JP2008120804A - クローン化ヒトアルファ−フェトプロティンの発現及び精製 - Google Patents

クローン化ヒトアルファ−フェトプロティンの発現及び精製 Download PDF

Info

Publication number
JP2008120804A
JP2008120804A JP2007290274A JP2007290274A JP2008120804A JP 2008120804 A JP2008120804 A JP 2008120804A JP 2007290274 A JP2007290274 A JP 2007290274A JP 2007290274 A JP2007290274 A JP 2007290274A JP 2008120804 A JP2008120804 A JP 2008120804A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fetoprotein
afp
human alpha
expression
coli
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007290274A
Other languages
English (en)
Inventor
Robert A Murgita
ロバート エー. マーギタ
Richard Boismenu
リチャード ボワムニュ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Merrimack Pharmaceuticals Inc
Original Assignee
Merrimack Pharmaceuticals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Merrimack Pharmaceuticals Inc filed Critical Merrimack Pharmaceuticals Inc
Priority to JP2007290274A priority Critical patent/JP2008120804A/ja
Publication of JP2008120804A publication Critical patent/JP2008120804A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

【課題】原核生物細胞中でのヒトアルファ−フェトプロティンの発現および精製方法を提供する。
【解決手段】E.coliを用いた、ヒトアルファ−フェトプロティン遺伝子によりコードされた蛋白質のアミノ酸配列と少なくとも97%の配列相同性を有し、グリコシル化されておらず、且つ天然型のヒトアルファ−フェトプロティンと実質的に同一の生物活性を有する、実質的に純粋な生物活性を有する非グリコシル化ヒトアルファ−フェトプロティン。
【選択図】なし

Description

発明の背景
本発明はクローン化ヒトアルファ−フェトプロティンの発現及び精製に関する。
アルファ−フェトプロティン(AFP)は、通常、胎児血液中にのみ大量に認められる血清蛋白質である。成人血液中では、アルファ−フェトプロティンの増加は肝臓の再生及びある種のガン腫に関連している。
アルファ−フェトプロティンの特定の機能は知られていない。その機能として、胎児アルブミン、母体の免疫攻撃からの防御、母体のエストロゲンからの防御などが考えられている。
Morinaga et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4604, 1983)(非特許文献1)はヒトAFPのクローニングを報告した。
Innis et al.(Arch. Biochem. Biophys. 195:128, 1979)(非特許文献2)は、ヒトAFPの約950塩基対断片のE.coliプラスミドpBR322へのクローニングを報告した。
Nishi et al.(J. Biochem. 104:968, 1988)(非特許文献3)は、E.coli及びSaccharomyces cerevisiae中でのラットAFPの発現を報告した。Nishi et al.は、エストラジオール結合アッセイにおいて、細菌により生産されたラットrAFPは事実上活性を有しないが、酵母により生産されたラットrAFPは元のAFPと同様の活性を有することも報告した。さらに、ラジオイムノアッセイまたはオークターロニー二重免疫拡散アッセイにおいて、酵母により生産されたラットrAFPは細菌により生産されたラットrAFPよりも、元のラットAFPと類似した性質を有していた。Nishi et al.は、“オークターロニー二重免疫拡散アッセイにおいて、元のrAFP及び酵母rAFPはラットAFPに対する抗体と完全に融合した沈降線を形成するが、E.coli rAFPは類似の試験において部分的一致反応を示した…この研究において機能的に活性のある酵母rAFPは正しいジスルフィド結合対を有するものと思われる。これに対して、E.coli rAFPは恐らくこれらの正しいジスルフィド結合対を形成できないのであろう。”と述べている。
Yamamoto et al.(Life Science 46:1679, 1990)(非特許文献4)は、酵母中でのヒトAFPの発現を報告し、このようにして生産されたrAFPは“免疫学的に元のAFPと区別できない”と報告した。
Giuliani et al.(Protein Engineering 2:605, 1989)(非特許文献5)は、ヒトAFPの一部(アミノ酸38〜119)のE.coli中での発現を報告した。
日本特許出願第88158596(特許文献1)において、E.coli中での組み換えヒトドメインI AFPの調製方法が報告されている。
日本特許出願第88158596 Morinaga et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4604, 1983) Innis et al.(Arch. Biochem. Biophys. 195:128, 1979) Nishi et al.(J. Biochem. 104:968, 1988) Yamamoto et al.(Life Science 46:1679, 1990) Giuliani et al.(Protein Engineering 2:605, 1989)
発明の要旨
一般的に本発明は、原核生物細胞中でヒトアルファ−フェトプロティンを生産する方法に関する。本方法には、ヒトアルファ−フェトプロティンの発現を指令することのできる発現制御因子に作動的に結合しているヒトアルファ−フェトプロティンをコードする組み換えDNA分子を含有する形質転換された原核生物細胞の提供と、形質転換細胞によるヒトアルファ−フェトプロティンの発現可能化が含まれる。好適な実施例において、原核生物細胞はE.coliである。さらに好適な実施例において、発現制御因子はE.coli Trpプロモータ及びE.coli Tacプロモータである。
関連する態様において本発明は、ヒトアルファ−フェトプロティンの発現を指令することのできる発現制御因子に作動的に結合しているヒトアルファ−フェトプロティンをコードする組み換えDNA分子を含有する形質転換された原核生物細胞の提供と、形質転換細胞によるヒトアルファ−フェトプロティンの発現を可能にすることにより生産された、事実上純化されたヒトアルファ−フェトプロティンに関する。
関連する態様において本発明は、上記に記載した通りに生産され事実上純化されたアルファ−フェトプロティンを含有する治療用組成物に関する。
“ヒトアルファ−フェトプロティン”とは、ヒトアルファ−フェトプロティン遺伝子によりコードされた蛋白質と事実上同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。Moringa et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4604, 1983)は、ヒトアルファ−フェトプロティンに相同的なcDNAの配列を報告している。
“発現制御因子”とは、蛋白質をコードする配列に作動的に結合し、その配列の発現を制御する因子となる認識配列を含む塩基配列を意味する。従って、発現制御因子は一般的に、例えば、プロモータ、リボゾーム結合部位、リプレッサ結合部位及びアクチベータ結合部位など転写と翻訳の両方を制御する配列を含む。
“事実上同じアミノ酸配列”とは、天然型ヒトアルファ−フェトプロティンのアミノ酸配列と最低80%の相同性を示し、典型的には天然型ヒトアルファ−フェトプロティンのアミノ酸配列と最低約85%の相同性を示し、さらに典型的には天然型ヒトアルファ−フェトプロティンのアミノ酸配列と最低約90%の相同性を示し、通常的には天然型ヒトアルファ−フェトプロティンのアミノ酸配列と最低約95%の相同性を示し、さらに通常的には天然型ヒトアルファ−フェトプロティンのアミノ酸配列と最低約97%の相同性を示すポリペプチドを意味する。比較する配列の長さは一般的には最低16アミノ酸、通常的には最低20アミノ酸、さらに通常的には最低25アミノ酸、典型的には最低30アミノ酸、好ましくは35アミノ酸以上である。
ポリペプチドの相同性は、典型的には配列解析ソフト(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, WI 53705)を用いて測定する。蛋白質解析ソフトは、種々の置換、欠失、置換及び他の変更に対して相同性の度合いを判定することにより類似の配列を捜し出す。保存的置換は典型的には以下のグループ内での置換を含む:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシン。
ここに使用されている通り、“事実上純化された”という用語は、天然では混在している物質から分離された蛋白質またはポリペプチドを指す。典型的には、目的とする蛋白質が試料中の全蛋白質の最低60〜75%である時、この目的蛋白質は事実上純化されている。小さな変異のある派生物または化学修飾物は典型的には同じポリペプチド配列を有する。事実上純化された蛋白質は典型的には、試料中にその蛋白質を約85〜90%以上含み、さらに通常的には、最低約95%、さらに好ましくは約99%以上を含んでいる。通常、精製度はクロマトグラフィカラム、ポリアクリルアミドゲルまたはHPLC分析により測定する。
蛋白質は、天然状態では混在している天然の混在物から分離された時、天然では混在している成分を事実上含有しない。このため、化学合成された蛋白質、または天然で生産される場合と異なる細胞系において生産される蛋白質は、事実上天然には混在している成分を事実上含有しない。このためこの用語は、E.coli及び他の原核生物中で合成された、真核生物由来のポリペプチド及び核酸に対して使用することができる。
本発明は、事実上純化されたヒトアルファ−フェトプロティンを提供する。部分的にはヒトアルファ−フェトプロティンの構造的及び機能的性質に基づいて、生体物質からヒトAFPを単離する種々の方法が考案されている。その他の方法として、ヒトAFPの純化に使用する非常に特異的なアフィニティカラムを作製するため、抗AFP抗体を固体基質に固定化する。
事実上全長を有するポリペプチドに加えて本発明は、ヒトアルファ−フェトプロティンの、生物活性を有する組み換え断片も提供する。例えば、リガンド結合活性を有する断片または免疫抑制活性を有する断片などである。
ヒトアルファ−フェトプロティンをコードする天然または合成DNA断片またはその望ましい断片は、細胞培養物中に導入することができ、かつその細胞中で発現することのできるDNA構築物中に含有されている。このような宿主細胞中に導入されるよう調製されたDNA構築物は典型的には、宿主細胞が利用することのできる複製起点、ヒトアルファ−フェトプロティンの望ましい部分をコードするDNA断片、アルファ−フェトプロティンをコードする断片に作動的に結合した転写及び翻訳開始制御配列、及びアルファ−フェトプロティンをコードする断片に作動的に結合した転写及び翻訳終止制御配列を含む。転写制御配列は典型的には、宿主により認識される異種プロモータを含む。適切なプロモータの選択は宿主に依存するが、trp、tac及びファージプロモータ、tRNAプロモータ及び解糖系酵素プロモータなどのプロモータを適切な環境下で使用することができる(Sambrook et al. eds., Molecular Cloning: Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NY 1989)。ある種の例においては、宿主中での転写を制御することのできる認識配列(例えば、E.coliのlacリプレッサ)を適切な部位に含むことが望ましい。複製機構と転写翻訳制御配列及び発現させるDNA断片をコードする遺伝子の挿入に便利な部位を有する、購入可能な発現ベクターを使用することができる。
上述の種々のプロモータ、転写及び翻訳因子は一般的に“発現制御因子”と呼ばれる。
ヒトAFPの全長または一部をコードするDNA断片を、宿主の染色体に挿入することもできる。
目的のDNA断片を含有するベクターは細胞宿主の型に依存して、良く知られた方法で宿主細胞中に導入することができる(Sambrook et al. supra)。“形質転換された細胞”という用語は、形質転換された細胞のprogeny (子孫)も含むことを意味する。
組み換え蛋白質を高発現するのに有用な原核生物宿主には、E.coli、Bacillus subtilis 、及びPseudomonas の種々の株が含まれる。
本発明の方法は、生物活性を有するヒトアルファ−フェトプロティンを高生産する手段を提供する。本発明の方法に従って生産されたAFPは、天然のヒトAFPと同一の方法で修飾されないにもかかわらず生物活性を有する。
本発明の他の特徴及び利点は以下に記載する好適な実施例及び請求の範囲から明白である。
cDNAライブラリーの構築
4.5月齢のヒト流産児の肝臓細胞(湿潤重量〜3グラム)から単離したポリ(A)RNAから調製したcDNA(0.5〜3kb)を用いてcDNAライブラリーを作製した(その他の方法として、胎児cDNAライブラリーはClontech Laboratories, Inc., Palo Alto, CAから入手することもできる)。全RNAはグアニジンチオシアネート法(Chirgwin et al., Biochemistry 18:5294, 1979 )により調製し、mRNAはオリゴ(dT)−セルロースクロマトグラフィ(Collaborative Research, Bedford, MA )により選択した(Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al., eds., Wiley Interscience, New York, 1989)。cDNAはLibrarian II cDNA合成キット(Invitrogen, San Diego, CA )を用いて合成し、1%アガロースゲルにより分画した。0.5〜3kbの断片を抽出後ベクターpTZ18−RB(Invitrogen)に連結し、このプラスミドを用いてE.coli DH1αF´(Invitrogen)を形質転換した。コロニーをColony/Plaque Screenフィルター(Du Pont, Wilmington, DE )に吸着させ、0.5M NaOH、1.5M NaClからなる溶液中で10分間インキュベートしてコロニーを溶菌、変性した。1.5M NaCl、0.50M トリス−HCl(pH7.6)中で5分間フィルターを洗浄し、風乾した。次いでフィルターをクロロホルムを用いて5回洗浄し、0.3M NaClに浸して細胞残渣を除去した後風乾した。真空状態で80℃、2時間焼結することによりDNAをニトロセルロースに固定した。焼結したフィルターは、6×SSC(1×SSC=150mM NaCl、15mM クエン酸ナトリウム[pH7.0])、1×デンハルト溶液(0.2g/lポリビニルピロリドン、0.2g/l BSA、0.2g/lフィコール400)、0.05%ピロリン酸ナトリウム、0.5% SDS及び100μg/ml E.coli DNA中で37℃、3時間プレハイブリダイゼーションを行なった。ハイブリダイゼーションは、SDSを含まず1〜2×10cpm/mlの5´末端リン酸化により32P標識した2種のオリゴヌクレオチドを含む以外はプレハイブリダイゼーション溶液と同一の溶液中で、37℃、18〜24時間行なった(Current Protocols in Molecular Biology, supra)。ライブラリーのスクリーニングに使用したオリゴヌクレオチドの配列は、5´−TGTCTGCAGGATGGGGAAAAA−3´(配列番号:1)、及び5´−CATGAAATGACTCCAGTA−3´(配列番号:2)である。これらの配列はそれぞれ、ヒトAFPをコードする配列の塩基772〜792、及び1405〜1422に対応している。フィルターは、6×SSC、0.05%ピロリン酸ナトリウム中で37℃、30分間2回洗浄し、次いで、同一の溶液中で48℃、30分間1回洗浄した。乾燥させたフィルターを、Du Pont Cronex Lightning Plus intensifier screen存在下でKodak XARフィルムに24〜48時間感光し、陽性クローンを同定した。陽性クローンを単離、増幅後、これらについてサザンブロット解析を行なった(Current Protocols in Molecular Biology, supra)。簡単に記載すると、適切な制限酵素を用いて精製DNAを加水分解し、その結果得られた断片を1%アガロースゲルを用いて分離した。次いでDNAをニトロセルロース膜に転写した。ハイブリダイゼーション条件は、前述の2種のプローブに加えて第3の32P標識したオリゴヌクレオチド(5´−CATAGAAATGAATATGGA−3´(配列番号:3)、ヒトAFPをコードする領域の塩基7〜24に対応している)を使用する以外は上記に記載したのと同一のものとした。スクリ−ニングした3,000コロニーの中から5個の陽性クローンを同定した。そのうちの1クローン、pLHuAFPを以下に記載する構築に使用した。
全長ヒトAFPcDNAの構築
以下に記載する5種のDNA断片を用いて、翻訳開始コドン、それに続くヒトAFPをコードする配列及び翻訳終止コドンを含む構築物を作製した。
断片1:リン酸化されていない2種のオリゴヌクレオチドをアニールして、5´付着末端EcoRI認識部位、それに続くATG開始コドン及びコーディング配列中60番目の塩基に位置するPstI制限酵素部位を含むヒトAFPcDNAの最初の60bp分からなる2本鎖DNA分子を作製した(ここでは、塩基1は成熟蛋白質の第一コドン(Thr)の一番目の塩基を指し、これはMorinaga et al., supraの塩基102に対応している)。この断片を、EcoRI及びPstIにより直鎖状にしたpUC119(pUC19のNdeI部位に、M13の塩基5465のHgiAIから塩基5941のAhaIIまでの遺伝子間領域が挿入されている)に連結した。その結果得られたDNAをE.coli NM522(Pharmacia, Piscataway, NJ )中で増幅した。組み換えプラスミドを制限酵素消化してEcoRI−PstI挿入断片を切り出し、次いで5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し、ゲルから回収した。
断片2:pLHuAFPをPstI及びNsiI消化し、上述の通りゲルによる精製を行なって、97bpのヒトAFPcDNA断片(塩基57〜153)を得た。このクローンはヒトAFPのコーディング領域全体と同時に5´及び3´非翻訳配列も有する。
断片3:pLHuAFPをNsiI及びAlwNI消化し、上述の通り精製を行なって、224bpのヒトAFPcDNA断片(塩基150〜373)を得た。
断片4:pLHuAFPをAlwNI及びStyI消化し、上述の通り精製を行なって、1322bpのヒトAFPcDNA断片(塩基371〜1692)を得た。
断片5:リン酸化されていない2種のオリゴヌクレオチドをアニールして、塩基1693に位置するStyI部位から、塩基1773に位置するAFPコーディング領域を終結させるTAA終止コドンまでのヒトAFP配列、及びそれに続くBamHI付着部位からなる2本鎖DNA分子を作製した。この合成DNAは、これ以上の操作を行なうことなく使用した。
pBluescript(StrataGene, La Jolla, CA)をEcoRI及びBamHIを用いて完全に加水分解して、上述の5種の精製断片を含有するライゲーション溶液に添加した。対照となるライゲーション溶液には、直鎖状pBluescriptのみを含むようにした。これら2種のライゲーション溶液の一部を用いて、E.coli DH5α(GIBCO/BRL、Grand Island, NY)コンピテント細胞を形質転換した。幾つかの形質転換株から組み換えプラスミドを単離し、広範囲にわたる制限酵素解析及び塩基配列決定によりスクリーニングを行なった。1個の組み換えプラスミドを選択し、pHuAFPと命名した。このプラスミドを使用して、数種の発現ベクターにヒトAFP遺伝子を挿入した。pHuAFPは、ヒトAFPのコーディング配列全体及び5´末端にATG開始コドン、3´末端にTAA終止コドンを含有する固有のEcoRI−BamHI断片を有する。
AFP発現ベクター
E.coli中でのヒトAFPの効率的な大量生産は、3種の異なる発現系により行なった。TRPシステムでは直接発現を行なった。RX1システムでは、trpE及びベクター配列にコードされている20アミノ酸を含む融合蛋白質が生産された。MALシステムでは、malE遺伝子産物(42kdのマルトース結合蛋白質)に融合したAFPが発現された。
TRPシステム:AFPをコードする、pHuAFPの1186bpEcoRI−BamHI断片を発現ベクターpTrp4(Olsen et al., J. Biotechnol. 9:179, 1989)のtrpプロモータ及び改変したリボゾーム結合部位の下流にクローニングした。
簡単に記載すると、pHuAFPをEcoRI及びBamHIで消化し、末端をKlenowポリメラーゼで埋めた。次いで、1186bpのAFP断片をゲルにより精製した。pTrp4をClaI消化し、末端をKlenowポリメラーゼで埋め、この直鎖状ベクターをゲルにより精製した。1186bpのAFP断片とpTrp4を連結し、このプラスミドを用いて以下のE.coli株を形質転換した:DH5α、BL21(F.W.Studier, Brookhaven National Laboratory, Upton, NY)、SG927(American Type Culture Collection, Rockville, MD:Acc No.39627)、SG928(ATCC Acc No.39628)、及びSG395(ATCC Acc No.39623)。
RX1発現システム:ヒトAFPcDNAを、trpプロモータに隣接してかつTrpEの翻訳フレーム中に発現ベクターpRX1(Rimm et al., Gene 75:323, 1989)にクローニングした。ヒトAFPcDNAはEcoRI及びBamHI消化することによりpHuAFPから切り出し、適切に処理したpRX1(BioRad Laboratories, Hercules, CA )中にクローニングした。次いで、pRX1/HuAFPとして同定される最終的なプラスミド構築物を用いて、上述のE.coli株及びCAG456(D.W.Cleveland, John Hopkins University, Baltimore, MD )を形質転換した。
MAL発現システム:AFPcDNAは、tacプロモータの制御下でMalEの翻訳フレームの中に、発現ベクターpMAL(New England Biolabs, Inc., Beverly, MA)中に挿入した。簡単に記載すると、pHuAFPをBamHIで消化し、末端をKlenowポリメラーゼで平滑化した。EcoRI消化によりヒトAFPcDNAを残りのプラスミドDNA部分から単離した後ゲルにより精製した。精製した断片を、適切に処理したpMAL−Cに連結した。正しい方向で断片が挿入されたプラスミドをpMAL/HuAFPと命名し、これを用いてE.coli DH5α、TBI(New England Biolabs )及びSG935を形質転換した。
3種の発現ベクターの構築に使用されたAFPコーディング領域の塩基配列を決定し、全長AFPをコードしていることを確認した。
E.coli中でのAFPの発現
細菌培養物は通気条件下で30℃または37℃でインキュベートした。E.coliは、必要に応じて適切な抗生物質を含有する(50μg/mlのテトラサイクリン−HCl、及び100μg/mlのアンピシリン−Na)LB培地で一晩培養した。
TRP及びRX1発現システム:trpプロモータは、トリプトファン欠損条件下で誘導した。誘導は、以下の通りに調製したM9CA培地中で行なった:1g カザミノ酸(Difco Laboratories, Detroit, MI )、6g NaHPO、3g KHPO、0.5g NaCl、1g NHClを1リットルのミリ−Q水(Millipore Corp., Bedford, MA)に添加し、pHを7.4に調整した後オートクレーブした。冷却した培地に、2mM MgSO、0.1mM CaCl、及び0.2% グルコースとなるよう各試薬を添加した。一晩培養した培養物を、抗生物質を添加したM9CA中で100倍に希釈した後、A550が0.4になるまで30℃で細胞を増殖させ、遠心分離により集菌し、沈殿物を−20℃で保存した。
MAL発現システム:tacプロモータは非代謝性誘導物質IPTGにより誘導した。一晩培養した培養物を、抗生物質を添加したLB培地中で100倍に希釈した後、A550 が0.4になるまで37℃で細胞を増殖させた。次いで、IPTGを最終濃度0.3mMになるよう添加し、さらに2時間培養した。遠心分離により集菌し、沈殿物を−20℃で保存した。
E.coli中で発現されたAFPの検出
組み換えAFPの発現及び挙動を決定するために解析研究を行なった。細胞沈殿物は、SDS−溶菌溶液(0.16M トリス−HCl[pH6.8]、4% w/v SDS、0.2M DTT、20% グリセロール、0.02% ブロモフェノールブルー)中に懸濁して5分間煮沸し、SDS−PAGE分析に使用するか、または10mM NaHPO、30mM NaCl、0.25% Tween 20、10mM EDTA、10mM EGTAからなる溶菌緩衝液に懸濁して1mg/ml リゾチームと共に4℃で30分間インキュベートした後、50%出力、パルスモード3×1分で超音波破砕した(Sonics and Materials, Danbury, CT: model VC300 sonifier )。溶菌物を10,000gで20分間遠心分離し、可溶性蛋白質を含む上清を別の試験管にデカントし、使用するまで−20℃で保存した。不溶性蛋白質を含む沈殿物はSDS−溶菌緩衝液に再度懸濁し、5分間煮沸した後、使用するまで−20℃で保存した。SDS−溶菌緩衝液中に放出された全蛋白質と、可溶性画分及び沈殿画分をSDS−PAGE及びウエスタンブロット後の免疫学的検出により解析した。これらの研究中、クーマシーブルーにより染色したゲルは、日常的にビデオデンシトメータ(BioRad、model 620)を用いてスキャンした。これにより、生産されたAFPの量を、全細胞蛋白質に対するパーセンテージで評価することができた。
TRPシステムにおいて発現されたAFPの精製
特記しない限り、すべての操作は4℃で行なった。1リットルの培養物から回収した各凍結細胞沈殿物を、25mlの溶菌緩衝液A(50mM トリス−HCl[pH7.5]、20% ショ糖、100μg/ml リゾチーム、10μg/ml PMSF)に再度懸濁し、10分間インキュベートした。EDTAを最終濃度35mMになるよう添加し、抽出液をさらに10分間静置した。25mlの溶菌緩衝液B(50mM トリス−HCl[pH7.5]、25mM EDTA、0.2% Triton X−100)を添加した後、溶菌物をさらに30分間インキュベートした。細胞溶菌物を12,000gで20分間遠心分離し、組み換えAFPを含む沈殿物を50mlの洗浄緩衝液(50mM トリス−HCl[pH8.0]、10mM EDTA、0.2% Triton X−100)で2回洗浄し、各洗浄後は上述の通りに遠心分離した。沈殿物を50mlの変性緩衝液(0.1M KHPO[pH8.5]、6M 塩酸グアニジン、0.1M 2−メルカプトエタノール)に溶解し、超音波破砕し、次いで、Nutator (Clay Adams)上で4時間攪拌した。可溶化された抽出物を、50mM トリス−HCl、100mM NaCl、1mM EDTA中で50倍に希釈し、組み換えAFP蛋白質を24時間復元させた。希釈する前のAFPは微細凝集していると思われるため、この50倍希釈工程は重要である。希釈及び再濃縮の後はAFPは凝集しない。Amicon filtration unitを用いてYM10膜上で溶液を100倍に濃縮し、Millex 0.22μm膜フィルター(Millipore )に通して清澄化した。組み換えAFPは、室温で、20mM トリス−HCl(pH8.0)中で平衡化したMomoQカラム(Pharmacia )に通し、結合蛋白質を、20mM トリス−HCl(pH8.0)中、1M NaClの0〜100%の直線密度勾配を用いて溶出して、さらに精製した。分画は、SDS−PAGE、APAGE、及びウエスタンブロッティングにより解析した。
ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウエスタンイムノディテクション法
不連続な緩衝液系中のSDS−PAGE及びアルカリ−PAGEは、mini-Protean電気泳動装置(BioRad)を用いて、Hames et al.(Gel Electrophoresis of Proteins: A Practical Approach, IRL Press, London, 1981)の方法に従って行なった。SDS−PAGEあるいはAPAGE後の組み換えヒトAFPの免疫学的検出は、ゲルを転写緩衝液(12.5mM トリス−HCl、96mM グリシン、20% メタノール[pH8.2])中に15分間浸して行なった。次いで、各ゲルの上にイモビロンPVDF膜(Millipore )を乗せ、ゲルが陰極に接するよう、mini-Protean電気泳動装置(BioRad)の2枚の電極格子の間にはさんだ。システムを転写緩衝液中に浸し、150mAの電流を2時間流した。20mM トリス−HCl(pH7.5)、500mM NaCl、3% ゼラチンにより、イモビロンPVDF膜上の反応していない部位を1時間ブロックした。一次抗体及び二次抗体にはそれぞれ、ウサギ抗−ヒトAFP抗血清及びアルカリホスファターゼに共役させたヤギ抗−ウサギIgG抗体(BioRad)を使用した。アルカリホスファターゼ活性は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸及びp−ニトロブルーテトラゾリウム(BioRad)を用いて検出した。
AFP発現の定量
組み換えヒトAFPは、ヒトAFP ELISAキット(Abbott Laboratories, Chicago, IL)を用いて定量した。
AFPの収率は、銀染色ゲルのスキャンすることにより計算した。Trp発現システムを用いた、AFPをコードするプラスミドによりSG935細胞を形質転換した場合、AFPはE.coli菌体全蛋白質の2〜5%を占める(培養液1リットル当たり約3〜7mgのAFP)。上述の通り、初期抽出物中のAFPは不溶性である。上述の再可溶化法により、安定で部分精製された単量体AFPの形で50〜60%のAFPを回収することができる(E.coli 20リットル当たり約50mgの収率)。この部分精製されたAFPをさらに精製して、25mgの純化された単量体AFPを得ることができる。
N−末端解析
Porton 蛋白質/ペプチド気相マイクロシークエンサと配列を最適化するためのintegrated customized microbore HPLCを用いて自動化エドマン分解を行なった。蛋白質配列解析は、PC/Gene software package(Intelligenetics )中の選択されたプログラムを使用することにより行なった。
使用法
原核生物細胞中で生産された組み換えヒトAFP及びその断片は、診断用の標準物質及び治療目的に使用することができる。
組み換えAFP及びその断片は単独で、または、薬理学上許容できる担体または希釈液と組み合わせて効果的な量を投与することができる。ポリペプチド及び組成物は単独で、または、他の治療用薬剤と組み合わせて例えば静脈注射、経口、筋肉注射または鼻腔内注入などの便利な方法により投与することができる。

Claims (6)

  1. ヒトアルファ−フェトプロティンの発現を指令することのできる発現制御因子に作動的に結合している前記ヒトアルファ−フェトプロティンをコードする組み換えDNA分子を含有する形質転換された原核生物細胞の提供と、前記形質転換細胞による前記ヒトアルファ−フェトプロティンの発現可能化を含む、原核生物細胞中におけるヒトアルファ−フェトプロティンを生産する方法。
  2. 前記原核生物細胞がE.coli であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記発現制御因子がE.coli Trpプロモータであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記発現制御因子がE.coli Tacプロモータであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 請求項1に記載の方法により生産された事実上純化されたヒトアルファ−フェトプロティン。
  6. 請求項5に記載の事実上純化されたヒトアルファ−フェトプロティンを含有する治療用組成物。
JP2007290274A 2007-11-08 2007-11-08 クローン化ヒトアルファ−フェトプロティンの発現及び精製 Pending JP2008120804A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007290274A JP2008120804A (ja) 2007-11-08 2007-11-08 クローン化ヒトアルファ−フェトプロティンの発現及び精製

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007290274A JP2008120804A (ja) 2007-11-08 2007-11-08 クローン化ヒトアルファ−フェトプロティンの発現及び精製

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6507567A Division JPH08511677A (ja) 1991-09-27 1992-10-30 クローン化ヒトアルファ−フェトプロティンの発現及び精製

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008120804A true JP2008120804A (ja) 2008-05-29

Family

ID=39505936

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007290274A Pending JP2008120804A (ja) 2007-11-08 2007-11-08 クローン化ヒトアルファ−フェトプロティンの発現及び精製

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008120804A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5384250A (en) Expression and purification of cloned alpha-fetoprotein
KR100230156B1 (ko) 종양괴사인자 억제제 및 그 제조방법
JP2865300B2 (ja) ヒトb細胞刺激因子2レセプター蛋白質
EP0509553B1 (en) Anti-lymphotoxin antibody, its production and use
JP3730256B2 (ja) 分泌シグナル遺伝子およびそれを有する発現ベクター
JPH0542413B2 (ja)
JPS61224985A (ja) 酸化耐性ミユ−テイン
JPS6143991A (ja) B型肝炎ウイルス表面抗原およびその製造法
JP3192651B2 (ja) インターロイキン―1インヒビター
JP2686257B2 (ja) 新規なdafの製造のための核酸
JP2982908B2 (ja) ヒトfk506結合蛋白質をコードするdna
EP0736599A2 (en) Rat obese gene, its gene product and its production
EP0307472A1 (en) IMMUNOGENIC PRODUCT OBTAINED BY EXPRESSION FROM RECOMBINANT YEAST AND PROCESS FOR PURIFYING SUCH A PRODUCT.
JP5121109B2 (ja) 生理的に活性なil−18ポリペプチドの調製方法
JPH08333394A (ja) ラット肥満遺伝子、その遺伝子産物およびその製造法
JP2008120804A (ja) クローン化ヒトアルファ−フェトプロティンの発現及び精製
CN108276488B (zh) 一种鸡髓样细胞触发受体b2多克隆抗体及其制备方法和应用
Burton et al. Expression in Escherichia coli: purification and properties of the yeast general transcription factor TFIID
JPH0779701B2 (ja) 成長ホルモン放出因子を含むハイブリドポリペプチドをコ−ドする遺伝子
AU617668B2 (en) Immunogenic polypeptide and method for purifying it
EP1510525A1 (en) Expression and purification of cloned human alpha-fetoprotein
JP2866134B2 (ja) 機能性ポリペプチド
US5973115A (en) Method for potentiating and inhibiting insulin-like growth factor activity
JP5233347B2 (ja) 組換ヤナギマツタケ・ガレクチン
RU2758604C2 (ru) Рекомбинантный белок GM, обладающий способностью связывать α2-макроглобулин и его применение в качестве лиганда в аффинной хроматографии для выделения α2-макроглобулина из сыворотки крови человека

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080514

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080808

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080813

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080912

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080918

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090128