JP2008120664A - セメント混和剤用ポリカルボン酸系共重合体、セメント混和剤及びセメント組成物 - Google Patents

セメント混和剤用ポリカルボン酸系共重合体、セメント混和剤及びセメント組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】セメント組成物の流動性を充分に良好なものとしたうえで、作業性・施工性が高められ、経済的に有利なセメント組成物、セメント混和剤及びセメント混和剤用ポリカルボン酸系共重合体を提供する。
【解決手段】不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位(A)と不飽和モノカルボン酸系単量体単位(B)とを必須とするセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体であって、上記セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体は、固形分40質量%でpH7.0の水溶液としたときの20℃での粘度が100mPa・sを超え、300mPa・s未満であるセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアルキレングリコールエーテル側鎖を有するポリカルボン酸系共重合体、並びに、該共重合体を含むセメント混和剤及びセメント組成物に関する。より詳しくは、流動性が良好であるうえに、取り扱いやすいセメント組成物を提供することができるポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体、並びに、該共重合体を含むセメント混和剤及びセメント組成物に関する。
セメントに水を添加したセメントペーストや、これに細骨材である砂を混合したモルタル、更に粗骨材である小石を混合したコンクリートは、各種構造材等に大量に使用されている。したがって昨今の当業界では、モルタルやコンクリートの流動性、作業性、及び、耐久性と強度の向上を経済的に有利に達成することが強く求められており、これを達成するには単位水量の低減等が重要な課題になっている。しかしながら、モルタルやコンクリートは、セメントと水との水和反応が進行して硬化するため、スランプロス、すなわち水の添加後に流動性が低下する現象が避けられないのが一般的である。このようなセメントの分散性を確保すべく、種々のセメント分散剤が開発されている。
各種セメント分散剤のうち、特にポリカルボン酸系のセメント分散剤は、ナフタレン系等他のセメント分散剤に比べて高い分散性能を発揮する点で有利であり、このようなセメント分散剤として、特定のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、特定の(メタ)アクリル酸系単量体及びこれらの単量体と共重合可能な単量体を特定の比率を用いて導かれる共重合体及び/又は該共重合体を更にアルカリ性物質で中和して得られた共重合体の塩を主成分とするセメント分散剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体を用いるために経済的に不利となる場合があり、またセメント組成物の作業性が充分でない場合があり、改良の余地があった。
また、2種類の特定のポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びカルボン酸系単量体を特定の比率を用いて導かれる共重合体及び/又は該共重合体を更にアルカリ性物質で中和して得られた共重合体の塩を主成分とするセメント分散剤が開示されており、具体的にはアルキレンオキサイドの平均付加モル数が4モルであるものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。コンクリート組成物の作業性はある程度改善されるものの、所望の流動性を有するコンクリートを得るためにはセメント混和剤が大量に必要となり、経済的に不利になる場合があった。
更に、3種以上のポリカルボン酸系重合体を含んでなるセメント混和剤であって、該3種
以上のポリカルボン酸系重合体は、平均付加モル数が特定されたアルキレンオキサイド鎖を有するものが開示されており、具体的には側鎖アルキレンオキサイド平均付加モル数が4モルの(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を、側鎖アルキレンオキサイド平均付加モル数が4モルより多い(メタ)アクリル酸エステル系共重合体と混合して使用する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、セメント組成物の作業性が充分でない場合があり、更なる改良の余地があった。
不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構成単位と不飽和カルボン酸系単量体由来の構成単位とを有する共重合体、不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体、及び、アルケニル基を有さない非重合性の(ポリ)アルキレングリコールを特定の比率で含むセメント分散剤が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構成単位と、不飽和モノカルボン酸系単量体由来の構成単位とを必須の構成単位として含み、前記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体が、特定のアルケニル基及びオキシアルキレン基を有する化合物であるセメント混和剤用共重合体を必須とするセメント混和剤が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
更に、特定のアルケニルエーテル系単量体由来の構成単位と無水マレイン酸系単量体由来の構成単位を有する共重合体を含むセメント分散剤が開示されている(例えば、特許文献6、特許文献7参照)。
しかしながら、これらのポリカルボン酸系セメント分散剤も、セメント組成物の流動性が充分に良好なものとはなっておらず、作業性、施工性を高めるための工夫の余地があるものであった。
特開昭58−074552号公報(第1−2頁) 特開平9−286645号公報(第1−2、9頁) 特開2004−043280号公報(第1−2、33−39頁) 特開2003−171156号公報(第1−2頁) 特開2001−220417号公報(第1−2頁) 特開昭63−285140号公報(第1−2頁) 特開2005−132955号公報(第1−2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、セメント組成物の流動性を充分に良好なものとしたうえで、作業性・施工性が高められ、経済的に有利なセメント組成物、セメント混和剤及びセメント混和剤用ポリカルボン酸系共重合体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位(A)と不飽和モノカルボン酸系単量体単位(B)とを必須とするセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体が、上記セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を、固形分40質量%でpH7.0の水溶液としたときの20℃での粘度が100mPa・sを超え、300mPa・s未満であるものとすると、流動性を充分に良好なものとしたうえで、作業性・施工性を高め、硬化物の耐久性や強度がより向上されたセメント組成物を得ることができることを見いだした。なお、側鎖の結合の違いと酸種との組合せは多種あり、一概に共重合体水溶液の粘度が低いからといって、セメント組成物の流動性が良いとは限らない。すなわち、側鎖であるポリアルキレングリコールがエーテル結合である場合に限り、セメント組成物の流動性がよくなるのである。また、上記セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を、オキシアルキレン基の平均付加モル数が2〜200であるポリアルキレンオキシド鎖を有するものに特定すると、よりセメント組成物の流動性、作業性等に有利な効果を発揮することを見いだした。更に、上記セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体は、その共重合体の質量を100質量%とすると、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位(A)が70〜97質量%であり、不飽和モノカルボン酸系単量体単位(B)が3〜30質量%であるものとすると、更に本発明の効果を充分に発揮することができることを見いだし、そして、上述のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を含むセメント混和剤が、セメント組成物に好適に使用することができることを見いだし、本発明を完成するに到ったものである。
すなわち本発明は、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位(A)と不飽和モノカルボン酸系単量体単位(B)とを必須とするセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体であって、上記セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体は、固形分40質量%でpH7.0の水溶液としたときの20℃での粘度が100mPa・sを超え、300mPa・s未満であるセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体である。
また、本発明は、上記セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を含むセメント混和剤でもある。
また、本発明は、セメント及び上記セメント混和剤を必須とするセメント組成物でもある。
以下に、本発明を詳述する。
本発明のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体は、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位(A)と不飽和モノカルボン酸系単量体単位(B)とを必須とするものであり、固形分40質量%でpH7.0の水溶液としたときの20℃での粘度が100mPa・sを超え、300mPa・s未満である。
本発明の共重合体の粘度をこの範囲内とすることにより、セメントと混合した際に、セメント組成物の流動性を充分に向上することができる。また本発明の共重合体は、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位を必須として構成されるものであるため、経済的にも有利となる。
この結果、セメント組成物の作業性・施工性を高められたセメント組成物を経済的に有利に得ることができる。
上記粘度の下限値は、120mPa・sがより好ましく、150mPa・sが更に好ましい。上記粘度の上限値は、290mPa・sがより好ましく、250mPa・sが更に好ましく、220mPa・sが特に好ましく、200mPa・sが最も好ましい。
固形分40質量%でpH7.0の水溶液としたときの20℃での粘度は、次のように測定することが本願発明において好適である。すなわち、固形分40質量%でpH7.0の水溶液としたときの20℃での粘度の測定において、JIS K7117−1:1999に規定されるB形粘度計を用いることが好ましい。またB形粘度計のスピンドル番号をNo.2とし、スピンドル回転数を60rpmとして測定することが好ましい。なお、後述するB8L型粘度計等のB型粘度計は、JIS K7117−1:1999に規定されるB形の粘度計である。固形分測定方法や粘度測定方法について、更に詳細に説明すると、以下のようになる。
上記粘度を測定するとき、共重合体の水溶液のpHを7.0に中和する方法は、本発明においては、ナトリウムやカリウム等の一価金属を含む化合物、マグネシウムやカルシウム等の二価金属を含む化合物、アンモニア、アミン等の塩基を用いて中和する方法が好ましい。中でも、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムがより好ましく、水酸化ナトリウムが更に好ましい。前記塩基は固形あるいは100%純品を用いてもよいが、好ましくは濃度30質量%や48質量%等の水溶液を用いる。
また、固形分を40質量%に調整する方法は、本発明においては、以下の固形分測定方法を用いて調整する方法が好ましい;
直径54mm、高さ15mmのアルミ容器の空質量と、この容器に共重合体を約1.0g加えた質量を、下4ケタ表示の精密天秤(例えば、METTLER TOLEDO社製 型式AG204)で精秤し、約1.5gのイオン交換水を加え、均一になるよう混ぜ合わせる。
固形分の正確さをきすため、一サンプル当たりn数を3以上とする。
その後、この乾燥前の共重合体(溶媒を含んだもの)入りアルミ容器を、以下の条件下で乾燥させる。
乾燥温度:130℃
ガス吹き込み量:200ml/min
乾燥時間:70分
例えば、上記条件で乾燥できるものとしては、機種名:ADVANTEC ELECTRIC DRYING OVEN FS−62D等の乾燥機が挙げられる。
乾燥機から取り出したアルミ容器は、このアルミ容器が収容できる大きさのシリカゲル乾燥剤入りデシケーターの内に入れ、アルミ容器が室温まで冷えるまで入れておく。
冷えたアルミ容器を再度、この状態のままで下4ケタ表示の精密天秤(例えば、METTLER TOLEDO社製 型式AG204)で精秤し、以下の式より固形分を計算する。
式:[{乾燥後の(アルミ容器+共重合体)の精秤量−アルミ容器質量}/(乾燥前の共重合体精秤量)]×100(質量%)
なお、乾燥前の共重合体精秤量とは、溶媒分を含んだ共重合体を精秤した質量をいう。
粘度測定方法としては、例えば、JIS K 7117−1:1999をもとに改良した以下の方法が好ましい;
内径45mm、高さ85mmの100mlビーカー(例えば、TOP製 CAT.NO.502)に固形分40質量%でpH7.0に調整した共重合体水溶液110mlを入れ、アルミホイルで蓋をして水分を逃さないようにして、水槽(例えば、EYELA製ユニクールバスNCB−2200)で20℃に調温する。
3時間後にこの水槽中にある、ビーカーの蓋を取って、アルコール棒温度計(0〜50℃)をビーカーに入れて泡が立たないようにゆっくり5回かき混ぜ、水溶液が20℃になっていることを確認する。
循環型調温器EYELA製ユニクールCA−1110に内径80mm、内高100mmで容器外側に水を循環させることのできる2重構造の金属製容器を接続し、20℃の調温ができる様にしてセットする。
ビーカーをこの金属製容器に入れて、ビーカー中の水溶液と同じ高さになるように20℃の水を入れて、水溶液温度を20℃に保ちながら粘度測定を行う。
測定機器は、B8L型粘度計(JIS K 7117−1:1999に規定するB形粘度計)を用い(例えば、東京計器製)、付属のガード、ローターはNo.2を取り付け、回転数は60rpmとする。
共重合体水溶液体積を同一にし、かつローターがビーカーの中央にセットされれば、容器底面や側面から受ける影響は全てのサンプルで同様となる。
基本的な取り扱いは、東京計器社B型粘度計取扱説明書のp.11(7)測定操作とJIS K7117−1:1999の6.手順を参考にすればよい。測定開始から2分後の数値を正確に読み、この読み値に乗数をかけた数値が粘度(mPa・s)である(このとき、使用したローターと回転数から、乗数は「5」である;「取扱説明書B型粘度計」、株式会社東京計器、p.37のB8L型換算乗数表を参照)。
本発明のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が2〜200であるポリアルキレンオキシド鎖を有するものであることが好ましい。
上記平均付加モル数が2未満であると、得られる共重合体の親水性が低下して分散性能が低下するおそれがあり、200を超えると、共重合反応性が低下するおそれがある。
上限は、100がより好ましく、75が更に好ましい。下限は、10がより好ましく、25が更に好ましい。
上記セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体においては、単量体単位(A)の占める割合が全単量体単位中の70質量%以上であることが好ましい。上記単量体単位(A)の割合が70質量%未満では、共重合体中に存在する単量体単位(A)のオキシアルキレン基の割合が少なすぎ、また、上記単量体単位(B)の占める割合が全単量体単位中の3質量%以上であることが好ましい。上記単量体単位(B)の割合が3質量%未満では、共重合体中に存在する単量体単位(B)のカルボキシル基の割合が少なすぎ、いずれの場合も充分な分散性を発揮しないおそれがある。
すなわち、本発明のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体において、上記セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体は、その共重合体の質量を100質量%とすると、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位(A)が70〜97質量%であり、不飽和モノカルボン酸系単量体単位(B)が3〜30質量%であることが好ましい。
なお、単量体単位(A)の占める割合としては、75〜96質量%がより好ましく、80〜95質量%が更に好ましい。一方、単量体単位(B)の占める割合としては、4〜25質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましい。
共重合体における単量体単位(A)と単量体単位(B)の合計の比率(質量%)としては、共重合体全体の70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。
本発明における共重合体は、例えば、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位(A)を与える単量体(以下、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)ともいう。)と、不飽和モノカルボン酸系単量体単位(B)を与える単量体(以下、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)ともいう。)とを必須成分として含む単量体成分を共重合して製造することができるが、これに限定されない。また、本発明における共重合体は、上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)の代わりに、アルキレンオキシドを付加する前の単量体、すなわち3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−2−ブテン−1−オール等の不飽和アルコールを用い、これを重合開始剤の存在下で上記不飽和モノカルボン酸系単量体(b)と共重合させた後、アルキレンオキシドを付加する方法によっても得ることができる。尚、単量体成分を共重合する際には、必要に応じ、上記単量体と共重合可能なその他の単量体を更に共重合させてもよい。
本発明において、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
以下、本発明のセメント混和剤の原料である、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)及び不飽和モノカルボン酸系単量体(b)、さらには必要であれば混合されてもよい第3の不飽和単量体(c)について詳しく説明する。
本発明による不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、下記式(1)で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 2008120664
すなわち、本発明における不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)は、アルケニル基とポリアルキレングリコール鎖とを有するものであることが好ましく、アルケニル基を有する不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物が好適である。上記単量体(a)としては、アルケニル基を有する不飽和アルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する化合物であればよく、炭素数が2〜5、好ましくは炭素数が4〜5のアルケニル基を有するとともに、炭素数が2〜18のオキシアルキレン基の平均付加モル数が2〜200であることが好ましい。具体的には、ビニルアルコールアルキレンオキシド付加物、(メタ)アリルアルコールアルキレンオキシド付加物、3−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、イソプレノール(3−メチル−3−ブテン−1−オール)アルキレンオキシド付加物、3−メチル−2−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、2−メチル−3−ブテン−2−オールアルキレンオキシド付加物、2−メチル−2−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物、2−メチル−3−ブテン−1−オールアルキレンオキシド付加物が好適であり、より好ましくは3−メチル−3−ブテン−1−オールにアルキレンオキシドを付加させたイソプレノール(3−メチル−3−ブテン−1−オール)アルキレンオキシド付加物、特に好ましくは3−メチル−3−ブテン−1−オール1モルにアルキレンオキシドを平均2〜200モル付加させたイソプレノール(3−メチル−3−ブテン−1−オール)アルキレンオキシド付加物である。
上記式(1)において、R、R及びRは、水素原子又はメチル基を表わす。この際、R、R及びRは、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表わす。この際、Rの炭素数が20を超えると、本発明のセメント混和剤の疎水性が強くなりすぎるために、良好な分散性を得ることができなくなるからである。炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロへキシル等の、炭素数1〜20の脂肪族又は脂環式アルキル基;フェニル、ナフチル等の、炭素数6〜20のアリール基;o−,m−若しくはp−トリル、2,3−若しくは2,4−キシリル、メシチル等の、アルキル基で置換されたアリール基;ビフェニリル等の、(アルキル)フェニル基で置換されたアリール基;ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、トリチル等の、アリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。これらのうち、Rは、好ましくは、炭素数10以下、更に好ましくは、炭素数3以下、特に好ましくは、炭素数2以下の飽和アルキル基が好ましい。すなわち、Rは、水素原子、メチル基、エチル基が特に好ましく、水素原子及びメチル基が最も好ましい。また、優れた材料分離防止性能の発現や、セメント組成物中に連行される空気量を適度なものとするためには、炭素数5〜10の炭化水素基が好ましい。この際、炭化水素基は、飽和アルキル基であることが好ましい。また、これらのアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。
上記式(1)において、Xは、炭素数1〜5の2価のアルキレン基を表わす、又はRC=CR−で表わされる基がビニル基(CH=CH−基)である(すなわち、R、R及びRが水素原子である)場合には、Xは結合手である、すなわち、Xに結合している炭素原子、酸素原子同士が直接結合している。炭素数1〜5の2価のアルキレン基の例としては、メチレン(−CH−)基、エチレン(−CHCH−)基、トリメチレン(−CHCHCH−)基、テトラメチレン(−CHCHCHCH−)基、プロピレン[−CH(CH)CH−]基等が挙げられる。これらのうち、Xは、メチレン基、エチレン基が好ましく、特にエチレン基であることが好ましい。
また、上記式(1)において、Rは、炭素数2〜18のアルキレン基を表わす。この際、アルキレン基は、直鎖状であってもあるいは分岐鎖であってもよい。なお、式(1)中、ROで表されるオキシアルキレン基は、それぞれ、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。このような炭素数2〜18のアルキレン基としては、エチレン(−CHCH−)基、トリメチレン(−CHCHCH−)基、テトラメチレン(−CHCHCHCH−)基、ペンタメチレン基、へキサメチレン基等の、直鎖のアルキレン基;エチリデン[−CH(CH)−]基、プロピレン[−CH(CH)CH−]基、プロピリデン[−CH(CHCH)−]基、イソプロピリデン[−C(CH−]基等の、分岐鎖のアルキレン基等が挙げられる。すなわち、このような−(RO)−で表されるオキシアルキレン基は、炭素数2〜18のアルキレンオキシド付加物であるが、このようなアルキレンオキシド付加物の構造は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドの1種又は2種以上により形成される構造がある。これらのうち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物であることが好ましく、エチレンオキシドが主体であるものが特に好ましい。−(RO)−で表されるオキシアルキレン基がエチレンオキシド主体である際の、全オキシアルキレン基中に占めるエチレンオキシドの割合は、特に制限されないが、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは75〜100モル%である。なお、ROで表されるオキシアルキレン基は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよく、また、−(RO)−で表されるオキシアルキレン基の付加は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
上記式(1)において、mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、2〜200の数であることが好ましい。mが200を超えると、単量体の重合性が低下するおそれがある。mの好ましい範囲としては、2以上であり、また、−(RO)−の中に占めるオキシエチレン基の平均付加モル数としては、2以上であることが好ましい。mが2未満であったり、オキシエチレン基の平均付加モル数が2未満であったりすると、セメント粒子等を分散させるために充分な親水性、立体障害が得られずに、優れた流動性を得ることができない場合がある。優れた流動性を得るには、mの範囲としては、3以上がより好ましく、また、150以下がより好ましい。更に好ましくは、5以上、更に好ましくは、10以上、更に好ましくは、20以上、特に好ましくは、25以上である。また、より好ましくは、100以下、特に好ましくは、75以下である。また、オキシエチレン基の平均付加モル数としては、好ましくは、3以上が好ましく、また、150以下が好ましい。より好ましくは、10以上であり、更に好ましくは、20以上、特に好ましくは、25以上である。また、より好ましくは、100以下であり、特に好ましくは75以下である。なお、平均付加モル数とは、単量体1モル中において付加しているオキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。粘性の低いコンクリートを得るためには、mの範囲としては5以上が好ましく、また、200以下が好ましい。より好ましくは10以上であり,また、100以下である。特に好ましくは20以上であり、また、75以下であり、最も好ましくは40以上であり、また、60以下である。なお、上記ポリオキシアルキレン基を有する式(1)の単量体(a)として、オキシアルキレン基の平均付加モル数mの異なる2種類以上の単量体を組み合わせて用いることができる。好適な組合せとして、例えば、mの差が10以下の組合せ(好ましくは5以下)、mの差が10以上(好ましくはmの差が20以上)の2種類の単量体(a)の組合せ、あるいは各々の平均付加モル数mの差が10以上(好ましくはmの差が20以上)の3種類以上の単量体(a)の組合せ等が挙げられる。更に、組み合わせるmの範囲としては、平均付加モル数mが40〜200の範囲の単量体(a)と、2〜40の範囲の単量体(a)との組合せ(但しmの差は10以上、好ましくは20以上);平均付加モル数mが20〜200の範囲の単量体(a)と、2〜20の範囲の単量体(a)との組合せ(但しmの差は10以上、好ましくは20以上)等が可能である。
従って、本発明で使用できる不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)の例としては、上述したものであればよいが、例えば、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(1,1−ジメチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテルが好適に使用できる。
本発明において、上記単量体(a)は、1種が単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。単量体(a)を2種以上の混合物の形態で使用する場合の各単量体の組成比は、製造されるセメント混和剤の所望の特性に応じて適宜選択でき、特に制限されるものではない。例えば、式(1)中のmの値が異なる単量体の組合せが好適に使用できる。この際、各単量体の組成比は、特に制限されるものではないが、例えば、2種の混合物の形態で使用する場合には、各単量体の組成比(質量比)は、好ましくは97/3〜30/70、より好ましくは80/20〜65/35である。
本発明で使用される不飽和モノカルボン酸系単量体(b)は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2008120664
上記式(2)において、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表わす。また、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基(有機アンモニウム基、すなわちプロトン化された有機アミン)を表わす。Mにおける金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム等の3価の金属原子が好適である。また、有機アミン基としては、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基が好適である。更に、アンモニウム基であってもよい。
上記不飽和モノカルボン酸系単量体(b)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等;これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩が好適である。これらの中でも、セメント分散性能の向上の面から、(メタ)アクリル酸系単量体、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸;これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が、単量体(b)として好適に使用される。
本発明において、上記単量体(b)は、1種が単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。単量体(b)を2種以上の混合物の形態で使用する場合の各単量体の組成比は、製造されるセメント混和剤の所望の特性に応じて適宜選択でき、特に制限されるものではない。例えば、アクリル酸系単量体とメタクリル酸系単量体の組合せが好適に使用できる。この際、各単量体の組成比は、特に制限されるものではないが、例えば、2種の混合物の形態で使用する場合には、各単量体の組成比(質量比)は、99/1〜1/99、より好ましくは95/5〜5/95、さらにより好ましくは80/20〜20/80である。このように、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)は、(メタ)アクリル酸系単量体を含むことが好ましく、特にアクリル酸系単量体を含むことが好ましい。この際、アクリル酸系単量体の割合は、単量体(b)全体の質量の50質量%以上とすることが好ましい。
本発明の共重合体は、上記単量体(a)及び単量体(b)を必須の単量体成分として含む単量体成分を共重合して製造することができるが、さらに第3の不飽和単量体(c)(以下、単に「単量体(c)」とも称する)を含んでもよい。この際使用できる単量体(c)としては、特に制限されないが、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸等;これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩等、又はこれらの無水物が好適である。上記単量体(c)としては、これらの他にも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類;並びにこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド等の、不飽和アミド類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の、不飽和アミノ化合物類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の、ビニルエステル類;スチレン等の、芳香族ビニル類等が挙げられる。上記単量体(c)は、1種が単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。特に、スランプ保持性を向上させる為には、ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系単量体を共重合成分として用いることが好ましい。
上記共重合体における単量体(c)に由来する単量体単位の割合は、本発明の効果を損なわない範囲内であればよいが、共重合体全体の0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましい。
本発明のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を得るには、重合開始剤を用いて上記単量体を含んでなる単量体成分を共重合させればよい。その場合、共重合体を構成する単量体単位が上述したようになるように、単量体成分に含まれる単量体の種類や使用量を適宜設定することになる。
上記共重合は、溶液重合や塊状重合等の公知の方法で行うことができる。溶液重合は回分式でも連続式でも行うことができ、その際に使用される溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族又は脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物が好適である。これらの中でも、これらの原料単量体及び得られる共重合体の溶解性から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましく、その中でも水を溶媒に用いるのが、脱溶剤工程を省略できる点で更に好ましい。
上記水溶液重合を行う場合は、ラジカル重合開始剤として、水溶性の重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2′−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−カルバモイルアゾイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物等の水溶性アゾ系開始剤等が使用され、この際、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤を併用することもできる。これらのラジカル重合開始剤や促進剤はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、過酸化水素(H)とL−アスコルビン酸(塩)等の促進剤との組合せが好ましい。
過酸化水素(H)の使用モル数は、単量体(a)、(b)、(c)の合計モル数に対して、1.0〜10.0モル%であればよいが、好ましくは2.0〜4.0モル%、より好ましくは2.0〜3.0モル%、特に好ましくは2.0〜2.5モル%である。
促進剤(L−アスコルビン酸)の使用モル数は、Hに対して0.1〜10倍であればよいが、好ましくは0.1〜0.4倍、より好ましくは0.15〜0.35倍、最も好ましくは、0.2〜0.3倍である。
本発明の共重合体を製造する際の反応温度は30〜95℃であればよいが、上記の開始剤を使用する場合、反応温度は50〜85℃が好ましく、50〜75℃がより好ましく、55〜65℃が最適である。
また、低級アルコール、芳香族若しくは脂肪族炭化水素、エステル化合物又はケトン化合物を溶媒とする溶液重合を行う場合、又は、塊状重合を行う場合には、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシド等のパーオキシド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等がラジカル重合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。更に、水−低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々のラジカル重合開始剤又はラジカル重合開始剤と促進剤の組合せの中から適宜選択して用いることができる。
上記共重合の際の全単量体成分の使用量は、他の原料を含む全原料に対して30質量%以上であることが好ましい。全単量体成分の使用量がこの範囲より低すぎると、重合率の低下や生産性低下をもたらし好ましくない。より好ましくは30〜70質量%であり、更に好ましくは30〜60質量%であり、特に好ましくは40〜60質量%であり、最も好ましくは40〜50質量%である。
各単量体の反応容器への投入方法としては、全量を反応容器に初期に一括投入する方法、全量を反応容器に分割若しくは連続投入する方法、一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割若しくは連続投入する方法のいずれでもよい。尚、ラジカル重合開始剤は反応容器に初めから仕込んでもよく、反応容器へ滴下してもよく、また目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
また、得られる本発明のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体の分子量調節のために、連鎖移動剤を併用することもできる。連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロピルアルコール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等)の低級酸化物及びその塩;等の公知の連鎖移動剤を用いることができる。更に、共重合体の分子量調整のためには、単量体(c)として、(メタ)アリルスルホン酸(塩)類等の連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
連鎖移動剤のモル数は、単量体(a)、(b)、(c)の合計モル数に対して、0.1〜20モル%であればよいが、好ましくは1.0〜4.0モル%であり、より好ましくは1.5〜3.0モル%であり、最も好ましくは1.8〜2.5モル%である。
例えば、これにより、重量平均分子量が20000〜43000に調整でき、かつ固形分40質量%、20℃粘度が100mPa・sを超え、300mPa・s未満を達することができる。
上記共重合において、所定の分子量の共重合体を再現性よく得るには、共重合反応を安定に進行させることが必要であることから、溶液重合する場合には、使用する溶媒の25℃における溶存酸素濃度を5ppm以下とすることが好ましい。好ましくは0.01〜4ppm、更に好ましくは0.01〜2ppm、最も好ましくは0.01〜1ppmである。尚、溶媒に単量体を添加後、窒素置換等を行う場合には、単量体をも含んだ系の溶存酸素濃度を上記範囲内とすることが好ましく、上記溶媒の溶存酸素濃度の調整は、重合反応槽で行ってもよく、予め溶存酸素量を調整したものを用いてもよい。
上記共重合により得られた本発明のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体は、そのままでも本発明のセメント混和剤の必須成分として用いられるが、取り扱い性の観点から、pHを5以上に調整しておくことが好ましい。しかしながら、重合をpH5以上で行った場合、重合率の低下が起こると同時に、共重合性が悪くなり、セメントに対する分散性能が低下するため、pH5未満で共重合反応を行い、共重合後にpHを5以上に調整することが好ましい。pHの調整は、一価金属及び二価金属の水酸化物及び炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミン等のアルカリ性物質の1種又は2種以上を用いて行うことができる。また、反応終了後、必要ならば濃度調整を行うこともできる。
本発明のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)によるポリエチレングリコール換算で1000〜500000であることが好ましい。このような重量平均分子量の範囲を選ぶことで、より高い分散性能を発揮するセメント混和剤が得られる。上限としては、300000がより好ましく、150000が更に好ましく、60000が更により好ましく、50000が特に好ましい。下限としては、3000がより好ましく、5000が更に好ましく、8000が更により好ましく、10000が特に好ましい。
例えば、分子量の好適範囲は、より好ましくは、3000〜300000であり、更に好ましくは、5000〜150000であり、更により好ましくは、8000〜60000であり、特に好ましくは、10000〜50000である。
本発明は、上述のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を含むセメント混和剤でもある。
また、本発明のセメント混和剤においては、2種類以上の本発明のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を組み合わせて用いることができ、3種類以上、4種類以上の共重合体の組合せも好適である。2種類以上の共重合体の組合せとしては、例えば、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)由来の単量体単位(A)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の単量体単位(B)との割合(質量比又はモル比)の異なる2種類以上の共重合体の組合せ、各共重合体において上記一般式(1)で示される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)のオキシアルキレン基の平均付加モル数mの異なる2種類以上の共重合体の組合せ等が可能である。
本発明のセメント混和剤は、上記一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体を共重合体に対して1〜100質量%含有するものであってもよい。
尚、上記セメント混和剤中に含まれる不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体としては、共重合体の重合に用いた不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)、すなわち、共重合体の構成単位(A)が導かれる不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。更に、2種類以上の不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)を用いてもよい。
本発明のセメント混和剤は、アルケニル基を有しない非重合性のポリアルキレングリコールを含有するものであってもよい。上記アルケニル基を有しない非重合性のポリアルキレングリコールを共重合体に対して1〜50質量%含有することが好ましい。
本発明のセメント混和剤に配合される上記アルケニル基を有しない非重合性の(ポリ)アルキレングリコールは、上記共重合体の製造後に配合してもよいが、共重合体を製造する際に、上記不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)と上記不飽和モノカルボン酸系単量体(b)とを必須成分として含む単量体成分以外に、アルケニル基を有しない非重合性の(ポリ)アルキレングリコールをも含む組成物を原料として共重合反応を行うことによって、共重合体とアルケニル基を有しない非重合性の(ポリ)アルキレングリコールとを含有するセメント混和剤を得ることができる。
更に、セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を製造する際に、オキシアルキレン系消泡剤を配合した組成物を原料として共重合反応を行うことによって、共重合体及びオキシアルキレン系消泡剤を含有するセメント混和剤を得ることができる。疎水性が高いオキシアルキレン系消泡剤は、共重合体と配合した場合に分離し易く貯蔵安定性が悪いという欠点があるが、上記の如く予めオキシアルキレン系消泡剤を配合した組成物を原料として共重合反応を行うことにより、貯蔵安定性の良好なセメント混和剤を得ることができる。
上記オキシアルキレン系消泡剤としては、(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等が挙げられる。これらオキシアルキレン系消泡剤は2種以上を併用してもよい。
上記オキシアルキレン系消泡剤を配合した組成物において、オキシアルキレン系消泡剤の配合比率は、共重合反応を行う単量体成分の合計量に対して0.01〜20質量%の範囲が好ましく、0.05〜10質量%の範囲がより好ましい。
本発明のセメント混和剤に配合する不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体は、セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体の製造後に配合してもよいが、共重合体を製造する際に、原料として用いた不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)が、共重合体に対して、1〜100質量%残留している時点で重合反応を停止することによって、共重合体以外に、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体を共重合体に対して1〜100質量%含有するセメント混和剤組成物を得ることができる。尚、セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体の製造後に、更に不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a)を配合してもよい。
本発明のセメント混和剤は、上記セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を含むものであるが、水溶液の形態でそのままセメント混和剤の主成分として使用してもよいし、又は、カルシウム、マグネシウム等の二価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥させたり、シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥させたりすることにより粉体化して使用してもよい。
尚、セメント混和剤をセメント組成物に添加する場合、予め本発明のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体及びその他の成分を混合したセメント混和剤を添加してもよいし、各成分を別々に添加してもよい。
本発明のセメント混和剤は、各種水硬性材料、すなわちセメントや石膏等のセメント組成物やそれ以外の水硬性材料に用いることができる。このような水硬性材料と水と本発明のセメント混和剤とを含有し、更に必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含む水硬性組成物としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスターが好適である。
上記水硬性組成物の中では、水硬性材料としてセメントを使用するセメント組成物が最も一般的であり、本発明のセメント組成物は、本発明のセメント混和剤、セメント及び水を必須成分として含んでなることになる。
本発明のセメント組成物において使用されるセメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)が好適であり、更に、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加してもよい。また、骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材が使用可能である。
上記セメント組成物においては、その1m3あたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比としては、単位水量100〜185kg/m3、使用セメント量250〜800kg/m3、水/セメント比(質量比)=0.1〜0.7とすることが好ましく、より好ましくは、単位水量120〜175kg/m、使用セメント量270〜800kg/m3、水/セメント比(質量比)=0.2〜0.65が推奨され、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能である。本発明のセメント混和剤は、高減水率領域、すなわち、水/セメント比(質量比)=0.15〜0.5(好ましくは0.15〜0.4)といった水/セメント比の低い領域においても使用可能であり、更に、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m3以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
上記セメント組成物における本発明のセメント混和剤の配合割合としては、例えば、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、固形分換算でセメント質量の0.01〜10.0質量%とすることが好ましい。このような添加量により、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。上記配合割合が0.01質量%未満では、性能的に充分とはならないおそれがあり、逆に10.0質量%を超える多量を使用しても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となるおそれがある。配合割合の好適範囲としては、より好ましくは0.02〜5.0質量%であり、更に好ましくは0.05〜3.0質量%である。
上記セメント組成物は、ポンプ圧送性にも優れ、施工時の作業性を著しく改善し、高い流動性を有していることから、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品(プレキャストコンクリート)用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり、更に、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmの範囲のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmの範囲のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効である。
本発明のセメント混和剤は、公知のセメント分散剤と併用することが可能であり、2種類以上の公知のセメント分散剤の併用も可能である。尚、公知のセメント分散剤を用いる場合、本発明のセメント混和剤と公知のセメント分散剤との配合質量比は、使用する公知のセメント分散剤の種類、配合及び試験条件等の違いにより一義的には決められないが、それぞれ固形分換算の比率として、1〜99/99〜1が好ましく、5〜95/95〜5がより好ましく、10〜90/90〜10が更に好ましい。
上記併用する公知のセメント分散剤としては、分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)や、分子中に(ポリ)オキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する重合体であるポリカルボン酸系分散剤(PC)等が好適である。
上記分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)を併用することにより、高い分散保持性を有し、かつ、セメントの銘柄やロットNo.によらず安定した分散性能を発揮するセメント混和剤となる。スルホン酸系分散剤(S)は、主にスルホン酸基によってもたらされる静電的反発によりセメントに対する分散性を発現する分散剤であって、公知の各種スルホン酸系分散剤を用いることができるが、分子中に芳香族基を有する化合物であることが好ましい。具体的には、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩系;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩系;リグニンスルホン酸塩、変成リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系;ポリスチレンスルホン酸塩系等の各種スルホン酸系分散剤が挙げられる。水/セメント比が高いコンクリートの場合にはリグニンスルホン酸塩系の分散剤が好適に用いられ、一方、より高い分散性能が要求される水/セメント比が中程度のコンクリートの場合には、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系、芳香族アミノスルホン酸塩系、ポリスチレンスルホン酸塩系等の分散剤が好適に用いられる。尚、分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)を2種類以上併用してもよい。
尚、本発明のセメント混和剤と分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)とは、セメント組成物の混練前に予め各々を溶解させた水溶液をセメントに添加してもよく、セメント組成物の混練時に各々の水溶液をセメントに添加してもよく、粉体化した各々の配合物をセメントに添加してもよく、セメント組成物の混練時に各々の粉体化物をセメントに添加してもよく、セメント組成物の混練時にいずれかの水溶液と粉体化物とをセメントに添加してもよい。
本発明のセメント混和剤中の共重合体と分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)との配合比率、すなわち(共重合体/スルホン酸系分散剤(S))(質量%)は、併用する本発明のセメント混和剤と分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)との性能バランスによって最適な比率は異なるが、1〜99/99〜1が好ましく、5〜95/95〜5がより好ましく、10〜90/90〜10が更に好ましい。
本発明のセメント混和剤と分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)とを必須成分として含むセメント混和剤と、セメントとの配合割合としては、例えば、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、セメント質量の0.01〜10.0質量%とすることが好ましい。より好ましくは0.02〜5.0質量%、更に好ましくは0.05〜3.0質量%である。
本発明においては、分子中に(ポリ)オキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する重合体であるポリカルボン酸系分散剤(PC)を併用する場合、本発明のセメント混和剤中の共重合体とは異なる重合体を併用することにより、特に高減水率領域においても初期分散性とスランプロス防止性とのバランスが優れたセメント混和剤となる。
上記ポリカルボン酸系分散剤(PC)において必須の構造である(ポリ)オキシアルキレン基としては、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基又は該オキシアルキレン基の1種又は2種以上の付加物で平均付加モル数が1以上の(ポリ)オキシアルキレン基が挙げられるが、平均付加モル数が2モル以上のポリオキシアルキレン基が好ましく、平均付加モル数が3モル以上のポリオキシアルキレン基がより好ましく、平均付加モル数が4モル以上のポリオキシアルキレン基が更に好ましい。上記オキシアルキレン基の炭素原子数としては、2〜18の範囲内が適当であるが、2〜8の範囲が好ましく、2〜4の範囲がより好ましい。また、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の中から選ばれる任意の2種類以上のアルキレンオキシド付加物については、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれでも用いることができるが、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基を必須成分として含むことが好ましく、更に50モル%以上はオキシエチレン基であることが好ましい。
尚、本発明のセメント混和剤とポリカルボン酸系分散剤(PC)とは、セメント組成物の混練前に予め各々を溶解させた水溶液をセメントに添加してもよく、セメント組成物の混練時に各々の水溶液をセメントに添加してもよく、粉体化した各々の配合物をセメントに添加してもよく、セメント組成物の混練時に各々の粉体化物をセメントに添加してもよく、セメント組成物の混練時にいずれかの水溶液と粉体化物とをセメントに添加してもよい。
本発明のセメント混和剤中の共重合体とポリカルボン酸系分散剤(PC)との配合比率、すなわち(共重合体/ポリカルボン酸系分散剤(PC))(質量%)は、併用する本発明のセメント混和剤とポリカルボン酸重合体(PC)との性能バランスによって最適な比率は異なるが、1〜99/99〜1が好ましく、5〜95/95〜5がより好ましく、10〜90/90〜10が更に好ましい。
本発明のセメント混和剤とポリカルボン酸系分散剤(PC)とを必須成分として含むセメント混和剤と、セメントとの配合割合としては、例えば、水硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用する場合には、セメント質量の0.01〜10.0質量%とすることが好ましい。より好ましくは0.02〜5.0質量%、更に好ましくは0.05〜3.0質量%である。
上記セメント組成物は、以下の(1)〜(11)に例示するような他の公知のセメント添加剤(材)を含有することができる。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類のアルキル若しくはヒドロキシアルキル化誘導体の一部又は全部の水酸基の水素原子が、炭素数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホン酸基又はそれらの塩を部分構造として有するイオン性親水性置換基で置換されてなる多糖誘導体;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1.3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状の何れでも良く、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)硬化遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸又はクエン酸、及び、これらの、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩等のオキシカルボン酸;グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース、キシロース、アピオース、リボース、異性化糖等の単糖類や、二糖、三糖等のオリゴ糖、又はデキストリン等のオリゴ糖、又はデキストラン等の多糖類、これらを含む糖蜜類等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体等。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)オキシアルキレン系以外の消泡剤:燈油、流動パラフィン等の鉱油系消泡剤;動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等の油脂系消泡剤;オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等の脂肪酸系消泡剤;グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等の脂肪酸エステル系消泡剤;オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等のアルコール系消泡剤;アクリレートポリアミン等のアミド系消泡剤;リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等のリン酸エステル系消泡剤;アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等の金属石鹸系消泡剤;ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フロオロシリコーン油等のシリコーン系消泡剤等。
(6)AE剤(Air Entraining剤;空気連行剤):樹脂石鹸、飽和若しくは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(7)その他界面活性剤:ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシ基を置換基として有しても良い、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(8)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(9)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(10)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
(11)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記セメント組成物において、セメント及び水以外の成分についての特に好適な実施形態としては、次の(1)〜(8)が挙げられる。
(1)(i)本発明のセメント混和剤、及び、(ii)オキシアルキレン系消泡剤、及び/又は、(iii)AE剤の2成分又は3成分を必須とする組合せ。尚、(ii)のオキシアルキレン系消泡剤の配合質量比としては、(i)のセメント混和剤に対して0.01〜20質量%が好ましい。尚、(iii)のAE剤の配合質量比としては、セメントに対して0.001〜2質量%が好ましい。
(2)(i)本発明のセメント混和剤、(ii)分子中に(ポリ)オキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する重合体であるポリカルボン酸系分散剤(PC)、及び、(iii)オキシアルキレン系消泡剤の3成分を必須とする組合せ。尚、(i)のセメント混和剤と(ii)のポリカルボン酸系分散剤(PC)との配合質量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。(iii)のオキシアルキレン系消泡剤の配合質量比としては、(i)のセメント混和剤と(ii)のポリカルボン酸系分散剤(PC)との合計量に対して0.01〜20質量%が好ましい。
(3)(i)本発明のセメント混和剤、及び、(ii)材料分離低減剤の2成分を必須とする組合せ。材料分離低減剤としては、非イオン性セルロースエーテル類等の各種増粘剤、部分構造として炭素数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物等が使用可能である。尚、(i)のセメント混和剤と(ii)の材料分離低減剤との配合質量比としては、10/90〜99.99/0.01が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましい。この組合せからなるセメント組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適である。
(4)(i)本発明のセメント混和剤、及び、(ii)遅延剤の2成分を必須とする組合せ。遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類;グルコース等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール類;アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能である。尚、(i)のセメント混和剤と(ii)の遅延剤との配合質量比としては、50/50〜99.9/0.1が好ましく、70/30〜99/1がより好ましい。遅延剤を配合することにより、特に高温時のスランプロス防止性能が改善される。
(5)(i)本発明のセメント混和剤、及び、(ii)促進剤の2成分を必須とする組合せ。促進剤としては、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム等の可溶性カルシウム塩類;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物類;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩類等が使用可能である。尚、(i)のセメント混和剤と(ii)の促進剤との配合質量比としては、10/90〜99.9/0.1が好ましく、20/80〜99/1がより好ましい。
(6)(i)本発明のセメント混和剤、(ii)分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)及び(iii)遅延剤の3成分を必須とする組合せ。スルホン酸系分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等が使用可能であり、遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類;グルコース等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール類;アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能である。尚、(i)のセメント混和剤と(ii)の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)との配合質量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。また、(i)のセメント混和剤と(ii)の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤(S)との合計量と、(iii)の遅延剤との配合質量比としては、40/60〜99.9/0.1が好ましく、60/40〜99/1がより好ましい。
(7)(i)本発明のセメント混和剤、(ii)リグニンスルホン酸塩及び(iii)遅延剤の3成分を必須とする組合せ。遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類;グルコース等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール類;アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能であるが、グルコン酸(塩)が好ましい。尚、(i)のセメント混和剤と(ii)のリグニンスルホン酸塩との配合質量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。また、(i)のセメント混和剤と(ii)のリグニンスルホン酸塩との合計量と、(iii)の遅延剤との配合質量比としては、40/60〜99.9/0.1が好ましく、60/40〜99/1がより好ましい。
(8)(i)本発明のセメント混和剤、(ii)リグニンスルホン酸塩及び(iii)遅延剤と、(iv)消泡剤及び/又は(v)AE剤の4成分又は5成分を必須とする組合せ。遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類、グルコース等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール類;アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能であるが、グルコン酸(塩)が好ましい。消泡剤としては、オキシアルキレン系消泡剤、シリコーン系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤等が使用可能であるが、オキシアルキレン系消泡剤が好ましい。尚、(i)のセメント混和剤と(ii)のリグニンスルホン酸塩との配合質量比としては、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。また、(i)のセメント混和剤と(ii)のリグニンスルホン酸塩との合計量と、(iii)の遅延剤との配合質量比としては、40/60〜99.9/0.1が好ましく、60/40〜99/1がより好ましい。尚、(iv)の消泡剤の配合質量比としては、(i)のセメント混和剤に対して0.01〜20質量%が好ましい。一方、(v)のAE剤の配合質量比としては、セメントに対して0.001〜2質量%が好ましい。
本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の流動性を充分に良好なものとすることで、作業性・施工性が高められ、作業性並びに施工上の障害を改善することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれだけに限定されるものではない。
〔GPC測定条件〕
機種:Waters LCM1
検出器:Waters 410示差屈折検出器
解析ソフト:Waters Millenium Ver2.18
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合液に酢酸ナトリウム三無水物115.6gを溶かし、さらに酢酸でpH6に調整した溶離液。
溶離液流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
カラム:東ソー社製 TSKgel Guard ColumnSWXL+G4000SWXL+G3000SWXL+2000SWXL
標準物質:ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470
〔固形分測定方法〕
直径54mm、高さ15mmのアルミ容器の空質量と、この容器に共重合体の水溶液を約1.0g加えた質量、下4ケタ表示の精密天秤(METTLER TOLEDO社製 型式AG204)で精秤し、約1.5gのイオン交換水を加え、均一になるよう混ぜ合わせた。
固形分の正確さをきすため、一サンプル当たりn数を3以上とした。
その後、この共重合体(溶媒を含んだもの)入りアルミ容器を、以下の条件下で乾燥させた。
機種名:ADVANTEC ELECTRIC DRYING OVEN FS−62D
乾燥温度:130℃
ガス吹き込み量:200ml/min
乾燥時間:70分
乾燥機から取り出したアルミ容器は、このアルミ容器が収容できる大きさのシリカゲル乾燥剤入りデシケーターの内に入れ、アルミ容器が室温まで冷えるまで入れておいた。
冷えたアルミ容器を再度、この状態のままで下4ケタ表示の精密天秤(METTLER TOLEDO社製 型式AG204)で精秤し、以下の式より固形分を計算した。
式:[{乾燥後の(アルミ容器+共重合体)の精秤量−アルミ容器質量}/(乾燥前の共重合体精秤量)]×100(質量%)
〔粘度測定方法〕
内径45mm、高さ85mmの100mlビーカー(TOP製 CAT.NO.502)に固形分40質量%でpH7.0に調整した共重合体水溶液110mlを入れ、アルミホイルで蓋をして水分を逃さないようにして、水槽(EYELA製ユニクールバスNCB−2200)で20℃に調温した。
3時間後にこの水槽中にある、ビーカーの蓋を取って、アルコール棒温度計(0〜50℃)をビーカーに入れて泡が立たないようにゆっくり5回かき混ぜ、水溶液が20℃になっていることを確認した。
循環型調温器EYELA製ユニクールCA−1110に内径80mm、内高100mmで容器外側に水を循環させることのできる2重構造の金属製容器を接続し、20℃の調温ができる様にしてセットした。
ビーカーをこの金属製容器に入れて、ビーカー中の水溶液と同じ高さになるように20℃の水を入れて、水溶液温度を20℃に保ちながら粘度測定を行った。
測定機器は、東京計器製 B8L型粘度計(JIS K 7117−1:1999に規定
するB形粘度計)で付属のガード、ローターはNo.2を取り付け、回転数は60rpmとした。
共重合体水溶液体積を同一にし、かつローターがビーカーの中央にセットされれば、容器底面や側面から受ける影響は全てサンプルとも同じとなる。
基本的な取り扱いは、東京計器社B型粘度計取扱説明書のp.11(7)測定操作とJIS K7117−1:1999の6.手順を参考に測定開始から2分後の数値を正確に読み、この読み値に乗数をかけた数値が粘度(mPa・s)である(このとき、使用したローターと回転数から、乗数は「5」である;「取扱説明書B型粘度計」、株式会社東京計器、p.37のB8L型換算乗数表参照)。
実施例1(共重合体(1))
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水を43.31質量部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキシドを平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(以下IPN50と称す)を49.37質量部仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、そこへ過酸化水素2%水溶液3.00質量部を添加し、アクリル酸2.89質量部及びイオン交換水0.72質量部からなる水溶液(B1)を1.5時間かけて滴下し、単量体(B1)の滴下終了に引き続きアクリル酸1.36質量部及びイオン交換水0.34質量部からなる水溶液(B2)を1.5時間かけて滴下した。
単量体(B1)を滴下し始めると同時に3−メルカプトプロピオン酸0.16質量部、L−アスコルビン酸0.08質量部及びイオン交換水15.91質量部からなる水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持した後、冷却して、重合反応を終了した。
その後、重合反応温度以下の温度(30℃)で48質量%水酸化ナトリウム水溶液とイオン交換水とを用いて反応溶液をpH7.0、固形分が40質量%になるよう調整し、重量平均分子量が42200の共重合体(1)の水溶液を得た。
実施例2(共重合体(2))
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水を14.66質量部、IPN50を49.37質量部仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、そこへ過酸化水素2%水溶液2.39質量部を添加し、アクリル酸3.15質量部及びイオン交換水0.79質量部からなる水溶液を3.0時間かけて滴下した。
この滴下と同時に、3−メルカプトプロピオン酸0.13質量部、L−アスコルビン酸0.06質量部及びイオン交換水15.91質量部からなる水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持した後、冷却して、重合反応を終了した。
その後、重合反応温度以下の温度(30℃)で48質量%水酸化ナトリウム水溶液とイオン交換水とを用いて反応溶液をpH7.0、固形分が40質量%になるよう調整し、重量平均分子量が37700の共重合体(2)の水溶液を得た。
実施例3(共重合体(3))
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水を42.43質量部、IPN50を49.37質量部仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で、60℃に昇温した後、そこへ過酸化水素2%水溶液4.12質量部を添加し、アクリル酸3.11質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.90質量部及びイオン交換水2.26質量部からなる水溶液を3.0時間かけて滴下した。
この滴下と同時に、3−メルカプトプロピオン酸0.33質量部、L−アスコルビン酸0.11質量部及びイオン交換水15.91質量部からなる水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持した後、冷却して、重合反応を終了した。
その後、重合反応温度以下の温度(30℃)で48質量%水酸化ナトリウム水溶液とイオン交換水とを用いて反応溶液をpH7.0、固形分が40質量%になるよう調整し、重量平均分子量が31900の共重合体(3)の水溶液を得た。
実施例4(共重合体(4))
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水を41.14質量部、IPN50を49.37質量部仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、そこへ過酸化水素2%水溶液3.86質量部を添加し、アクリル酸5.90質量部及びイオン交換水1.48質量部からなる水溶液を3.0時間かけて滴下した。この滴下と同時に、3−メルカプトプロピオン酸0.26質量部、L−アスコルビン酸0.10質量部及びイオン交換水15.91質量部からなる水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持した後、冷却して、重合反応を終了した。
その後、重合反応温度以下の温度(30℃)で48質量%水酸化ナトリウム水溶液とイオン交換水とを用いて反応溶液をpH7.0、固形分が40質量%になるよう調整し、重量平均分子量が36300の共重合体(4)の水溶液を得た。
実施例5(共重合体(5))
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水を42.52質量部、IPN50を49.37質量部仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、そこへ過酸化水素2%水溶液2.35質量部を添加し、アクリル酸2.76質量部及びイオン交換水0.69質量部からなる水溶液を3.0時間かけて滴下した。この滴下と同時に、3−メルカプトプロピオン酸0.14質量部、L−アスコルビン酸0.05質量部及びイオン交換水15.91質量部からなる水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持した後、冷却して、重合反応を終了した。
その後、重合反応温度以下の温度(30℃)で48質量%水酸化ナトリウム水溶液とイオン交換水とを用いて反応溶液をpH7.0、固形分が40質量%になるよう調整し、重量平均分子量が29500の共重合体(5)の水溶液を得た。
比較例1(比較共重合体(1))
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置にイオン交換水を43.61質量部仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で70℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数25、以下PGM25Eと称す)49.37質量部、メタクリル酸9.83質量部、3−メルカプトプロピオン酸0.50質量部及びイオン交換水14.80質量部からなる水溶液を4時間かけて滴下した。この滴下と同時に5.2%過硫酸アンモニウム水溶液13.15質量部を5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて70℃に温度を保持して反応を終了した。
その後、重合反応温度以下の温度(30℃)で48質量%水酸化ナトリウム水溶液とイオン交換水とを用いて反応溶液をpH7.0、固形分が40質量%になるよう調整し、重量平均分子量が24500の比較共重合体(1)の水溶液を得た。
比較例2(比較共重合体(2))
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水を44.41質量部、IPN50を49.37質量部仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、そこへ過酸化水素2%水溶液2.45質量部を添加し、アクリル酸1.47質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート3.56質量部及びイオン交換水1.26質量部からなる水溶液を3.0時間かけて滴下した。
この滴下と同時に、3−メルカプトプロピオン酸0.027質量部、L−アスコルビン酸0.064質量部及びイオン交換水15.91質量部からなる水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持した後、冷却して重合反応を終了した。
その後、重合反応温度以下の温度(30℃)で48質量%水酸化ナトリウム水溶液とイオン交換水とを用いて反応溶液をpH7.0、固形分が40質量%になるよう調整し、重量平均分子量が96800の比較共重合体(2)の水溶液を得た。
比較例3(比較共重合体(3))
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水24.54質量部を仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で70℃まで加熱した。メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数50、以下PGM50Eと称す)49.37質量部、メタクリル酸10.39質量部、3−メルカプトプロピオン酸0.50質量部及びイオン交換水14.80質量部からなる水溶液を4時間かけて滴下した。この滴下と同時に5.2%過硫酸アンモニウム水溶液13.27質量部を5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて70℃に温度を保持して反応を終了した。
その後、重合反応温度以下の温度(30℃)で48質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7.0に中和し、固形分が40質量%になるよう調整し、重量平均分子量が31900の比較共重合体(3)の水溶液を得た。
比較例4(比較共重合体(4))
温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管及び還流冷却装置を備えたガラス製反応装置に、イオン交換水を44.98質量部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキシドを平均10モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(以下IPN10と称す)49.37質量部仕込み、攪拌下に反応装置内を窒素置換し、窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、そこへ過酸化水素2%水溶液4.12質量部を添加し、アクリル酸2.50質量部及びイオン交換水0.62質量部からなる水溶液を3.0時間かけて滴下した。
この滴下と同時に、3−メルカプトプロピオン酸4.00質量部、L−アスコルビン酸0.11質量部及びイオン交換水15.91質量部からなる水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持した後、冷却して、重合反応を終了した。
その後、重合反応温度以下の温度(30℃)で48質量%水酸化ナトリウム水溶液とイオン交換水とを用いて反応溶液をpH7.0、固形分が40質量%になるよう調整し、重量平均分子量が2500の比較共重合体(4)の水溶液を得た。
表1に各実施例と比較例で得られた各共重合体の単量体の組み合わせ、中和後の共重合組成比、重量平均分子量及び固形分40質量%でpH7.0の水溶液の20℃での粘度を示す。
Figure 2008120664
表1中、中和後の共重合体組成比(質量%)は、共重合体を100質量%としたときの各単量体単位の質量(質量%)である。例えば、実施例1においては、共重合体100質量%中、IPN50由来の単量体単位が89.3質量%であり、アクリル酸由来の単量体単位が10.7質量%であることを表す。
〔モルタル試験方法〕
W/C(セメントに対する水の質量比)=40質量%
ミキサー:ホバート社製ミキサー N−50型(2段変速)
セメント:太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント
砂:ISO標準砂
MA404:ポゾリス物産社製「マイクロエア404」消泡剤。
MA303:ポゾリス物産社製「マイクロエア303」AE剤。
J14ロート:土木学会基準 準拠。黄銅製。上端内径70mm、下端内径14mm、高さ392mm及び厚さ約3mm。
試験室内は20℃、70%RHに調製した。
砂1350質量部、セメント642.9質量部をミキサーに仕込んで30秒間、速度1で混合した。
速度1のまま15秒間かけて実施例又は比較例で得られた共重合体、消泡剤及びAE剤の入ったイオン交換水257質量部を入れた。
その後、速度2にすばやく切り替えて180秒間混練し、ミキサーを止めて、モルタルを取り出した。
共重合体の添加量は、モルタルフロー値が200±30mmの範囲に入るように決めた。
MA404とMA303を使用して、空気量を5±2体積%に合わせた。
〔モルタルフロー値測定法〕
小スランプコーン(日本工業規格 JIS A1173記載品)にモルタルを3回に分けて充填し、モルタルフロー値を測定した。
小スランプコーンは、上端内径50±0.5mm、下端内径100±0.5mm及び高さ150±0.5mmの鉄製とし内面は機械仕上げとする。なお、スランプコーンは適当な位置に取っ手をつけて、総質量を約2kgとする。突き棒は、直径9mm、長さ30cmの鉄棒で、その先端を半球形状とする。
試験方法
スランプの測定は、20℃、湿度70%に保たれた試験室内で行った。スランプコーンは、水平に設置した水密性鋼製平板の上に置き、試料のモルタルをほぼ等しい量の2層に分けて詰める。その各層は、突き棒でならした後、15回一様に突く。
各層を突く際は、突き棒の突き入れは、その先端がほぼ前層に達する程度とした。
スランプコーンに試料のモルタルを詰め始めてから、詰め終わるまでの時間は3分以内とした。
スランプコーンに詰めた試料のモルタルの上面をスランプコーンの上端に合わせならした後、直ちにスランプコーンを静かに鉛直に引き上げ、広がったモルタルの直径を縦横2方向について測定し、この平均値をモルタルフロー値(mm)とした。
モルタルフロー値が200±30mmの範囲に入るように決めた時の共重合体の添加量が少ないものほどセメント分散性が高いことを示す。
〔J14ロート流下時間測定法〕
試験方法
モルタルフロー測定後のモルタルをビニール手袋をはめた手で、プラスチック製ビーカーに集め、ステンレス製のスパチュラ(長さ300mm×最大幅35mm)で15回練り返した。
ロートを台で鉛直に支持し、試料のモルタルをほぼ等しい量の3層に分けてロート内に注ぎ、流出口から少量のモルタルを流出させた後、指で流出口を押さえ、モルタルをロート上面まで注ぎ、上面をならした。
モルタル混練開始から10分後、指を離してモルタルを流出させ、ロート内における試料のモルタルのほぼ全量が流下した時間を流下時間(秒)として示した。
J14ロートでの流下時間が短い程、現場施工の型枠へのモルタルの充填が早く、施工性が良好であることを示している。
モルタルの作業性評価
J14ロートにモルタルを充填する作業で、ステンレス製スパチュラで練り返した際の抵抗で評価した。
◎:上記抵抗が非常に小さく、作業性が非常に良好
〇:上記抵抗が小さく、作業性が良好
△:上記抵抗が少し大きく、作業性が少し悪い
×:上記抵抗が大きく、作業性が悪い
表2に各々の実施例及び比較例で得られた共重合体の添加量、MA404添加量、MA303添加量、モルタルフロー値、J14ロート流下時間及びモルタル作業性を示す。
Figure 2008120664
表2中、共重合体添加量(質量%/セメント)は、セメント100質量%としたときの共重合体の固形分質量(質量%)であり、MA404添加量(質量%/セメント)、MA303添加量(質量%/セメント)は、それぞれセメント100質量%としたときのMA404添加量、MA303添加量の質量(質量%)である。
例えば、表2の実施例1における共重合体添加量は、セメント100質量%としたときの共重合体の固形分質量%が0.065質量%であり、言い換えれば、セメント100質量部としたときの共重合体の固形分質量が0.065質量部である。
1):ロートに詰まりが生じ、測定できなかった。
上述した実施例及び比較例から、本発明の数値範囲の臨界的意義については、次のようにいえることがわかった。すなわち、セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を、固形分40質量%でpH7.0の水溶液としたときの20℃での粘度が100mPa・sを超え、300mPa・s未満であるものとすることにより、セメント組成物中に混合されたとき、流動性が良好であるうえに、セメント組成物の状態に優れるという有利な効果を発揮し、それが顕著であることがわかった。
数値範囲の下限の技術的意義については、比較例4が100.0mPa・sで下限値であり、その下限値を上回る実施例5と比較すると明らかである。実施例5では、モルタルの作業性が◎であるが、それに対して、比較例4では、×となっている。実施例5では、J14ロート流下時間が19.0秒であり、施工性に優れるが、比較例4では、ロートに詰まりが生じ、流下時間を測定することが出来なかった。このような効果、つまり本発明の共重合体をセメント混和剤としてセメントに添加して作業性と施工性を向上することが出来るという効果は、際立ったものであるということはいうまでもない。実施例2、実施例3及び実施例5では、上記粘度を150〜220mPa・sの範囲内、特に150〜200mPa・sの範囲内のものとしているが、これらの実施例においては、更に本発明の効果が顕著に現れることになる。
数値範囲の上限の技術的意義については、実施例4が289.8mPa・sであり、この値を上回る比較例3(452.5mPa・s)と比較すると明らかである。実施例4では、モルタルの作業性が〇であるが、それに対して、比較例3では、モルタルの作業性が△である。実施例4では、J14ロート流下時間が17.5秒であり、流動性に優れ、比較例3では、J14ロート流下時間が22.9秒であり、流動性においても劣ったものとなる。このような効果、つまり本発明の共重合体をセメント混和剤として使用してセメント組成物の作業性と施工性を向上することが出来るという効果は、際立ったものであるということはいうまでもない。
なお、比較例1の共重合体は、ポリアルキレングリコールエステル系単量体単位を有する共重合体であり、本発明のポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位を有する共重合体とは分子骨格が異なる。エステル系は共重合体水溶液粘度が低くてもJ14ロート流下時間が長く、モルタルの作業性がよくない。比較例1がエステル系であり、粘度は本発明において規定される範囲内にあるが、本発明のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体とは異なるものであり、J14ロート流下時間は長く、モルタルの作業性はよくない。
なお、上述した実施例及び比較例では、3−メチル−3−ブテン−1−オール由来のポリアルキレングリコールエーテル系単量体及び不飽和モノカルボン酸を共重合してセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を調製しているが、ポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位を有するセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体である限り、セメントと混和してセメント組成物の特性を変化させるようなものであれば、セメント組成物の作業性と施工性を向上させる機構は同様である。したがって、固形分40質量%でpH7.0の水溶液としたときの20℃での粘度が100mPa・sを超え、300mPa・s未満であるものであれば、本発明の有利な効果を発現するということは確実であるといえる。少なくとも、3−メチル−3−ブテン−1−オール由来のポリアルキレングリコールエーテル系単量体及びアクリル酸を重合してセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を調製する場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。

Claims (5)

  1. 不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位(A)と不飽和モノカルボン酸系単量体単位(B)とを必須とするセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体であって、
    該セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体は、固形分40質量%でpH7.0の水溶液としたときの20℃での粘度が100mPa・sを超え、300mPa・s未満である
    ことを特徴とするセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体。
  2. 前記セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が2〜200であるポリアルキレンオキシド鎖を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体。
  3. 前記セメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体は、その共重合体の質量を100質量%とすると、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体単位(A)が70〜97質量%であり、不飽和モノカルボン酸系単量体単位(B)が3〜30質量%である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のセメント混和剤用ポリアルキレングリコールエーテル側鎖含有ポリカルボン酸系共重合体を含む
    ことを特徴とするセメント混和剤。
  5. セメント及び請求項4に記載のセメント混和剤を必須とするセメント組成物。
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