JP2008127295A - アリールエチニル安息香酸エステルの製造方法、アリールエチニル安息香酸エステル化合物及びアリールエチニル安息香酸の製造方法 - Google Patents

アリールエチニル安息香酸エステルの製造方法、アリールエチニル安息香酸エステル化合物及びアリールエチニル安息香酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】医農薬中間体、液晶、電子材料等の機能性材料として有用なアリールエチニル安息香酸及びその誘導体を高純度で安価に提供するために有用な原料であるアリールエチニル安息香酸エステルを安定して高純度に工業的規模で製造可能な製造方法を提供する。
【解決手段】アリールエチニル安息香酸エステルを溶液状態にする工程と、前記化合物を、物理的処理法によって前記溶液から固形物として析出させる工程と、前記固形物を、濾別する工程と、を少なくとも含むアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法において、アリールエチニル安息香酸エステルを下記一般式(1)で表される化合物とする。
【化1】
Figure 2008127295


(一般式(1)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、nは1又は2を表す。Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上10以下の炭化水素基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、医農薬中間体、液晶、電子材料等の機能性材料として有用なアリールエチニル安息香酸及びアリールエチニル安息香酸誘導体の原料として用いることができるアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法、該製造法によって製造されるアリールエチニル安息香酸エステル化合物及びアリールエチニル安息香酸の製造方法に関する。
4−アリールエチニル安息香酸は、医農薬中間体、液晶、電子材料などの機能性材料原料として重要な化合物であり、特に近年では分子内に存在する炭素−炭素三重結合構造を利用した様々な機能性材料に関する研究対象として注目されている。例えば、光導波路を形成するためのポリベンゾオキサゾール骨格を有するポリマーの末端封止剤として、4−フェニルエチニル安息香酸の酸クロライド化合物が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような4−フェニルエチニル安息香酸を得る方法として、例えば、4−ヨード安息香酸とエチニルベンゼンを塩基の存在下反応させる方法が記載されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、製品品質を一定にできる工業的に実用可能な方法とは言い難かった。すなわち、該方法によって4−アリールエチニル安息香酸を製造するためには、反応に用いたパラジウム触媒を除去する必要がある。その除去方法としては、固液分離、吸着除去、抽出分離等の方法が考えられ、いずれの方法においても、4−アリールエチニル安息香酸を溶媒に溶解させる必要がある。しかし、4−アリールエチニル安息香酸類はその直線状の分子構造ゆえに、溶媒へ溶解させるのは容易ではない。
このように、従来の製造方法では目的物を高純度に工業的規模で製造することは困難であり、アリールエチニル安息香酸誘導体を安定して高純度に工業的規模で製造できる技術が強く求められていた。
特開2004−143143号公報 「シンセティック コミュニケーション」(Synthetic Communication),2002年,第32巻,p.1937−1946
4−アリールエチニル安息香酸類の溶媒への溶解性を向上させる方法として、4−アリールエチニル安息香酸に塩基を加えて塩として親水性の高い溶媒に溶解させる方法が考えられる。しかしこの方法ではパラジウム触媒の溶解度も上がるため、パラジウム触媒を除去する方法としては適当ではなかった。
また、非特許文献1に記載の原料安息香酸誘導体を、エステルに変換することで生成物の有機溶剤へ溶解性を向上させる方法が考えられる。しかしながら、容易に合成できるエステルの1つであるメチルエステルは非常に結晶化しやすく、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、およびジイソプロピルエーテルなど、以降の工程を進めるのに適した揮発性の有機溶剤には、加熱してもなお十分に溶解せず、アリールエチニル安息香酸を高純度に工業的規模で製造する方法としては不向きであった。
本発明の目的は、医農薬中間体、液晶、電子材料等の機能性材料として有用なアリールエチニル安息香酸及びその誘導体を高純度で安価に提供するために有用な原料であるアリールエチニル安息香酸エステルを安定して高純度に工業的規模で製造可能な製造方法を提供することである。
本発明者らは、フェニルエチニル安息香酸メチルの溶解性が低い理由を、これが直線状の分子構造に由来する結晶性の差であることを、フェニルエチニルフタル酸ジメチルとの融点の差から推定した(例えば、ヘミッシェ ベリヒテ(Chemische Berichte),1960年,p.990参照)。そこで鋭意検討の結果、エステル形成に用いるアルコールの炭素鎖長を変更して結晶性を調整することにより、固−液又は液−液分離によりアリールエチニル安息香酸エステルを、反応液組成物から容易に分離できることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表される化合物を溶液状態にする工程と、前記化合物を、物理的処理法によって前記溶液から固形物として析出させる工程と、前記固形物を、濾別する工程と、を少なくとも含むアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法である。
アリールエチニル安息香酸エステルとして特定構造の化合物を用いることにより、該化合物の溶媒への溶解性が向上する。また、該化合物を固形物として析出させることで、該化合物を安定して高純度に製造することができる。
Figure 2008127295
(一般式(1)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、nは1又は2を表す。Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上10以下の炭化水素基を表す。)
尚、本明細書において、アリールエチニル安息香酸エステルには、アリールモノエチニル安息香酸エステル及びアリールジエチニル安息香酸エステルが含まれる。
<2> 前記一般式(1)におけるArが、無置換の芳香族炭化水素基であることを特徴とする前記<1>に記載のアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法である。
アリールエチニル安息香酸エステルのアリール基として、無置換の芳香族炭化水素基を用いることにより、該化合物をより安定して高純度に製造することができる。
<3> 前記一般式(1)におけるRが、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−(2−メチル)プロピル基、シクロヘキシル基、1−オクチル基、1−(2−メトキシ)エチル基、1−(2−エトキシ)エチル基、及び2−(1−メトキシ)プロピル基から選択されるいずれかの炭化水素基であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法である。
アリールエチニル安息香酸エステルとして、特定のエステル基を有する化合物を用いることで、溶媒への溶解性がより向上する。
<4> 前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法によって得られたアリールエチニル安息香酸エステル化合物である。
アリールエチニル安息香酸エステル化合物の製造方法として、特定の製造方法を採用することによって、安定して高純度な該化合物を得ることができる。
<5> 前記<4>に記載のアリールエチニル安息香酸エステル化合物を加水分解する工程を少なくとも含む下記一般式(2)で表されるアリールエチニル安息香酸又はその塩の製造方法である。
アリールエチニル安息香酸又はその塩の製造方法として、特定の製造方法で製造したアリールエチニル安息香酸エステルを加水分解することで、アリールエチニル安息香酸又はその塩を、安定に高純度に製造することができる。
Figure 2008127295
(一般式(2)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、nは1又は2を表す。)
本発明によれば、医農薬中間体、液晶、電子材料等の機能性材料として有用なアリールエチニル安息香酸及びその誘導体を高純度で安価に提供するために有用な原料であるアリールエチニル安息香酸エステルを安定して高純度に工業的規模で製造可能な製造方法を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法は、下記一般式(1)で表される化合物を溶液状態にする工程と、前記化合物を物理的処理方法によって前記溶液から固形物として析出させる工程と、析出した前記固形物を濾別する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
Figure 2008127295
一般式(1)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、nは1又は2を表す。Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上10以下の炭化水素基を表す。
本発明の製造方法においては、アリールエチニル安息香酸エステルとして、特定の化合物を使用することによって溶媒への溶解性が向上し、容易に溶液状態とすることができる。また、アリールエチニル安息香酸エステルを固形物として析出させることにより、生成物の高純度化と取り扱いとが容易になる。
以下、本発明における上記一般式(1)で表されるアリールエチニル安息香酸エステル化合物について詳細に説明する。ここでアリールエチニル安息香酸エステル化合物とは、アリールエチニル安息香酸エステル化合物とアリールジエチニル安息香酸エステル化合物とを包含するものである。
本発明において、Arで表される芳香族炭化水素基としては、ヘテロ原子を含まない芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数が6〜12)及び芳香族複素環基(好ましくは炭素数が1〜12)を挙げることができる。具体的には、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントラニル基、2−ピレニル基、トリアジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基及びチエニル基等が挙げられる。
また、Arで表される芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルコキシ基が挙げられる。
これらの中でも、フッ素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3または4のシクロアルキル基、炭素数1または2のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1または2のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルコキシ基が置換基として好ましく、炭素数1または2のアルキル基、炭素数1または2のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基がより好ましい。これらの置換基は複数個存在してもよく、この場合、複数個存在する基は各々同一でも異なっていてもよい。また、これらの置換基が互いに連結して炭素環又は複素環を形成していてもよい。
Arで表される芳香族炭化水素基上に存在しうる置換基の具体的な例としては、フッ素原子、水酸基、メチル、エチル、2−プロピル、tert−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、2−プロポキシ、tert−ブトキシ、1−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、1−ナフチル、2−ナフチル、フェニル、アズレニル、1−ナフトキシ、2−ナフトキシ、フェノキシ、1−ヘプタフルオロプロピル、トリフルオロメチル、1−ヘプタフルオロプロポキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロフェノキシなどが挙げられ、これらの中でもフッ素原子、水酸基、メチル、エチル、2−プロピル、tert−ブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、1−ナフチル、2−ナフチル、フェニル、1−ナフトキシ、2−ナフトキシ、フェノキシ及びトリフルオロメトキシが好ましく、メチル、エチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、フェニル及びフェノキシ基がより好ましい。
本発明における、Arで表される芳香族炭化水素基は、安定して高純度に生産できるという観点から、好ましくはヘテロ原子を含まない芳香族炭化水素基であり、無置換の芳香族炭化水素基がより好ましい。中でもフェニル基、2−ナフチル基、9−アントラニル基、2−ピレニル基が好ましく、フェニル基、9−アントラニル基がより好ましい。
一般式(1)中、Rは炭素数2以上10以下の炭化水素基を表すが、炭素数2以上6以下の炭化水素基であることが好ましく、炭素数2以上4以下の炭化水素基であることがより好ましい。炭素数が前記範囲内の炭化水素基であることによって溶媒への溶解性が向上する。
また、Rで表される炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、上記芳香族炭化水素基上の置換基と同じ置換基を好適に挙げることができる。
Rで表される炭化水素基の具体的例としては、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−プロピン−2−イル基、1−プロペン−2−イル基、2−プロペン−2−イル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−(2−メチル)プロピル基、2−(4−メチル)ペンチル基、シクロヘキシル基、1−(3−メチル)ブチル基、1−オクチル基、1−(2−メトキシ)エチル基、1−(2−エトキシ)エチル基、1−(2−(2−エトキシ)エトキシ)エチル基、1−(2−(2−メトキシ)エトキシ)エチル基、および2−(1−メトキシ)プロピル基が挙げられる。溶媒への溶解性の観点から、中でもエチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−(2−メチル)プロピル基、シクロヘキシル基、1−(3−メチル)ブチル基、1−オクチル基、1−(2−メトキシ)エチル基、1−(2−エトキシ)エチル基、1−(2−(2−エトキシ)エトキシ)エチル基、1−(2−(2−メトキシ)エトキシ)エチル基、および2−(1−メトキシ)プロピル基が好ましく、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−(2−メチル)プロピル基、シクロヘキシル基、1−オクチル基、1−(2−メトキシ)エチル基、1−(2−エトキシ)エチル基、および2−(1−メトキシ)プロピル基がより好ましい。
本発明における一般式(1)で表されるアリールエチニル安息香酸エステルとしては、Arが、フェニル基、2−ナフチル基、9−アントラニル基、又は2−ピレニル基であって、Rが、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−(2−メチル)プロピル基、シクロヘキシル基、1−(3−メチル)ブチル基、1−オクチル基、1−(2−メトキシ)エチル基、1−(2−エトキシ)エチル基、1−(2−(2−エトキシ)エトキシ)エチル基、1−(2−(2−メトキシ)エトキシ)エチル基、又は2−(1−メトキシ)プロピル基であって、nが1又は2である化合物が好ましい。
以下に本発明におけるアリールエチニル安息香酸エステルの具体例を示すが、これにより本発明が限定されるものではない。
Figure 2008127295
次に、本発明において一般式(1)で表される化合物を合成する反応について説明する。
一般式(1)で表される化合物の製造方法において、下記一般式(3)で表される脱離基が4位に置換された安息香酸誘導体と、下記一般式(4)で表される化合物とを塩基の存在下、触媒を用いて反応させる方法が一般的であり、本発明における好適な態様の1つである。
Figure 2008127295
一般式(3)中、Rは前記一般式(1)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様である。またXは脱離基を表す。Xとして具体的には、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基などが挙げられ、好ましくは臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基である。
Figure 2008127295
一般式(4)中、Arおよびnは、前記一般式(1)におけるAr及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記一般式(3)で表される化合物と、上記一般式(4)で表される化合物の反応に用いる塩基としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、アルカリ金属の有機酸塩、アルカリ土類金属の有機酸塩、第3級アミン化合物、含窒素芳香族化合物、ハロゲン化アルキルアルカリ土類金属塩、ハロゲン化アリールアルカリ土類金属塩、アルキル金属塩、オニウム塩化合物の水酸化物などが挙げられる。中でも、安息香酸エステルを保持したまま反応によって発生する酸を中和できる点から、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、アルカリ金属の有機酸塩、アルカリ土類金属の有機酸塩、第3級アミン化合物、および含窒素芳香族化合物が好ましく、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、第3級アミン化合物、および含窒素芳香族化合物がより好ましい。
上記反応で用いることができる塩基の具体的な例としては、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、カリウムt−ブトキシド、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、1,4−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロウンデセン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、コリジン、キノリン、イソキノリン、N−メチルピロール、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、臭化フェニルマグネシウム、塩化n−ブチルマグネシウム、n−ブチルリチウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、および水酸化トリブチルベンジルアンモニウムが挙げられる。
中でもナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、1,4−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロウンデセン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、コリジン、キノリン、イソキノリン、N−メチルピロール、4−ジメチルアミノピリジン、および4−ジエチルアミノピリジンが好ましく、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、1,4−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロウンデセン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、コリジン、キノリン、イソキノリン、N−メチルピロール、4−ジメチルアミノピリジン、および4−ジエチルアミノピリジンがより好ましい。
上記反応で用いる塩基の量は、一般式(3)で表される化合物に対して、少なくとも1当量用いることができる。また、過剰量で用いて溶媒を兼ねることもできる。具体的には、一般式(3)で表される化合物1モルに対して、1.0〜10モルの割合で用いる方法が挙げられるが、中でも1.2〜6.0モルの割合で用いることが好ましく、1.5〜3モルの割合で用いることがより好ましい。
また本発明において上記反応で用いる触媒としては、パラジウム、ニッケル、及び鉄から選ばれる金属を含む化合物が少なくとも1種含まれていることが好ましく、中でもパラジウムを含む化合物が少なくとも1種含まれていることが好ましい。これらの触媒は1種単独でも、また複数種を組合せて使用していてもよい。
上記パラジウムを含む化合物としては、2価又は0価のパラジウム化合物が挙げられる。2価又は0価のパラジウム化合物の例としては、配位子が配位したパラジウム化合物が好ましく、さらに好ましくは、後述する一般式(P1)、(P2)又は(P3)で表されるパラジウム化合物である。
一般式(P1): LPdX
一般式(P1)中、Lは1座配位のホスフィン化合物を表し、好ましくは、一般式(L1):P(R)(R)(R)で表されるホスフィン化合物である。ここでR〜Rは、各々独立にアリール基又はアルキル基などの炭化水素基を表し、これらの少なくとも2個が互いに結合して環を形成していてもよい。R〜Rで表される基の具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、エチルヘキシル基、オクチル基、ベンジル基、o−トルイル基、m−トルイル基、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。中でも好ましくはn−ブチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、o−トルイル基、フェニル基、ナフチル基であり、より好ましくはシクロヘキシル基、オクチル基、o−トルイル基、フェニル基であり、さらに好ましくはo−トルイル基、フェニル基である。
またXは1価の陰イオンを表す。具体的には、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸イオン、アセチルアセトネート及びジベンジルアセトネートが挙げられ、好ましくは、塩化物イオン、酢酸イオン、またはアセチルアセトネートである。
一般式(P1)で表される化合物の具体例としては、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドが挙げられる。
一般式(P2): (L−L)PdX
一般式(P2)中、(L−L)は2座配位ホスフィン化合物又は2座配位窒素化合物を表す。
2座配位ホスフィン化合物の例としては、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等が挙げられる。
また、2座配位窒素化合物としては、1,10−フェナントロリンが好ましく例示される。
Xは、前記一般式(P1)におけるXと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(P3): PdL
一般式(P3)中、Lは一般式(P1)におけるLと同義であり、好ましい範囲も同じである。
従来報告されているアリールハライドとアセチレン化合物のパラジウムカップリング反応では、一般式(P1)で表されるパラジウム化合物、例えばビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド等を触媒として用いる例が多い(例えば、Synthesis,364頁(1981)参照)。しかし、一般式(P1)で表されるパラジウム化合物は2価のパラジウム化合物PdXに、配位子Lを加えて合成されるものである。したがって、本発明においては、一般式(P1)で表される化合物に代えて、2価のパラジウム化合物であるPdXと、上記Lまたは(L−L)で表される化合物とを反応系内で混合して用いてもよい。
すなわち、PdXで表されるパラジウム化合物とこれに配位するホスフィン化合物等とを反応系内に添加し、系内において一般式(P1)、(P2)で表されるパラジウム化合物となるように調製する方法により、より安価に製造することが可能となる。
具体的には、PdXで表されるパラジウム化合物と組み合わせるホスフィン化合物の例としては、前述の一般式(L1):P(R)(R)(R)で表される1座配位ホスフィン化合物や、前述の2座配位ホスフィン化合物が挙げられ、その具体例、好ましい範囲は先に説明した内容と同一である。より好ましいホスフィン化合物としては、トリ(o−トルイル)ホスフィン、トリフェニルホスフィンが挙げられる。また、PdXにおけるXは、一般式(P1)で説明したものと同義であるが、酢酸イオンが特に好ましい。
一般式(P1)〜(P3)で表されるパラジウム化合物の使用量は、一般式(3)で表される4位置換安息香酸エステル化合物1モルに対して1.0×10−7〜1.0×10−2モルの割合の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0×10−5〜5.0×10−3モルの割合の範囲である。
上記範囲内でパラジウム化合物を使用することにより、良好な反応速度と良好な生成率、単離収率とを得ることができる。また、反応混合物及び/または生成物の着色を抑制することができ、コストダウンにも寄与し、工業スケールでの製造に好適である。
また、PdXで表されるパラジウム化合物とホスフィン化合物とを反応系内に添加して、一般式(P1)又は(P2)で表されるホスフィン化合物が配位したパラジウム化合物を調製し反応を実施する場合、PdXで表されるパラジウム化合物に対するホスフィン化合物の使用量は、1.0〜80モル当量の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0〜40モル当量であり、更に好ましくは2.0〜25モル当量である。
ホスフィン化合物を上記範囲で使用することにより、良好な反応速度、生成率を得ることができ、目的物の純度も良好となる。特に、一般式(3)で表される化合物1モルに対して、ホスフィン化合物を0.4モル以下で使用することにより、後の除去操作が容易になり、廃棄物量の抑制やコストダウンに寄与し、工業スケールでの製造に好適である。
本発明においては、上記パラジウム化合物に加えて、さらに銅化合物又はオニウム塩化合物を添加することができ、これらもまた好ましい様態の1つである。
前記銅化合物としては、1価の銅化合物が好ましく、具体的には塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)、シアン化銅(I)等を挙げることができ、より好ましくは塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)であり、これらは1種単独でも、また複数種を併用することも可能である。
前記銅化合物の使用量は、一般式(3)で表される化合物に対して1.0×10−6〜5.0×10−2モル当量の範囲が好ましく、1.0×10−5〜5.0×10−2モル当量がより好ましく、さらに好ましくは1.0×10−4〜2.0×10−2モル当量である。
本発明においては、上記銅化合物の代替あるいは更なる添加剤としてオニウム塩化合物を用いることもできる。
前記オニウム塩化合物として、具体的には、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、ヨウ化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラn−ブチルホスホニウム等が挙げられる。中でも、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラn−ブチルホスホニウム等が好ましく、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、および臭化テトラフェニルホスホニウムがより好ましい。
前記オニウム塩化合物の使用量は、一般式(4)で表される化合物に対して1.0×10−6〜5.0×10−2モル当量の範囲が好ましく、1.0×10−5〜5.0×10−2モル当量がより好ましい。
一般式(4)で表されるエチニル化合物は、一般式(3)で表される4位置換安息香酸エステル化合物1モルに対して、例えば0.8〜3.0モルの割合の範囲で用いることが好ましく、1.0〜2.0モルの割合がより好ましく、さらに好ましくは1.1〜1.5モルの割合である。
本発明において、一般式(1)で表される化合物の合成に使用する反応溶媒は、反応基質/反応中間体/反応生成物の析出等で攪拌不能になる等の工程操作上の問題を引き起こさず、反応の進行を妨げず、かつ本発明の製造条件において分解して反応に悪影響を与えない限り特に制限はない。具体的には、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アニソール等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ヘキサン、へプタン、デカンに代表される脂肪族系炭化水素溶媒、トルエン、キシレン(o−体、m−体、p−体あるいはこれらの任意の割合の混合物のいずれであってもよい)、メシチレン、エチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、イソプロピルベンゼン(クメン)、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒が挙げられる。これらの中でも、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、エチルベンゼン、ヘプタン、デカン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホキシドが好ましく、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドがより好ましい。
これらの溶媒は1種単独でも、2種類以上を組合せて使用してもよい。また先に説明したトリエチルアミンなどの有機塩基を溶媒としても使用することも可能である。
本発明において溶媒を用いる場合には、一般式(3)で表される化合物1kgに対して、0.5〜20Lの範囲で使用することが好ましく、0.8〜5.0Lがより好ましく、さらに好ましくは1.0〜3.0Lである。
本発明における、一般式(1)で表される化合物の合成の反応温度は、通常20〜200℃の範囲であるが、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜130℃の範囲である。反応時間は仕込み量、反応温度により異なるが通常0.5〜80時間であり、3〜40時間の範囲がより好ましい。反応時は溶媒蒸気、アルゴン又は窒素気流等の不活性な雰囲気にすることが好ましい。
なお、パラジウム化合物に代表される触媒、銅化合物またはオニウム塩化合物に代表される添加剤、前記一般式(3)で表される化合物、および一般式(4)で表される化合物の添加の順序は特に制限はないが、パラジウム化合物、銅化合物及び前記一般式(3)で表される化合物を混合したものに、一般式(4)で表される化合物を、上記反応温度で加熱しながら滴下することが、一般式(4)で表されるアセチレン化合物が分子間酸化反応によりジイン化合物またはテトライン化合物に変換される反応を抑制する観点から好ましい。
本発明のアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法においては、前記一般式(1)で表される化合物を溶液状態にする工程を含む。前記溶液状態にする工程としては、上述した前記一般式(1)で表される化合物を合成する反応を、溶媒中で行うことによって、合成された該化合物を溶液状態とすることができる。また、アリールエチニル安息香酸エステル化合物を、溶媒に再溶解することによって溶液状態にすることもできる。
本発明の製造方法においては、前記溶液から不溶物を除去する工程を更に含んでもよい。この工程は、前記アリールエチニル安息香酸エステル化合物の溶液から、不溶性の副生成塩化合物、触媒及び添加剤等を、固体−液体分離又は液体−液体分離によって除去する工程である。ここで前記副生成塩化合物は、反応に用いた塩基と一般式(3)で表される化合物の脱離基とに由来する副生成物である。
固体−液体分離の方法としては、濾材を用いた濾過による方法を挙げることができる。前記濾材としては、濾紙、グラスファイバーフィルタ、メンブレンフィルタ、濾過板、ケイソウ土(例えば、セライト(登録商標)等)、シリカゲル、焼成イオン吸着剤(例えば、キョーワード(協和化学工業(株)製)等)等を挙げることができ、濾過方法としては、自然濾過、減圧濾過、加圧濾過、遠心濾過、熱時濾過等を挙げることができる。
また液体−液体分離の方法としては、水と分離可能な有機溶媒に前記化合物を溶解し、水を加えて混合した後、水層を分離除去する方法を挙げることができる。
本発明においては、処理操作の容易性、生産性向上の観点から、固体−液体分離による方法が好ましく、濾材としてケイソウ土、シリカゲル、焼成イオン吸着剤を用いた熱時濾過で固体−液体分離して不溶物を除去する方法がより好ましい。
本発明においては、前記一般式(1)で表される化合物の溶媒に対する溶解性が良好であること、又は該化合物が加熱融解によって液状化可能であることから、濾別による精製が可能となる。これにより前記一般式(1)で表される化合物の合成における生産性の向上、製造コストの低減が可能となる。
本発明のアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法は、上述した工程に加えて、前記化合物を物理的処理方法によって前記溶液から固形物として析出させる工程と、前記固形物を濾取する工程と、を少なくとも含む。
前記物理的処理方法としては、不純物の吸着除去、溶媒からの再結晶化、良溶媒と貧溶媒の組合せによる晶析、および減圧蒸留などを挙げることができる。本発明においては、溶媒からの再結晶化および良溶媒と貧溶媒の組合せによる晶析が本発明の効果が顕著に得られ、好ましい態様である。
また、本発明においては、再結晶化又は晶析の際に、種結晶を接種することもまた好ましい。
溶液から固形物として析出した前記一般式(1)で表される化合物は、濾別することによって、高純度の該化合物として得ることができる。濾別の方法としては、通常の濾別方法を特に制限なく用いることができる。
本発明のアリールエチニル安息香酸エステル化合物は、上記製造法によって製造されたことを特徴とする。これにより、該化合物の純度を安定して高純度にすることができる。
本発明の下記一般式(2)で表される化合物又はその塩の製造方法は、前記本発明のアリールエチニル安息香酸エステル化合物を加水分解する工程を含むことを特徴としている。
加水分解反応の出発物質として、本発明のアリールエチニル安息香酸エステル化合物を使用することで、反応溶媒への溶解性、分散性が向上し、反応時間を短縮することができる。また、着色が抑制された高純度のアリールエチニル安息香酸又はその塩を得ることができる。
Figure 2008127295
一般式(2)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、nは1又は2を表す。前記Arは一般式(1)におけるArと同義であり、好ましい範囲も同様である。
以下に一般式(1)で表される化合物から、対応する一般式(2)で表される化合物またはその塩へ変換する方法について説明する。
本発明の製造方法において、一般式(2)で表される化合物は、本発明の一般式(1)で表される化合物を加水分解することによって得るものである。本発明において加水分解反応は、酸又は塩基を用いて行うことが好ましい。特に、加水分解反応に塩基を用いた場合、そのまま結晶化させることにより、又は反応溶液を濃縮、冷却若しくは反応溶液への貧溶媒の添加などにより、一般式(2)で表される化合物の塩を固形物として容易に得ることができる。
本発明の製造方法において加水分解反応に酸を用いる場合、用いることができる酸としては、分解などにより反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、またはピロリン酸などの鉱酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸又はベンゼンスルホン酸などのスルホン酸類、およびモンモリロナイト又は活性アルミナなどの酸性鉱物等を用いることができる。中でも塩酸、硫酸、またはピロリン酸などの鉱酸を用いることが好ましい。
本発明の製造方法において加水分解工程に塩基を用いる場合、用いることができる塩基としては、分解などにより反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化スカンジウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、水酸化n−テトラブチルアンモニウム塩などの水酸化オニウムなどが挙げられる。中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物を用いることが好ましい。
本発明における加水分解反応は、溶媒を特に選ばない。反応生成物の取り扱いを容易にする観点から、一般式(2)で表される化合物の塩の形で取り出す場合には、メタノール、エタノールなどのプロトン性溶媒を用いることが好ましい。また、一般式(2)で表される化合物の形で取り出す場合には、水または水と有機溶媒の混合物を溶媒に用いることが好ましい。
また、反応温度は150℃以下であることが好ましく、また溶媒条件にも依存するが、反応時間を短縮するために70℃以上で行うことがより好ましい。
一般式(2)で表される化合物の塩より塩基成分を除去して、一般式(2)ので表されるアリールエチニル安息香酸を取り出す方法としては、水などの液体へ分散または溶解させておいて酸を添加する方法などが挙げられる。添加する酸としては、分解などにより反応に悪影響を与えない限り特に制限はないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、またはピロリン酸などの鉱酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸などのスルホン酸類、およびトリクロロ酢酸、酢酸、クエン酸などの水溶性カルボン酸類などが挙げられる。中でも、塩酸、硫酸、リン酸、またはピロリン酸などの鉱酸、およびトリクロロ酢酸、酢酸、クエン酸などの水溶性カルボン酸類が好ましく、塩酸などの揮発性を有する鉱酸および酢酸などの揮発性を有する有機カルボン酸が好ましい。
一般式(2)で表される化合物を、酸の添加により系内より析出させてそのまま固液分離、又は一旦溶媒に溶解させたのちに冷却あるいは貧溶媒の添加により結晶を生成させた後に固液分離により取り出してもよい。中でも、反応に由来する不純物及び原料エステル中の不純物に由来する不純物を除去する観点から、溶媒への溶解と結晶生成を経た固液分離による取り出しが好ましい。
以上の方法により、一般式(2)で表される化合物またはその塩を得ることができる。本発明においては、一般式(1)で表される原料を中間体として用いることで、まず一般式(1)の取り出しの際に不純物を容易に除去できる。さらに一般式(2)で表される化合物またはその塩の合成反応においては、反応溶媒への溶解性、分散性が向上することから、反応時間の短縮が実現できる。
このように本発明の一般式(2)で表されるアリールエチニル安息香酸化合物またはその塩の製造方法において、一般式(1)で表されるアリールエチニル安息香酸エステルを合成する経路を経ることによって、着色が少なく、純度の高いアリールエチニル安息香酸化合物またはその塩を得ることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(4−フェニルエチニル安息香酸エチルの合成)
還流管を接続させた300ml入りの3つ口フラスコに窒素気流下、4−ブロモ安息香酸エチル45.8g、エチニルベンゼン2.45g、トリフェニルホスフィン283mg、trans−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)76mg、ヨウ化第一銅103mg、トルエン100mlを入れ、攪拌しながらトリエチルアミン40.5gを注加した。これを130℃の油浴にて加温し、内温121℃の時点よりエチニルベンゼン221gを8時間かけて滴下した。滴下終了後引き続き130℃の油浴中で18時間反応させた。反応混合物を85℃まで冷却し、セライト(登録商標)40gを濾材に用いた熱時濾過により、パラジウム化合物、銅化合物、および反応で生成した臭化トリエチルアンモニウムを濾別し、さらにトルエン50mlで濾材ごと洗って溶解成分を取り出して合わせ、減圧濃縮に付して内温91℃(1.3KPa)にて終点とし、2−プロパノールを200ml添加した。この液にヘキサン500mlを加え、さらに種結晶を添加して4−フェニルエチニル安息香酸エチルを結晶化させた。固形分を濾過により取り出した後に50℃で一夜風乾させて、4−フェニルエチニル安息香酸エチル39.1gの淡黄色結晶を得た。収率78.1%。
H−NMR δ(TMS:CDCl):1.40ppm(t,3H)、4.39ppm(q,2H)、7.35−7.37ppm(m,3H)、7.54−7.56ppm(m,2H)、7.58ppm(d,2H)、8.03ppm(d,2H)
IR νmax(KBr) 2986(w),2214(w),1701(vs),1605(m),1277(s),1105(m),773(m),758(m),691(m)cm-1
融点:79.7℃〜79.9℃
GC純度:99.8%(GC測定条件は、カラム:DB−5MS(J&B社製)、0.53mm×30m、キャリアーガス:ヘリウム、70kPa、検出:FID、カラム温度:100℃〜300℃(昇温10℃/分)で行った。)
[実施例2]
(4−フェニルエチニル安息香酸エチルを原料に用いた4−フェニルエチニル安息香酸の合成)
還流管を接続させた300ml入りの3つ口フラスコに実施例1で合成した4−フェニルエチニル安息香酸エチル18.8g、蒸留水100ml、25質量%水酸化ナトリウム水溶液13.2gを加えた。この混合物を内温85〜95℃で10時間攪拌し、反応終了を確認した後、内温30℃まで冷却し、35.5質量%濃塩酸9.2gを1時間かけて滴下し、4−フェニルエチニル安息香酸を析出させ、内温を25℃になるまで冷却して、室温で1時間攪拌した。反応液は白色の微粉結晶を含む懸濁液になり、これを吸引濾過で濾別、水でかけ洗いを行って、これで得た結晶を50℃で3日間乾燥させ、16.4gの4−フェニルエチニル安息香酸を白色結晶として得た。収率は98%であった。得られた物質の物性は、以下に示す通りであった。
H−NMR δ(TMS:DMSO−d):7.44−7.46ppm(m,2H)、7.58−7.61ppm(m,2H)、7.67ppm(d,2H)、7.97ppm(d,2H)、13.17ppm(s,1H)
IR νmax(KBr) 2991(m,br),2214(w),1686(vs),1424(s),1312(m),1283(s)cm-1
融点:223.0〜223.6℃
[比較例1]
(4−フェニルエチニル安息香酸メチルの合成)
実施例1に記載の方法において、実施例1で用いた4−ブロモ安息香酸エチル45.8gに代わりに、4−ブロモ安息香酸メチル42.3gを用いて、実施例1と同様の反応を行った。反応を18時間で終えたが、反応混合物を85℃まで冷却すると、4−フェニルエチニル安息香酸メチルの鱗片状の結晶が析出した。これを溶解するために、100℃まで加温したが4−フェニルエチニル安息香酸メチルの結晶は完全には溶解しなかったため、そのままセライト40gを濾材に用いて熱時濾過し、臭化トリエチルアンモニウムと共に固体物として除去された4−フェニルエチニル安息香酸メチルを、アセトンで掛け洗いして溶解してセライト濾材を通過させた。アセトンの掛け洗い時には濃い赤褐色の成分も共に溶解した。濾液を全量集めて減圧濃縮したところ、4−フェニルエチニル安息香酸メチル結晶が析出し、濃縮後の固形分に対して40倍質量の2−プロパノールを添加して還流させたが、溶解しなかった。この分散液を室温まで冷却して、吸引濾過により、4−フェニルエチニルフタル酸メチルの結晶を取り出した。得られた4−フェニルエチニルフタル酸メチルは35.2gあり、朱色の鱗片状結晶であった。収率は、75.2%であった。
物性値は以下の通りであった。
H−NMR δ(TMS:DMSO−d):3.88ppm(s、3H)、7.45−7.46ppm(m,3H)、7.59−7.62ppm(m,2H)、7.70ppm(dd,2H)、7.99ppm(dd,2H)
IR νmax(KBr) 2947(w),2216(w),1717(vs),1437(m),1279(vs),1108(s),856(w),770(s),692(s)cm-1
融点:116.3〜116.5℃
[比較例2]
(比較例1で合成した原料を用いた4−フェニルエチニル安息香酸の合成)
実施例1で合成した4−フェニルエチニル安息香酸エチル18.8gの代わりに、比較例1で合成した4−フェニルエチニル安息香酸メチル17.7gを原料に用いて実施例2と同様の操作を行ったが、反応は10時間では原料消失せず、結果45時間を要した。以降、実施例2と同様の方法で取り出し、赤色の鱗片状結晶14.8gを収率89%で得た。
融点:222.8〜223.5℃
実施例及び比較例の結果から、本発明のアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法によれば、高収率で、高純度のアリールエチニル安息香酸エステルを製造することができることがわかる。
特に比較例1では反応混合物から、アリールエチニル安息香酸メチルが析出してしまうため、濾過に用いたセライトをアセトンで掛け洗いして回収率を上げる必要があった。またその際、不純物である着色物質も同時に回収されてしまうため、得られたアリールエチニル安息香酸メチルは、朱色に着色した状態であった。すなわち実施例1に比べて、比較例1は余分な工程を必要とし、純度も劣るものであり、不純物を含んだ収率も劣るものであったことがわかる。
また、本発明のアリールエチニル安息香酸の製造方法によれば、高収率で、高純度のアリールエチニル安息香酸を製造することができることがわかる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を溶液状態にする工程と、
    前記化合物を、物理的処理法によって前記溶液から固形物として析出させる工程と、
    前記固形物を、濾別する工程と、
    を少なくとも含むアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法。
    Figure 2008127295

    (一般式(1)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、nは1又は2を表す。Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上10以下の炭化水素基を表す。)
  2. 前記一般式(1)におけるArが、無置換の芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載のアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法。
  3. 前記一般式(1)におけるRが、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−(2−メチル)プロピル基、シクロヘキシル基、1−オクチル基、1−(2−メトキシ)エチル基、1−(2−エトキシ)エチル基、及び2−(1−メトキシ)プロピル基から選択されるいずれかの炭化水素基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアリールエチニル安息香酸エステルの製造方法によって得られたアリールエチニル安息香酸エステル化合物。
  5. 請求項4に記載のアリールエチニル安息香酸エステル化合物を加水分解する工程を少なくとも含む下記一般式(2)で表されるアリールエチニル安息香酸又はその塩の製造方法。
    Figure 2008127295

    (一般式(2)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、nは1又は2を表す。)
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