JP2008118082A - 窒化物半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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敦 中川
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Abstract

【課題】 制御電極のリーク電流、周波数分散の抑制とチップの小型化、低オン抵抗化できる窒化物半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 基板上にn型GaN層からなる高濃度の第1の窒化物半導体層と、第2の窒化物半導体層と、高濃度の第3の窒化物半導体層を積層形成し、ソース電極以外の領域を凹状に除去し、露出する第2の窒化物半導体層の側壁及び底面にゲート電極を形成する。基板裏面から第3の窒化物半導体層に接続するドレイン電極を形成する。ソース電極、ゲート電極を微結晶構造のGaN層上に形成することもできる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、能動層に窒化物半導体を用いた縦型構造の窒化物半導体装置及びその製造方法に関し、特に静電誘導型トランジスタ(SIT:Static Induction Transistor)のようなゲート部分をチャネル内に埋め込む形で形成し、チャネル長を十分小さくすることで、非飽和の電流−電圧特性を示す窒化物半導体装置及びその製造方法に関する。
図7は、従来のIII−V族窒化物半導体からなる窒化物半導体装置の断面図を示している。図7に示す窒化物半導体装置は、いわゆるHEMT構造を示しており、サファイア基板からなる基板101上には、窒化ガリウム(GaN)からなるバッファ層102、窒化ガリウムからなるチャネル層103、n型窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなるキャリア供給層104、ノンドープ窒化アルミニウムガリウムからなるショットキ層105が順次積層した構造となっており、チャネル層103とキャリア供給層104とからなるヘテロ接合界面近傍に、ポテンシャル井戸からなる電子移動度が極めて大きい2次元電子ガス層が形成されている。このような構造の窒化物半導体装置では、ショットキ層105にショットキ接触するゲート電極106(制御電極)に印加する電圧を制御することにより、ソース電極107aとドレイン電極107bとの間を流れるキャリア(2次元電子ガス)を制御している。
この種の半導体装置は、上記構造の他、例えば特許文献1に開示されているような様々な構造が提案されている。
特開平10−335637号公報
このような従来の窒化物半導体装置の耐圧は、ゲート金属と窒化物半導体層との接触で形成されるショットキ特性に大きく左右されていた。一般的に窒化物半導体層、例えば窒化アルミニウムガリウム層や窒化ガリウム層上に形成されるゲート金属のショットキ特性は、高いゲートリーク電流が見られ、これが衝突イオン化のトリガーとなり、高出力素子の窒化物半導体装置の重要なパラメータであるオフ耐圧(FETがオフ状態でのドレイン耐圧)を予想される数値よりも低下させて、ワイドギャップ材料の高耐圧という性能を十分に引き出すことができないという問題点があった。
また窒化アルミニウムガリウム層や窒化ガリウム層などの窒化物半導体層上にゲート電極を形成した半導体装置は、窒化物半導体層の表面準位にトラップされた電子により、表面のポテンシャルが揺らぎ、電流−電圧特性の周波数分散が生じるという問題があった。
さらにまた窒化物半導体を用いたFETのソース電極及びドレイン電極のコンタクト抵抗率は、Si系やGaAs系FETに比べて大きい10-5Ωcm2程度である。そのためワイドギャップ材料のスイッチング素子として期待されている低オン抵抗化を十分に実現できていない。
一方、従来の横型構造の窒化物半導体装置は、電極間距離を大きくする必要があるためチップの小型化に限界があった。そのため、SITのような縦型構造の窒化物半導体装置が望まれるものの、その製造工程において、ドライエッチング等を用いる必要があり、その際に形成されるダメージにより、リーク電流が増大してしまうという問題点があった。
本発明は、窒化物半導体層に形成される制御電極のリーク電流を大幅に低減し、窒化物半導体層内での衝突イオン化を抑制することにより高耐圧化を実現することができる窒化物半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。また、縦型構造の採用により周波数分散の抑制とチップの小型化を同時に実現することができる窒化物半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。さらにまたソース電極及びドレイン電極のコンタクト抵抗率の低減により低オン抵抗化できる窒化物半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、基板上に積層したn型窒化ガリウム層からなり第1のコンタクト層となる第1の窒化物半導体層と、該第1の窒化物半導体層上に積層したn型窒化ガリウム層からなりチャネル層となる第2の窒化物半導体層と、該第2の窒化物半導体層上に積層したn型窒化ガリウム層からなり第2のコンタクト層となる第3の窒化物半導体層と、第1の電極あるいは第1の電極及び第2の電極形成領域を除く前記第3の窒化物半導体層及び前記第2の窒化物半導体層の一部が凹状に除去され、露出する前記第2の窒化物半導体層の側壁及び底面に接続する制御電極と、前記第3の窒化物半導体層に接続する前記第1の電極と、前記第1の窒化物半導体層に接続する前記第2の電極とを備えたことを特徴とする。
本願請求項2に係る発明は、請求項1記載の窒化物半導体装置において、前記第3の窒化物半導体層上に該第3の窒化物半導体層より低い成膜温度で積層した窒化ガリウム層からなり、かつ微結晶構造からなる第4の窒化物半導体層を備え、前記第1の電極は、前記第4の窒化物半導体層に接続することを特徴とする。
本願請求項3に係る発明は、請求項1または2いずれか記載の窒化物半導体装置において、前記露出する第2の窒化物半導体層の側壁及び底面に、前記第3の窒化物半導体層より低い成膜温度で積層した窒化ガリウム層からなり、かつ微結晶構造からなる第5の窒化物半導体層を備え、前記制御電極は、前記第5の窒化物半導体層に接続していることを特徴とする。
本願請求項4に係る発明は、基板上に、n型窒化ガリウム半導体層からなり第1のコンタクト層となる第1の窒化物半導体層を形成する工程と、該第1の窒化物半導体層上に、n型窒化ガリウム半導体層からなりチャネル層となる第2の窒化物半導体層を形成する工程と、該第2の窒化物半導体層上に、n型窒化ガリウム半導体層からなり第2のコンタクト層となる第3の窒化物半導体層を形成する工程と、該第3の窒化物半導体層上の第1の電極形成領域上に、第1のマスク膜を形成する工程と、該第1のマスク膜で覆われていない領域を酸化し、前記第3の窒化物半導体層及び前記第2の窒化物半導体層の一部に酸化物層を形成する工程と、前記第1のマスク膜を除去し、露出した前記第3の窒化物半導体層表面に、前記第1の電極を形成する工程と、前記第1の電極及び該第1の電極近傍の前記酸化物層の一部を覆う第2のマスク膜を形成する工程と、前記酸化物層を除去し、少なくとも前記第2の窒化物半導体層の一部を凹状に露出させる工程と、露出した前記第2の窒化物半導体層の側壁及び底面に接続する制御電極を形成する工程と、前記第1の窒化物半導体層の一部を露出させ、該第1の窒化物半導体層に接続する第2の電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本願請求項5に係る発明は、基板上に、n型窒化ガリウム半導体層からなり第1のコンタクト層となる第1の窒化物半導体層を形成する工程と、該第1の窒化物半導体層上に、n型窒化ガリウム半導体層からなりチャネル層となる第2の窒化物半導体層を形成する工程と、該第2の窒化物半導体層上に、n型窒化ガリウム半導体層からなり第2のコンタクト層となる第3の窒化物半導体層を形成する工程と、該第3の窒化物半導体層上の第1の電極形成領域上に、第1のマスク膜を形成する工程と、該第1のマスク膜で覆われていない領域を酸化し、前記第3の窒化物半導体層及び前記第2の窒化物半導体層の一部に酸化物層を形成する工程と、前記第1のマスク膜を除去し、露出した前記第3の窒化物半導体層表面に、前記第1の電極を形成する工程と、前記第1の電極及び該第1の電極近傍の前記酸化物層の一部を覆う第2のマスク膜を形成する工程と、水素を含む雰囲気中で加熱して前記酸化物層を除去し、少なくとも前記第2の窒化物半導体層の一部を凹状に露出させる工程と、露出した前記第2の窒化物半導体層の側壁及び底面に接続する制御電極を形成する工程と、前記第1の窒化物半導体層の一部を露出させ、該第1の窒化物半導体層に接続する第2の電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本願請求項6に係る発明は、請求項4または5いずれか記載の窒化物半導体装置の製造方法において、前記第3の窒化物半導体層上に、該第3の窒化物半導体層の成膜温度より低い温度で窒化ガリウム層からなり、かつ微結晶構造からなる第4の窒化物半導体層を形成する工程と、該第4の窒化物半導体層上に前記第1のマスク膜を形成する工程と、該第1のマスク膜で覆われていない領域を酸化し、前記第4の窒化物半導体層、前記第3の窒化物半導体層及び前記第2の窒化物半導体層の一部に前記酸化物層を形成する工程と、前記第1のマスク膜を除去し、露出した前記第4の窒化物半導体層表面に、前記第1の電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本願請求項7に係る発明は、請求項4乃至6いずれか記載の窒化物半導体装置の製造方法において、少なくとも前記第2の窒化物半導体層の一部を凹状に露出させた後、少なくとも前記露出した前記第2の窒化物半導体層の側壁及び底面に、前記第3の窒化物半導体層の成膜温度より低い温度で窒化ガリウム層からなり、かつ微結晶構造からなる第5の窒化物半導体層を形成する工程と、該第5の窒化物半導体層上に前記制御電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の窒化物半導体装置の製造方法は、ドライエッチングのようなダメージを形成する工程を用いずに凹形状を形成し、その表面に制御電極を形成することができる。そのため、本発明の窒化物半導体装置は、ダメージに起因するリーク電流をなくし、リーク電流を非常に小さくすることができる。
また制御電極が接続する表面に高い絶縁性を有する微結晶構造の窒化物半導体層を形成することにより、更にリーク電流を小さくすることができる。
また本発明の第1の電極は、微結晶構造の窒化物半導体層に接触する構造となっているので、低コンタクト抵抗のオーミック電極を形成することができる。
本発明により縦型構造のトランジスタを形成した場合、トランジスタのオン抵抗を低減できる。またゲート電極を絶縁性が高い微結晶構造の窒化物半導体層に接触させる構造としているので、ゲートリーク電流を少なくすることができる。さらにチャネルでの衝突イオン化が抑制されることにより、高耐圧化を実現できる。
また表面に露出するチャネル層の面積を大幅に低減した縦型トランジスタ構造とすることにより、大電力動作時に表面トラップの影響を受けることなく、電流コラプスフリー動作を実現することが可能となる。
本発明の窒化物半導体装置の製造方法は、第1の電極上に形成された第1のマスク膜をマスクとして使用して制御電極を形成するので、セルフアラインプロセスを実現できる点でも利点がある。さらにチャネル層の微細化が可能となり、オフ状態における漏れ電流を低減し、良好なピンチオフ特性を実現する窒化物半導体装置を形成することも可能となる。また通常の半導体装置の製造工程のみに従うため、非常に制御性が良く、歩留まり良く窒化物半導体装置を形成することができる。
また微結晶構造の窒化物半導体層の形成方法は、成長温度を通常の成長温度(1080℃)より低い温度(550℃)に設定するのみなので、制御性が良い。
以下、本発明の窒化物半導体装置及びその製造方法について、詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施例の断面図、図2はその製造方法の説明図である。以下、製造工程に従い、説明する。まず、炭化珪素(SiC)からなる基板11上に、MOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法等により、厚さ100nm程度の窒化アルミニウム(AlN)からなるバッファ層12、厚さ1μmのn型不純物であるSiを2.0×1018個/cm3ドープした第1のn+型窒化ガリウム(GaN)層13(第1の窒化物半導体層に相当、後述するドレイン電極のコンタクト層となる)、厚さ7μmのn型不純物であるSiを1.0×1016個/cm3ドープしたn型窒化ガリウムからなるチャネル層14(第2の窒化物半導体層に相当)、厚さ50nmのn型不純物であるSiを2.0×1018個/cm3ドープした第2のn+型窒化ガリウム層15(第3の窒化物半導体層に相当、後述するソース電極のコンタクト層となる)を基板温度1080℃で順次積層成長させる。次に、ソース電極形成予定領域のn+型窒化ガリウム層15上に、ポリシリコン膜とシリコン窒化膜の積層膜を形成した後、HBr等のエッチングガスを用いたドライエッチングでポリシリコン膜を選択的に除去し、その後フッ化水素酸エッチング液を用いてシリコン窒化膜を除去することによって、第1のマスク膜20を形成する(図2a)。
第1のマスク膜20を耐酸化マスクとして使用し、950℃、180分間のドライ酸化を行い、半導体基板表面の第2のn+型窒化ガリウム層15及びチャネル層14の一部に400nm程度の窒化ガリウムの酸化物層21を形成する。ここで酸化物層21はGa23が主成分となる(図2b)。
HBr等を用いたドライエッチングによりポリシリコン膜を除去した後、フッ素水素酸エッチング液を用いてシリコン窒化膜を除去することによって第1のマスク膜20を除去する。その後、第2のn+型窒化ガリウム層15上に選択的にチタン(Ti)/アルミニウム(Al)の積層体等からなるソース電極17(第1の電極に相当)を形成し、850℃程度の熱処理を行う。その結果、ソース電極を構成する金属が第2のn+型窒化ガリウム層15中に拡散し、オーミック接触が形成される。さらにソース電極17を覆うように酸化シリコンからなる第2のマスク膜22を形成する。ここで、第2のマスク膜22は、ソース電極17近傍の酸化物層21の一部も覆うように形成する。次に水素雰囲気中で600℃以上の熱処理を行う。その結果、Ga23を主成分とする酸化物層21は水素還元され、酸化物層21が凹状に除去され、凹形状の側壁及び底面にチャネル層14が露出する(図2c)。この露出するチャネル層14表面は、ダメージのない非常に清浄な表面となる。
引き続き、電子ビーム蒸着装置等を用いて、ニッケル(Ni)/金(Au)の積層体等を蒸着し、第2のマスク膜22を用いて自己整合的にゲート電極18(制御電極に相当)
を形成する(図2d)。ここで、第2のマスク膜22の一部は酸化物層21が除去された凹形状上に突出した形状となり、ゲート電極18をチャネル層14の側壁及び底面に選択的に形成することができる。
第2のマスク膜22をエッチング除去した後、基板11の裏面から第1のn+型窒化ガリウム層13に達する凹部24を形成し、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)の積層体等からなるドレイン電極19(第2の電極に相当)を形成し、図1に示す窒化物半導体装置を完成させる(図2e)。
なお第1のマスク膜20を除去する際、フッ素水素酸エッチング液を用いる代わりに、SF6等のガスを用いたドライエッチング法を用いることもできる。また、酸化物層21を除去する際、水素還元による除去の代わりに、塩酸水溶液などを用いてエッチング除去してもよい。
このように本発明の製造方法によれば、ドライエッチングのようなダメージを形成する工程なしで、縦型の窒化物半導体装置を形成することができる。本発明の窒化物半導体装置は、ダメージのない清浄なチャネル層14表面にゲート電極18を接触させることができ、ダメージに起因するリーク電流を大幅に低減することができる。
また従来の横型の窒化物半導体装置では、チャネル層が表面に露出しているためゲート−ドレイン電極の間の表面準位にトラップされる電子により電流コラプス現象の発生が大きな問題であったが、表面に露出するチャネル層の面積を大幅に低減した縦型トランジスタ構造とすることにより、大電力動作時に表面トラップの影響を受けることがなく、いわゆる電流コラプスフリー動作を実現することが可能となる。
次に第2の実施例について説明する。図3は本発明の第2の実施例の断面図、図4はその製造方法の説明図である。以下、製造工程に従い、説明する。まず第1の実施例同様、炭化珪素(SiC)からなる基板11上に、MOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法等により、厚さ100nm程度の窒化アルミニウム(AlN)からなるバッファ層12、厚さ1μmのn型不純物であるSiを2.0×1018個/cm3ドープした第1のn+型窒化ガリウム(GaN)層13(第1の窒化物半導体層に相当、後述するソース電極のコンタクト層となる)、厚さ7μmのn型不純物であるSiを1.0×1016個/cm3ドープしたn型窒化ガリウムからなるチャネル層14(第2の窒化物半導体層に相当)、厚さ50nmのn型不純物であるSiを2.0×1018個/cm3ドープした第2のn+型窒化ガリウム層15(第3の窒化物半導体層に相当、後述するソース電極のコンタクト層となる)を基板温度1080℃で順次積層成長させる。その後、本実施例では、基板温度を550℃として、厚さ10nmの微結晶構造からなるノンドープ窒化ガリウムからなるオーミックコンタクト層16(第4の窒化物半導体層に相当)を成長させる。次に、ソース電極形成予定領域のオーミックコンタクト層16上に、ポリシリコン膜とシリコン窒化膜の積層膜を形成した後、HBr等のエッチングガスを用いたドライエッチングでポリシリコン膜を選択的に除去し、その後フッ化水素酸エッチング液を用いてシリコン窒化膜を除去することによって、第1のマスク膜20を形成する(図4a)。
第1のマスク膜20を耐酸化マスクとして使用し、950℃、180分間のドライ酸化を行い、半導体基板表面のオーミックコンタクト層16、第2のn+型窒化ガリウム層15及びチャネル層14の一部に400nm程度の窒化ガリウムの酸化物層21を形成する。ここで酸化物層21はGa23が主成分となる(図4b)。
HBr等を用いたドライエッチングによりポリシリコン膜を除去した後、フッ素水素酸エッチング液を用いてシリコン窒化膜を除去することによって第1のマスク膜20を除去する。その後、オーミックコンタクト層16上に選択的にチタン(Ti)/アルミニウム(Al)の積層体等からなるソース電極17(第1の電極に相当)を形成し、850℃程度の熱処理を行う。その結果、ソース電極を構成する金属がオーミックコンタクト層16、第2のn+型窒化ガリウム層15中に拡散し、オーミック接触が形成される。本実施例では、微結晶構造のオーミックコンタクト層16にソース電極17が接触する構造となっているので、特に低コンタクト抵抗のオーミック接触が形成される。さらにソース電極17を覆うように酸化シリコンからなる第2のマスク膜22を形成する。ここで、第2のマスク膜22は、ソース電極17近傍の酸化物層21の一部も覆うように形成する。次に水素雰囲気中で600℃以上の熱処理を行う。その結果、Ga23を主成分とする酸化物層21は水素還元され、酸化物層21が凹状に除去され、凹形状の側壁及び底面にチャネル層14が露出する(図4c)。この露出するチャネル層14表面は、ダメージのない非常に清浄な表面となる。
引き続き、電子ビーム蒸着装置等を用いて、ニッケル(Ni)/金(Au)の積層体等を蒸着し、第2のマスク膜22を用いて自己整合的にゲート電極18(制御電極に相当)を形成する(図4d)。ここで、第2のマスク膜22の一部は酸化物層21が除去された凹形状上に突出した形状となり、ゲート電極18をチャネル層14の側壁及び底面に選択的に形成することができる。
第2のマスク膜22をエッチング除去した後、基板11の裏面から第1のn+型窒化ガリウム層13に達する凹部24を形成し、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)の積層体等からなるドレイン電極19(第2の電極に相当)を形成し、図3に示す窒化物半導体装置を完成させる(図4e)。
なお第1のマスク膜20を除去する際、フッ素水素酸エッチング液を用いる代わりに、SF6等のガスを用いたドライエッチング法を用いることもできる。また、酸化物層21を除去する際、水素還元による除去の代わりに、塩酸水溶液などを用いてエッチング除去してもよい。
このように本発明の製造方法によれば、ドライエッチングのようなダメージを形成する工程なしで、縦型の窒化物半導体装置を形成することができる。本発明の窒化物半導体装置は、ダメージのない清浄なチャネル層14表面にゲート電極18を接触させることができ、ダメージに起因するリーク電流を大幅に低減することができる。
また図3に示すように、微結晶構造のオーミックコンタクト層16にソース電極17が接触する構造となっているため、低抵抗のオーミック接触が形成される。例えば、チャネル長を0.3μmとした場合、5.0×10-6Ωcm2の電極コンタクトを実現することができた。これは、同様の従来構造のSITと比較して、1桁程度小さい値となっている。その結果、パワートランジスタの最も重要な特性の一つであるオン抵抗の大幅な低減を実現することができた。
また従来の横型の窒化物半導体装置では、チャネル層が表面に露出しているためゲート−ドレイン電極の間の表面準位にトラップされる電子により電流コラプス現象の発生が大きな問題であったが、表面に露出するチャネル層の面積を大幅に低減した縦型トランジスタ構造とすることにより、大電力動作時に表面トラップの影響を受けることがなく、いわゆる電流コラプスフリー動作を実現することが可能となる。
次に第3の実施例について説明する。図5は本発明の第3の実施例の断面図、図6はその製造方法の説明図である。以下、製造工程に従い、説明する。まず、第2の実施例同様、炭化珪素(SiC)からなる基板11上に、MOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法等により、厚さ100nm程度の窒化アルミニウム(AlN)からなるバッファ層12、厚さ1μmのn型不純物であるSiを2.0×1018個/cm3ドープした第1のn+型窒化ガリウム(GaN)層13(第1の窒化物半導体層に相当、後述するドレイン電極のコンタクト層となる)、厚さ7μmのn型不純物であるSiを1.0×1016個/cm3ドープしたn型窒化ガリウムからなるチャネル層14(第2の窒化物半導体層に相当)、厚さ50nmのn型不純物であるSiを2.0×1018個/cm3ドープした第2のn+型窒化ガリウム層15(第3の窒化物半導体層に相当、後述するソース電極のコンタクト層となる)を基板温度1080℃で順次積層成長させる。その後、基板温度を550℃として、厚さ10nmの微結晶構造からなるノンドープ窒化ガリウムからなるオーミックコンタクト層16(第4の窒化物半導体層に相当)を成長させる。次に、ソース電極形成予定領域のオーミックコンタクト層16上に、ポリシリコン膜とシリコン窒化膜との積層膜を形成した後、HBr等のエッチングガスを用いたドライエッチングでポリシリコン膜を選択的に除去し、その後フッ化水素酸エッチング液を用いてシリコン窒化膜を除去することによって、第1のマスク膜20を形成する(図6a)。
第1のマスク膜20を耐酸化マスクとして使用し、950℃、180分間のドライ酸化を行い、半導体基板表面のオーミックコンタクト層16、第2のn+型窒化ガリウム層15及びチャネル層14の一部に400nm程度の窒化ガリウムの酸化物層21を形成する。ここで酸化物層21はGa23が主成分となる(図6b)。
HBr等を用いたドライエッチングによりポリシリコン膜を除去した後、フッ素水素酸エッチング液を用いてシリコン窒化膜を除去することによって第1のマスク膜20を除去する。 その後、オーミックコンタクト層16上に選択的にチタン(Ti)/アルミニウム(Al)の積層体等からなるソース電極17(第1の電極に相当)を形成し、850℃程度の熱処理を行う。その結果、ソース電極を構成する金属がオーミックコンタクト層16、第2のn+型窒化ガリウム層15中に拡散し、オーミック接触が形成される。本実施例でも、微結晶構造のオーミックコンタクト層16にソース電極17が接触する構造となっているので、特に低コンタクト抵抗のオーミック接触が形成される。さらにソース電極17を覆うように酸化シリコンからなる第2のマスク膜22を形成する。ここで、第2のマスク膜22は、ソース電極17近傍の酸化物層21の一部も覆うように形成する。次に水素雰囲気中で600℃以上の熱処理を行う。その結果、Ga23を主成分とする酸化物層21は水素還元され、酸化物層21が凹状に除去され、凹形状の側壁及び底面にチャネル層14が露出する(図6c)。この露出するチャネル層14表面は、ダメージのない非常に清浄な表面となる。
つぎに本実施例では、基板温度を550℃として、露出するチャネル層14表面に、厚さ10nmの微結晶構造からなるノンドープ窒化ガリウムからなるショットキ層23(第5の窒化物半導体層に相当)を成長させる。その後引き続き、電子ビーム蒸着装置等を用いて、ニッケル(Ni)/金(Au)の積層体等を蒸着し、第2のマスク膜22を用いて自己整合的にゲート電極18(制御電極に相当)を形成する(図6d)。ここで、第2のマスク膜22の一部は酸化物層21が除去された凹形状上に突出した形状となり、ゲート電極18をチャネル層14の側壁及び底面上のショットキ層23上に選択的に形成することができる。
第2のマスク膜22をエッチング除去した後、基板11の裏面から第1のn+型窒化ガリウム層13に達する凹部24を形成し、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)の積層体等からなるドレイン電極19(第2の電極に相当)を形成して、図5に示す窒化物半導体装置を完成する(図6e)。
このように本発明の製造方法によれば、ドライエッチングのようなダメージを形成する工程なしで、縦型の窒化物半導体装置を形成することができる。本発明の窒化物半導体装置は、ダメージのない清浄なショットキ層24表面にゲート電極18を接触させることができ、ダメージに起因するリーク電流を大幅に低減することができる。
また上述の実施例2同様、微結晶構造のオーミックコンタクト層16にソース電極17が接触する構造となっているため、低抵抗のオーミック接触が形成される。その結果、パワートランジスタの最も重要な特性の一つであるオン抵抗の大幅な低減を実現することができる。
また従来の横型の窒化物半導体装置では、チャネル層が表面に露出しているためゲート−ドレイン電極の間の表面準位にトラップされる電子により電流コラプス現象の発生が大きな問題であったが、表面に露出するチャネル層の面積を大幅に低減した縦型トランジスタ構造とすることにより、大電力動作時に表面トラップの影響を受けることがなく、いわゆる電流コラプスフリー動作を実現することが可能となる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの限定されるものでなく、種々変更可能である。例えば、基板11の裏面側から凹部24を形成して第1のn+窒化ガリウム層13に接続するドレイン電極19を形成する代わりに、表面側から凹部を形成して第1のn+窒化ガリウム層13に接続するドレイン電極19を形成することもできる。また、炭化珪素基板の代わりにサファイア基板を用いてもかまわない。その場合はバッファ層12として低温成長の窒化ガリウムを用いるのが望ましい。また炭化珪素基板の代わりにシリコン基板(Si)を用いても構わない。また第1のマスク膜20は、耐酸化マスク膜として使用できる材料を、第2のマスク膜22はゲート電極18を形成した後選択除去できる材料を適宜選択すれば良い。第1のマスク膜20、第2のマスク膜22の形成方法も、選択された材料に応じ、適宜選択すれば良い。
なお、オーミックコンタクト層16やショットキ層23について、微結晶構造と説明したが、これは微結晶粒の集合体あるいはそれらの再配列化した構造であり、成長温度、成長時の雰囲気ガス組成、成長させる基板の種類などによって、結晶粒の大きさや配列等は変わるものであり、所望の絶縁特性(許容できるゲートリーク電流)が得られる範囲で、成長温度を制御することによって得られるものである。オーミックコンタクト層16やショットキ層23の成長温度は、他の窒化物半導体層、例えばチャネル層の成長温度より400℃程度以上低い温度に設定すると好適である。
本発明の第1の実施例の窒化物半導体装置の断面図である。 本発明の第1の実施例の窒化物半導体装置の製造方法の説明図である。 本発明の第2の実施例の窒化物半導体装置の断面図である。 本発明の第2の実施例の窒化物半導体装置の製造方法の説明図である。 本発明の第3の実施例の窒化物半導体装置の断面図である。 本発明の第3の実施例の窒化物半導体装置の製造方法の説明図である。 従来のこの種の窒化物半導体装置の断面図である。
符号の説明
11;基板、12;バッファ層、13;第1のn+型窒化ガリウム層、14;チャネル層、15;第2のn+型窒化ガリウム層、16;オーミックコンタクト層、17;ソース電極、18;ゲート電極、19;ソース電極、20;第1のマスク膜、21;酸化物層、22;第2のマスク膜、23;ショットキ層

Claims (7)

  1. 基板上に積層したn型窒化ガリウム層からなり第1のコンタクト層となる第1の窒化物半導体層と、該第1の窒化物半導体層上に積層したn型窒化ガリウム層からなりチャネル層となる第2の窒化物半導体層と、該第2の窒化物半導体層上に積層したn型窒化ガリウム層からなり第2のコンタクト層となる第3の窒化物半導体層と、第1の電極あるいは第1の電極及び第2の電極形成領域を除く前記第3の窒化物半導体層及び前記第2の窒化物半導体層の一部が凹状に除去され、露出する前記第2の窒化物半導体層の側壁及び底面に接続する制御電極と、前記第3の窒化物半導体層に接続する前記第1の電極と、前記第1の窒化物半導体層に接続する前記第2の電極とを備えたことを特徴とする窒化物半導体装置。
  2. 請求項1記載の窒化物半導体装置において、前記第3の窒化物半導体層上に該第3の窒化物半導体層より低い成膜温度で積層した窒化ガリウム層からなり、かつ微結晶構造からなる第4の窒化物半導体層を備え、前記第1の電極は、前記第4の窒化物半導体層に接続することを特徴とする窒化物半導体装置。
  3. 請求項1または2いずれか記載の窒化物半導体装置において、前記露出する第2の窒化物半導体層の側壁及び底面に、前記第3の窒化物半導体層より低い成膜温度で積層した窒化ガリウム層からなり、かつ微結晶構造からなる第5の窒化物半導体層を備え、前記制御電極は、前記第5の窒化物半導体層に接続していることを特徴とする窒化物半導体装置。
  4. 基板上に、n型窒化ガリウム半導体層からなり第1のコンタクト層となる第1の窒化物半導体層を形成する工程と、
    該第1の窒化物半導体層上に、n型窒化ガリウム半導体層からなりチャネル層となる第2の窒化物半導体層を形成する工程と、
    該第2の窒化物半導体層上に、n型窒化ガリウム半導体層からなり第2のコンタクト層となる第3の窒化物半導体層を形成する工程と、
    該第3の窒化物半導体層上の第1の電極形成領域上に、第1のマスク膜を形成する工程と、
    該第1のマスク膜で覆われていない領域を酸化し、前記第3の窒化物半導体層及び前記第2の窒化物半導体層の一部に酸化物層を形成する工程と、
    前記第1のマスク膜を除去し、露出した前記第3の窒化物半導体層表面に、前記第1の電極を形成する工程と、
    前記第1の電極及び該第1の電極近傍の前記酸化物層の一部を覆う第2のマスク膜を形成する工程と、
    前記酸化物層を除去し、少なくとも前記第2の窒化物半導体層の一部を凹状に露出させる工程と、
    露出した前記第2の窒化物半導体層の側壁及び底面に接続する制御電極を形成する工程と、
    前記第1の窒化物半導体層の一部を露出させ、該第1の窒化物半導体層に接続する第2の電極を形成する工程とを含むことを特徴とする窒化物半導体装置の製造方法。
  5. 基板上に、n型窒化ガリウム半導体層からなり第1のコンタクト層となる第1の窒化物半導体層を形成する工程と、
    該第1の窒化物半導体層上に、n型窒化ガリウム半導体層からなりチャネル層となる第2の窒化物半導体層を形成する工程と、
    該第2の窒化物半導体層上に、n型窒化ガリウム半導体層からなり第2のコンタクト層となる第3の窒化物半導体層を形成する工程と、
    該第3の窒化物半導体層上の第1の電極形成領域上に、第1のマスク膜を形成する工程と、
    該第1のマスク膜で覆われていない領域を酸化し、前記第3の窒化物半導体層及び前記第2の窒化物半導体層の一部に酸化物層を形成する工程と、
    前記第1のマスク膜を除去し、露出した前記第3の窒化物半導体層表面に、前記第1の電極を形成する工程と、
    前記第1の電極及び該第1の電極近傍の前記酸化物層の一部を覆う第2のマスク膜を形成する工程と、
    水素を含む雰囲気中で加熱して前記酸化物層を除去し、少なくとも前記第2の窒化物半導体層の一部を凹状に露出させる工程と、
    露出した前記第2の窒化物半導体層の側壁及び底面に接続する制御電極を形成する工程と、
    前記第1の窒化物半導体層の一部を露出させ、該第1の窒化物半導体層に接続する第2の電極を形成する工程とを含むことを特徴とする窒化物半導体装置の製造方法。
  6. 請求項4または5いずれか記載の窒化物半導体装置の製造方法において、
    前記第3の窒化物半導体層上に、該第3の窒化物半導体層の成膜温度より低い温度で窒化ガリウム層からなり、かつ微結晶構造からなる第4の窒化物半導体層を形成する工程と、
    該第4の窒化物半導体層上に前記第1のマスク膜を形成する工程と、
    該第1のマスク膜で覆われていない領域を酸化し、前記第4の窒化物半導体層、前記第3の窒化物半導体層及び前記第2の窒化物半導体層の一部に前記酸化物層を形成する工程と、
    前記第1のマスク膜を除去し、露出した前記第4の窒化物半導体層表面に、前記第1の電極を形成する工程とを含むことを特徴とする窒化物半導体装置の製造方法。
  7. 請求項4乃至6いずれか記載の窒化物半導体装置の製造方法において、
    少なくとも前記第2の窒化物半導体層の一部を凹状に露出させた後、少なくとも前記露出した前記第2の窒化物半導体層の側壁及び底面に、前記第3の窒化物半導体層の成膜温度より低い温度で窒化ガリウム層からなり、かつ微結晶構造からなる第5の窒化物半導体層を形成する工程と、
    該第5の窒化物半導体層上に前記制御電極を形成する工程とを含むことを特徴とする窒化物半導体装置の製造方法。
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