JP2017194021A - 給水装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自吸運転時の自吸性能を低下させずに、揚液運転時のポンプ性能を向上させることができる自吸式ポンプを備えた給水装置を提供する。【解決手段】給水装置1は、自吸式ポンプ2と、自吸式ポンプ2を駆動するモータ3と、自吸式ポンプ2の運転を制御する制御部7と、を備える。自吸式ポンプ2は、羽根車15と、羽根車15を収容する羽根車室23、および羽根車室23の下流側に位置する気液分離室27を有するポンプケーシング6と、気液分離室27に設けられ、羽根車室23から吐出された流体が衝突するバッフル9と、バッフル9を、自吸運転時には、水と空気の混合流体が衝突する初期位置に維持し、揚液運転時には、該バッフル9に衝突する水の流れを逸らす待避位置に回動させる回動機構40と、を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、自吸式ポンプを備えた給水装置に関し、特に、自吸運転時の自吸性能を低下させずに、揚液運転時のポンプ性能を向上させることができる自吸式ポンプを備えた給水装置に関する。
従来から、井戸、水道本管または受水槽などから水を建物に供給する給水装置が知られている。このような給水装置は、例えば、自吸式ポンプ、自吸式ポンプを駆動するモータ、および自吸式ポンプの運転を制御する制御部を備えている。自吸式ポンプは、ポンプケーシングの内部を液体で満たしておくだけで、ポンプ自身の運転によって吸込管内の空気を排出することが可能なポンプである。
図12は、従来の給水装置が有する自吸式ポンプの一例を示した概略断面図である。図12に示される自吸式ポンプ102は、羽根車115を収容する羽根車室123が形成されたポンプケーシング106を有している。ポンプケーシング106は、さらに、羽根車室123の上流側に形成された吸込室126と、羽根車室123の下流側に形成された気液分離室127とを有する。吸込室126の上流側には、吸込管(図示せず)と連通する吸込流路130が形成されており、気液分離室127の下流側には、吐出管(図示せず)と連通する吐出流路131が形成されている。自吸式ポンプ102は、吸込管内の空気をポンプケーシング106から排出させる自吸運転を行い、その後、水のみをポンプケーシング106から排出する揚液運転を行う。
吸込流路130は、ポンプケーシング106の入口106aから吸込室126まで延びており、吸込流路130の末端には、逆止弁114が配置される。逆止弁114は、自吸式ポンプ102の運転時に、空気または水がポンプケーシング106の吸込室126に流入することを許容しつつ、自吸式ポンプ102の運転が停止されたときに、水が吸込流路130を通って、吸込管に逆流することを防止する。
自吸式ポンプ102の運転を開始すると、図示しないモータの駆動により羽根車115が回転する。これにより、羽根車室123内の水が撹拌され、羽根車室123の上流側の吸込室126に負圧が形成される。この負圧により、逆止弁114の弁体114aが押し上げられて弁座114cから離間する(すなわち、逆止弁114が開く)ので、吸込管内の空気が吸込流路130および吸込室126を通って羽根車室123に流入する。羽根車室123に流入した空気は、該羽根車室123内の水と混合され、空気と水の混合流体は、羽根車室123から気液分離室127に吐出される。
気液分離室127の内壁には、羽根車室123から吐出された水と空気の混合流体が衝突するバッフル109が設けられている。バッフル109は、気液分離室127の内壁から水平方向に突出しており、水と空気の混合流体がバッフル109に衝突することにより、空気が水から分離される。水から分離された空気は、気液分離室127から吐出流路131を通って、自吸式ポンプ102のポンプケーシング106から吐出される。一方で、空気が分離された水は、気液分離室127の下部に形成された環流孔128を通って羽根車室123に戻される。環流孔128を通って羽根車室123に戻された水は、吸込管から吸い込まれた空気と再び混合される。このような動作を繰り返すことにより、吸込管内の空気がポンプケーシング106から排出される。吸込管が水で満たされると、自吸式ポンプ102は、水のみを排出する揚液運転を開始する。
特開2014−196709号公報
羽根車室123から吐出された水と空気の混合流体が衝突するバッフル109は、自吸運転時に水から空気を分離する自吸性能を確保するために必要な構造体である。しかしながら、揚液運転時には、羽根車115の回転によって昇圧された水がバッフル109に衝突する。その結果、バッフル109によって、自吸式ポンプ102から吐出される水の圧力が減少するので、揚液運転時の自吸式ポンプ102のポンプ性能が低下してしまう。さらに、バッフル109に衝突した水の一部は、気液分離室127の下部に形成された環流孔128を通って、羽根車室123に戻されてしまう。その結果、バッフル109によって、自吸式ポンプ102から吐出される水の流量が低下するので、揚液運転時の自吸式ポンプ102のポンプ性能が低下してしまう。
バッフル109を省略すれば、揚液運転時の自吸式ポンプ102のポンプ性能(吐出圧力、吐出流量など)を向上させることができるが、自吸運転時の自吸性能が著しく低下してしまう。自吸性能が低下すると、自吸運転の時間が長くなってしまうので、羽根車室123と気液分離室127とを循環する水の温度が上昇する。水の温度が沸点に到達すると、自吸式ポンプ102は自吸運転を継続できなくなる。
そこで、本発明は、自吸運転時の自吸性能を低下させずに、揚液運転時のポンプ性能を向上させることができる自吸式ポンプを備えた給水装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、自吸式ポンプと、前記自吸式ポンプを駆動するモータと、前記自吸式ポンプの運転を制御する制御部と、を備えた給水装置であって、前記自吸式ポンプは、羽根車と、前記羽根車を収容する羽根車室、および前記羽根車室の下流側に位置する気液分離室を有するポンプケーシングと、前記気液分離室に設けられ、前記羽根車室から吐出された流体が衝突するバッフルと、前記バッフルを、自吸運転時には、水と空気の混合流体が衝突する初期位置に維持し、揚液運転時には、該バッフルに衝突する水の流れを逸らす待避位置に回動させる回動機構と、を有することを特徴とする給水装置である。
本発明の好ましい態様は、前記回動機構は、前記気液分離室の壁に設けられた軸受と、前記バッフルの端部に設けられ、前記軸受に嵌め込まれる回動軸と、を有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記初期位置にあるバッフルを下から支えるストッパをさらに有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記バッフルに固定された錘をさらに有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記回動機構は、前記制御部に接続され、該制御部からの指令に基づいて前記バッフルを回動させるアクチュエータをさらに備えることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記気液分離室内の流体の圧力値を測定する圧力センサをさらに備え、前記制御部は、前記圧力値が前記制御部に予め記憶された所定の圧力しきい値以上である場合に、前記アクチュエータを動作させて、前記バッフルを前記初期位置から前記待避位置に回動させることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、前記モータの電流値を検出する電流検出部を有しており、前記制御部は、前記電流値が前記制御部に予め記憶された所定の電流しきい値以上である場合に、前記アクチュエータを動作させて、前記バッフルを前記初期位置から前記待避位置に回動させることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ポンプケーシングの温度値を測定する温度センサをさらに備え、前記制御部は、前記温度値の変化率が前記制御部に予め記憶された所定の変化率しきい値よりも小さい場合に、前記アクチュエータを動作させて、前記バッフルを前記初期位置から前記待避位置に回動させることを特徴とする。
本発明によれば、自吸運転時は、バッフルが水と空気の混合流体が衝突する初期位置に維持されるので、自吸性能の低下が防止される。一方で、揚液運転時には、回動機構によって、バッフルが該バッフルに衝突する水の流れを逸らす待避位置に回動させられるので、自吸式ポンプのポンプ性能(吐出圧力、吐出流量など)を向上させることができる。
一実施形態に係る給水装置が配置された給水システムの一例を示す模式図である。 一実施形態に係る給水装置の概略斜視図である。 図2に示される給水装置に配置された自吸式ポンプの縦断面図である。 図3に示される逆止弁(フローチェッキ)を模式的に示した拡大図である。 一実施形態に係る回動機構の概略断面図である。 図6(a)は、他の実施形態に係る回動機構を示す概略上面図であり、図6(b)は、図6(a)のA−A線断面図である。 図5に示されるバッフルの変形例を示した概略断面図である。 さらに他の実施形態に係る回動機構を示した模式図である。 さらに他の実施形態に係る回動機構を示した模式図である。 さらに他の実施形態に係る回動機構を示した模式図である。 自吸式ポンプが自吸運転から揚液運転へ移行した際のポンプケーシングの温度変化の一例を模式的に示したグラフである。 従来の給水装置が有する自吸式ポンプの一例を示した概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る給水装置が配置された給水システムの一例を示す模式図である。図1に示される給水システム50は、地上に配置された給水装置1と、給水装置1から井戸まで延びる吸込管32と、給水装置1から建物35まで延びる吐出管36とを有する。吸込管32の末端は、井戸の水位よりも下方に位置しており、吐出管36には、建物35の内部に配置された給水器具37(例えば、蛇口)が接続される。さらに、吸込管32の末端には、井戸水内に浮遊する砂などの異物が給水装置1まで運ばれることを防止するストレーナ33が取り付けられている。給水装置1によって、井戸水を給水器具37に供給することができる。
図2は、一実施形態に係る給水装置1の概略斜視図であり、図3は、図2に示される給水装置1に配置された自吸式ポンプ2の縦断面図である。図2に示される給水装置1は、例えば、図1に示される給水システム50に配置される。図示はしないが、給水装置1を、水を水道本管から建物に供給する給水システムに配置してもよいし、水を受水槽から建物に供給する給水システムに配置してもよい。
図2および図3に示されるように、給水装置1は、羽根車15を有する自吸式ポンプ2と、自吸式ポンプ2を駆動するモータ3と、給水装置1の給水動作(すなわち自吸式ポンプ2の運転)を制御する制御部7と、自吸式ポンプ2、モータ3、および制御部7が配置されるベース10を有する。ベース10は、自吸式ポンプ2のポンプケーシング6および制御部7を支持している。より具体的には、自吸式ポンプ2のポンプケーシング6の底部および制御部7の底部は、ベース10の上面に支持されている。さらに、給水装置1は、ベース10を囲い、自吸式ポンプ2、モータ3、および制御部7を収容するカバー12を有する。
カバー12は樹脂から構成され、好ましくは、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)とポリカーボネイトを含む樹脂から構成される。このようなカバー12は、大きな剛性を有するので、ベース10からカバー12に伝達される振動を低減できる。したがって、給水装置1から発生する騒音を低減することができる。
モータ3は、ロータおよび該ロータと対向して配置されたステータなどを収容するモータフレーム4を有する。ロータおよびステータの図示は省略されている。モータ3は、誘導モータであってもよいが、ロータに永久磁石が配置されたPMモータ(Permanent Magnet Motor)であるのが好ましい。特に、ロータの内部に永久磁石が配置されたIPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)であるのが好ましい。PMモータ(特に、IPMモータ)は高効率を有するので、モータ3を小型化することができる。
給水装置1は、吸込管32(図1参照)が接続される吸込口18と、吐出管36(図1参照)が接続される吐出口19を有している。吸込口18は、ポンプケーシング6の入口6a(図3参照)と連通しており、吐出口19は、ポンプケーシング6の出口6b(図3参照)と連通している。自吸式ポンプ2は、ポンプケーシング6の内部を液体で満たしておくだけで、ポンプ自身の運転によって吸込管32内の空気を排出することが可能なポンプである。自吸式ポンプ2は、吸込管32内の空気をポンプケーシング6と連通する吐出口19から排出させる自吸運転を行い、その後、水のみを吐出口19から排出する揚液運転を行う。
図2に示されるように、制御部7は、モータ3を変速可能とするインバータ13を備えているのが好ましい。インバータ13は、制御部7に収容されており、図示しないモータケーブルによってモータ3に接続される。制御部7は、インバータ13を介して、モータ3を所望の回転速度で回転させることができる。したがって、自吸式ポンプ2をゆっくりと始動または停止させることができるので、自吸式ポンプ2の始動または停止時に発生する騒音を低減することができる。
図3に示されるように、自吸式ポンプ2は、羽根車15を収容する羽根車室23が形成されたポンプケーシング6を有している。ポンプケーシング6は、さらに、羽根車室15の上流側に形成された吸込室26と、羽根車室15の下流側に形成された気液分離室27とを有する。吸込室26は、羽根車室15に接続され、羽根車室15は、気液分離室27に接続される。吸込室26の上流側には、吸込口18(図2参照)と連通する吸込流路30が形成されており、気液分離室27の下流側には、吐出口19(図2参照)と連通する吐出流路31が形成されている。吸込口18は、例えば、ベース10内に配置された入口管(図示せず)を介して吸込流路30に連通し、吐出口19は、ベース10内に配置された出口管(図示せず)を介して吐出流路31に連通する。
吸込流路30は、ポンプケーシング6の入口6aから吸込室26まで延びており、吸込流路30の末端には、逆止弁14が配置される。逆止弁14は、自吸式ポンプ2の運転時に、空気または水がポンプケーシング6の吸込室26に流入することを許容しつつ、自吸式ポンプ2の運転が停止されたときに、水が吸込流路30を通って、吸込管32に逆流することを防止する。
本実施形態では、逆止弁14は、水の逆流を防止する機能だけでなく、給水装置1を流れる水の流量が所定の小水量以下であることを検出する流量検出器の機能も有する。以下では、流量検出器の機能も有する逆止弁14を、「フローチェッキ」と称することがある。
図4は、図3に示される逆止弁(フローチェッキ)14を模式的に示した拡大図である。図4では、制御部7は想像線(一点鎖線)で描かれている。フローチェッキ14の弁体14aは、その上面から突出する突出部14bを有する。突出部14bは、吸込室26に形成された凹部26aに挿入されている。突出部14bには、磁石20が配置されており、吸込室26の凹部26aの近傍には、磁石20の磁力を検出可能なリードスイッチ21が配置されている。リードスイッチ21は、信号線を介して制御部7に接続される。自吸式ポンプ2の運転を開始すると、図4に示されるように、フローチェッキ14の弁体14aが吸込室26に流入する水または空気によって上昇する。リードスイッチ21が突出部14bに配置された磁石20の磁力を検出すると、リードスイッチ21からon信号が制御部7に送信される。建物35(図1参照)での水の使用量が低下すると、弁体14aは自重により下降して、リードスイッチ21は、磁石20の磁力を検出できなくなる。これにより、リードスイッチ21からoff信号が制御部7に送信される。
さらに、気液分離室27には、圧力タンク34(図2参照)が接続されている。圧力タンク34は、自吸式ポンプ2が停止している間の吐出側圧力を保持するための圧力保持器である。
図3に示される自吸式ポンプ2は、ポンプケーシング6の吸込室26、羽根車室23、および気液分離室27の内部を液体で満たしておくだけで、ポンプ自身の運転によって吸込管32内の空気を排出することが可能なポンプである。自吸式ポンプ2を運転するときは、最初に、ポンプケーシング6の上部に形成された給水口6cからポンプケーシング6の吸込室26、羽根車室23、および気液分離室27に水を供給する。吸込室26、羽根車室23、および気液分離室27に給水口6cから供給される水は、「呼び水」と称される。給水口6cから呼び水を吸込室26、羽根車室23、および気液分離室27に供給しているときは、フローチェッキ14の弁体14aは、自重により吸込流路30の末端に固定された弁座14cに押し付けられている。したがって、呼び水が吸込流路30を通って、吸込管32に逆流することが防止される。呼び水の供給が完了した後に、給水口6cは、該給水口6cに係合するキャップ29により閉じられる。
この状態で、自吸式ポンプ2の運転を開始する。モータ3の駆動により羽根車15が回転すると、羽根車室23内の水が撹拌され、羽根車室23の上流側の吸込室26に負圧が形成される。この負圧により、フローチェッキ14の弁体14aが押し上げられて弁座14cから離間する(すなわち、フローチェッキ14が開く)ので、吸込管32内の空気が吸込流路30および吸込室26を通って羽根車室23に流入する。フローチェッキ14の突出部14bに配置された磁石20(図4参照)の磁力をリードスイッチ21が検出すると、リードスイッチ21からon信号が制御部7に送信される。羽根車室23に流入した空気は、該羽根車室23内の水と混合され、空気と水の混合流体は、羽根車室23から気液分離室27に吐出される。
気液分離室27には、羽根車室23から吐出された水と空気の混合流体が衝突するバッフル9が設けられている。水と空気の混合流体がバッフル9に衝突することにより、空気が水から分離される。水から分離された空気は、気液分離室27から吐出流路31を通って、給水装置1の吐出口19から吐出される。一方で、空気が分離された水は、気液分離室27の下部に形成された環流孔28を通って羽根車室23に戻される。環流孔28を通って羽根車室23に戻された水は、吸込管32から吸い込まれた空気と再び混合される。このような動作を繰り返すことにより、吸込管32内の空気がポンプケーシング6から排出される。吸込管32が水で満たされると、自吸式ポンプ2は、水のみを排出する揚液運転を開始する。
気液分離室27の上部には、該気液分離室27内の流体の圧力を測定する圧力センサ11が接続されている。吸込管32内の空気を給水装置1から排出する自吸運転時には、気液分離室27の上部に存在する流体は空気だけであり、圧力センサ11の測定値は、ほぼ大気圧である。一方で、揚液運転時は、気液分離室27が水で満たされているので、圧力センサ11は、羽根車15の回転により昇圧された水の圧力を測定する。
圧力センサ11は、図示しない信号線を介して制御部7に接続されており、制御部7は、圧力センサ11から出力される出力値に基づいて、揚液運転時の自吸式ポンプ2の運転速度(すなわち、羽根車15の回転速度)を制御する。一般的には、圧力センサ11により測定された圧力信号が設定された目標圧力と一致するように自吸式ポンプ2の運転速度を制御して自吸式ポンプ2の吐出圧力が一定になるように制御する吐出圧力一定制御や、自吸式ポンプ2の吐出圧力の目標値を適切に変化させることにより給水器具37(図1参照)における水圧を一定に制御する推定末端圧力一定制御などが行われる。
建物35内での水の使用量が低下して、フローチェッキ14のoff信号が制御部7に送信されると、制御部7は自吸式ポンプ2の運転速度を一時的に上げるようインバータ13に指令を出し、圧力タンク34に蓄圧してから自吸式ポンプ2の運転を停止させる(小水量停止)。自吸式ポンプ2の運転を停止すると、吸込管32からポンプケーシング6への水の流入が停止され、フローチェッキ14が閉じる。フローチェッキ14は、ポンプケーシング6内に存在する水が吸込管32に逆流することを阻止し、水をポンプケーシング6内に溜めておくことができる。ポンプケーシング6内に溜められた液体は、次の自吸運転のために用いられる。
自吸運転時には、羽根車室23から吐出される流体は、水と空気の混合流体であり、この混合流体をバッフル9に衝突させることにより空気を水から分離している。したがって、バッフル9は、自吸式ポンプ2の自吸性能を確保するために重要な構造体である。一方で、揚液運転時には、羽根車室23から気液分離室27に吐出される流体は水のみであり、この水がバッフル9に衝突すると、羽根車15によって上昇した水の圧力が低下してしまう。さらに、バッフル9に衝突した水の一部は、環流孔28を通って、羽根車室23に戻されてしまう。その結果、揚液運転時の自吸式ポンプ2のポンプ性能が低下してしまう。そこで、本実施形態では、気液分離室27には、バッフル9を回動可能に支持する回動機構40が設けられている。
図5は、一実施形態に係る回動機構40の概略断面図である。図5に示される回動機構40は、気液分離室27の壁27aに設けられた軸受41と、バッフル9の端部に設けられた回動軸42とを有する。回動軸42は、回動可能に軸受41に嵌め込まれる。回動軸42は、バッフル9と一体に構成されているが、バッフル9とは異なる部材として構成された回動軸42を、バッフル9の端部に固定してもよい。
回動機構40の軸受41には、切欠き41aが形成されており、バッフル9は、切欠き41aを介して軸受41の外部に突出している。切欠き41aによって、バッフル9の回動動作の範囲が制限される。より具体的には、切欠き41aの一方の端部41bにバッフル9の下面が接触しているときに、バッフル9は初期位置にあり、切欠き41aの一方の端部41bよりも上方に位置する切欠き41aの他方の端部41cにバッフル9の上面が接触しているときに、バッフル9は待避位置にある。したがって、軸受41に形成された切欠き41aによって、バッフル9は、初期位置と待避位置との間で回動することが許容される。バッフル9よりも下側に位置する切欠き41aの一方の端部41bは、バッフル9を下から支えるストッパとして機能する。すなわち、切欠き41aの一方の端部41bによって、バッフル9が初期位置から下方に回動することが阻止される。バッフル9の初期位置は、該バッフル9が水平に延びる位置(図5の実線参照)であり、バッフル9の待避位置は、該バッフル9が斜め上方に延びる位置である(図5の点線参照)。
自吸式ポンプ2の運転が停止しているとき、バッフル9は、その自重により初期位置にある。バッフル9の下面は、ストッパとして機能する切欠き41aの一方の端部41bに接触している。自吸式ポンプ2の運転が開始されると、自吸式ポンプ2は、まず、水と空気とを排出する自吸運転を行う。自吸運転時には、羽根車室23から吐出される流体は、水と空気の混合流体であり、この混合流体の圧力は、羽根車15の回転によってほとんど上昇しない。したがって、自吸運転時に羽根車室23から吐出される水と空気の混合流体が初期位置にあるバッフル9に衝突したときに、バッフル9は、その自重によって上方に回動しないので、自吸運転時には、バッフル9は、初期位置に維持される。
一方で、揚液運転時には、羽根車室23から吐出される流体は水のみであり、この水の圧力は羽根車15の回転によって上昇される。したがって、揚液運転時に水がバッフル9に衝突すると、バッフル9は、水の圧力によって待避位置まで上方に回動することができる。
待避位置までバッフル9が回動すると、バッフル9に衝突する水の流れを逸らすことができるので、羽根車15によって上昇した水の圧力がほとんど減少しない。さらに、羽根車室23から気液分離室27に吐出された水は、その流れ方向をほとんど変更せずに吐出流路31に流れ込む。その結果、自吸式ポンプ2の揚液運転時のポンプ性能(吐出圧力、吐出流量など)を向上させることができる。
このように、本実施形態によれば、自吸運転時には、バッフル9が水と空気の混合流体が衝突する初期位置に維持されるので、空気を水から分離する自吸性能が低下しない。一方で、揚液運転時には、回動機構40によって回動可能に支持されるバッフル9が、該バッフル9に衝突する水の流れを逸らす待避位置に回動する。その結果、自吸式ポンプ2のポンプ性能(吐出圧力、吐出流量など)を向上させることができる。
図6(a)は、他の実施形態に係る回動機構40を示す概略上面図であり、図6(b)は、図6(a)のA−A線断面図である。本実施形態では、回動機構40は2つの軸受41を有しており、軸受41は、気液分離室27の壁27aの表面に固定されている。これら軸受41には、図5を参照して説明された軸受41と相違して、切欠き41aが形成されない。バッフル9の端部に設けられた回動軸42は、バッフル9の側面からそれぞれ突出しており、2つの軸受41にそれぞれ回動可能に嵌め込まれる。本実施形態の回動機構40は、初期位置にあるバッフル9を下から支えるストッパ43をさらに有する。ストッパ43によって、初期位置にあるバッフル9が下方に回動することが阻止される。ストッパ43は、図6(b)に示されるように、気液分離室27の壁27aから斜め上方に延びる平板状のリブであり、バッフル9の下面がストッパ43の上面に接触しているときに、バッフル9は、初期位置にある。
本実施形態でも、自吸式ポンプ2の運転が停止しているとき、バッフル9は、その自重により初期位置にある。自吸式ポンプ2で水と空気とを排出する自吸運転が開始されると、水と空気の混合流体がバッフル9に衝突するが、この混合流体の圧力は、羽根車15の回転によってほとんど上昇しないので、バッフル9は、初期位置に維持される。一方で、揚液運転時には、羽根車室23から吐出される流体は水のみであり、この水の圧力は羽根車15の回転によって上昇される。したがって、揚液運転時に水がバッフル9に衝突すると、バッフル9は、水の圧力によって待避位置まで上方に回動することができる。
待避位置まで回動したバッフル9によって、羽根車室15から吐出されてバッフル9に衝突する水の流れが逸らされるので、羽根車15によって上昇した水の圧力がほとんど減少しない。さらに、羽根車室23から気液分離室27に吐出された水は、その流れ方向をほとんど変更せずに吐出流路31に流れ込む。その結果、自吸式ポンプ2の揚液運転時のポンプ性能(吐出圧力、吐出流量など)を向上させることができる。
図7は、図5に示されるバッフル9の変形例を示した概略断面図である。図7に示されるバッフル9には、錘44が固定されている。本実施形態では、錘44は、バッフル9の上面に固定されているが、錘44は、バッフル9の下面に固定されていてもよい。錘44を、図6(a)および図6(b)に示される回動機構40によって回動可能に支持されるバッフル9に固定してもよい。
錘44をバッフル9に固定することにより、バッフル9を上方に回動させるために要求される流体の圧力が増加する。したがって、自吸運転時に水と空気の混合流体がバッフル9に衝突したときに、バッフル9を初期位置に確実に維持することができる。その結果、自吸式ポンプ2の自吸性能の低下を防止することができる。
図8は、さらに他の実施形態に係る回動機構40を示した模式図である。図8に示される回動機構40は、バッフル9を回動させるためのアクチュエータ47を有する。アクチュエータ47は、制御部7に接続され、該制御部7からの指令に基づいてバッフル9を回動させる。特に説明しない本実施形態の構成は、図5に示される実施形態の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。なお、図8に示される回動機構40のアクチュエータ47を、図6(a)および図6(b)に示される回動機構40に設けてもよい。
アクチュエータ47は、例えば、バッフル9の端部に設けられた回動軸42に連結されたモータである。アクチュエータ47がモータである場合は、該モータの回転軸を直接回動軸42と連結することができる。モータの回転軸に第1のプーリを固定し、回動軸42に第2のプーリを固定し、第1プーリと第2のプーリとにベルトを巻き掛けてもよい。あるいは、モータの回転軸に第1の歯車を固定し、該第1の歯車と噛み合う第2の歯車を回動軸42に固定してもよい。アクチュエータ47を制御部7が制御することによって、バッフル9を所望のタイミングで回動させることができる。アクチュエータ47は、信号線によって制御部7と接続されており、制御部7から送信される動作指令に基づいてバッフル9を回動させる。
図8に示されるように、圧力センサ11が制御部7に接続されており、制御部7は、圧力センサ11が出力する気液分離室27内の流体の圧力値を監視している。上述したように、自吸運転時には、圧力センサ11の測定値は、ほぼ大気圧である。一方で、揚液運転時は、気液分離室27が水で満たされているので、圧力センサ11は、羽根車15の回転により昇圧された水の圧力を測定する。
制御部7は、圧力センサ11から出力された圧力値と比較するための圧力しきい値を予め記憶している。制御部7は、圧力センサ11から出力された圧力値がこの圧力しきい値よりも小さい場合は、自吸式ポンプ2が自吸運転を行っていると判断して、バッフル9の位置を初期位置に維持する。一方で、制御部7は、圧力センサ11から出力された圧力値がこの圧力しきい値以上である場合は、自吸式ポンプ2が揚液運転を開始したと判断する。揚液運転の開始が制御部7によって判断されると、制御部7は、アクチュエータ47に指令を発して、バッフル9を初期位置から待避位置に回動させる。待避位置にあるバッフル9は、該バッフル9に衝突する水の流れを逸らすことができるので、揚液運転時の自吸式ポンプ2のポンプ性能を向上させることができる。
図9は、さらに他の実施形態に係る回動機構40を示した模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図5に示される実施形態の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図9に示される回動機構40は、バッフル9を回動させるためのアクチュエータ47を有する。アクチュエータ47は、制御部7に接続され、該制御部7からの指令に基づいてバッフル9を回動させる。本実施形態のアクチュエータ47の構成は、図8を参照して説明されたアクチュエータ47の構成と同様である。
図9に示される制御部7は、インバータ13を介して駆動されるモータ3の電流値を検出する電流検出器55を有している。制御部7は、電流検出器55によって検出されたモータ3の電流値によって自吸式ポンプ2が揚液運転を行っているか否かを判断する。なお、図9に示される回動機構40のアクチュエータ47を、図6(a)および図6(b)に示される回動機構40に設けてもよい。
自吸式ポンプ2が自吸運転を行っている場合は、羽根車室23内には空気と水の混合流体が存在する。一方で、自吸式ポンプ2が揚液運転を行っている場合は、羽根車室23内には水のみが存在する。水の比重は、空気と水の混合流体の比重よりも大きいので、揚液運転時のモータ3の電流値は、自吸運転時のモータ3の電流値よりも大きくなる。
制御部7は、電流検出器55が検出したモータ3の電流値と比較するための電流しきい値を予め記憶している。制御部7は、電流検出器55が検出したモータ3の電流値がこの電流しきい値よりも小さい場合は、自吸式ポンプ2が自吸運転を行っていると判断して、バッフル9の位置を初期位置に維持する。一方で、制御部7は、電流検出器55が検出したモータ3の電流値がこの電流しきい値以上である場合は、自吸式ポンプ2が揚液運転を開始したと判断する。揚液運転の開始が制御部7によって判断されると、制御部7は、アクチュエータ47に指令を発して、バッフル9を初期位置から待避位置に回動させる。待避位置にあるバッフル9は、該バッフル9に衝突する水の流れを逸らすことができるので、揚液運転時の自吸式ポンプ2のポンプ性能を向上させることができる。
図10は、さらに他の実施形態に係る回動機構40を示した模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図5に示される実施形態の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。自吸式ポンプ2は、ポンプケーシング6の温度を測定する温度センサ57を有していてもよい(図2参照)。温度センサ57は、信号線を介して制御部7に接続される。本実施形態でも、アクチュエータ47は、制御部7に接続され、該制御部7からの指令に基づいてバッフル9を回動させる。制御部7は、温度センサ57が出力するポンプケーシング6の温度の変化率に基づいて、自吸式ポンプ2が揚液運転を行っているか否かを判断することができる。なお、図10に示される回動機構40のアクチュエータ47を、図6(a)および図6(b)に示される回動機構40に設けてもよい。
図11は、自吸式ポンプ2が自吸運転から揚液運転へ移行した際のポンプケーシング6の温度変化の一例を模式的に示したグラフである。図11の縦軸は、温度センサ57から出力されるポンプケーシング6の温度値を表し、図11の横軸は、時間経過を表す。図11に示すように、自吸運転時のポンプケーシング6の内部には、吸込管32(図1参照)から吸い込まれる空気と羽根車室23と気液分離室27とを循環する水が存在するため、ポンプケーシング6の温度の変化率が大きい。一方で、揚液運転時のポンプケーシング6の内部には、水のみが存在するため、ポンプケーシング6の温度の変化率は小さくなる。
制御部7は、温度センサ57から出力される温度値に基づいて、ポンプケーシング6の温度変化率を演算する。さらに、制御部7は、この温度変化率の演算値と比較するための変化率しきい値を予め記憶している。制御部7は、温度変化率の演算値が変化率しきい値以上である場合は、自吸式ポンプ2が自吸運転を行っていると判断して、バッフル9の位置を初期位置に維持する。一方で、制御部7は、温度変化率の演算値が変化率しきい値よりも小さい場合に、自吸式ポンプ2が揚液運転を開始したと判断する。揚液運転の開始が制御部7によって判断されると、制御部7は、アクチュエータ47に指令を発して、バッフル9を初期位置から待避位置に回動させる。待避位置にあるバッフル9は、該バッフル9に衝突する水の流れを逸らすことができるので、揚液運転時の自吸式ポンプ2のポンプ性能を向上させることができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
1 給水装置
2 自吸式ポンプ
3 モータ
6 ポンプケーシング
7 制御部
9 バッフル
10 ベース
11 圧力センサ
12 カバー
13 インバータ
14 逆止弁(フローチェッキ)
15 羽根車
18 吸込口
19 吐出口
20 磁石
21 リードスイッチ
23 羽根車室
26 吸込室
27 気液分離室
28 環流孔
29 キャップ
30 吸込流路
31 吐出流路
32 吸込管
33 ストレーナ
34 圧力タンク
35 建物
36 吐出管
37 給水器具
40 回動機構
41 軸受
42 回動軸
43 ストッパ
44 錘
47 アクチュエータ
50 給水システム
55 電流検出部
57 温度センサ

Claims (8)

  1. 自吸式ポンプと、前記自吸式ポンプを駆動するモータと、前記自吸式ポンプの運転を制御する制御部と、を備えた給水装置であって、
    前記自吸式ポンプは、
    羽根車と、
    前記羽根車を収容する羽根車室、および前記羽根車室の下流側に位置する気液分離室を有するポンプケーシングと、
    前記気液分離室に設けられ、前記羽根車室から吐出された流体が衝突するバッフルと、
    前記バッフルを、自吸運転時には、水と空気の混合流体が衝突する初期位置に維持し、揚液運転時には、該バッフルに衝突する水の流れを逸らす待避位置に回動させる回動機構と、を有することを特徴とする給水装置。
  2. 前記回動機構は、
    前記気液分離室の壁に設けられた軸受と、
    前記バッフルの端部に設けられ、前記軸受に嵌め込まれる回動軸と、を有することを特徴とする請求項1に記載の給水装置。
  3. 前記初期位置にあるバッフルを下から支えるストッパをさらに有することを特徴とする請求項2に記載の給水装置。
  4. 前記バッフルに固定された錘をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の給水装置。
  5. 前記回動機構は、
    前記制御部に接続され、該制御部からの指令に基づいて前記バッフルを回動させるアクチュエータをさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の給水装置。
  6. 前記気液分離室内の流体の圧力値を測定する圧力センサをさらに備え、
    前記制御部は、前記圧力値が前記制御部に予め記憶された所定の圧力しきい値以上である場合に、前記アクチュエータを動作させて、前記バッフルを前記初期位置から前記待避位置に回動させることを特徴とする請求項5に記載の給水装置。
  7. 前記制御部は、前記モータの電流値を検出する電流検出部を有しており、
    前記制御部は、前記電流値が前記制御部に予め記憶された所定の電流しきい値以上である場合に、前記アクチュエータを動作させて、前記バッフルを前記初期位置から前記待避位置に回動させることを特徴とする請求項5に記載の給水装置。
  8. 前記ポンプケーシングの温度値を測定する温度センサをさらに備え、
    前記制御部は、前記温度値の変化率が前記制御部に予め記憶された所定の変化率しきい値よりも小さい場合に、前記アクチュエータを動作させて、前記バッフルを前記初期位置から前記待避位置に回動させることを特徴とする請求項5に記載の給水装置。
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