JP2008115253A - 帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】帯電防止性のみならず、熱安定性および透明性に優れた、透明で、かつ埃の付着が敬遠される用途、例えば光源周辺部材や中身の確認できる成形品などに好適に用いられる帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物の提供。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり特定の帯電防止剤(B)0.1〜7重量部、りん系酸化防止剤(C)0.005〜1重量部および/または環状亜りん酸エステル系酸化防止剤(D)0.005〜1重量部を配合してなることを特徴とする帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を用いることにより、達成できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱安定性及び透明性に優れた帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、透明性に優れており、電気/電子、光学、建材、医療、食品、車両等の分野において幅広く使用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂から得られた製品は静電気を帯び易く、埃や異物が付着する問題や静電気に伴う障害発生の可能性があり、例えば光ディスクのカートリッジ等の事務機器外装部品では、帯電防止性能と同時に内部の様子が十分に視認できるよう透明性も併せて求められていた。
ポリカーボネート樹脂に帯電防止性能を付与するために、帯電防止剤として導電性カーボンブラックやカーボンファイバーを配合することが行われている。しかしながら、これらは黒色を呈しているため、得られた帯電防止性ポリカーボネート樹脂の色調が黒色に限定される。したがって、帯電防止剤として導電性カーボンブラックやカーボンファイバーを使用した帯電防止性ポリカーボネート樹脂は、他の色調への応用が困難であり、使用用途が極めて限られたものになるといった問題点があった。
一方、黒色以外の用途には一般にアルキルスルホン酸金属塩やアルキルベンゼンスルホン酸金属塩等が帯電防止剤として使用されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかしながら、これらをポリカーボネート樹脂に配合すると白色かつ不透明になり、さらにポリカーボネート樹脂が熱分解し易くなり、成形加工時に変色等の外観不良が生じることも少なくなかった。
特開昭49−73443 特開昭52−47072 特開昭54−37154
これらの問題を解決するためにスルホン酸ホスフォニウム塩が提案されている(特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8)。これらホスフォニウム塩を帯電防止剤として用いた場合、帯電防止性能を得るために多量に添加する必要があり、それにより透明性の低下やポリカーボネートの分子量の低下という問題点があった。
特開昭62−230835号 特開昭63−117061号 特開平1−14267号 特開平1−62336号 特開平1−92474号
前述のように、従来の帯電防止剤を使用した帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物では、熱安定性と透明性を具備することが困難であった。本発明は熱安定性および透明性に優れた帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前述の問題点に鑑み鋭意研究した結果、ポリカーボネート樹脂に対し帯電防止剤として特定のホスホニウム塩と特定のりん系酸化防止剤および/または亜りん酸エステル系酸化防止剤(D)とを併用することにより、熱安定性および透明性に優れた帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物が得られ、さらに当該2種類の酸化防止剤を併用した場合は熱安定性および帯電性に相乗効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の態様としては、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり下記一般式(1)で表されるホスホニウム塩を有効成分として含有することを特徴とする帯電防止剤(B)0.1〜7重量部およびりん系酸化防止剤(C)0.005〜1重量部を配合してなることを特徴とする帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を提供するものである。
一般式(1):
Figure 2008115253
(一般式(1)中、R、R、RおよびRは炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル基、アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換されていてもよい。また、R、R、RおよびRはそれぞれが同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の第二の態様としては、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり前記の帯電防止剤(B)0.1〜7重量部および環状亜りん酸エステル系酸化防止剤(D)0.005〜1重量部を配合してなることを特徴とする帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を提供するものである。

本発明の第三の態様としては、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり前記の帯電防止剤(B)0.1〜7重量部、りん系酸化防止剤(C)0.005〜1重量部および環状亜りん酸エステル系酸化防止剤(D)0.005〜1重量部を配合してなることを特徴とする帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物を提供するものである。
本発明の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物は帯電防止性のみならず熱安定性および透明性に優れており、透明で、且つ埃の付着が敬遠される用途、例えば光源周辺部材や中身が確認できる成形品などに好適に用いられる。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造された芳香族ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは、単独または2種類以上混合して使用される。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4´−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4´−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明で使用される帯電防止剤(B)は、下記一般式(1)で表されるホスホニウム塩を有効成分として含有するものである。
一般式(1):
Figure 2008115253

(一般式(1)中、R、R、RおよびRは炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル基、アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換されていてもよい。また、R、R、RおよびRはそれぞれが同一であっても異なっていてもよい。)
アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、5−メチルヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基等が挙げられる。また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
本発明において、一般式(1)中のR、R、R、Rは、直鎖状又は分岐状のアルキル基が特に好ましい。
一般式(1)で表されるホスホニウム塩の例としては、テトラエチルホスホニウム4フッ化ホウ素、テトラn−ブチルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリメチルn−ドデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリメチルn−ヘキサデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリエチルn−ヘキサデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリエチルn−ドデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリブチルn−オクチルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリブチルn−デシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリブチルn−ドデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリブチルn−ヘキサデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリフェニルn−ブチルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリフェニルn−ドデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリフェニルn−ヘキサデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、テトラn−オクチルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリオクチルn−ドデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリオクチルn−ヘキサデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリプロピルn−ドデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリプロピルn−ヘキサデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリス(ヒドロキシプロピル)n−オクチルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリス(ヒドロキシプロピル)n−ドデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリス(ヒドロキシプロピル)n−テトラデシルホスホニウム4フッ化ホウ素、トリス(ヒドロキシプロピル)n−ヘキサデシルホスホニウム4フッ化ホウ素等が挙げられる。
これらのホスホニウム塩は1種または2種以上で用いられ、これらの中、トリn−ブチルn−ヘキサデシルホスホニウム4フッ化ホウ素またはトリn−ブチルn−ドデシルホスホニウム4フッ化ホウ素が特に好ましい。
本発明の帯電防止剤(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、0.1〜7重量部である。配合量が0.1重量部未満では帯電防止性に劣り、また7重量部を超えると耐衝撃性、透明性が低下するので好ましくない。より好ましくは、2〜5重量部の範囲である。
本発明のりん系酸化防止剤(C)としては、下記一般式(2)〜(4)で表わされる化合物のうち少なくとも1種からなるものが挙げられる。
一般式(2)
Figure 2008115253
(一般式(2)において、R5〜8は炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を示す。また、R5〜R8はそれぞれが同一であっても異なっていてもよい。)
R5〜R8で表される置換基の好適な例としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニルが挙げられる。

一般式(3)
Figure 2008115253
(一般式(3)において、R9〜10は炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を示す。また、R9〜R10はそれぞれが同一であっても異なっていてもよい。)
R9〜R10で表される置換基の好適な例としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニルが挙げられる。
一般式(4)
Figure 2008115253

(一般式(4)において、Arは炭素数1〜20のアルキル基で置換されてもよいアリール基を示す。また、Arはそれぞれが同一であっても異なっていてもよい。)
Arで表される置換基の好適な例としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニルが挙げられる。
りん系酸化防止剤(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.005〜1重量部である。配合量が0.005重量部未満では、熱安定性が劣るので好ましくない。また、1重量部を超えると光線透過率が低下するため好ましくない。この配合量は、好ましくは、0.01〜0.5重量部、より好ましくは0.02〜0.1重量部の範囲である。
本発明にて使用される環状亜リン酸エステル系酸化防止剤(D)としては、フェノール類又はビスフェノール類と三ハロゲン化リンとアミン化合物とを反応させることにより製造されるものが挙げられる。反応方法としては通常、先ずフェノール類又はビスフェノール類と三ハロゲン化リンとを反応させ中間体を生成し、次いでアミン化合物を反応させるという二段反応法が採用される。反応は通常、有機溶剤中で0〜200℃の環境下で行われる。環状亜リン酸エステル系酸化防止剤(D)のうち、特に2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンが好適であり、市販品として入手可能で住友化学社製スミライザーGPが挙げられる。
環状亜リン酸エステル系酸化防止剤(D)の配合量としては、透明な熱可塑性樹脂(A)100重量部あたり0.005〜1重量部である。配合量が0.005重量部未満では熱安定性が劣るので好ましくない。また1重量部を超えると光線透過率が低下するので好ましくない。この配合量は、好ましくは、0.01〜0.5重量部、より好ましくは0.02〜0.1重量部の範囲である。
本発明の帯電防止剤(B)は、他の帯電防止剤と併用することができる。併用することができる他の帯電防止剤としては、広く公知のものを使用することができ、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アンモニウム塩、他のホスホニウム塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリカーボネート樹脂(A)、帯電防止剤(B)、りん系酸化防止剤(C)および亜りん酸エステル系酸化防止剤(D)の混合方法ならびに混合順序には特に制限はなく、公知の混合機、例えば、タンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等により混合し、その後一軸もしくは二軸押出機により溶融混練して行うことができる。
さらに、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、公知の添加剤、例えば、熱安定剤、離型剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染顔料等の添加剤を配合しても良い。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に制限されるものではない。尚、「部」は断りの無い限り、重量基準に基づく。
表1および2に示す配合成分、配合量に基づき、タンブラーを用いて各種配合成分を混合し二軸押出機(日本製鋼所製TEX−30α)を用いて、シリンダー温度250℃にて溶融混練し、各種ペレットを得た。
使用した配合成分は、それぞれ次のとおりである。
1.ポリカーボネート樹脂:
ビスフェノールAと塩化カルボニルから合成されたポリカーボネート樹脂
住友ダウ社製カリバー200−3(粘度平均分子量:28000)
以下「PC」と略記する。)
2.帯電防止剤:トリブチルn−ヘキサデシルホスホニウム4フッ化ホウ素
(以下、帯電防止剤と略記)
3.りん系酸化防止剤:
クラリアントジャパン社製P−EPQ
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及び、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトの混合物。
(以下「P系AO」と略記する。)
4.亜りん酸エステル系酸化防止剤
住友化学社製スミライザーGP
2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(環状亜りん酸エステル系酸化防止剤、以下「環状AO」と略記する。)
得られたペレットを用いて、射出成形機(日本製鋼所製J100SAII)を使用し、シリンダーの設定温度300℃にて各種試験片を作成し、それぞれの試験に供した。
試験方法は以下のとおりである。
メルトフローレート(MFR):
ASTM D−1238に準じて測定した。
30g/10分以下を合格とした。
全光線透過率:
ASTM D1003に準拠して測定した。
87%以上を合格とした。
表面抵抗値:
70x40x3mmの平板を射出成形にて作成し、以下の条件にて測定を行った。
平板試験片を23℃、55%相対湿度の条件で24時間状態調整した後、表面抵抗計 (東亜ディーケーケー社製DSM−8103)を使用し、測定電圧300V、サンプリング時間60秒の条件で表面抵抗値を測定した。
表面抵抗値が1×1014Ω未満を合格とした。
ΔYI
70×40×3mmの平板を射出成形にて成形した後、設定温度300℃のシリンダー内で15分滞留させた後、さらに成形した。滞留前の成形品と滞留後の成形品のイエローネスインデックス(YI)をASTM D−1925に準拠して測定した。滞留前のYIと滞留後のYIとの差をΔYIとし、2以下を合格とした。
試験の結果を表1および2に示す。
Figure 2008115253
Figure 2008115253
実施例1〜3に示すように、本発明の要件を具備したポリカーボネート樹脂組成物は、表面抵抗値をはじめとする必要な性能は全て要求されるレベルを満足している。
一方、本発明の要件を満たさない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1はりん系酸化防止剤が配合されないケースであり、この場合はΔYI値に代表される熱安定性に劣る結果となった。
比較例2はりん系酸化防止剤を本発明の要件である配合量範囲を超えて2部配合したケースであり、この場合は光線透過率、ΔYI値が要求レベルを満足しなかった。
比較例3は帯電防止剤を本発明の要件である配合量範囲よりも少ない0.05部配合したケースであり、光線透過率、MFR値、ΔYI値は問題ないレベルであるが、表面抵抗値は要求レベルを満足しなかった。
比較例4は帯電防止剤を本発明の要件である配合量範囲を超えて8部配合したケースであり、表面抵抗値は問題ないレベルであるが、光線透過率が大きく低下し、また、MFR値も大きく増加し、ΔYI値も要求レベルを満足しなかった。
Figure 2008115253
Figure 2008115253
実施例4〜7に示すように、本発明の要件を具備したポリカーボネート樹脂組成物は、表面固有抵抗値をはじめとする必要な性能は全て要求されるレベルを満足している。
一方、本発明の要件を満たさない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例5は、環状亜りん酸エステル系酸化防止剤が配合されないケースであり、この場合はΔYIに代表される耐熱性に劣る結果となった。
比較例6は、環状亜りん酸エステル系酸化防止剤を本発明の要件である配合量範囲を超えて2部配合したケースであり、この場合は光線透過率、ΔYI値が要求レベルを満足しなかった。
比較例7は、帯電防止剤を本発明の要件である配合量範囲よりも少ない0.05部配合したケースであり、光線透過率、MFR値、ΔYI値は問題ないレベルであるが、表面固有抵抗値は要求レベルを満足しなかった。
比較例8は、帯電防止剤を本発明の要件である配合量範囲を超えて8部配合したケースであり、表面固有抵抗値は問題ないレベルであるが、光線透過率が大きく低下し、MFR値が大きく増加し要求レベルを満足しなかった。
Figure 2008115253
実施例7〜9に示すように、本発明の要件を具備したポリカーボネート樹脂組成物は、表面固有抵抗値をはじめとする必要な性能は全て要求されるレベルを満足している。
一方、本発明の要件を満たさない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例9は、りん系酸化防止剤を本発明の要件である配合量範囲を超えて配合したケースであり、この場合は光線透過率、ΔYI値が要求レベルを満足しなかった。
比較例10は、環状亜りん系酸化防止剤を本発明の要件である配合量範囲を超えて配合したケースであり、この場合は光線透過率、ΔYI値が要求レベルを満足しなかった。

Claims (9)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり下記一般式(1)で表されるホスホニウム塩を有効成分として含有することを特徴とする帯電防止剤(B)0.1〜7重量部およびりん系酸化防止剤(C)0.005〜1重量部を配合してなることを特徴とする帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
    一般式(1):
    Figure 2008115253

    (一般式(1)中、R、R、RおよびRは炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル基、アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換されていてもよい。また、R、R、RおよびRはそれぞれが同一であっても異なっていてもよい。)
  2. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり下記一般式(1)で表されるホスホニウム塩を有効成分として含有することを特徴とする帯電防止剤(B)0.1〜7重量部および環状亜りん酸エステル系酸化防止剤(D)0.005〜1重量部を配合してなることを特徴とする帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
    一般式(1):
    Figure 2008115253

    (一般式(1)中、R、R、RおよびRは炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル基、アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換されていてもよい。また、R、R、RおよびRはそれぞれが同一であっても異なっていてもよい。)
  3. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり下記一般式(1)で表されるホスホニウム塩を有効成分として含有することを特徴とする帯電防止剤(B)0.1〜7重量部、りん系酸化防止剤(C)0.005〜1重量部および環状亜りん酸エステル系酸化防止剤(D)0.005〜1重量部を配合してなることを特徴とする帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
    一般式(1):
    Figure 2008115253
    (一般式(1)中、R、R、RおよびRは炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル基、アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換されていてもよい。また、R、R、RおよびRはそれぞれが同一であっても異なっていてもよい。)
  4. 帯電防止剤(B)成分中のホスホニウム塩がトリn−ブチルn−ヘキサデシルホスホニウム4フッ化ホウ素であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 帯電防止剤(B)成分中のホスホニウム塩がトリn−ブチルn−ドデシルホスホニウム4フッ化ホウ素であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. りん系酸化防止剤(C)が、下記一般式(2)〜(4)で表わされる化合物のうち少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1または3に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
    一般式(2)
    Figure 2008115253
    (一般式(2)において、R5〜R8は炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を示す。また、R5〜R8はそれぞれが同一であっても異なっていてもよい。)
    一般式(3)
    Figure 2008115253

    (一般式(3)において、R9〜10は炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を示す。また、R9〜R10はそれぞれが同一であっても異なっていてもよい。)

    一般式(4)
    Figure 2008115253
    (一般式(4)において、Arは炭素数1〜20のアルキル基で置換されてもよいアリール基を示す。また、Arはそれぞれが同一であっても異なっていてもよい。)
  7. 環状亜リン酸エステル系酸化防止剤(D)が、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンであることを特徴とする請求項2または3に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. りん系酸化防止剤(C)の配合量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.01〜0.5重量部であることを特徴とする請求項1または3に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
  9. 環状亜リン酸エステル系酸化防止剤(D)の配合量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.01〜0.5重量部であることを特徴とする請求項2または3に記載の帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
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