JP2008124918A - マスキング装置およびマスキングシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マスキング装置10は、会議室Bの予め測定された暗騒音の音圧と、会議室Aと会議室Bとを仕切る壁の遮音性能を表す遮音性能値とを記憶している。マスキング装置10は、会議室Bの暗騒音の音圧より大きな音圧のノイズN1がスピーカアレイ20aから出力されるようにスピーカアレイ20aへ信号を供給する。また、マスキング装置10は、会議室Aから会議室Bへの透過音の音圧が会議室Bの暗騒音の音圧より大きい場合には、ノイズN1の音圧より大きな音圧のノイズN2であって、人間の音声と同様の周波数特性を有するノイズN2がスピーカアレイ20aから出力されるようにスピーカアレイ20aへ信号を供給する。
【選択図】図1
Description
また、このマスキング装置においては、前記第2ノイズ出力手段は、前記透過音の音圧に応じて前記第2ノイズ信号の増幅度を変更してもよい。
また、このマスキング装置においては、前記第2ノイズは、人間の音声の周波数特性と同様の周波数特性を有するようにしてもよい。
また、このマスキングシステムにおいては、前記スピーカが、前記第2部屋の天井に配置され、前記スピーカが、前記第1ノイズ信号に対応した第1ノイズと、前記第2ノイズ信号に対応した第2ノイズとを、前記第2部屋において前記第1部屋と前記第2部屋とを仕切る壁に向けて出力してもよい。
まず、本発明の一実施形態に係るマスキングシステム1の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るマスキングシステム1と、マスキングシステム1が配置された会議室を模式的に示した図である。図1に示したマスキングシステム1は、会議室Aから会議室Bに伝わる音声と、会議室Cから会議室Bへ伝わる音声をマスキングするためのシステムである。マスキングシステム1は、会議室Bの天井に配置されたマスキング装置10、壁40aの会議室B側の面に配置されたスピーカアレイ20a、壁40bの会議室B側の面に配置されたスピーカアレイ20b、壁40aの会議室A側の面に配置されたマイクロホン30a、壁40bの会議室C側の面に配置されたマイクロホン30bを備えている。なお、図1に示した3つの会議室A,B,Cにおいて、会議室Aと会議室Bとを仕切る壁40aと、会議室Cと会議室Bとを仕切る壁40bは、壁の遮音性能を表すD等級(JIS1419−1 建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法 第1部:空気音遮断性能)の値(以下、D値と証する)がそれぞれ所定の値として付与されている。
第2フィルタ112は、人間の音声の周波数特性と同等の周波数特性を持つフィルタであり、第2ノイズ発生部102から出力された信号が入力されると、入力された信号を基に、人間の声の周波数特性と同様の周波数特性を有するノイズを表す信号を出力する。第2フィルタ112から出力された信号は、FIRフィルタ123とFIRフィルタ124に入力される。
ゲイン制御部180は、可変ゲイン設定部151,152の増幅度を設定するものであり、予め測定された会議室Bの暗騒音の音圧レベル、壁40aの遮音性能を表すD値、壁40bの遮音性能を表すD値、ゲイン設定部141,142から出力された信号をスピーカアレイで再生した時の再生音の音圧レベルなどを記憶している。ゲイン制御部180は、マイクロホン30a,30bから入力される信号と、記憶しているD値とから壁40a,40bを透過する透過音の音圧レベルを求め、求めた音圧レベルとゲイン設定部141,142から出力される信号の再生音の音圧レベルに応じて可変ゲイン設定部151,152の増幅度を制御する。
次に、本実施形態の動作について説明する。
(会議室A,会議室Cにおける音が暗騒音のみのときの動作)
まず、会議室A,会議室Cにおいて会話が行われておらず、会議室Aおよび会議室C内の音が暗騒音のみであるときのマスキングシステム1の動作について説明する。マスキング装置10において、図示せぬ電源からマスキング装置10の各部に電力が供給されると、まず、第1ノイズ発生部101においてはピンクノイズが生成され、この生成されたピンクノイズを表す信号S110が第1フィルタ111へ出力される。この信号S110が第1フィルタ111に入力されると、空調設備で発生するノイズと類似のノイズを表す信号が第1フィルタ111から出力される。そして、この第1フィルタ111から出力された信号は信号S121と信号S122とに分けられる。
次に、会議室Aで会話が行われたときの動作について説明する。まず、会議室A,会議室Cで会話が行われていないときには、上述したように、スピーカアレイ20a,20bからノイズN1が出力されている。ここで、会議室Aにおいて会話が行われると、この会話音声がマイクロホン30aにより収音される。そして、収音された音声を表すオーディオ信号がマイクロホン30aからゲイン制御部180へ出力される。
次にゲイン制御部180は、記憶している会議室Bの暗騒音の音圧レベルと、音圧レベルP11とを比較する。ここで、ゲイン制御部180は、透過音の音圧レベルP11が予め測定されて記憶している会議室Bの暗騒音の音圧レベルより大きい場合(会議室Bの暗騒音の音圧レベルより会議室Aから壁40aを透過して会議室Bに到達した透過音の音圧レベルのほうが大きい場合)、予め記憶しているノイズN1の音圧レベル(b[dB])と透過音の音圧レベルP11とを比較する。ゲイン制御部180は、この比較の結果、透過音の音圧レベルP11がノイズN1の音圧レベルより小さい場合、可変ゲイン設定部151を制御し、信号S241を増幅した信号S251の可変ゲイン設定部151からの出力を停止させる。
また、会議室Aでの会話の発生に伴って出力されるノイズN2の周波数特性は、会話音と同様の周波数特性となっているため、透過音のマスキングに不要な帯域までノイズN2が大きくならず透過音をマスキングする音による不快感が少ない。また、本実施形態においては、ノイズN2が出力される前は、定常的にノイズN1が出力されているため、透過音の発生に伴ってノイズN2を発生させても、聴感上ではレベル変化が少ない。
次に、会議室Cで会話が行われたときの動作について説明する。まず、会議室A,会議室Cで会話が行われていないときには、上述したように、スピーカアレイ20a,20bからノイズN1が出力されている。ここで、会議室Cにおいて会話が行われると、この会話音声がマイクロホン30bにより収音される。そして、収音された音声を表すオーディオ信号がマイクロホン30bからゲイン制御部180へ出力される。
また、ノイズN2は、会議室Cでの会話音声のレベル変動に応じて制御されるので、会議室Cにおける会話音声のレベルが変動した場合にも効果的なマスキングが行われる。また、会議室Bへの透過音の音圧レベルがノイズN1の音圧レベルより大きくなった場合、この大きくなった分のレベルに対応してノイズN2の音圧レベルが制御されるので、出力されるマスキング音が必要最小限に制限され、人間に不快感を生じさせることがないという効果を得ることができる。
また、会議室Cでの会話の発生に伴って出力されるノイズN2の周波数特性は、会話音と同様の周波数特性となっているため、透過音のマスキングに不要な帯域までノイズN2が大きくならず透過音をマスキングする音による不快感が少ない。また、本実施形態においては、ノイズN2が出力される前は、定常的にノイズN1が出力されているため、透過音の発生に伴ってノイズN2を発生させても、聴感上変化が少ない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明に係る実施形態の一例であり、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
また、本発明においては、「ノイズN2の音圧レベル>ノイズN1の音圧レベル」としている。透過音の音圧レベルに応じて変化させるノイズN2の音圧レベルは、この「ノイズN2の音圧レベル>ノイズN1の音圧レベル」という条件を満たしていれば、上述した実施形態に限定されず、任意に変更することができる。
例えば、透過音の音圧レベルの上限値を設定し、透過音の音圧レベルが上限値以上となった場合には、ノイズN2の音圧レベルを一定の音圧レベルとするようにしてもよい。
また、透過音の音圧レベルの変化とノイズN2の音圧レベルの変化の関係は、上述した実施形態においては線形(+α[dB])としているが、これを非線形(例えば、2次関数、指数関数など)の関係にしてもよい。
Claims (7)
- 収音した第1部屋内の音を表すオーディオ信号を生成するマイクロホンから出力された該オーディオ信号を受け取るオーディオ信号受取手段と、
前記第1部屋に隣接する第2部屋の予め設定された暗騒音の暗騒音圧と、前記第1部屋と前記第2部屋との間の遮音性能に関する遮音情報とを記憶する記憶手段と、
第1ノイズを表す第1ノイズ信号を生成し、該第1ノイズが前記第2部屋に配置されているスピーカから出力されたときに前記記憶手段が記憶している暗騒音圧より大きい音圧となるように前記第1ノイズ信号を増幅して前記スピーカへ出力する第1ノイズ生成出力手段と、
第1ノイズとは異なる第2ノイズを表す第2ノイズ信号を生成する第2ノイズ生成手段と、
前記オーディオ信号受取手段で受け取られたオーディオ信号を解析して得た前記第1部屋の音の音圧と、前記記憶手段に記憶されている遮音情報とから、前記第1部屋から前記第2部屋へ透過した透過音の音圧を求め、求めた透過音の音圧が前記記憶手段の記憶している暗騒音圧より大きい場合には、前記第2部屋に配置されているスピーカから出力される第2ノイズの音圧が、前記第2部屋に出力される前記第1ノイズの音圧より大きい音圧となるように前記第2ノイズ信号を増幅して前記スピーカへ出力する第2ノイズ出力手段と
を有するマスキング装置。 - 前記第2ノイズ出力手段は、前記求めた透過音の音圧が前記第2部屋に出力された第1ノイズの音圧より大きい場合に前記第2ノイズ信号を増幅して前記スピーカへ出力することを特徴とする請求項1に記載のマスキング装置。
- 前記第2ノイズ出力手段は、前記透過音の音圧に応じて前記第2ノイズ信号の増幅度を変更することを特徴とする請求項1に記載のマスキング装置。
- 前記第2ノイズは、人間の音声の周波数特性と同様の周波数特性を有することを特徴とする請求項1に記載のマスキング装置。
- 請求項1に記載のマスキング装置と、
前記オーディオ信号受取手段へ前記オーディオ信号を出力するマイクロホンと、
前記第1ノイズ出力手段から出力される第1ノイズ信号と前記第2ノイズ出力手段から出力される第2ノイズ信号が入力され、入力された信号に対応した音を出力するスピーカと
を有するマスキングシステム。 - 前記スピーカが、前記第2部屋において前記第1部屋と前記第2部屋とを仕切る壁に配置されており、前記壁と反対方向へ音を出力することを特徴とする請求項5に記載のマスキングシステム。
- 前記スピーカが、前記第2部屋の天井に配置され、
前記スピーカが、前記第1ノイズ信号に対応した第1ノイズと、前記第2ノイズ信号に対応した第2ノイズとを、前記第2部屋において前記第1部屋と前記第2部屋とを仕切る壁に向けて出力すること
を特徴とする請求項5に記載のマスキングシステム。
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