JP2008113235A - 無線通信端末 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の通信方式に対応可能な無線通信端末において、圏外と判定された状態にあっても発信操作が行なわれたときに通信システムの捕捉を効率的に行う。
【解決手段】無線通信端末は、通信部1と制御部8で構成され、制御部8は、通信を行なうことのできない圏外状態にあると判定された状態において通信開始の要求がなされると、通信部1に対して複数の通信システムのいずれかの捕捉を行う捕捉試行処理を指示し、通信部1は、圏外状態にあると判定されてから所定時間経過していない場合に捕捉試行処理をN回繰り返し、所定時間経過している場合には捕捉試行処理をM回(但し、N>M)繰り返し実行する。
【選択図】図1

Description

本発明は、特に、マルチバンド対応の無線通信システムに用いて好適な、無線通信端末に関する。
CDMA(Code Division Multiple Access)通信に適用される無線通信端末は、発着信やデータ通信を行なう際に、チャネルの捕捉動作を開始する。そして、捕捉したチャネルの構成情報、タイミング情報を取得し、また、捕捉したチャネルのタイミングに同期させて位置登録情報等を取得する。
ところで、チャネルの受信電界強度は、無線通信端末の使用環境(地形や建物等)によっては著しく低下することがあり、チャネルの受信電界強度が低い場合には、チャネルの電波を受信したにもかかわらず、当該チャネルが捕捉できなかったものと判定され、圏内復帰処理に移行する。この圏内復帰処理において、無線通信端末は所定の周期でチャネルの捕捉動作を行なうシステムスキャンを実行する。
無線通信端末が圏外にある場合、無線通信端末は、内部的に圏外であることを示すフラグ(圏外フラグ)をONする。このような状況にあって、ユーザが発信操作を行なっても圏外フラグがONしている間は発信できる可能性が低く、また、省電力のために発信処理を起動していなかった。
また、一旦、圏外と判定された場合、圏内復帰処理を所定周期で行うが、復帰のためのシステムスキャンを試行する通信方式が限定的であったりして、圏内復帰のために要する時間は無視できないものとなっている。例えば、トンネルの出入り等、使用環境が極端に異なる場所では、トンネルから出てすぐに圏内復帰処理ができれば良いが、圏内復帰捕捉動作のタイミングにならない限りすぐには復帰できない。また、圏内復帰捕捉処理を行なってもすぐには圏内復帰につながるわけではない。
上記した問題を解決するために、圏外と判定された場合でも発信操作がなされればチャネルの捕捉動作を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−23665号公報
上記した特許文献1に開示された技術によれば、圏内復帰処理において発呼成功率を向上させることができる。しかしながら、最近、1個の無線通信端末で複数の周波数帯(例えば、800MHz、2GHz)が使用可能になってきており、また、使用できる通信プロトコルについても複数(1x、EVDO)対応可能な無線通信端末が増加してきており、単一の通信システムについての複数チャネルの圏内復帰捕捉処理だけでは、ユーザが希望する通信方式での発信がなされるとは限らない。
本発明は上記した課題に基づいてなされたものであり、複数の通信方式に対応可能な無線通信端末において、圏外と判定された状態にあっても発信操作が行なわれたときに通信システムの捕捉を効率的に行い、極力、ユーザが希望する通信方式による接続を試行することのできる無線通信端末を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために本発明の第1の観点の無線通信端末は、複数の通信システムを捕捉可能であり、かつ通信プロトコルによる通信を実行可能な通信部と、通信開始が指示されたときに、前記複数の通信システムのいずれかで前記通信プロトコルを用いて前記通信部による通信を制御する制御部と、を備える無線通信端末であって、前記制御部は、通信を行なうことのできない圏外状態にあると判定された状態において通信開始の要求がなされると、前記通信部に対して複数の通信システムを所定の順序で捕捉を行うように捕捉試行処理を指示し、前記通信部は、前記圏外状態にあると判定されてから所定時間経過していない場合に前記捕捉試行処理をN回繰り返し、所定時間経過している場合には前記捕捉試行処理をM回(但し、N>M)繰り返し実行する、ように構成したものである。
また、本発明の無線通信端末において、前記制御部は、前記通信部に、捕捉させる通信システムを指示する通信システム選択部と、前記通信部に、前記通信プロトコルによる捕捉を指示するプロトコル実行部と、前記通信システム選択部に、前記通信システムの捕捉試行処理開始指示を行う捕捉指示機能実行部と、を有し、前記捕捉指示機能実行部は、前期圏外状態にあると判定された状態において通信開始の要求がなされると、前記通信システム選択部に対し、前記複数の通信システムを前記所定の順序で捕捉を行うように指示する捕捉試行処理開始指示を行い、前記捕捉試行処理開始指示に対して捕捉成功が通知される前に前記所定時間が経過した場合には、前記通信システム選択部に対して再度前記捕捉試行処理開始指示を行い、前記捕捉試行処理開始指示に対して捕捉成功が通知された場合には、捕捉が成功した通信システムによる通信開始の処理を行い、前記通信システム選択部は、前記捕捉指示機能実行部から捕捉試行処理開始指示がなされ、当該捕捉試行処理を行う際に、前記圏外状態にあると判定されてから前記所定時間経過していない場合には前記捕捉試行処理をN回繰り返し、所定時間経過している場合には前記捕捉試行処理をM回(但し、N>M)繰り返すように、前記プロトコル実行部に対し前記捕捉試行処理を実行させる、ように構成してもよい。
また、本発明の無線通信端末において、前記通信システム選択部は、前記捕捉指示機能実行部から捕捉試行処理開始指示がなされ、当該捕捉試行処理を行う際に、前記圏外状態にあると判定されてから前記所定時間経過している場合には、1回(M=1)だけ捕捉試行処理を実行するように、前記プロトコル実行部に対し前記捕捉試行処理を実行させる、ように構成してもよい。
また、本発明の無線通信端末において、表示部を更に備え、前記捕捉指示機能実行部は、前記通信システム選択部に対して捕捉試行処理の終了を指示する際、前記通信開始の要求がユーザの発信操作に基づくものであった場合、前記表示部に発信の失敗を表示させる、ように構成してもよい。
本発明によれば、圏外と判定された状態にあっても、発信操作が行なわれたときに通信システムの捕捉を効率的に行い、極力、ユーザが希望する通信方式による接続を試行可能な無線通信端末を提供することができる。
本発明の実施の形態の説明に先立ち、無線通信端末10が適用可能な通信システムについての補足説明を行う。
近年、無線通信システムにおいて、使用する周波数帯の有効利用をはかるとともに、使用周波数を世界標準仕様に合わせるために周波数帯の再編が検討されている。例えば、CDMA2000 1x使用の無線通信システムにおいて、現在、日本国内では、日本仕様の800MHz帯(以下、旧800MHz帯)が用いられているが、この周波数帯が世界標準仕様である新800MHz帯へ再編される予定である。
なお、旧800MHz帯と新800MHz帯とでは、使用する周波数帯のうち、上り、下りの周波数割り当て等が相違している。こうした背景から、現行の周波数帯(旧800MHz)、新たな周波数帯(新800MHz)、および高周波の周波数帯(2GHz)での通信が可能なマルチバンド対応の無線通信端末10が開発されている。
マルチバンド対応の無線通信端末10は、基地局30によって割当てられるチャネルを介して当該基地局30との間で無線通信を行なう。このとき、無線通信端末10は、複数の周波数帯で無線信号の送受信が可能であり、具体的には、現行の周波数帯(旧800MHz)、新たな周波数帯(新800MHz)、および高周波の周波数帯(2GHz)を用いて無線信号の送受信が可能である。
上記したそれぞれ異なる周波数帯の通信システムには、基地局30と無線通信端末10間で周波数帯を識別するための識別番号として、3GPP2(3rd Generation Partnership Project 2)で規定されたバンドクラスが付与されている。例えば、基地局30から無線通信端末10に通知される情報の中の近隣基地局リスト等において、無線通信端末10の周辺に存在する通信システムを報知する等のためにこのバンドクラスが使用される。
なお、現行の周波数帯(旧800MHz)はバンドクラス3、新たな周波数帯(新800MHz)はバンドクラス0、高周波の周波数帯(2GHz)はバンドクラス6にそれぞれ分類されている。また、各バンドクラスには、プライマリチャンネルとセカンダリチャンネルが割当てられ(但し、バンドクラス6のEVDO通信においてはプライマリチャンネルのみ)、更に、プロトコルの違い(EVDO)を考慮すれば、合計で11パターンの通信システムが存在することになる。
以下、上記した11パターンの通信システムを有するマルチバンド対応の無線通信端末の圏外発信動作について、説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかわる無線通信端末の内部構成を示すブロック図である。ここでは、無線通信端末10として携帯電話が例示されており、この携帯電話は、通信部1と、操作部2と、音声処理部3と、スピーカ4と、マイク5と、表示部6と、記憶部7と、制御部8とを有する。
通信部1は、複数の通信システムを捕捉し、第1の通信プロトコル(例えば、EVDO)と第2の通信プロトコル(例えば、CDMA2000 1x、以降、単に1xと省略する)にしたがい、通信ネットワークに接続される不図示の基地局との間で無線通信を行う。なお、EVDO通信は、1x通信よりも高速であり、1x通信は、EVDO通信と異なり、データ通信の他に音声通信もサポートするといった特徴を有している。
操作部3は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キーなど、各種の機能が割り当てられたキーを有しており、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部8に入力する。
音声処理部3は、スピーカ4から出力される音声信号やマイク5において入力される音声信号の処理を行う。すなわち、マイク5から入力される音声を増幅し、アナログ−デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部8に出力する。
また、音声処理部3は、制御部8から供給される音声データに復号化、デジタル−アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカ4に出力する。
表示部6は、例えば、液晶表示パネルや有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの表示デバイスを用いて構成されており、制御部8から供給される映像信号に応じた画像を表示する。例えば、発信時における発信先の電話番号、着信時における着信相手の電話番号、受信メールや送信メールの内容、日付、時刻、電池残量、発信成否、待ち受け画面などの各種の情報や画像を表示する。
記憶部7は、制御部8において処理に利用される各種のデータを記憶する。例えば、制御部8に備わるコンピュータのプログラム、通信相手の電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、待ち受け画面用の画像ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータなどを保持する。
なお、上記した記憶部7は、例えば不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
制御部8は、携帯電話の全体的な動作を統括的に制御する。すなわち、携帯電話の各種の処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWeb(World Wide Web)サイトの閲覧など)が操作部2の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各ブロックの動作(通信部1における信号の送受信、音声処理部3における音声の入出力、表示部6における画像の表示など)を制御する。
制御部8は、記憶部7に格納されるプログラム(オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。すなわち、記憶部7に格納されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
制御部8はまた、携帯電話が通信を行なうことのできない圏外状態にあると判定された状態において通信開始の要求がなされると、通信部1に対して複数の通信システムのいずれかの捕捉を指示する捕捉指示を行う機能を有し、キー検出部81と、表示制御部82と、EVDOプロトコル実行部83と、1xプロトコル実行部84と、通信システム選択部85と、捕捉指示機能実行部86と、タイマ監視部87とにより構成される。
なお、これらのブロックが持つ機能は、記憶部7に記憶されるそれぞれのプログラムを制御部8で実行することにより達成されるものであって、制御部8内において実体的に他のブロックと区分され内蔵されるもののみを指すのではなく、あくまで説明の簡略化のために各処理部を分けて表現したものである。
キー検出部81は、操作部2からの発信操作を検出して捕捉指示機能実行部86による捕捉処理を起動する機能を持ち、また、表示制御部82は、捕捉指示機能実行部86を介して出力される発信の成否を表示部6に表示する機能を持つそれぞれユーザインタフェースとしての役割を果たす。
EVDOプロトコル実行部83は、通信部1に第1の通信プロトコル(EVDO)による捕捉を指示する第1プロトコル実行部として機能し、また、1xプロトコル実行部84は、通信部1に第2の通信プロトコル(1x)による捕捉を指示する第2プロトコル実行部として機能し、基地局との間でそれぞれ通信を実行する。
通信システム選択部85は、通信部1に対して捕捉させる通信システムを指示する機能を持ち、具体的には、捕捉指示機能実行部86から捕捉試行処理開始指示がなされ、当該捕捉試行処理を行う際に、前記圏外状態にあると判定されてから捕捉試行処理開始までの経過時間に応じて捕捉試行処理を継続する時間幅を設定し、当該時間幅で捕捉試行処理を実行する。具体的には、EVDOプロトコル実行部83あるいは1xプロトコル実行部84に対し、不図示の基地局との間で捕捉試行処理を行なわせる。
捕捉指示機能実行部86は、通信システム選択部85に、通信システムの捕捉試行処理開始指示を行う機能を有し、具体的には、通信を行なうことのできない圏外状態にあると判定された状態において通信開始の要求がなされると、通信システム選択部85に対し、複数の通信システムのいずれかの捕捉を指示する捕捉試行処理開始指示を行い、当該捕捉試行処理開始指示に対して捕捉成功が通知される前に所定時間が経過した場合には、通信システム選択部85に対して、再度、捕捉試行処理開始指示を行う。
また、捕捉指示機能実行部86は、当該捕捉試行処理開始指示に対して捕捉成功が通知された場合には、捕捉が成功した通信システムによる通信開始の処理を行う。
タイマ監視部87は、捕捉指示機能実行部86により制御され、圏外状態に遷移後の経過時間(滞在時間)を監視する機能を持つ。詳細は後述する。
なお、ここで、圏外状態とは、EVDOプロトコル実行部83、および1xプロトコル実行部84のいずれにおいても通信システムの捕捉ができない状態が生じ、捕捉指示機能実行部86により表示部6に対して圏外表示させている状態であって、通信部1による圏内復帰処理が実行される状態であることをいう。
図2は、上記した11パターンの通信システムを有するマルチバンド対応の無線通信端末の圏外発信動作(1)の処理シーケンスを示す図である。
ここでは、通信システム選択部85と、捕捉指示機能実行部86と、ユーザインタフェース(操作部2/表示部6)間の処理の流れが示されている。
図2において、無線通信端末は、圏外状態に遷移し、圏外状態に突入したときに、ユーザの発信操作、あるいはアプリケーションから圏外発信要求を検知すると(S101)、捕捉指示機能実行部86はこれを受信し、圏外発信による通信システムの捕捉試行処理を開始する(S102)。
ここでは、まず、タイマ監視部87によって監視されるリトライカウンタ(タイマ)に固定の値Nを設定するとともに(S103)、通信システム選択部85に対して通信システムの捕捉試行処理を実行するようにシステムスキャン指示を発行する(S104)。
通信シテム選択部85は、システムスキャン指示を受けて不図示のスキャンリストから通信システムを選択し、同じく不図示のEVDOプロトコル実行部83または1xプロトコル実行部84に対してシステムスキャンの動作を行なわせ(S105)、その通信システムの捕捉の結果(成功/失敗)を受信する。そして、その結果を捕捉指示機能実行部86へ通知する(S106)。なお、成功した場合はすぐに発信のための接続処理を行う。
捕捉指示機能実行部86は、通信システムの捕捉に失敗した場合は、リトライ回数を−1更新し(S107)、リトライ回数が0か否かを判定し(S108)、0でなければ(S108“NO”)、次回リトライのスケジューリングを策定する(S109)。そして、通信システム選択部85に対し、次にスケジューリングされた通信システムによるシステムスキャンの動作実行を指示し、以降、通信システム選択部85は、上記と同様の手順にしたがい通信システムのシステムスキャン動作を繰り返し実行する。
捕捉指示機能実行部86は、上記したシステムスキャン動作の結果、通信システムが捕捉できていれば、発信処理を開始し、捕捉できていなければ捕捉試行処理失敗として通信システム選択部85に対し、再度システムスキャンの実行を指示する。そして、所定時間、もしくは所定回数(リトライカウンタ“0”)だけ上記捕捉試行処理を繰り返し実行し(S108“YES”)、基地局との間で捕捉試行処理が成功すれば発信処理を行い、失敗すれば、発信失敗としてユーザインタフェース(表示部6)を介してユーザに通知する(S110)。
上記した通信システム選択部85によるシステムスキャン動作は、より発信成功率を上げることを目的に、PRL(Preferred Roaming List)を参照して行ない、無線通信端末が捕捉可能な全ての通信システムの捕捉試行処理を実行する。
ここで、PRLは、EVDOと1xのそれぞれに複数の通信システムを対応づけて格納され、EVDOと1xは、EVDOではEVDOが優先されるように、複数の通信システムの中では2GHz、新800MHz、旧800MHzの順に優先されるように、さらには、セカンダリチャネルよりもプライマリチャネルを優先的に選択されるように順序が定義づけられたデータである。
上記した圏外発信動作(1)によれば、圏外発信におけるシステムスキャン動作の回数は予め決められており、固定的にその動作が繰り返し実行される。このため、例えば、圏内と圏外の境界付近の圏外エリアでは、電波環境の変動によって圏内になりうることがあり、同じ通信システムでも複数回システムスキャンを実行することによって捕捉試行処理が成功し、発信可能になる可能性がある。したがって、システムスキャンを1回しか行わない場合には、発信成功の機会を失ってしまう可能性がある(発信機会の喪失)。
一方、完全な圏外エリアでは、何度システムスキャン動作を実行しても通信システムの捕捉ができないことから発信に失敗する可能性が高く、システムスキャンの試行回数は非常に少ない回数で十分であり、それ以上の捕捉試行処理は無駄な動作となり、無用な電池消費を伴う。極論すれば1回で十分ともいえる。また、ユーザが発信操作を行ってから、結果を知るまでに、余分なシステムスキャンを実行することにより、遅延してしまうため、ユーザストレスの増大につながる。
このため、以下に説明する圏外発信動作(2)では、圏外状態に遷移したときに圏外滞在時間を計時するタイマを起動し、圏外発信要求があったときにそのタイマを参照することで、タイマ値と、事前に決定された閾値との比較結果により圏外の状態検出(圏内と圏外の境界付近の圏外エリアにいるか、完全な圏外エリアにいるか等)を行い、発信動作A(リトライ回数=N回)と、発信動作B(リトライ回数=M(但し、M<N))のいずれかを決定し、発信機会を確保しながらも電池消費量の抑制をはかることとした。なお、ここでは、M=1として説明をすすめる。
以下、上記した11パターンの通信システムを有するマルチバンド対応の無線通信端末の圏外発信動作(2)の処理シーケンスを説明するが、当該圏外発信動作(2)の処理シーケンスを実行するにあたり、図2に示す制御部8(通信システム選択部85)には、捕捉指示機能実行部86から捕捉試行処理開始指示がなされ、当該捕捉試行処理を行う際に、圏外状態にあると判定されてから所定時間経過していない場合には、当該捕捉試行処理をN回繰り返し、所定時間経過している場合には当該捕捉試行処理をM回(但し、N>M)繰り返すように、プロトコル実行部(EVDOプロトコル実行部83または1xプロトコル実行部84)に対して捕捉試行処理を実行させる機能が付加されるものとする。
以下、図3に示す処理シーケンス図を参照しながら、図2に示す本発明の実施の形態にかかわる無線通信端末の圏外発信動作(2)について詳細に説明する。
図3も図1同様、通信システム選択部85と、捕捉指示機能実行部86と、ユーザインタフェース(操作部2/表示部6)間の処理の流れが示されている。
図3において、捕捉指示機能実行部86は、圏外状態に遷移したタイミングで、タイマ監視部87を介して圏外滞在時間をカウントするタイマをスタートさせる(S300)。ここでは、このタイマを圏外遷移タイマと呼ぶ。
次に、ユーザによる発信操作がユーザインタフェース(操作部2)を介し、あるいはアプリケーションを介して発信要求が行われるが、捕捉指示機能実行部86は、これを受けて圏外遷移タイマによるカウント値(圏外滞在時間T)と、圏外遷移タイマ閾値“Tns”との比較を行なう(S302)。ここで、圏外滞在時間Tが閾値Tnsより大きければ、通信システム選択部85による捕捉試行処理回数をM回(1回)、小さければ、N回(但し、N>M)と決定する。
すなわち、通信システム選択部85は、無線通信端末が圏外状態にいると判定されてから所定時間(Tns)経過していない場合には捕捉試行処理動作をN回繰り返し(S304)、所定時間経過している場合には捕捉試行処理動作をM回(但し、N>M)繰り返すように(S303)、EVDOプロトコル実行部83または1xプロトコル実行部84に対してシステムスキャンを実行させる。
なお、上記した選択動作に合わせ、指示するシステムスキャン方法について、圏外滞在時間Tが閾値Tnsより大きければシステムスキャン方法Aを、否の場合には、システムスキャン方法Bを選択してもよい。なお、ここで、システムスキャン方法Aとは、システムスキャン方法Bと比較して、例えば、捕捉試行処理を実行する通信システムの数を抑えたものである。
以上の処理を経て捕捉指示機能実行部86は、通信システム選択部85に対してシステムスキャンの指示を行い(S305)、通信システム選択部85は、この指示に従い、システムスキャン方法A、もしくはシステムスキャン方法Bを特定する通信システムを選択し、EVDOプロトコル実行部83または1xプロトコル実行部84に対して基地局との間でシステムスキャン動作を開始させる(S306)。ここで、捕捉が成功すれば即座に接続処理が行われる。
なお、基地局との間で上記したシステムスキャン動作が失敗(捕捉失敗)した場合、EVDOプロトコル実行部83または1xプロトコル実行部84は、そのことを、通信システム選択部85を経由して捕捉指示機能実行部86に通知する(S307)。捕捉失敗通知を受け取った捕捉指示機能実行部86は、捕捉試行処理が失敗したと判断し、その試行回数を−1更新する(S308)。
続いて、捕捉指示機能実行部86は、試行回数の残回数が0か否かを判定し(S309)、0であれば、ユーザインターフェース(表示部6)へ発信の失敗を通知して表示部6に表示してユーザに発信の失敗を通知する(S311)。0で無ければ、再度捕捉試行処理動作をスケジューリングしてシステムスキャンをリトライする(S310)。
以上の動作は、試行回数の残回数が0になるまで繰り返し実行される。
以上説明のように、上記した圏外発信動作(2)によれば、圏外状態に遷移したときに圏外遷移タイマを起動し、圏外発信要求があったときにそのタイマ値を参照することで、当該タイマ値と、事前に決定された閾値Tnsとの比較結果によって圏外の状態検出を行い、発信動作A(リトライ回数=N回)と、発信動作B(リトライ回数=1回)のいずれかを決定することにより、発信機会を確保しながら電池消費量の抑制をはかることが可能になる。
上記したように、圏外状態の検出と、それに応じた適切なリトライ回数の変更によって、例えば、圏内と圏外の境界付近の圏外エリアにいるか、完全な圏外エリアにいるか等、2つの圏外状態でのシチュエーションにより発生する発信機会の喪失と、無駄な電池消費と、ユーザストレスの増大を解決することができる。
なお、上記した本発明の実施の形態によれば、無線通信端末10として携帯電話を例示したが、他に、PDA(Personal Digital Assistants)、PC(Personal Computer)、ゲーム機に適用しても同様の効果が得られる。
また、本発明の無線通信端末の各構成ブロックの機能は、全てをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウエアで実現してもよい。例えば、制御部8における処理や、通信部1、音声処理部3におけるデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、また、その少なくとも一部をハードウエアで実現してもよい。
なお、本発明は、上記したEVDO、1x本通信プロトコルに使用する例にて説明を行ったがこれら以外の通信プロトコルを用いる無線通信端末においても適用することができる。
本発明の実施の形態にかかわる無線通信端末の内部構成を示すブロック図である。 マルチバンド対応の無線通信端末の圏外からの発信動作(1)を示す処理シーケンス図である。 マルチバンド対応の無線通信端末の圏外からの発信動作(2)を示す処理シーケンス図である。
符号の説明
1…通信部、2…操作部、3…音声処理部、4…スピーカ、5…マイク、6…表示部、7…記憶部、8…制御部、10…携帯電話、30…基地局、81…キー検出部、82…表示制御部、83…EVDOプロトコル実行部(第1プロトコル実行部)、84…1xプロトコル実行部(第2プロトコル実行部)、85…通信システム選択部、86…捕捉指示機能実行部、87…タイマ監視部。

Claims (4)

  1. 複数の通信システムを捕捉可能であり、かつ通信プロトコルによる通信を実行可能な通信部と、通信開始が指示されたときに、前記複数の通信システムのいずれかで前記通信プロトコルを用いて前記通信部による通信を制御する制御部と、を備える無線通信端末であって、
    前記制御部は、通信を行なうことのできない圏外状態にあると判定された状態において通信開始の要求がなされると、前記通信部に対して複数の通信システムを所定の順序で捕捉を行うように捕捉試行処理を指示し、
    前記通信部は、前記圏外状態にあると判定されてから所定時間経過していない場合に前記捕捉試行処理をN回繰り返し、所定時間経過している場合には前記捕捉試行処理をM回(但し、N>M)繰り返し実行する、
    ことを特徴とする無線通信端末。
  2. 前記制御部は、
    前記通信部に、捕捉させる通信システムを指示する通信システム選択部と、
    前記通信部に、前記通信プロトコルによる捕捉を指示するプロトコル実行部と、
    前記通信システム選択部に、前記通信システムの捕捉試行処理開始指示を行う捕捉指示機能実行部と、を有し、
    前記捕捉指示機能実行部は、
    前記圏外状態にあると判定された状態において通信開始の要求がなされると、前記通信システム選択部に対し、前記複数の通信システムを前記所定の順序で捕捉を行うように指示する捕捉試行処理開始指示を行い、
    前記捕捉試行処理開始指示に対して捕捉成功が通知される前に前記所定時間が経過した場合には、前記通信システム選択部に対して再度前記捕捉試行処理開始指示を行い、前記捕捉試行処理開始指示に対して捕捉成功が通知された場合には、捕捉が成功した通信システムによる通信開始の処理を行い、
    前記通信システム選択部は、
    前記捕捉指示機能実行部から捕捉試行処理開始指示がなされ、当該捕捉試行処理を行う際に、前記圏外状態にあると判定されてから前記所定時間経過していない場合には前記捕捉試行処理をN回繰り返し、前記所定時間経過している場合には前記捕捉試行処理をM回(但し、N>M)繰り返すように、前記プロトコル実行部に対し前記捕捉試行処理を実行させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
  3. 前記通信システム選択部は、
    前記捕捉指示機能実行部から捕捉試行処理開始指示がなされ、当該捕捉試行処理を行う際に、前記圏外状態にあると判定されてから前記所定時間経過している場合には、1回(M=1)だけ捕捉試行処理を実行するように、前記プロトコル実行部に対し前記捕捉試行処理を実行させる、
    ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末。
  4. 表示部を更に備え、
    前記捕捉指示機能実行部は、
    前記通信システム選択部に対して捕捉試行処理の終了を指示する際、前記通信開始の要求がユーザの発信操作に基づくものであった場合、前記表示部に発信の失敗を表示させる、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信端末。
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