JP2008114180A - 中空状多孔質膜用支持体、中空状多孔質膜およびそれらの製造方法 - Google Patents
中空状多孔質膜用支持体、中空状多孔質膜およびそれらの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】糸16を丸編した円筒状編紐12からなる支持体10;糸16を丸編して円筒状編紐12を編成する工程を有する支持体10の製造方法;支持体10と、支持体10の外周面に設けられた多孔質膜層とを有する中空状多孔質膜;支持体10の外周面に、多孔質膜層の材料および溶剤を含む製膜原液を塗布し、凝固させることによって多孔質膜層を形成する中空状多孔質膜の製造方法。
【選択図】図3
Description
製紐機は、小分けした多数のボビンが複雑な動きをしているため、製紐速度を上げることが困難である。製紐速度は、およそ10〜20m/hrであり、生産性が低いという問題がある。生産性が低いと、支持体のコストが上昇し、その結果、該支持体を用いる中空状多孔質膜のコストの上昇にもつながる。
組紐は、構成するすべての糸が斜めに組まれ、また、製紐のためにボビンが複雑な動きをするため、製紐過程で付加された張力等の残留歪を有する。該歪を除去する方法として、製紐機で製造された組紐を、籠等に貯留し、熱水、乾燥炉等で熱処理し、その後、巻き取る方法が挙げられる。したがって、原糸からボビンへの糸の小分け工程、製紐工程、熱処理工程、巻き取り工程という繁雑な工程を経なければならず、製紐機の製紐速度が低いことも伴って、生産性の向上の障害となっている。
なお、製紐工程および熱処理工程を連続して行う製紐機が提案されている(特許文献5)。しかし、該製紐機を用いたところで、製紐機の紐製速度自体が向上するわけではない。
組紐は、通常、伸縮性を有しており、張力を付与すると伸びて、その外径は小さくなる。よって、円筒状組紐からなる支持体に製膜原液を塗布する際に、支持体にかかる張力が変動すると、支持体の外径が変化する。その結果、環状ノズルの管路の内周面と支持体との間隙が変化するため、環状ノズルの内径および製膜原液の吐出量が一定の場合、製膜原液を均一な厚さで塗布できない。また、凝固工程において、製膜原液が完全に凝固する前に支持体が伸びた場合、多孔質膜層にピンホール等の膜構造の欠陥が発生するおそれがある。
また、円筒状編紐を加熱された金型に通して、特定の温度で熱処理を施すことにより、円筒状編紐の伸縮性(外径変化)を抑えることができることを見出した。
前記円筒状編紐の編目の数は、1周あたり5以上であることが好ましい。
前記糸の繊度は、200〜1000dtexであることが好ましい。
前記円筒状編紐は、下記式(1)で表される範囲内の温度t(℃)で熱処理された編紐であることが好ましい。
Tm−80℃≦t<Tm ・・・(1)。
式中、Tmは、糸の材料の溶融温度(℃)である。
(a)糸を丸編して円筒状編紐を編成する工程。
本発明の中空状多孔質膜用支持体の製造方法は、さらに下記(b)工程を有することが好ましい。
(b)前記円筒状編紐を、上記式(1)で表される範囲内の温度t(℃)で熱処理する工程。
前記貫通孔の、円筒状編紐の入り口側の内径Dは、前記貫通孔の、円筒状編紐の出口側の内径d以上であることが好ましい。
前記内径dは、熱処理前の円筒状編紐の外径の50〜100%であることが好ましい。
前記金型の上流側に設けられた紐供給装置と、前記金型の下流側に設けられた引取り装置とによって、前記円筒状編紐を前記金型の貫通孔に連続的に通すことが好ましい。
本発明の中空状多孔質膜の製造方法は、本発明の中空状多孔質膜用支持体の外周面に、多孔質膜層の材料および溶剤を含む製膜原液を塗布し、凝固させることによって多孔質膜層を形成することを特徴とする。
本発明の中空状多孔質膜用支持体が、上記式(1)で表される範囲内の温度tで熱処理された編紐であれば、伸縮性(外径変化)が抑制され、かつつぶれにくい。
本発明の中空状多孔質膜用支持体の製造方法が、さらに前記(b)工程を有していれば、伸縮性(外径変化)が抑制され、かつつぶれにくい中空状多孔質膜用支持体を生産性よく製造できる。
本発明の中空状多孔質膜は、支持体が上記式(1)で表される範囲内の温度tで熱処理された円筒状編紐からなるものであれば、多孔質膜層の膜厚のバラツキが小さく、多孔質膜層に欠陥が少ない。
本発明の中空状多孔質膜の製造方法において、支持体として上記式(1)で表される範囲内の温度tで熱処理された円筒状編紐からなるものを用いれば、多孔質膜層の膜厚のバラツキが小さく、多孔質膜層に欠陥が少ない中空状多孔質膜を安定して製造できる。
図1は、本発明の中空状多孔質膜用支持体(以下、支持体と記す。)の一例を示す側面図である。支持体10は、糸を丸編した円筒状編紐12からなる。
糸の材料としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維等が挙げられる。糸は、複数種類の繊維を組み合わせたものであってもよい。
再生繊維としては、ビスコース法、銅−アンモニア法、有機溶剤法等により得られるセルロース系再生繊維(レーヨン、キュプラ、ポリノジック等。)が挙げられる。
天然繊維としては、亜麻、黄麻等が挙げられる。
円筒状編紐12(支持体10)の内径は、濾過した水の通水性の低下を抑える点から、1.0mm以上が好ましい。
編目の数の上限は、円筒状編紐12の外径、糸の繊度、編目の大きさ等により決まる。編目が大きい場合、製膜原液を支持体10に塗布する際に、製膜原液が支持体10の内部に流入して中空部が閉塞するおそれがある。したがって、同じ外径の円筒状編紐12を製造する場合、糸の繊度が高いと編目の数は少なく、繊度が低いと編目の数は多く設定する必要がある。編目数の上限値は、円筒状編紐12の外径が5.0mm、糸の繊度が200dtexのとき最大となり、その数は28である。
Tm−80℃≦t<Tm ・・・(1)。
式中、Tmは、糸の材料の溶融温度(℃)である。糸の材料の溶融温度は、JIS−L−1013の方法で測定する。
図3は、支持体10の製造に用いられる支持体製造装置の一例を示す概略構成図である。支持体製造装置20は、複数のボビン22と、ボビン22から引き出された糸16を丸編する丸編機24と、丸編機24によって編成された円筒状編紐12を一定の張力で引っ張る紐供給装置26と、円筒状編紐12を熱処理する金型28と、熱処理された円筒状編紐12を引き取る引取り装置30と、円筒状編紐12を支持体10としてボビンに巻き取る巻取り機32とを具備する。
図4は、金型28の、円筒状編紐12の入り口側端面、側断面、および円筒状編紐12の出口側端面を示す図である。金型28の本体には、貫通孔34が形成されている。
貫通孔34は、円筒状編紐12の出口側に、長さLのストレート部を有する。
貫通孔34は、円筒状編紐12の引っ掛かりを回避する点から、ストレート部以外では、内周面がテーパーを有することが好ましい。
金型28は、一体構造であってもよく、上下二分割構造であってもよい。円筒状編紐12を通しやすい点から、上下二分割構造が好ましい。
支持体10は、下記(a)工程、および必要に応じて下記(b)工程を有する製造方法によって製造される。
(a)糸16を丸編して円筒状編紐12を編成する工程。
(b)前記円筒状編紐12を、下記式(1)で表される範囲内の温度t(℃)で熱処理する工程。
Tm−80℃≦t<Tm ・・・(1)。
式中、Tmは、糸の材料の溶融温度(℃)である。
円筒状編紐12は、丸編機24を用いて編成される。
製紐速度は、円筒状編紐12の形状により若干変わるが、シリンダの回転数によってほぼ決まる。シリンダ回転数は、1〜4000rpmに設定可能であり、安定して編成できる点から、100〜3000rpmが好ましい。この際の製紐速度は、およそ6〜200m/hrであり、最大で組紐の製紐速度の10倍となる。
円筒状編紐12は、その構造上、伸縮性を有している。よって、円筒状編紐12に熱処理を施すことによって、円筒状編紐12の伸縮性(外径変化)を抑制することが好ましい。また、円筒状編紐12に熱処理を施すことによって、円筒状編紐12がつぶれにくくなる。
糸16の材料がポリエステル系繊維の場合、材料のTmにもよるが、温度tは180〜250℃が好ましく、190〜230℃がより好ましい。
また、図5に示すように、丸編機24を設けず、あらかじめ製造され、ボビン等に巻き取られた円筒状編紐12をボビン36等から供給し、金型28に通して熱処理された円筒状編紐12(支持体10)を製造してもよい。
本発明の中空状多孔質膜は、本発明の中空状多孔質膜用支持体と、該支持体の外周面に設けられた多孔質膜層とを有するものである。
多孔質膜層の膜厚は、100〜350μmが好ましく、150〜300μmがより好ましい。
中空状多孔質膜の外径は、1.5〜6.0mmが好ましく、2.0〜3.5mmがより好ましい。
中空状多孔質膜は、多孔質膜層が2層の複合多孔質膜層の場合、下記(i)〜(vii)工程を有する製造方法によって製造される。
(i)支持体の外周面に製膜原液を塗布する工程。
(ii)支持体に塗布された製膜原液を凝固させて、第1の多孔質膜層を形成し、中空状多孔質膜前駆体を得る工程。
(iii)中空状多孔質膜前駆体の外周面に製膜原液を塗布する工程。
(iv)中空状多孔質膜前駆体に塗布された製膜原液を凝固させて、第2の多孔質膜層を形成し、中空状多孔質膜を得る工程。
(v)中空状多孔質膜を洗浄する工程。
(vi)中空状多孔質膜を乾燥する工程。
(vii)中空状多孔質膜を巻き取る工程。
環状ノズル42の中央には、支持体10が通過する管路が形成されている。管路の途中には、管路の円周方向にスリット状の製膜原液吐出口が上流側および下流側に2箇所形成され、組成の異なる2種類の製膜原液を吐出する構造となっている。
支持体10が管路を通過する際、原液供給装置44から2種類の製膜原液が一定量で供給され、まず支持体10の外周面に製膜原液(2)が塗布され、ついで、製膜原液(2)の上に製膜原液(1)が塗布されて所定の膜厚の塗膜が形成される。
製膜原液(2)(100質量%)中の多孔質膜層の材料の濃度は、0.1〜12質量%が好ましい。
環状ノズル42の温度は、20〜40℃が好ましい。
支持体10には、ガイドロール48の回転抵抗、(ii)、(iv)工程における凝固液の抵抗、(v)工程における洗浄液の抵抗等によって、少なからず張力(荷重)が加わる。該張力は、通常、0.5〜9.8Nである。
張力が小さすぎると下記問題点がある。
問題点I:
支持体10がガイドロール48等から外れる等のトラブルが発生しやすい。
問題点II:
支持体10の外径が大きくなり、環状ノズル42の管路の内周面と支持体10との間隙が狭くなる。その結果、塗膜の膜厚が薄くなったり、塗布されなかった製膜原液が垂れ落ちたりする。
問題点III:
支持体10(円筒状編紐12)の肉厚が薄い場合、ガイドロール48等を通過する際に支持体10の中空部がつぶれやすい。
問題点IV
支持体10が伸びて、支持体10の外径が小さくなる。そのため、環状ノズル42の管路の内周面と支持体10との間隙が広くなる。その結果、塗膜の膜厚が厚くなったり、塗膜が形成されない箇所が発生したりする。
(ii)工程において、製膜原液が完全に凝固する途中で、支持体10が伸びてピンホール等の膜構造の欠陥となったり、ガイドロール48に支持体10が押し付けられるため、塗膜が押しつぶされ、変形、ピンホール等の膜構造の欠陥となったりする。
よって、以上の問題点を解決するために、支持体10としては、伸縮性(外径変化)が抑制され、かつつぶれにくい、熱処理を施した円筒状編紐12を用いる。
凝固浴槽46内の凝固液と製膜原液の塗膜とを接触させ、製膜原液を凝固させて、第1の多孔質膜層を形成し、中空状多孔質膜前駆体18を得る。
凝固液としては、製膜原液の溶剤と同じ溶剤を含む水溶液が好ましい。製膜原液の溶剤がN,N−ジメチルアセトアミドの場合、溶剤の濃度は、凝固液(100質量%)中、1〜50質量%が好ましい。
(ii)工程と(iii)工程との間でも、後述の(v)〜(vii)工程を行ってもよい。
(i)〜(ii)工程で用いた装置と同様の装置を用い、(i)〜(ii)工程と同様な条件にて、中空状多孔質膜前駆体18の外周面に第2の多孔質膜層を形成し、中空状多孔質膜を得る。
(iii)工程においては、製膜原液(2)として内部凝固液を用いてもよい。内部凝固液としては、グリセリン、アルコール類、エチレングリコール等が挙げられる。
例えば、中空状多孔質膜を60〜100℃の熱水中で洗浄して溶剤を除去し、ついで、次亜塩素酸等の薬液で洗浄し、ついで、60〜100℃の熱水中で洗浄して薬液を除去する。
中空状多孔質膜を、60℃以上100℃未満で、1分以上24時間未満乾燥した後、ボビン、カセ等に巻き取る。
(支持体の外径)
支持体の外径は、レーザー外形測定器(キーエンス社製、LS3000)を用いて測定した。サンプル長さは10cmとし、3回測定して平均値を求めた。
支持体に、テンシロン型引張試験機(オリエンテック社製、UCT−1T型)により引張荷重を加え、各荷重における支持体の外径をレーザー外形測定器(キーエンス社製、LS3000)を用いて測定した。サンプル長さは5cmとし、各荷重において3回測定して平均値を求めた。
支持体に、テンシロン型引張試験機(オリエンテック社製、UCT−1T型)により引張荷重を加え、各荷重における支持体の伸度を測定した。サンプル長さは5cmとし、各荷重において3回測定して平均値を求めた。
中空状多孔質膜の外径は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルを約10cmに切断し、数本を束ねて、全体をポリウレタン樹脂で覆った。ポリウレタン樹脂は支持体の中空部にも入るようにした。
ポリウレタン樹脂硬化後、カミソリ刃を用いて厚さ(膜の長手方向)約0.5mmの薄片をサンプリングした。
次に、サンプリングした中空状多孔質膜の断面を、投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、対物レンズ100倍にて観察した。
観察している中空状多孔質膜断面のX方向、Y方向の外表面の位置にマーク(ライン)をあわせて外径を読み取った。これを3回測定して外径の平均値を求めた。
中空状多孔質膜の内径は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルは外径を測定したサンプルと同様の方法でサンプリングした。
次に、サンプリングした中空状多孔質膜の断面を、投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、対物レンズ100倍にて観察した。
観察している中空状多孔質膜断面のX方向、Y方向の支持体内面の位置にマーク(ライン)をあわせて内径を読み取った。これを3回測定して内径の平均値を求めた。
多孔質膜層の膜厚は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルは外径を測定したサンプルと同様の方法でサンプリングした。
次に、サンプリングした中空状多孔質膜の断面を、投影機(ニコン社製、PROFILE PROJECTOR V−12)を用い、対物レンズ100倍にて観察した。
観察している中空糸膜断面の3時方向位置の膜厚の外表面と内表面の位置にマーク(ライン)をあわせて膜厚を読み取った。同様に、9時方向、12時方向、6時方向の順で膜厚を読み取った。これを3回測定して内径の平均値を求めた。
中空状多孔質膜の透水性能は、以下の方法で測定した。
測定するサンプルを4cmに切断し、片端面をポリウレタン樹脂で中空部を封した。
次にエタノール中で5分間以上減圧した後、純水中に浸して置換した。
容器に純水(25℃)を入れ、サンプルの他端面とチューブで繋ぎ、容器に200kPaの空気圧をかけてサンプルから出る純水の量を1分間測定した。これを3回測定して平均値を求めた。この数値をサンプルの表面積で割り、透水性能とした。
(支持体の製造)
図3に示す支持体製造装置20を用いて、円筒状編紐12からなる支持体10を製造した。
糸16としては、ポリエステル繊維(繊度:520dtex、フィラメント数:264、Tm:260℃)を用いた。丸編機24としては、卓上型紐編機(圓井繊維機械社製、編針数:8本、針サイズ:16ゲージ、スピンドルの円周直径:6mm)を用いた。紐供給装置26および引取り装置30としては、ネルソンロールを用いた。金型28としては、加熱手段を有するアルミニウム合金製の金型(内径D:5mm、内径d:2.0mm、L/d:5)を用いた。
金型28の温度(t)を200℃とし、丸編機24のシリンダ回転数を566rpmとし、紐供給装置26の速度V1を0.6m/分とし、引取り装置30の速度V2を0.5m/分とした。製紐速度は、30m/hrであった。
ついで、図6に示す中空状多孔質膜製造装置40を用いて中空状多孔質膜を製造した。
ポリフッ化ビニリデンA(アトフィナジャパン社製、商品名:カイナー301F)、ポリフッ化ビニリデンB(アトフィナジャパン社製、商品名:カイナー9000LD)、ポリビニルピロリドン(ISP社製、商品名:K−90)、N,N−ジメチルアセトアミドを、表1に示す質量比となるように混合し、製膜原液(1)および製膜原液(2)を調製した。
環状ノズル42(管路の内周面と支持体10との間隙:0.2mm)を30℃に保温し、管路に支持体10を通しながら、上流側の第1の吐出口から製膜原液(2)を吐出して支持体10の外周面に製膜原液(2)を塗布し、さらに下流側の第2の吐出口から製膜原液(1)を吐出して製膜原液(2)上に製膜原液(1)を塗布した。
ついで、製膜原液が塗布された支持体10を、凝固浴槽46内にて80℃に保温した凝固液(N,N−ジメチルアセトアミド5質量%および水95質量%)中に通して、第1の多孔質膜層を形成し、中空状多孔質膜前駆体18を得た。
ついで、30℃に保温した環状ノズル(管路の内周面と第1の多孔質膜層との間隙:0.2mm)に、中空状多孔質膜前駆体18を通しながら、上流側の第1の吐出口から内部凝固液としてグリセリン(和光純薬工業製、一級)を吐出して第1の多孔質膜層上にグリセリンを塗布し、さらに下流側の第2の吐出口から製膜原液(1)を吐出してグリセリン上に製膜原液(1)を塗布した。
ついで、(ii)工程と同様の条件にて、中空状多孔質膜前駆体18の外周面に第2の多孔質膜層を形成し、中空状多孔質膜を得た。
ついで、中空状多孔質膜を98℃の熱水中で3分間洗浄して溶剤を除去した後、下記(x)〜(z)の工程を2回繰り返した。
(x)中空状多孔質膜を50000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬する工程。
(y)中空状多孔質膜を90℃のスチーム槽中で2分間加熱する工程。
(z)中空状多孔質膜を90℃の熱水中で3分間洗浄する工程。
中空状多孔質膜を85℃で10分間乾燥した後、ワインダーに巻き取った。
得られた中空状多孔質膜の外径は、2.8mmであり、内径は1.1mmであり、膜厚は平均850μmであり、透水性能は100m3/m2/h/MPaであった。また、多孔質膜層の膜厚のバラツキは小さく、多孔質膜層に欠陥は見られなかった。
(支持体の製造)
金型28として、加熱手段を有するアルミニウム合金製の金型(内径D:5mm、内径d:2.2mm、L/d:25)を用い、紐供給装置26を用いず、丸編機24のシリンダ回転数を3000rpmと、引取り装置30の速度V2を3.0m/分とした以外は、実施例1と同様にして支持体10を製造した。製紐速度は、180m/hrであった。
実施例2の支持体10を用いた以外は、実施例1と同様にして中空状多孔質膜を製造した。
得られた中空状多孔質膜の外径は、3.0mmであり、内径は1.1mmであり、膜厚は平均850μmであり、透水性能は95m3/m2/h/MPaであった。また、多孔質膜層の膜厚のバラツキは小さく、多孔質膜層に欠陥は見られなかった。
(支持体の製造)
丸編機24として卓上型紐編機(圓井繊維機械社製、編針数:12本、針サイズ:16ゲージ、スピンドルの円周直径:6mm)を用いた。糸16としては、ポリエステル繊維(繊度:520dtex、フィラメント数:264)を用いた。シリンダ回転数を566rpmとし、製紐速度を25m/hrとして円筒状編紐12を編成した。円筒状編紐12の熱処理は行わなかった。円筒状編紐12の外径は3mmであった。
円筒状編紐12を支持体10として用いた以外は、実施例1と同様にして中空状多孔質膜を製造した。
得られた中空状多孔質膜の外径は、4.7mmであり、内径は2.1mmであり、膜厚は平均850μmであり、透水性能は100m3/m2/h/MPaであった。
製紐機を用いて、ポリエステル繊維(繊度:830dtex、フィラメント数:96)を16打ちで組んだ円筒状組紐を用意した。該円筒状組紐を熱処理することなく、円筒状組紐の外径変化および伸度変化を測定した。結果を図11および図12に示す。
一方、図7および図9に示すように、実施例1、2の円筒状編紐は、円筒状編紐に加わる張力が大きくなっても、外径の変化は少なく、上述のような問題および欠陥が起こることなく、均一な塗膜を得ることができ、安定して中空状多孔質膜を製造できる。
一方、図8および図10に示すように、実施例1、2の円筒状編紐は、円筒状編紐に加わる張力が大きくなっても、伸度の変化は少なく、上述のような問題が起こることはない。
12 円筒状編紐
16 糸
24 丸編機
26 紐供給装置
28 金型
30 引取り装置
34 貫通孔
Claims (12)
- 糸を丸編した円筒状編紐からなる、中空状多孔質膜用支持体。
- 前記円筒状編紐の編目の数が、1周あたり5以上である、請求項1に記載の中空状多孔質膜用支持体。
- 前記糸の繊度が、200〜1000dtexである、請求項1または2に記載の中空状多孔質膜用支持体。
- 前記円筒状編紐が、下記式(1)で表される範囲内の温度t(℃)で熱処理された編紐である、請求項1〜3のいずれかに記載の中空状多孔質膜用支持体。
Tm−80℃≦t<Tm ・・・(1)。
式中、Tmは、糸の材料の溶融温度(℃)である。 - 下記(a)工程を有する、中空状多孔質膜用支持体の製造方法。
(a)糸を丸編して円筒状編紐を編成する工程。 - さらに下記(b)工程を有する、請求項5に記載の中空状多孔質膜用支持体の製造方法。
(b)前記円筒状編紐を、下記式(1)で表される範囲内の温度t(℃)で熱処理する工程。
Tm−80℃≦t<Tm ・・・(1)。
式中、Tmは、糸の材料の溶融温度(℃)である。 - 前記(b)工程において、前記円筒状編紐を、温度tに加熱された金型の貫通孔に通す、請求項6に記載の中空状多孔質膜用支持体の製造方法。
- 前記貫通孔の、円筒状編紐の入り口側の内径Dが、前記貫通孔の、円筒状編紐の出口側の内径d以上である、請求項7に記載の中空状多孔質膜用支持体の製造方法。
- 前記内径dが、熱処理前の円筒状編紐の外径の50〜100%である、請求項8に記載の中空状多孔質膜用支持体の製造方法。
- 前記金型の上流側に設けられた紐供給装置と、前記金型の下流側に設けられた引取り装置とによって、前記円筒状編紐を前記金型の貫通孔に連続的に通す、請求項7〜9のいずれかに記載の中空状多孔質膜用支持体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の中空状多孔質膜用支持体と、
該支持体の外周面に設けられた多孔質膜層と
を有する、中空状多孔質膜。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の中空状多孔質膜用支持体の外周面に、多孔質膜層の材料および溶剤を含む製膜原液を塗布し、凝固させることによって多孔質膜層を形成する、中空状多孔質膜の製造方法。
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