JP2007268135A - イオントフォレーシス装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】投与を望まないときに拡散により薬剤イオンが生体に侵入することを防止することが可能なイオントフォレーシス装置を提供する。
【解決手段】電源12Aと、前記電源12Aに接続され、投与する薬物イオンを保持する作用側電極24と、前記電源12Aの前記作用側電極24と反対の極に接続された非作用側電極44とを有するイオントフォレーシス装置において、前記作用側電極24に印加する電圧を制御する電圧制御装置を備え、薬物投与時には前記薬物イオンと同じ極性の電圧を印加し、薬物非投与時には前記薬物イオンと反対極性の電圧を印加する。
【選択図】図6
【解決手段】電源12Aと、前記電源12Aに接続され、投与する薬物イオンを保持する作用側電極24と、前記電源12Aの前記作用側電極24と反対の極に接続された非作用側電極44とを有するイオントフォレーシス装置において、前記作用側電極24に印加する電圧を制御する電圧制御装置を備え、薬物投与時には前記薬物イオンと同じ極性の電圧を印加し、薬物非投与時には前記薬物イオンと反対極性の電圧を印加する。
【選択図】図6
Description
本発明は、薬物イオンを、電圧を印加することによって生体に投与するためのイオントフォレーシス装置に係り、特に、イオントフォレーシス装置を皮膚に貼り長時間断続的に通電して薬物イオンを生体に送達させる際に用いるのに好適なイオントフォレーシス装置に関する。
薬物イオンを、電圧を印加することによって生体に投与するためのイオントフォレーシス装置としては、特許文献1に記載されるように、作用側電極構造体及び非作用側電極構造体を有し、作用側電極構造体のイオン交換膜から薬物イオンを、皮膚や粘膜に投与させるものがある。
この特許文献1に記載されるイオントフォレーシス装置における作用側電極構造体は、皮膚や粘膜との接触側から、第1イオン交換膜、薬液保持部、第2イオン交換膜、第1電解液保持部、作用側電極の順で積層して構成されている。
又、非作用側電極構造体は、皮膚や粘膜との接触側から、第4イオン交換膜、第3電解液保持部、第3イオン交換膜、第2電解液保持部及び非作用側電極をこの順で積層して構成されている。
この特許文献1に記載されるイオントフォレーシス装置では、薬液保持部の薬液と電解液とが、第2イオン交換膜によって区画されているため、電解液の組成を薬物と独立に選択することが可能である。
従って、通電により塩素イオンを発生しない電解液を使用することが可能であり、電解液中の電解質として、水の電気分解よりも酸化又は還元電位の低いものを選択することによって、水の電気分解に起因する酸素ガスや水素ガス、水素イオンや水酸基イオンの精製を抑制することが可能である。あるいは、複数種類の電解質を溶解させた緩衝電解液を使用することによって、水素イオンや水酸基イオンの精製によるpH変化を抑制することもできる。更に、このイオントフォレーシス装置では、薬物イオンの電解液保持部への移行が、第2イオン交換膜により遮断されるために、通電時の化学反応によって薬物が変質する問題が解決される。
一方、例えば糖尿病患者のためのインシュリン投与のように、イオントフォレーシス装置を皮膚に貼って長時間断続的に薬物イオンを投与することが要請されている。このように薬物イオンの送達を行なう際、投与量を制御するためには、通電時のみ薬物イオンが送達される必要がある。しかしながら、膜は通電していない場合でも薬物イオンを遮断する機能が無く、又、皮膚と装置内の薬物イオンの濃度勾配があるため、無通電時でも通電時よりは少ないものの薬物イオンが生体に送達されてしまうという問題点を有していた。
この発明は、投与を望まないときに拡散により薬剤イオンが生体に侵入することを防止することが可能なイオントフォレーシス装置を提供することを課題とする。
本発明は、電源と、前記電源に接続され、投与する薬物イオンを保持する作用側電極構造体と、前記電源の前記作用側電極構造体と反対の極に接続された非作用側電極構造体とを有するイオントフォレーシス装置において、前記作用側電極構造体に印加する電圧を制御する電圧制御装置を備え、薬物投与時には前記薬物イオンと同じ極性の電圧を印加し、薬物非投与時には前記薬物イオンと反対極性の電圧を印加することにより、前記課題を解決したものである。
又、前記作用側電極構造体に印加する電圧の極性を選択的に切り替えるスイッチを備えるようにしたものである。
又、前記電圧制御装置は、予め設定されたタイミングに従い前記スイッチを切り替えるようにしたものである。
又、薬物非投与時に1〜10mVの電圧を前記作用側電極構造体に印加するようにしたものである。
本発明によれば、電極に薬剤イオンと反対極性の電圧を印加することにより、薬剤イオンが電極に引き寄せられ、投与を望まないときに拡散により薬剤イオンが人体に侵入することを防止することができる。従って、薬物イオンを断続的に投与する際に、無通電時の薬物イオン送達を確実に防止することができる。
予め設定されたタイミングで薬剤を投与する、例えば、フェンタニールのような人体に強い副作用を与える薬剤を長時間投与する場合には、断続的に投与と休憩を繰り返しながら薬剤を投与することが望まれる。このような場合でも、本発明により、非投与時には確実に薬剤の投与を中断することができ、イオントフォレーシス装置の長時間装着が可能となる。
次に、図1〜図4を参照して、本発明の実施の形態の例に係るイオントフォレーシス装置10について詳細に説明する。
このイオントフォレーシス装置10は、電源装置12と、この電源装置12の出力の一方に接続された作用側電極構造体20及び他方に接続された非作用側電極構造体40とから構成され、作用側電極構造体20に保持される薬物イオンを、電源装置12からの直流電圧によって生体に投与するものである。
このイオントフォレーシス装置10において、作用側電極構造体20及び非作用側電極構造体40は、薬液保持部等の構成部材を、重ね合わせた、いずれも樹脂シートからなる基端支持体14と中間支持体16との間に挟持し、あるいは中間支持体16及び先端支持体部18に形成される貫通孔に収納して構成されている。基端支持体14と中間支持体16とは同一の大きさとされ、又、先端支持体18はこれらより大きく形成されている。
基端支持体14、中間支持体16及び先端支持体18は、いずれも図4において下側面に粘着層14A、16A、18Aが設けられていて、相互に粘着されるとともに、先端支持体18の粘着層18Aは、皮膚又は粘膜に粘着するようにされている。
ここで、中間支持体16は、作用側電極構造体20の一部、及び、非作用側電極構造体40の一部を構成する一枚のシート状部材とされている。
同様に、先端支持体18は、作用側電極構造体20の一部、及び、非作用側電極構造体40の一部を構成する一枚のシート状部材とされている。
作用側電極構造体20は、電源装置12における薬物イオンと同種の極性の、陽極又は陰極に接続された作用側電極24と、この作用側電極24の前面に配置されたセパレータ26と、このセパレータ26の前面に配置され、薬物イオンと反対符号のイオンを選択的に通過させる第2イオン選択性膜28と、この第2イオン選択性膜28の前面に配置され、薬物イオンとなる薬物を保持する薬液保持部30と、薬液保持部30の前面に配置され、薬物イオンと同種のイオンを選択的に通過させる第1イオン選択性膜32と、この第1イオン選択性膜32の前面に、薬物と同一の薬物を含む粘性液体を塗布して形成された作用側生体接触部34とを、この順で積層して構成されている。
作用側電極24は、電源装置12に接続され、且つ、樹脂シート36の前面に印刷により形成された炭素印刷電極からなる作用側集電体24Aと、この作用側集電体24Aの前面に電気的に接続して配置された作用側分極性電極24Bとから構成されている。
なお、「電気的に接続」とは、直接接続している場合のみでなく、導電体、例えば導電性接着剤等を介して接続する場合も含むものである(以下同じ)。
中間支持体16は、作用側分極性電極24Bとほぼ等しい厚さの樹脂材料からなり、且つ、この作用側分極性電極24Bの平面形状における外形とほぼ同一形状の作用側中間貫通孔21Aを有し、作用側分極性電極24Bは、作用側中間貫通孔21A内に収納されている。
又、先端支持体18は、薬液保持部30とほぼ等しい厚さの樹脂材料からなり、作用側分極性電極24Bの平面形状における外形とほぼ同一形状の作用側先端貫通孔22Aを有し、この作用側先端貫通孔22A内に、薬液保持部30が収納されている。
非作用側電極構造体40は、基端支持体14側から、直流電源12における、薬物イオンと反対の極性の、陽極又は陰極に接続された非作用側電極44と、この非作用側電極44の前面に配置され、電解液を保持する電極側電解液保持部46と、同様の電解液を保持する先端側電解液保持部48と、薬物イオンと反対符号のイオンを選択的に通過させる第3イオン選択性膜50と、先端側電解液保持部48に保持されている電解液と同一の電解液を含む粘性液体を塗布して形成された非作用側生体接触部52とを、この順で積層して構成されている。
非作用側電極44は、樹脂シート36の前面に、作用側電極24の作用側集電体24Aと離間して印刷された炭素印刷電極からなる非作用側集電体44Aと、この非作用側集電体44Aに接触して設けられた非作用側分極性電極44Bとから構成されている。
非作用側分極性電極44Bは、中間支持体16と等しい厚さとされ、これに形成された非作用側中間貫通孔41Aに収納されている。又、先端側電解液保持部48は、先端支持体18と等しい厚さ、且つ、先端支持体18に形成された非作用側先端貫通孔42Aに収納されている。
この実施例において、貫通孔22A、21A、41A、42Aはいずれも円形とされ、更に、作用側電極24、セパレータ26、第2イオン選択性膜28、薬液保持部30、第1イオン選択性膜32及び作用側生体接触部34も、円形膜状あるいはシート状とされている。
同様に、非作用側電極44、電極側電解液保持層46、先端側電解液保持部48、第3イオン選択性膜50及び非作用側生体接触部52も、円形の膜あるいはシート状とされている。
作用側電極24における作用側集電体24A及び非作用側電極44における非作用側集電体44Aには、図2、図3に拡大して示されるように、樹脂シート36に、印刷により設けられた金属膜からなる作用側導線19A及び非作用側導線19Bがそれぞれ接続されている。
これらの作用側導線19A及び非作用側導線19Bは、その先端においてコネクタ19Cを介して直流電源12に接続されている。又、作用側導線19A及び非作用側導線19Bの樹脂シート36と反対側面には、例えばポリイミドフィルムからなる絶縁フィルム19Dが粘着されている。この絶縁フィルム19Dは、作用側導線19A及び非作用側導線19Bの、樹脂シート36と接触する範囲及び樹脂シート36からの突出部分の一定範囲を覆う長さとされている。
又、作用側導線19A及び非作用側導線19Bの、作用側集電体24A及び非作用側集電体44Aのそれぞれの接続部は、図3に拡大して示されるように、炭素印刷電極である作用側及び非作用側集電体24A、44Aとテーパ面25及び45において接触して、接続されている。
この実施形態においては、図1、図4に示されるように、円形の各部材を作用側電極構造体20と非作用側電極構造体40のそれぞれにおいて厚さ方向に重ねて配置し、図5に示されるように一体的にして、イオントフォレーシス装置10が構成されている。
ここで、中間支持体16の作用側及び非作用側中間貫通孔21A、41Aには、それぞれ作用側分極性電極24B及び非作用側分極性電極44Bが収納された状態で、その上下から他の部材によって挟み込まれ、同様に、先端支持体18における作用側及び非作用側先端貫通孔22A、42Aにも、薬液保持部30及び先端側電解液保持部48がそれぞれ収納された状態で、その上下から他の部材によって挟み込まれ、更に、基端支持体14と中間支持体16との間及び中間支持体16と先端支持体18との間の部材がそれぞれこれらによって挟み込まれて位置決め固定されるようになっている。
作用側電極24及び非作用側電極44における作用側集電体24A及び非作用側集電体44Aの外径は、作用側及び非作用側中間貫通孔21A、41Aの直径よりもやや小さく、作用側分極性電極24B及び非作用側分極性電極44Bにそれぞれ圧接できるようにされている。
図4の符号56は接着剤を示し、この接着剤56は、絶縁フィルム19Dにおける作用側及び非作用側集電体24A、44Aの間の中間部分を横断して配置され、中間支持体16の後側面に接着し、絶縁フィルム19Dと中間支持体16との間の前面を作用側と非作用側とに隔絶させるものである。
又、図1の符号58は作用側生体接触部34及び非作用側生体接触部52を覆って先端支持体18の前面に剥離可能に取り付けられたリリースライナーを示す。
次に、上記各構成要素の材料、成分等について説明する。
この実施形態において、薬液保持部30は、PP(ポリプロピレン)不織布に薬物を含む粘性液体を含浸させて構成されている。又、薬液保持部30に含浸された薬物は、水等の溶媒に溶解するなどにより薬効成分が陽又は陰のイオン(薬物イオンに解離する薬剤(薬剤の前駆体を含む))を含有し、薬効成分が陽のイオンに解離する薬剤としては、麻酔薬である塩酸リドカイン、麻酔薬である塩酸モルヒネ等を例示することができ、薬効成分がマイナスのイオンに解離する薬剤としては、ビタミン剤であるアスコルビン酸等を例示することができる。
又、上記の他に、ホルモン、DNA、RNA、蛋白質、アミノ酸、ミネラル類も含むものとする。
非作用側電極構造体40における電極側電解液保持部46は、PP不織布に電解液(詳細後述)を含む粘性液体を含浸させたものである。又、先端側電解液保持部48も、PP不織布に同様の電解液を含む粘性液体を含浸させたものである。
電極側電解液保持部46及び先端側電解液保持部48に用いられる電解液は電解質を主成分とし、この電解質は、水の電解反応(陽極での酸化及び陰極での還元)よりも酸化又は還元され易い電解質、例えば、NaCl、アスコルビン酸(ビタミンC)やアスコルビン酸ナトリウム等の医薬剤、乳酸、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸等の有機酸及び/又はその塩を使用することが特に好ましく、これにより酸素ガスや水素ガスの発生を抑制することが可能であり、又、溶媒に溶解した際に緩衝電解液となる組合せの複数種の電解質を配合することにより、通電中におけるpHの変動を抑制することができる。
上記のような薬物あるいは電解液を含む粘性液体は、例えば水(イオン交換水)に、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)(例えば日本曹達のH−Type)、あるいは、水に溶けないセルロースを化学的に処理して水溶性の高分子としたメトローズ(例えば信越化学工業の90SH−10000SR)等の粘着性材料を2質量%以上混合して製造することができる。
作用側電極24における作用側分極性電極24B及び非作用側電極44における非作用側分極性電極44Bは、共に、活性炭、好ましくは炭素繊維又は炭素繊維紙により形成されている導電性基材を主成分として構成されている。作用側及び非作用側分極性電極24B、44Bとして、活性炭繊維のみを用いる場合は、活性炭繊維からなる布及びフェルトを組み合わせて層を形成すると良い。この場合、電解液を含む粘性液体を活性炭繊維層に含浸させると良い。又、導電性基材に対して、例えばバインダーポリマー中に活性炭を分散させた層を積層させても良い。上記活性炭は比表面積が10m2/g以上のものを用いてもよい。
作用側分極性電極24Bには、薬液保持部30に保持されている薬物と同一の薬物を含む粘性液体が含浸され、又、非作用側分極性電極44Bには、電極側電解液保持部46に保持される電解液と同一の電解液を含む粘性液体が含浸されている。
作用側電極24における作用側集電体24A及び非作用側電極44における非作用側集電体44Aは、共に、PET(ポリエチレンテレフタレート)素材に炭素と接着剤とを混ぜたものを印刷してなる印刷電極とされている。
なお、印刷電極の材料としては、炭素以外に、金、白金、銀、銅、亜鉛等の導電性の金属を用いても良い。又、印刷によることなく、炭素、金等の導電性素材そのものを集電体としても良い。又、作用側導線19A、非作用側導線19Bの材料としては、銀、銅等の導電性の金属を用いる。
セパレータ26は、PP不織布に、薬液保持部30に保持された薬物と同一の薬物を含有する粘性液体を含浸させたものであり、作用側分極性電極24Bと第2イオン選択性膜28との間に介在させることによって、両者の物理的な接触を防止するものである。
第1イオン選択性膜32は、薬物イオンと同一符号のイオンを選択的に通過させるようにイオン交換基が導入されたイオン交換樹脂を含んで構成されている。
第2イオン選択性膜28は、薬物イオンと反対符号のイオンを選択的に通過させるようにイオン交換基が導入されたイオン交換樹脂を含有して構成されている。ここでは、薬液保持部30における薬効成分がアニオンの場合は、陽イオン交換樹脂が配合され、又、薬効成分がカチオンの場合は、陰イオン交換樹脂が配合される。
第3イオン選択性膜50は、第2イオン選択性膜28と同様に、薬物イオンと反対符号のイオンを選択的に通過させるようにイオン交換基が導入されたイオン交換樹脂を含んで構成されている。即ち、第3イオン選択性膜50は、薬液保持部30の薬液がカチオンに解離するときは陰イオン交換樹脂を含み、アニオンに解離するときは陽イオン交換樹脂を含んでいる。
上記陽イオン交換樹脂としては、ポリスチレン樹脂やアクリル酸系樹脂等の炭化水素系樹脂やパーフルオロカーボン骨格を有するフッ素系樹脂等の3次元的な網目構造を持つ高分子に、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等の陽イオン交換基(対イオンが陽イオンである交換基)が導入されたイオン交換樹脂が制限無く使用することができる。
又、上記陰イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂と同様の3次元的な網目構造を持つ高分子に、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピルジル基、イミダゾール基、4級ピリジウム基、4級イミダゾリウム基等の陽イオン交換基(対イオンが陰イオンである交換基)が導入されたイオン交換樹脂が制限無く使用できる。
作用側生体接触部34は、薬液保持部30に含浸されているものと同一の粘性液体を、第1イオン選択性膜32の前面に塗布して構成されている。又、非作用側生体接触部52は、先端側電解液保持部48に用いられた電解液と同一の電解液を含有する粘性液体を第3イオン選択性膜50の前面に塗布して構成されている。なお、これらの塗布された粘性液体の上に、リリースライナー58を貼り付けることによって、粘性液体が拡がってしまうことを抑制するため、塗布量は各々7μLと少な目にするのが良い。
イオントフォレーシス装置10の組立時には、図1あるいは図4に示される状態で、各構成部材を配置して積層し、あるいは、貫通孔に収納し、リリースライナー58上に、基端支持体14、中間支持体16、先端支持体18を順次重ねて、これらを粘着層16A、14Aにより粘着して固定し、組立を完了する。
電源装置12は、図6に詳細に示す如く、直流電源12Aと、薬物イオン投与時に生体に流れる電流を制御するための電流制御回路である定電流回路12Bと、薬物イオン非投与時に生体に印加される電圧を制御するための電圧制御回路である定電圧回路12Cと、定電流回路12B及び定電圧回路12Cと直流電源12Aの接続を切り替えて極性を反転するための極性反転スイッチ12Dと、例えば予め設定された投与プログラムに従って、極性反転スイッチ12Dを切り替えるためのスイッチ制御回路12Eとを備えている。
直流電源12Aとしては、ボタン電池、あるいは、例えば特開平11−067236号公報、米国特許公開公報2004/0185667A1号公報、米国特許第6855441号公報等に開示される薄型の電池を使用することができ、本実施形態の構造に限定されるものでない。
本実施形態において、薬物イオン投与時は、図6に実線で示す如く、直流電源12Aと定電流回路12Bを接続することによって、図7(A)に示す如く、定電流回路12Bから供給される電流に応じた薬物イオンを生体に投与する。
一方、薬物イオン非投与時には、極性反転スイッチ12Dを切り替えて、図6に破線で示す如く、定電圧回路12Cを逆の極性で直流電源12Aに接続することによって、図7(B)に示す如く、生体に例えば数mV〜数十mV、好ましくは1〜10mV程度の微小の逆電圧を印加して、薬物イオンの皮膚への送達を防止する。この際、生体には、数ピコアンペア程度の電流が流れるが、皮膚とイオントフォレーシス装置の間に薬物イオンと同極のイオン交換膜があるので、逆電圧を印加しても、カウンタイオンが装置内へ戻されることはない。
次に本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係るイオントフォレーシス装置10においては、各々1枚のシート状材料からなる中間支持体16及び先端支持体18に形成された貫通孔内に、作用側電極構造体及び非作用側電極構造体のそれぞれ一部を構成する薬液保持部や電解液保持部あるいは電極の一部である分極性電極を収納して、且つ、これらを他の膜や部材によって挟み込んで支持すると共に、これら中間支持体16と先端支持体18及び基端支持体14との間に挟み込んで位置決め固定し、作用側電極構造体20及び非作用側電極構造体40を一体的に同時に構成することができる。
又、イオントフォレーシス装置10の製造に際しては、先端支持体18及び中間支持体16に形成された貫通孔とほぼ同一形状の分極性電極、イオン選択性膜、薬液保持部、電解液保持部等を重ねるのみであるので、製造が容易であり、且つ大量生産が可能である。
又、このイオントフォレーシス装置10において、作用側電極24及び非作用側電極44は、共に、集電体と分極性電極から構成されているので、従来のイオントフォレーシス装置における通電時の電極反応を生じることがなく、あるいはそのような電極反応を低減させた状態で、電解液や薬物への通電をすることができ、その結果、酸素ガス、塩素ガス又は水素ガス等のガスの発生、あるいは水素イオン、水酸基イオン、次亜塩素酸等の好ましくないイオンの発生を抑止し、あるいは低減させることができる。
又、このイオントフォレーシス装置10において、中間支持体16の作用側及び非作用側中間貫通孔21A、41Aに、それぞれ作用側分極性電極24Bと非作用側分極性電極44Bを、厚さ方向に圧縮されないように収納しているので、これらが、活性炭繊維層に薬物あるいは電解液を含む粘性液体を含浸させた構成であっても、外力によって圧迫されて、含浸された薬物、電解液が漏出することがない。同様に、作用側先端貫通孔22Aに収納された薬液保持部30の薬物、及び非作用側先端貫通孔42Aに収納された先端側電解液保持部48の電解液が外力によって漏出することが無い。
又、この実施形態において、作用側電極24の一部を構成する作用側集電体24A及び非作用側電極44の一部を構成する非作用側集電体44Aは炭素印刷電極とされていて、剥がれ易く且つ抵抗が高いという問題点があるが、これら作用側集電体24A及び非作用側集電体44Aから、作用側導線19A及び非作用側導線19Bへの接続部が、図3に示されるようにテーパ面25、45とされ、且つ、これら作用側導線19A及び非作用側導線19Bがそれぞれ、例えば銀等の金属から構成されているので、樹脂シート36から剥がれ難く、且つ抵抗が低く、又樹脂シート36を湾曲させてもよいという利点がある。
中間支持体16に対して、基端支持体14は、絶縁フィルム19Dの部分では粘着しないので、これらの間に分極性電極に含浸された薬物又は電解液が浸入することによって作用側電極24と非作用側電極44が導通してしまう可能性があるが、この実施形態においては、接着剤56によって、作用側集電体24Aと非作用側集電体44Aの間の位置で、絶縁フィルム19Dを中間支持体16の図において上面に接着させて、作用側電極24と非作用側電極44との間を隔絶して、両者の導通を防止している。
又、上記作用側電極構造体20において、セパレータ26が設けられているが、これは、作用側分極性電極24Bと第2イオン選択性膜28との直接的な接触を防止するためのものであり、他の手段によって直接接触を防止できる場合は不要である。
更に、電極側電解液保持部46と先端側電解液保持部48とは、PP不織布に、電解液を含む粘性液体を含浸させた構成において共通であるので、一体的に構成しても良い。
又、作用側生体接触部34及び非作用側生体接触部52は、第1イオン選択性膜32及び第3イオン選択性膜50のそれぞれが、生体の皮膚や粘膜に十分に接触することができるものであれば必ずしも設ける必要は無い。
更に、上記実施形態において、作用側電極構造体及び非作用側電極構造体は、先端支持体、中間支持体及び基端支持体に形成された貫通孔に薬液保持部を配置したり、又、これらの支持体の間に膜を挟持したりする構成であるが、本発明はこれに限定されるものでなく、先端支持体、中間支持体、基端支持体を用いることなく、例えば、ケース状のバッキング材の中に、薬液保持部、電解液保持部、イオン選択性膜などを重ねて配置するようにした構成であってもよい。
更に又、作用側及び非作用側電極、薬液保持部、イオン選択性膜、第1〜第4貫通孔は円形とされているが、本発明はこれに限定されるものでなく、4角形、あるいは6角形等の形状であってもよい。
又、作用側及び非作用側導線19A、19Bの樹脂シート36と反対側面が絶縁フィルム19Dによって覆われているが、本発明はこれに限定されるものでなく、絶縁フィルム19Dを設けない場合にも適用されるものである。この場合、接着剤56は、樹脂フィルム36と中間支持体16とを接着させるものとなる。要するに、接着剤56は、樹脂フィルム36側の部材と中間支持体16とを接着させるものであればよい。
10…イオントフォレーシス装置
12…電源装置
12A…直流電源
12B…定電流回路(電流制御回路)
12C…定電圧回路(電圧制御回路)
12D…極性反転スイッチ
12E…スイッチ制御回路
20…作用側電極構造体
24…作用側電極
30…薬液保持部
40…非作用側電極構造体
44…非作用側電極
12…電源装置
12A…直流電源
12B…定電流回路(電流制御回路)
12C…定電圧回路(電圧制御回路)
12D…極性反転スイッチ
12E…スイッチ制御回路
20…作用側電極構造体
24…作用側電極
30…薬液保持部
40…非作用側電極構造体
44…非作用側電極
Claims (4)
- 電源と、前記電源に接続され、投与する薬物イオンを保持する作用側電極構造体と、前記電源の前記作用側電極構造体と反対の極に接続された非作用側電極構造体とを有するイオントフォレーシス装置において、
前記作用側電極構造体に印加する電圧を制御する電圧制御装置を備え、薬物投与時には前記薬物イオンと同じ極性の電圧を印加し、薬物非投与時には前記薬物イオンと反対極性の電圧を印加する、
ことを特徴とするイオントフォレーシス装置。 - 前記作用側電極構造体に印加する電圧の極性を選択的に切り替えるスイッチを備えることを特徴とする請求項1に記載のイオントフォレーシス装置。
- 前記電圧制御装置は、予め設定されたタイミングに従い前記スイッチを切り替えることを特徴とする請求項2に記載のイオントフォレーシス装置。
- 薬物非投与時に1〜10mVの電圧を前記作用側電極構造体に印加することを特徴とする請求項1に記載のイオントフォレーシス装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006099955A JP2007268135A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | イオントフォレーシス装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006099955A JP2007268135A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | イオントフォレーシス装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007268135A true JP2007268135A (ja) | 2007-10-18 |
Family
ID=38671529
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006099955A Pending JP2007268135A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | イオントフォレーシス装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007268135A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011092543A (ja) * | 2009-10-30 | 2011-05-12 | Terumo Corp | イオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置 |
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2006
- 2006-03-31 JP JP2006099955A patent/JP2007268135A/ja active Pending
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JP2011092543A (ja) * | 2009-10-30 | 2011-05-12 | Terumo Corp | イオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置 |
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