JP2008123940A - リチウム二次電池の製造方法とリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池の製造方法とリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 電極表面に適正な膜厚の皮膜を形成することができるリチウム二次電池の製造方法と、その製造方法に基づいて製造されたリチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】 本発明は、リチウム二次電池を製造する方法に具現化できる。この製造方法は、リチウムイオン伝導性を有する電解質が有機溶媒に溶解している原料非水電解液を用意する工程と、正極活物質が付着している正極を用意する工程と、正極活物質の付着量を測定する工程と、ホウ素が2以上の配位子を有しているアニオンのリチウム塩を原料非水電解液に添加する工程を備えている。
本発明では、リチウム塩の添加量が、正極活物質に対するモル比において、正極活物質:リチウム塩=100:0.9〜100:5となるように管理する。
【選択図】図3

Description

本発明は、リチウム二次電池に関する。詳しくは、非水電解液の分解を抑制し、充放電特性が経年的に劣化することを抑制するリチウム二次電池に関する。本発明は、充放電特性の経年的劣化が抑制されたリチウム二次電池と、その製造方法に関する。
リチウム二次電池が充放電サイクルを繰り返すと、非水電解液が分解し、分解生成物が電極表面に堆積し、電池容量が減少したりあるいは内部抵抗が上昇したりする現象が現れる。充放電中のリチウム二次電池の電極表面では酸化還元反応が進行しており、この酸化還元反応によって非水電解液が分解し、高抵抗の物質が生成されて電極表面に堆積する現象が進行する。
これを防ぐために、原料非水電解液に添加剤を加える技術が提案されている。特許文献1には、リン酸エステルを溶媒とする原料非水電解液に、リチウム−ビス(オキサラト)ボレートを、0.01mol/L〜0.15mol/Lの割合で添加する技術が開示されている。特許文献2にも、原料非水電解液にリチウム−ビス(オキサラト)ボレートを添加する技術が開示されている。
特開2005−259592号公報 特開2000−268863号公報
特許文献1に開示されている技術では、添加剤の添加量を原料非水電解液中の溶媒量に対する割合で定めている。特許文献2に開示されている技術では、添加剤の添加量を非水電解液中の濃度で定めている。特許文献1や2の技術に基づいてリチウム二次電池を製作してみると、内部抵抗の上昇を抑制する効果にバラツキが生じる。
発明者らは、原料非水電解液に加える添加剤の添加量を決定する方法について研究を進めた。従来技術では、原料非水電解液の溶媒に対する濃度あるいは非水電解液中の濃度に基づいて、添加量を決定していた。しかしながら、本発明者らの研究によって、添加剤の効果は、非水電解液に対する効果ではなく、添加剤が電極を形成している物質と反応して電極表面に皮膜を形成することによって得られることが判明した。従来の技術のように、原料非水電解液の溶媒に対する濃度あるいは非水電解液中の濃度に基づいて添加量を決定すると、添加剤が多すぎたり少なすぎたりする現象が生じてしまう。
添加剤が少なすぎると、電極表面に形成される皮膜の厚さが薄すぎたり、皮膜が形成されない領域ができてしまう。皮膜が不十分だと、非水電解液の分解を充分に抑制することができない。電極表面に、高抵抗の生成物が析出してしまう。添加剤が多すぎると、電極表面には厚い皮膜が形成される。皮膜が厚すぎると、皮膜の抵抗によって内部抵抗が上昇してしまう。
発明者らが検討した結果、電極に付着している電極活物質の量を基準にして添加剤の添加量を管理すると、電極表面に適正な皮膜が形成され、充放電特性が経年的に劣化することを効果的に抑制することを確認した。特に、正極活物質の量を基準にして添加量を管理することが効果的であることを確認した。
本発明は、リチウム二次電池を製造する方法に具現化できる。この製造方法は、リチウムイオン伝導性を有する電解質が有機溶媒に溶解している原料非水電解液を用意する工程と、正極活物質が付着している正極を用意する工程と、正極活物質の付着量を測定する工程と、ホウ素が2以上の配位子を有しているアニオンのリチウム塩を原料非水電解液に添加する工程を備えている。
本発明では、リチウム塩の添加量が、正極活物質に対するモル比において、正極活物質:リチウム塩=100:0.9〜100:5となるように管理する。
上記において、「電解質」とは、電子吸引性の強いアニオン(例えば、PF6 -、PF4 -、BF4 -)のリチウム塩である。「溶媒」とは、非プロトン性溶媒であり、カーボネート類や環状エステル類や環状エーテル類が挙げられる。「原料非水電解液」とは、添加剤が加わる前の非水電解液である。例えば、カーボネート系の非プロトン性溶媒に、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF4)、リチウムヘキサフルオロフォスフェイト(LiPF6)等のリチウム塩が溶解している非水電解液は、ここでいう「原料非水電解液」である。原料非水電解液には、リチウム二次電池の充放電に必要な濃度のリチウムイオンが含まれている。「ホウ素が2以上の配位子を有しているアニオンのリチウム塩」は、リチウムイオンとアニオンに電離する。この物質は、電極の表面に皮膜を形成するために消費され、非水電解液にリチウムイオンを供給する作用は少ない。
本発明の製造方法では、正極活物質の付着量に基づいて、原料非水電解液に加える添加剤の量が決定される。リチウム二次電池の正極と負極の間を移動するリチウムイオンは、正極活物質の付着量に依存する。正極活物質の付着量は、正極表面と負極表面の皮膜に必要な添加量を決定することができる。また、正極活物質の付着量に基づいて添加量を管理すると、電極表面に最適な厚さの皮膜を形成することができることが確認されている。
前記したように、原料非水電解液に添加した「ホウ素が2以上の配位子を有しているアニオンのリチウム塩」は、非水電解液中で電離する。ホウ素が配位子を有しているアニオンは、非水電解液の他の成分や水分よりも還元され易い。アニオンは、初期の充放電時に還元されて電極表面に皮膜を形成する。充電時に正極表面に皮膜を形成し、放電時に負極表面に皮膜を形成する。
ホウ素が2以上の配位子を有しているアニオンが還元されると、1つの配位子が2つのホウ素の間を架橋する現象が生じる。このような現象が生じると、ホウ素と配位子が規則的に整列したシート状の配位高分子を形成する。この皮膜は、電極表面に強く密着する。また、配位高分子からなる皮膜は、化学的に安定している。
初期の充放電で電極の表面に配位高分子の皮膜が形成されると、非水電解液中に入り込んだ水分や溶媒の分解が抑制される。電極表面に、高抵抗の生成物が堆積しづらくなる。
リチウム塩の添加量が、正極活物質に対するモル比において、正極活物質:リチウム塩=100:0.9〜100:5となるように管理すると、適正な膜厚の皮膜が安定的に形成され、充放電特性が経年的に劣化することが効果的に抑制される。
本方法では、リチウム−ビス(オキサラト)ボレート(Li[B(C2O4)2])を添加することが好ましい。
Li[B(C2O4)2]のアニオンである[B(C2O4)2]-は、電極表面に3次元の網目構造を有する配位高分子を形成する。[B(C2O4)2]の単位で形成された配位高分子は、リチウムイオン伝導性に優れる。本方法で得られるリチウム二次電池は、内部抵抗をさほど上昇させない。それでいて、非水電解液中に入り込んだ水分や溶媒の分解を効果的に抑制する。
本発明は、新規なリチウム二次電池をも提供する。本発明のリチウム二次電池は、正極活物質が付着している正極と、負極活物質が付着している負極と、リチウムイオン伝導性を有する電解質とホウ素が2以上の配位子を有しているアニオンのリチウム塩が有機溶媒に溶解している非水電解液を有する。本発明のリチウム二次電池は、いまだ充放電現象が発生していない状態において、正極活物質に対するモル比において、正極活物質:リチウム塩=100:0.9〜100:5となる割合で、ホウ素が2以上の配位子を有しているアニオンのリチウム塩が非水電解液に含まれている。
上記のリチウム二次電池は、初期の充放電時に、電極表面にホウ素を配位子とする配位高分子からなる皮膜が形成される。この皮膜が電極表面に形成されると、非水電解液に含まれている他の成分は、分解しづらくなる。電極表面に、非水電解液の分解生成物が堆積しづらくなるので、内部抵抗の増加が抑制される。なお、非水電解液の分解生成物は抵抗が高いのに対し、ホウ素を配位子とする配位高分子からなる皮膜のリチウムイオン伝導性は高いので、皮膜がリチウム二次電池の内部抵抗を増加させる現象は、実際に悪影響を及ぼすことがない。
リチウム塩が上記の割合で含まれていると、電極表面に適切な厚みの皮膜を形成することができる。
本発明のリチウム二次電池では、非水電解液が、Li[B(C2O4)2]のアニオンであるビス(オキサラト)ボレート [B(C2O4)2]-を含んでいることが好ましい。[B(C2O4)2]-は、3次元の網目構造を有する配位高分子を形成しやすい。[B(C2O4)2]-がモノマーである配位高分子は、リチウムイオン伝導性に優れる。本リチウム二次電池は、内部抵抗が特に上昇しづらい。
最初に、以下に説明する実施例の主要な特徴を列記する。
(特徴1)非水電解液の電解質に、リチウムテトラフルオロフォスフェイト(LiPF6)を使用している。
(特徴2)非水電解液の溶媒に、カーボネート系の有機溶媒を使用している。
(特徴3)原料非水電解液は、電解質濃度が1mol/Lに調製されている。
<第1実施例:リチウム二次電池(1)の製造>
本実施例では、18650型リチウム二次電池(1)を製造した。リチウム二次電池(1)では、非水電解液に加える添加剤にLi[B(C2O4)2]を用いた。添加剤の添加量は、正極活物質に対して約1.8w%(0.9mol%)の割合になるように添加した。
リチウム二次電池の正極板の製造手順について説明する。
正極活物質と、伝導材であるカーボンブラックと、結着材であるフッ素系樹脂(テトラフルオロエチレン)と、水を混合して正極活物質ペーストを調製した。得られた正極活物質ペーストをアルミニウム集電箔の両面に連続的に塗布して乾燥させることによって正極シートを作製した。この正極シートを長尺形状に切り出し、リチウム二次電池(1)の正極板を製作した。正極板の端部には、正極リードを溶接した。なお、正極に含まれている正極活物質の量は、4.10gであった。物質量に換算すると、正極活物質の量は、4.23×10−3molであった。
次に、負極板の製作手順について説明する。
グラファイト活物質と、スチレンブタジエンゴム(SBR)と、カルボキシメチルセルロース(CMC)と、水を混合して負極活物質ペーストを調製した。得られた負極活物質ペーストを銅集電箔の両面に連続的に塗布して乾燥させることによって負極シートを作製した。この負極シートを長尺形状に切り出し、負極板を製作した。負極板の端部には、負極リードを溶接した。
次いで、セパレータを介した状態で正極板と負極板を重ね合わせて捲回した。セパレータには、微孔性ポリエチレンで構成された多孔質シートを使用した。正極板とセパレータと負極板とセパレータからなる積層シートを捲回して捲回型電極体を作製した。負極リードと正極リードが電池ケースの外方に引き出されるように、電池ケースに電極体を収容した。
次に、非水電解液の調製方法について説明する。
先ず、カーボネート系の混合溶媒(エチルメチルカーボネート(EMC)とエチレンカーボネート(EC)が70:30(質量比)の割合で混合した溶媒)を用意した。カーボネート系の溶媒に、リチウム伝導塩として、リチウムヘキサフルオロフォスフェイト(LiPF6)を溶解した。LiPF6の濃度は、1mol/Lとした。このようにして、原料非水電解液を調製した。
溶媒量が7.425gに相当する原料非水電解液に、0.075gのLi[B(C2O4)2]を添加し、リチウム二次電池(1)の非水電解液を調製した。
次いで、電池容器内に非水電解液の全量を減圧注入した。その後、電池ケースの開口に蓋を取り付け、本実施例に係るリチウム二次電池(1)を製造した。
リチウム二次電池(1)の正極活物質量に対するLi[B(C2O4)2]の正確な割合は、0.92mol%(1.83w%)であった。
図1に、本実施例に係るリチウム二次電池(1)の正極活物質の量、Li[B(C2O4)2]の非水電解液への添加量、非水電解液の溶媒量、正極活物質に対するLi[B(C2O4)2]の割合を示している。割合は、重量パーセントとモル比の双方で示されている。
なお、図1には、第2実施例のリチウム二次電池(2)、第1比較例のリチウム二次電池(3)、第2比較例のリチウム二次電池(4)のデータも示してされている。
<第2実施例:リチウム二次電池(2)の製造>
第2実施例のリチウム二次電池(2)では、正極活物質に対して4.5mol%(9.0w%)の量のLi[B(C2O4)2]が含まれることを意図して非水電解液に調製した。それ以外は、リチウム二次電池(1)の製造方法と同様である。本実施例のリチウム二次電池(2)の製造手順の説明は省略する。
リチウム二次電池(2)の正極板に含まれている正極活物質の量は、4.08g(4.21×10−3mol)であった。溶媒量が7.125gの原料非水電解液に、0.375gのLi[B(C2O4)2]を添加して非水電解液を調製した。リチウム二次電池(2)の正極活物質量に対するLi[B(C2O4)2]の正確な割合は、約4.6mol%(9.19w%)であった。
<第1比較例:リチウム二次電池(3)の製造>
本比較例のリチウム二次電池(3)では、正極活物質に対して0.45mol%(0.9w%)の量のLi[B(C2O4)2]が含まれることを意図して非水電解液に調製した。それ以外は、リチウム二次電池(1)の製造方法と同様である。
リチウム二次電池(3)の正極板に含まれている正極活物質の量は、4.03g(4.15×10−3mol)であった。溶媒量が7.463gの原料非水電解液に、0.038gのLi[B(C2O4)2]を添加して非水電解液を調製した。リチウム二次電池(3)の正極活物質量に対するLi[B(C2O4)2]の正確な割合は、約0.47mol%(0.94w%)であった。
<第2比較例:リチウム二次電池(4)の製造>
本比較例のリチウム二次電池(4)は、非水電解液がLi[B(C2O4)2]を含んでいない。Li[B(C2O4)2]を電解質に添加する工程が省略されていることを除けば、リチウム二次電池(1)の製造方法と同様である。
リチウム二次電池(4)の正極板に含まれている正極活物質の重量は、4.08gであった。また、非水電解液には、溶媒量が7.5gの原料非水電解液を用いた。
<試験例1:サイクル試験>
リチウム二次電池(1)〜(4)について、充放電を500回繰り返すサイクル試験を実施し、その後内部抵抗を測定した。
Li[B(C2O4)2]が添加されていない非水電解液が用いられているリチウム二次電池(4)はサイクル試験後の内部抵抗値は、69.5mΩだった。正極活物質に対してLi[B(C2O4)2]が0.92mol%の割合で添加されているリチウム二次電池(1)は、サイクル試験後の内部抵抗値が、65.5mΩだった。正極活物質に対してLi[B(C2O4)2]が4.60mol%の割合で添加されているリチウム二次電池(2)は、サイクル試験後の内部抵抗値が、61.1mΩだった。正極活物質に対して0.47mol%の割合でLi[B(C2O4)2]が添加されているリチウム二次電池(3)は、サイクル試験後の内部抵抗値が70.2mΩだった。試験の結果から、リチウム二次電池(1)、(2)は、充放電サイクルが繰り返されることによる内部抵抗の上昇が抑制されていることがわかった。
<試験例2:保存試験>
サイクル試験後のリチウム二次電池(1)〜(4)について、保存試験を実施した。保存試験は、満充電状態のリチウム二次電池(1)〜(4)の充放電を停止し、60℃の温度条件下で30日間保存した。リチウム二次電池(1)〜(4)の保存試験後の内部抵抗値を、図2の表に示す。
Li[B(C2O4)2]が添加されていない原料非水電解液を用いたリチウム二次電池(4)の保存試験後の内部抵抗値は、59.2mΩだった。正極活物質に対してLi[B(C2O4)2]が0.92mol%の割合で添加されているリチウム二次電池(1)は、保存試験後の内部抵抗値が、50.6mΩだった。正極活物質に対してLi[B(C2O4)2]が4.60mol%の割合で添加されているリチウム二次電池(2)は、サイクル試験後の内部抵抗値が、52.4mΩだった。正極活物質に対してLi[B(C2O4)2]が0.47mol%の割合で添加されているリチウム二次電池(3)は、サイクル試験後の内部抵抗値が、53.0mΩだった。試験の結果から、リチウム二次電池(1)、(2)、(3)は、満充電状態で保存した場合の、内部抵抗の上昇が抑制されていることがわかった。
上記試験例1、2の結果について、図3、4を用いて考察する。図3は、電極表面に配位高分子からなる皮膜が形成されているリチウム二次電池10の模式図である。図4は、電極表面に皮膜が形成されていないリチウム二次電池100の模式図である。図3、4は、リチウム二次電池10、100が導線50を通じて負荷52に接続している様子(放電状態)を示している。リチウム二次電池10、100は、正極20と、負極40と、電解質14、114が電池ケース12に収容された構造している。正極20と負極40の間には、正極20と負極40が直接接触するのを防ぐセパレータ30が備えられている。正極20と負極40が導線50を通じて負荷52に接続しているとき、リチウム二次電池10、100は放電している。放電しているとき、リチウムイオンは負極40から非水電解液14、114を通じて正極20に移動し(矢印a)し、アニオンは、負極40側に移動する。また、電子は負極40から導線50と負荷52を通じて移動し(矢印b)、電流は正極20から導線50と負荷52を通じて負極40に流れる(矢印c)。
Li[B(C2O4)2]が添加されている非水電解液14を備えているリチウム二次電池10は、初期の充放電時に、正極20の正極活物質層24の表面と負極40の負極活物質層44の表面に皮膜26、46が形成される。皮膜26、46は、[B(C2O4)2]の配位高分子で形成する皮膜である。皮膜26、46が形成されていると、非水電解液14が正極活物質層22や負極活物質層42に直接接触しづらくなる。皮膜26、46が形成されることで、正極20、負極40の表面に、非水電解液14に由来する分解生成物の生成が抑制される。
皮膜26、46は、リチウムイオン伝導性を有する。リチウム二次電池10が放電しているとき、皮膜26は、非水電解液14から正極活物質層24に向かうリチウムイオンの流れを妨げない。また、皮膜46は、負極活物質層44から非水電解液14に向かうリチウムイオンの流れを妨げない。
図3の負荷52を充電器に変えると、リチウム二次電池10は充電される。この時、図3に示している矢印a、b、cの向きは反転する。皮膜26、46は、放電時と逆方向のリチウムイオンの流れも許容するので、正極20から負極40に向かうリチウムイオンの流れが確保される。
リチウム二次電池10は、リチウムイオンが正極20と負極40の間を低抵抗に移動することができる。電池内のリチウムイオンの流れがよいと、リチウム二次電池10の内部抵抗が低く保たれる。
一方、図4に示しているリチウム二次電池100は、非水電解液114にLi[B(C2O4)2]が添加されていない。リチウム二次電池100を通電すると、正極20の表面と負極40の表面で非水電解液114の成分が分解する酸化還元反応が生じる。正極20、負極40の表面には、非水電解液114に由来する分解生成物128、148を生成する。この分解生成物は、電極表面に不規則に析出する。分解生成物128、148は、非水電解液114の分解を抑制するものではない。充放電が進行すればするほど、正極20の表面には分解生成物128が堆積し、負極40の表面には分解生成物148が堆積する。
分解生成物128、148は、リチウムイオン伝導性に乏しい。図4は、リチウム二次電池100が放電しているときの様子を示している。放電状態のとき、非水電解液114中のリチウムイオンは、正極20に向けて移動する。しかし、正極20の表面に形成されている分解生成物128により、正極活物質層24の内部まで移動しづらい。また、分解生成物148により、負極活物質層44中のリチウムイオンが非水電解液114に溶出しづらい。リチウムイオンの動きが滑らかでないため、電池100の内部抵抗は上昇する。
図4の負荷52を充電器に変えると、リチウム二次電池100は充電される。この時、図3に示している矢印a、b、cの向きは反転する。分解生成物128、148は、放電時と逆方向のリチウムイオンの流れも妨げるので、正極20から負極40に向けてリチウムイオンが流れづらくなる。充放電の回数が増加すると、分解生成物128、148の堆積量がふえるので、よりリチウムイオンが流れづらくなる。リチウム二次電池100は、充放電回数が増加すればするほど、内部抵抗が高くなる。
試験例1のサイクル試験において、リチウム二次電池(1)、(2)では繰返しの充放電でも内部抵抗が上昇しにくいことがわかった。リチウム二次電池(1)、(2)は、非水電解液に添加されたLi[B(C2O4)2]が適量であるため、電極表面に配位高分子の皮膜が適切な膜厚で形成されたものと思われる。リチウム二次電池(1)、(2)は、皮膜の効果により電極表面に高抵抗物質が堆積しづらいため、内部抵抗が上昇しづらかったものと思われる。
リチウム二次電池(3)は、Li[B(C2O4)2]の添加量が過少であるため、電極表面の皮膜が不十分になり、電極表面に高抵抗物質が堆積したと考えられる。
試験例2の保存試験において、Li[B(C2O4)2]が添加されているリチウム二次電池(1)〜(3)は、内部抵抗の上昇が抑制されていることがわかった。リチウム二次電池(1)〜(3)は、電極表面に配位高分子の皮膜が形成されている。非水電解液は、活性の高い電極表面に直接接触しないので、分解しづらくなる。電極表面には、高抵抗の分解生成物が堆積しないので、内部抵抗の上昇が抑制される。また、分解生成物は、配位高分子の皮膜に吸着しづらい。保存前の充放電で、電極表面の皮膜上に分解生成物が析出しても、保存期間中に分解生成物は離脱する。リチウム二次電池(1)〜(3)の中で、保存試験後の内部抵抗値が最も低かったのは、リチウム二次電池(1)であった。
電極表面に形成される配位高分子の皮膜が不十分であると、分解生成物の発生を抑制できなかったり、分解生成物が皮膜上から脱離しづらくなる。このような場合、リチウム二次電池の内部抵抗は上昇する。リチウム二次電池(1)よりも添加量の少ないリチウム二次電池(3)は、皮膜の状態が不十分であるため、リチウム二次電池(1)よりも内部抵抗が高くなったと考えられる。
リチウムイオン伝導性を有する皮膜であっても、膜厚が厚くなれば抵抗が高くなる。リチウム二次電池(2)は、Li[B(C2O4)2]の添加量が多いため、電極表面の皮膜が厚くなったものと考えられる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、非水電解液の溶媒としてカーボネート系の溶媒を使用しているが、環状エーテル類を含む溶媒であってもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
正極活物質と非水電解液の成分の関係を示す表である。 試験例の結果を示す表である。 電極表面に配位高分子の皮膜が形成されているリチウム二次電池の模式図である。 電極表面に高抵抗の生成物が堆積しているリチウム二次電池の模式図である。
符号の説明
10、100:リチウム二次電池
12:電池ケース
14、114:非水電解液
20:正極
22:正極集電板
24:正極活物質層
26、46:皮膜
30:セパレータ
40:負極
42:負極集電板
44:負極活物質層
50:導線
52:負荷
128、148:分解生成物

Claims (4)

  1. リチウム二次電池を製造する方法であり、
    リチウムイオン伝導性を有する電解質が有機溶媒に溶解している原料非水電解液を用意する工程と、
    正極活物質が付着している正極を用意する工程と、
    正極活物質の付着量を測定する工程と、
    ホウ素が2以上の配位子を有しているアニオンのリチウム塩を原料非水電解液に添加する工程を備えており、
    前記リチウム塩の添加量が、正極活物質に対するモル比において、正極活物質:リチウム塩=100:0.9〜100:5となるように管理されていることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  2. 前記リチウム塩が、リチウム−ビス(オキサラト)ボレートであることを特徴とする請求項1の製造方法。
  3. 正極活物質が付着している正極と、
    負極活物質が付着している負極と、
    リチウムイオン伝導性を有する電解質とホウ素が2以上の配位子を有しているアニオンのリチウム塩が、有機溶媒に溶解している非水電解液を有するリチウム二次電池であり、
    前記リチウム塩が、リチウム二次電池にいまだ充放電現象が発生していない状態での正極活物質に対するモル比において、正極活物質:リチウム塩=100:0.9〜100:5となる割合で非水電解液に含まれていることを特徴とするリチウム二次電池。
  4. 前記非水電解液が、ビス(オキサラト)ボレートを含んでいることを特徴とする請求項3に記載のリチウム二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012094459A (ja) * 2010-10-29 2012-05-17 Hitachi Ltd リチウムイオン二次電池
JP2016119269A (ja) * 2014-12-23 2016-06-30 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池の製造方法

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