JP2008125038A - 高周波用基板構造及び高周波用パッケージ - Google Patents
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Abstract
【課題】伝送線路上でチップ部品等を実装する部分において相対的に低下する特性インピーダンスを調整可能とし、当該部分でのインピーダンスマッチングの実現及び伝送特性の改善に寄与すること。
【解決手段】基板10の一方の面に形成された信号伝送線路13を含む導体層12と、基板10の他方の面に形成された導体層15と、この導体層15を介して基板10を支持する金属製のベース部材16とを有し、信号伝送線路13が部品実装用のパッド部分P1,P2を含み、該パッド部分の線路幅が当該信号伝送線路13上の他の部分よりも広く形成されている、高周波用基板構造において、導体層15の、導体層12におけるパッド部分P1,P2に対応する箇所に開口部OP1を形成し、かつ、ベース部材16の、導体層15における開口部OP1に対応する箇所に、所定の深さDで溝DPを形成する。
【選択図】図3
【解決手段】基板10の一方の面に形成された信号伝送線路13を含む導体層12と、基板10の他方の面に形成された導体層15と、この導体層15を介して基板10を支持する金属製のベース部材16とを有し、信号伝送線路13が部品実装用のパッド部分P1,P2を含み、該パッド部分の線路幅が当該信号伝送線路13上の他の部分よりも広く形成されている、高周波用基板構造において、導体層15の、導体層12におけるパッド部分P1,P2に対応する箇所に開口部OP1を形成し、かつ、ベース部材16の、導体層15における開口部OP1に対応する箇所に、所定の深さDで溝DPを形成する。
【選択図】図3
Description
本発明は、高周波用に供される伝送線路を備えた基板に関し、特に、伝送線路上にチップ部品や高周波用コネクタのピン等を接続するための実装部分(パッド部分)が設けられた高周波用基板構造、及び該高周波用基板構造を備えた高周波用パッケージに関する。
従来、マイクロ波やミリ波の信号を取り扱う高周波用パッケージは、例えば、セラミックス等の誘電体からなる基板、パッケージ本体を構成する金属製の筐体及び蓋体(キャップ)により画定されたキャビティにチップ部品(半導体素子やキャパシタ、インダクタ等の受動素子など)を収容して気密に封止された構造を有している。かかる構造からなるパッケージ内に収容されたチップ部品に対する高周波信号の入出力は、誘電体基板の表面に形成され、かつ当該チップ部品と電気的に接続されたストリップ線路等の信号伝送線路を、筐体を通してキャビティの内側から外側に引き出し、さらに必要に応じて、パッケージ外部の高周波用回路基板等の配線層に接続することで、行われている。
かかる高周波用パッケージや高周波用のプリント配線(回路)基板等に形成される信号伝送線路(導体パターン)は、一般に所定の特性インピーダンス(例えば、50Ω)にマッチングするように設計されている。しかし、伝送線路上でDCカット用チップキャパシタ等の部品を実装する部分や高周波用コネクタのピンを接続する部分等においては、ある程度の幅(大きさ)が無ければ部品の実装やピンの接続等が行えないため、当該部分の導体幅(線路幅)は他の部分よりも広くなるよう形成されているのが一般的である。その場合の一例を図7に示す。
図7は、従来の高周波用の伝送線路を備えた基板構造を斜視図の形態で模式的に示したものであり、この斜視図と併せて、図中A及びBで示す部分(○で囲んだ部分)を信号伝送線路の延在する方向と直交する面に沿って見たときの断面構造を示している。従来の高周波用基板構造30は、図示のように基板31(例えば、誘電率:ε=9.2のアルミナセラミックスからなる誘電体基板)の表面に所要の形状にパターニング形成されたストリップ状の信号伝送線路33を含む導体層32と、基板31を挟んで反対側表面に形成された導体層(グランド層)35と、この導体層35を介して基板31を支持する金属ベース36とを有している。なお、図7の上側に示す斜視図では、基板31の図示を省略している。基板31の上面側の導体層32は、さらに信号伝送線路33を挟んでその両側に形成されたグランド層34a,34bを含んでおり、いわゆるグランド付きコプレーナ線路を構成している。そして、信号伝送線路33上には、チップ部品やコネクタのピン等を接続するための実装部分として、その線路幅(導体幅)が当該信号伝送線路33上の他の部分よりも広く形成されたパッド部分P1,P2が設けられている。図示の例では、誘電体基板31の厚さを200μm、信号伝送線路33の導体幅を75μm、信号伝送線路33とグランド層34a,34bとの間隔を50μm、信号伝送線路33上のパッド部分P2の導体幅を400μm、当該パッド部分P2とグランド層34a,34bとの間隔を150μmに設定している。
ところで、導体パターンの伝送線路としての特性インピーダンスは、導体幅、導体厚、導体と基準面(グランド層もしくは電源層)の間に挟まれている誘電体層の厚さ、伝搬媒体の誘電率との関係で決まる。その伝送線路の形態としては、その構造により、マイクロストリップ線路とストリップ線路の2種類が代表的である。マイクロストリップ線路は、誘電体基板の表面に信号伝送線路があり、この基板を挟んで反対側表面にグランド導体が形成された構造であり、図7に例示したグランド付きコプレーナ線路はマイクロストリップ線路の一つである。一方、ストリップ線路は、誘電体中に伝送線路が埋設され、この誘電体が二つの基準面(グランド/電源層)に挟まれた構造である。各伝送線路の特性インピーダンスは以下の式で近似することができる。すなわち、導体幅をW(m)、導体の厚さをt(m)、誘電体層の厚さをh(m)、その誘電率をεとしたとき、マイクロストリップ線路の特性インピーダンスZom(Ω)及びストリップ線路の特性インピーダンスZos(Ω)は、それぞれ以下の式で表すことができる。
Zom≒87/√(ε+1.41)×ln{5.98h/(0.8W+t)}
Zos≒60/√ε×ln{4h/0.67π(0.8W+t)}
これらの式からわかるように、いずれのタイプの伝送線路についても、その特性インピーダンスは、線路幅が広く(狭く)なれば相対的に小さく(大きく)なり、誘電体層の厚さ、すなわち、信号伝送線路とグランド導体間の距離が大きく(小さく)なれば相対的に大きく(小さく)なる。
Zos≒60/√ε×ln{4h/0.67π(0.8W+t)}
これらの式からわかるように、いずれのタイプの伝送線路についても、その特性インピーダンスは、線路幅が広く(狭く)なれば相対的に小さく(大きく)なり、誘電体層の厚さ、すなわち、信号伝送線路とグランド導体間の距離が大きく(小さく)なれば相対的に大きく(小さく)なる。
上記の従来技術に関連する技術としては、例えば、特許文献1に記載されるように、高周波用半導体パッケージの実装構造において、誘電体基板と蓋体により形成されるキャビティ内部に高周波用半導体素子を搭載し、誘電体基板の表面に、半導体素子と電気的に接続された第1の信号伝送線路を形成すると共に、誘電体基板の裏面に第2の信号伝送線路を形成し、第1及び第2の信号伝送線路を結合させてなる高周波用半導体パッケージを、第2の信号伝送線路に形成した接続部を介して外部回路基板の配線層に実装し、さらに、当該パッケージの第1及び第2の信号伝送線路から形成される結合領域に隣接する外部回路基板表面に空洞部を設けるようにしたものがある。
特開平11−260948号公報
上述したように従来の高周波用パッケージ等において設けられる信号伝送線路は、チップキャパシタ等の部品やコネクタピン等を実装(接続)する部分においては必然的に当該部分の線路幅が他の部分よりも広くなるよう形成されていた。そのため、上記の特性インピーダンス(Zom、Zos)の式からわかるように、線路幅(W)が広くなることで当該部分の特性インピーダンスが相対的に小さくなるといった不都合があった。例えば、図7に示した設定例では、信号伝送線路33の本来の特性インピーダンスはZo =50Ωに設計されているが(Aの部分)、その線路幅が広く形成されたパッド部分P2(Bの部分)では特性インピーダンスがZo =30Ωに低下している。その結果、同じ信号伝送線路上で当該部分(パッド部分)と他の部分との間に特性インピーダンスの不整合(ミスマッチング)が生じるため、当該部分において高周波信号の反射損や放射損が発生し、高周波信号の伝送特性が著しく低下するといった課題があった。
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑み創作されたもので、伝送線路上でチップ部品等を実装する部分において相対的に低下する特性インピーダンスを調整可能とし、ひいては当該部分でのインピーダンスマッチングの実現及び伝送特性の改善に寄与することができる高周波用基板構造及び高周波用パッケージを提供することを目的とする。
上記の従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、基板の一方の面に所要の形状にパターニング形成されたストリップ状の信号伝送線路を含む第1の導体層と、前記基板の他方の面に形成された第2の導体層と、該第2の導体層を介して前記基板を支持する金属製のベース部材とを有し、前記信号伝送線路が部品実装用のパッド部分を含み、該パッド部分の線路幅が当該信号伝送線路上の他の部分よりも広く形成されている、高周波用基板構造において、前記第2の導体層の、前記第1の導体層における前記パッド部分に対応する箇所に開口部が形成され、かつ、前記ベース部材の、前記第2の導体層における前記開口部に対応する箇所に、所定の深さで溝が形成されていることを特徴とする高周波用基板構造が提供される。
本発明に係る高周波用基板構造によれば、第2の導体層において、第1の導体層に形成されたパッド部分(当該信号伝送線路上の他の部分よりも広く形成されている部分)に対応する箇所が開口され、かつ、ベース部材において、第2の導体層に形成された当該開口部に対応する箇所に、所定の深さで溝が形成されているので、当該箇所では、信号伝送線路(パッド部分)とベース部材間の距離が相対的に大きくなる。これにより、前述した特性インピーダンス(Zom、Zos)の式から理解されるように、当該パッド部分での特性インピーダンスを相対的に大きくすることができる。
すなわち、ベース部材に形成する溝の深さを特定の値に選定することで、当該パッド部分において相対的に低下した特性インピーダンスを、当該信号伝送線路上の他の部分での特性インピーダンスと同じ値に調整することができる。これによって、当該部分(パッド部分)でのインピーダンスマッチングを図ることができ、その結果、当該部分において高周波信号の反射損や放射損の発生を実質的に無くし、信号伝送特性を向上させることが可能となる。
また、本発明の他の形態によれば、上記の形態に係る高周波用基板構造を備えた高周波用パッケージであって、パッケージ本体を構成し、かつシールド機能と共にグランド導体としての機能も兼ねた金属製の筐体を有し、該筐体の一部を前記ベース部材として利用したことを特徴とする高周波用パッケージが提供される。
本発明に係る高周波用基板構造及び高周波用パッケージの他の構成上の特徴及びそれに基づく有利な利点等については、後述する発明の実施の形態を参照しながら説明する。
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る高周波用基板構造を備えたパッケージの全体構成を概略的に示したものである。図中、(a)は本実施形態に係る高周波用パッケージ1を上から平面的に見た構造、(b)は(a)のB−B’線に沿って見たときの当該パッケージ1の断面構造を示している。ただし、(a)に示す平面図では、(b)に示す蓋体(キャップ)4の図示を省略している。
本実施形態に係る高周波用パッケージ1は、図示のようにパッケージ本体を構成し、かつシールド機能と共にグランド導体としての機能も兼ねた金属製の筐体2(この底部は、後述する金属ベースを構成している)と、この筐体2内に形成されたキャビティ3の底部に配置されたセラミック基板10と、キャビティ3を上側から塞ぐようにして筐体(パッケージ本体)2の開口部を気密封止するためのキャップ4と、キャビティ3を下側から塞ぐようにしてセラミック基板10の底面側に設けられたヒートスプレッダ等の放熱板5とを備えている。筐体2は、銅(Cu)とタングステン(W)の合金から形成されている。また、キャップ4の材料としては、コバールにニッケル(Ni)めっき及び金(Au)めっきを施したものが用いられ、放熱板5には銅(Cu)等が適宜用いられる。
セラミック基板10の本体部分は、例えば、誘電率:ε=9.2のアルミナセラミックスからなる誘電体基板であり、絶縁層(セラミックス)間に配線層を挟んで多層に積み重ねた多層配線構造を有している。このセラミック基板10には、チップ部品(半導体素子やキャパシタンス、インダクタンス等の受動素子など)や高周波用の同軸コネクタのピン等が実装される。図中、CP1,CP2で示す部分は、同軸コネクタ(ピン)を収容するための空所部分である。また、セラミック基板10を支持している金属ベース(筐体2の一部)には、本発明を特徴付ける溝(掘り下げ部分)DPが形成されている。この溝(掘り下げ部分)DPの詳細、セラミック基板10の詳細及びチップ部品等の実装例については後で説明する。
図2は本実施形態の高周波用パッケージ1におけるセラミック基板10の上面及び下面に形成される導体層の詳細を示したものであり、(a)はセラミック基板10の上面に形成される導体層12のパターン、(b)はセラミック基板10の下面に形成される導体層15のパターンをそれぞれ示している。各導体層12,15は、厚膜法の一つである導体ペーストの印刷や、薄膜法の一つである導電性物質のスパッタリング等により、形成することができる。例えば、金(Au)を用いた薄膜法により、セラミック基板本体(図示せず)上に金属層を形成した後、図示のように所要の形状にパターニングされたマスク(図示せず)を用いてエッチングにより金属層の不要部分を除去することにより、形成することができる。
セラミック基板10の上面に形成される導体層12(以下、便宜上「上面金属層」ともいう。)において、13は高周波信号を伝搬させるための信号伝送線路(マイクロストリップ線路)を示し、この信号伝送線路13を挟んでその両側にグランド層14a,14bが形成されている。つまり、上面金属層12は、グランド付きコプレーナ線路からなる配線層を構成している。また、信号伝送線路13上のP1で示す部分(点線で囲んだ部分)は、チップキャパシタ等の受動素子(チップ部品)を実装するためのパッド部分であり、このパッド部分P1では、図7に示した従来例の場合と同様に当該部分の導体幅が相対的に広くなるよう形成されており、当該パッド部分P1での特性インピーダンスは相対的に小さくなっている。同様に、信号伝送線路13上のP2,P3で示す部分は、それぞれ高周波用の同軸コネクタのピンを接続するのに用いられるパッド部分であり、当該パッド部分P2,P3においても、当該部分の導体幅が相対的に広くなるよう形成され、当該パッド部分P2,P3での特性インピーダンスは相対的に小さくなっている。なお、OPは開口部であり、この部分に対応する基板上には光電変換素子等の能動素子(チップ部品)が搭載される。
これに対し、セラミック基板10の下面に形成される導体層15(以下、便宜上「下面金属層」ともいう。)はグランド層として用いられ、図示のように所定の部分の金属層が除去されて開口部OP1,OP2が形成されている。開口部OP1,OP2を形成すべき「所定の部分」は、上面金属層12にチップ部品やコネクタピン等を接続する部分(パッド部分P1,P2,P3)に対応する箇所に選定されている。このように下面金属層15の「所定の部分」を開口することで、後述するように金属ベース(筐体2の一部)に形成される溝(掘り下げ部分)と協働して、上面金属層12における信号伝送線路13上の当該部分での特性インピーダンスを等価的に大きくすることができる。
図3は本実施形態の高周波用パッケージ1における要部の構成(高周波用基板構造)を分解斜視図の形態で示したものであり、セラミック基板10においてチップ部品等を接続する部分及びその周辺部分の基板構造を各構成部材に分解して示している。すなわち、本実施形態に係る高周波用基板構造は、基本的には、図示のようにセラミック基板本体11とこれを挟んでその両面に形成された上面金属層12及び下面金属層15とからなるセラミック基板10と、下面金属層15を介して基板10を支持する金属ベース16とを備えている。セラミック基板本体11については、上述したように誘電率:ε=9.2のアルミナセラミックスからなる誘電体基板であり、上面金属層12及び下面金属層(グランド層)15の詳細な形状(パターン)については、それぞれ図2(a)及び(b)に示した通りである。金属ベース16については、上述したようにグランド導体としての筐体2の一部から構成されており、図3に示すように所定の箇所に所定の深さDで溝(掘り下げ部分)DPが形成されている。この溝DPを形成すべき「所定の箇所」は、下面金属層15に形成された開口部OP1に対応する箇所に選定されている。つまり、下面金属層15の開口部OP1と同じ面積について溝DPが形成されている。この溝DPは、例えば、機械的ドリルにより形成することができる。なお、図3の例では、金属ベース16において、下面金属層15の開口部OP1に対応する箇所にのみ溝DPが形成されているが、図2の構成からわかるように、下面金属層15に形成した他の開口部OP2に対応する箇所にも同様に溝DPが形成されることはもちろんである。形成すべき溝(掘り下げ部分)DPの「所定の深さD」については、以下に説明する。
図4(a)は、図3に示した要部の構成(高周波用基板構造)を斜視図の形態で示すと共に、この斜視図においてCで示す部分(○で囲んだ部分)を信号伝送線路13の延在する方向と直交する面に沿って見たときの断面構造を示している。ただし、斜視図においてはセラミック基板本体(誘電体基板)11の図示を省略している。図7に例示した断面構造の場合と同様に、誘電体基板11の厚さを200μm、信号伝送線路13上のパッド部分P2の導体幅を400μm、当該パッド部分P2とグランド層14a,14bとの間隔を150μmに設定している。図4(b)は、金属ベース16に形成する溝(掘り下げ部分)DPの深さ(D)と、当該部分(パッド部分P2)での特性インピーダンス(Zo )との関係を示している。図4(b)に示すグラフから、金属ベース16に形成する溝DPの「所定の深さ」をD=0.2mmに選定したときに、信号伝送線路13上のパッド部分P2での特性インピーダンスを等価的にZo =50Ωに調整できることがわかる。
すなわち、図7に例示した従来の基板構造30においては、信号伝送線路33上のパッド部分P2の箇所に対応する、導体層(グランド層)35の該当する部分が開口されておらず、かつ、金属ベース36の該当する部分に溝が設けられていなかったため、当該パッド部分P2において相対的に低下した特性インピーダンス(Zo =30Ω)を本来の特性インピーダンス(Zo =50Ω)に調整することはできなかった。
これに対し、本実施形態に係る基板構造によれば(図2〜図4)、下面金属層(グランド層)15の、上面金属層12におけるパッド部分P1,P2,P3に対応する箇所に開口部OP1,OP2が形成され、かつ、金属ベース16の、グランド層15における開口部OP1,OP2に対応する箇所に、所定の深さ(D)で溝DPが形成されているので、信号伝送線路13(パッド部分P2)とグランド導体(金属ベース16)の距離が相対的に大きくなり、前述した特性インピーダンス(Zom、Zos)の式から理解されるように、当該パッド部分P2での特性インピーダンスを相対的に大きくすることができる。
すなわち、金属ベース16に形成する溝DPの深さを特定の値(D=0.2mm)に選定することで、当該パッド部分P2において相対的に低下した特性インピーダンスを、当該信号伝送線路13上の他の部分での特性インピーダンス(Zo =50Ω)と同じ値に調整することができる。これによって、当該部分(パッド部分P2)でのインピーダンスマッチングを図ることができ、その結果、当該部分において高周波信号の反射損や放射損の発生を実質的に無くすことができる。このことは、信号伝送特性の向上に寄与する。
図5は、本実施形態に係る高周波用基板構造(図2〜図4)を備えたパッケージ1に対してシミュレーションにより得られた信号伝送特性結果を、従来例(図7)の場合(溝を設けない場合)と対比させて示したものである。
図中、(a)は周波数(GHz)に対する「S11」パラメータ(dB)の変化、すなわち、信号伝送線路上で線路幅が広く形成されているパッド部分に高周波信号が入射したときに当該部分でどの程度の反射(電圧量)があったかを表している。一方、(b)は周波数(GHz)に対する「S21」パラメータ(dB)の変化、すなわち、当該部分(パッド部分)に高周波信号が入射したときに当該部分を通してどの程度の透過(電圧量)があったかを表している。また、実線で示す特性曲線は、溝(掘り下げ部分)DPを設けた場合(本実施形態)に対応し、点線で示す特性曲線は、溝(掘り下げ部分)を設けない場合(従来例)に対応している。(b)に示す「S21」パラメータの変化については、本実施形態の場合も従来例の場合もそれほど顕著な違いは見られない。しかし、(a)に示す「S11」パラメータの変化については、例えば、周波数:10GHzのときに、従来例(掘り下げ無し)では−14dB(約20%の反射)であるのに対し、本実施形態(掘り下げ有り)では−23dB(約7%の反射)となっており、当該部分(パッド部分)での信号反射が大いに軽減されていることがわかる。このことは、インピーダンスマッチング、ひいては信号伝送特性の向上に少なからず寄与する。
図6は本実施形態に係る高周波用パッケージ1にチップ部品等を接続した場合の実装例を模式的に示したものである。図示の例では、キャパシタやインダクタ等の受動素子(チップ部品)21及び同軸コネクタ22(ピン23)をパッケージ1に実装した場合を示しており、(a)は実装した状態を上から平面的に見た構造、(b)は(a)の構造を矢印S1の方向(やや斜め上方向)から見たときの構造、(c)は(a)の構造を矢印S2の方向(やや斜め上方向)から見たときの構造をそれぞれ示している。チップ部品21の実装については、例えば、はんだ付けにより、当該受動素子の2つの端子を信号伝送線路13上の該当するパッド部分(図2(a)において点線で囲んだパッド部分P1)に接続することができる。また、コネクタ22(ピン23)の実装については、例えば、導電性部材24としての銀(Ag)ろうを用いたろう接により、信号伝送線路13上の該当するパッド部分(図2(a)のパッド部分P2)にろう付け(硬ろう付け)することができる。なお、金属ろうの種類はこれに限定されないことはもちろんであり、銀ろう以外にも、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)等を含んだ金属ろうを用いることも可能である。また、使用する金属ろうの温度が450℃以下の場合は、はんだを用いたろう接(軟ろう付け)も可能である。
図6は、本実施形態に係る高周波用パッケージ1(図1)にチップ部品等を接続した場1…高周波用パッケージ、
2…金属製の筐体(パッケージ本体)、
10…セラミック基板、
11…基板本体(アルミナ多層基板)、
12…上面金属層(第1の導体層)、
13…信号伝送線路、
14a,14b…グランド層、
15…下面金属層(第2の導体層)、
16…金属ベース(筐体の一部)、
21…チップ部品、
22…同軸コネクタ、
23…コネクタピン、
24…導電性部材(金属ろう)、
CP1,CP2…コネクタを収容する空所部分、
DP…溝(掘り下げ部分)、
OP,OP1,OP2…開口部、
P1,P2,P3…パッド部分。
2…金属製の筐体(パッケージ本体)、
10…セラミック基板、
11…基板本体(アルミナ多層基板)、
12…上面金属層(第1の導体層)、
13…信号伝送線路、
14a,14b…グランド層、
15…下面金属層(第2の導体層)、
16…金属ベース(筐体の一部)、
21…チップ部品、
22…同軸コネクタ、
23…コネクタピン、
24…導電性部材(金属ろう)、
CP1,CP2…コネクタを収容する空所部分、
DP…溝(掘り下げ部分)、
OP,OP1,OP2…開口部、
P1,P2,P3…パッド部分。
Claims (6)
- 基板の一方の面に所要の形状にパターニング形成されたストリップ状の信号伝送線路を含む第1の導体層と、前記基板の他方の面に形成された第2の導体層と、該第2の導体層を介して前記基板を支持する金属製のベース部材とを有し、前記信号伝送線路が部品実装用のパッド部分を含み、該パッド部分の線路幅が当該信号伝送線路上の他の部分よりも広く形成されている、高周波用基板構造において、
前記第2の導体層の、前記第1の導体層における前記パッド部分に対応する箇所に開口部が形成され、かつ、前記ベース部材の、前記第2の導体層における前記開口部に対応する箇所に、所定の深さで溝が形成されていることを特徴とする高周波用基板構造。 - 前記ベース部材に形成される溝の所定の深さは、前記パッド部分において相対的に低下した特性インピーダンスが当該信号伝送線路上の他の部分での特性インピーダンスと同じになるように選定されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波用基板構造。
- 前記基板は、アルミナセラミックスからなる誘電体基板であり、前記第1及び第2の導体層は、それぞれ金から形成され、前記ベース部材は、銅とタングステンの合金から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波用基板構造。
- 前記基板の誘電率及び厚さをそれぞれ9.2及び200μm、前記信号伝送線路の線路幅を75μm、前記パッド部分の線路幅を400μmにそれぞれ設定したときに、前記ベース部材に形成される溝の所定の深さは0.2mmに選定されることを特徴とする請求項3に記載の高周波用基板構造。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の高周波用基板構造を備えた高周波用パッケージであって、パッケージ本体を構成し、かつシールド機能と共にグランド導体としての機能も兼ねた金属製の筐体を有し、該筐体の一部を前記ベース部材として利用したことを特徴とする高周波用パッケージ。
- 前記第1の導体層に含まれる前記信号伝送線路が、さらに、高周波用の同軸コネクタのピンを接続するのに用いられるパッド部分を含み、該パッド部分の線路幅が当該信号伝送線路上の他の部分よりも広く形成されていることを特徴とする請求項5に記載の高周波用パッケージ。
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Family Applications (1)
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-
2006
- 2006-11-16 JP JP2006309844A patent/JP2008125038A/ja not_active Withdrawn
Cited By (9)
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---|---|---|---|---|
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