JP2008110056A - 電極部材および電極部材を含むイオントフォレーシス装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】凹凸のある表面に対して電極部61、64を追従して配することができる。
【解決手段】電気的に絶縁な材料により形成されたシート状の基体56と、基体56上に電気的に導電性を有する材料により形成され、外部と電気的に接続する給電部71、74と、基体56上に電気的に導電性を有する材料により形成され、給電部71、74に電気的に接続する電極部61、64とを備え、基体56は周縁が切り込まれた切込み85、86を有する電極部材51が提供される。
【選択図】図3
【解決手段】電気的に絶縁な材料により形成されたシート状の基体56と、基体56上に電気的に導電性を有する材料により形成され、外部と電気的に接続する給電部71、74と、基体56上に電気的に導電性を有する材料により形成され、給電部71、74に電気的に接続する電極部61、64とを備え、基体56は周縁が切り込まれた切込み85、86を有する電極部材51が提供される。
【選択図】図3
Description
本発明は、電極部材および電極部材を含むイオントフォレーシス装置に関する。特に本発明は、薬物イオンをイオントフォレーシスにより経皮的に投与するイオントフォレーシス装置およびこれに用いる電極部材に関する。
人間または動物の身体の所望部位における皮膚または粘膜などの生体表面(以下、これらをまとめて「皮膚」と称す)に対して、薬物イオンをイオントフォレーシスにより経皮的に投与する装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。なお、イオントフォレーシス(iontophoresis)は、イオントフォレーゼ、イオン導入法、イオン浸透療法などと呼ばれることもある。
特開2000−229128号公報
上記特許文献1に開示されている装置に用いられ得る印刷電極層について説明する。図10は、電極部材50の平面図を模式的に示す。なお、図10において説明のために右側の給電部73における絶縁保護層92を省略して示した。図11は、電極部材50を図10の矢印Aの側から見た側面図を示す。なお、図11は、各部の配置を見易くするために厚さ方向(上下方向)に拡大した側面図を示す。電極部材50は、PET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムにより形成された基体55と、例えばカーボン粉などの導電粉を含有する導電塗料を印刷などの方法で基体55上に塗膜することにより形成された電極部60、63および給電部70、73と、給電部70、73の基体55側と反対側に例えば電気絶縁性のインクを印刷などの方法で塗膜することにより形成された絶縁保護層92とを備える。ここで、電極部材50がイオントフォレーシス装置に用いられる場合は、電極部60、63が作用側電極部および非作用側電極部それぞれの電極となる。また、このとき、給電部70、73は、電極部材50がイオントフォレーシス装置に用いられる場合に、イオントフォレーシス装置の電源と電極部60、63とをそれぞれ電気的に接続する。
図10および図11に示すように、電極部材50の基体55における電極部60、63が形成された部分は、それぞれ略円形の面体であるが、イオントフォレーシス装置の作用側電極部および非作用側電極部を凹凸のある皮膚に当接させる場合に、電極部材50の基体55におけるこれらの部分が皮膚の凹凸に対して十分に撓まない場合がある。このような場合、皮膚と作用側電極部および非作用側電極部とが十分に当接せず、安定した通電状態のもとでイオントフォレーシスを適用することができない。
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、シート状の基体と、基体上に電気的に導電性を有する材料により形成され、外部と電気的に接続する給電部と、基体上に電気的に導電性を有する材料により形成され、給電部に電気的に接続する電極部とを備え、基体は周縁において互いに相対的に変形可能な複数の可動部を有する電極部材が提供される。このような電極部材は、基体周縁の可動部が撓んで変形することができるので、凹凸のある表面に対して追従して配することができる。
また、上記電極部材において、電極部は、前記基体における前記可動部上の少なくとも一部に形成されることが好ましい。これにより、凹凸のある表面に対して電極部を追従して当接させることができる。
また、上記電極部材において、基体は、電気的に絶縁な材料により形成されることが好ましい。
上記電極部材において、基体は、円形部分を有し、電極部は、前記基体の前記円形部分上に形成され、円形部分の中心に対して放射状に前記切込みが複数設けられることが好ましい。これにより、凹凸のある表面に対してさらに容易に当接させることができる。
また、上記電極部材において、電極部は、切込みから離間して配されることが好ましい。これにより、基体における切込みの両側の部分が離間する方向に力が加わった場合でも、電極部は破損または基体から剥離しにくくなる。
本発明の第2の形態においては、作用側電極構造体と、非作用側電極構造体と、作用側電極構造体および非作用側電極構造体に接続された電源とを備え、作用側電極構造体に保持される薬物イオンを、電源からの電圧によって、生体に投与するためのイオントフォレーシス装置であって、作用側電極構造体および非作用側電極構造体のそれぞれは、電源に電気的に接続される電極部材を有し、電極部材は、シート状の基体、基体上に電気的に導電性を有する材料により形成され、外部と電気的に接続する一対の給電部、および、基体上に電気的に導電性を有する材料により形成され、一対の給電部に電気的に接続する一対の電極部を有し、基体は周縁において互いに相対的に変形可能な複数の可動部を有するイオントフォレーシス装置が提供される。このようなイオントフォレーシス装置によれば、凹凸のある皮膚に対しても作用側電極構造体および非作用側電極構造体を容易に当接させることができるので、安定した通電状態のもとでイオントフォレーシスを適用することができる。
また、上記イオントフォレーシス装置において、電極部材の基体は、電気的に絶縁な材料により形成されることが好ましい。
また、上記イオントフォレーシス装置において、基体は、電気的に絶縁な材料により形成されることが好ましい。
上記イオントフォレーシス装置は、作用側電極構造体、非作用側電極構造体および集電体を支持する、シート状の支持体をさらに備えてもよい。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
また、本明細書における「薬物」は、調製されているか否かに関わらず、病気の治療、回復または予防、健康の増進または維持、病状または健康状態などの診断、あるいは美容の増進または維持などの目的で生体に投与される物質を意味する。
また、本明細書における「薬物イオン」は、薬物がイオン解離することにより生じるイオンを意味する。薬物の薬物イオンへの解離は、薬物を水、アルコール類、酸、またはアルカリなどの溶媒に溶解させることにより生じるものであってもよく、さらに電圧の印加またはイオン化剤の添加等により生じるものであってもよい。
また、本明細書における「薬液」は、薬物イオンを含む流動物をいい、薬物を溶媒に溶解させた溶液、および、薬物が液状である場合における原液などの液体状態のものだけでなく、薬物の少なくとも一部が薬物イオンに解離する限り、薬物を溶媒等に懸濁または乳濁させたもの、および、軟膏状またはペースト状に調製されたものなど種々の状態のものを含む。
また、本明細書における「第1導電型」は、プラスまたはマイナスの電気極性を意味し、「第2導電型」は、第1導電型と反対の導電型(マイナスまたはプラス)を意味する。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、イオントフォレーシス装置10の上面図を示す。図2は、図1のa−a断面における断面図を示す。図1および図2に示すように、イオントフォレーシス装置10は、電極部材51、作用側電極構造体20、非作用側電極構造体30、第一支持体41、第二支持体42、第三支持体43および電源80を有する。電極部材51は、電源80と電気的に接続しており、電極部61、64を皮膚との当接面45の側に向けて、第一支持体41と第二支持体42との間に挟持される。ここで、第二支持体42および第三支持体43には、所定形状(本実施形態では円形)の2つの開口が形成され、これら2つの開口の一方には作用側電極構造体20の構成部品が、他方には非作用側電極構造体30の構成部品がそれぞれ配される。第一支持体41、第二支持体42および第三支持体43は、シート状部材であり、例えば発泡ポリウレタンなどの柔軟な素材で形成される。したがって、使用者は、凹凸のある皮膚へもイオントフォレーシス装置10の当接面45を容易に当接させて保持することができる。また、使用者が動いた場合でも当接面45は皮膚から離れにくい。
作用側電極構造体20は、第一支持体41の側から当接面45の側に向かって、第1電解液保持部21、第2導電型のイオン選択性膜22、薬液保持部24、および、第1導電型のイオン選択性膜25をこの順に有する。非作用側電極構造体30は、第一支持体41の側から当接面45の側に向かって、第2電解液保持部31、第1導電型のイオン選択性膜32、第3電解液保持部34、および、第2導電型のイオン選択性膜35をこの順に有する。電極部材51の電極部61は、作用側電極構造体20の第1電解液保持部21と当接し、また、電極部64は、非作用側電極構造体30の第2電解液保持部31と当接する。ここで、第1電解液保持部21および第2電解液保持部31は、それぞれ、電極部61、64の接続対象の一例である。
作用側電極構造体20において、第1電解液保持部21は、例えば天然繊維、人工繊維の織布または不織布、多孔質膜、あるいはゲルなどの適当な吸収性をもつ担体であり、電解液を保持する。この電解液は、水の電気分解反応(水の酸化および還元反応)と比較して水の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有する酸化および還元しやすい化合物が溶解した溶液が用いられる。
第2導電型のイオン選択性膜22は、第1電解液保持部21の当接面45の側に設けられ、第2導電型のイオンを選択的に透過する。薬液保持部24は、第1導電型の薬物イオンを含む薬液を、例えば天然繊維、人工繊維の織布や不織布、多孔質膜、あるいはゲルなどの適当な吸収性をもつ担体に含浸させて保持する。第1導電型のイオン選択性膜25は、薬液保持部24の当接面45の側に設けられ、第1導電型のイオンを選択的に透過する。
非作用側電極構造体30において、第2電解液保持部31および第3電解液保持部34は、例えば天然繊維、人工繊維の織布や不織布、多孔質膜、あるいはゲルなどの適当な吸収性をもつ担体であり、電解液を保持する。第1導電型のイオン選択性膜32は、第2電解液保持部31の当接面45の側に設けられ、第1導電型のイオンを選択的に透過する。第3電解液保持部34は、第1導電型のイオン選択性膜32の当接面45の側に設けられる。第2導電型のイオン選択性膜35は、第3電解液保持部34の当接面45の側に設けられ、第2導電型のイオンを選択的に透過する。なお、第2電解液保持部31、および第3電解液保持部34が保持する電解液は、作用側電極構造体20の第1電解液保持部21が保持する電解液と同様に、水の電気分解反応(水の酸化および還元反応)と比較して水の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有する酸化および還元しやすい化合物が溶解した溶液が用いられる。
イオントフォレーシス装置10は、第1導電型のイオン選択性膜25および第2導電型のイオン選択性膜35における皮膚側に、皮膚との密着性を高めるための粘着剤層を形成することもできる。また、粘着剤層のさらに皮膚側に、当接面45、第1導電型のイオン選択性膜25、および第2導電型のイオン選択性膜35を覆う剥離可能なライナーを貼付することもできる。これにより、イオントフォレーシス装置10の保管中における異物の混入や乾燥を防止することができる。
イオントフォレーシス装置10は、第1導電型のイオン選択性膜25および第2導電型のイオン選択性膜35が皮膚に当接した状態で、電源80から作用側電極構造体20および非作用側電極構造体30に対して、イオントフォレーシスを適用するための電力が供給される(電圧がかけられる)と、作用側電極構造体20および非作用側電極構造体30の間に皮膚を介して電流が流れて使用状態となる。
ここで、薬物イオンがアニオンである場合を例に、イオントフォレーシス装置10の具体的構成についてさらに説明する。この場合、第1導電型は陰であり、第2導電型は陽である。すなわち、作用側電極構造体20の第1電解液保持部21と当接する電極部61はカソードとなり、非作用側電極構造体30の第2電解液保持部31と当接する電極部64はアノードとなる。また、作用側電極構造体20において、第2導電型のイオン選択性膜22にはカチオン交換膜を用い、第1導電型のイオン選択性膜25にはアニオン交換膜を用いる。また、非作用側電極構造体30において、第1導電型のイオン選択性膜32にはアニオン交換膜を用い、第2導電型のイオン選択性膜35にはカチオン交換膜を用いる。
イオントフォレーシス装置10は、皮膚を介して通電している使用状態において、以下の作用効果を奏する。すなわち、作用側電極構造体20では、薬液保持部24が保持する薬液に含まれる薬物イオンは、電気泳動によりカソードである電極部61と反対側(皮膚側)へ移動し、薬液保持部24の皮膚側に配されて皮膚と当接する第1導電型のイオン選択性膜25を透過して速やかに皮膚へ浸透する。これに対し、生体内のカチオンは第1導電型のイオン選択性膜25を透過して薬液保持部24側へ移動することがない。したがって、安定した通電状態のもとでイオントフォレーシスにより薬物イオンを生体へ効率よく導入することができる。また、薬液保持部24に含まれる、アニオンである薬物イオンと対を成すカチオンは、電極部61側へ移動し、カチオン交換膜である第2導電型のイオン選択性膜22を透過して第1電解液保持部21側へ移動する。したがって、通電状態において、薬液保持部24のイオンバランスが崩れないので、pHの変化は生じにくい。故に、通電抵抗が大きくなりにくいので、薬物イオンの輸送効率の低下を抑えることができる。
非作用側電極構造体30では、第3電解液保持部34が保持する電解液に溶解している化合物が水の酸化還元電位より低い酸化還元電位を有する化合物であるので、アノードである電極部64において、水の電気分解反応は起こらない。したがって、水の電気分解反応で発生する気泡(酸素ガス)によって、電極部64と第3第3電解液保持部34の保持する電解液との接触が妨げられることで通電抵抗が大きくなるのを防ぐことができる。
なお、薬物イオンがカチオンである場合は、第1導電型は陽であり、第2導電型は陰である。したがって、図1および図2に示すイオントフォレーシス装置10における電極部61および電極部64の電気的な極性は逆になり、また、第2導電型のイオン選択性膜22、第1導電型のイオン選択性膜25、第1導電型のイオン選択性膜32および第2導電型のイオン選択性膜35の種類(イオン選択特性)はそれぞれ反対のものになる。
図3は、電極部材51の平面図を示す。図4は、図3のb−b断面における断面図を示す。図5は、図3のc−c断面における断面図を示す。図6は、図3のd−d断面における断面図を示す。なお、図3では説明のために右側の給電部74における絶縁保護層93を省略して示した。また、図4以降の断面図は、説明のために各構成の厚みを誇張して示した。
図3から図6に示すように、電極部材51は、2つの円形部分を有する基体56と、基体56の円形部分上に形成された一対の電極部61、64と、基体56上に形成された一対の給電部71、74と、給電部71、74における基体56側とは反対側に形成された絶縁保護層93とを備える。給電部71の一端は、電極部61の中央部81と電気的に接続し、他端は電源80の第1導電型の端子と電気的に接続する。また、給電部74の一端は、電極部64の中央部82と電気的に接続しており、他端は電源80の第2導電型の端子と電気的に接続している。なお、図4において絶縁保護層93が給電部71と給電部74との間に入り込んで形成されてもよい。また、基体56は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどのシート状の材料により形成され、可撓性を有する。
基体56は、図3、図4および図6に示すように、電極部61、64が形成された2つの円形部分のそれぞれにおいて、中心に対して放射状に周縁が切り込まれた切込み85、86を複数有する。これにより、基体56の2つの円形部分それぞれの周縁には、互いに相対的に変形可能な複数の可動部156が形成される。
電極部61は、図7に示すように、基体56の2つの円形部分の一方において、中心部および周縁の可動部156の少なくとも一部に形成される。また、電極部61は、放射状の複数の切込み85の各々から離間して配される。
電極部64は、図7に示すように、基体56の2つの円形部分の他方において、中心部および周縁の可動部156の少なくとも一部に形成される。また、電極部64は、放射状の複数の切込み86の各々から離間して配される。
電極部材51は、例えば以下の通りに製造される。まず、銀および塩化銀またはカーボンなどの導電性を有する導電材料を含有する導電塗料を印刷などの方法で基体56上に塗膜して電極部61、64および一対の給電部71、74を形成する。次に、これらの給電部71、74上に例えば電気絶縁性を有するインクを印刷などの方法で塗膜して絶縁保護層93を形成する。さらに、打ち抜きなどの方法によりPETフィルムから図3、図4および図6に示すように切込み85、86が形成された基体56を作製する。
以上に説明した電極部材51は、基体56の2つの円形部分に形成された電極部61、64のうち、少なくとも基体56の可動部156上に形成された部分を可動部156とともに変形して撓ませることができる。したがって、電極部61、64を凹凸のある表面に対して容易に当接させることができる。また、電極部61、64が複数の切込み85、86の各々から離間して配されるので、電極部材51は、基体56における切込み85、86の両側の部分が離間する方向に力が加わった場合でも、電極部61、64は破損または基体56から剥離しにくくなる。
また、電極部材51に対して給電部71、74と接続した電源80から電力が供給された場合、電極部61、64では、中央部81、82に近い側から遠い側に向かって電流が流れる。このとき、電極部61、64のそれぞれにおいて電流が流れ込む部分(給電部71、74とそれぞれ電気的に接続する部分)とそこから電極部61、64の面方向において最も離れた部分との距離は、図10および図11に示す電極部材50の電極部60、63のそれぞれにおいて電流が流れ込む部分(給電部70、73とそれぞれ電気的に接続する部分)とそこから電極部60、63の面方向において最も離れた部分との距離よりも小さい。したがって、電極部材50の電極部60、63と比べて、電極部材51の電極部61、64は、電流密度分布の偏りが小さくなる。
また、上記のように、イオントフォレーシス装置10において、電極部材51の電極部61は第1電解液保持部21と当接しており、また、電極部64は第2電解液保持部31と当接している。このとき、絶縁保護層93は、給電部71および給電部74が第1電解液保持部21および第2電解液保持部31とそれぞれ重なる領域において、給電部71および給電部74と第1電解液保持部21および第2電解液保持部31との間を電気的に絶縁している。したがって、給電部71および給電部74は、電極部61および電極部64とそれぞれ電気的に接続する部分以外の部分から電力を供給することなく、電極部61および電極部64に対して確実に電力を供給することができる。
上記イオントフォレーシス装置10は、電極部材51に代えて、以下に説明する電極部材52を備えてもよい。図7は、電極部材52の平面図を示す。図8は、図7のe−e断面における断面図を示す。なお、図7では説明のために右側の給電部75における絶縁保護層94を省略して示した。また、図8以降の断面図は、説明のために各構成の厚みを誇張して示した。
図7および図8に示すように、電極部材52は、2つの円形部分を有する基体57と、基体57の円形部分上に形成された一対の電極部62、65と、第1絶縁層95と、第2絶縁層96と、基体57上に形成された一対の給電部72、75と、絶縁保護層94とを備える。電極部62、65および給電部72、75は、例えば銀および塩化銀またはカーボンなどの導電性を有する導電材料を含有する導電塗料により形成される。また、第1絶縁層95、第2絶縁層96および絶縁保護層94は、例えば電気絶縁性を有するインクにより形成される。なお、図8において第1絶縁層95および第2絶縁層96の一方または両方が給電部72と給電部75との間に入り込んで形成されてもよい。また、電極部材52は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどのシート状の材料により形成され、可撓性を有する。
図7および図8に示すように、給電部72の一端は、電極部62の中央部83と電気的に接続し、他端は電源80の第1導電型の端子と電気的に接続する。また、給電部75の一端は電極部65の中央部84と電気的に接続しており、他端は電源80の第2導電型の端子と電気的に接続する。第1絶縁層95および第2絶縁層96は、給電部72、75が基体57における上記の面体の部分の中央部83、84から外周部にわたって形成されている部分において、中央部83、84を除いて電極部62、65と給電部72、75とを電気的に絶縁する。
基体57は、図7に示すように、電極部材51の基体56と同様に、電極部62、65が形成された2つの円形部分のそれぞれにおいて、周縁が切り込まれた切込み87、88をそれぞれ放射状に複数有する。これにより、基体57の2つの円形部分それぞれの周縁には、互いに相対的に変形可能な複数の可動部157が形成される。
電極部62は、図7に示すように、基体57の2つの円形部分の一方において、中心部および周縁の可動部157の少なくとも一部に形成される。また、電極部62は、放射状の複数の切込み87の各々から離間して配される。
電極部65は、図7に示すように、基体57の2つの円形部分の他方において、中心部および周縁の可動部157の少なくとも一部に形成される。また、電極部65は、放射状の複数の切込み88の各々から離間して配される。
電極部材52は、例えば以下の手順により印刷などの方法で製造される。まず、基体57上に、一対の電極部62、65および第1絶縁層95を形成する。次に、第2絶縁層96を形成する。さらに、その上から給電部72、75を形成する。さらに、これら給電部72、75上に絶縁保護層94を形成する。最後に、打ち抜きなどの方法によりPETフィルムから切込み87、88が形成された基体57を作製する。
以上に説明した電極部材52は、基体57の2つの円形部分に形成された電極部62、65のうち、少なくとも基体57の可動部157上に形成された部分を可動部157とともに変形して撓ませることができる。したがって、電極部62、65を凹凸のある表面に対して容易に当接させることができる。また、電極部62、65が放射状の複数の切込み87、88の各々から離間して配されるので、電極部材52は、基体57における切込み87、88の両側の部分が離間する方向に力が加わった場合でも、電極部62、65は破損または基体57から剥離しにくくなる。さらに、電極部材52は、給電部72、75の近傍には切込み87、88を有しない。したがって、電極部材52は、基体57における切込み87、88の両側の部分が離間する方向に力が加わった場合でも、基体57における、給電部72、75が形成されている部分と、電極部62、65がそれぞれ形成された円形部分とが切断しにくくなる。
また、上記のイオントフォレーシス装置10において、電極部材52を用いた場合、電極部材52の電極部62は第1電解液保持部21と当接し、また、電極部65は第2電解液保持部31と当接する。このとき、絶縁保護層94は、給電部72および給電部75が第1電解液保持部21および第2電解液保持部31とそれぞれ重なる領域において、給電部72および給電部75と第1電解液保持部21および第2電解液保持部31との間を電気的に絶縁する。したがって、給電部72および給電部75は、電極部62および電極部65とそれぞれ電気的に接続する部分以外の部分から、第1電解液保持部21および第2電解液保持部31などに電力を供給することなく、電極部62および電極部65に対して確実に電力を供給することができる。
以上において説明した電極部材51および電極部材52を用いたイオントフォレーシス装置10は、上記電極部材50を用いた場合と比べて、凹凸のある表面に対して当接面45をより追従して配することができる。
図9は、イオントフォレーシス装置10の他の例の断面図を示す。イオントフォレーシス装置10は、上記の作用側電極構造体20および非作用側電極構造体30に代えて、図9に示す内部構成を有する作用側電極構造体26および非作用側電極構造体36を備えてもよい。
図9に示すイオントフォレーシス装置10の作用側電極構造体26は、薬液保持部27を有する。薬液保持部27は、上記作用側電極構造体20の薬液保持部24と同様に、上記第1導電型の薬物イオンを含む薬液を、例えば天然繊維、人工繊維の織布や不織布、多孔質膜、あるいはゲルなどの適当な吸収性をもつ担体に含浸させて保持する。また、非作用側電極構造体36は、電解液保持部37を有する。電解液保持部37は、上記第2電解液保持部31および第3電解液保持部34と同様に、例えば天然繊維、人工繊維の織布や不織布、多孔質膜、あるいはゲルなどの適当な吸収性をもつ担体であり、電解液を保持する。作用側電極構造体26および非作用側電極構造体36は、上記の作用側電極構造体20および非作用側電極構造体30と比べてより簡易な構造であるので、部品点数を少なくすることができる。
また、上記の作用側電極構造体26および非作用側電極構造体36を備えたイオントフォレーシス装置10に電極部材51を用いた場合、電極部材51の電極部61は薬液保持部27と当接する。また、電極部64は電解液保持部37と当接する。このとき、絶縁保護層93は、給電部71および給電部74が薬液保持部27および電解液保持部37とそれぞれ重なる領域において、給電部71および給電部74と薬液保持部27および電解液保持部37との間を電気的に絶縁している。したがって、給電部71および給電部74は、電極部61および電極部64とそれぞれ電気的に接続する部分以外の部分から電力を供給することなく、電極部61および電極部64に対して確実に電力を供給することができる。
また、上記の作用側電極構造体26および非作用側電極構造体36を備えたイオントフォレーシス装置10に電極部材52を用いた場合、電極部材52の電極部62は薬液保持部27と当接する。また、電極部65は電解液保持部37と当接する。このとき、絶縁保護層94は、給電部72および給電部75が薬液保持部27および電解液保持部37とそれぞれ重なる領域において、給電部72および給電部75と薬液保持部27および電解液保持部37との間を電気的に絶縁する。したがって、給電部72および給電部75は、電極部62および電極部65とそれぞれ電気的に接続する部分以外の部分から、薬液保持部27および電解液保持部37などに電力を供給することがない。ゆえに、給電部72は電極部62に、給電部75は電極部65に、それぞれ確実に電力を供給することができる。
本実施形態において、イオントフォレーシス装置10によるイオントフォレーシスの適用に供される薬物イオンとしては、例えば次のようなものがある。正に帯電する薬物イオンとして、麻酔剤(塩酸プロカイン、塩酸リドカインなど)、胃腸疾患治療剤(塩化カルニチンなど)、骨格筋弛緩剤(臭化バンクロニウムなど)、抗生物質(テトラサイクリン系製剤、カナマイシン系製剤、ゲンタマイシン系製剤)等が挙げられる。負に帯電する薬物イオンとして、ビタミン(以下、Vと略記する)剤(VB2、VB12、VC、VE、葉酸など)、副腎皮質ホルモン(ヒドロコルチゾン系水溶性製剤、デキサメサゾン系水溶性製剤、プレドニソロン系水溶性製剤など)、抗生物質(ペニシリン系水溶性製剤、クロウムフェニコール系水溶性製剤)等が挙げられる。
また、イオントフォレーシスを適用するための電圧は、例えば、低周波治療器のようにパルス電圧でもよい。また、徐々に電圧を上げたり、あるいは、下げてもよい。体内を流れる電流は、0.01〜5mAの範囲が好ましいが、電極部61、62、64、65の面積や投与部位、さらには被投与者の個体差などによって増減させて、痛みや熱感を与えない程度に設定する。
なお、上記実施形態において、基体および電極部は略円形であるが、形状はこれに限られず、基体および電極部が矩形、楕円等であってもよいし、基体と電極部とで異なる形状であってもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることができることは当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 イオントフォレーシス装置、20、26 作用側電極構造体、21 第1電解液保持部、22 第2導電型のイオン選択性膜、24、27 薬液保持部、25 第1導電型のイオン選択性膜、30、36 非作用側電極構造体、31 第2電解液保持部、32 第1導電型のイオン選択性膜、34 第3電解液保持部、35 第2導電型のイオン選択性膜、37 電解液保持部、41 第一支持体、42 第二支持体、43 第三支持体、45 当接面、50、51、52 電極部材、55、56、57 基体、60、61、62、63、64、65 電極部、70、71、72、73、74、75 給電部、80 電源、81、82、83、84 中央部、85、86、87、88 切込み、92、93、94 絶縁保護層、95 第1絶縁層、96 第2絶縁層、156、157 可動部
Claims (8)
- シート状の基体と、
前記基体上に電気的に導電性を有する材料により形成され、外部と電気的に接続する給電部と、
前記基体上に電気的に導電性を有する材料により形成され、前記給電部に電気的に接続する電極部と
を備え、
前記基体は、周縁において互いに相対的に変形可能な複数の可動部を有する電極部材。 - 前記電極部は、前記基体における前記可動部上の少なくとも一部に形成される請求項1に記載の電極部材。
- 前記基体は、電気的に絶縁な材料により形成される請求項1または2に記載の電極部材。
- 前記基体は、円形部分を有し、
前記電極部は、前記基体の前記円形部分上に形成され、
前記円形部分の中心に対して放射状に前記切込みが複数設けられた請求項1から3のいずれかに記載の電極部材。 - 前記電極部は、前記切込みから離間して配される請求項1から4のいずれかに記載の電極部材。
- 作用側電極構造体と、
非作用側電極構造体と、
前記作用側電極構造体および前記非作用側電極構造体に接続された電源と
を備え、
前記作用側電極構造体に保持される薬物イオンを、前記電源からの電圧によって、生体に投与するためのイオントフォレーシス装置であって、
前記作用側電極構造体および前記非作用側電極構造体のそれぞれは、電源に電気的に接続される電極部材を有し、
前記電極部材は、
電気的に絶縁な材料により形成されたシート状の基体、
前記基体上に電気的に導電性を有する材料により形成され、外部と電気的に接続する一対の給電部、および、
前記基体上に電気的に導電性を有する材料により形成され、前記一対の給電部に電気的に接続する一対の電極部を有し、
前記基体は、周縁において互いに相対的に変形可能な複数の可動部を有するイオントフォレーシス装置。 - 前記電極部は、前記基体における前記可動部上の少なくとも一部に形成される請求項6に記載のイオントフォレーシス装置。
- 前記基体は、電気的に絶縁な材料により形成される請求項6または7に記載のイオントフォレーシス装置。
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JP2005319288A (ja) * | 2004-04-07 | 2005-11-17 | Vyteris Inc | 長期保存性が改良された、電気的にアシストされたリドカインおよびエピネフリンのデリバリー装置 |
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