JP2008120777A - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、有効性の高いサラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物に関して有効に活用する方法を見つけることにある。また一方で、肌のしわやたるみといった皮膚上の悩みを予防・改善する有効な皮膚外溶剤の開発が望まれている。
【解決手段】サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物がこれまで確認されていなかった機能、すなわちヒアルロニダーゼ活性阻害作用、エラスターゼ活性阻害作用を有することが分かり、肌のしわやたるみといった皮膚上の悩みに対して有効であることが分かった。
【解決手段】サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物がこれまで確認されていなかった機能、すなわちヒアルロニダーゼ活性阻害作用、エラスターゼ活性阻害作用を有することが分かり、肌のしわやたるみといった皮膚上の悩みに対して有効であることが分かった。
Description
本発明品は、サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物が、ヒアルロニダーゼ活性ならびにエラスターゼ活性を優位に阻害することで、肌のしわ、たるみと言った皮膚の悩みを予防・改善する皮膚外用剤に関する。
サラシア属の植物は、紀元前5000年以上前に端を発するアーユルベェーダ医学の医書の中にも記載がある植物で、傷害、痛み、高血圧、心臓疾患、泌尿器疾患についても効果があるとされる歴史の古い植物である。近年日本でもサラシア属の植物の研究が盛んに行われ、特に糖尿病やダイエット高脂血症などに効果があることが分かっている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。また、それに関する特許も多数出願されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかしその多くは経口摂取による食品、医薬品用途であり、皮膚に外用することを訴求したものはわずか2件に限られ(特許文献4、特許文献5)、その用途についてもヒアルロニダーゼならびにヒアルロニダーゼ活性阻害剤を含有し、しわ、たるみの予防・改善を訴求したものは現在までに認められない。
女性にとって外見の美しさは日常生活に欠かせない要素であり、また近年では女性の社会進出が進んでおり、とりわけ肌の美しさに多くの女性の関心が集まっている。一方で加齢や紫外線、生活上のストレスなどの要因で、しわやたるみといった肌上の悩みは進行してしまうのが現状であり、肌の種々の悩み・トラブルに対応した健康食品、化粧料が数多く販売されている。
肌の悩みの上位に挙げられるしわやたるみが進行するメカニズムについては研究が進んでおり、例えばそれには生体内酵素のヒアルロニダーゼやエラスターゼが関係することが分かっている。ヒアルロン酸は皮膚、血管、関節など生体中に広く分布する高分子多糖である。皮膚ではヒアルロン酸は真皮マトリックスや表皮組織で水を保持し、弾力性、柔軟性、保湿性を保つ役割を果たしているしかし、年齢を重ねるにつれて減少し、その結果、しわの形成や皮膚の乾燥などの皮膚の老化をもたらす。従って、ヒアルロン酸代謝を担うヒアルロニダーゼの活性を阻害し、その分解を阻害することは、既存の生体内のヒアルロン酸を減らさないことにつながり、結果としてしわやたるみの形成を抑制できる。またエラスチンはコラーゲンとともに真皮マトリックスを形成している。エラスチンは伸縮性に富み、皮膚に適度な柔軟性を与えている。しかし加齢や光によって変性・崩壊し、代わってアミノ酸組成の異なるエラスチンが代償的に産生されて機能障害が進行する。その結果皮膚は大きく柔軟性を失ってしわやたるみが発生する。従って、エラスチン代謝を担うエラスターゼの活性を阻害し、その分解を阻害することは、既存の生体内のエラスチンを減らさないことにつながり、結果としてしわやたるみの形成を抑制できる。また更にエラスターゼは結合組織の主要基質タンパクすべて(エラスチン、コラーゲン、プロテオグリカン、ケラチンなど)とも反応するため、これを阻害することはしわやたるみ形成抑制には極めて重要である(非特許文献4)。
Life Sci.2004 Aug 20;75(14):1735−46 Toxicol Appl Pharmacol.2006 Jan 1;210(1−2):78−85.Epub 2005 Aug 29. Toxicol Appl Phrmacol.2006 Feb 1;210(3):225−35.Epub 2005 Jun 21. FRAGRANCE JOURNAL 1998 12;115−121 特開2002−020308号 特開2003−171295号 特開2005−295991号 特開2005−008572号 特開2006−188463号
Life Sci.2004 Aug 20;75(14):1735−46 Toxicol Appl Pharmacol.2006 Jan 1;210(1−2):78−85.Epub 2005 Aug 29. Toxicol Appl Phrmacol.2006 Feb 1;210(3):225−35.Epub 2005 Jun 21. FRAGRANCE JOURNAL 1998 12;115−121
本発明の目的は、今まで抗しわ、たるみ剤としての効果については知られていないサラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物がヒアルロニダーゼならびにエラスターゼの活性を阻害することを見出し、しわやたるみの予防・改善を成すため、さらにはこれを有効に活用するために種々検討した。
前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物にヒアルロニダーゼならびにエラスターゼ活性阻害作用があることを見出し、これによりしわやたるみを予防・改善することが分かった。
上記したサラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物は、皮膚に適応した場合の使用感と安全性に優れているため、皮膚外用剤に配合するのに好適である。本発明の皮膚外用剤は、上記サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物を含有し、ヒアルロニダーゼならびにエラスターゼ活性阻害作用を有する。もちろん、製剤化した本発明のヒアルロニダーゼならびにエラスターゼ活性阻害作用剤を含有するものも本発明の皮膚外用剤の範囲に含まれる
サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物の形態はなんら限定されるものではないが、好ましくはサラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の根を陰乾し、粉砕後、抽出溶媒(例えばエタノール等のアルコール、水またはこれら混合)とともに、3日間浸漬または1時間100度にて加温、冷却、ろ過した液を使用する。
サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物は0.001〜20重量%で配合すればしわ、たるみ改善効果等を十分発揮することから、この濃度で配合することが望ましい。
本発明の皮膚外用剤は、常法に従い、通常の皮膚外用剤として知られる種々の形態の基材に配合して調製することができ、外用剤の形態としては特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、水溶液、パック等の任意の剤形を選択することができる。
本発明の皮膚外用剤において、サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物とともに構成成分として利用可能なものは例えば、保湿剤・紫外線吸収剤・複合脂質・活性酸素消去作用を有する物質・抗炎症剤・ビタミンおよびその誘導体・油性成分・界面活性剤・防腐剤・粉体成分・精製水・高分子化合物・ゲル化剤・酸化防止剤・コレステロール類・植物ステロール類・リポプロテイン類・微生物由来成分・藻類抽出物・血行促進剤・抗脂漏剤・増粘剤・着色料・美容成分などをなどが挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して用いることが出来る。
次に実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれになんら制約されるものではない。また使用した薬剤のエキス粉末についての抽出方法についても何ら限定されるものではない。
(試験例1)ヒアルロニダーゼ活性阻害試験
水で1%に希釈した検体溶液1mLと、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に希釈した0.4%ヒアルロン酸溶液6mLを混合し、37℃で5分間インキュベートした。インキュベート後、ヒアルロニダーゼ溶液を1mL加え20秒間攪拌し、混液6mLをオストワルド粘土計No.4に入れた。ヒアルロニダーゼを加えて1、5、10、20、40分後の粘土(内溶液を吸引した後の、上の線から下の線までの落下時間)を測定した。阻害率の算出方法は各時間ごとの落下時間の差の平均で表し、具体的には以下に記す。
阻害率(%)=[[{(A5−A1)−(B5−B1)}/(A5−A1)]+[{(A10−A5)−(B10−B5)}/(A10−A5)]+[{(A20−A10)−(B20−B10)}/(A20−A10)]+[{(A40−A20)−(B40−B20)}/(A40−A20)]]/4×100
A1;空液を添加した際の1分後の粘度(落下時間)
A5;空液を添加した際の5分後の粘度(落下時間)
A10;空液を添加した際の10分後の粘度(落下時間)
A20;空液を添加した際の20分後の粘度(落下時間)
A40;空液を添加した際の40分後の粘度(落下時間)
B1;試料溶液を添加した際の1分後の粘度(落下時間)
B5;試料溶液を添加した際の5分後の粘度(落下時間)
B10;試料溶液を添加した際の10分後の粘度(落下時間)
B20;試料溶液を添加した際の20分後の粘度(落下時間)
B40;試料溶液を添加した際の40分後の粘度(落下時間)
水で1%に希釈した検体溶液1mLと、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に希釈した0.4%ヒアルロン酸溶液6mLを混合し、37℃で5分間インキュベートした。インキュベート後、ヒアルロニダーゼ溶液を1mL加え20秒間攪拌し、混液6mLをオストワルド粘土計No.4に入れた。ヒアルロニダーゼを加えて1、5、10、20、40分後の粘土(内溶液を吸引した後の、上の線から下の線までの落下時間)を測定した。阻害率の算出方法は各時間ごとの落下時間の差の平均で表し、具体的には以下に記す。
阻害率(%)=[[{(A5−A1)−(B5−B1)}/(A5−A1)]+[{(A10−A5)−(B10−B5)}/(A10−A5)]+[{(A20−A10)−(B20−B10)}/(A20−A10)]+[{(A40−A20)−(B40−B20)}/(A40−A20)]]/4×100
A1;空液を添加した際の1分後の粘度(落下時間)
A5;空液を添加した際の5分後の粘度(落下時間)
A10;空液を添加した際の10分後の粘度(落下時間)
A20;空液を添加した際の20分後の粘度(落下時間)
A40;空液を添加した際の40分後の粘度(落下時間)
B1;試料溶液を添加した際の1分後の粘度(落下時間)
B5;試料溶液を添加した際の5分後の粘度(落下時間)
B10;試料溶液を添加した際の10分後の粘度(落下時間)
B20;試料溶液を添加した際の20分後の粘度(落下時間)
B40;試料溶液を添加した際の40分後の粘度(落下時間)
(試験例2)エラスターゼ活性阻害試験
線維芽細胞由来のエラスターゼ酵素液(対照郡には緩衝液:0.1%Triton−X100/0.1M Tris−HCl)178μLと試験品液20μL(対照液にはEDTAを20μL)を500μLエッペンチューブに入れた。これに基質(スクシニル−[アラニル]3−p−ニトロアニリド)溶液2μLを加え、37℃で1時間反応させた。反応後、酢酸100μLを加えて反応を停止させ、ミニタンで遠心分離した。上澄みを取り、マイクロプレートリーダーにて405nmの吸光度を測定した。測定後、阻害率を算出した。
線維芽細胞由来のエラスターゼ酵素液(対照郡には緩衝液:0.1%Triton−X100/0.1M Tris−HCl)178μLと試験品液20μL(対照液にはEDTAを20μL)を500μLエッペンチューブに入れた。これに基質(スクシニル−[アラニル]3−p−ニトロアニリド)溶液2μLを加え、37℃で1時間反応させた。反応後、酢酸100μLを加えて反応を停止させ、ミニタンで遠心分離した。上澄みを取り、マイクロプレートリーダーにて405nmの吸光度を測定した。測定後、阻害率を算出した。
(試験例3)皮膚外用剤の効果
実施例および比較例の処方を表5に示す。作成方法は常法により行った。なお表5は美容液の処方で、配合量は重量部で示す。
(注5)サラシア植物(Salacia oblanga)の抽出物はサラシア10gに精製水150mlとエタノール150mlの混合液を加えて24時間静置した後、ろ過し、溶媒留去したエキス粉末を用いた。
実施例および比較例の処方を表5に示す。作成方法は常法により行った。なお表5は美容液の処方で、配合量は重量部で示す。
表5記載の実施例1〜2、比較例1のしわ・たるみ改善効果試験を実施した。試験方法は35〜60歳の女性30名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間に渡って洗顔後に被験外用剤の適量を顔面に塗布した。塗布によるしわ・たるみ改善効果の結果を表6に示す。
サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物はヒアルロニダーゼならびにエラスターゼ活性阻害作用を有することが確認され、しわ、たるみの予防、改善効果があることが分かった。
Claims (3)
- サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物を含有するしわ、たるみに対する皮膚外用剤。
- サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物がヒアルロニダーゼ活性阻害剤である請求項1に記載の皮膚外用剤。
- サラシア属(Salacia oblanga、Salacia reticulata、Salacia prinoides)植物の抽出物がエラスターゼ活性阻害剤である請求項1に記載の皮膚外用剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006332548A JP2008120777A (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | 皮膚外用剤 |
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JP2008120777A true JP2008120777A (ja) | 2008-05-29 |
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US20110217391A1 (en) * | 2010-03-03 | 2011-09-08 | Fujifilm Corporation | Matrix metalloprotease (mmp) production inhibitor |
-
2006
- 2006-11-13 JP JP2006332548A patent/JP2008120777A/ja active Pending
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JP2011178747A (ja) * | 2010-03-03 | 2011-09-15 | Fujifilm Corp | マトリックスメタロプロテアーゼ(mmp)産生阻害剤 |
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