JP2008114611A - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】バッテリ電流の増加を抑制しながらモータの高出力化を図ることができる電動パワーステアリング制御装置を提供する。
【解決手段】操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と17、操舵系に対して操舵補助力を発生させる電動モータ5と、前記操舵トルク検出手段17で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを制御する操舵補助制御手段70と、車載バッテリ1のバッテリ電圧を昇圧する昇圧回路3と、前記昇圧回路3で使用するバッテリ電流を検出するバッテリ電流検出手段74と、前記バッテリ電流が大きくなった場合に昇圧動作を制限するバッテリ電流制限手段70と、前記昇圧回路3の出力側に接続された電気エネルギ蓄積体4とを備え、前記バッテリ電流制限手段70で、バッテリ電流が制限されているときに不足電流分を前記電気エネルギ蓄積体4から前記電動モータ5に供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動モータの駆動回路にバッテリ電圧を昇圧回路で昇圧した昇圧電圧を供給すると共に、駆動回路から電動モータに供給する電力を操舵トルクに基づいて制御するようにした電動パワーステアリング制御装置に関する。
この種の電動パワーステアリング制御装置として、例えば第1の電池とこの第1の電池に接続された昇圧装置と、この昇圧装置に接続された第2の電池と、この第2の電池に接続され、ハンドルの回転力信号に対応したステアリングモータ駆動電力を供給する制御回路と、この制御回路に接続されたステアリングモータとからなり、昇圧装置の容量が前記第2の電池で使用する平均電力よりも大きく、この第2の電池で使用する最大電力よりも小さな容量に設定された電動パワーステアリング制御装置が知られている(例えは、特許文献1参照)。
特公平8−539号公報(第1頁、第3図)
上記特許文献1に記載の従来例にあっては、バッテリで構成される第1の電池の電圧を昇圧装置で昇圧して第2の電池を充電するようにしているので、第2の電池に高電圧を蓄積することができ、この第2の電池の電流をモータが使用する結果、短期間の間は大電力をモータに供給しても、第1の電池の電圧はさほど低下しないと共に、高電圧を蓄積した第2の電池からモータ電力を供給するので、電動モータに流す電流を抑制することができる。
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、昇圧回路と第2の電池を電動パワーステアリングと組み合わせることにより、安価な半導体駆動素子を選択可能とすること、第1の電池の電圧変動を抑えること、小型、軽量、安価なモータを選択可能とすることの課題を解決することができるものであるが、昨今の半導体やモータの設計・製造技術の向上により、上記課題は大幅に改善されている。
これに対し、モータ出力の向上を目的とする場合、バッテリ電流やモータ電流が増加し、その結果、各部の抵抗による電力損失(I×I×R)が増加し、モータ出力向上の妨げとなることが課題となってきており、その対応方法が近年重要な課題となっている。
モータ出力の向上には、モータ駆動を行う場合の電圧又は電流の増加が必要であるが、電流の増加は電力損失(I×I×R)の増加となり、モータ出力向上の妨げとなる。そこで、昇圧回路でモータ駆動電圧を昇圧することによって、モータ電流を抑制することができるので、モータ、モータハーネス、モータ駆動素子などの電力損失を抑制することができる。
一方、バッテリから昇圧回路への入力電流は、昇圧回路の「(出力電流×出力電圧)/(入力電圧×昇圧効率)」で表されるので、モータ駆動電圧の昇圧率に比例してバッテリ電流が増加することになり、結局、モータ出力に比例してバッテリ電流が増加することに変わりはなく、むしろ、昇圧回路で損失されるエネルギの分だけ、バッテリ電流はさらに増加する結果となる。
小型車、中型車へ適用する場合、必要とされるモータ出力から、必要となるバッテリ電流は概ね70A以下程度であるが、大型車への適用を考えた場合には、100A前後のバッテリ電流が必要となる。
これに対して、バッテリと電動パワーステアリング装置の間には、バッテリ内部抵抗、ハーネス抵抗、ヒューズ抵抗、ノイズ除去用コイル抵抗、リレー接点抵抗及び各部の接触抵抗などが存在し、その合計値概ね25mΩ前後となり、バッテリラインにおける電力損失は、図16に示すように、バッテリ電流が70Aから100Aに増加すると、バッテリラインの電力損失は、100W〜150wも増加してしまう。このときの使用可能電力は図17に示すように、950W程度であるから電力損失は、電動パワーステアリング出力の約1/4を熱として捨ててしまうという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、バッテリ電流の増加を抑制しながらモータの高出力化を図ることができる電動パワーステアリング制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る電動パワーステアリング制御装置は、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、操舵系に対して操舵補助力を発生させる電動モータと、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを制御する操舵補助制御手段と、車載バッテリのバッテリ電圧を昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路で使用するバッテリ電流を検出するバッテリ電流検出手段と、前記バッテリ電流が大きくなった場合に昇圧動作を制限するバッテリ電流制限手段と、前記昇圧回路の出力側に接続された電気エネルギ蓄積体とを備え、前記バッテリ電流制限手段で、バッテリ電流が制限されているときに不足電流分を前記電気エネルギ蓄積体から前記電動モータに供給することを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング制御装置は、請求項1に係る発明において、前記電気エネルギ蓄積体は、前記電動モータが短時間で大電力を必要として、前記バッテリ電流制限手段でバッテリ電流が制限されたときに、電流不足分を補うことが可能な容量に設定されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング制御装置は、請求項2に係る発明において、前記電気エネルギ蓄積体は、前記容量を持った電気二重層コンデンサ、アルミ電解コンデンサ等で構成される充電用コンデンサ、鉛バッテリ、リチウムイオン電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池等の二次電池の何れかで構成されていることを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、バッテリ電流制限手段で、電動モータで大電力を消費するときにバッテリ電流を制限し、このバッテリ電流の制限によって不足する電流分を昇圧回路の出力側に接続された電気エネルギ蓄積体から賄うので、バッテリ電流のピーク電流を抑制しながら必要なモータ電流を確保することができ、モータ出力の向上を図ることができると共に、バッテリ電流を制限することにより、バッテリ及び昇圧回路間の電力損失を大幅に抑制してバッテリ電力を効率よく使用することができるという効果が得られる。
また、請求項2に係る発明によれは、電気エネルギ蓄積体が、電動モータが短時間で大電力を必要とする場合に、バッテリ電流制限手段でバッテリ電流が制限されたときに、その電流不足分を補う容量に設定されているので、大容量の電気エネルギ蓄積体を適用する必要がなく、小容量の電気エネルギ蓄積体で済み、製造コストの増加を抑制することができるという効果が得られる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、電気エネルギ蓄積体として充電用コンデンサ又は二次電池を適用するので、構成が大型化することなく、十分な容量の電気エネルギ蓄積体を選択することができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明による電動パワーステアリング制御装置の一実施形態を示す概略構成図である。図中、1は通常の車両に搭載されている定格電圧が12Vのバッテリであって、このバッテリ1から出力されるバッテリ電力が昇圧手段としての昇圧回路3に供給され、この昇圧回路3で昇圧された昇圧出力が電気エネルギ蓄積体4と操舵系に対して操舵補助力を発生する車載用モータ5を駆動するモータ駆動手段としてのモータ駆動回路6に入力されている。このモータ駆動回路6には、バッテリ1のバッテリ電力が制御用電力として供給されている。
ここで、車載用モータ5は、3相交流駆動されるブラシレスモータで構成され、電動パワーステアリング制御装置の操舵補助力を発生する操舵補助力発生用モータとして動作する。この車載用モータ5は、ステアリングホイール11が接続されたステアリングシャフト12に減速機構13を介して連結され、このステアリングシャフト12がラックピニオン機構14に連結され、このラックピニオン機構14がタイロッド等の連結機構15を介して左右の転舵輪16に連結されている。
そして、ステアリングシャフト12には、ステアリングホイール11に入力された操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ17が配設されていると共に、車載用モータ5にはモータ回転角を検出するレゾルバ18が配設され、操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルク検出信号及びレゾルバ18で検出したモータ回転角検出信号が後述するマイクロコンピュータ70へ入力されている。
昇圧回路3は、図2に示すように、バッテリ1の正極側端子1p及び負極側端子1nに接続された入力端子30p及び30nと、これら入力端子30p及び30nに正極ライン31p及び負極ライン31nを介して接続された出力端子32p及び32nとを有する。
正極ライン31pには、リアクトル33とスイッチング素子としての電界効果トランジスタFET1のソース及びドレインが直列に接続されて介挿されている。電界効果トランジスタFET1のソース及びドレイン間にはアノードをソースに、カソードをドレインに接続したダイオードD1が接続されている。
さらに、リアクトル33及び電界効果トランジスタFET1のソースとの接続点と負極ライン31nとの間に、ドレインをリアクトル33側とし、ソースを負極ライン31n側とするスイッチング素子としての電界効果トランジスタFET2が介挿されている。
そして、電界効果トランジスタFET1及びFET2のゲートがゲートドライブ回路34に接続され、このゲートドライブ回路34にマイクロコンピュータ70から出力されるパルス幅変調(PWM)信号が入力されている。
また、入力端子30p及び30n間には、平滑用コンデンサC1が接続されていると共に、この平滑用コンデンサC1と並列に昇圧回路3を制御する後述するマイクロコンピュータ70に対する制御電源を生成する電源回路36が接続されている。
さらに、電源回路36と並列に抵抗R1及びR2を直列に接続したバッテリ電圧Vbを1/10に分圧する分圧回路37が接続され、この分圧回路37の抵抗R1及びR2の接続点から出力されるバッテリ電圧検出信号Vbdが後述するマイクロコンピュータ70のA/D変換入力端子に入力されている。
同様に、出力端子32p及び32n間には、抵抗R3及びR4を直列に接続した昇圧出力電圧DCVOを1/10に分圧する分圧回路39が接続され、この分圧回路39の抵抗R1及びR2の接続点から出力される昇圧出力電圧検出信号DCVOが後述するマイクロコンピュータ70のA/D変換入力端子に入力されている。
そして、昇圧回路3の出力端子32p及び32nのモータ駆動回路6側に電気エネルギ蓄積体4が接続されている。この電気エネルギ蓄積体4は、昇圧回路3から出力される昇圧出力によって充電される電気二重層コンデンサで構成され、この電気二重層コンデンサの容量は、後述する電流制限処理でバッテリ電流Ibが制限されたときに、車載モータ5で必要とするモータ電流との差分を補うに十分な容量例えば0.5F以上に設定されている。なお、電気エネルギ蓄積体4は、電気二重層コンデンサに限らず、アルミ電解コンデンサなどの充電用コンデンサ、鉛バッテリ、リチウムイオン電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池等の二次電池等を適用することができる。
さらに、モータ駆動回路6は、図3に示すように、昇圧回路3の出力端子32p及び32nに接続される接続ライン60p及び60nを介して接続される入力端子61p及び61nを有し、さらに入力端子61pと入力端子61nとの間に抵抗R5及びR6を直列に接続した分圧回路42が接続され、この分圧回路42と並列に平滑用コンデンサC4が接続され、この平滑用コンデンサと並列にインバータ回路63が接続されている。
インバータ回路63は、平滑用コンデンサC4と並列に接続されたスイッチング素子としての電界効果トランジスタFETu及びFETu′の直列回路、この直列回路と並列に接続された電界効果トランジスタFETv及びFETv′の直列回路及びこの直列回路と並列に接続された電界効果トランジスタFETw及びFETw′の直列回路とで3相ブリッジの構成を有する。そして、各直列回路の電界効果トランジスタFETu,FETu′の接続点及び電界効果トランジスタFETw,FETw′の接続点からシャント抵抗Rs1及びRs2を介してモータ出力端子64u及び64wが導出され、電界効果トランジスタFETv及びFETv′の接続点から直接モータ出力端子64vが導出されている。また、インバータ回路63を構成する各電界効果トランジスタFETu〜FETw及びFETu′〜FETw′のゲートにオン・オフ信号を供給するゲートドライブ回路65が設けられ、このゲートドライブ回路65に後述するマイクロコンピュータ70からパルス幅変調(PWM)信号が入力されている。
そして、昇圧回路3及びモータ駆動回路6がマイクロコンピュータ70によって制御されている。
このマイクロコンピュータ70には、図3に示すように、シャント抵抗Rs1及びRs2の両端に接続され、その両端電圧をマイクロコンピュータ70に入力可能な例えば2.5V基準で、20倍に増幅された電流検出信号Imu及びImwを出力する電流検出回路67u及び67wの電流検出信号Imu及びImwがA/D変換入力端子に入力されている。
さらに、マイクロコンピュータ70には、操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルク信号が入力され、これに基づいて操舵トルクを検出するトルク検出回路71からの操舵トルク検出信号TがA/D変換入力端子に入力されると共に、レゾルバ13の出力信号が入力されたモータ回転角信号を出力するモータ回転角検出回路72からのモータ回転角信号θMが入力端子に入力され、さらに車速を検出する車速センサ73から出力される車速検出値Vs及びバッテリ電流を検出するバッテリ電流検出器74から出力されるバッテリ電流検出値Ibが入力されている。
ここで、モータ回転角検出回路72は、励磁信号をレゾルバ13に供給し、このレゾルバ13から出力される余弦及び正弦波信号を受け、これらに基づいてモータ回転角を検出し、このモータ回転角をデジタル値に変換して、12ビットのデジタル信号をマイクロコンピュータ70の入力端子へ供給する。
そして、マイクロコンピュータ70では、図4に示す操舵補助制御処理、図6に示す昇圧制御処理及び図8に示す電流制限処理を実行する。
操舵補助制御処理は、図4に示すように、先ず、ステップS21で電流検出回路67u及び67wで検出した車載用モータ5へ出力する相電流Imu及びImwを読込み、次いでステップS22に移行して、読込んだ相電流Imu及びImwに基づいて相電流Imvを算出し、次いでステップS23に移行して、トルク検出回路61で検出された操舵トルクT及び車速センサ73で検出した車速検出値Vsを読込んでからステップS24に移行する。
このステップS24では、読込んだ操舵トルクT及び車速Vsをもとに図5に示す操舵補助指令値算出マップを参照してモータ指令電流値で表される操舵補助指令値IM *を算出する。
ここで、操舵補助指令値算出マップは、図5に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助指令値IM *をとると共に、車速Vsをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが“0”からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助電流指令値IM *が“0”を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助指令値IM *が操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助電流指令値IM *が急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
次いで、ステップS25に移行して、モータ回転角検出回路72で検出したモータ回転角θMを読込み、次いでステップS26に移行して、ステップS24で算出した操舵補助指令値IM *とモータ回転角θMとに基づいて車載用モータ5のU相、V相及びW相の目標相電流値Imu*、Imv*及びImw*に変換する三相分相処理を行ってからステップS27に移行する。
このステップS27では、ステップS21及びS22で読込んだモータ相電流Imu及びImwとステップS22で算出したモータ相電流Imvと上記ステップS26で変換した目標相電流値Imu*、Imv*及びImw*とに基づいて両者の偏差にPID処理を行って電流指令値Iut、Ivt及びIwtを算出する電流フィードバック処理を行い、次いでステップS28に移行して、算出した各相の電流指令値Iut、Ivt及びIwtに対応するパルス幅変調(PWM)信号を形成し、これをゲートドライブ回路65へ出力してから前記ステップS21に戻る。
また、昇圧制御処理は、所定サンプリング周期毎のタイマ割込処理として実行され、図6に示すように、ステップS31で、モータ回転角検出回路72で検出したモータ回転角θMを読込み、次いでステップS32に移行して、モータ回転角θMを微分してモータ回転速度VMを算出し、次いでステップS33に移行して、モータ回転速度VMを微分してモータ回転加速度αMを算出してからステップS34に移行する。
このステップS34では、ステップS32で算出したモータ回転速度VMが予め設定したモータ回転速度閾値VMS以上であるか否かを判定し、VM<VMSであるときにはモータ回転速度が通常範囲であると判断してステップS35に移行し、ステップS33で算出したモータ回転加速度αMが予め設定したモータ回転加速度設定値αMS以上であるか否かを判定し、αM<αMSであるときにはモータ回転加速度αMが通常範囲内であるものと判断してステップS36に移行し、昇圧回路3での昇圧率α(=DCVO/Vb)が“1”となるように昇圧制御用デューティ比Dを“0”%に設定してからステップS39に移行する。
また、ステップS35の判定結果がαM≧αMSであるときには、緊急回避時等の急操舵状態であるものと判断してステップS37に移行して、昇圧制御用デューティ比Dとして昇圧率αが例えば“3”となる上限デューティ比DMAXを設定してからステップS39に移行する。
一方、ステップS34の判定結果がVM≧VMSであるときには、ステップS38に移行して、モータ回転速度VMをもとに図7に示すデューティ比算出用制御マップを参照して昇圧制御用デューティ比Dを算出してからステップS38aに移行する。
ここで、デューティ比算出用制御マップは、図7に示すように、モータ回転速度VMが設定値VMSであるときに、昇圧制御用デューティ比Dが“0”%に設定され、モータ回転速度VMが設定値VMSより増加するとこれに比例して昇圧制御用デューティ比Dが増加し、昇圧制御用デューティ比Dが予め設定した例えば昇圧回路3から出力される昇圧出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vdの3倍即ち昇圧率αが“3”となる上限デューティ比DMAX(例えば66.6%)に達すると、これ以降はモータ回転速度VMの増加にかかわらず上限デューティ比DMAXを維持するように設定されている。
ステップS38aでは、後述する図8に示す電流制限処理を行ってから前記ステップS39に移行する。
ステップS39では、前回のサンプリング周期におけるステップS36、S37及びS38の何れかで算出した前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1) に基づく昇圧率αとバッテリ1の定格バッテリ電圧Vb*とに基づいてモータ駆動回路6で必要としている入力推定電圧DCVIPを算出し、次いでステップS40に移行して、昇圧回路3から入力される入力電圧DCVIを読込み、次いでステップS41に移行して、入力推定電圧DCVIPから入力電圧DCVIを減算して両者の偏差でなる電圧補正値ΔDCVI(=DCVIP−DCVI)を算出してからステップS42に移行する。
このステップS42では、算出した電圧補正値ΔDCVIに対応する昇圧制御用デューティ比補正値ΔDを算出し、次いでステップS43に移行して、ステップS36、S37及びS38の何れかで算出した昇圧制御用デューティ比D(n) に昇圧制御用デューティ比補正値ΔDを加算した値を今回の昇圧用制御デューティ比D(=D(n) +ΔD)として設定し、次いでステップS44に移行して、設定した昇圧用制御デューティ比Dをパルス幅変調信号に変換して昇圧回路3のゲートドライブ回路34に出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
この図6の処理が昇圧制御指令決定手段を構成する。
さらに、ステップS38aで実行する電流制限処理は、図8に示すように、先ず、ステップS51で、バッテリ1から出力されるバッテリ電流Ibを検出するバッテリ電流検出器74で検出したバッテリ電流Ibを読込み、次いでステップS52に移行して、バッテリ電流Ibが予め設定した設定電流Ibs(例えば70A)以上であるか否かを判定し、Ib<Ibsであるときには、そのまま電流制限を行うことなく電流制限処理を終了して図6のステップS39に移行し、Ib≧Ibsであるときには、ステップS53に移行する。
このステップS53では、昇圧制御用デューティ比Dが予め設定したデューティ比制限値DLIMを超えているか否かを判定し、D≦DLIMであるときにはそのまま電流制限を行うことなく電流制限処理を終了して図6のステップS39に移行し、D>DLIMであるときにはステップS54に移行して、昇圧制御用デューティ比Dをデューティ比制限値DLIMに制限してしてから図6のステップS39に移行する。ここで、デューティ比制限値DLIMはバッテリ電流Ibを例えば80Aに制限する値に設定されている。
この図8の処理がバッテリ電流制限手段を構成している。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、車両が停車しているものとする。この停車状態でイグニッションスイッチをオン状態とすることにより、エンジンが始動されると共に、バッテリ1から昇圧回路3を介してモータ駆動回路6へ直流電力が供給され、昇圧回路3及びモータ駆動回路6を制御するマイクロコンピュータ70に制御電源が投入されて、このマイクロコンピュータ70で所定の処理が実行開始される。
このとき、ステアリングホイール11が操舵されていないものとすると、操舵トルクセンサ17で検出される操舵トルクTが“0”となり、これに応じて図4の操舵補助制御処理で算出される操舵補助電流値IM *が“0”となることにより、車載モータ5に対する電流指令値Iut〜Iwtも“0”となり、ゲートドライブ回路64に出力されるパルス幅変調信号のデューティ比も“0”となって、車載モータ5が停止状態となっている。
この車載モータ5の停止状態では、モータ駆動回路6での電流消費量が零に近い状態であるので、モータ回転速度VMが設定値VMS未満であると共に、バッテリ電流検出器74で検出されるバッテリ電流Ibも“0”に近い状態となっており、設定電流Ibs未満となるので、図6の処理で、ステップS38及びステップS38aに移行することはなく、図8の電流制限処理で電流制限のためのデューティ制限は行われない。
このとき、マイクロコンピュータ70の昇圧制御処理では、電源投入時の初期化処理で昇圧率αが“1”となるように昇圧制御用デューティ比Dが“0”%に設定され、これによって電界効果トランジスタFET2がオフ状態、電界効果トランジスタFET1がオン状態に制御されて、入力端子30p及び30nに供給されるバッテリ電圧Vbがそのまま出力端子32p及び32nに出力され、これが配線を介してモータ駆動回路6へ供給される。
モータ駆動回路6では、前述したようにゲートドライブ回路65に出力するパルス幅変調信号もオフ状態となっており、インバータ回路63を構成する各電界効果トランジスタFETu,FETu′、FETv,FETv′及びFETw,FETw′も全てオフ状態を維持し、モータ出力端子64u、64v及び64wから出力されるモータ相電流Imu、Imv及びImwも“0”となって車載用モータ5が操舵補助力を発生してない停止状態に維持される。
この車載用モータ5の停止状態では、レゾルバ13から出力される回転検出信号も変化せず、このためモータ回転角検出回路72で検出されるモータ回転角θMも一定値となっており、マイクロコンピュータ70で図8の昇圧制御処理を実行したときに、ステップS32及びS33で算出されるモータ回転速度VM及びモータ回転加速度αMも“0”を維持する。
このため、図6の処理でステップS34及びS35を経てステップS36に移行し、昇圧制御用デューティ比Dが昇圧回路3の昇圧率αを“1”とする“0”%に設定される。次いでステップS39に移行して、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1)とバッテリ電圧Vbとに基づいてモータ駆動回路6の入力推定電圧DCVIPを算出する。ここで、マイクロコンピュータ70で制御を実行開始する初期状態では、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1) として初期値“0”%が設定される。
したがって、モータ駆動回路6の入力推定電圧DCVIPは、昇圧制御用デューティ比Dが“0”%で昇圧回路3の昇圧率αが“1”となっているので、バッテリ電圧Vbと等しい値となる。この状態では、前述したようにモータ駆動回路6の入力端子61p及び61nに昇圧回路3からバッテリ電圧Vbがそのまま供給されているので、分圧回路62で検出される入力電圧DCVIがバッテリ電圧Vbとなり、ステップS41で算出される偏差ΔDCVIも“0”となり、ステップS42で算出されるデューティ比補正値ΔDも“0”となる。このため、ステップS36で算出された“0”%の昇圧制御用デューティ比Dをこれに対応するパルス幅変調信号に変換し、これをゲートドライブ回路34へ出力することにより、電界効果トランジスタFET1がオン状態に、電界効果トランジスタFET2がオフ状態に制御される状態を継続して、昇圧率αが“1”に維持される。
このステアリングホイール11へ操舵力が伝達されていない状態から、運転者がステアリングホイール11を所望方向へ操舵する所謂据切りを行うと、これに応じて操舵トルクセンサ17からトルク検出信号が出力され、これに応じて操舵トルク検出回路71から操舵トルクTがマイクロコンピュータ70に入力される。
このマイクロコンピュータ70では、図4の操舵補助力制御処理において、操舵トルクTに対応した操舵補助トルクを車載用モータ5で発生させる操舵補助電流値IM *を演算し、この操舵補助電流値IM *に基づいて車載用モータ5の各相の電流指令値Iut、Ivt及びIwtを算出し、これら各相電流指令値Iut、Ivt及びIwtに基づいてインバータ回路63の各制御素子を駆動制御する。
このため、図9(a)の区間T1で示すように、車載用モータ5で必要とする大きな操舵補助トルクを発生させることができ、ステアリングホイール11を軽く操舵することができる。このときの車載用モータ5のモータ回転速度VMは図9(b)の区間T1で示すように比較的遅いものとなり、モータ回転速度VMが回転速度閾値VMS以上となることはないと共に、モータ回転加速度αMが設定値αMS以上となることもないので、図6の昇圧制御処理でステップS36に移行して、昇圧制御用デューティ比Dを“0”%に設定する状態を維持する。
この車両の停車状態から車両を発進させて走行状態とし、この状態でステアリングホイール11を操舵する通常操舵状態では、車速の増加に応じて必要とする操舵補助トルクが小さくなることから、ステアリングホイール11に伝達される操舵トルクも小さい値となり、これが操舵トルクセンサ17で検出されてマイクロコンピュータ70に入力される。このため、操舵補助電流値IM *も小さい値となり、車載用モータ5で発生される操舵補助トルクは図9(a)の区間T2で示すように、据切り時の操舵補助トルクに比較して小さくなると共に、モータ回転速度VMも図9(b)の区間T2で示すようにより小さい値となることによって、図6の処理でステップS34及びS35を経てステップS36に移行して、昇圧制御用デューティ比Dを“0”%に維持する。
このように昇圧回路3の昇圧率αが“1”に設定されている状態即ち昇圧回路3の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbに設定されている状態では、両者間を流れる電流の増加に応じて昇圧回路3及びモータ駆動回路6間の配線抵抗による電圧降下が生じる。
しかしながら、上記実施形態では、マイクロコンピュータ70で実行する図6の昇圧制御処理において、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1) に基づいて昇圧回路3の昇圧率αを算出し、昇圧率αにバッテリ1の定格バッテリ電圧Vb*を乗算してモータ駆動回路6で必要とする必要入力電圧DCVIPを算出し(ステップS39)、算出した必要入力電圧DCVIP から現在のモータ駆動回路6の入力電圧VVIを減算して配線抵抗による電圧降下分に対応する電圧補正値ΔDCVIを算出する(ステップS41)。
次いで、算出した電圧補正値ΔDCVIに対応するデューティ比補正値ΔDを算出し(ステップS42)、算出したデューティ比補正値ΔDで、ステップS36で算出した昇圧制御用デューティ比Dを補正した値を昇圧制御用デューティ比Dとして算出し(ステップS43)、これをパルス幅変調信号に変換する。
このため、昇圧回路3で配線抵抗による電圧降下分を補正した昇圧率αとなるようにパルス幅変調信号が形成され、これがゲートドライブ回路34に供給されて、電界効果トランジスタFET2及びFET1のオン・オフ比が制御されることにより、昇圧回路3の出力電圧DCVOが配線抵抗による電圧降下分増加され、モータ駆動回路6で必要とする入力電圧DCVIが供給される。
したがって、昇圧回路3とモータ駆動回路6との間の配線抵抗による電圧降下や、他の車載機器による電力消費によってモータ駆動回路6に印加される入力電圧DCVIが低下することを確実に防止することができ、車載用モータ5を図10で実線図示のように車載用モータ5をモータ最大特性で駆動制御することができる。
このモータ最大特性は、横軸にモータ回転速度VM〔min-1〕をとり、縦軸に車載用モータ5の出力トルク〔N・m〕をとって形成され、モータ回転速度VMが“0”から設定回転速度VMSに達するまでの間最大電流を出力して最大トルクTmaxを出力することができる。
因みに、昇圧制御処理で電圧降下補償を行わない場合には、昇圧回路3とモータ駆動回路6との間の配線抵抗を20mΩとしたとき、バッテリ1から流れる電流が増加することにより、図12に示すように配線抵抗による電圧降下が発生し、電流値が80Aに達すると電圧降下は2Vとなり、モータ駆動回路6に印加される入力電圧DCVIは10Vにまで低下することになる。
この電圧降下の影響により、車載用モータ5のモータ最大特性は、前述した図10において破線図示のようにモータ回転速度VMの増加に伴って電流値が増加し電圧降下が大きくなることにより、出力トルクが徐々に低下することになり、図10でハッチング図示の領域で、モータ最大特性を発揮することができなくなり、操舵補助制御特性が劣化することになる。
しかしながら、上記実施形態においては、前述したようにマイクロコンピュータ70の昇圧制御処理で配線抵抗等によって生じるモータ駆動回路6の入力電圧DCVIの電圧降下分を補償するので、常にモータ最大特性を発揮して、最適な操舵補助制御を行うことができる。
一方、走行状態で、他車線からの割込みや対向車線からの対向車のセンターラインを越えるはみ出し走行等によって例えば左切りの緊急回避操作を行うと、このときのステアリングホイール11に伝達される操舵トルクは、図9(a)の区間T3で示すように、通常時の操舵トルクよりは大きく、据切り時よりは小さい値となるが、車載用モータ5のモータ回転速度VMは、図9(b)の区間T3で示すように、正方向に増加してモータ回転速度閾値VMS以上となる。
この緊急回避操作では、図12(c)に示すように、車載用モータ5のモータ回転速度VMが時点t1で設定回転速度(回転速度閾値)VMS以上となると、図6の昇圧制御処理において、ステップS34からステップS38に移行して図7に示すデューティ比算出用制御マップを参照してモータ回転速度VMに応じた“0”%より大きい昇圧制御用デューティ比Dが算出される。
このとき、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1) に基づいて算出した入力推定電圧DCVIPとモータ駆動回路6の分圧回路62で検出した入力電圧DCVIとの偏差ΔDCVIが“0”であるものとすると、ステップS38で算出された昇圧制御用デューティ比Dがパルス幅変調信号に変換されて昇圧回路3のゲートドライブ回路34へ出力する。
このため、パルス幅変調信号のデューティ比に応じて電界効果トランジスタFET2及びFET1がオン・オフ制御されて、電界効果トランジスタFET2がオン状態である区間でリアクトル33にエネルギが蓄積され、この蓄積されたエネルギが、電界効果トランジスタFET1がオン状態となる区間で出力端子32pに出力されることにより、昇圧回路3の昇圧率αが“1”より増加し、出力端子32pから出力される出力電圧DCVOが図12(a)に示すように、モータ回転速度VMが設定回転速度VMSより増加するに応じて増加される。
その後、時点t2でモータ回転速度VMがさらに増加して、マイクロコンピュータ70で算出される昇圧制御用デューティ比Dが上限デューティ比DMAXに達する設定回転速度VMSHに達すると、昇圧回路3の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbの3倍の36Vとなり、その後モータ回転速度VMが設定回転速度VMSHを超える状態となっても昇圧制御用デューティ比Dが上限デューティ比DMAXに制限されることにより、昇圧回路3の昇圧率αは“3”に維持されて出力電圧DCVOはバッテリ電圧Vbの3倍の状態を維持する。
その後、時点t3でモータ回転速度VMが設定回転速度VMSHを下回ると、モータ回転速度VMの低下に応じてマイクロコンピュータ46で算出される昇圧制御用デューティ比Dが上限デューティ比DMAXより減少することにより、昇圧回路3の出力電圧DCVOが減少し、時点t4でモータ回転速度VMが設定回転速度VMSを下回ると、マイクロコンピュータ70で実行する図6の処理でステップS34からステップS35を経てステップS36に移行して、昇圧制御用デューティ比Dが“0”%に復帰され、これに応じて昇圧回路3の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbに復帰する。その後、左切り操舵状態での保舵状態となると、モータ回転速度VMが“0”となる。
その後、ガードレール等に接近することにより、時点t5で、ステアリングホイール11を左切り操舵状態から操舵中立位置側に急操舵で切り戻す状態となると、モータ回転速度VMが負方向に増加し、時点t6で設定回転速度VMSを超えると、昇圧用デューティ比Dが“0”%から増加し始めることにより、昇圧回路3の昇圧率αが“1”から増加して昇圧回路3の出力電圧DCVOが図12(a)に示すようにバッテリ電圧Vbから増加する。その後、時点t7でモータ回転速度VMが設定回転速度VMSHに達して昇圧制御用デューティ比Dが上限デューティ比DMAXに達すると、昇圧回路3の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbの3倍の最大電圧VMAXとなる。その後、時点t8でモータ回転速度VMが設定回転速度VMSHを下回ると、モータ回転速度VMの減少に応じて昇圧制御用デューティ比Dが上限デューティ比DMAXより減少することにより、昇圧回路3の出力電圧DCVOが減少し、時点t9でモータ回転速度VMが設定回転速度VMSを下回ると、昇圧制御用デューティ比Dが“0”%に設定されて昇圧回路3の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbに復帰する。
このように、緊急回避操舵時には、モータ駆動回路6に供給される入力電圧DCVIがバッテリ電圧Vbの3倍までの範囲で上昇されるので、車載用モータ5の回転速度と出力トルクとの関係を示すモータ特性は、図13で実線図示の12Vのバッテリ電圧Vbで制限される特性線に制限されている状態から点線図示の36Vの充電電圧Vcで制限される特性線に移行し、同一電流制約時に、より大きい出力(電流×電圧)を出すことができ、車載用モータ5が高い回転速度となっても、操舵補助トルクの不足を回避することができる。
さらに、バッテリ電流検出器74で検出したバッテリ電流Ibが設定電流Ibs以上となると、図8の電流制限処理において、ステップS53に移行して、デューティ比Dがデューティ比制限値DLIMを超えているか否かを判定し、昇圧制御用デューティ比Dがデューティ比制限値DLIMを超えているときには、昇圧制御用デューティ比Dがデューティ比制限値DLIMに制限され、これに応じて出力電圧DCVOが制限されることによりバッテリ電流Ibが最大で例えば80Aに制限される。
このとき、ステアリングホイール11の操舵角は最大でステアリングホイール11の左右操舵時のロック位置間で規定される。このため、車載モータ5が一方向に駆動される時間は、最大操舵角で制限される。また、停車中に高速で転舵する時が、最も操舵補助力を必要とするが、操舵時間は短い。さらに、使用頻度の高いステアリングホイールの中立点付近即ち直線走行時のステアリングホイール位置では、必要とされる操舵補助力は小さく、生涯使用期間の約80%がモータ駆動による操舵補助力を必要としない。
つまり、電動パワーステアリング制御装置が電力を消費する多様な操舵条件のなかで、最もピーク電流が大きくなるのは右操舵のロック位置から左操舵のロック位置までの範囲で高速な据え切りを行ったときであり、このときのバッテリ電流波形は図14に示すようになり、ピーク電流は115Aにまで達する。
ところが、上記実施形態では、図8の電流制限処理で、バッテリ電流Ibが設定電流Ibs以上となり、且つ昇圧制御用デューティ比Dがデューティ比制限値DLIMを超える状態となると、昇圧制御用デューティ比Dがデューティ比制限値DLIMに制限されることにより、バッテリ1から昇圧回路3に供給されるバッテリ電流Ibは図15で実線図示のように例えば80Aに電流制限される。
このため、モータ駆動回路6で必要とする電流が不足することになるが、バッテリ電流Ibが設定電流Ibsに達するまでの間で、昇圧回路3から出力される昇圧出力は、モータ駆動回路6に電力を供給すると共に、電気エネルギ蓄積体4にも昇圧出力を供給するので、この電気エネルギ蓄積体4が充電される。この電気エネルギ蓄積体4の容量が前述したように0.5F程度に設定されているので、バッテリ電流Ibが電流制限処理で80Aに制限されている間に、モータ駆動回路6で必要とする電流に対する昇圧回路3の昇圧出力で不足する電流分を電気エネルギ蓄積体4からモータ駆動回路6へ電力を供給することにより、モータ駆動回路6で必要とするピーク電力を確保することができる。
このように、モータ駆動回路6で大電力を必要とする際に、電流制限処理で、バッテリ電流を80Aに制限することにより、バッテリ1と昇圧回路3との間には例えばバッテリ内部抵抗、ハーネス抵抗、ヒューズ抵抗、ノイズ除去用コイル抵抗、リレー接点抵抗、及び各部の接触抵抗などが存在し、その合計値は概ね25mΩ前後となり、バッテリラインにおける電力損失は、図16に示すように、160W程度となる。このときの使用可能な電力は、図17に示すように、800W程度であり、使用可能電力に対する電力損失分は1/5で済むことになり、熱として捨ててしまう電力損失を従来の1/4から大幅に改善することができる。
因みに、高速操舵を繰り返した場合に、電流制限を行わない場合には、バッテリ電流Ibのピーク電流値は115A程度となり、このときの電力損失は図16から330W程度であり、使用可能な電力は図17から1050W程度となることから、電力損失が使用可能な電力の約1/3にまで増加することになり、使用可能な電力の1/3を熱として捨てしまう結果となる。
このように、本実施形態によると、昇圧回路3の出力側に電気エネルギ蓄積体4を設けて、この電気エネルギ蓄積体4にモータ駆動回路6で短時間の間で大電力を必要とする場合に、バッテリ1のバッテリ電流Ibを電流制限処理で制限した状態で、不足する電気エネルギを電気エネルギ蓄積体4から供給することができるので、車載モータ5で必要な操舵補助力を十分に発生させることができると共に、バッテリ電流Ibを電流制限処理で制限することにより、バッテリ1及び昇圧回路3間の抵抗による電力損失を従来例に比較して大幅に減少させることができる。
しかも、電気エネルギ蓄積体4の容量は、前述したように、最もバッテリ電流が高くなる据え切り時の急操舵を行って場合でも、例えばバッテリ電流Ibが80A以上となる時間は長くて0.4秒程度であり、この間の電流不足を賄えればよいので、大容量を必要とせず、小容量の電気エネルギ蓄積体を適用することができる。
さらに、バッテリ電流Ibを設定電流Ibsに制限することにより、ハーネス径やヒューズ容量を低減することができると共に、バッテリ電流Ibを過剰に消費することによりバッテリ電圧の低下を防止することができ、車両の電装システムが停止するおそれを確実に回避することができる。
なお、上記実施形態においては、マイクロコンピュータ70で昇圧回路3及びモータ駆動回路6を制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、昇圧回路3とモータ駆動回路6とに個別のマイクロコンピュータを適用し、これらで図4及び図6の処理を個別に行うようにしてもよい。この場合、図8の電流制御処理は昇圧回路3を制御するマイクロコンピュータで実行すればよい。
また、上記実施形態においては、昇圧回路3を構成する昇圧チョッパをリアクトル23と2つの電界効果トランジスタFET1及びFET2で構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電界効果トランジスタFET1に代えてダイオードを適用するようにしてもよく、また昇圧チョッパに代えてDC−DCコンバータ、スイッチドキャパシタ等の任意の昇圧回路を適用することができる。
さらに、上記実施形態においては、モータ回転角がレゾルバ13を使用して検出される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ロータリエンコーダやホール素子等を使用した回転角センサを適用するようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、車載用モータ5としてブラシレスモータを適用し、このブラシレスモータを三相交流駆動する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、5相以上の交流駆動するようにしてもよく、さらには直流モータを適用してHブリッジ回路により直流モータを駆動するようにしてもよい。
なおさらに、上記実施形態においては、昇圧回路3の昇圧制御を図6に基づいて行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、モータ駆動態様にかかわらず一定電圧に昇圧するようにしてもよい。
本発明の一実施形態を示す概略構成図である。 本発明を適用し得る昇圧回路の一例を示すブロック図である。 本発明に適用し得るモータ駆動回路の一例を示すブロック図である。 マイクロコンピュータで実行する操舵補助制御処理手順の一例を示すフローチャートである。 操舵補助電流値算出用制御マップを示す特性線図である。 マイクロコンピュータで実行する昇圧制御処理手順の一例を示すフローチャートである。 デューティ比算出用制御マップを示す特性線図である。 マイクロコンピュータで実行する電流制限処理手順の一例を示すフローチャートである。 操舵制御動作の説明に供するタイムチャートである。 モータ回転速度と出力トルクとの関係を示す特性線図である。 配線抵抗による電圧降下の説明に供する特性線図である。 緊急回避操舵時における昇圧制御動作の説明に供するタイムチャートである。 昇圧制御における電動機特性を示す特性線図である。 高速操舵時の電流制限を行わない場合のバッテリ電流波形を示すタイムチャートである。 高速操舵時の電流制限を行った場合のバッテリ電流波形を示すタイムチャートである。 バッテリ電流と電力損失の関係を示す特性線図である。 バッテリ電流と使用可能電力との関係を示す特性線図である。
符号の説明
1…バッテリ、3…昇圧回路、4…電気エネルギ蓄積体、5…車載モータ、6…モータ駆動回路、11…ステアリングホイール、12…ステアリングシャフト、13…減速装置、17…トルクセンサ、18…レゾルバ、FET1,FET2…電界効果トランジスタ、34…ゲートドライブ回路、63…インバータ、65…ゲートドライブ回路、70…マイクロコンピュータ、73…車速センサ、74…バッテリ電流検出器

Claims (3)

  1. 操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、操舵系に対して操舵補助力を発生させる電動モータと、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを制御する操舵補助制御手段と、車載バッテリのバッテリ電圧を昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路で使用するバッテリ電流を検出するバッテリ電流検出手段と、前記バッテリ電流が大きくなった場合に昇圧動作を制限するバッテリ電流制限手段と、前記昇圧回路の出力側に接続された電気エネルギ蓄積体とを備え、前記バッテリ電流制限手段で、バッテリ電流が制限されているときに不足電流分を前記電気エネルギ蓄積体から前記電動モータに供給することを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  2. 前記電気エネルギ蓄積体は、前記電動モータが短時間で大電力を必要として、前記バッテリ電流制限手段でバッテリ電流が制限されたときに、電流不足分を補うことが可能な容量に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング制御装置。
  3. 前記電気エネルギ蓄積体は、前記容量を持った電気二重層コンデンサ、アルミ電解コンデンサ等で構成される充電用コンデンサ、鉛バッテリ、リチウムイオン電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池等の二次電池の何れかで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング制御装置。
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