JP2008110931A - グリセリンの還元方法、およびグリセリン還元用触媒 - Google Patents

グリセリンの還元方法、およびグリセリン還元用触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】グリセリンを還元することにより、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1−プロパノール、および2−プロパノールからなるグリセリン還元化合物を高選択率で得ることができるグリセリンの還元方法、およびこの方法に使用されるグリセリン還元用触媒の提供。
【解決手段】グリセリンの還元方法は、グリセリン、水素、およびRhを担持しているSiO2担体の共存下でグリセリンを還元する方法であり、この方法において更にMo、Re、およびWから選択された一種または二種以上の金属元素を共存させれば、グリセリン還元化合物の選択率等が向上する。グリセリン還元用触媒は、SiO2担体と、この担体に担持されているRhとを有する触媒である。
【選択図】なし

Description

本発明は、グリセリンの炭素−炭素間結合の切断を抑制しつつ、グリセリンを還元する方法、およびこの方法に使用される触媒に関するものである。
バイオディーゼルは、植物油をエステル交換することによって製造され、この製造過程ではグリセリンが副生することが知られている。そして、バイオディーゼルは、石油の代替燃料として需要の増大が見込まれており、グリセリンの副生量の増大が予想されるので、グリセリンを有効に利用することが望まれる。
グリセリンを還元して得られる1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1−プロパノール、2−プロパノール(以下、これらを「グリセリン還元化合物」と総称する)は、溶剤として使用される他、合成樹脂や界面活性剤原料等の化学品原料として使用される。つまり、グリセリンを還元することがグリセリンを有効利用することになるのである。
グリセリン還元化合物を得るためには、触媒を利用したグリセリンの還元方法が知られている。例えば、非特許文献1には、Ruを担持させた活性炭(当該触媒を、以下「Ru/C」という)が比較的低温で高い触媒活性(高いグリセリン転化率)を示し、グリセリン還元化合物が得られることが開示されている。しかし、Ru/Cがグリセリンの炭素−炭素間結合を切断する分解活性をも高く示すので、グリセリン還元化合物の目的量を得るためには、グリセリンを浪費することになる。また、非特許文献1には、Rhを担持させた活性炭(当該活性炭を、以下「Rh/C」という)でもグリセリン還元化合物が得られることが開示されている。ここで使用されるRh/Cは、Ru/Cよりは低いが触媒活性を示し、Ru/Cのような高い分解活性を示すことがない。そして、Rh/CをHWOまたは強酸性陽イオン交換樹脂と併用すれば、グリセリン還元化合物の収率を高めることができることが非特許文献1や非特許文献2に開示されている。
Yohei Kusunoki,et al.,Highly active metal-acid bifunctional catalyst system for hydrogenolysis of glycerol under mild reaction condition,Catalysis Communications,2005,645-649 Julien Chaminand,et al.,Glycerol hydrogenolysis on heterogeneous catalysts,Green chem.,2004,359-361
本発明は、高い選択率でグリセリン還元化合物を製造可能であって、還元対象であるグリセリンの浪費を抑えることができるグリセリンの還元方法、および、この方法に使用されるグリセリン還元用触媒の提供を目的とする。
本発明者は、Ru/CおよびRh/C等の貴金属担持活性炭の担体を変更した触媒を使用し、グリセリンの還元反応の検討を重ねた。その結果、唯一Rhを担持しているSiO2を触媒として使用した場合のみ、グリセリン還元化合物を高選択率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、グリセリン、水素、およびRhを担持しているSiO2担体の共存下で前記グリセリンを還元することを特徴とするグリセリンの還元方法である。
本発明のグリセリンの還元方法は、前・後記の通りグリセリン還元化合物を高選択率で得ることができる効果を奏する。ここで、「グリセリン還元化合物」とは、グリセリンの水酸基が水素原子に置換した化合物である1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1−プロパノール、および2−プロパノールの総称を意味する。また、「グリセリン還元化合物の選択率」とは、グリセリンの炭素数を基準としたグリセリン還元化合物およびグリセリン分解化合物の総モル量に対するグリセリン還元化合物のモル量の比率をいい、グリセリン分解化合物に対するグリセリン還元化合物のモル比率が高ければグリセリン還元化合物の選択率が高いといえる。そして、「グリセリン分解化合物」とは、グリセリン分子の炭素−炭素間結合が切断されて分子骨格炭素数が2以下となったエチレングリコール、エタノール、メタノール、メタン等の化合物をいう。
前記グリセリンの還元方法においては、Mo、Re、およびWから選択された一種または二種以上の金属元素を共存させて前記グリセリンを還元することが好適である。Moを共存させた場合には、高収率で1,3−プロパンジオールを生成させることができ、Reを共存させた場合には、高い選択率および収率で1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール夫々を生成させることができ、Wを共存させた場合には、高選択率で1,3−プロパンジオールを生成させることができる。
高率でグリセリンを転化させ、高収率でグリセリン還元化合物を得るためには、前記Mo、Re、およびWから選択された一種または二種以上の金属元素が担体に担持されていることが好ましい。前記Mo、Re、およびWから選択された一種または二種以上の金属元素を担持している担体が、前記Rhを担持しているSiO2担体であれば、更に高収率でグリセリン還元化合物を得ることができる。
Moを共存させた場合には、高収率で1,3−プロパンジオールを生成させることができることは上述の通りである。1,3−プロパンジオールを特に高収率で得るためには、前記MoとRhとのモル比([Mo]/[Rh])が1/64〜1/2であることが好ましい。他方で、[Mo]/[Rh]が3/5以下であれば、グリセリン還元化合物の収率を高めることができる。また、[Mo]/[Rh]が1/4以上であれば、1,3−プロパンジオールを高選択率で得ることができる。
また、前記WとRhとのモル比([W]/[Rh])が1/4未満であれば、グリセリン還元化合物を収率良く得ることができる。
前記触媒は、そのCO吸着量が100〜350μmol/gであることが好適である。この吸着量範囲の触媒は、グリセリン還元活性に優れる。
また、本発明は、SiO2担体と、該SiO2担体に担持されているRhとを有し、前記本発明に係るグリセリンの還元方法に使用されるグリセリン還元用触媒である。
また、本発明は、前記本発明に係るグリセリンの還元方法を使用する工程を有するグリセリン還元化合物誘導体の製造方法である。ここで、「グリセリン還元化合物誘導体」とは、グリセリン還元化合物を原料にする化合物を意味する。1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールを原料とする場合、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート等の合成樹脂がグリセリン還元化合物誘導体に該当する。
本発明に係るグリセリンの還元方法およびグリセリン還元用触媒によれば、SiO2担体およびSiO2担体に担持されているRhを構成に有しているので、高選択率でグリセリン還元化合物を生成させることができると共に、グリセリン還元化合物を所定量得るためのグリセリン使用量を抑えることができる。
本発明を実施形態に基づき以下に説明する。本実施形態のグリセリンの還元方法は、Rhを担持しているSiO2担体、および水素をグリセリンと共存させてグリセリンを還元する方法である。本方法においては、Mo、Re、およびWから選択された一種または二種以上の金属元素(以下において、「Mo、Re、およびWから選択された一種または二種以上の金属元素」を「Mo等」と称することがある)もグリセリンと共存させても良い。
本実施形態の方法でMo等をグリセリンと共存させない場合、使用されるRhを担持しているSiO2担体(以下において、「Rhを担持しているSiO2担体」を「グリセリン還元用触媒」という)のCO吸着量は、100〜350μmol/gであることが好ましく、180〜270μmol/gであることがより好ましく、200〜250μmol/gであることが更に好ましい。ここで、COの吸着量は、死容積が60cm、吸着平衡圧が5Torr、および室温の条件における定容法によるCOの不可逆吸着量の測定値である。
上記グリセリン還元用触媒を製造するには、SiO2担体にRh含有液を含浸させ、その後、乾燥、次に焼成すれば良い。なお、触媒製造におけるRh含有液の量が多量である場合には、前記含浸および乾燥を繰り返し行うIncipient wetness法により触媒を製造しても良い。また、前記グリセリン還元用触媒の製造過程における担体を含浸するときの温度および乾燥するときの温度は、特に限定されるものではなく、焼成は、大気中において700〜1000Kが好ましく、より好ましくは700〜800Kである。
本実施形態のグリセリンの還元方法では、Mo等をグリセリンと共存させることが好ましい態様であるが、Mo等以外の金属元素を選択してグリセリンと共存させると、グリセリン還元化合物の選択率を下げる。そのため、本実施形態の方法において金属元素を共存させる場合には、Mo等をグリセリンと共存させることとしている。
なお、製造コスト等からみて許容できるグリセリン還元化合物の選択率を実現できる限り、本発明のグリセリン還元方法において、Mo等以外の金属元素が共存する条件でグリセリンの還元を行っても良い。
Mo等を共存させる場合、当該金属元素がグリセリンの還元反応系に共存している限り、その共存態様は特に限定されない。Mo等の共存態様は、例えば、金属元素が金属単体、金属塩、若しくは錯体として共存している態様;金属元素が担体に担持されている態様;等が挙げられる。
グリセリンの還元反応において高収率でグリセリン還元化合物を得るためには、Mo等が担体に担持されて共存していることが好ましい。この場合の担体は、特に限定されず、例えば、活性炭、SiO2、Al23が挙げられる。
Mo等が担体に担持されている場合、当該担体は、特に高収率でグリセリン還元化合物を得るためには、グリセリン還元用触媒のSiO2担体であることが最適である。
Mo等の金属元素を共存させた場合、その量をグリセリンの還元目的に応じた適切な量にすれば、グリセリン還元化合物の高収率化、グリセリン還元化合物の高選択率化、またはグリセリン還元化合物に属する化合物の高選択率化等を実現することができる。
Moを共存させた場合、その共存における効果の観点により、好ましいMoとRhとのモル比([Mo]/[Rh])がある。1,3−プロパンジオールを特に高収率で得る必要がある場合には、[Mo]/[Rh]が1/64〜1/2であることが好ましい。また、グリセリン還元化合物を高収率で得るためには、MoとRhとのモル比([Mo]/[Rh])が3/5以下であることが好ましく、1/40〜1/3であることがより好ましく、1/20〜1/8であることが更に好ましい。また、1,2−プロパンジオールの選択率を高めるためには、[Mo]/[Rh]が1/3以上であると良い。1,3−プロパンジオールの選択率を高めるには、[Mo]/[Rh]が1/4以上であることが好ましく、[Mo]/[Rh]の数値が大きな程1,3−プロパンジオールの選択率が高まる。1−プロパノールの選択率を高めるには、1/3以下であると良い。
Reを共存させた場合、ReとRhのモル比([Re]/[Rh])に係わらず、グリセリンの転化率が向上し、かつ、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールの収率が高まる。これら転化率および収率をより高めるためには、[Re]/[Rh]は、1/20以上であることが好ましく、さらに好ましくは1/12以上、より好ましくは1/2以上である。一方で、[Re]/[Rh]の上限値は、2であると良い。Reを多量に共存させてもグリセリン還元用触媒の活性を低下させることがなく、Re共存量が多いほどグリセリン還元化合物の選択率が高まる傾向があるものの、[Re]/[Rh]が2を超えても前記選択率が大幅に向上することがないからである。なお、Reを共存させた場合、1−プロパノールおよび2−プロパノールの選択率は、大きな変動を伴うことはない。
また、Wを共存させた場合、グリセリン還元化合物の収率を高めるためには、WとRhのモル比([W]/[Rh])は、1/4未満であることが好ましく、1/5以下であればより好ましい。また、1,2−プロパンジオールの選択率を高めるためには、[W]/[Rh]が1/5以上であると良い。1−プロパノールの選択率を高めるためには、1/7以下であると良い。[W]/[Rh]の上限は、特に限定されるものではないが、1であると良い。なお、Wを共存させた場合、その量が多量([W]/[Rh]が1/4以上)であるとグリセリンの転化率が極端に低くなる傾向がある。
Mo等を担持している担体を調製する方法には、公知の担持方法を使用すると良い。例としては、(1)Mo、Re、およびWから選択された一種または二種以上の金属元素含有液を担体(当該担体は、グリセリン還元用触媒におけるSiO2担体とは異なる)に含浸させ、乾燥、焼成する方法、(2)Rh含有液を含浸させた後に乾燥したSiO2担体に、Mo、Re、およびWから選択された一種または二種以上の金属元素含有液を含浸させた後、乾燥および焼成する方法、が挙げられる。なお、前記(2)の方法によれば、Rhを担持しているSiO2担体を調製することになるので、グリセリン還元用触媒を調製することにもなる。
本実施形態におけるグリセリンの還元方法は、グリセリンを接触還元する方法であれば、グリセリン溶液を使用する三相系還元反応、およびグリセリンガスを使用する二相系還元反応のいずれであっても良いが、グリセリン分解化合物の生成量が少ない二相系還元反応が好ましい。
グリセリンの還元方法は、回分形式、半回分形式、連続流通形式等を任意に選択した形式により実施することができる。また、所定量のグリセリンから得られるグリセリン還元化合物の量を増加させたい場合には、還元方法実行後の未反応グリセリンを分離回収して還元するリサイクルプロセスを採用しても良い。このリサイクルプロセスは、例えば、1,3−プロパンジオールの選択率が高いグリセリンの還元方法(例えば、Mo共存量を[Mo]/[Rh]≧1/4とする方法)で、所定量の使用グリセリンに対する1,3−プロパンジオール生成量を高めたい場合に使用すると良い。
還元反応を行うときの温度は、高温であるほど触媒自体の活性が高まることになるので好ましい。しかし、420Kを超えると、グリセリン分解化合物の選択率が極端に高まる傾向があるので、420K以下であることが好ましく、更に好ましくは400K以下である。反応温度の下限値は、330Kであると良く、好ましくは350K、さらに好ましくは380Kである。また、還元反応において、水素圧は概ね8MPa程度、グリセリン溶液のグリセリン濃度は20質量%以下であると良い。なお、還元反応において、水素圧が高いほどグリセリン還元化合物の選択率および収率が高まり、グリセリン濃度が低いほどグリセリン還元化合物の選択率および収率が高まる一般的な傾向がある。
製造されたグリセリン還元化合物は、蒸留等の適宜な分離手段により、その成分となっている1,3−プロパンジオール等に分離することができ、既に公知となっている通り、グリセリン還元化合物誘導体の製造原料として使用することができる。従って、上記グリセリン還元化合物の製造方法は、この化合物誘導体の製造工程中に取り入れることが当然可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(グリセリンの還元)
後記実施例1〜3および比較例1〜5の何れかの触媒150mgおよび20質量%グリセリン水溶液20mlが仕込まれ、水素パージされた内容積70mlのオートクレーブ中において、グリセリンの還元を行った。この還元では、反応温度を393K、初期圧力が8.0MPa、反応時間を10時間とした。反応終了後、GC−MS(GCカラム:Stabilwax、GC検出器:FID)で生成物の定性分析および定量分析を行い、グリセリン還元化合物および分解化合物を定量した。
また、参考例の触媒として担体が活性炭であるRh/C、Ru/C、Pt/C、またはPd/C(和光純薬工業株式会社製、貴金属担持率5質量%)を使用し、上記と同様のグリセリンの還元を行った。
使用した実施例1〜3および比較例1〜5の触媒は、次の通り調製した。なお、実施例および比較例の触媒は、全て粒子径が100メッシュ以下の粉状体であった。
(実施例1)
比表面積が380m/gであるSiO2(日本アエロジル株式会社製「Aerosil」)にRhCl3・3H2O(添川理化学株式会社製)の水溶液を含浸させて、RhをSiO2に対して4質量%となるように担持させた。次いで、Rh担持SiO2を、温度383Kで12時間乾燥した後、大気中において温度773Kで3時間焼成して実施例1のRh/SiO2触媒を調製した。
(実施例2)
比表面積が535m/gであるSiO2(富士シリシア化学株式会社製「CARIACT G−6」)を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のRh/SiO2触媒を調製した。
(実施例3)
比表面積が173m/gであるSiO2(富士シリシア化学株式会社製「CARIACT Q−15」)を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例3のRh/SiO2触媒を調製した。
(比較例1)
比表面積が380m/gであるSiO2(日本アエロジル株式会社製「Aerosil」)にRuCl3・5H2O(添川理化学株式会社製)の水溶液を含浸させて、RuをSiO2に対して4質量%となるように担持させた。次いで、実施例1と同じく、SiO2を乾燥、焼成して比較例1のRu/SiO2触媒を調製した。
(比較例2)
比表面積が110m/gであるAl23(Japan Reference Catalyst JRC-ALO-1)にRhCl3・3H2O水溶液を含浸させて、RhをSiO2に対して4質量%となるように担持させた。次いで、実施例1と同じく、Al23を乾燥、焼成して比較例2のRh/Al23触媒を調製した。
(比較例3)
Al23にRuCl3・5H2O水溶液を含浸させた以外は、比較例2と同様にして、比較例3のRu/Al23触媒を調製した。
(比較例4)
Al23にH2PtCl6・6H2O(添川理化学株式会社製)の水溶液に含浸させた以外は、比較例2と同様にして、比較例4のPt/Al23触媒を調製した。
(比較例5)
Al23にPd(NO3)2(添川理化学株式会社製)の水溶液を含浸させた以外は、比較例2と同様にして、比較例5のPd/Al23触媒を調製した。
上記グリセリンの還元によるGC−MS分析結果を、実施例1〜3、比較例1〜5、および参考例の触媒のCO吸着量測定値と併せて、表1に示す。ここで、表1における用語の意味は次の通りである。「転化率」は、グリセリンの転化率を意味し、(1−(未反応グリセリンのモル数)/(反応前のグリセリンのモル数))×100、で算出した値である。「還元化合物」は、グリセリン還元化合物、「分解化合物」は、グリセリン分解化合物、を意味する。「収率」および「選択率」は、グリセリンの炭素数を基準にして算出される数値である(例えば、メタン分子の炭素数はグリセリン分子の炭素数の1/3であるから、グリセリン1molとメタン3molが同量とみなされる)。そして、表1において、「PD」は、プロパンジオールを意味し、「PO」は、プロパノールを意味する。
Figure 2008110931
表1より、実施例1〜3の触媒を使用したグリセリンの還元方法では、転化率(触媒活性)およびグリセリン還元化合物の選択率の高低の指標となるa/bは、比較例1〜5よりも高いことを確認することができる。また、Ru/C(参考例2)を使用した転化率は高いが、活性炭以外を担体とするRu/SiO2(比較例1)またはRu/Al23(比較例3)を使用したときの転化率は低く、これと同じく、Rh/C(参考例1)の担体がAl23(比較例2)に変わると、転化率は低い。その一方で、実施例の触媒を使用したときには、Rhを担持する担体がSiO2であるにも関わらず、高い転化率が実現されていたことを確認することができる。
上記実施例および比較例の触媒を使用したグリセリンの還元とは別に、Rh以外の金属元素を有する実施例4〜6および比較例6〜10の触媒を調製し、実施例1の触媒を使用したグリセリンの還元と同様の還元を行った。
実施例4〜6および比較例6〜10の触媒は次の通り調製した。
比表面積が535m/gであるSiO2(富士シリシア化学株式会社製「CARIACT G−6」)にRhCl3・3H2O(添川理化学株式会社製)の水溶液を含浸させて、RhをSiO2に対して4質量%となるように担持させた。次いで、Rh担持SiO2を、温度383Kで12時間乾燥した。乾燥後のRh担持SiO2に所定の金属化合物の水溶液を含浸させた後、383Kで12時間乾燥し、次いで、大気中において温度773Kで3時間焼成して触媒であるMo−Rh/SiO2(実施例4)、Re−Rh/SiO2(実施例5)、W−Rh/SiO2(実施例6)、Zr−Rh/SiO2(比較例6)、V−Rh/SiO2(比較例7)、Cr−Rh/SiO2(比較例8)、Mn−Rh/SiO2(比較例9)、Ag−Rh/SiO2(比較例10)を調製した。なお、上記の乾燥後のRh担持SiO2に含浸させる水溶液に使用した所定の金属化合物には、(NH4)6MO724(実施例4)、NH4ReO4(実施例5)、(NH4)101241(実施例6)、ZrO(NO3)2・2H2O(比較例6)、NH4VO3(比較例7)、CrO(NO3)3・9H2O(比較例8)、Mn(NO3)2・6H2O(比較例9)、AgNO3(比較例10)を使用した。また、これら所定の金属化合物の使用量は、所定の金属化合物における金属元素(M)とRhのモル比[M]/[Rh]が1/4となる量とした。
表2に実施例4〜6および比較例6〜10の触媒を使用してグリセリンの還元を行った結果を、上記実施例2の触媒を用いてグリセリンの還元を行った結果と併せて示す。
Figure 2008110931
表2より、Mo、Re、またはWを有する実施例4〜6の触媒を使用してグリセリンの還元を行った場合のみ、a/bが実施例2と同等または同等以上であることを確認することができる。また、実施例2の触媒を使用したときの結果を基準にして比較すると、Moを有する実施例4の触媒を使用したときは、高収率で1,3−プロパンジオールが生成したことを確認することができる。また、実施例2の触媒を使用したときの結果を基準にして比較すると、Reを有する実施例5の触媒を使用したときは1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールの収率および選択率が高かったことを確認することができ、Wを有する実施例6の触媒を使用したときは1,3−プロパンジオールの選択率が高かったことを確認することができる。
また、上記グリセリンの還元とは別に、Mo、Re、またはWをRhと共にSiO2担体に担持させた実施例7〜23の触媒を調製し、上記実施例1の触媒を使用したグリセリンの還元と同様の還元を行った。ここで使用した実施例7〜23の触媒の調製方法は、(NH4)6Mo724、NH4ReO4、(NH4)101241の使用量を変更した以外は実施例4〜6の触媒の調製方法と同様にした。
表3〜5に実施例7〜23の触媒を使用してグリセリンの還元を行った結果を、上記実施例2の触媒を用いてグリセリンの還元を行った結果と併せて示す。
Figure 2008110931
Figure 2008110931
Figure 2008110931
表3〜5では、上記表2と同様のa/b等の結果を確認することができる。また、表3を確認すると、実施例2の触媒を使用したときに比べて、[Mo]/[Rh]が3/5以下である実施例7〜12の触媒を使用した場合には、グリセリン還元化合物の収率が高かったことを確認することができ、[Mo]/[Rh]が1/4以上である実施例11〜14の触媒を使用した場合には、1,3−プロパンジオールの選択率が高かったことを確認することができる。また、表5を確認すると、[W]/[Rh]が1/5以下である実施例21の触媒を使用した場合においても、実施例2の触媒を使用したときに比べて、グリセリン還元化合物の収率が高かったことを確認することができる。
また、上記グリセリンの還元とは別に、実施例2と同様にして調製した実施例24〜26の触媒を使用すると共に、Moを担持しているSiO2(Mo/SiO2)、Reを担持しているSiO2(Re/SiO2)、またはRe塩を前記触媒と共存させた以外は、上記実施例1の触媒を使用したグリセリンの還元と同様の還元を行った。ここで、Rh/SiO2を使用した還元では、150mgのMo/SiO2と150mgの実施例24の触媒との混合物([Mo]/[Rh]が1/16である混合物)を使用し、Re/SiO2を使用した還元では、150mgのRe/SiO2と150mgの実施例25との触媒との混合物([Re]/[Rh]が1/2である混合物)を使用した。また、Re塩を使用した還元では、グリセリン水溶液にNH4ReO4を7.8×10−3g([Re]/[Rh]が1/2である量)添加した。
なお、Mo/SiO2、Re/SiO2は、次の通り調製したものである。
(Mo/SiO2
比表面積が535m/gであるSiO2に(NH4)6Mo724の水溶液を含浸させて、MoをSiO2に対して4質量%となるように担持させ、次いで、Mo担持SiO2を、温度383Kで12時間乾燥した後、大気中において温度773Kで3時間焼成してMo/SiO2を調製した。
(Re/SiO2
(NH4)6Mo724をNH4ReO4に変更したこと以外は上記Mo/SiO2の調製方法と同様にして、Re/SiO2を調製した。
表6に実施例24〜26の触媒を使用してグリセリンの還元を行った結果を、上記実施例2、実施例9および18の触媒を用いてグリセリンの還元を行った結果と併せて示す。
Figure 2008110931
表6において、実施例2の触媒を使用した場合と実施例24および25の触媒を使用した場合との結果を比較すると、Rhを担持している担体とは別の担体に担持されているMoまたはReをグリセリンの還元反応において共存させたときには、グリセリン還元化合物が高収率で得られたことを確認することができる。また、実施例2の触媒を使用した場合と実施例26の触媒を使用した場合を比較すると、Reを塩としてグリセリンの還元反応に共存させた場合にも、グリセリン還元化合物が高収率で得られたことを確認することができる。以上の結果と、実施例9および18の触媒を使用した結果を併せれば、グリセリンの還元反応にMo元素またはRe元素を共存させると、グリセリン還元化合物の収率が向上することが分かる。
また、表6における実施例9および実施例24との比較、並びに実施例18と実施例25との比較から、MoまたはReをグリセリンの還元反応において共存させてグリセリン還元化合物を高収率で得るためには、MoまたはReを担持させる担体がRhを担持している担体であることが効果的だと分かる。

Claims (11)

  1. グリセリン、水素、およびRhを担持しているSiO2担体の共存下で前記グリセリンを還元することを特徴とするグリセリンの還元方法。
  2. Mo、Re、およびWから選択された一種または二種以上の金属元素の共存下で前記グリセリンを還元する請求項1に記載のグリセリンの還元方法。
  3. 前記Mo、Re、およびWから選択された一種または二種以上の金属元素が担体に担持されている請求項2に記載のグリセリンの還元方法。
  4. 前記Mo、Re、およびWから選択された一種または二種以上の金属元素を担持している担体が、前記Rhを担持しているSiO2担体である請求項3に記載のグリセリンの還元方法。
  5. 前記MoとRhとのモル比([Mo]/[Rh])が1/64〜1/2である請求項2〜4のいずれかに記載のグリセリンの還元方法。
  6. 前記MoとRhとのモル比([Mo]/[Rh])が3/5以下である請求項2〜4のいずれかに記載のグリセリンの還元方法。
  7. 前記MoとRhとのモル比([Mo]/[Rh])が1/4以上である請求項2〜4のいずれかに記載のグリセリンの還元方法。
  8. 前記WとRhとのモル比([W]/[Rh])が1/4未満である請求項2〜7のいずれかに記載のグリセリンの還元方法。
  9. CO吸着量が100〜350μmol/gである請求項1に記載のグリセリンの還元方法。
  10. SiO2担体と、該SiO2担体に担持されているRhとを有し、請求項1〜9のいずれかに記載のグリセリンの還元方法に使用されるグリセリン還元用触媒。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のグリセリンの還元方法を使用する工程を有するグリセリン還元化合物誘導体の製造方法。
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