易な構成で向上させることができる。
なお、自吸式ポンプがウェスコポンプ500ではなく自吸式遠心ポンプ1である場合、吐出し流量と駆動電流値の関係は通常運転に達するまではウェスコポンプ500の場合の関係と同様である。通常運転に達すると、自吸式遠心ポンプ1においてはウェスコポンプ500の場合とは異なり、吐出し流量の増加に伴い駆動電流値は増加する。
なお、上記の例では、判定部33は、可変速電動機の駆動電流の値としきい値との比較結果に基づいて、ウェスコポンプ500が自吸運転をしているか、又は通常運転をしているかを判定する例を示したが、これには限られない。
図8は、自吸式ポンプの自吸運転と通常運転との切り替えの他の例を示す図である。図8において横軸は時間経過を示しており、縦軸は可変速電動機の駆動電流を示している。図8は、ウェスコポンプ500が自吸運転から通常運転へ移行した際の可変速電動機の駆動電流を模式的に示した図である。
図8に示すように、自吸運転をしている際は、羽根車524内は空気と水が混合状態となっているため、可変速電動機の駆動電流の振幅(α)は、通常運転を行っている場合に比べて大きく変化する傾向にある。そこで、判定部33は、可変速電動機の駆動電流の振幅(α)があらかじめ設定された振幅しきい値より大きくなったら、ウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定することができる。
また、図8に示すように、自吸運転をしている際は、羽根車524内は空気と水が混合状態となっているため、可変速電動機の駆動電流の振幅周期(β)は、通常運転を行っている場合に比べて短くなる傾向にある。そこで、判定部33は、可変速電動機の駆動電流の振幅周期(β)があらかじめ設定された周期しきい値より短くなったら、ウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定することができる。この駆動電流の振幅周期(β)による自吸運転の判定は、駆動電流値による判定に替えて行うこともできる。さらに、可変速電動機の駆動電流値及びその振動周期(β)に基づいて自吸運転の判定をすることにより、駆動電流値の絶対値が小さく判定しにくい場合でも、振動周期(β)は検出可能であることから判定の信頼性がより一層向上する。ウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定された後の処理は、上記と同様である。
図9は、自吸式ポンプの自吸運転と通常運転との切り替えの他の例を示す図である。図9において横軸は時間経過を示しており、縦軸はウェスコポンプ500の温度を示している。図9は、ウェスコポンプ500が自吸運転から通常運転へ移行した際のウェスコポンプ500の温度を模式的に示した図である。
図9に示すように、自吸運転が完了して通常運転に移行した後は、ウェスコポンプ500のケーシング内は例えば井戸水などの液体で十分に満たされるため、ウェスコポンプ500の温度の変化はある程度抑えられる。これに対して、自吸運転をしている際は、羽根車524内は空気と水が混合状態となっており、空気と水の温度は異なる場合が多いため、ウェスコポンプ500の温度の変化は大きくなる。そこで、判定部33は、ウェスコポンプ500の温度の変化率があらかじめ設定された温度しきい値よりも大きい場合に、ウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定することができる。この温度による自吸運転の判定は、駆動電流値による判定に替えて行うこともできる。さらに、可変速電動機の駆動電流値と、ケーシングの外表面又は液体の流路内の温度とに基づいて自吸運転の判定をすることにより、駆動電流値の絶対値が小さく判定しにくい場合でも、温度を検出することで判定の信頼性がより一層向上する。ウェスコポンプ500が自吸運転をしていると判定された後の処理は、上記と同様である。