JP2008122762A - 光導波路パッケージ、光導波路パッケージ用筐体、光導波路パッケージの製造方法、および光導波路パッケージの特性調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光導波路素子20を筐体10に実装し筐体10を封止あるいは封止に近い状態とした後においても、光導波路素子20の初期動作点などの特性の調整を行うことを可能にする。
【解決手段】光導波路素子20を筐体10内に実装して筐体10(筐体本体および蓋部11)を溶接等により封止する。蓋部11には石英ガラス製の窓部11aを設け、この窓部11aを通してエキシマレーザ光を筐体10内に実装された光導波路素子20上の所定の領域に照射する。
【選択図】図1
【解決手段】光導波路素子20を筐体10内に実装して筐体10(筐体本体および蓋部11)を溶接等により封止する。蓋部11には石英ガラス製の窓部11aを設け、この窓部11aを通してエキシマレーザ光を筐体10内に実装された光導波路素子20上の所定の領域に照射する。
【選択図】図1
Description
本発明は光導波路パッケージ、光導波路パッケージ用筐体、光導波路パッケージの製造方法、および光導波路パッケージの特性調整方法に関する。
マッハツェンダー型光導波路を用いた光強度変調器や、方向性結合器型光導波路を用いた光スイッチなどの光導波路素子において、これら光導波路素子の初期動作点(光導波路に制御用の信号電圧を印加しない状態における光出力特性)は、素子の製造誤差や、成膜時に生じて残留する内部応力や、素子の実装時に付与される応力などによって変動し、素子間でばらつきを持っていることが多い。
この初期動作点を調整する方法として、例えば電気光学効果を有する基板を用いた光導波路素子の場合、素子上の電極に信号電圧とは別個のバイアス電圧を印加して光導波路の屈折率を制御し、特性を調整することが広く行われている。しかし、このような電気的に初期動作点を制御する方法は、そのための制御回路が必要になるとともに、バイアス電圧の印加によって生じる素子特性の変動が発生する(例えばLN素子ではDCドリフトと呼ばれる変動が生じる)ため、常に初期動作点をモニタしてフィードバック制御を行うことが必要であり、制御回路の複雑化を招いてしまう。
一方、電気的手法を用いずに初期動作点を制御する各種の方法が提案されており、特にレーザ光などを照射して光導波路の特性を変化させ初期動作点を制御するものとして、特許文献1乃至特許文献3のような技術が知られている。
特開2006−243484号公報
特開2001−330742号公報
特開2002−221630号公報
初期動作点の調整は、通常、光導波路素子を筐体に固定し光ファイバや電気配線などを接続する実装工程の後に実施される。これは、実装時に光導波路素子に応力や熱変動が加わって初期動作点が変動してしまうため、初期動作点が変動し終わってからその調整を行う必要があるからである。
ところで、通常これら光導波路素子は、その長期的安定性を確保するために、筐体内に素子を実装した後筐体に封止が施される。しかし、初期動作点の調整にレーザ光を光導波路素子に照射するためには、素子を筐体に取り付けて筐体に蓋をしない状態で光照射を行う必要があるので、光照射をした後に筐体の封止を行うことになる。
したがって、従来は、封止工程において発生する初期動作点の変動を回避することができないという問題があった。すなわち、例えば金属製の筐体をシーム溶接などによって封止する場合、封止時に筐体に対して変形や温度変化が加わり、光導波路素子へ応力が付与されるなどする結果、封止前に調整した初期動作点が再び変動してしまう。こうしたことから、製品特性の劣化や歩留まりの低下が引き起こされることになり、改善策が必要とされていた。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光導波路素子を筐体に実装し筐体を封止あるいは封止に近い状態とした後においても、光導波路素子の初期動作点などの特性の調整を行うことを可能にすることにある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、光導波路を基板上に有する光導波路素子が筐体内部に実装された光導波路パッケージにおいて、該筐体の一部に設けられた、開口部または特定の波長の光を透過させる材質で構成された透光部からなる特性調整用窓を通して、前記実装された光導波路素子の特性が調整されていることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記光導波路素子の少なくとも一部を特性調整領域として、該特性調整領域に前記特性調整用窓を通して光を照射することによって光導波路素子の特性が調整されたことを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記特性調整用窓は、前記特性調整領域に対して光が照射され他の部分に対しては光が照射されない形状と大きさを有していることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記特性調整用窓を透過した光を前記特性調整領域へ導く導光部材を備えることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記筐体は金属若しくは前記特定の波長の光に対する遮光性を有する樹脂、または樹脂と金属との複合体により形成されていることを特徴とする。
また、前記光照射が行われた光導波路パッケージにおいて、前記特性調整用窓に遮光性を有する部材が取り付けられていることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記遮光性部材が取り外しおよび再取り付け可能であることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記遮光性部材によって前記筐体が気密封止されることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記透光部を構成する材質は、無機酸化物若しくは無機窒化物を主成分とするガラス、単結晶、または焼結体、または樹脂により形成されていることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記透光部を備えた前記筐体が気密封止されていることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記透光部に、光を集光若しくは拡散させ、屈折させ、または回折させる手段を具備させたことを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記光照射が行われた光導波路パッケージにおいて、前記開口部は該開口部が設けられている筐体面の面積の20%未満の大きさを有するとともに、前記筐体を気密封止するための封止用部材によって前記開口部が封止されていることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記照射される光の波長は紫外光、可視光、および赤外光の範囲に属することを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記光照射によって前記特性調整領域の屈折率を変化させたことを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、所定の閾値以上のエネルギーを持つ光を用いた前記光照射によって、前記特性調整領域の光導波路若しくは該光導波路近傍の基板の表面の一部、または光導波路素子上に形成された膜の前記特性調整領域の部分を除去し、表面形状を変化させたことを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記開口部を通して注入され前記光導波路素子上に付着させられた高屈折率樹脂によって光導波路の実効屈折率を変化させたことを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記開口部を通して注入され前記光導波路素子上に付着させられた高弾性樹脂によって光導波路素子に応力が付与され、光弾性効果を介して該付着部に屈折率変化が誘起されることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記開口部を通して挿入された超音波発生体を用いて前記光導波路素子の表面の少なくとも一部を切削加工し、光導波路の実効屈折率または伝搬損失を変化させたことを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記開口部を通して挿入された発熱体を用いて前記光導波路素子の表面の少なくとも一部を加熱し、該加熱部に屈折率変化を誘起したことを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記開口部は該開口部が設けられている筐体面の面積の20%未満の大きさを有するとともに、前記筐体を気密封止するための封止用部材によって前記開口部が封止されていることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記光導波路は、方向性結合器型導波路、Y分岐型導波路、マッハツェンダー型導波路の少なくともいずれか一つを含んで構成されることを特徴とする。
また、上記光導波路パッケージにおいて、前記基板は、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムなどの電気光学効果を有する基板、石英ガラス基板、シリコンなどの半導体基板であることを特徴とする。
また、本発明は、上記筐体により構成された、光導波路を基板上に有する光導波路素子を光導波路パッケージとして実装するための光導波路パッケージ用筐体を提供する。
また、本発明は、開口部または特定の波長の光を透過させる材質で構成された透光部からなる特性調整用窓を備えた筐体に光導波路を基板上に有する光導波路素子を実装する工程と、前記特性調整用窓を通して前記実装された光導波路素子の特性を調整する工程とを有する光導波路パッケージの製造方法を提供する。
また、本発明は、特定の波長の光を透過させる材質で構成された透光部からなる特性調整用窓を備えた筐体に光導波路を基板上に有する光導波路素子を実装する工程と、前記筐体を気密封止する工程と、前記特性調整用窓を通して光を照射することによって前記実装された光導波路素子の特性を調整する工程とを有する光導波路パッケージの製造方法を提供する。
また、本発明は、開口部からなる特性調整用窓を備えた筐体に光導波路を基板上に有する光導波路素子を実装する工程と、前記特性調整用窓を通して前記実装された光導波路素子の特性を調整する工程と、前記筐体を気密封止するための封止用部材によって前記特性調整用窓を封止する工程とを有する光導波路パッケージの製造方法を提供する。
また、本発明は、特定の波長の光を透過させる材質で構成された透光部からなる特性調整用窓を備えた筐体に光導波路を基板上に有する光導波路素子が実装された光導波路パッケージに対して、前記特性調整用窓を通して光を照射することによって前記実装された光導波路素子の特性を調整することを特徴とする光導波路パッケージの特性調整方法を提供する。
本発明によれば、光導波路素子を筐体に実装し筐体を封止あるいは封止に近い状態とした後においても、光導波路素子の初期動作点などの特性の調整を行うことが可能である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による光導波路パッケージの構成および製造工程の一部を示したものである。
光導波路パッケージは、筐体10の内部に光導波路素子20を実装した構成を有している。図1においては、内部に実装された光導波路素子20が見えるように、筐体10の一部を切り欠いて描いている。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による光導波路パッケージの構成および製造工程の一部を示したものである。
光導波路パッケージは、筐体10の内部に光導波路素子20を実装した構成を有している。図1においては、内部に実装された光導波路素子20が見えるように、筐体10の一部を切り欠いて描いている。
光導波路素子20は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3;以下、LNという)基板上に光導波路21と電極22を形成したものであり、筐体10内の台座101上に所定の接着剤により固定されている。光導波路21はマッハツェンダー型光導波路であり、入力部21a、2つのアーム部21bおよび21c、出力部21dから構成される。電極22は、アーム部21bおよび21cの上部に設けられている。また、入力部21aと出力部21dには、それぞれ入力用、出力用の光ファイバ31が所定の光学接着剤(入力光(例えば波長λ=1.55μm)に対して透明な接着剤)により接続されている。さらに、電極22には、RFコネクタ32が接続されている(図2(b)参照)。
このような構成により、光導波路素子20は光強度変調器として機能する。すなわち、入力用の光ファイバ31から入力部21aへ入力された連続光としての信号光は、アーム部21b、21cに等しいパワーで分岐されて、電極22から位相変調を受けた後、再び出力部21dにおいて合波される。電極22へは、所定の変調信号電圧が印加され、この変調信号電圧に基づく電界が基板内(光導波路21部分)に印加されて、電気光学効果を介して上記変調信号に応じた屈折率変化が誘起される。この屈折率変化により、各アーム部21bおよび21cを伝搬する光が位相変調され、出力部21dで合波されることにより、強度変調された信号光が得られる。
本発明による光導波路パッケージでは、パッケージ(実装)の完了後に上記の強度変調における初期動作点を正しく設定可能とするために、次のような構成を設けた。
すなわち、本光導波路パッケージの筐体10は、後述する図2に示すように、上面のない筐体本体に蓋部11が溶接等によって固着されており、この蓋部11の一部は、石英ガラス製の窓部11aで構成されている。窓部11aは、光導波路21のアーム部21b、21cのほぼ上部に当たる位置に設けられている。この窓部11aを通して外部から加工用のレーザ光を上記アーム部21b、21cに照射することで、光導波路素子20の筐体10への実装後に、初期動作点の調整を行えるようになっている。
より具体的に以下説明する。
上記加工用のレーザ光としては、エキシマレーザを用いることが好ましく、さらに好適には、KrFエキシマレーザ(波長λ=248nm)を用いることが望ましい。窓部11aの材質である石英ガラスは、紫外線の波長において透過性が高いため、レーザ加工を効率的に行うのに適しているが、照射光に対して透明であれば他の材質であってもよい。
上記加工用のレーザ光としては、エキシマレーザを用いることが好ましく、さらに好適には、KrFエキシマレーザ(波長λ=248nm)を用いることが望ましい。窓部11aの材質である石英ガラスは、紫外線の波長において透過性が高いため、レーザ加工を効率的に行うのに適しているが、照射光に対して透明であれば他の材質であってもよい。
エキシマレーザを光導波路素子20に照射することによって、アーム部21b、21cの一部(光導波路表面)またはその周辺がアブレーションで除去されて、当該アーム部21b、21cにおける光導波路の実効屈折率が変化する。電極22はエキシマレーザ光を遮光してしまうため、エキシマレーザの照射領域は、電極22を避けたエリアに設ける。このレーザアブレーションによる実効屈折率の変化量を適宜調整することで、初期動作点を所望の状態に設定することができる。光導波路21の表面にSiO2などのバッファ層(電極22による導波光の吸収を防止するためのもの)が設けられている場合には、このバッファ層もアブレーションで除去するようにすればよい。
なお、上記レーザアブレーションによって光導波路の実効屈折率が変化するメカニズムとしては、光導波路の一部が除去されて光導波路の断面形状が変化することや、バッファ層が除去されて光導波路の外周部の屈折率が変化することや、光導波路の屈折率分布が変化することや、光導波路またはバッファ層が除去されて光導波路への応力が変化し光弾性効果を介して屈折率が変化することなどが挙げられる。
筐体10(筐体本体および蓋部11)は、環境温度が変化した時に筐体10が伸縮して光導波路素子20(LN)に応力がかかることを防止するため、LNと同程度の熱膨張係数を持つ材質であるSUSにより作製する。この筐体10(筐体本体および蓋部11)には、接合性や電気特性などの面から、金メッキを施せばより好ましい。また、蓋部11材質のSUSと窓部11a材質の石英ガラスとは熱膨張係数が異なるため、窓部11aの外周部には石英ガラスと熱膨張係数の近い材質であるKovar(コバール)製の枠を取り付けた上で、窓部11aを蓋部11に半田またはロウ付けなどにより固定する。こうすることで、蓋部11と窓部11aとの接合の容易化と窓部11aの破損防止が図られる。なお、筐体10(筐体本体および蓋部11)はKovar製とし、台座101をSUS製とすることによっても、光導波路素子20に応力がかかることを防止することができる。この場合は、窓部11aの外周部にKovar製の枠を設けることは不要である。
窓部11aは、上記の通り、光導波路21のアーム部21b、21cのほぼ上部に当たる位置に設けられて、エキシマレーザ光の照射が所定の照射領域に対して正しくなされるようにその形状と大きさが決定される。すなわち、照射領域の大きさと、エキシマレーザの照射光学系とに応じて、窓部11aの設計をすればよい。通常は、数mmから数cm角程度とすればよい。
次に、本光導波路パッケージの製造方法を、図1および図2を用いて説明する。
まず光導波路素子20を一般的な製造プロセスにより作製する(図2(a))。具体的には、LN基板上にチタン(Ti)薄膜をパターンニングし、基板全体を1000℃程度に数時間加熱してチタンを熱拡散させ、マッハツェンダー型の光導波路21を形成する。さらに、必要に応じてSiO2のバッファ層を形成した後、メッキ法により金(Au)の電極22をアーム部21b、21cに形成する。
まず光導波路素子20を一般的な製造プロセスにより作製する(図2(a))。具体的には、LN基板上にチタン(Ti)薄膜をパターンニングし、基板全体を1000℃程度に数時間加熱してチタンを熱拡散させ、マッハツェンダー型の光導波路21を形成する。さらに、必要に応じてSiO2のバッファ層を形成した後、メッキ法により金(Au)の電極22をアーム部21b、21cに形成する。
次いで作製した光導波路素子20を、所定の接着剤を用いて筐体10の台座101部分に固定する(図2(a))。さらに、固定した光導波路素子20の入力部21aと出力部21dに、それぞれ入力用、出力用の光ファイバ31を接続し、電極22にRFコネクタ32をワイヤボンディング等により接続する(図2(b))。これにより、光導波路素子20に変調信号を入力してその光学特性を測定できる状態となる。
その後、上記の状態(蓋部11を取り付けない状態)において、従来技術と同様にして、一旦、初期動作点の調整を行う。これは、蓋部11が取り付けられていない作業性の良い状態の下で予め一定量の調整を行い、蓋部11の取り付け後の調整量を最小限度に止めることが、作業全体の効率からいって望ましいからである。したがって、この工程は省略して次の工程に進んでも構わない。
光ファイバ31等の接続後、または上記の予備調整後、筐体10に蓋部11を溶接等によって固定し、本光導波路パッケージ全体を封止する(図2(c))。パッケージの封止を行うことによって、光導波路素子20の経時的な信頼性が確保されることになるが、通常は、この工程において初期動作点が変化してしまうことが多い。
本光導波路パッケージでは、蓋部11に加工用レーザ光を透過させられる窓部11aが設けられているため、封止後においてもさらに初期動作点を調整することが可能である。具体的には、図1に示すように、RFコネクタ32に駆動回路44を接続するとともに、入力用の光ファイバ31に光源41を、出力用の光ファイバ31に受光器42をそれぞれ接続し受光器42で検出された出力光のパワーを測定器43で測定する系を組み上げる。この系において、駆動回路44から光導波路素子20にバイアス電圧を印加させながら光源41から光を入力し、測定器43で光導波路素子20の変調曲線を求め、初期動作点を算出する。そして、エキシマレーザからの加工用レーザ光をレンズ等の照射光学系を用いて窓部11aへ導き、窓部11aを通して光導波路素子20の照射領域(アーム部21bおよび21c)にこのエキシマレーザ光を照射して、照射部分にアブレーションを発生させる。これによって初期動作点が変化するので、その変化量を測定器43でモニタしながら、初期動作点を所望の状態に設定する。
以上により光導波路パッケージが完成する。図1のエキシマレーザ光を照射する工程以降に光導波路素子20の特性を変化させるような加工工程はないので、上記のようにして完成した光導波路パッケージは、初期動作点が所望の状態に正しく設定されており、良好な特性を発揮できる。
なお、エキシマレーザ光の照射後に、金属膜などで作成された遮光性のシールを窓部11aに取り付け、筐体10内部に光(特に紫外光)が入らないようにしてもよい。このようにすることで、光導波路パッケージの使用環境下において紫外光が光導波路素子20に当たって、初期動作点がずれてしまうことを防止できる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態による光導波路パッケージの構成および製造工程の一部を示したものである。
光導波路パッケージは、筐体10の内部に光導波路素子20を実装した構成を有している。図3においては、内部に実装された光導波路素子20が見えるように、筐体10の一部を切り欠いて描いている。
図3は、本発明の第2の実施形態による光導波路パッケージの構成および製造工程の一部を示したものである。
光導波路パッケージは、筐体10の内部に光導波路素子20を実装した構成を有している。図3においては、内部に実装された光導波路素子20が見えるように、筐体10の一部を切り欠いて描いている。
光導波路素子20は、石英基板上に光導波路23を形成したものであり、筐体10内部に所定の接着剤により固定されている。光導波路23は方向性結合器型光導波路であり、入力部23a、結合部23b、出力部23cから構成される。入力部23aの一方の光導波路には入力用の光ファイバ31が、出力部21dの2つの光導波路各々には出力用の光ファイバ31が、ともに所定の光学接着剤(入力光(例えば波長λ=1.55μm)に対して透明な接着剤)により接続されている。さらに、入力部23aのもう一方の光導波路には、光終端された光ファイバが接続されている。
このような構成により、光導波路素子20は光カプラ(光分岐回路)として機能する。すなわち、入力用の光ファイバ31から入力部23aへ入力された光は、結合部23bでは、近接配置された2本の光導波路間にモード結合されて伝搬する。そしてこのモード結合光は、結合部23bの光路長に応じた強度比で、出力部23cの各光導波路に分岐される。分岐される出力光の強度比は、結合部23bの光路長、すなわち結合部23bの物理的長さと結合部23bの実効屈折率に依存して決定される。
本発明による光導波路パッケージでは、パッケージ(実装)の完了後に上記の強度比を正しく設定可能とするために、次のような構成を設けた。
すなわち、本光導波路パッケージの筐体10は、後述する図4に示すように、上面のない筐体本体に蓋部11が溶接等によって固着されており、この蓋部11の一部は、石英ガラス製の窓部11bで構成されている。窓部11bは、実装された光導波路素子20のほぼ全面を覆う程度の大きさを有するように設けられている(すなわち蓋部11の大部分が窓部11bになっている)。この窓部11bを通して外部から加工用のレーザ光を光導波路23に照射することで、光導波路素子20の筐体10への実装後に、分岐光の強度比の調整を行えるようになっている。
より具体的に以下説明する。
上記加工用のレーザ光としては、エキシマレーザを用いることが好ましく、さらに好適には、KrFエキシマレーザ(波長λ=248nm)またはArFエキシマレーザ(波長λ=193nm)を用いることが望ましい。窓部11bの材質である石英ガラスは、紫外線の波長において透過性が高いため、レーザ加工を効率的に行うのに適しているが、照射光に対して透明であれば他の材質であってもよい。
上記加工用のレーザ光としては、エキシマレーザを用いることが好ましく、さらに好適には、KrFエキシマレーザ(波長λ=248nm)またはArFエキシマレーザ(波長λ=193nm)を用いることが望ましい。窓部11bの材質である石英ガラスは、紫外線の波長において透過性が高いため、レーザ加工を効率的に行うのに適しているが、照射光に対して透明であれば他の材質であってもよい。
エキシマレーザを光導波路素子20に照射すると、当該照射部分がアブレーションにより除去される。ここでは、光導波路23のクラッド部にエキシマレーザの照射を行い、クラッド部を除去することで光導波路23の実効屈折率を変化させるものとする。具体的には、例えば結合部23bの2本の光導波路間のクラッド部にレーザ照射を行って、照射部分のクラッド部を除去する。これにより、除去されたクラッド部の屈折率が、石英ガラスの屈折率n=1.54から空気の屈折率n=1に変化して、結合部23bの実効屈折率すなわち結合モードが変化する。その結果、結合部23bを伝搬するモード結合光の結合部23b出口におけるモード分布が変化することになり、出力部23cへの分岐比が変化する。このレーザアブレーションによる実効屈折率の変化量を適宜調整することで、上記の分岐比を所望の状態に設定することができる。
また、結合部23bにおいて、光導波路のコア部のごく近傍のクラッド部(コア部に隣接した部分)や、コア部の上部に形成されているクラッド層の一部など、光導波路コアの外周部分のクラッド部をレーザ照射により除去し、実効屈折率を変化させてもよい。この実効屈折率変化のメカニズムとして、石英ガラスのクラッド部が除去されてクラッド部が空気になることでクラッド部の屈折率が変化することや、クラッド部の除去により光導波路への応力が変化し光弾性効果を介して屈折率が変化することなどが挙げられる。
また、上記加工に用いるエキシマレーザ以外のレーザ光として、広く一般的にレーザ加工光源に用いられているYAGレーザ(波長λ=1.06μm)やCO2レーザ(波長λ=10.6μm)などの高出力赤外レーザを用いることもできる。この種の高出力赤外レーザを用いた場合、レーザの照射部分はアブレーションではなく、熱溶融あるいは蒸散によって加工されることになる。熱溶融や蒸散による加工面は、エキシマレーザのアブレーションによるものと比べて表面荒れが大きいが、上記のようにクラッド部を加工しているので表面荒れによる光導波路の伝搬損失の増加はほとんどない。
なお、本実施形態では光導波路23を形成する基板も窓部11bもともに石英材料であるため、照射するレーザ光が、窓部11bにおいてはエネルギー密度が低く、光導波路23上ではアブレーション等を生じさせるのに十分にエネルギー密度が高くなるようにする必要がある。そこで、照射光学系にレンズ等を用いてレーザ光を基板上に集光させるような配置をとるものとする。あるいは、光導波路23を形成する基板の組成を調整したり、同基板の加工部分に加工光に対する光吸収性の高い材料を付与することにより、光導波路23上でアブレーション等を生じさせやすくしてもよい。
筐体10(筐体本体および蓋部11)は、環境温度が変化した時に筐体10が伸縮して光導波路素子20(石英)に応力がかかることを防止するため、石英と同程度の熱膨張係数を持つ材質であるKovar(コバール)により作製する。また、窓部11bの外周部にKovar製の枠を取り付けた上で、窓部11bを蓋部11に半田またはロウ付けなどにより固定する。Kovar製の枠の代わりに、窓部11bの外周部をメタライズ化してもよい。
窓部11bは、上記の通り、実装された光導波路素子20のほぼ全面を覆う程度の大きさを有するように設けられており、レーザ光が光導波路素子20の全面に照射可能となっている。なお、窓部11bを通して加工用レーザ光を光導波路素子20に照射する際に、加工対象と同じ材質である窓部11b自体が変質してしまうことを避けるため、上記のように集光光学系を用いるとともに、窓部11bの透過度の劣化や異物の付着がないように製造工程を管理することが望ましい。
次に、本光導波路パッケージの製造方法を、図3および図4を用いて説明する。
まず光導波路素子20を一般的な製造プロセスにより作製する(図4(a))。具体的には、石英基板上に火炎堆積法などの手法を用いて光導波路コアとなるSiO2薄膜を堆積させ、リソグラフィにより光導波路をパターンニングした上で、さらにオーバークラッド層を堆積させて、方向性結合器型の光導波路23を形成する。
まず光導波路素子20を一般的な製造プロセスにより作製する(図4(a))。具体的には、石英基板上に火炎堆積法などの手法を用いて光導波路コアとなるSiO2薄膜を堆積させ、リソグラフィにより光導波路をパターンニングした上で、さらにオーバークラッド層を堆積させて、方向性結合器型の光導波路23を形成する。
次いで、作製した光導波路素子20を、所定の接着剤を用いて筐体10の内部に固定する(図4(a))。さらに、固定した光導波路素子20の入力部23aと出力部23cに、それぞれ入力用、出力用の光ファイバ31を接続する(図4(b))。これにより、光導波路素子20の光学特性を測定できる状態となる。
その後、上記の状態(蓋部11を取り付けない状態)において、従来技術と同様にして、一旦、出力光の分岐比の調整を行う。これは、蓋部11が取り付けられていない作業性の良い状態の下で予め一定量の調整を行い、蓋部11の取り付け後の調整量を最小限度に止めることが、作業全体の効率からいって望ましいからである。また、YAGレーザやCO2レーザを用いて加工を行う場合は、蓋部11を取り付けて封止を行った後にレーザ照射をすると、加工による溶融飛散成分が筐体10内に滞留して、他の部分に影響を及ぼすおそれがあるので、そのようなことを避けるためにも、この予備調整の工程を行った方がよい。
光ファイバ31の接続後、または上記の予備調整後、筐体10に蓋部11を溶接等によって固定し、本光導波路パッケージ全体を封止する(図4(c))。パッケージの封止を行うことによって光導波路素子20の経時的な信頼性が確保されることになるが、通常はこの工程において光導波路23の光学特性(分岐比)が変化してしまうことが多い。
本光導波路パッケージでは、蓋部11に加工用レーザ光を透過させられる窓部11bが設けられているため、封止後においてもさらに出力光の分岐比を調整することが可能である。具体的には、図3に示すように、入力用の光ファイバ31に光源41を、出力用の2本の光ファイバ31に受光器42をそれぞれ接続して、受光器42で検出された出力光のパワーを測定器43で測定する系を組み上げる。この系において、光源41から光を入力し、2つの受光器42の測定パワーの比、すなわち出力光の分岐比を算出する。そして、エキシマレーザまたは高出力赤外レーザからの加工用レーザ光をレンズ等の照射光学系を用いて窓部11bへ導き、窓部11bを通して光導波路素子20の照射領域(結合部23b)にこのレーザ光を照射して、照射部分にアブレーション等を発生させる。これによって出力光の分岐比が変化するので、その変化量を測定器43でモニタしながら、分岐比を所望の状態に設定する。
以上により光導波路パッケージが完成する。図3のレーザ光を照射する工程以降に光導波路素子20の特性を変化させるような加工工程はないので、上記のようにして完成した光導波路パッケージは、出力光の分岐比が所望の状態に正しく設定されており、良好な特性を発揮できる。
なお、加工用レーザ光の照射後に、金属膜などで作成された遮光性のシールを窓部11bに取り付け、筐体10内部に光(特に紫外光)が入らないようにしてもよい。このようにすることで、光導波路パッケージの使用環境下において紫外光等が光導波路素子20に当たって、分岐比がずれてしまうことを防止できる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態による光導波路パッケージは、光導波路の内部にプロトン(H+)を追拡散させることによって光導波路の屈折率を変化させ、光強度変調器の初期動作点を調整するようにしたものであり、この点が上述した第1の実施形態と大きく異なるが、その他の点の多くは第1の実施形態と類似している。そこで、本光導波路パッケージについては、以下、図1および図2を参照して第1の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態による光導波路パッケージは、光導波路の内部にプロトン(H+)を追拡散させることによって光導波路の屈折率を変化させ、光強度変調器の初期動作点を調整するようにしたものであり、この点が上述した第1の実施形態と大きく異なるが、その他の点の多くは第1の実施形態と類似している。そこで、本光導波路パッケージについては、以下、図1および図2を参照して第1の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
光導波路素子20は、LN基板上にマッハツェンダー型の光導波路21と電極22を形成したものであり、第1の実施形態と同様、光強度変調器として機能するものである。光導波路21のアーム部21bおよび21cには、上記電極22とプロトン交換領域が設けられている。このプロトン交換領域にはプロトンが予め予備拡散されており、当該部分を加熱することにより、プロトンをLN基板内部に拡散させて、基板を構成するリチウム(Li)原子とプロトンとを置換させ、その部分の屈折率を上昇させることができるようになっている。プロトン交換領域の加熱は、長波長レーザ光の照射によって行う。そのため、電極22(レーザ光を吸収してしまう)とプロトン交換領域とは、アーム部21bおよび21cの異なる部分に設けるようにする。
光導波路パッケージの筐体10は、第1の実施形態と同様、上面のない筐体本体に蓋部11が溶接等によって固着されたものである。この蓋部11は、石英ガラス製の窓部11aを有し、窓部11aは、光導波路21のアーム部21b、21cのほぼ上部に当たる位置に設けられている。この窓部11aを通して、光導波路素子20の筐体10への実装後に、外部から加工用のレーザ光を上記アーム部21b、21cのプロトン交換領域に照射することができるようになっている。
加工用のレーザ光としては、波長λ=10.6μmの長波長レーザであるCO2レーザを用いる。窓部11aの材質である石英ガラスは、上記の波長において透過性が高いためレーザ加工を効率的に行うのに適しているが、照射光に対して透明であれば他の材質であってもよい。
上記CO2レーザ光をプロトン拡散領域に照射することによって、照射部分が局所的に加熱されて、プロトン拡散領域の当該加熱部分に予備拡散されていたプロトンがLN基板内部に拡散される。その結果、アーム部21b、21cのレーザ光照射部分における光導波路の実効屈折率が変化する。プロトン交換領域を広め(光導波路長手方向に長め)に設けておき、照射部分の長さを制御することで、アーム部21b、21cの光路長の変化量を適宜調整することができる。また、レーザ光の強度や照射時間を制御して、照射部分の加熱温度あるいは加熱時間を調整することで、実効屈折率の変化量を適宜調整するようにすることもできる。こうして、初期動作点を所望の状態に設定することができる。
筐体10(筐体本体および蓋部11)は、第1の実施形態と同様に、LNと同程度の熱膨張係数を持つ材質であるSUSにより作製する。また、窓部11aは、外周部にKovar製の枠を取り付けた上で、蓋部11に半田またはロウ付けなどにより固定する。
窓部11aは、上記の通り、光導波路21のアーム部21b、21cのほぼ上部に当たる位置に設けられて、CO2レーザ光の照射がプロトン交換領域に対して正しくなされるようにその形状と大きさが決定される。すなわち、プロトン交換領域の大きさと、レーザの照射光学系とに応じて、窓部11aの設計をすればよい。通常は、数mmから数cm角程度とすればよい。
次に、本光導波路パッケージの製造方法を説明する。
まず光導波路素子20を一般的な製造プロセスにより作製する(図2(a))。具体的には、LN基板上にチタン(Ti)薄膜をパターンニングし、基板全体を1000℃程度に数時間加熱してチタンを熱拡散させ、マッハツェンダー型の光導波路21を形成する。この光導波路21のアーム部21b、21c(どちらか一方だけでもよい)に、プロトン拡散領域のみを開口させたマスクを形成して、240℃の安息香酸雰囲気中に30分間保持することにより、プロトン交換領域にプロトンを予備拡散させる。さらに、必要に応じてSiO2のバッファ層を形成した後、メッキ法により金(Au)の電極22をアーム部21b、21cに形成する。
まず光導波路素子20を一般的な製造プロセスにより作製する(図2(a))。具体的には、LN基板上にチタン(Ti)薄膜をパターンニングし、基板全体を1000℃程度に数時間加熱してチタンを熱拡散させ、マッハツェンダー型の光導波路21を形成する。この光導波路21のアーム部21b、21c(どちらか一方だけでもよい)に、プロトン拡散領域のみを開口させたマスクを形成して、240℃の安息香酸雰囲気中に30分間保持することにより、プロトン交換領域にプロトンを予備拡散させる。さらに、必要に応じてSiO2のバッファ層を形成した後、メッキ法により金(Au)の電極22をアーム部21b、21cに形成する。
次いで作製した光導波路素子20を、所定の接着剤を用いて筐体10の台座101部分に固定する(図2(a))。さらに、固定した光導波路素子20の入力部21aと出力部21dに、それぞれ入力用、出力用の光ファイバ31を接続し、電極22にRFコネクタ32をワイヤボンディング等により接続する(図2(b))。
その後、上記の状態(蓋部11を取り付けない状態)において、一旦、初期動作点の調整を行う。この工程における具体的な調整方法として、例えば、350〜450℃の熱風を微小ノズルからプロトン交換領域に吹き出して、局所加熱を行う方法を用いる。なお、第1の実施形態と同様、この工程は省略しても構わない。
光ファイバ31等の接続後、または上記の予備調整後、筐体10に蓋部11を溶接等によって固定し、本光導波路パッケージ全体を封止する(図2(c))。パッケージの封止を行うことによって、光導波路素子20の経時的な信頼性が確保されることになるが、通常は、この工程において初期動作点が変化してしまうことが多い。
本光導波路パッケージでは、蓋部11に加工用レーザ光を透過させられる窓部11aが設けられているため、封止後においてもさらに初期動作点を調整することが可能である。具体的には、図1に示すように、本光導波路パッケージに駆動回路44、光源41、受光器42、測定器43を接続した系を組み上げる。この系において、駆動回路44から光導波路素子20にバイアス電圧を印加させながら光源41から光を入力し、測定器43で光導波路素子20の変調曲線を求め、初期動作点を算出する。そして、CO2レーザからの加工用レーザ光をレンズ等の照射光学系を用いて窓部11aへ導き、窓部11aを通して光導波路素子20のプロトン交換領域(アーム部21b、21c)にこのレーザ光を照射して、プロトンを拡散させる。これによって初期動作点が変化するので、その変化量を測定器43でモニタしながら、初期動作点を所望の状態に設定する。
以上により光導波路パッケージが完成する。CO2レーザ光を照射する工程以降に光導波路素子20の特性を変化させるような加工工程はないので、上記のようにして完成した光導波路パッケージは、初期動作点が所望の状態に正しく設定されており、良好な特性を発揮できる。
なお、レーザ光の照射後に、金属膜などで作成された遮光性のシールを窓部11aに取り付け、筐体10内部に光が入らないようにしてもよい。
また、基板内部に追拡散させる物質として、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニッケル(NiO)などを用いることも可能である。これらの物質を用いる場合には、基板上に酸化物膜として形成し拡散領域をパターンニングする工程、またはマグネシウム、亜鉛、ニッケルの各イオンを基板中にイオン注入して予備拡散させる工程を導入すればよい。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。本実施形態による光導波路パッケージは、第3の実施形態と同様に、光導波路の内部にプロトンを追拡散させることによって光導波路の屈折率を変化させ、光強度変調器の初期動作点を調整するようにしたものであるが、プロトンの拡散にCO2レーザ光の照射ではなく、微小加熱源(マイクロヒータ)を用いて局所加熱を行うようにしたものである。
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。本実施形態による光導波路パッケージは、第3の実施形態と同様に、光導波路の内部にプロトンを追拡散させることによって光導波路の屈折率を変化させ、光強度変調器の初期動作点を調整するようにしたものであるが、プロトンの拡散にCO2レーザ光の照射ではなく、微小加熱源(マイクロヒータ)を用いて局所加熱を行うようにしたものである。
そこで、本実施形態については、以下、第3の実施形態と異なる点である筐体10の蓋部11、およびプロトン拡散領域の加熱方法について説明する。その他の点については第3の実施形態と同じであるので、説明を省略する。
図5は、本発明の第4の実施形態による光導波路パッケージの構成および製造工程の一部を示したものである。なお同図においては、内部に実装された光導波路素子20が見えるように、筐体10の一部を切り欠いて描いている。
図5は、本発明の第4の実施形態による光導波路パッケージの構成および製造工程の一部を示したものである。なお同図においては、内部に実装された光導波路素子20が見えるように、筐体10の一部を切り欠いて描いている。
本実施形態の蓋部11は、筐体本体への蓋部11固着後にマイクロヒータ50を筐体10の内部に挿入するための開口部としての窓部11cを有する。窓部11cは、光導波路21のアーム部21b、21cのほぼ上部に当たる位置に設けられている。この窓部11cからマイクロヒータ50を筐体10内部に挿入して、実装された光導波路素子20のプロトン交換領域に近接または接触させることで、当該部分を局所的に加熱することができるようになっている。この加熱により、予備拡散されているプロトンが基板内に拡散される。このようにして、本光導波路パッケージは、光導波路素子20の筐体10への実装後に、初期動作点の調整を行うことが可能である。
上記の開口した窓部11cは、初期動作点の調整後に、板状の封止部材を半田またはロウ付けするなどして封止される。この封止部材は、窓部11cへの封止固着後に環境温度の変化などによって蓋部11と封止部材とが異なる膨張率で伸縮して、封止部分が破られることを避けるため、筐体10および蓋部11と同じ材質であるSUS製、またはSUSと近い熱膨張係数を有する材質とする。
また、窓部11cを封止する際に加える熱の影響を抑え、この封止工程によって上記の調整された初期動作点が再びずれてしまうことを防止するために、窓部11cの大きさは可能な範囲で小さくすることが望ましい。具体的には、マイクロヒータ50を挿入した状態において、加熱部分の位置制御をするために顕微鏡で観察できる程度の大きさがあれば十分であり、より具体的には、蓋部11の面積の20%以下、望ましくは10%以下とするのがよい。なお、窓部11cが小さい場合には、上記封止部材を用いることなく、半田等だけで封止を行うようにすることもできる。
また、窓部11cの内縁部分(上記の封止部材と接する部分)および封止部材は、可能な限り薄く形成することが好ましい。このようにすることで、封止時に加熱が必要な部分の熱容量が減少し、加熱条件が緩和されるので、封止の際の初期動作点のずれの発生を抑えることができる。
次に、本光導波路パッケージの製造方法は、光導波路素子20の作製から筐体10への蓋部11の固定までの工程は第3の実施形態と同じである(図2(a)〜(c)参照)。ただし、本実施形態では、蓋部11に窓部11cが開口しているので、蓋部11を筐体10へ固定した段階ではパッケージとしてはまだ封止がとられていない。
蓋部11を固定した後、マイクロヒータ50を窓部11cから筐体10の内部に挿入して、プロトン交換領域を加熱する。これにより、プロトンが拡散して初期動作点が変化する。初期動作点の変化量は、マイクロヒータ50による加熱温度や加熱時間を制御することで調整可能であるので、その変化量を測定器43でモニタしながら、初期動作点を所望の状態に設定する。
その後、上記した封止部材を窓部11cに固着して、パッケージを封止する。
その後、上記した封止部材を窓部11cに固着して、パッケージを封止する。
以上により光導波路パッケージが完成する。マイクロヒータ50による加熱で初期動作点を調整する工程以降に、封止部材を固着させる工程が含まれているが、ここで封止する部分の面積(窓部11cの面積)は蓋部11の面積よりも十分に小さいので、封止部材固着時に生じる初期動作点のずれはほとんど無視できる程度である。したがって、上記のようにして完成した光導波路パッケージは、初期動作点が所望の状態に正しく設定されており、良好な特性を発揮できる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。
本実施形態による光導波路パッケージは、筐体の蓋部の窓部(石英ガラス)を通して光導波路素子に加工用のレーザ光を照射するものであるが、窓部を照射領域の上部に当たる位置に設けず、窓部と照射領域間の蓋部裏面(筐体内部側)に加工用レーザ光を導光させる導光部材を備えたものである。本実施形態によれば、光導波路素子におけるレーザ光照射位置の直上に窓部を設ける必要がなく、窓部を任意の位置に設けることができる。これにより、例えばレーザ光照射位置の上部に他の部品を配置する必要がある場合でも、レーザ光の照射を問題なく行うことができる。
また、本実施形態では、光導波路周辺部の基板内部に、光誘起屈折率変化をもたらす物質としてFe2+を追拡散させ、当該部分に誘起光(上記加工用レーザ光)を照射することにより光導波路の実効屈折率を変化させて、光強度変調器の初期動作点を調整するようにしている。
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。
本実施形態による光導波路パッケージは、筐体の蓋部の窓部(石英ガラス)を通して光導波路素子に加工用のレーザ光を照射するものであるが、窓部を照射領域の上部に当たる位置に設けず、窓部と照射領域間の蓋部裏面(筐体内部側)に加工用レーザ光を導光させる導光部材を備えたものである。本実施形態によれば、光導波路素子におけるレーザ光照射位置の直上に窓部を設ける必要がなく、窓部を任意の位置に設けることができる。これにより、例えばレーザ光照射位置の上部に他の部品を配置する必要がある場合でも、レーザ光の照射を問題なく行うことができる。
また、本実施形態では、光導波路周辺部の基板内部に、光誘起屈折率変化をもたらす物質としてFe2+を追拡散させ、当該部分に誘起光(上記加工用レーザ光)を照射することにより光導波路の実効屈折率を変化させて、光強度変調器の初期動作点を調整するようにしている。
上記の点を除いては、本実施形態の光導波路パッケージは前述した第3の実施形態と類似の構成を有している。そこで、本光導波路パッケージについては、以下、第3の実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
図6は、本発明の第5の実施形態による光導波路パッケージの構成および製造工程の一部を示したものである。なお同図においては、内部に実装された光導波路素子20が見えるように、筐体10の一部を切り欠いて描いている。
図6は、本発明の第5の実施形態による光導波路パッケージの構成および製造工程の一部を示したものである。なお同図においては、内部に実装された光導波路素子20が見えるように、筐体10の一部を切り欠いて描いている。
光導波路素子20は、第3の実施形態と同様、LN基板上にマッハツェンダー型の光導波路21と電極22を形成したものである。光導波路21のアーム部21bおよび21cの周辺部分(すなわち光導波路自体は除く)には、拡散領域が設けられている。この拡散領域の基板内部にはFe2+が拡散されており、当該部分に屈折率誘起に感度のある波長の誘起光を照射すると、その部分の屈折率が上昇する。アーム部21bおよび21cには電極22も存在しているが、上記の屈折率調整に光照射を用いるため、電極22(照射光を吸収してしまう)と拡散領域とは、アーム部21b、21cの異なる部分に設けるようにする。
ここで、本実施形態においては、照射光を導光部材111を用いて照射するため、照射光を直接光導波路素子20に照射する場合に比べて、照射位置の厳密な制御が難しい。このため、アーム部21b、21cおよびその周辺部分に誘起光がほぼ等しい光量で照射され、その結果アーム部21b、21c間の実効屈折率の変化量に差が生じず、光強度変調器の初期動作点の調整が行えないという問題が生じる可能性がある。
この問題を解決するためには、アーム部21b、21cのうち、片方の周辺部分にのみFe2+の拡散領域を設ける方法や、アーム部21b、21cのうち、片方の周辺部分については電極22と同様の金属膜を形成して誘起光を遮光するという方法がある。
また、拡散現象の原理上、アーム部21b、21cにもある量のFe2+が拡散されてきてしまっているが、アーム部21b、21c自体の屈折率が誘起光の照射で変化しないようにするため、拡散領域に隣接あるいは近接した部分のアーム部21b、21cの光導波路上には、電極22と同様の金属膜を形成する。
光導波路パッケージの筐体10は、第3の実施形態と同様、上面のない筐体本体に蓋部11が溶接等によって固着されたものである。この蓋部11は、石英ガラス製の窓部11dを有するとともに、その裏面(筐体10の内側となる面)に導光部材111を備えている。
この導光部材111は、外部から窓部11dに入射した光を光導波路素子20上の照射領域に導くものであり、図6中の断面図に示すように、光路を折り曲げる反射面を有する。導光部材の材質は、導光させる加工用レーザ光の波長において透過性が高いものであればよく、例えば窓部11dと同じ石英ガラス製とする。また、上記の反射面は、金属薄膜を蒸着した鏡面でもよいし、所定角度で形成された全反射面でもよい。また、導光部材111は光ファイバのようなものでもよく、この場合は導光部材自体を曲げることで光路を変えることができるので、反射面は必要としない。さらに、導光部材111の出射面をレンズ状にしたり、導光部材の光路部の断面積が徐々に小さくなるような形状とすることにより、導光させる加工用レーザ光を集光させることもできる。
このように、窓部11dと導光部材111を通して、光導波路素子20の筐体10への実装後に、外部から加工用のレーザ光をアーム部21b、21cに設けた上記の拡散領域に照射することができるようになっている。
なお、筐体10と蓋部11の材質や固定方法等は、第3の実施形態と同様である。
なお、筐体10と蓋部11の材質や固定方法等は、第3の実施形態と同様である。
拡散領域に照射するレーザ光としては、Arレーザ(波長λ=488nm)、He−Neレーザ(波長λ=633nm)、He−Cdレーザ(波長λ=325.441nm)などを用いる。拡散されたFe2+はこれらのレーザ光の波長に感度を持ち、拡散領域にレーザ光を照射することで、照射部分(アーム部21b、21cの光導波路周辺部分)の屈折率が変化する。この結果、拡散領域に隣接あるいは近接した部分のアーム部21b、21cの光導波路において実効屈折率が変化して、初期動作点が変化する。照射部分の面積(光導波路長手方向の長さ)を制御することで、初期動作点を所望の状態に設定することができる。
次に、本光導波路パッケージの製造方法を説明する。
まず、光導波路素子20を一般的な製造プロセスにより作製する(図2(a)参照)。具体的には、LN基板上にチタン(Ti)薄膜をパターンニングし、基板全体を1000℃程度に数時間加熱してチタンを熱拡散させ、マッハツェンダー型の光導波路21を形成する。さらに基板上にFe2O3膜を成膜し、光導波路21のアーム部21b、21c(どちらか一方だけでもよい)の周辺部分のみを残してパターンニングして拡散領域とする。この基板を所定の温度に加熱することで、基板内部にFe2+を拡散させる。さらに、必要に応じてSiO2のバッファ層を形成した後、メッキ法により金(Au)の電極22をアーム部21b、21cに形成する。
まず、光導波路素子20を一般的な製造プロセスにより作製する(図2(a)参照)。具体的には、LN基板上にチタン(Ti)薄膜をパターンニングし、基板全体を1000℃程度に数時間加熱してチタンを熱拡散させ、マッハツェンダー型の光導波路21を形成する。さらに基板上にFe2O3膜を成膜し、光導波路21のアーム部21b、21c(どちらか一方だけでもよい)の周辺部分のみを残してパターンニングして拡散領域とする。この基板を所定の温度に加熱することで、基板内部にFe2+を拡散させる。さらに、必要に応じてSiO2のバッファ層を形成した後、メッキ法により金(Au)の電極22をアーム部21b、21cに形成する。
その後、第3の実施形態と同様(図2(b)、(c)参照)にして、筐体10への光導波路素子20の固定、および固定した光導波路素子20への光ファイバ31とRFコネクタ32の接続の各工程を行う。そして、上記の加工用レーザ光を拡散領域に照射して初期動作点の予備調整をしてから、蓋部11を筐体本体に固定して光導波路パッケージを封止する。
次いで、図6に示すように、本光導波路パッケージに駆動回路44、光源41、受光器42、測定器43を接続した第3の実施形態と同じ系を組み上げる。この系において、駆動回路44から光導波路素子20にバイアス電圧を印加させながら光源41から光を入力し、測定器43で光導波路素子20の変調曲線を求め、初期動作点を算出する。そして、上記の加工用レーザ光をレンズ等の照射光学系を用いて窓部11aへ導き、窓部11aおよび導光部材111を通して光導波路素子20の拡散領域(アーム部21b、21c周辺部分)にこのレーザ光を照射して、屈折率変化を誘起させる。これによって初期動作点が変化するので、その変化量を測定器43でモニタしながら、初期動作点を所望の状態に設定する。
以上により光導波路パッケージが完成する。図6の加工用レーザ光を照射する工程以降に光導波路素子20の特性を変化させるような加工工程はないので、上記のようにして完成した光導波路パッケージは、初期動作点が所望の状態に正しく設定されており、良好な特性を発揮できる。
なお、レーザ光の照射後に、金属膜などで作成された遮光性のシールを窓部11dに取り付け、筐体10内部に光が入らないようにしてもよい。
また、窓部11dをレンズ状に形成して、レーザ光が拡散領域に効率良く導かれるようにしてもよい。
また、窓部11dと導光部材111は、蓋部11側ではなく筐体本体側に設けるようにしてもよく、例えば筐体側面や裏面から加工用レーザ光が照射されるようにしてもよい。
また、窓部11dと導光部材111は、蓋部11側ではなく筐体本体側に設けるようにしてもよく、例えば筐体側面や裏面から加工用レーザ光が照射されるようにしてもよい。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態を説明する。本実施形態による光導波路パッケージは、光導波路の上部に所定の屈折率を有する樹脂材料を塗布し硬化させることにより光導波路の実効屈折率を変化させ、光強度変調器の初期動作点を調整するようにしたものである。樹脂材料を用いる点を除いては、筐体10、蓋部11、窓部11cの構成は前述した第4の実施形態と、光導波路素子20の構成は第1の実施形態とそれぞれ同一または類似している。
次に、本発明の第6の実施形態を説明する。本実施形態による光導波路パッケージは、光導波路の上部に所定の屈折率を有する樹脂材料を塗布し硬化させることにより光導波路の実効屈折率を変化させ、光強度変調器の初期動作点を調整するようにしたものである。樹脂材料を用いる点を除いては、筐体10、蓋部11、窓部11cの構成は前述した第4の実施形態と、光導波路素子20の構成は第1の実施形態とそれぞれ同一または類似している。
そこで、本実施形態については、以下、樹脂材料による初期動作点の調整およびその加工工程を中心に説明する。
図7は、本発明の第6の実施形態による光導波路パッケージの構成および製造工程の一部を示したものである。なお同図においては、内部に実装された光導波路素子20が見えるように、筐体10の一部を切り欠いて描いている。
図7は、本発明の第6の実施形態による光導波路パッケージの構成および製造工程の一部を示したものである。なお同図においては、内部に実装された光導波路素子20が見えるように、筐体10の一部を切り欠いて描いている。
本実施形態の蓋部11は、第4の実施形態と同様に、開口部としての窓部11cを有しており、窓部11cの位置、大きさも、第4の実施形態と同様とする。筐体本体へ蓋部11を固着させた後に、上記の樹脂材料を滴下・塗布するためのマイクロチューブ60(ディスペンサ)を窓部11cから筐体10内部に挿入して、実装された光導波路素子20の所定の塗布領域に樹脂材料を塗布することができるようになっている。このように窓部11cから樹脂材料を注入することによって、本光導波路パッケージは、光導波路素子20の筐体10への実装後に、初期動作点の調整を行うことが可能である。
樹脂材料の塗布領域は、マッハツェンダー型の光導波路21のアーム部21bおよび21cに設ける。ただし、アーム部21b、21cには電極22も存在しているので、電極22部分を避けた場所とする。また、塗布領域以外の部分の光導波路21上には、電極22による導波光の吸収を防止するためのバッファ層があってもよいが、塗布領域についてはバッファ層を除去するものとする。すなわち、樹脂材料が光導波路(コア)に直接接触できるようにする。さらに、塗布領域の面積(樹脂材料が塗布される光導波路長さ)を制御するための構造物を設けることが好ましく、例えば、上記バッファ層を除去する部分の大きさを制御して、バッファ層が除去され窪んだ部分(光導波路が露出している)に樹脂材料が流し込まれるようにすることができる。この場合、除去された部分のバッファ層端面が、上記構造物に相当することになる。また、その他にも、光導波路素子20上にブロック状または膜状の所定形状の構造物を設けることで、樹脂材料を塗布する面積を制御するようにしてもよい。
樹脂材料には、エポキシ系またはアクリル系紫外線硬化型接着剤を用いる。紫外線照射前には液状のこの樹脂材料を、マイクロチューブ60を使って上記の塗布領域に塗布した後、紫外線を照射して硬化させ、所定の塗布領域から流れ出さないように安定化させる。樹脂材料の屈折率としては、光導波路21(LNの光導波路の屈折率はn=2.2)よりも低屈折率で、バッファ層(SiO2の場合、n=1.5程度)または空気より高屈折率であることが望ましい。
上記の樹脂材料を塗布領域(アーム部21b、21c)に設けることによって、当該部分の光導波路の実効屈折率が変化する。実効屈折率の変化量は、塗布領域の面積、例えば上記した構造物の配置によって調整する。光導波路長手方向にある単位面積の塗布領域を複数設け、樹脂材料を塗布する塗布領域の数で塗布総面積を調整してもよい。
次に、本光導波路パッケージの製造方法は、光導波路素子20の作製から筐体10への蓋部11の固定までの工程は第1の実施形態と同じである(図2(a)〜(c)参照)。なお、バッファ層を除去して塗布領域とする構成にする場合には、光導波路素子20の作製工程において、光導波路21の形成後に、バッファ層の成膜と塗布領域部分のバッファ層の除去(エッチング)の各工程を追加する。
蓋部11を固定した後、マイクロチューブ60を窓部11cから筐体10の内部に挿入して、アーム部21b、21cの塗布領域に樹脂材料を滴下・塗布する。その後さらに、塗布した樹脂材料に対して窓部11cを通して筐体10外部から紫外線を照射して、樹脂材料を硬化させる。なお、紫外線の照射には、窓部11cに挿入した導光部材や光ファイバを用いてもよい。本加工工程により初期動作点が変化するが、初期動作点の変化量は、塗布領域の面積を制御することで調整可能であるので、その変化量を測定器43でモニタしながら、初期動作点を所望の状態に設定する。
その後、第4の実施形態と同様の封止部材を窓部11cに固着して、パッケージを封止する。
その後、第4の実施形態と同様の封止部材を窓部11cに固着して、パッケージを封止する。
以上により光導波路パッケージが完成する。樹脂材料の塗布によって初期動作点を調整する工程以降に、封止部材を固着させる工程が含まれているが、第4の実施形態の場合と同様に、封止部材固着時に生じる初期動作点のずれはほとんど無視できる程度である。したがって、上記のようにして完成した光導波路パッケージは、初期動作点が所望の状態に正しく設定されており、良好な特性を発揮できる。
(第7の実施形態)
上述した第1〜第3、および第5の実施形態の光導波路パッケージは、光導波路パッケージの完成後に再度、初期動作点の調整を行うことが可能である。
そのためには、窓部に取り付けられた遮光性のシールを一度取り外して、その窓部から各実施形態に応じた所定のレーザ光を封止された筐体10内の光導波路素子20に照射すればよい。パッケージの完成後に環境条件の変動などによって初期動作点がずれてしまうことがあり、このような場合にも、再調整により光導波路パッケージの特性を良好な状態に保つことができる。なお、再調整後の光導波路パッケージの窓部には、再度、遮光性のシールを取り付けておくことが好ましい。
上述した第1〜第3、および第5の実施形態の光導波路パッケージは、光導波路パッケージの完成後に再度、初期動作点の調整を行うことが可能である。
そのためには、窓部に取り付けられた遮光性のシールを一度取り外して、その窓部から各実施形態に応じた所定のレーザ光を封止された筐体10内の光導波路素子20に照射すればよい。パッケージの完成後に環境条件の変動などによって初期動作点がずれてしまうことがあり、このような場合にも、再調整により光導波路パッケージの特性を良好な状態に保つことができる。なお、再調整後の光導波路パッケージの窓部には、再度、遮光性のシールを取り付けておくことが好ましい。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、筐体10は、SUSやKovarのほか真鍮などの金属でもよく、また金属に限らずセラミックスや樹脂製でもよい。ただし、照射する光の波長に対して遮光性を有する材質であることが好ましい。また、これら各材質の複合材料でもよい。
例えば、筐体10は、SUSやKovarのほか真鍮などの金属でもよく、また金属に限らずセラミックスや樹脂製でもよい。ただし、照射する光の波長に対して遮光性を有する材質であることが好ましい。また、これら各材質の複合材料でもよい。
また、窓部(開口していない窓部)の材質は、石英ガラスに限られず、照射する光の波長において透過性が高いものであればよく、無機酸化物若しくは無機窒化物を主成分とするガラス、単結晶、または焼結体、または樹脂により形成されたものであってもよい。
また、窓部(開口していない窓部)および導光部材は、パッケージが封止された後にレーザ光を光導波路素子20上に導くことができることが必要であり、そのために、光を集光若しくは拡散させ、屈折させ、または回折させる周知の機能・構造が備わっているようにするとよりよい。
また、照射されるレーザ光の波長は、光導波路素子20に屈折率変化をもたらす物理現象を効率的に引き起こすことができるものであれば、その波長域は特に限定されない。
また、第6の実施形態において、マイクロチューブ60から弾性係数の高い(すなわち硬化した時の硬さが硬い)樹脂材料を注入して光導波路素子20上に塗布し、硬化後に光導波路素子20内に応力が付与されるようにして、光弾性効果を介して屈折率が変化するようにしてもよい。
また、開口部としての窓部から、超音波加工用のプローブを筐体10内部に挿入して、光導波路素子20の表面を切削加工し、光導波路21の実効屈折率または伝搬損失を変化させてもよい。
また、マイクロヒータ50により光導波路素子20の一部を加熱し、発生した熱応力から光弾性効果を介して加熱部に屈折率変化を誘起させてもよい。
また、光導波路21の構成は上述した実施形態に説明されたものに特に限定されず、Y分岐型光導波路なども含まれる。
また、基板は、LN以外に電気光学効果を有するものとしてタンタル酸リチウム基板、その他、シリコンなどの半導体基板を用いることもできる。
10…筐体 11…蓋部 11a〜11d…窓部 20…光導波路素子 21…光導波路 22…電極 31…光ファイバ 32…RFコネクタ 41…光源 42…受光器 43…測定器 44…駆動回路 50…マイクロヒータ 60…マイクロチューブ 111…導光部材
Claims (27)
- 光導波路を基板上に有する光導波路素子が筐体内部に実装された光導波路パッケージにおいて、該筐体の一部に設けられた、開口部または特定の波長の光を透過させる材質で構成された透光部からなる特性調整用窓を通して、前記実装された光導波路素子の特性が調整されていることを特徴とする光導波路パッケージ。
- 前記光導波路素子の少なくとも一部を特性調整領域として、該特性調整領域に前記特性調整用窓を通して光を照射することによって光導波路素子の特性が調整されたことを特徴とする請求項1に記載の光導波路パッケージ。
- 前記特性調整用窓は、前記特性調整領域に対して光が照射され他の部分に対しては光が照射されない形状と大きさを有していることを特徴とする請求項2に記載の光導波路パッケージ。
- 前記特性調整用窓を透過した光を前記特性調整領域へ導く導光部材を備えることを特徴とする請求項2に記載の光導波路パッケージ。
- 前記筐体は金属若しくは前記特定の波長の光に対する遮光性を有する樹脂、または樹脂と金属との複合体により形成されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかの項に記載の光導波路パッケージ。
- 前記光照射が行われた光導波路パッケージにおいて、前記特性調整用窓に遮光性を有する部材が取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の光導波路パッケージ。
- 前記遮光性部材が取り外しおよび再取り付け可能であることを特徴とする請求項6に記載の光導波路パッケージ。
- 前記遮光性部材によって前記筐体が気密封止されることを特徴とする請求項6に記載の光導波路パッケージ。
- 前記透光部を構成する材質は、無機酸化物若しくは無機窒化物を主成分とするガラス、単結晶、または焼結体、または樹脂により形成されていることを特徴とする請求項2から請求項8のいずれかの項に記載の光導波路パッケージ。
- 前記透光部を備えた前記筐体が気密封止されていることを特徴とする請求項2から請求項9のいずれかの項に記載の光導波路パッケージ。
- 前記透光部に、光を集光若しくは拡散させ、屈折させ、または回折させる手段を具備させたことを特徴とする請求項2、3、5〜10に記載の光導波路パッケージ。
- 前記光照射が行われた光導波路パッケージにおいて、前記開口部は該開口部が設けられている筐体面の面積の20%未満の大きさを有するとともに、前記筐体を気密封止するための封止用部材によって前記開口部が封止されていることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれかの項に記載の光導波路パッケージ。
- 前記照射される光の波長は紫外光、可視光、および赤外光の範囲に属することを特徴とする請求項2から請求項12のいずれかの項に記載の光導波路パッケージ。
- 前記光照射によって前記特性調整領域の屈折率を変化させたことを特徴とする請求項2から請求項13のいずれかの項に記載の光導波路パッケージ。
- 所定の閾値以上のエネルギーを持つ光を用いた前記光照射によって、前記特性調整領域の光導波路若しくは該光導波路近傍の基板の表面の一部、または光導波路素子上に形成された膜の前記特性調整領域の部分を除去し、表面形状を変化させたことを特徴とする請求項2から請求項14のいずれかの項に記載の光導波路パッケージ。
- 前記開口部を通して注入され前記光導波路素子上に付着させられた高屈折率樹脂によって光導波路の実効屈折率を変化させたことを特徴とする請求項1に記載の光導波路パッケージ。
- 前記開口部を通して注入され前記光導波路素子上に付着させられた高弾性樹脂によって光導波路素子に応力が付与され、光弾性効果を介して該付着部に屈折率変化が誘起されることを特徴とする請求項1に記載の光導波路パッケージ。
- 前記開口部を通して挿入された超音波発生体を用いて前記光導波路素子の表面の少なくとも一部を切削加工し、光導波路の実効屈折率または伝搬損失を変化させたことを特徴とする請求項1に記載の光導波路パッケージ。
- 前記開口部を通して挿入された発熱体を用いて前記光導波路素子の表面の少なくとも一部を加熱し、該加熱部に屈折率変化を誘起したことを特徴とする請求項1に記載の光導波路パッケージ。
- 前記開口部は該開口部が設けられている筐体面の面積の20%未満の大きさを有するとともに、前記筐体を気密封止するための封止用部材によって前記開口部が封止されていることを特徴とする請求項16から請求項19のいずれかの項に記載の光導波路パッケージ。
- 前記光導波路は、方向性結合器型導波路、Y分岐型導波路、マッハツェンダー型導波路の少なくともいずれか一つを含んで構成されることを特徴とする請求項1から請求項20に記載の光導波路パッケージ。
- 前記基板は、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムなどの電気光学効果を有する基板、石英ガラス基板、シリコンなどの半導体基板であることを特徴とする請求項1から請求項21のいずれかの項に記載の光導波路パッケージ。
- 請求項1、3、4、5、9、10、および11に記載の筐体により構成された、光導波路を基板上に有する光導波路素子を光導波路パッケージとして実装するための光導波路パッケージ用筐体。
- 開口部または特定の波長の光を透過させる材質で構成された透光部からなる特性調整用窓を備えた筐体に光導波路を基板上に有する光導波路素子を実装する工程と、
前記特性調整用窓を通して前記実装された光導波路素子の特性を調整する工程と
を有する光導波路パッケージの製造方法。 - 特定の波長の光を透過させる材質で構成された透光部からなる特性調整用窓を備えた筐体に光導波路を基板上に有する光導波路素子を実装する工程と、
前記筐体を気密封止する工程と、
前記特性調整用窓を通して光を照射することによって前記実装された光導波路素子の特性を調整する工程と
を有する光導波路パッケージの製造方法。 - 開口部からなる特性調整用窓を備えた筐体に光導波路を基板上に有する光導波路素子を実装する工程と、
前記特性調整用窓を通して前記実装された光導波路素子の特性を調整する工程と、
前記筐体を気密封止するための封止用部材によって前記特性調整用窓を封止する工程と
を有する光導波路パッケージの製造方法。 - 特定の波長の光を透過させる材質で構成された透光部からなる特性調整用窓を備えた筐体に光導波路を基板上に有する光導波路素子が実装された光導波路パッケージに対して、前記特性調整用窓を通して光を照射することによって前記実装された光導波路素子の特性を調整することを特徴とする光導波路パッケージの特性調整方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012181458A (ja) * | 2011-03-02 | 2012-09-20 | Olympus Corp | 波長選択スイッチ用光学ユニットおよび波長選択スイッチ |
JP2013188779A (ja) * | 2012-03-14 | 2013-09-26 | Toyota Central R&D Labs Inc | レーザ加工装置 |
JP2013195915A (ja) * | 2012-03-22 | 2013-09-30 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | Ktn光スキャナーの遮蔽機構 |
JP2015011135A (ja) * | 2013-06-27 | 2015-01-19 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | 光走査装置及び該光走査装置を備えた画像形成装置、並びに、光走査装置の振動ミラー部の質量調整方法。 |
-
2006
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