JP2008126817A - 車両の乗員保護装置 - Google Patents

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義勝 木佐貫
Kazunori Furukawa
一憲 古川
Shigeru Sakuma
茂 佐久間
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Abstract

【課題】構成の大型化を招くことなく、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を多段階または無段階に変化させることができる車両の乗員保護装置を提供する。
【解決手段】捩り変形可能なトーションバー5a,5bの各々は、シートベルト4が巻回されたベルトリール2に対しトルク伝達を行うことが可能である。ソレノイド16aに通電することでトーションバー5aの一端部がリトラクターフレーム3に拘束され、ソレノイド16bに通電することでトーションバー5bの一端部がリトラクターフレーム3に拘束される。ソレノイド16a,16bの通電の選択を変えることで、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を変化させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、シートベルトによって乗員を拘束する車両の乗員保護装置に関する。
この種の車両の乗員保護装置としては、例えば下記特許文献1によるものが開示されている。特許文献1においては、一対のロックプレート間に、シートベルトが巻回されたスプールと、大径部及び小径部を有する一本のトーションバーと、が設けられており、トーションバーをその長手方向に沿って移動させることで、トーションバーの小径部が選定された態様とトーションバーの大径部が選定された態様とに切り替えることができる。車両の衝突時等、シートベルトによって乗員を拘束する際には、トーションバーが捩り変形することで、シートベルトによる乗員拘束力(シートベルトの引き出し荷重)を制限している。さらに、トーションバーの小径部を選定するか、トーションバーの大径部を選定するかを切り替えることで、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を2段階に変更している。
その他にも、下記特許文献2〜5によるシートベルトリトラクタが開示されている。
特開2002−87209号公報 特開2001−58559号公報 特開平11−170974号公報 特開2006−62632号公報 特開2000−25567号公報
車両の衝突時等、シートベルトによって乗員をより適切に拘束するためには、シートベルトによる乗員拘束力の制限値をより多段階または無段階に変更できることが望ましい。特許文献1において、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を多段階に変化させるためには、一本のトーションバーに直径の異なる部分を多数設け、トーションバーをその長手方向に沿って移動させることで、これらの直径の異なる部分の中からいずれか1つを選定する必要がある。そのため、トーションバーが大型化することで装置全体が大型化して車載困難となるので、シートベルトによる乗員拘束力の制限を多段階に行うには限界がある。
本発明は、構成の大型化を招くことなく、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を多段階または無段階に変化させることができる車両の乗員保護装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車両の乗員保護装置は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る車両の乗員保護装置は、シートベルトによって乗員を拘束する車両の乗員保護装置であって、シートベルトが巻回され、回転軸まわりに回転することでシートベルトの引き出しまたは巻き取りを行うベルト巻回部材と、それぞれが捩り変形可能なN本(Nは2以上の整数)の捩れ棒であって、その各々がベルト巻回部材に対しトルク伝達を行うことが可能なN本の捩れ棒と、各捩れ棒の一部分を拘束部材に選択的に拘束することが可能な捩れ棒拘束装置と、を備え、一部分が拘束部材に拘束された捩れ棒が捩り変形することで、シートベルトによる乗員拘束力が制限され、捩れ棒拘束装置は、一部分を拘束部材に拘束する捩れ棒の選択を変えることで、前記乗員拘束力の制限値を変化させることを要旨とする。
本発明によれば、N本の捩れ棒の中から一部分を拘束部材に拘束する捩れ棒の選択を変えることで、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を変化させることができるので、乗員拘束力の制限値を多段階に変化させるための各捩れ棒の構成を簡略化することができる。その結果、構成の大型化を招くことなく、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を多段階に変化させることができる。
本発明の一態様では、各捩れ棒の長手方向が前記回転軸と略平行であることが好適である。この態様では、各捩れ棒が前記回転軸からずらされて配置されていることで、各捩れ棒のモーメントアームを小さくすることができ、シートベルトによる乗員拘束力を制限する際に各捩れ棒が受けるトルクを小さくすることができる。また、この態様では、前記回転軸に対する各捩れ棒の距離がそれぞれ異なることで、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を2N−1段階に変化させることができる。
本発明の一態様では、各捩れ棒の捩り剛性がそれぞれ異なることが好適である。また、本発明の一態様では、各捩れ棒におけるベルト巻回部材に対しトルク伝達を行う部分と拘束部材に拘束される部分との距離がそれぞれ異なることが好適である。これらの態様によれば、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を2N−1段階に変化させることができる。
本発明の一態様では、拘束部材は、ベルト巻回部材を前記回転軸まわりに回転可能に支持することが好適である。この態様によれば、捩れ棒が破断したときでも、ベルト巻回部材が拘束部材から脱落するのを防止することができる。また、本発明の一態様では、捩れ棒拘束装置は、各捩れ棒の一端部を拘束部材に選択的に拘束することが可能であることが好適である。
本発明の一態様では、車両の衝突に対する乗員の耐性を推定する乗員耐性推定部を備え、捩れ棒拘束装置は、乗員耐性推定部で推定された乗員の耐性に基づいて、前記乗員拘束力の制限値を変化させることが好適である。この態様によれば、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を乗員の耐性に応じて適切に変化させることができる。
また、本発明に係る車両の乗員保護装置は、シートベルトによって乗員を拘束する車両の乗員保護装置であって、シートベルトが巻回され、回転軸まわりに回転することでシートベルトの引き出しまたは巻き取りを行うベルト巻回部材と、捩り変形可能な捩れ棒と、捩れ棒にその長手方向に沿って移動可能に配設された伝動部材であって、ベルト巻回部材と捩れ棒との間のトルク伝達を許容するようベルト巻回部材と係合する伝動部材と、伝動部材を捩れ棒の長手方向に沿って移動させる伝動部材駆動装置と、捩れ棒の一部分を拘束部材に拘束することが可能な捩れ棒拘束装置と、を備え、捩れ棒拘束装置により一部分が拘束部材に拘束された捩れ棒が捩り変形することで、シートベルトによる乗員拘束力が制限され、伝動部材駆動装置は、前記乗員拘束力が制限される場合に、伝動部材を捩れ棒の長手方向に沿って移動させ、捩れ棒における拘束部材に拘束された部分とベルト巻回部材及び伝動部材の係合箇所との距離を変化させることで、該乗員拘束力の制限値を変化させることを要旨とする。
本発明によれば、伝動部材を捩れ棒の長手方向に沿って移動させ、捩れ棒における拘束部材に拘束された部分とベルト巻回部材及び伝動部材の係合箇所との距離を変化させることで、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を変化させることができるので、捩れ棒の構成の複雑化を招くことなく、乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができる。その結果、構成の大型化を招くことなく、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができる。
本発明の一態様では、ベルト巻回部材及び伝動部材の係合箇所は、捩れ棒の長手方向に沿った伝動部材の移動に応じて捩れ棒の径方向に変化し、伝動部材駆動装置は、前記乗員拘束力が制限される場合に、伝動部材を捩れ棒の長手方向に沿って移動させ、捩れ棒における拘束部材に拘束された部分とベルト巻回部材及び伝動部材の係合箇所との距離を変化させるとともに捩れ棒と当該係合箇所との距離を変化させることで、該乗員拘束力の制限値を変化させることが好適である。この態様によれば、構成の大型化を招くことなく、シートベルトによる乗員拘束力の制限値の可変範囲を増大させることができ、乗員拘束力の制限値を変化させる際の自由度を高めることができる。
また、本発明に係る車両の乗員保護装置は、シートベルトによって乗員を拘束する車両の乗員保護装置であって、シートベルトが巻回され、回転軸まわりに回転することでシートベルトの引き出しまたは巻き取りを行うベルト巻回部材と、捩り変形可能な捩れ棒と、捩れ棒にその径方向に沿って移動可能に配設された伝動部材であって、ベルト巻回部材と捩れ棒との間のトルク伝達を許容するようベルト巻回部材と係合する伝動部材と、伝動部材を捩れ棒の径方向に沿って移動させる伝動部材駆動装置と、捩れ棒の一部分を拘束部材に拘束することが可能な捩れ棒拘束装置と、を備え、捩れ棒拘束装置により一部分が拘束部材に拘束された捩れ棒が捩り変形することで、シートベルトによる乗員拘束力が制限され、伝動部材駆動装置は、前記乗員拘束力が制限される場合に、伝動部材を捩れ棒の径方向に沿って移動させ、捩れ棒とベルト巻回部材及び伝動部材の係合箇所との距離を変化させることで、該乗員拘束力の制限値を変化させることを要旨とする。
本発明によれば、伝動部材を捩れ棒の径方向に沿って移動させ、捩れ棒とベルト巻回部材及び伝動部材の係合箇所との距離を変化させることで、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を変化させることができるので、捩れ棒の構成の複雑化を招くことなく、乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができる。その結果、構成の大型化を招くことなく、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができる。
本発明の一態様では、ベルト巻回部材の回転を拘束することが可能な部材であって、ベルト巻回部材の回転を拘束する際にベルト巻回部材のトルクを受けることでせん断力が作用するせん断部材と、せん断部材をせん断力の作用方向と略垂直方向に沿って移動させるせん断部材駆動装置と、を備え、ベルト巻回部材がせん断部材を破断させるために必要なせん断力は、せん断部材の移動方向に関する位置に応じて連続的に変化し、せん断部材駆動装置は、せん断部材をせん断力の作用方向と略垂直方向に沿って移動させ、ベルト巻回部材がせん断部材を破断させるために必要なせん断力を連続的に変化させることで、シートベルトによる乗員拘束力の最大値を連続的に変化させることが好適である。この態様によれば、構成の大型化を招くことなく、シートベルトによる乗員拘束力の最大値を無段階に変化させることができる。また、この態様では、せん断部材がせん断力を受けるときのせん断面積は、せん断部材の移動方向に関する位置に応じて連続的に変化することが好適である。また、この態様では、せん断部材の破断後に、捩れ棒拘束装置により一部分が拘束部材に拘束された捩れ棒が捩り変形することで、前記乗員拘束力が制限されることが好適である。
本発明の一態様では、捩れ棒の長手方向が前記回転軸と略平行であることが好適である。また、本発明の一態様では、捩れ棒拘束装置は、捩れ棒の一端部を拘束部材に拘束することが可能であることが好適である。
本発明の一態様では、車両の衝突に対する乗員の耐性を推定する乗員耐性推定部を備え、伝動部材駆動装置は、乗員耐性推定部で推定された乗員の耐性に基づいて、前記乗員拘束力の制限値を変化させることが好適である。この態様によれば、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を乗員の耐性に応じて適切に変化させることができる。
本発明の一態様では、車両の衝突に対する乗員の耐性を推定する乗員耐性推定部を備え、せん断部材駆動装置は、乗員耐性推定部で推定された乗員の耐性に基づいて、前記乗員拘束力の最大値を連続的に変化させることが好適である。この態様によれば、シートベルトによる乗員拘束力の最大値を乗員の耐性に応じて適切に変化させることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
「実施形態1」
図1,2は、本発明の実施形態1に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図であり、シートベルトリトラクタの概略構成を示す。図1はベルトリール(ボビン)2の中心軸2bと直交する方向から見た図を示し、図2はベルトリール2の中心軸方向から見た図を示す。本実施形態に係る車両の乗員保護装置は、シートベルト4によって車両の乗員を拘束することで、車両衝突時の衝撃から乗員を保護するものである。
乗員を拘束するためのシートベルト4は、ベルトリール2の外周部に巻回されている。ベルトリール2は、ベアリング12,13を介してリトラクターフレーム1,3に取り付けられていることで、その中心軸(以下、回転中心軸とする)2bまわりに回転可能にリトラクターフレーム1,3に支持されている。リトラクターフレーム1,3の回転は拘束されている。ベルトリール2が回転中心軸2bまわりに回転することで、シートベルト4の引き出しまたは巻き取りが行われる。通常時は、乗員を緩やかに拘束するために、シートベルト4が乗員の体表面に密接するようにシートベルト4の引き出し/巻き取りが行われる。
複数本(図1,2では2本の例を示す)のトーションバー(捩れ棒)5a,5bは、それぞれ捩り変形可能であり、ベルトリール2の内側に互いに平行に配設されている。各トーションバー5a,5bの一端部はリトラクターフレーム3に回転可能に支持されており、各トーションバー5a,5bの他端部はリトラクターフレーム1に回転可能に支持されている。図1,2に示す例では、各トーションバー5a,5bの長手方向は、ベルトリール2の回転中心軸2bと平行(あるいはほぼ平行)であり、各トーションバー5a,5bの中心軸は、ベルトリール2の回転中心軸2bからずらされて配置されている。各トーションバー5a,5bの他端部付近には歯車(外歯車)6a,6bがそれぞれ配設されており、ベルトリール2の内周面にも歯車(内歯車)2aが配設されている。トーションバー5aの歯車6aがベルトリール2の歯車2aと噛み合うことで、トーションバー5aとベルトリール2との間でトルク伝達を行うことが可能である。同様に、トーションバー5bの歯車6bがベルトリール2の歯車2aと噛み合うことで、トーションバー5bとベルトリール2との間でトルク伝達を行うことが可能である。ベルトリール2が回転中心軸2bまわりに回転する(シートベルト4の引き出しまたは巻き取りが行われる)ときには、トーションバー5a,5bもその中心軸まわりに回転する。
各トーションバー5a,5bの一端部には、ロック歯車7a,7bがそれぞれ配設されている。リトラクターフレーム3には、ラチェット爪9a,9bがロック歯車7a,7bとそれぞれ対向して取り付けられている。ラチェット爪9aは回転軸19aまわりに回動可能であり、ラチェット爪9bは回転軸19bまわりに回動可能である。図3のロック歯車7a(7b)及びラチェット爪9a(9b)の部分の拡大図に示すように、ばね14aは、ラチェット爪9aをロック歯車7a側へ移動させる方向の力を発生させている。同様に、ばね14bは、ラチェット爪9bをロック歯車7b側へ移動させる方向の力を発生させている。さらに、リトラクターフレーム3には、ベルトリール2の回転中心軸2bと平行方向に移動可能なロックピン8a,8bが取り付けられている。図4のロックピン8a(8b)及びソレノイド16a(16b)の部分の拡大図に示すように、ばね15aは、ロックピン8aをリトラクターフレーム3の外側(図1,4の右側)へ突出させる方向の力(弾性力)を発生させており、ソレノイド16aは、その通電によって、ロックピン8aをリトラクターフレーム3の内側(図1,4の左側)へ引っ込める方向の力(電磁力)を発生させることができる。同様に、ばね15bは、ロックピン8bをリトラクターフレーム3の外側へ突出させる方向の弾性力を発生させており、ソレノイド16bは、その通電によって、ロックピン8bをリトラクターフレーム3の内側へ引っ込める方向の電磁力を発生させることができる。
ソレノイド16aの通電が行われていない場合は、ロックピン8aがリトラクターフレーム3の外側へ突出してラチェット爪9aに当接しており、ラチェット爪9aのロック歯車7a側への移動がロックピン8aにより阻止されている。この場合は、ロック歯車7aとラチェット爪9aとの噛み合いが解除されており、トーションバー5aの一端部はリトラクターフレーム3に拘束されない。一方、ソレノイド16aの通電が行われている場合は、ロックピン8aがリトラクターフレーム3の内側へ引っ込んで、ラチェット爪9aのロック歯車7a側への移動が許容される。この場合は、ロック歯車7aとラチェット爪9aとが噛み合うことで、トーションバー5aの一端部(一部分)がリトラクターフレーム3に拘束される。同様に、ソレノイド16bの通電が行われていない場合は、ロックピン8bがリトラクターフレーム3の外側へ突出してラチェット爪9bに当接しており、ラチェット爪9bのロック歯車7b側への移動がロックピン8bにより阻止されている。この場合は、ロック歯車7bとラチェット爪9bとの噛み合いが解除されており、トーションバー5bの一端部はリトラクターフレーム3に拘束されない。一方、ソレノイド16bの通電が行われている場合は、ロックピン8bがリトラクターフレーム3の内側へ引っ込んで、ラチェット爪9bのロック歯車7b側への移動が許容される。この場合は、ロック歯車7bとラチェット爪9bとが噛み合うことで、トーションバー5bの一端部(一部分)がリトラクターフレーム3に拘束される。このように、ソレノイド16a,16bの通電を選択的に行うことで、各トーションバー5a,5bの一端部(一部分)をリトラクターフレーム3に選択的に拘束することが可能である。
通常時は、ソレノイド16a,16bの通電が行われず、トーションバー5a,5bの一端部がリトラクターフレーム3に拘束されない。このときは、ベルトリール2の回転(シートベルト4の引き出し及び巻き取り)が許容される。一方、車両が衝突した場合等、乗員に作用する車両前方の慣性力によってシートベルト4が引き出される場合は、ソレノイド16a,16bの少なくとも一方の通電が行われることで、トーションバー5a,5bの少なくとも一方の一端部がリトラクターフレーム3に拘束される。例えば、ソレノイド16a,16bの両方に通電してトーションバー5a,5bの両方の一端部をリトラクターフレーム3に拘束したときは、シートベルト4の引き出し(ベルトリール2の回転)に伴ってトーションバー5a,5bの両方が捩られて弾性変形を起こす。その後、シートベルト4の張力が所定の荷重に達してベルトリール2に加わるトルクが所定値を超えると、トーションバー5a,5bが塑性変形による捩り変形を起こし、この捩り変形に応じた分、ベルトリール2の回転が許容されることで、シートベルト4の引き出し荷重、つまりシートベルト4による乗員拘束力が制限される。一方、ソレノイド16aのみに通電してトーションバー5aのみの一端部をリトラクターフレーム3に拘束したときは、ベルトリール2の回転に伴ってトーションバー5aのみが捩り変形(塑性変形)を起こし、この捩り変形に応じた分、ベルトリール2の回転が許容されることで、シートベルト4による乗員拘束力が制限される。乗員に作用する慣性力が等しい条件で比較すると、ソレノイド16aのみに通電したときのトーションバー5aの捩り変形量(シートベルト4の引き出し許容量)は、ソレノイド16a,16bの両方に通電したときのトーションバー5a,5bの捩り変形量(シートベルト4の引き出し許容量)よりも大きくなる。そのため、ソレノイド16aのみに通電したときのシートベルト4による乗員拘束力の制限値は、ソレノイド16a,16bの両方に通電したときの乗員拘束力の制限値よりも小さくなる。したがって、ソレノイド16a,16bの通電の選択(一端部をリトラクターフレーム3に拘束するトーションバー5a,5bの選択)を変えることで、シートベルト4による乗員拘束力(シートベルト4の引き出し荷重)の制限値を変化させることができる。
さらに、ソレノイド16aのみに通電したときとソレノイド16bのみに通電したときとで、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を異ならせるために、トーションバー5aの捩り特性(捩り剛性)をトーションバー5bの捩り特性(捩り剛性)と異ならせる。例えばトーションバー5aの外径をトーションバー5bの外径と異ならせる等、トーションバー5aの断面形状をトーションバー5bの断面形状と異ならせることで、トーションバー5aの捩り剛性をトーションバー5bの捩り剛性と異ならせることができる。また、トーションバー5aの材質をトーションバー5bの材質と異ならせることによっても、トーションバー5aの捩り剛性をトーションバー5bの捩り剛性と異ならせることができる。例えばトーションバー5bの捩り剛性がトーションバー5aの捩り剛性よりも低い場合は、乗員に作用する慣性力が等しい条件で比較すると、ソレノイド16bのみに通電したときのトーションバー5bの捩り変形量が、ソレノイド16aのみに通電したときのトーションバー5aの捩り変形量よりも大きくなる。そのため、ソレノイド16bのみに通電したときのシートベルト4による乗員拘束力の制限値は、ソレノイド16aのみに通電したときの乗員拘束力の制限値よりも小さくなる。したがって、一端部をリトラクターフレーム3に拘束するトーションバーを2本のトーションバー5a,5bの中から選択する場合は、トーションバー5aのみの一端部を拘束するときとトーションバー5aのみの一端部を拘束するときとトーションバー5a,5bの両方の一端部を拘束するときとで、シートベルト4による乗員拘束力の制限値をそれぞれ異ならせることができ、乗員拘束力の制限値を22−1=3通りに変化させることができる。なお、一本のトーションバー(例えばトーションバー5a)にほとんど捩り変形が生じないようにトーションバーの捩り剛性を設定することもできる。
本実施形態では、ソレノイド16a,16bの通電の選択(一端部をリトラクターフレーム3に拘束するトーションバー5a,5bの選択)は、図5に示す構成の制御装置50によって行われる。以下、制御装置50の構成例について図5を用いて説明する。以下の説明では、トーションバー5bの捩り剛性がトーションバー5aの捩り剛性よりも低い例について説明する。
乗員耐性推定部52は、車両の衝突に対する乗員の耐性を推定する。ここでは、例えば乗員の身長、体重、年齢、性別、及び骨密度等を含む乗員の衝突耐性に関連する情報をICカードに予め記憶しておき、ICカードから読み取った情報に基づいて乗員の耐性を推定することができる。あるいは、乗員によって入力された乗員の衝突耐性に関連する情報を制御装置50内の記憶装置に予め記憶しておき、この記憶した情報に基づいて乗員の耐性を推定することもできる。乗員着座姿勢取得部54は、例えばシート位置センサ56により検出されたシート位置とシート傾斜角度センサ58により検出されたシート傾斜角度とに基づいて乗員の着座姿勢を取得する。衝突検知部60は、例えば加速度センサ62により検出された車両加速度に基づいて車両の衝突を検知する。衝突検知部60により車両の衝突が検知された場合は、図示しないプリテンショナーによってシートベルト4を巻き取ることで乗員の初期拘束を行う。さらに、図示しないベルトロック機構によってシートベルト4がクランプされてロックされる。これによって、衝突時に乗員がシートベルト荷重により拘束される。
乗員拘束力制御部64は、衝突検知部60により車両の衝突が検知された場合に、ソレノイド16a,16bの少なくとも1つ以上に通電することで、シートベルト4による乗員拘束力(シートベルト4の引き出し荷重)を制限する。さらに、乗員拘束力制御部64は、乗員耐性推定部52で推定された乗員の耐性と乗員着座姿勢取得部54で取得された乗員の着座姿勢とに基づいて、通電するソレノイド16a,16bを選択して一端部をリトラクターフレーム3に拘束するトーションバー5a,5bを選択することで、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を制御する。例えば、推定された乗員の衝突耐性が高齢者層レベルの衝突耐性である場合は、乗員拘束力制御部64は、ソレノイド16bのみに通電してトーションバー5bのみの一端部を拘束することで、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を低く設定する。また、推定された乗員の衝突耐性が若年層レベルの衝突耐性である場合は、乗員拘束力制御部64は、ソレノイド16a,16bの両方に通電してトーションバー5a,5bの両方の一端部を拘束することで、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を高く設定する。
以上説明した本実施形態では、一端部(一部分)をリトラクターフレーム3に拘束するトーションバー5a,5bの選択を変えることで、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を3段階に変化させることができるので、乗員拘束力の制限値を多段階に変化させるためのトーションバー5a,5bの構成を簡略化することができる。したがって、構成の大型化を招くことなく、乗員拘束力の制限値を多段階に変化させることができる。その結果、車両の衝突時に、乗員の衝突耐性や着座姿勢に応じて、シートベルト4によって乗員をより適切に拘束することができる。
なお、特許文献2においては、スプール(ベルトリール)の中心部に第1トーションバーが、スプールの外側に第2トーションバーがそれぞれ設けられおり、第1トーションバーと第2トーションバーとが歯車を介して噛み合っている。そして、第2トーションバーの中央部(一部分)を拘束するロック機構を作動させるか否かを切り替えることで、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を変化させている。さらに、特許文献2において、シートベルトによる乗員拘束力の制限値を多段階に変化させるためには、第2トーションバーの一部分を拘束するためのロック機構を多数設け、第2トーションバーの歯車とロック機構との距離ηを各ロック機構毎に異ならせる必要がある。しかし、特許文献2において、乗員拘束力の制限値を増大させる場合は、距離ηを短く設定することになるが、その場合は、距離ηが短くなることにより、第2トーションバーが捩り切れて破断しやすくなる。そのため、乗員拘束力の制限値を設定する際の自由度が少ない。これに対して本実施形態では、各トーションバー5a,5bの捩り特性(捩り剛性)を設定する際の自由度が高く、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を設定する際の自由度も高い。
また、特許文献2においては、第2トーションバーがスプールの外側に設けられており、第2トーションバーの中央部を拘束するために第2トーションバーの中央部にラチェット爪が取り付けられているため、スプールに巻き付けられたシートベルトと第2トーションバーのラチェット爪とが干渉する可能性がある。これに対して本実施形態では、トーションバー5a,5bがベルトリール2の内側に配置されているため、シートベルト4とロック歯車7a,7bとの干渉を防止することができる。
また、本実施形態では、各トーションバー5a,5bの中心軸がベルトリール2の回転中心軸2bからずらされて配置されている。そのため、トーションバーの中心軸がベルトリール2の回転中心軸2bと一致する場合と比較して、各トーションバー5a,5bのモーメントアームを小さくすることができ、乗員拘束力を制限する際に各トーションバー5a,5bが受けるトルクを小さくすることができる。したがって、トーションバー5a,5bの重量を低減することができる。
また、本実施形態では、リトラクターフレーム1,3がベルトリール2を回転中心軸2bまわりに回転可能に支持している。そのため、トーションバー5a,5bが捩り切れて破断したときでも、ベルトリール2がリトラクターフレーム1,3から脱落することなく、ベルトリール2が不安定となるのを防止することができる。
また、本実施形態では、乗員拘束力制御部64は、車両の衝突が検知された後に(車両の衝突過程において)、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を変化させることもできる。例えば、図示しないセンサにより検出されたシートベルト4の張力に基づいて、通電するソレノイド16a,16b(一端部を拘束するトーションバー5a,5b)の選択を変更することで、乗員拘束力の制限値を変化(増大)させることができる。また、車両の衝突過程における乗員の移動量に基づいて、一端部を拘束するトーションバー5a,5bの選択を変更することもできる。さらに、乗員の移動量に代えて、または乗員の移動量に加えて、車両の衝突過程における乗員の移動速度を用いることもできる。これによって、車両の衝突状況に応じて、シートベルト4によって乗員をより適切に拘束することができる。なお、ここでの乗員の移動量(移動速度)については、例えば図示しない車載カメラで乗員を撮影することにより得られた画像データ(動画データ)に基づいて検出することができる。
以上の実施形態1の説明では、トーションバー5aの捩り剛性をトーションバー5bの捩り剛性と異ならせることにより、ソレノイド16aのみに通電したときとソレノイド16bのみに通電したときとで、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を異ならせるものとした。ただし、本実施形態では、歯車6aとロック歯車7aとの距離を、歯車6bとロック歯車7bとの距離と異ならせることもできる。つまり、トーションバー5aにおけるベルトリール2に対しトルク伝達を行う部分とリトラクターフレーム3に拘束される部分との距離を、トーションバー5bにおけるベルトリール2に対しトルク伝達を行う部分とリトラクターフレーム3に拘束される部分との距離と異ならせることもできる。また、本実施形態では、トーションバー5aの中心軸とベルトリール2の回転中心軸2bとの距離を、トーションバー5bの中心軸とベルトリール2の回転中心軸2bとの距離と異ならせることもできる。これらの構成によっても、ソレノイド16aのみに通電したときとソレノイド16bのみに通電したときとで、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を異ならせることができる。
また、本実施形態では、捩り変形可能で且つベルトリール2に対しトルク伝達を行うことが可能なトーションバーを3本以上設けることもできる。図6は、3本のトーションバー5a,5b,5cを配設した例を示している。トーションバー5a,5bと同様に、トーションバー5cも、例えば歯車同士の噛み合いにより、ベルトリール2に対しトルク伝達を行うことができる。各トーションバー5a,5b,5cの捩り剛性は、それぞれ異なる値に設定されている。ロック歯車7c、ラチェット爪9c、及びロックピン8cは、トーションバー5cに対応して設けられており、ロック歯車7a,7b、ラチェット爪9a,9b、及びロックピン8a,8bとそれぞれ同様の構成である。つまり、ロック歯車7cとラチェット爪9cとが噛み合うことで、トーションバー5cの一端部(一部分)がリトラクターフレーム3に拘束される。図6に示す3本のトーションバー5a,5b,5cを配設した構成例では、一端部をリトラクターフレーム3に拘束するトーションバー5a,5b,5cの選択を変えることで、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を23−1=7通りに変化させることができる。このように、N本(Nは2以上の整数)のトーションバーを配設した場合は、一端部(一部分)をリトラクターフレーム3に拘束するトーションバーの選択を変えることで、シートベルト4による乗員拘束力の制限値を2N−1通りに変化させることができる。したがって、トーションバーの本数を増やすことで、乗員拘束力の制限値をより多段階に変化させることができる。
「実施形態2」
図7〜11は、本発明の実施形態2に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図であり、シートベルトリトラクタの概略構成を示す。図7はベルトリール(ボビン)102の中心軸102bと直交する方向から見た全体の概略構成を示し、図8は図7のA方向から見たトーションバー105の概略構成を示し、図9は図7のB方向から見たベルトリール102及びトーションバー105(伝動板125)の概略構成を示し、図10は図7のC方向から見たベルトリール102(拘束板111)の概略構成を示し、図11は図7のC方向から見たトーションバー105(拘束板107)の概略構成を示す。乗員を拘束するためのシートベルト104は、ベルトリール102の外周部に巻回されている。ベルトリール102は、ベアリング112を介してリトラクターフレーム101に取り付けられていることで、その中心軸(以下、回転中心軸とする)102bまわりに回転可能にリトラクターフレーム101に支持されている。リトラクターフレーム101の回転は拘束されている。ベルトリール102が回転中心軸102bまわりに回転することで、シートベルト104の引き出しまたは巻き取りが行われる。
ベルトリール102の回転軸方向に関する一端部には、拘束板111が配設されている。図10に示すように、拘束板111の外周面には、複数の窪み部111aが拘束板111の周方向に沿って並んで形成されている。可動軸129は、ベルトリール102の径方向(あるいはほぼ径方向)に沿って移動可能にリトラクターフレーム101に支持されており、可動軸129には、せん断ピン128が拘束板111の外周面と対向して取り付けられている。せん断ピン128が拘束板111側(ベルトリール102の径方向内側、図10のPの位置)へ移動すると、せん断ピン128が拘束板111の窪み部111aに嵌ることで拘束板111と噛み合う(係合する)。これによって、ベルトリール102の回転を拘束することができる。ベルトリール102の回転をせん断ピン128により拘束する際には、ベルトリール102に加わるトルクをせん断ピン128が受けることで、せん断ピン128にはベルトリール102の周方向のせん断力が作用する。
アクチュエータ132は、可動軸129(せん断ピン128)をベルトリール102の径方向内側へ移動させるための力を発生させることができる。一方、ばね127は、せん断ピン128をベルトリール102の径方向外側へ移動させるための力(弾性力)を発生させている。ベルトリール102の径方向に関するせん断ピン128の位置は、アクチュエータ132によるベルトリール102の径方向内側への力とばね127によるベルトリール102の径方向外側への力との釣り合いに応じて決まる。そのため、アクチュエータ132で発生させる力を連続的に変化させることで、せん断ピン128をベルトリール102の径方向(せん断ピン128へのせん断力の作用方向と垂直方向)に沿って無段階に移動させることができる。図12,13に示すように、せん断ピン128の移動方向(ベルトリール102の径方向)と垂直な断面の面積は、ベルトリール102の径方向内側から径方向外側へ向かうにつれて徐々に変化(増大)している。そのため、アクチュエータ132によりせん断ピン128をその移動方向に沿って連続的に移動させることで、せん断ピン128がせん断力を受けるときのせん断面積(せん断力を受ける部分の断面積)を、せん断ピン128の移動方向に関する位置に応じて連続的に変化させることができる。せん断ピン128は、そのせん断面積に応じた値を超えるせん断力が作用したときに破断するため、ベルトリール102がせん断ピン128を破断させるために必要なせん断力も、せん断ピン128の移動方向に関する位置に応じて連続的に変化する。図7,10に示す例では、ベルトリール102の径方向に関するせん断ピン128の位置が内側であるほど、せん断ピン128のせん断面積が増大し、ベルトリール102がせん断ピン128を破断させるために必要なせん断力も増大する。例えば、せん断ピン128の位置が図12のP1,P2,P3の位置である場合で比較すると、図13に示すように、せん断ピン128が位置P1にあるときにせん断面積が最も大きく、せん断ピン128が位置P3にあるときにせん断面積が最も小さい。
捩り変形可能なトーションバー(捩れ棒)105は、ベアリング113を介してリトラクターフレーム101に取り付けられていることで、その中心軸まわりに回転可能にリトラクターフレーム101に支持されている。図7,9に示す例では、トーションバー105の長手方向は、ベルトリール102の回転中心軸102bと平行(あるいはほぼ平行)であり、さらに、トーションバー105の中心軸は、ベルトリール102の回転中心軸102bと一致している。トーションバー105の軸心部には、トーションバー105の長手方向に沿って移動可能な可動軸134が配設されており、可動軸134には、伝動板125がトーションバー105の径方向外側へ突出して取り付けられている。つまり、伝動板125は、可動軸134を介してトーションバー105にその長手方向に沿って移動可能に支持されている。
一方、ベルトリール102の内周部には、図7,9に示すように、伝動板125を挟む係合部102cがベルトリール102の径方向内側へ突出して配設されている。ベルトリール102の径方向に関する係合部102cの長さ(突出長さ)は、ベルトリール102の回転中心軸方向(トーションバー105の長手方向)に関する位置に応じて連続的に変化している。図7に示す例では、係合部102cの突出長さが、トーションバー105の一端部側(図7の右側)から他端部側(図7の左側)へ向かうにつれて徐々に減少している。伝動板125は、ベルトリール102の係合部102cと係合(当接)していることで、ベルトリール102とトーションバー105との間でトルク伝達を行うことが可能である。ベルトリール102が回転中心軸102bまわりに回転する(シートベルト104の引き出しまたは巻き取りが行われる)ときには、トーションバー105もその中心軸まわりに回転し、可動軸134及び伝動板125もトーションバー105とともに回転する。
アクチュエータ124は、可動軸134(伝動板125)をトーションバー105の一端部側へ移動させるための力を発生させることができる。一方、ばね133は、伝動板125をトーションバー105の他端部側へ移動させるための力(弾性力)を発生させている。トーションバー105の長手方向に関する伝動板125の位置は、アクチュエータ124によるトーションバー105の一端部側への力とばね133によるトーションバー105の他端部側への力との釣り合いに応じて決まる。そのため、アクチュエータ124で発生させる力を連続的に変化させることで、伝動板125をトーションバー105の長手方向に沿って無段階に移動させることができる。伝動板125がトーションバー105の長手方向に沿って連続的に移動すると、係合部102cと伝動板125との係合箇所(当接箇所)もトーションバー105の長手方向に沿って無段階に変化する。さらに、係合部102cの突出長さは、トーションバー105の長手方向に関する位置に応じて連続的に変化するため、伝動板125がトーションバー105の長手方向に沿って連続的に移動すると、係合部102c(ベルトリール102)と伝動板125との係合箇所がトーションバー105の径方向に沿って無段階に変化する。図7に示す例では、係合部102cの突出長さがトーションバー105の一端部側から他端部側へ向かうにつれて徐々に減少するため、伝動板125がトーションバー105の一端部側へ移動すると、係合部102cと伝動板125との係合箇所がトーションバー105の径方向内側へ変化する。一方、伝動板125がトーションバー105の他端部側へ移動すると、係合部102cと伝動板125との係合箇所がトーションバー105の径方向外側へ変化する。
トーションバー105の一端部には、拘束板107が配設されている。図11に示すように、拘束板107の外周面には、複数の窪み部107aが拘束板107の周方向に沿って並んで形成されている。リトラクターフレーム101には、回転軸119まわりに回動可能な係止ピン(ラチェット爪)109が拘束板107の外周面と対向して取り付けられている。ばね114は、係止ピン109を拘束板107側(トーションバー105の径方向内側)へ移動させる方向の力を発生させている。一方、係止ピン109の拘束板107側への移動は、図示しない係止装置により拘束されている。
アクチュエータ132がせん断ピン128を拘束板111側へ移動させて拘束板111と係合させるのと連動して、係止装置による係止ピン109の拘束が解除される。これによって、係止ピン109の拘束板107側への移動が許容される。図11の破線に示すように、係止ピン109が拘束板107側へ移動して拘束板107の窪み部107aに嵌ると、係止ピン109と拘束板107とが噛み合う(係合する)。これによって、トーションバー105の一端部(一部分)をリトラクターフレーム101に拘束することができる。
通常時は、アクチュエータ132によるせん断ピン128の駆動は行われず、せん断ピン128は拘束板111と係合しない位置にある。さらに、係止ピン109の拘束板107側への移動が係止装置により拘束されていることで、係止ピン109も拘束板107と係合しない位置にある。このときは、ベルトリール102の回転(シートベルト104の引き出し及び巻き取り)が許容される。一方、車両が衝突する場合等、乗員に作用する車両前方の慣性力によってシートベルト104が引き出される場合は、アクチュエータ132によりせん断ピン128を拘束板111側へ移動させることで、せん断ピン128と拘束板111とを係合する。これによって、せん断ピン128が破断するまでベルトリール102の回転を一時的に拘束することができ、乗員をシートベルト104により拘束することができる。その際に、ベルトリール102に加わるトルクによってせん断ピン128に作用するせん断力が増大して、せん断ピン128のせん断面積に応じた値を超えると、せん断ピン128が破断する。シートベルト104の引き出し荷重の最大値、つまりシートベルト104による乗員拘束力の最大値は、せん断ピン128が破断するときのせん断力に応じて決まる。そのため、アクチュエータ132によりせん断ピン128をせん断力の作用方向と垂直方向(あるいはほぼ垂直方向)に沿って移動させて、せん断ピン128のせん断面積を連続的に変化させる、つまりベルトリール102がせん断ピン128を破断させるために必要なせん断力を連続的に変化させることで、シートベルト104による乗員拘束力(シートベルト104の引き出し荷重)の最大値を連続的に変化させることができる。例えば、せん断ピン128の位置が図12のP1,P2,P3の位置である場合で比較すると、せん断ピン128が位置P1にあるときに乗員拘束力の最大値が最も大きく、せん断ピン128が位置P3にあるときに乗員拘束力の最大値が最も小さい。
せん断ピン128の破断後は、図11の破線に示すように係止ピン109と拘束板107とが係合することで、トーションバー105の一端部がリトラクターフレーム101に拘束される。トーションバー105の一端部の拘束後は、実施形態1と同様に、ベルトリール102の回転に伴ってトーションバー105が捩り変形(塑性変形)を起こし、この捩り変形に応じた分、ベルトリール102の回転が許容されることで、シートベルト104による乗員拘束力が制限される。その際に、アクチュエータ124により伝動板125をトーションバー105の長手方向に沿って連続的に移動させると、トーションバー105の一端部(リトラクターフレーム101に拘束された部分)とベルトリール102及び伝動板125の係合箇所との距離が無段階に変化する。これによって、シートベルト104の引き出し許容量を無段階に変化させることができ、シートベルト104による乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができる。例えば、伝動板125をトーションバー105の一端部側へ移動させると、トーションバー105の一端部に対するベルトリール102及び伝動板125の係合箇所の距離が短くなることで、シートベルト104の引き出し許容量が小さく設定され、乗員拘束力の制限値が増大する。
さらに、せん断ピン128の破断後にシートベルト104による乗員拘束力を制限する際に、伝動板125をトーションバー105の長手方向に沿って連続的に移動させると、トーションバー105の中心軸とベルトリール102及び伝動板125の係合箇所との距離も無段階に変化する。これによっても、シートベルト104の引き出し許容量を無段階に変化させることができ、シートベルト104による乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができる。例えば、伝動板125をトーションバー105の一端部側へ移動させると、トーションバー105の中心軸に対するベルトリール102及び伝動板125の係合箇所の距離が短くなることで、シートベルト104の引き出し許容量が小さく設定され、乗員拘束力の制限値が増大する。
本実施形態では、車両衝突時におけるシートベルト104による乗員拘束力(シートベルト104の引き出し荷重)は、シートベルト104の引き出し量(伸び)に応じて、例えば図14に示すように変化する。図14において、xは乗員拘束力の最大値を表し、yは乗員拘束力の制限値を表す。本実施形態では、アクチュエータ132の駆動制御により図14におけるxの値を無段階に変化させることができ、アクチュエータ124の駆動制御により図14におけるyの値を無段階に変化させることができる。
本実施形態では、アクチュエータ124,132の駆動制御は、図15に示す構成の制御装置150によって行われる。以下、制御装置150の構成例について図15を用いて説明する。
図15において、乗員耐性推定部52、乗員着座姿勢取得部54、シート位置センサ56、シート傾斜角度センサ58、衝突検知部60、及び加速度センサ62の構成は、実施形態1と同様である。乗員拘束力制御部164は、衝突検知部60により車両の衝突が検知された場合に、乗員耐性推定部52で推定された乗員の耐性と乗員着座姿勢取得部54で取得された乗員の着座姿勢とに基づいて、アクチュエータ132の駆動制御によりせん断ピン128の位置(せん断面積)を制御することで、シートベルト104による乗員拘束力の最大値を制御する。さらに、乗員拘束力制御部164は、衝突検知部60により車両の衝突が検知された場合に、乗員の耐性と着座姿勢とに基づいて、アクチュエータ124の駆動制御によりトーションバー205の長手方向に関する伝動板125の位置を制御することで、シートベルト104による乗員拘束力の制限値を制御する。例えば、推定された乗員の衝突耐性が高齢者層レベルの衝突耐性である場合は、乗員拘束力制御部164は、せん断ピン128の位置を図12のP3の位置に制御してせん断ピン128のせん断面積を小さく設定することで、乗員拘束力の最大値を低く設定する。さらに、トーションバー105の一端部とベルトリール102及び伝動板125の係合箇所との距離を長く設定することで、乗員拘束力の制限値を低く設定する。また、推定された乗員の衝突耐性が若年層レベルの衝突耐性である場合は、乗員拘束力制御部164は、せん断ピン128の位置を図12のP1の位置に制御してせん断ピン128のせん断面積を大きく設定することで、乗員拘束力の最大値を高く設定する。さらに、トーションバー105の一端部とベルトリール102及び伝動板125の係合箇所との距離を短く設定することで、乗員拘束力の制限値を高く設定する。
以上説明した本実施形態では、シートベルト104による乗員拘束力を制限する際に、トーションバー105の一端部とベルトリール102及び伝動板125の係合箇所との距離を連続的に変化させることで、乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができるので、トーションバー105の構成の複雑化を招くことなく、乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができる。したがって、構成の大型化を招くことなく、乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができる。その結果、車両の衝突時に、乗員の衝突耐性や着座姿勢に応じて、シートベルト104によって乗員をより適切に拘束することができる。
さらに、本実施形態では、トーションバー105の一端部とベルトリール102及び伝動板125の係合箇所との距離を連続的に変化させながら、トーションバー105の中心軸とベルトリール102及び伝動板125の係合箇所との距離も無段階に変化させることができる。したがって、構成の大型化を招くことなく、乗員拘束力の制限値の可変範囲を増大させることができ、乗員拘束力の制限値を変化させる際の自由度を高めることができる。
また、本実施形態では、せん断ピン128のせん断面積を連続的に変化させることで、シートベルト104による乗員拘束力の最大値を無段階に変化させることができる。したがって、構成の大型化を招くことなく、乗員拘束力の最大値を無段階に変化させることができる。その結果、車両の衝突時に、シートベルト104によって乗員をより適切に拘束することができる。
また、本実施形態では、乗員拘束力制御部164は、車両の衝突が検知された後に(車両の衝突過程において)、シートベルト104による乗員拘束力の最大値及び制限値を変化させることもできる。例えば、図示しないセンサにより検出されたシートベルト4の張力に基づいて、せん断ピン128の位置(せん断面積)及び伝動板125の位置を制御することで、乗員拘束力の最大値及び制限値をそれぞれ変化させることができる。また、車両の衝突過程における乗員の移動量(あるいは移動速度)に基づいて、せん断ピン128の位置及び伝動板125の位置をそれぞれ制御することもできる。これによって、車両の衝突状況に応じて、シートベルト104によって乗員をより適切に拘束することができる。
「実施形態3」
図16,17は、本発明の実施形態3に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図であり、シートベルトリトラクタの概略構成を示す。図16はベルトリール(ボビン)202の中心軸202bと直交する方向から見た全体の概略構成を示し、図17はベルトリール202の中心軸方向から見たトーションバー205(拘束板207)の概略構成を示す。乗員を拘束するためのシートベルト204は、ベルトリール202の外周部に巻回されている。ベルトリール202は、その中心軸(以下、回転中心軸とする)202bまわりに回転可能にリトラクターフレーム(図16,17では図示を省略)に支持されている。リトラクターフレームの回転は拘束されている。ベルトリール202が回転中心軸202bまわりに回転することで、シートベルト204の引き出しまたは巻き取りが行われる。
捩り変形可能なトーションバー(捩れ棒)205は、その中心軸まわりに回転可能にリトラクターフレームに支持されている。図16に示す例では、トーションバー205の長手方向は、ベルトリール202の回転中心軸202bと平行(あるいはほぼ平行)であり、さらに、トーションバー205の中心軸は、ベルトリール202の回転中心軸202bと一致している。トーションバー205の軸心部には、トーションバー205の長手方向に沿って移動可能な開広棒234が配設されており、開広棒234には、展開棒237を介して伝動棒225が連結されている。展開棒237は、トーションバー205の長手方向に沿った開広棒234の運動を、トーションバー205の径方向に沿った伝動棒225の運動に変換する。そのため、開広棒234がトーションバー205の長手方向に沿って移動すると、伝動棒225がトーションバー205の径方向に移動する。つまり、伝動棒225は、展開棒237を介してトーションバー205にその径方向に沿って移動可能に支持されている。
一方、ベルトリール202には係合板202cが配設されている。係合板202cには長穴202dが形成されており、長穴202dの長手方向は、トーションバー205の径方向と一致している。伝動棒225は、係合板202cの長穴202dに嵌っていることで、係合板202cと係合(当接)している。これによって、ベルトリール202とトーションバー205との間でトルク伝達を行うことが可能である。ベルトリール202が回転中心軸202bまわりに回転する(シートベルト204の引き出しまたは巻き取りが行われる)ときには、トーションバー205もその中心軸まわりに回転し、開広棒234、展開棒237、及び伝動棒225もトーションバー205とともに回転する。
トーションバー205の一端部には、拘束板207が配設されている。拘束板207は、図示しない拘束装置によりリトラクターフレームに拘束可能である。拘束板207には長穴207dが形成されており、長穴207dの長手方向は、トーションバー205の径方向と一致している。伝動棒225は、拘束板207の長穴207dに嵌っていることで、拘束板207と係合(当接)している。図示しないアクチュエータにより開広棒234をトーションバー205の長手方向に沿って連続的に移動させて、伝動棒225を係合板202cの長穴202d及び拘束板207の長穴207d(トーションバー205の径方向)に沿って連続的に移動させると、係合板202c(ベルトリール202)と伝動棒225との係合箇所(当接箇所)がトーションバー205の径方向に無段階に変化する。
通常時は、拘束装置による拘束板207の拘束は行われず、トーションバー205の一端部がリトラクターフレームに拘束されない。このときは、ベルトリール202の回転(シートベルト204の引き出し及び巻き取り)が許容される。一方、車両が衝突する場合等、乗員に作用する車両前方の慣性力によってシートベルト204が引き出される場合は、拘束装置による拘束板207の拘束が行われることで、トーションバー205の一端部(一部分)がリトラクターフレームに拘束される。トーションバー205の一端部の拘束後は、実施形態1,2と同様に、ベルトリール202の回転に伴ってトーションバー205が捩り変形(塑性変形)を起こし、この捩り変形に応じた分、ベルトリール202の回転が許容されることで、シートベルト204による乗員拘束力が制限される。その際に、アクチュエータにより伝動棒225をトーションバー205の径方向に沿って連続的に移動させると、トーションバー205の中心軸とベルトリール202及び伝動棒225の係合箇所との距離が無段階に変化する。これによって、シートベルト204の引き出し許容量を無段階に変化させることができ、シートベルト204による乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができる。例えば、伝動棒225をトーションバー205の径方向内側へ移動させると、トーションバー205の中心軸に対するベルトリール202及び伝動棒225の係合箇所の距離が短くなることで、シートベルト204の引き出し許容量が小さく設定され、乗員拘束力の制限値が増大する。
本実施形態では、拘束装置及びアクチュエータの駆動制御は、図18に示す構成の制御装置250によって行われる。以下、制御装置250の構成例について図18を用いて説明する。
図18において、乗員耐性推定部52、乗員着座姿勢取得部54、シート位置センサ56、シート傾斜角度センサ58、衝突検知部60、及び加速度センサ62の構成は、実施形態1,2と同様である。乗員拘束力制御部264は、衝突検知部60により車両の衝突が検知された場合に、拘束装置の駆動制御により拘束板207の回転を拘束する。さらに、乗員拘束力制御部264は、乗員耐性推定部52で推定された乗員の耐性と乗員着座姿勢取得部54で取得された乗員の着座姿勢とに基づいて、アクチュエータの駆動制御によりトーションバー205の径方向に関する伝動棒225の位置を制御することで、シートベルト204による乗員拘束力の制限値を制御する。例えば、推定された乗員の衝突耐性が高齢者層レベルの衝突耐性である場合は、乗員拘束力制御部264は、トーションバー205の中心軸とベルトリール202及び伝動棒225の係合箇所との距離を長く設定することで、乗員拘束力の制限値を低く設定する。また、推定された乗員の衝突耐性が若年層レベルの衝突耐性である場合は、乗員拘束力制御部264は、トーションバー205の中心軸とベルトリール202及び伝動棒225の係合箇所との距離を短く設定することで、乗員拘束力の制限値を高く設定する。
以上説明した本実施形態では、シートベルト204による乗員拘束力を制限する際に、トーションバー205の中心軸とベルトリール202及び伝動棒225の係合箇所との距離を連続的に変化させることで、乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができるので、トーションバー205の構成の複雑化を招くことなく、乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができる。したがって、構成の大型化を招くことなく、乗員拘束力の制限値を無段階に変化させることができる。その結果、車両の衝突時に、乗員の衝突耐性や着座姿勢に応じて、シートベルト204によって乗員をより適切に拘束することができる。
また、本実施形態では、乗員拘束力制御部264は、車両の衝突が検知された後に(車両の衝突過程において)、シートベルト204による乗員拘束力の制限値を変化させることもできる。例えば、図示しないセンサにより検出されたシートベルト4の張力に基づいて、伝動棒225の位置を制御することで、乗員拘束力の制限値を変化させることができる。また、車両の衝突過程における乗員の移動量(あるいは移動速度)に基づいて、伝動棒225の位置をそれぞれ制御することもできる。これによって、車両の衝突状況に応じて、シートベルト204によって乗員をより適切に拘束することができる。
なお、実施形態1,3においても、実施形態2の拘束板111、ばね127、せん断ピン128、可動軸129、及びアクチュエータ132を設けることができる。そして、実施形態1,3においても、実施形態2と同様に、アクチュエータ132によりせん断ピン128をせん断力の作用方向と垂直方向(あるいはほぼ垂直方向)に沿って移動させて、せん断ピン128のせん断面積(ベルトリールがせん断ピン128を破断させるために必要なせん断力)を連続的に変化させることで、シートベルトによる乗員拘束力の最大値を無段階に変化させることができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の実施形態1に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態1に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態1におけるロック歯車及びラチェット爪の部分を示す拡大図である。 本発明の実施形態1におけるロックピン及びソレノイドの部分を示す拡大図である。 本発明の実施形態1における制御装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態1に係る車両の乗員保護装置の他の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態2に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態2に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態2に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態2に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態2に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図である。 せん断ピンの位置に応じてせん断ピンのせん断面積が変化する動作を説明する図である。 せん断ピンの位置に応じてせん断ピンのせん断面積が変化する動作を説明する図である。 車両衝突時におけるシートベルトの引き出し荷重の一例を示す図である。 本発明の実施形態2における制御装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3に係る車両の乗員保護装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態3における制御装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
1,3,101 リトラクターフレーム、2,102,202 ベルトリール、4,104,204 シートベルト、5a,5b,5c,105,205 トーションバー、7a,7b,7c ロック歯車、8a,8b,8c ロックピン、9a,9b,9c ラチェット爪、16a,16b ソレノイド、50,150,250 制御装置、52 乗員耐性推定部、54 乗員着座姿勢取得部、60 衝突検知部、64,164,264 乗員拘束力制御部、102c 係合部、107,111,207 拘束板、109 係止ピン、124,132 アクチュエータ、125 伝動板、128 せん断ピン、202c 係合板、225 伝動棒。

Claims (19)

  1. シートベルトによって乗員を拘束する車両の乗員保護装置であって、
    シートベルトが巻回され、回転軸まわりに回転することでシートベルトの引き出しまたは巻き取りを行うベルト巻回部材と、
    それぞれが捩り変形可能なN本(Nは2以上の整数)の捩れ棒であって、その各々がベルト巻回部材に対しトルク伝達を行うことが可能なN本の捩れ棒と、
    各捩れ棒の一部分を拘束部材に選択的に拘束することが可能な捩れ棒拘束装置と、
    を備え、
    一部分が拘束部材に拘束された捩れ棒が捩り変形することで、シートベルトによる乗員拘束力が制限され、
    捩れ棒拘束装置は、一部分を拘束部材に拘束する捩れ棒の選択を変えることで、前記乗員拘束力の制限値を変化させる、車両の乗員保護装置。
  2. 請求項1に記載の車両の乗員保護装置であって、
    各捩れ棒の長手方向が前記回転軸と略平行である、車両の乗員保護装置。
  3. 請求項2に記載の車両の乗員保護装置であって、
    各捩れ棒が前記回転軸からずらされて配置されている、車両の乗員保護装置。
  4. 請求項2または3に記載の車両の乗員保護装置であって、
    前記回転軸に対する各捩れ棒の距離がそれぞれ異なる、車両の乗員保護装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1に記載の車両の乗員保護装置であって、
    各捩れ棒の捩り剛性がそれぞれ異なる、車両の乗員保護装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1に記載の車両の乗員保護装置であって、
    各捩れ棒におけるベルト巻回部材に対しトルク伝達を行う部分と拘束部材に拘束される部分との距離がそれぞれ異なる、車両の乗員保護装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1に記載の車両の乗員保護装置であって、
    拘束部材は、ベルト巻回部材を前記回転軸まわりに回転可能に支持する、車両の乗員保護装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1に記載の車両の乗員保護装置であって、
    捩れ棒拘束装置は、各捩れ棒の一端部を拘束部材に選択的に拘束することが可能である、車両の乗員保護装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1に記載の車両の乗員保護装置であって、
    車両の衝突に対する乗員の耐性を推定する乗員耐性推定部を備え、
    捩れ棒拘束装置は、乗員耐性推定部で推定された乗員の耐性に基づいて、前記乗員拘束力の制限値を変化させる、車両の乗員保護装置。
  10. シートベルトによって乗員を拘束する車両の乗員保護装置であって、
    シートベルトが巻回され、回転軸まわりに回転することでシートベルトの引き出しまたは巻き取りを行うベルト巻回部材と、
    捩り変形可能な捩れ棒と、
    捩れ棒にその長手方向に沿って移動可能に配設された伝動部材であって、ベルト巻回部材と捩れ棒との間のトルク伝達を許容するようベルト巻回部材と係合する伝動部材と、
    伝動部材を捩れ棒の長手方向に沿って移動させる伝動部材駆動装置と、
    捩れ棒の一部分を拘束部材に拘束することが可能な捩れ棒拘束装置と、
    を備え、
    捩れ棒拘束装置により一部分が拘束部材に拘束された捩れ棒が捩り変形することで、シートベルトによる乗員拘束力が制限され、
    伝動部材駆動装置は、前記乗員拘束力が制限される場合に、伝動部材を捩れ棒の長手方向に沿って移動させ、捩れ棒における拘束部材に拘束された部分とベルト巻回部材及び伝動部材の係合箇所との距離を変化させることで、該乗員拘束力の制限値を変化させる、車両の乗員保護装置。
  11. 請求項10に記載の車両の乗員保護装置であって、
    ベルト巻回部材及び伝動部材の係合箇所は、捩れ棒の長手方向に沿った伝動部材の移動に応じて捩れ棒の径方向に変化し、
    伝動部材駆動装置は、前記乗員拘束力が制限される場合に、伝動部材を捩れ棒の長手方向に沿って移動させ、捩れ棒における拘束部材に拘束された部分とベルト巻回部材及び伝動部材の係合箇所との距離を変化させるとともに捩れ棒と当該係合箇所との距離を変化させることで、該乗員拘束力の制限値を変化させる、車両の乗員保護装置。
  12. シートベルトによって乗員を拘束する車両の乗員保護装置であって、
    シートベルトが巻回され、回転軸まわりに回転することでシートベルトの引き出しまたは巻き取りを行うベルト巻回部材と、
    捩り変形可能な捩れ棒と、
    捩れ棒にその径方向に沿って移動可能に配設された伝動部材であって、ベルト巻回部材と捩れ棒との間のトルク伝達を許容するようベルト巻回部材と係合する伝動部材と、
    伝動部材を捩れ棒の径方向に沿って移動させる伝動部材駆動装置と、
    捩れ棒の一部分を拘束部材に拘束することが可能な捩れ棒拘束装置と、
    を備え、
    捩れ棒拘束装置により一部分が拘束部材に拘束された捩れ棒が捩り変形することで、シートベルトによる乗員拘束力が制限され、
    伝動部材駆動装置は、前記乗員拘束力が制限される場合に、伝動部材を捩れ棒の径方向に沿って移動させ、捩れ棒とベルト巻回部材及び伝動部材の係合箇所との距離を変化させることで、該乗員拘束力の制限値を変化させる、車両の乗員保護装置。
  13. 請求項10〜12のいずれか1に記載の車両の乗員保護装置であって、
    ベルト巻回部材の回転を拘束することが可能な部材であって、ベルト巻回部材の回転を拘束する際にベルト巻回部材のトルクを受けることでせん断力が作用するせん断部材と、
    せん断部材をせん断力の作用方向と略垂直方向に沿って移動させるせん断部材駆動装置と、
    を備え、
    ベルト巻回部材がせん断部材を破断させるために必要なせん断力は、せん断部材の移動方向に関する位置に応じて連続的に変化し、
    せん断部材駆動装置は、せん断部材をせん断力の作用方向と略垂直方向に沿って移動させ、ベルト巻回部材がせん断部材を破断させるために必要なせん断力を連続的に変化させることで、シートベルトによる乗員拘束力の最大値を連続的に変化させる、車両の乗員保護装置。
  14. 請求項13に記載の車両の乗員保護装置であって、
    せん断部材がせん断力を受けるときのせん断面積は、せん断部材の移動方向に関する位置に応じて連続的に変化する、車両の乗員保護装置。
  15. 請求項13または14に記載の車両の乗員保護装置であって、
    せん断部材の破断後に、捩れ棒拘束装置により一部分が拘束部材に拘束された捩れ棒が捩り変形することで、前記乗員拘束力が制限される、車両の乗員保護装置。
  16. 請求項10〜15のいずれか1に記載の車両の乗員保護装置であって、
    捩れ棒の長手方向が前記回転軸と略平行である、車両の乗員保護装置。
  17. 請求項10〜16のいずれか1に記載の車両の乗員保護装置であって、
    捩れ棒拘束装置は、捩れ棒の一端部を拘束部材に拘束することが可能である、車両の乗員保護装置。
  18. 請求項10〜17のいずれか1に記載の車両の乗員保護装置であって、
    車両の衝突に対する乗員の耐性を推定する乗員耐性推定部を備え、
    伝動部材駆動装置は、乗員耐性推定部で推定された乗員の耐性に基づいて、前記乗員拘束力の制限値を変化させる、車両の乗員保護装置。
  19. 請求項13〜15のいずれか1に記載の車両の乗員保護装置であって、
    車両の衝突に対する乗員の耐性を推定する乗員耐性推定部を備え、
    せん断部材駆動装置は、乗員耐性推定部で推定された乗員の耐性に基づいて、前記乗員拘束力の最大値を連続的に変化させる、車両の乗員保護装置。
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