電動アクチュエータの駆動による補正レンズの移動方向を制御するバランサを、補正レンズを挟んで第1の電動アクチュエータ及び第2の電動アクチュエータの反対側に設ける。これにより、装置全体の小型化、軽量化を実現できると共に、部品点数の削減を図り、補正レンズの移動方向の安定性及び直進性の向上を図ることができる像ぶれ補正装置、レンズ鏡筒及び撮像装置を、簡単な構成によって実現した。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。図1〜図28は、本発明の実施の形態の例を示すものである。即ち、図1〜図17は本発明の像ぶれ補正装置の第1の実施の例に係るムービングマグネット方式の電動アクチュエータを備えた像ぶれ補正装置を示すもので、図1は斜視図、図2は平面図、図3Aは正面図、図3Bは背面図、図3Cは左側面図、図3Dは右側面図、図4は分解した像ぶれ補正装置を正面から見た説明図、図5は図2のM−M線断面図、図6は分解斜視図、図7は構成部品を示す分解斜視図、図8Aは球面ガイドの第1の実施の例である球体とその球体の直径よりも十分に大きな直径を有する球体保持部の説明図、図8Bは球体とその球体の直径と略同一の直径を有する球体保持部の説明図、図8Cは球面ガイドの第2の実施の例を示す説明図である。図9はホール素子の配置の第1の実施の例を示す説明図、図10はホール素子の配置の第2の実施の例を示す説明図、図11は位置検出機構を説明するもので、図11Aは概略構成を示す説明図、図11Bはマグネットに対するホール素子の位置と磁束密度の関係を説明するグラフ、図12Aは移動枠と支持枠の位置関係を示す平面図、図12Bは図12AのM−M線断面図、図12Cは図12AのN−N線断面図である。
図13は電動アクチュエータの駆動時における力の関係を説明するもので、図13Aは力の作用点を示す模式図、図13Bは第1の電動アクチュエータを駆動させた状態における第1及び第2の電動アクチュエータとバランサ間の力の関係を説明する図、図13Cは理想の力の関係を説明する図、図13Dは理想値よりもバランサの磁力が小さい状態を説明する図、図13Eは理想値よりもバランサの磁力が大きい状態を説明する図である。図14Aは移動枠が第1の方向の一方(+)へ移動した状態を示す説明図、図14Bは図14AのM−M線断面図、図15Aは移動枠が第1の方向の他方(−)へ移動した状態を示す説明図、図15Bは図15AのM−M線断面図、図16Aは移動枠が第2の方向の一方(+)へ移動した状態を示す説明図、図16Bは図16AのN−N線断面図、図17Aは移動枠が第2の方向の他方(−)へ移動した状態を示す説明図、図17Bは図17AのN−N線断面図である。
図18は本発明の像ぶれ補正装置の第2の実施の例を示すムービングコイル方式の電動アクチュエータを備えた像ぶれ補正装置を断面した説明図である。図19〜図21は本発明のレンズ鏡筒の第1の実施の例を示すもので、図19は斜視図、図20Aは正面図、図20Bは左側面図、図21はレンズ系の配置を示す説明図である。図22〜図25は本発明の撮像装置の第1の実施の例としてのデジタルスチルカメラを示すもので、図22はデジタルスチルカメラを正面側から見た斜視図、図23はレンズカバーを移動させて対物レンズを露出した斜視図、図24は背面図、図25は平面図である。図26は本発明の像ぶれ補正装置の制御概念を説明するブロック図、図27は本発明に係る撮像装置の概略構成の第1の実施の例を示すブロック図、図28は同じく撮像装置の概略構成の第2の実施の例を示すブロック図である。
まず、本発明の像ぶれ補正装置の第1の実施の例について図1〜図17を参照して説明する。この第1の実施の例は、補正レンズ4の駆動装置としてムービングマグネット方式の電動アクチュエータを備えた像ぶれ補正装置1として構成したものである。図1等に示すように、この像ぶれ補正装置1は、支持枠(固定基盤)2と、移動枠3と、2つの電動アクチュエータ5A,5Bと、バランサ6と、本発明の球面ガイドの第1の実施の例として示す3つの球体12等を備えて構成されている。
移動枠3は、3つの球体12を介して支持枠2上においてレンズ系の光軸と直交する2方向(第1の方向X及び第2の方向Y)へ移動自在に支持されている。更に、移動枠3は、第1の電動アクチュエータ5Aによりレンズ系の光軸と直交する第1の方向Xへ移動可能とされていると共に、第2の電動アクチュエータ5Bによりレンズ系の光軸と直交する方向であって第1の方向Xとも直交する第2の方向Yへ移動可能とされている。
像ぶれ補正装置1の補正レンズ4は、後述するカメラ本体に手の震えや揺れが生じたときに、そのときの像ぶれ量に対応してその位置を第1の方向X及び/又は第2の方向Yに移動させて像ぶれを補正するものである。また、この補正レンズ4は、移動枠3に固定されて一体的に構成されている。
2つの電動アクチュエータ5A,5Bは同一の構成を有するものであり、第1の電動アクチュエータ5Aは、マグネット8aとバックヨーク9aとコイル13aと対向ヨーク18aを有し、第2の電動アクチュエータ5Bは、マグネット8bとバックヨーク9bとコイル13bと対向ヨーク18bを有している。バランサ6は、バランサマグネット11、バックヨーク9c、バランサ対向ヨーク19によって構成されている。この第1及び第2の電動アクチュエータ5A,5Bの各マグネット8a,8bの磁力とバランサ6のバランサマグネット11の磁力によって移動枠3が引っ張られ、その移動枠3が球体12を介して支持枠2側に付勢されている。
バランサ6は、第1の電動アクチュエータ5Aの駆動による第1の方向Xと第2の電動アクチュエータ5Bの駆動による第2の方向Yへの補正レンズ4の移動を制御するものである。また、バランサ6は、移動枠3の、補正レンズ4を挟んで第1の電動アクチュエータ5A及び第2の電動アクチュエータ5Bの反対側で、且つ、補正レンズ4を中心として第1の電動アクチュエータ5Aから第1の方向Xに延長した線と第2の電動アクチュエータ5Bから第2の方向Yに延長した線とによって形成される角度(挟角)を二分する線上に配置されている。
図4及び図6等に示すように、移動枠3は、略円形状の板体からなっている。この移動枠3は、リング状をなすレンズ固定部20と、当該レンズ固定部20の半径方向の外側に一体に設けた3つのマグネット固定部22a,22b,22cを有している。図2に示すように、レンズ固定部20は、移動枠3の中心に設けられており、このレンズ固定部20の中央部に嵌合穴21が設けられている。嵌合穴21は、移動枠3を上下方向へ貫通する円形の穴としてされている。この嵌合穴21の上部に補正レンズ4が嵌合され、接着剤等の固着手段により固定されて一体に取り付けられている。
3つのマグネット固定部22a〜22cのうち、第1のマグネット固定部22aは、レンズ固定部20における第1の位置に配置されている。この第1のマグネット固定部22aは、所定の間隔を開けて設けた2つの突起片23,23を有している。2つの突起片23,23は、レンズ固定部20の外周側から半径方向外側へ突出するように形成されている。この突起片23,23の間に、図3Aに示すように、第1の電動アクチュエータ5Aのマグネット8a及びバックヨーク9aが配置され、接着剤や固定ねじ等の固着手段によって一体的に固定されている。
第2のマグネット固定部22bは、レンズ固定部20の嵌合穴21を中心として第1のマグネット固定部22aから90度回転変位した第2の位置に配置されている。この第2のマグネット固定部22bは、第1のマグネット固定部22aと同様に、所定の間隔を開けて設けた2つの突起片23,23を有している。2つの突起片23,23は、レンズ固定部20の外周側から半径方向外側へ突出するように形成されている。この突起片23,23の間に、図3Dに示すように、第2の電動アクチュエータ5Bのマグネット8bとバックヨーク9bが配置され、接着剤や固定ねじ等の固着手段によって一体的に固定されている。
また、第3のマグネット固定部22cは、レンズ固定部20における嵌合穴21を挟んで第1及び第2のマグネット固定部22a,22bの反対側であって、嵌合穴21を中心として、第1のマグネット固定部22aから第1の方向Xに延長した線と第2のマグネット固定部22bから第2の方向Yに延長した線とによって形成される角度を二分する線上に配置されている。この第3のマグネット固定部22cは、第1及び第2のマグネット固定部22a,22bと同様に、所定の間隔を開けて設けた2つの突起片23,23有している。2つの突起片23,23は、レンズ固定部20の外周側から半径方向外側へ突出するように形成されている。この突起片23,23の間には、図3B及び図3C等に示すように、バランサ6のバランサマグネット11及びバックヨーク9cが配置され、接着剤や固定ねじ等の固着手段によって一体的に固定されている。
2つのマグネット8a,8b及びバランサマグネット11は、それぞれ四角形に形成された板体からなっている。2つのマグネット8a,8bは、同一の形状であると共に磁力が等しくなるように設定されている。バランサマグネット11は、2つのマグネット8a,8bとバランス調整を行うもので、移動枠3を支持枠2側に付勢すると共に、移動枠3に取り付けられている補正レンズ4の移動方向を制御するために所定の強さの磁力(吸引力)を有している。そして、2つのマグネット8a,8bとバランサマグネット11は、磁束を上下方向に透過させるために、レンズ固定部20に取り付けられた補正レンズ4を中心として半径方向の内側と外側、及び支持枠2と対向する面側と支持枠2から離れた面側の双方において極性が異なるようにN極及びS極に着磁されている。
この実施例では、図5及び図12B,図12Cに示すように、2つのマグネット8a,8bは、補正レンズ4に近い半径方向内側であって支持枠2と対向する面側と、補正レンズ4から遠い半径方向外側であって支持枠2から離れた面側に、それぞれN極が設定されている。そして、これらと反対側、即ち、補正レンズ4に近い半径方向内側であって支持枠2から離れた面側と、補正レンズ4から遠い半径方向外側であって支持枠2と対向する面側に、それぞれS極が設定されている。
また、バランサマグネット11は、補正レンズ4に近い半径方向内側であって支持枠2と対向する面側と、補正レンズ4から遠い半径方向外側であって支持枠2から離れた面側に、S極が設定されている。そして、これらと反対側、即ち、補正レンズ4に近い半径方向内側であって支持枠2から離れた面側と、補正レンズ4から遠い半径方向外側であって支持枠2と対向する面側に、それぞれN極が設定されている。しかしながら、2つのマグネット8a,8b及びバランサマグネット11の極性の配置は、この実施例と逆であっても良く、更に、3つとも補正レンズ4に近い半径方向内側であって支持枠2と対向する面側をN極又はS極としてもよいことは勿論である。
3つのバックヨーク9a,9b,9cは、それぞれ鉄板等の磁性体によって四角形に形成された板体からなっており、2つのマグネット8a,8b及びバランサマグネット11と略同様の大きさを有している。各バックヨーク9a,9bの支持枠2側の面には、各マグネット8a,8bの支持枠2から離れた面が接着剤等によってそれぞれ固定されている。バックヨーク9cの一面には、バランサマグネット11が接着剤等によって固定されている。この3つのバックヨーク9a,9b,9cは、2つのマグネット8a,8bとバランサマグネット11の磁気効率を高める役割を果たしている。
図4及び図6等に示すように、支持枠2は、移動枠3よりも大きい円形状の板体からなっている。この支持枠2は、中央部に設けた貫通孔15と、一面に突出するように設けた円筒部24と、その一面に凹部を形成することによって設けた3つの球体保持部25と、同じく一面に凹部を形成することによって設けた3つの段差部26a,26b,26cを有している。円筒部24は、支持枠2の一面において、貫通穴15を囲むように形成されている。この円筒部24の外径は、嵌合穴21の直径より適宜に小さく形成されている。これにより、嵌合穴21内に挿入された円筒部24が、その嵌合穴21内において360度の範囲に亘って半径方向外側へ所定の範囲で相対的に移動可能に構成されている。
図6及び図9に示すように、3つの球体保持部25は、円筒部24の周囲を囲むように略120度の角度間隔で略均等に配置されている。3つの球体保持部25は、球体12の直径よりも大きな直径で、円形の凹部として形成されている。この球体保持部25の深さは、球体12の保持を確実にするため、球体12の半径と同様の深さか、或いはそれよりも大きく設定することが好ましいが、球体12の半径よりも浅いものであってもよい。
図7及び図8Aに示すように、3つの球体12は、それぞれが球体保持部25内で転動自在に保持されている。この球体12は、組立時、支持枠2と移動枠3の間に介在される。これにより、移動枠3と球体12と支持枠2との間に生じる摩擦抵抗を極めて小さくすることができる。その結果、各電動アクチュエータ5A,5Bは、小さな駆動力で移動枠3を所定の位置まで確実に移動させることができる。更に、球体12は、2つのマグネット8a,8b及びバランサマグネット11の磁力の影響を受けず、且つ、高い強度を有するものが好ましいが、それに限定されるものではない。例えば、球体12の材質としては、ステンレス鋼などの金属は勿論のこと、金属以外のセラミック等が好適であるが、磁性体である構造用炭素鋼等を用いることもできる。
また、本実施例では、球体保持部25を球体12の直径よりも大きな直径としたが、これに限定されるものではない。図8Bに示す実施の例は、球体保持部25Aの直径を、球体12の直径とほぼ等しい直径を有する、円形の凹部として形成したものである。この場合、球体12は、球体保持部25Aによって略一点で回転自在に支持される。この実施の例においても、第1の実施の例で示す球体12と球体保持部25の組み合わせと同様に、移動枠3と球体12と支持枠2との間に生じる摩擦抵抗を極めて小さくすることができる。その結果、各電動アクチュエータ5A,5Bは、小さな駆動力で移動枠3を所定の位置まで確実に移動させることができる。
なお、本実施例では、球体12と球体保持部25の組み合わせによる支持部を3箇所設けた例について説明したが、その支持部の数は、これに限定されるものではなく、4箇所以上設ける構造とすることもできることは勿論である。更に、球体保持部25を支持枠2に設けた例について説明したが、これとは逆に、球体保持部25を移動枠3に設けてもよいことは勿論である。
本実施例では、球面ガイドの第1の実施の例として球体12を適用した例について説明したが、これに限定されるものではない。図8Cには、本発明の像ぶれ補正装置1に係る球面ガイドの第2の実施の例を示す球面突起12Aである。この球面突起12Aは、半球状をなす接触面を先端部に設けた円柱状の突起部からなり、支持枠2と一体に設けられている。この球面突起12Aの半球状の接触面によって移動枠3が支持され、略点接触状態で移動枠3が支持枠2に対して相対的に摺動可能とされている。
このような構成を有する球面突起12Aによっても、球体12と略同様の効果を得ることができ、移動枠3と支持枠2との間に生じる摩擦抵抗を極めて小さくすることができる。その結果、電動アクチュエータ5A,5Bの小型化を図ることができると共に、小さな駆動力で移動枠3を所定の位置まで確実に移動させることができる。また、図8Cに示す実施例では、球面突起12Aを支持枠2に設けた例について説明したが、これとは逆に、球面突起12Aを移動枠3に設ける構成とすることもできる。
図6及び図7に示すように、支持枠2における移動枠3に設けたマグネット8aと対応する位置には、第1の段差部26aが設けられ、マグネット8bと対応する位置には第2の段差部26bが設けられ、更に、バランサマグネット11と対応する位置には第3の段差部26cが設けられている。この3の段差面26a,26b,26cは、それぞれ支持枠2の一面から所定の深さをもって凹んでいる。第1の段差部26aには、第1の電動アクチュエータ5Aの対向ヨーク18aが固定され、第2の段差部26bには、第2の電動アクチュエータ5Bの対向ヨーク18bがそれぞれ接着剤や固定ねじ等の固着手段によって固定されている。また、第3の段差部26cには、バランサ6のバランサ対向ヨーク19が接着剤や固定ねじ等の固着手段によって固定されている。
2つの対向ヨーク18a,18bとバランサ対向ヨーク19は、移動枠3にそれぞれ取り付けた3つのバックヨーク9a,9b,9cと同一のものであり、四角形の平板状に形成されている。この2つの対向ヨーク18a,18bとバランサ対向ヨーク19は、2つのマグネット8a,8bとバランサマグネット11と概略同じ面積であり、若しくは相似形である。更に、2つの対向ヨーク18a,18bとバランサ対向ヨーク19は、2つのマグネット8a,8bとバランサマグネット11の磁力で吸引されることにより移動枠3を支持枠2側に付勢し、移動枠3と支持枠2との間に発生するガタツキを無くす役割を果たしていると共に、光学特性の劣化を最小限に抑えることができる。
支持枠2の第1の段差部26aに収納されている対向ヨーク18a及び第2の段差部26bに収納されている対向ヨーク18bには、粘着テープ等の固着手段によってフレキシブル配線板16が固定されている。このフレキシブル配線板16は、2つの対向ヨーク18a,18bと略同様の大きさを有する第1のコイル搭載部16aと第2のコイル搭載部16bを有している。
第1のコイル搭載部16a及び第2のコイル搭載部16bは、L字状をなす連結部16cにより連結されて一体に構成されている。第1のコイル搭載部16aは、対向ヨーク18aと重なり合うように配置され、第2のコイル搭載部16bは、対向ヨーク18bと重なり合うように配置されている。第1のコイル搭載部16aには、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aが搭載され、第2のコイル搭載部16bには、第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bが搭載されている。そして、各コイル13a,13bはハンダ付け等の固着手段により実装されてフレキシブル配線板16と一体的に構成されている。
2つのコイル13a,13bは、それぞれ第1のコイル搭載部16a及び第2のコイル搭載部16bの上面に設けた所定の配線パターンと電気的に接続されている。2つのコイル13a,13bは、平面的に巻回されていると共に略楕円形をなしており、中央に略長方形状の空間部を有する扁平コイルとして構成されている。
図6に示すように、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aにおいて、幅方向に対向する長辺側の2つの直線部分が、アクチュエータとして推力を発生する推力発生部27a,27bとなっている。同様に、第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bにおいて、幅方向に対向する長辺側の2つの直線部分が、アクチュエータとして推力を発生する推力発生部28a,28bとなっている。第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aは、推力発生部27a,27bが延長する方向を第1の方向Xと直交する方向に向けて配置されている。第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bは、推力発生部28a,28bが延長する方向を第2の方向Yと直交する方向に向けて配置されている。
第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aの内側の推力発生部27aには、マグネット8aの補正レンズ4に近い半径方向内側の磁極部(この実施例ではN極)が対向され、外側の推力発生部27bにはマグネット8aの補正レンズ4から遠い半径方向外側の磁極部(この実施例ではS極)が対向される。同様に、第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bの内側の推力発生部28aには、マグネット8bの補正レンズ4に近い半径方向内側の磁極部(この実施例ではN極)が対向され、外側の推力発生部28bにはマグネット8bの補正レンズ4から遠い半径方向外側の磁極部(この実施例ではS極)が対向される。
第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aの中央に設けた空間部には、補正レンズ4の第1の方向Xに関する位置情報を検出する第1のホール素子14aが収納されている。第2の電動アクチュエータのコイル13bの中央に設けた空間部には、補正レンズ4の第2の方向Yに関する位置情報を検出する第2のホール素子14bが収納されている。第1及び第2のホール素子14a,14bは、図9に示すように、その検出部が各マグネット8a,8bの補正レンズ4を中心とした半径方向内側と外側の磁極部の境界線(極境)と上下方向で略重なる位置に配置されている。
第1のホール素子14aは、第1の電動アクチュエータ5Aのマグネット8aの磁力の強さを検出し、第2のホール素子14bは、第2の電動アクチュエータ5Bのマグネット8bの磁力を検出する。そして、各ホール素子14a,14bは、検出した磁力の強さに応じた検出信号を出力する。この2つのホール素子14a,14bからの検出信号に基づいて制御装置が、補正レンズ4の第1の方向Xと第2の方向Yの位置を演算して算出し、所定の制御信号を出力する。
図10には、第1のホール素子14a及び第2のホール素子14bの配置の第2の実施の例を示す。この実施例では、第1のホール素子14aは第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aの外側に配置され、第2のホール素子14bは第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bの外側に配置されていて、それぞれフレキシブル配線板16上に実装されている。第1のホール素子14aは、その検出部がマグネット8aにおけるN極及びS極の極境と上下方向で略重なる位置に配置され、第2のホール素子14bは、その検出部がマグネット8bにおけるN極及びS極の極境と上下方向で略重なる位置に配置されている。
図11A及び図11Bを参照して、第1及び第2のホール素子14a,14bによる補正レンズ4の位置検出機構を説明する。図11Aに示すように、磁束Sは、各マグネット8a,8bの厚さ方向の下側に位置するN極から、対向する各対向ヨーク18a,18bに向けて透過し、各対向ヨーク18a,18b内を透過して対向する各マグネット8a,8bの厚さ方向の下側に位置するS極に向けて透過している。図11Bに示すように、第1及び第2のホール素子14a,14bは、各マグネット8a,8bから各対向ヨーク18a,18bに透過する磁束密度をプラス(+)とし、各対向ヨーク18a,18bから各マグネット8a,8bに透過する磁束密度をマイナス(−)として検出する。各マグネット8a,8bの磁極部の極境において、第1及び第2のホール素子14a,14bが検出する磁束密度の値は、ゼロ(0)である。
図9(図10の場合も同様)は、支持枠2に対して移動枠3が中央に位置している状態を示している。この場合は、支持枠2に固定されている第1のホール素子14aの検出部及び第2のホール素子14bの検出部は、マグネット8a及びマグネット8bの補正レンズ4を中心とした半径方向内側と外側の磁極部の極境と上下方向で略重なる位置に配置された状態にある。
この状態から、支持枠2と移動枠3の相対的な移動方向が第1の方向Xのみであって、第2の方向Yの変位量がゼロとする。いま、第1のホール素子14aによって検出される磁束密度の値は、その検出部が、マグネット8aの極境から相対的にN極側へ移動したとすると、そのときに検出される磁束密度の絶対値は増加し、その磁束密度の成分はプラス(+)である。また、検出部がマグネット8aの極境から相対的にS極側へ移動したとすると、そのときに検出される磁束密度の絶対値は増加するが、その磁束密度の成分はマイナス(−)である。このとき、第2のホール素子14bの検出部は、マグネット8bの極境に沿って移動するため、第1の方向Xの一方(+)及び他方(−)のいずれの方向へ移動する場合にも、検出される磁束密度の値は共にゼロ(0)である。
また、支持枠2と移動枠3の相対的な移動方向が第2の方向Yのみであって、第1の方向Xの変位量がゼロとする。前記と逆の検出信号が出力される。即ち、第2のホール素子14bによって検出される磁束密度の値は、その検出部が、マグネット8bの極境から相対的にN極側へ移動したとすると、そのときに検出される磁束密度の絶対値は増加し、その磁束密度の成分はプラス(+)である。また、検出部がマグネット8bの極境から相対的にS極側へ移動したとすると、そのときに検出される磁束密度の絶対値は増加するが、その磁束密度の成分はマイナス(−)である。一方、第1のホール素子14aの検出部は、マグネット8aの極境に沿って移動するため、第2の方向Yの一方(+)及び他方(−)のいずれの方向へ移動する場合にも、検出される磁束密度の値は共にゼロ(0)である。
また、図示しないが、像ぶれ補正装置1に、第1及び第2の電動アクチュエータ5A,5Bの周囲の温度を検出する温度検出手段を設けてもよい。そして、第1及び第2の電動アクチュエータ5A,5Bの周囲温度が所定値以上に上昇したときに、手ぶれや振動等による像ぶれ補正に温度補正を加えるように構成することが好ましい。このように温度制御を加えることにより、補正レンズ4に関するより精度の高い位置制御を行うことが可能となる。この温度検出手段としては、例えば、サーミスタを用いることができる。このサーミスタは、2つのコイル13a,13bの近傍において、フレキシブル配線板16に搭載して使用することが好ましい。
上述したような構成を有する像ぶれ補正装置1は、例えば、次のようにして組み立てられる。まず、2つのマグネット8a,8b及びバランサマグネット11に、それぞれバックヨーク9a〜9cを固定する。そして、各バックヨーク9a〜9cが固定された2つのマグネット8a,8bとバランサマグネット11を、移動枠3の第1〜第3のマグネット固定部22a〜22cに接着剤や固定ねじ等の固着手段によって固定する。
次いで、マグネット8a,8b等が固定された移動枠3の嵌合穴21に補正レンズ4を嵌合し、接着剤等の固着方法により固定する。これにより、図6に示すような、補正レンズ4と、2つのマグネット8a,8bと、バランサマグネット11と、3つのバックヨーク9a,9b,9cと、移動枠3が一体化された移動枠組立体が構成される。なお、補正レンズ4は、マグネット8a等を固定する前に移動枠3に固定するようにしてもよい。
2つの電動アクチュエータ5A,5Bの2つのコイル13a,13bと2つのホール素子14a,14bは、予めフレキシブル配線板16の所定の位置に実装し、所定の配線パターンと接続して通電可能な状態にアッセンブリ化させておくようにする。このアッセンブリ化は、例えば、次のようにして行うことができる。
まず図7に示すように、フレキシブル配線板16の第1のコイル搭載部16aの所定の位置に第1のホール素子14a及びコイル13aを搭載し、第2のコイル搭載部16bの所定の位置に第2のホール素子14b及びコイル13bを搭載する。そして、2つのホール素子14a,14bと2つのコイル13a,13bを、2つのコイル搭載部16a,16bに予め設けられた配線パターンにハンダ付けして固定し、各ホール素子14a,14b及び各コイル13a,13bを通電可能な実装状態とする。これにより、フレキシブル配線板16と、2つのコイル13a,13bと、第1及び第2のホール素子14a,14bが一体化されたコイル組立体が構成される。
次に、2つの対向ヨーク18a,18bとバランサ対向ヨーク19を、それぞれ支持枠2の3つの段差部26a〜26cに接着剤や固定ねじ等の固着手段によって固定する。そして、フレキシブル配線板16の第1のコイル搭載部16aと支持枠2の対向ヨーク18aとが重なり合い、第2のコイル搭載部16bと支持枠2の対向ヨーク18bとが重なり合うように、コイル組立体を支持枠2に固定する。これにより、コイル組立体と、支持枠2と、2つの対向ヨーク18a,18bとバランサ対向ヨーク19が一体化された支持枠組立体が構成される。
次いで、支持枠2の3つの球体保持部25に3つの球体12を転動自在にそれぞれ収納する。そして、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aの推力発生部27a,27bとマグネット8aが対向し、第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bの推力発生部28a,28bとマグネット8bが対向し、更に、バランサ6のバランサ対向ヨーク19とバランサマグネット11が対向するように支持枠組立体の上方に移動枠組立体を臨ませる。次に、図12Aに示すように、移動枠3の嵌合穴21に支持枠2の円筒部24を差し込み、移動枠組立体と支持枠組立体を重ね合わせる。これにより、嵌合穴21に円筒部24が所定の間隙を保持して挿入され、移動枠3のレンズ系の光軸と直交する方向の移動範囲を360度の範囲に亘って等しい距離で規制することができる。
このとき、移動枠組立体に設けた2つのマグネット8a,8bとバランサマグネット11がそれぞれの磁力により、支持枠組立体の2つの対向ヨーク18a,18bとバランサ対向ヨーク19に吸引され、移動枠3が支持枠2側に付勢される。その結果、円筒部24が嵌合穴21に対して同心円をなすように、支持枠2が、3つの球体12を介して移動枠3にバランスよく支持されると共に、第1の方向X及び第2の方向Yに対してそれぞれ移動可能に構成される。これにより、像ぶれ補正装置1の組立が完了する。
このような構成を有する像ぶれ補正装置1の作用は、例えば、次のようなものである。この像ぶれ補正装置1の補正レンズ4の移動は、フレキシブル配線板16を介して、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13a及び第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bに対して適宜な値の駆動電流を選択的に又は同時に供給することによって実行される。
即ち、像ぶれ補正装置1の2つのコイル13a,13bは、フレキシブル配線板16を介して支持枠2の2つの対向ヨーク18a,18b上にそれぞれ固定されている。このとき、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aの推力発生部27a,27bは、第2の方向Yに延在され、第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bの推力発生部28a,28bは、第1の方向Xに延在されている。また、移動枠3の第1のマグネット固定部22aに固定されたマグネット8aは、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aの上方に配置され、移動枠3の第2のマグネット固定部22bに固定されたマグネット8bは、第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bの上方に配置されている。
更に、2つのマグネット8a,8bは、それぞれ補正レンズ4を中心として半径方向の内側と外側、及び支持枠2と対向する面側と支持枠2から離れた面側の双方において極性が異なるように構成されている。そのため、第1の電動アクチュエータ5Aのマグネット8aと対向ヨーク18aにより形成される磁気回路の磁束Sが、コイル13aに対して垂直に透過するように作用し、同様に、第2の電動アクチュエータ5Bのマグネット8bと、対向ヨーク18bにより形成される磁気回路の磁束Sが、コイル13bに対して垂直に透過するように作用する。
このとき、2つのコイル13a,13bが支持枠2に固定され、支持枠2に球体12を介して移動可能に支持されている移動枠3に2つのマグネット8a,8bが固定されている。そのため、補正レンズ4は、第1の方向X及び第2の方向Yのいずれの方向に対しても移動可能な状態となっている。
いま、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aに電流を流すと、その推力発生部27a,27bが第2の方向Yに延在しているため、その推力発生部27a,27bにおいて電流は第2の方向Yに向けて流れる。このとき、マグネット8aと対向ヨーク18aにより形成される磁気回路の磁束Sが、推力発生部27a,27bに対して垂直に作用しているため、フレミングの左手の法則に基づいて、マグネット8aには第1の方向Xに向かう力が発生する。
このとき、移動枠3には、図13Cに示すような力が作用する。ここで、図13Aに示すように、第1の電動アクチュエータ5Aのマグネット8aの中心を点O、第2の電動アクチュエータ5Bのマグネット8bの中心を点Pとし、バランサマグネット11の中心を点Qとする。
図13Cに示すように、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aに電流を流すと、点Oには、推力Foが発生する。この推力Foのベクトルの方向は、第1の方向Xに向いている。このとき、移動枠3には、第2の電動アクチュエータ5Bのマグネット8bの磁力による反力Faと、バランサ6のバランサマグネット11の磁力(吸引力)による反力Fbが発生する。そして、移動枠3には、この反力Faと反力Fbを合成した合成反力Nが発生する。なお、マグネット8bの磁力とその磁力による反力Faの大きさは、比例している。また、バランサマグネット11の磁力とその磁極による反力Fbの大きさは、比例している。
バランサマグネット11は、上記したように補正レンズ4の移動方向を制御するための所定の強さの磁力(吸引力)を有している。詳しくは、磁力(吸引力)による反力Fbが数式(1)を満たす値である。ここで、点Pと点Oを結ぶ線と点Oから第1の方向Xに伸びる線とによって形成される挟角を第1の角度θaとし、点Pと点Oを結ぶ線と点Qと点Oを結ぶ線とによって形成される挟角を第2の角度θbとする。
〔式1〕
0.8×Fa×sinθa/sin(θb−θa)<Fb<1.2×Fa×sinθa/sin(θb−θa)
例えば、第1の電動アクチュエータ5Aの駆動時におけるマグネット8bの磁力(吸引力)による反力Faの大きさを1(N)とし、第1の角度θaを45°、第2の角度θbを67.5°とする。この場合におけるバランサマグネット11の反力Fbの理想値は、数式(1)より、Fb=1.85(N)である。
即ち、バランサマグネット11の磁力(吸引力)による点Oに対する反力Fbにおける第2の方向Y成分の力と、第2の電動アクチュエータ5Bのマグネット8bの磁力による点Oに対する反力Faにおける第2の方向Y成分の力との力の釣り合いがとれている。そのため、反力Faと反力Fbとを合成した合成反力Nのベクトルの方向は、推力Foのベクトルの方向と同じである第1の方向Xを向いている。この合成反力Nの作用により、点Oには、推力Foと合成反力N(合成反力Nを平行移動させた合成反力N´)とを合成した太線で示す合力Rが働く。この合力Rのベクトルの方向と推力Foのベクトルの方向は同じである。これにより、移動枠3を第1の方向Xに真っ直ぐに移動させることができ、この移動枠3に取り付けられている補正レンズ4の直進性を確保することができる。
また、バランサマグネット11及びマグネット8bの磁力が一定であるため、第1の電動アクチュエータ5Aの駆動時における点Oに作用する反力Fa,Fbも一定である。よって、点Oに発生する推力Foの大きさによらず、点Oに作用する合成反力Nのベクトルの方向は、常に推力Foのベクトルの方向と同じである。その結果、点Oに働く合力Rのベクトルの方向は、常に推力Foのベクトルの方向と同じである。そのため、推力FOの大きさにより、移動枠3に取り付けられた補正レンズ4の移動方向が変化することはなく、補正レンズ4の移動の安定性を向上させることができる。
更に、バランサマグネット11は、補正レンズ4を中心として、マグネット8aから第1の方向Xに延長した線とマグネット8bから第2の方向Yに延長した線とによって形成される挟角の角度を二分する線上に配置されている。そのため、図13Aに示す、点Pと点Oを結ぶ線と点Qと点Oを結ぶ線との間の角度(挟角)と、点Pと点Oを結ぶ線と点Qと点Pを結ぶ線との間の角度(挟角)は、同じである。更に、マグネット8aとマグネット8bの磁力が等しいため、マグネット8aの磁力による移動に対する反力は、マグネット8bの磁力による反力と同じである。その結果、補正レンズ4の第2の方向Yへの移動を制御するために必要なバランサマグネット11の磁力(吸引力)の強さは、第1の方向Xに移動させる場合と同じである。
ここで、数式(1)で表す、0.8及び1.2は、バランサマグネット11の製造時における磁力(吸引力)のばらつきの許容範囲である。図13Dは、バランサマグネット11の磁力(吸引力)による反力Fb2が理想値よりも20%小さい(−20%)場合を示すものである。このとき、点Oに働く合力R2のベクトルの方向は、第1の方向Xに対して角度θ2だけ傾いている。図13Eは、バランサマグネット11の磁力(吸引力)による反力Fb3が理想値よりも20%大きい(+20%)場合を示すものである。このとき、点Oに働く合力R3のベクトルの方向は、第1の方向Xに対して角度θ3だけ傾いている。
また、バランサマグネット11の磁力(吸引力)のばらつきが許容範囲の±20%でも、三角関数ゆえに−20%よりも+20%の方が、図13D及び図13Eに示すように合力R3のベクトルの方向が第1の方向Xに対して大きい角度θ3で傾いている(θ2<θ3)。このことから、バランサマグネット11の磁力(吸引力)を意図的に設計センタ(設計段階又は製造段階)でマイナス(−)側にシフトして、磁力(吸引力)のばらつきに対する合力Rの角度のばらつきを±でほぼ均等にすることができる(θ2≒θ3)。
これに対し、図13Bは、バランサマグネット11´の磁力による反力が、本実施例で設定した許容範囲を満たさない場合を示すものである。このとき、点Oに働く合力R1のベクトルの方向が、図13Dに示す合力R2及び図13Eに示す合力R3のベクトルの方向よりも第1の方向Xに対して大きい角度θ1で傾いている(θ2<θ3<θ1)。そのため、補正レンズ4の移動の直進性が害されてしまい、補正レンズ4を真っ直ぐ移動させることができない。なお、本実施例では、バランサマグネット11の磁力(吸引力)による反力の許容範囲を±20%としたが、この許容範囲は、像ぶれ補正装置に要求されている精度に応じて、種々に変更してもよいことは勿論である。
このような力の作用により、マグネット8aが固定されている移動枠3が第1の方向Xに移動する。その結果、移動枠3に取り付けられた補正レンズ4が、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aに流れた電流の大きさに応じて、第1の方向Xに移動することになる。また、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aに流す電流の向きが変わると、フレミングの左手の法則に基づいて、マグネット8aには、図13Cに示す推力Foと反対向きの力が発生する。このとき、合成反力N及び合力Rも、図13Cに示す向きと反対向きの力となる。これにより、移動枠3を第1の方向Xにおいて上述した向きと反対に移動することができる。
一方、第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bに電流を流すと、その推力発生部が第1の方向Xに延在されているため、その推力発生部28a,28bにおいて電流は第1の方向Xに流れる。このとき、マグネット8bと対向ヨーク18bにより形成される磁気回路の磁束が推力発生部28a,28bに対して垂直をなす上下方向に作用しているため、フレミングの左手の法則に基づいて、マグネット8bには第2の方向Yに向かう力が作用する。
そして、マグネット8bが固定されている移動枠3が第2の方向Yに移動する。その結果、移動枠3に固定された補正レンズ4が、第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bに流れた電流の大きさに応じて、第2の方向Yに移動することになる。また、第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bに流す電流の向きが変わると、移動枠3は、第2の方向Yにおいて上述した向きと反対に移動することができる。
また、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13a及び第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bに同時に電流を流すと、上述したコイル13aによる移動動作とコイル13bによる移動動作とが複合的に実行される。即ち、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aに流れる電流の作用によって補正レンズ4が第1の方向Xに移動すると同時に、第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bに流れる電流の作用によって補正レンズ4が第2の方向Yに移動する。その結果、補正レンズ4が斜め方向に移動して、像ぶれを補正することができる。
図12A〜図12Cは、第1の電動アクチュエータ5Aと第2の電動アクチュエータ5Bを共に駆動させていない状態を示している。この状態において、移動枠3は、第1及び第2の電動アクチュエータ5A,5Bの各マグネット8a,8bの磁力とバランサマグネット11の磁力(吸引力)によって、補正レンズ4の光軸が支持枠2の貫通穴15の中心に一致した基準位置に付勢されている。そして、移動枠3が基準位置にあるとき、補正レンズ4の光軸は、後述するレンズ系の光軸Lに一致される。
また、図12Aに示すように、移動枠3の嵌合穴21と支持枠2の円筒部24は、同心円をなすように配置されるため、図12B及び図12Cに示すように、移動枠3の嵌合穴21の内壁から支持枠2の円筒部24の外壁までの距離tは、360度の範囲に亘って全て同じである。これにより、図14〜図17に示すように、移動枠3の移動範囲は、360度の範囲に亘って全て同じ距離tに設定することができる。その結果、移動枠3を第1の方向及び/又は第2の方向に移動させても、移動枠3に作用する推力及び合力のベクトルの方向と一致する線上で円筒部24の外壁に嵌合穴21の内壁を当接させることができ、移動枠3が円筒部24に沿って回転することを防止することができる。
次に、前述したような構成及び作用を備えた像ぶれ補正装置1を備えた本発明のレンズ鏡筒の第1の実施の例を、図19〜図21を参照して説明する。レンズ鏡筒50は、同一の光軸L上に複数のレンズを配置した5群レンズを有するレンズ系51と、このレンズ系51のレンズを固定し又は移動可能に支持する筒体52と、レンズ系51の光軸L上に配置されると共に筒体52に固定された撮像素子(例えば、CCDやCMOS等)54と、筒体52に装着されると共にレンズ系51の像ぶれを補正する像ぶれ補正装置1等を備えて構成されている。
レンズ鏡筒50のレンズ系51は、図19等に示すように、5組のレンズ群を同一光軸L上に配置した5群レンズ57〜61からなる折り曲げ式レンズとして構成されている。5群レンズ57〜61のうち、先端側に位置する1群レンズ57は、被写体に対向される対物レンズである第1のレンズ57Aと、この対物レンズ57Aの被写体と反対側に配置されたプリズム57Bと、このプリズム57Bに対向される第2のレンズ57Cとにより構成されている。プリズム57Bは、断面形状が直角二等辺三角形をなす三角柱体からなり、90度回転変位した位置に隣り合う2つの面の一方に対物レンズ57Aが対向され、他方の面に第2のレンズ57Cが対向されている。
この1群レンズ57では、対物レンズ57Aを透過して一面からプリズム57Bに入射した光は、光軸Lに対して45度に傾斜した反射面で反射されて進行方向が90度折り曲げられる。次いで、折り曲げられた光は、他面から出射されて第2のレンズ57Cを透過する。そして、透過した光は、光軸Lに沿って2群レンズ58に向かって進行する。2群レンズ58は、第3のレンズ58Aと第4のレンズ58Bとの組み合わせからなり、光軸L上を移動可能に構成されている。2群レンズ58を透過した光は、3群レンズ59に入射される。
3群レンズ59は、レンズ鏡筒50の筒体52に固定される第5のレンズからなっている。3群レンズ59の後方には、第6のレンズからなる4群レンズ60が配置されている。この4群レンズ60と3群レンズ59の間には、レンズ系51を通過する光の量を制御可能な絞り機構62が配置されている。4群レンズ60は、光軸L上を移動可能に構成されている。4群レンズ60の後方には、第7のレンズ61Aと補正レンズ4とからなる5群レンズ61が配置されている。5群レンズ61のうち、第7のレンズ61Aはレンズ鏡筒50の筒体52に固定されている。また、この第7のレンズ61Aの後方に補正レンズ4が移動可能に配置されている。更に、補正レンズ4の後方に撮像素子54が配置されている。
2群レンズ58と4群レンズ60は、それぞれ別個独立に光軸Lに沿って光軸方向へ移動可能とされている。この2群レンズ58と4群レンズ60を所定方向へ移動させることにより、ズーム制御とフォーカス制御を行うことができる。即ち、ズーム時には、2群レンズ58と4群レンズ60をワイド(広角)からテレ(望遠)まで移動することによってズーム制御が実行される。また、フォーカス時には、4群レンズ60をワイド(広角)からテレ(望遠)まで移動することによってフォーカス制御を実行することができる。
撮像素子54は撮像素子用アダプタに固定されており、この撮像素子用アダプタを介してレンズ鏡筒50の筒体52に取り付けられている。撮像素子54の一側には光学フィルタ64が配置されている。そして、この光学フィルタ64と第7のレンズ61Aとの間には、補正レンズ4を有する像ぶれ補正装置1が配設されている。
補正レンズ4は、通常の状態において、その光軸をレンズ系51の光軸Lと一致させるように取り付けられている。そして、カメラの振動等によって撮像素子54の結像面に像ぶれが生じたときに、像ぶれ補正装置1が補正レンズ4を光軸Lと直交する2方向(第1の方向X及び第2の方向Y)に移動させて結像面の像ぶれを補正するようにしている。
次に、像ぶれ補正装置1が装着されたレンズ鏡筒50のレンズ系51の動作を、図21を参照して説明する。レンズ系51の対物レンズ57Aを被写体に向けると、被写体からの光が対物レンズ57Aからレンズ系51内に入力される。このとき、対物レンズ57Aを透過した光はプリズム57Bで90度屈折される。その後、この屈折した光は、レンズ系51の光軸Lに沿って撮像素子54に向かって移動する。即ち、プリズム57Bで反射されて1群レンズ57の第2のレンズ57Cを出た光は、2群レンズ58,3群レンズ59,4群レンズ60を経て5群レンズ61の第7のレンズ61A及び補正レンズ4を透過する。そして、光学フィルタ64を経て撮像素子54の結像面に被写体に対応した画像が結像される。
この場合、撮影時において、レンズ鏡筒50に手ぶれや振動が生じていないときに、被写体からの光は、実線で示す光56Aのように、1群レンズ57〜5群レンズ61のそれぞれ中心部を光軸Lに沿って移動する。よって、撮像素子54の結像面において所定位置に像を結ぶことになる。そのため、かかる場合には、像ぶれを生ずることなく綺麗な画像を得ることができる。
一方、撮影時において、レンズ鏡筒50に手ぶれや振動が発生すると、被写体からの光は、一点鎖線で示す光56Bか又は破線で示す光56Cのように、傾いた状態で1群レンズ57に入力されることになる。そのような入射光56B,56Cは、1群レンズ〜5群レンズのそれぞれにおいて、光軸Lからずれた状態で透過することになる。しかし、その手ぶれ等に応じて補正レンズ4を所定量移動させることにより、その手ぶれ等を補正することができる。これにより、撮像素子54の結像面において、所定位置に像を結ぶことができ、像ぶれを解消して綺麗な画像を得ることができる。
このレンズ鏡筒50の手ぶれや振動等の有無は、像ぶれ検出器によって検出するようにする。この像ぶれ検出器としては、例えば、ジャイロセンサを用いることができる。このジャイロセンサをレンズ鏡筒50と共にカメラに搭載する。そして、このジャイロセンサが、撮影者の手の震えや揺れ等によってレンズ鏡筒50に働く加速度、角速度、角加速度等を検出するようにする。このジャイロセンサで検出した加速度や角速度等の情報を制御装置に供給する。
そして、撮像素子54の結像面において所定位置に像を結ぶように、第1及び/又は第2の電動アクチュエータ5A,5Bを駆動制御する。即ち、第1の方向Xの揺れに対しては、第1の電動アクチュエータ5Aを駆動制御し、補正レンズ4を第1の方向Xに移動させる。そして、第2の方向Yの揺れに対しては、第2の電動アクチュエータ5Bを駆動制御し、補正レンズ4を第2の方向Yに移動させる。
本実施の形態では、折り曲げ式レンズとして構成したレンズ鏡筒50に像ぶれ補正装置1を搭載したが、本発明に係る像ぶれ補正装置1は、レンズ系の光軸を水平方向に向けた直動式レンズ鏡筒に搭載することもできる。この場合、像ぶれ補正装置1の移動枠3は、マグネット8a,8bとバランサマグネット11の磁力により常に基準位置に付勢されるため、移動枠3を重力に反する方向に持ち上げて保持することができる。その結果、常に電動アクチュエータに通電して移動枠3を持ち上げて保持する推力を発生させる必要がなく、消費電力を飛躍的に削減することができる。
次に、前述したような構成を有するレンズ鏡筒50を備えた撮像装置の第1の実施の例を示すデジタルスチルカメラ100を、図22〜図25を参照して説明する。このデジタルスチルカメラ100は、情報記録媒体として半導体記録メディアを使用している。そして、デジタルスチルカメラ100は、被写体からの光学的な画像を撮像素子(CCDやCMOS等)で電気的な信号に変換することができる。これにより、このデジタルスチルカメラ100は、半導体記録メディアに記録したり、液晶ディスプレイ等の表示装置に表示できるようにしたものである。
更に、このデジタルスチルカメラ100は、撮像装置本体の一具体例を示すカメラ本体101と、被写体の像を光として取り込んで撮像素子54に導くレンズ鏡筒50と、撮像素子54から出力される映像信号に基づいて画像を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示装置102と、レンズ鏡筒50の動作や液晶ディスプレイ102の表示等を制御する制御装置と、図示しないバッテリー電源等を備えて構成されている。
カメラ本体101は、図22等に示すように、横長とされた偏平の筐体からなっている。このカメラ本体101は、前後方向に重ね合わされたフロントケース105及びリアケース106と、このフロントケース105とリアケース106とで形成された空間部を前後に仕切るメインフレーム107と、フロントケース105の前面である第1の主面に上下方向へスライド可能に取り付けられたレンズカバー108等によって構成されている。メインフレーム107の前面(第1の主面)には、レンズ鏡筒50の対物レンズ57Aが臨まれている。そして、その対物レンズ57Aがレンズカバー108によって開閉可能とされている。
対物レンズ57Aは、メインフレーム107の一側の上部に配置されている。そして、レンズ鏡筒50が、撮像素子54を下にして図19に示す第2の光軸L2を上下方向に向けた状態でカメラ本体101に取り付けられている。更に、レンズ系51の図19に示す第1の光軸L1が、カメラ本体101の厚さ方向である前後方向に延長されている。これにより、像ぶれ補正装置1のレンズ駆動部である第1及び第2の電動アクチュエータ5A,5Bが、カメラ本体101内において、第2の光軸L2と直交する方向に配置されている。なお、メインフレーム107には、配線基板上に所定のマイクロコンピュータ、抵抗やコンデンサその他の電子部品等を搭載することによって形成された図示しない制御装置と、フラッシュ装置110等が取り付けられている。
制御装置はレンズ鏡筒50と横並びに配置されており、これらの上方にフラッシュ装置110が配置されている。フラッシュ装置110は、フロントケース105の前面に露出される発光部と、その発光部を駆動制御する駆動部と、駆動部に所定の電力を供給するコンデンサ等を備えて構成されている。このフラッシュ装置110の発光部と対物レンズ57Aを露出させるため、フロントケース105の対応する位置にはレンズ嵌合穴111aとフラッシュ嵌合穴111bが設けられている。このレンズ嵌合穴111aには化粧板66と共に対物レンズ57Aが嵌合され、フラッシュ嵌合穴111bにはフラッシュ装置110の発光部が嵌合されている。
更に、フロントケース105には、レンズカバー108に設けた複数の脚片が挿通される図示しない複数の開口穴が設けられている。レンズカバー108は、複数の脚片に抜け止め部を設けることによってフロントケース105からの脱落が防止されている。このレンズカバー108は、複数の開口穴によって上下方向への移動が可能とされていると共に、図示しないロック手段により上端部と下端部においてロック可能とされている。図22に示すように、レンズカバー108が上端部にあるときには、対物レンズ57Aが完全に閉じられている。これにより、対物レンズ57Aの保護が図られる。一方、図23に示すように、レンズカバー108を下端部に移動すると、対物レンズ57Aが完全に開かれると共に電源スイッチがオンに入力される。これにより、撮影が可能となるように構成されている。
図24に示すように、リアケース106には、表示装置102の表示面を露出させるための四角形の開口窓112が設けられている。開口窓112は、リアケース106の第2の主面である背面を大きく開口して設けられている。この開口窓112の内側には、表示装置102が配置されている。表示装置102は、開口窓112に対応した大きさを有する液晶ディスプレイと、この液晶ディスプレイの内面に重ね合わされるバックライトの組み合わせからなる。表示装置102の液晶ディスプレイ側には図示しないシール枠を介して図示しない保護板が配置されている。そして、この保護板の周縁部が開口窓112の内面に接触されている。
更に、リアケース106には、各種の操作スイッチが設けられている。操作スイッチとしては、機能モード(静止画、動画、再生等)を選択するモード選択ツマミ115、ズーム操作を実行するズームボタン116、画面表示を行う画面表示ボタン117、各種メニューを選択するメニューボタン118、メニューを選択するカーソル等を移動させる方向キー119、画面サイズの切り換えや画面削除を行う画面ボタン121等が適当な位置に配置されている。リアケース106の表示装置102側の端部にはスピーカ用孔122が開口されている。このスピーカ用孔122の内側にスピーカが内蔵されている。そして、これと反対側のリアケース106の端部に、ストラップ用の支持金具123が取り付けられている。
また、図25等に示すように、カメラ本体101の上面には、電源をオン・オフさせる電源ボタン125、撮影の開始や停止を実行する撮影ボタン126、手ぶれが生じたときに像ぶれ補正装置1を動作させて像ぶれ補正を実行する手ぶれ設定ボタン127等が設けられている。更に、カメラ本体101上面の略中央部にはマイクロホン用孔128が開口されていて、その内側にマイクロホンが内蔵されている。これら電源ボタン125と撮影ボタン126と手ぶれ設定ボタン127は、カメラ本体101に装着されるスイッチホルダ124に取り付けられている。更に、マイクロホン用孔128もスイッチホルダ124に開口され、このスイッチホルダ124に内蔵マイクロホンが固定されている。そして、スイッチホルダ124は、その一部をフロントケース105とリアケース106とで挟み込むようにしてカメラ本体101に保持されている。
図26は、前述した像ぶれ補正装置1の制御概念を説明するブロック図である。制御部130は、像ぶれ補正演算部131とアナログサーボ部132と駆動回路部133と4つの増幅器(AMP)134A,134B,135A,135B等を備えて構成されている。像ぶれ補正演算部131には、第1の増幅器(AMP)134Aを介して第1のジャイロセンサ136aが接続されている。更に、この像ぶれ補正演算部131は、第2の増幅器(AMP)134Bを介して第2のジャイロセンサ136bが接続されている。
第1のジャイロセンサ136aは、カメラ本体101に付加された手ぶれ等による第1の方向Xの変位量を検出し、第2のジャイロセンサ136bは、カメラ本体101に付加された手ぶれ等による第2の方向Yの変位量を検出するものである。この実施例では、2個のジャイロセンサを設けて第1の方向Xの変位量と第2の方向Yの変位量を個別に検出する例について説明したが、1個のジャイロセンサで第1の方向X及び第2の方向Yの2方向の変位量を検出する構成としてもよいことは勿論である。
像ぶれ補正演算部131にはアナログサーボ部132が接続されている。アナログサーボ部132は、像ぶれ補正演算部131により算出された値をデジタル値からアナログ値に変換し、そのアナログ値に対応した制御信号を出力するものである。アナログサーボ部132には駆動回路部133が接続されている。駆動回路部133には、第3の増幅器(AMP)135Aを介して第1の位置検出器である第1のホール素子14aが接続されている。この駆動回路部133には、第4の増幅器(AMP)135Bを介して第2の位置検出器である第2のホール素子14bが接続されている。更に、駆動回路部133には、第1方向駆動コイルである第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aが接続されていると共に、第2方向駆動コイルである第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bが接続されている。
第1のホール素子14aによって検出された補正レンズ4の第1の方向Xの変位量は、第3の増幅器135Aを介して駆動回路部133に入力される。また、第2のホール素子14bによって検出された移動枠3の第2の方向Yの変位量は、第4の増幅器135Bを介して駆動回路部133に入力される。これらの入力信号とアナログサーボ部132からの制御信号に基づいて駆動回路部133では、像ぶれを補正するように補正レンズ4を移動させるために、第1の電動アクチュエータ5Aのコイル13aと第2の電動アクチュエータ5Bのコイル13bの一方又は両方に対して所定の制御信号を出力する。
図27は、前述したような構成及び作用を有する像ぶれ補正装置1を備えたデジタルスチルカメラ100の概略構成の第1の実施の例を示すブロック図である。このデジタルスチルカメラ100は、像ぶれ補正装置1を有するレンズ鏡筒50と、制御装置の中心的役割をなす制御部140と、制御部140を駆動するためのプログラムメモリやデータメモリその他のRAMやROM等を有する記憶装置141と、電源のオン・オフや撮影モードの選択或いは撮影等のための各種の指令信号等を入力する操作部142と、撮影された映像等を表示する表示装置102と、記憶容量を拡大する外部メモリ143等を備えて構成されている。
制御部140は、例えば、マイクロコンピュータ(CPU)を有する演算回路等を備えて構成されている。この制御部140には、記憶装置141と、操作部142と、アナログ信号処理部144と、デジタル信号処理部145と、2つのA/D変換器146,147と、D/A変換器148と、タイミングジェネレータ(TG)149とが接続されている。アナログ信号処理部144は、レンズ鏡筒50に取り付けられた撮像素子54に接続されている。そして、アナログ信号処理部144は、この撮像素子54から出力される撮影画像に対応したアナログ信号によって所定の信号処理を実行する。このアナログ信号処理部144は、第1のA/D変換器146に接続されている。そして、このA/D変換器146によってアナログ信号がデジタル信号に変換される。
第1のA/D変換器146には、デジタル信号処理部145が接続されている。このデジタル信号処理部145は、第1のA/D変換器146から供給されたデジタル信号によって所定の信号処理を実行する。このデジタル信号処理部145には、表示装置102と外部メモリ143が接続されている。そして、デジタル信号処理部145の出力信号であるデジタル信号に基づいて、被写体に対応した画像が表示装置102に表示され、或いは外部メモリ143に記憶される。また、第2のA/D変換器147には、ぶれ検出部であるジャイロセンサ136が接続されている。このジャイロセンサ136によってカメラ本体101の振れや揺れ等が検出され、その検出結果に応じて像ぶれ補正が実行される。
D/A変換器148には、像ぶれ補正のためのサーボ演算部である駆動制御部152が接続されている。駆動制御部152は、補正レンズ4の位置に応じて像ぶれ補正装置1を駆動制御することにより像ぶれを補正するものである。駆動制御部152には、位置検出部である第1のホール素子14aと第2のホール素子14bが接続されている。第1のホール素子14aと第2のホール素子14bは、像ぶれ補正装置1の移動枠3の位置を検出することによって、補正レンズ4の位置を検出する。なお、タイミングジェネレータ(TG)149は、撮像素子54と接続されている。
かくして、被写体の像がレンズ鏡筒50のレンズ系51に入力されて撮像素子54の結像面に結像される。その画像信号がアナログ信号として出力され、アナログ信号処理部144で所定の処理が実行された後、第1のA/D変換器146によってデジタル信号に変換される。第1のA/D変換器146からの出力は、デジタル信号処理部145で所定の処理が実行された後、被写体に対応した画像として表示装置102に表示され、或いは外部メモリに記憶情報として記憶される。
このような撮影状態において、像ぶれ補正装置1が動作状態にあるものとして、カメラ本体101に振れや揺れ等が生じると、ジャイロセンサ136が、その振れや揺れ等を検出し、その検出信号を制御部140に出力する。この検出信号を受けて制御部140では、所定の演算処理を実行して、像ぶれ補正装置1の動作を制御する制御信号を駆動制御部152に出力する。駆動制御部152では、制御部140からの制御信号に基づいて所定の駆動信号を像ぶれ補正装置1に出力する。そして、像ぶれ補正装置1では、補正レンズ4を第1の方向X及び/又は第2の方向Yに所定量だけ移動する。これにより、補正レンズ4の移動を介して像ぶれが解消され、綺麗な画像を得ることができる。
図28は、前述したような構成及び作用を有する像ぶれ補正装置1を備えたデジタルスチルカメラの概略構成の第2の実施の例を示すブロック図である。このデジタルスチルカメラ100Aは、像ぶれ補正装置1を有するレンズ鏡筒50と、制御装置の中心的役割をなす映像記録/再生回路部160と、映像記録/再生回路部160を駆動するためのプログラムメモリやデータメモリその他のRAMやROM等を有する内蔵メモリ161と、撮影された映像等を所定の信号に処理する映像信号処理部162と、撮影された映像等を表示する表示装置163と、記憶容量を拡大する外部メモリ164と、像ぶれ補正装置1を駆動制御する補正レンズ制御部165等を備えて構成されている。
映像記録/再生回路部160は、例えば、マイクロコンピュータ(CPU)を有する演算回路等を備えて構成されている。この映像記録/再生回路部160には、内蔵メモリ161と、映像信号処理部162と、補正レンズ制御部165と、モニタ駆動部166と、増幅器167と、3つのインタフェース(I/F)171,172,173とが接続されている。映像信号処理部162は、レンズ鏡筒50に取り付けられた撮像素子54に増幅器167を介して接続されている。そして、所定の映像信号に処理された信号が映像記録/再生回路部160に入力される。
表示装置163は、モニタ駆動部166を介して映像記録/再生回路部160に接続されている。また、第1のインタフェース(I/F)171には、コネクタ168が接続されている。このコネクタ168に外部メモリ164が、着脱自在に接続可能とされている。第2のインタフェース(I/F)172には、カメラ本体101に設けられた接続端子174が接続されている。
補正レンズ制御部165には、第3のインタフェース(I/F)173を介してぶれ検出部である加速度センサ175が接続されている。この加速度センサ175は、カメラ本体101に付加される振れや揺れ等による変位を加速度として検出するものである。また、この加速度センサ175は、ジャイロセンサを適用することができる。補正レンズ制御部165には、補正レンズ4を駆動制御する像ぶれ補正装置1のレンズ駆動部が接続されている。この補正レンズ制御部165には、その補正レンズ4の位置を検出する位置センサである2つのホール素子14a,14bも接続されている。
かくして、被写体の像がレンズ鏡筒50のレンズ系51に入力されて撮像素子54の結像面に結像される。すると、その画像信号が増幅器167を介して映像信号処理部162に入力される。この映像信号処理部162で所定の映像信号に処理された信号が、映像記録/再生回路部160に入力される。これにより、映像記録/再生回路部160から被写体の像に対応した信号がモニタ駆動部166、内蔵メモリ161若しくは外部メモリ164に出力される。その結果、モニタ駆動部166を介して表示装置163に被写体の像に対応した画像が表示され、或いは、必要により情報信号として内蔵メモリ161若しくは外部メモリ164に記録される。
このような撮影状態において、像ぶれ補正装置1が動作状態にあるものとして、カメラ本体101に振れや揺れ等が生じると、加速度センサ175がその振れや揺れ等を検出する。そして、その検出信号が、補正レンズ制御部165を介して映像記録/再生回路部160に出力される。これを受けて映像記録/再生回路部160では、所定の演算処理を実行する。そして、映像記録/再生回路部160は、像ぶれ補正装置1の動作を制御する制御信号を補正レンズ制御部165に出力する。補正レンズ制御部165では、映像記録/再生回路部160からの制御信号に基づいて所定の駆動信号を像ぶれ補正装置1に出力する。像ぶれ補正装置1は、補正レンズ4を第1の方向X及び/又は第2の方向Yに所定量だけ移動する。これにより、補正レンズ4の移動を介して像ぶれが解消され、綺麗な画像を得ることができる。
図18は、本発明の像ぶれ補正装置の第2の実施の形態を示す像ぶれ補正装置1Bを説明する断面図である。この像ぶれ補正装置1Bは、ムービングコイル方式の電動アクチュエータを備えて構成されている。即ち、像ぶれ補正装置1Bは、上述した第1の実施の形態を示す像ぶれ補正装置1のうち、マグネット8a,8bと、対向ヨーク18a,18bと、コイル13a,13bと,を逆に配置したものである(図18において、マグネット8a、対向ヨーク18a,コイル13aを示す)。更に、バランサマグネット11とバランサ対向ヨーク19の配置も入れ替えて構成している。その他の構成は、前記第1の実施の例にかかる像ぶれ補正装置1と同様であるためその説明は省略する。
この像ぶれ補正装置1Bでは、支持枠2に固定されたマグネット8a(8b)の磁力によって、移動枠3に固定された対向ヨーク18a(18b)が引き寄せられることにより、移動枠3が支持枠2側に付勢されている。このような構成を有する像ぶれ補正装置1Bによっても、移動枠3に直進性を持たせて第1の方向X及び第2の方向Yを含む平面と平行に移動させることができ、第1の実施の形態に係る像ぶれ補正装置1と同様の効果を得ることができる。
以上説明してきたように、本発明の像ぶれ補正装置、レンズ鏡筒及び撮像装置によれば、補正レンズ4が取り付けられた移動枠3を第1の方向X及び第2の方向Yのいずれの方向にも移動可能とすると共に、球体12を介して、この移動枠3を支持枠2で移動可能に支持する。そして、移動枠3を第1の方向Xに移動させる第1の電動アクチュエータ5Aと、その移動枠3を第2の方向Yに移動させる第2の電動アクチュエータ5Bを設ける構成とした。これにより、1つの移動部材を無くして二層構造としているため、像ぶれ補正装置全体の小型化、軽量化を図ることが可能となる。
更に、転動可能な球体12を介して移動枠3を支持しているため、移動枠3が移動される際の摩擦抵抗を極めて小さくすることができる。その結果、第1及び第2の電動アクチュエータ5A及び5Bによって発生させる推力を小さくすることができ、消費電力を削減することができる。また、移動枠3と支持枠2の支持が軸と軸受けの間に適当なクリアランスを必要とする軸摺動ではないため、移動枠3にガタツキが生じる心配がなく、補正レンズ4の移動制御を極めて精度良く行うことができると共に、光学特性の劣化を最小限に抑えることができる。
また、本発明の像ぶれ補正装置は、第1の電動アクチュエータ5Aの駆動による補正レンズ4の第1の方向Xへの移動及び第2の電動アクチュエータ5Bの駆動による補正レンズ4の第2の方向Yへの移動を制御するバランサ6を設けた。そして、第1及び第2の電動アクチュエータ5A及び5Bのマグネット8a,8bとバランサ6のバランサマグネット11の磁力により移動枠3を支持枠2側に付勢した。その結果、一方の電動アクチュエータの駆動による補正レンズ4の移動時において、バランサマグネット11の磁力による反力と他方の電動アクチュエータのマグネットの磁力による反力が釣り合う(相殺する)ことにより、補正レンズ4の移動方向に対して極めて安定性及び直進性の良い高精度の像ぶれ補正を実現することができる。
更に、移動枠の基準位置において、支持枠2の円筒部24と移動枠の嵌合穴21が同心円をなして位置されるため、移動枠3の移動範囲を、360度の範囲に亘って全て同じ距離にすることができる。その結果、移動枠3を何れの方向に移動させても、移動枠3に作用される推力及び合力ベクトルに一致する線上で嵌合穴21の内壁と円筒部24の外壁を当接させることができ、移動枠3が円筒部24に沿って回転することを防止することができる。
尚、本発明は前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例においては、撮像装置としてデジタルスチルカメラを適用した例について説明したが、デジタルビデオカメラ、カメラ付きパーソナルコンピュータ、カメラ付き携帯電話その他の撮像装置にも適用できるものである。更に、レンズ鏡筒として5群レンズを用いた例について説明したが、4群レンズ以下であってもよく、また、6群レンズ以上のものに適用できることも勿論である。
更に、前記実施例においては、バランサを、補正レンズを中心として、第1の電動アクチュエータから第1の方向へ延長した線と第2の電動アクチュエータから第2の方向へ延長した線との間の角度(挟角)を二分する線上に配置した例について説明した。しかしながら、バランサの配置は、これに限定されるものでない。この場合は、バランサの磁力(吸引力)が所定の数式を満たすように、例えばバランサに電磁石等を用いて磁力(吸引力)を適宜変更するように構成することが好ましい。
また、前記実施例においては、第1の電動アクチュエータのマグネット及び第2の電動アクチュエータのマグネットの磁力が等しい場合について説明したが、第1及び第2の電動アクチュエータのマグネットの磁力は、等しくなくてもよいことは勿論である。この場合も同様に、バランサの吸引力が所定の数式を満たすように、例えばバランサに電磁石等を用いて磁力(吸引力)を適宜変更するように構成することが好ましい。また、前記実施例においては、バランサについてマグネットを用いた例について説明したが、バランサは、これに限定されるものでなく、例えば電磁コイルを用いてもよいことは勿論である。
1,1A,1B…像ぶれ補正装置、 2…支持枠(固定基盤)、 3…移動枠、 4…補正レンズ、 5A…第1の電動アクチュエータ、 5B…第2の電動アクチュエータ、 6,…バランサ、 8a,8b…マグネット、 9a,9b,9c,…バックヨーク、 11,…バランサマグネット、 12…球体(球面ガイド)、 12A…球面突起(球面ガイド)13a,13b…コイル、 18a,18b…対向ヨーク、 19…バランサ対向ヨーク、25,25A…球体保持部、 50…レンズ鏡筒、 51…レンズ系、 52…筒体、 100,100A…デジタルスチルカメラ(撮像装置)、 X…第1の方向、 Y…第2の方向、 L,L1,L2…光軸