JP2011092543A - イオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストを低減し小型化を図るイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置を提供する。
【解決手段】イオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置10は、電池50と、前記電池50の電圧を用いて一定の電流を出力する定電流ダイオード52と、前記定電流半導体素子が出力する電流を外部導体に出力するための電極を有するリザーバ24と、該リザーバ24から出力され前記外部導体を流れる電流を前記電池50に戻すための電極を有するリザーバ24と、を備え、前記リザーバ24、24の一方には、イオン性薬剤が封入されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、イオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置に関し、特に、コストを低減し小型化を図ることができるイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置に関する。
局所麻酔剤パッチの使用量が多い分野として血液透析がある。血液透析患者は、例えば、週に3回、17〜18G(ゲージ)の太さの針による穿刺を2箇所に行っており、このときの穿刺時の除痛を行うために、リドカイン等の局所麻酔剤パッチが広く使用されている。しかしながら、リドカインのパッチは、薬物が深部まで到達されず、薬効が十分でない上に、薬効の発現に時間がかかってしまう。さらに、2時間程度の貼付が必要なのでかぶれの原因となっている。
一方で、イオントフォレシスは、薬効の発現が短時間で済むととともに、薬物をより深部まで到達させることができる。したがって、リドカイン等の局所麻酔剤パッチにイオントフォレシスを組み合わせることで、前述の課題を解決することができる。
特許文献1には、薬物を含んだ正負の電極を有する電極アセンブリと、この電極アセンブリに電流を与えるコントローラとを備えたイオントフォレシスを利用した電気補助式送達デバイスが記載されている。イオントフォレシスは、該電極アセンブリを皮膚に貼り付けて、一方の電極から角質層を横切った後、他方の電極に到達する電気の流れを形成することで、荷電した薬物を電気泳動の原理で移動させて経皮吸収を促進させる方法であり、皮膚を通しての薬物投与システム(以下、経皮的薬物投与システム)の1つである。
特表2007−532193号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電気補助式送達デバイスでは、コントローラがパッチと一体化されるほど小型化がされておらず、コストも高い。
そこで、本発明は、係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、コストを低減し小型化を図るイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、イオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、電池と、前記電池の電圧を用いて一定の電流を出力する定電流半導体素子と、前記定電流半導体素子が出力する電流を外部導体に出力するための電極を有する第1リザーバと、前記第1リザーバから出力され前記外部導体を流れる電流を前記電池に戻すための電極を有する第2リザーバと、を備え、前記第1リザーバ及び前記第2リザーバの一方には、イオン性薬剤が封入されていることを特徴とする。これにより、イオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置のコストを低減することができ、さらに小型化することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、前記第1リザーバ及び前記第2リザーバは、前記外部導体に粘着可能な1つのパッチに設けられることを特徴とする。これにより、パッチを皮膚に貼り付ける1回の動作で、2つのリザーバを皮膚に貼り付けることができ、また、ほぼ同時に2つのリザーバを皮膚に貼り付けることができる。しかも、2つのリザーバ間の距離は一定なので、2つのリザーバ間の皮膚抵抗を精度良く予測することができ、皮膚に流れる電流を適正にすることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、前記定電流半導体素子は、予め測定したピンチオフ電流が所定の電流値であることを特徴とする。これにより、定電流半導体素子は、リザーバを介して所望の電流を皮膚に流すことができる。
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、前記定電流半導体素子を複数備え、複数の前記定電流半導体素子は、並列接続されており、並列接続された前記複数の定電流半導体素子の予め測定したピンチオフ電流の合計が所定の電流値であることを特徴とする。これにより、並列接続された複数の定電流半導体素子は、リザーバを介して所望の電流を皮膚に流すことができる。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、前記定電流半導体素子は、少なくとも電界効果トランジスタを有することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、前記イオン性薬剤は、イオン性麻酔剤であることを特徴とする。これにより、イオントフォレシスの原理によってイオン性麻酔剤を皮膚の深部にまで到達させることができる。
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、前記第1リザーバ及び前記第2リザーバの他方には、生理食塩水が封入されていることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、前記電池は、ボタン型電池又はペーパー電池であることを特徴とする。これにより、イオン性薬剤透過装置をさらに小型化することができる。また、ペーパー電池の形状は、自由に設計変更が可能なので、ペーパー電池を用いればボタン型電池を用いた場合に比べ、さらにイオン性透過装置を小型化することができる。
本発明によれば、イオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置は、電池と、定電流半導体素子とを用いて、2つのリザーバを介して皮膚に電気を流すので、イオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置のコストを低減することができ、小型化することができる。
イオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置の全体斜視図を示す図である。 図1に示すイオン性薬剤透過装置の分解斜視図である。 図1に示す通電装置の底面図である。 イオン性薬剤透過装置を皮膚に貼り付けた場合における、イオン性薬剤透過装置の回路図である。 イオン性薬剤透過装置を皮膚に貼り付けた場合における、イオン性薬剤透過装置の回路図である。 複数の定電流ダイオードを用いる場合のイオン性薬剤透過装置の回路図である。 電流をモニターして、皮膚の抵抗値を求めることができるイオン性薬剤透過装置の回路図である。 図6の回路で、E−301を2個使用し、10[kΩ]の抵抗RLに定電流0.5[mA]を流した場合における電圧Vcc、電圧VAK、電圧V1の測定結果を示す図である。
本発明に係るイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
図1は、イオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置10(以下、イオン性薬剤透過装置10と呼ぶ)の全体斜視図を示す図である。図2は、図1に示すイオン性薬剤透過装置10の分解斜視図であり、図3は、図1に示す通電装置14の底面図である。イオン性薬剤透過装置10は、パッチ12と、通電装置14とを備える。パッチ12は、貼付部材20と、電極22を有する2つのリザーバ24、24と、2つのリザーバ24、24の電極22、22に設けられ、且つ、前記電極22、22と前記通電装置14とを電気的に接続するための2つの接続部26、26と、絶縁フィルム28とを有する。通電装置14は、直列接続された2つの電池50と、並列接続された複数の定電流ダイオード52と、絶縁シート54とを有する。
貼付部材20は、一定の強度で人体等の皮膚に貼り付く粘着性を有する弾性体であり、絶縁性を有する。貼付部材20は、リザーバ24、24が嵌る大きさの貫通した開口を2つ有している。リザーバ24、24のそれぞれを貼付部材20の2つの開口に嵌め合わせて、貼付部材20を皮膚に貼り付けることで、リザーバ24、24を、略同時に皮膚に接触させることができ、1回の動作でリザーバ24、24を皮膚に接触させることができる。また、貼付部材20の開口の位置により、リザーバ24、24間の距離を予め定めることできるので、リザーバ24、24間で構成される後述する皮膚抵抗の抵抗値を精度良く予測することができる。なお、リザーバ24、24の皮膚の接触面に粘着性を持たせてもよい。
リザーバ24、24は、電極22、22とゲル30、30とをそれぞれ有する。電極22、22の上面には、円形状の銀ペースト32、32が配置されている。電極22、22は、ゲル30、30と接する下面と銀ペースト32、32との間の導通をとるフレキシブル基板である。2つのリザーバ24、24のいずれか一方のリザーバ24のゲル30には、イオン性麻酔剤が封入されており、他のリザーバ24のゲル30には、生理食塩水など、生体に為害性のない電解質(例えば、緩衝塩、食塩など)の液剤又は溶液が封入されている。穿刺になれた医療従事者であれば、薬剤送達の面積が2.5[cm2]あれば容易に針を刺させるので、ここでは、ゲル30が皮膚に接触する面の面積を2.5[cm2]とする。
接続部26、26は、電極22、22の該銀ペースト32、32の上にそれぞれ設けられ、上方に向かって突出する突出部34、34をそれぞれ有する。該突出部34、34が図3に示す通電装置14の底面に設けられた孔40、40にそれぞれ挿入されることで、通電装置14は電極22、22と電気的に接続される。
絶縁フィルム28は、貼付部材20、リザーバ24、接続部26とを全体的に覆い、パッチ12と通電装置14とを絶縁させる。また、絶縁フィルム28は、接続部26、26の突出部34、34が前記絶縁フィルム28を通過するように2つの孔を有している。これにより、接続部26の突出部34のみが絶縁フィルム28から露出し、それ以外のパッチ12の部材の上面は絶縁フィルム28によって覆われる。
電池50は、3Vの電圧を出力する電池である。電池50は、ボタン電池であってもよく、ペーパー電池であってもよい。ボタン電池はサイズが小さいので通電装置14を小型化にすることはできるが、ペーパー電池の方がより通電装置14を小型化することができる。なお、本実施の形態では、3Vの電池50を2つ直列に接続するようにしたが、要は、後述する所定の電圧を出力することができればよいので、電池の数は適宜変更してもよい。
定電流ダイオード52は、直列に接続された2つの電池50の電圧を用いて一定の電流を出力する半導体素子である。定電流ダイオード52のアノードは、電池50の陽極側に接続されている。パッチ12と通電装置14とが電気的に接続されると、2つのリザーバ24、24のうち一方のリザーバ24が定電流ダイオード52のカソードに接続され、他方のリザーバ24が電池50の陰極側に接続される。したがって、パッチ12の貼付部材20が人等の皮膚に接触すると、定電流ダイオード52が出力する電流が一方のリザーバ24を介して皮膚(外部導体)に流れ、皮膚を流れた電流が他方のリザーバ24を介して電池50の陰極に戻る。これにより、リザーバ24に封入されたイオン性薬剤がイオントフォレシスの原理で皮膚の深部にまで到達する。したがって、イオン性薬剤がアニオン性薬物なら陰極側のリザーバ24(電池50の陰極側に接続されているリザーバ24)に封入され、カチオン性薬物なら陽極側のリザーバ24(電池50の陽極側に接続されているリザーバ24)に封入されることとなる。
本実施の形態では、電池50の陰極と、前記他方のリザーバ24の間に絶縁シート54が設けられ、使用開始前には、電池50から電流が定電流ダイオード52に流れるのを阻止している。一方、イオン性薬剤透過装置10の使用開始時に該絶縁シート54を引っ張って外すことで、電池50の陰極と前記他方のリザーバ24を電気的に接続させる。これによって、電池50から電流が出力される。なお、電池の陽極と、定電流ダイオード52のアノードとの間に絶縁シート54が設けられてもよい。
次に、イオン性薬剤透過装置10の回路について詳しく説明する。図4、及び図5は、イオン性薬剤透過装置10を皮膚に貼り付けた場合における、イオン性薬剤透過装置10の回路図である。図5は、図4に示す回路と等価回路であり、図4に示す定電流ダイオード52を、電界効果トランジスタ(FET)と抵抗R1とを用いて表した図である。
定電流ダイオード52のアノードは、電圧Vccの直流電源の陽極に接続されており、カソードが一方のリザーバ24を介して皮膚に接続されている。直流電源の陰極は、他方のリザーバ24を介して皮膚に接続されている。抵抗RLは、皮膚に貼り付けられたリザーバ24、24間の抵抗を示している。つまり、抵抗RLは、リザーバ24、24間を流れる電流が通る人等の皮膚抵抗である。ここで、定電流ダイオード52のアノード−カソード間の電圧をVAKと呼び、カソードの電圧をV1と称する。図4及び図5に示す回路では、抵抗RLの電圧差がV1となる。なお、本実施の形態の回路図では、直流電源の陰極を基準電位とする。
イオントフォレシスの通電パラメータの1つに電流密度があり、電流密度と皮膚の刺激性とは密接な関係がある。概ね、電流密度が0.2[mA/cm2]以下が一般的に低刺激性と考えられているので、本実施の形態では、電流密度を0.2[mA/cm2]とする。上述したようにゲル30の皮膚へ接触する面の面積は、2.5[cm2]であるので、皮膚に流せる最大電流は、0.5[mA]となる。本実施の形態では、皮膚に流す電流を0.5[mA]とする。
この場合、抵抗RLの抵抗値は、皮膚の貼り付けられるリザーバ24、24間の距離、水和時間、通電時間、供給される電流の大きさによって変化する。また、抵抗RLの抵抗値は、通電開始時には非常に高くなるが、時間の経過とともに薬剤が浸透して低くなる。抵抗RLの抵抗値には個人差があるので、規定の電流を流すことができる最大の抵抗値をどれくらいにするかは装置の性能と関係するが、ここでは、リザーバ24、24間の距離等の種々の要因を考慮して抵抗RLの抵抗値を10[kΩ]とする。抵抗RLの抵抗値が10[kΩ]であり、通電できる最大電流は0.5[mA]なので、Vccは、少なくとも5[V]以上必要となる。
図6は、並列接続された複数の定電流ダイオード52を用いる場合のイオン性薬剤透過装置10の回路図である。図6も図4及び図5と同様に、皮膚に貼り付けられたイオン性薬剤透過装置10の回路を示している。定電流ダイオード52を複数用いることで、定電流ダイオード52が出力できるピンチオフ電流IPが小さい場合でも、所定の電流(実施の形態では、0.5[mA]±10%のいずれか)を抵抗RLに流すことができる。
図7は、電流をモニターして、皮膚抵抗RLの抵抗値を求めることができるイオン性薬剤透過装置10の回路図である。図7も図4及び図5と同様に、皮膚に貼り付けられたイオン性薬剤透過装置10の回路を示している。図4及び図5では、直流電源の陰極に前記他方のリザーバ24が接続されているが、図7では、直流電源の陰極と前記他方のリザーバ24との間に抵抗Rsが接続されている。抵抗Rsの抵抗値は、抵抗RLの抵抗値の1/100程度である100[Ω]とする。抵抗Rsを流れる電流Isは、抵抗Rsの両端の電圧V2を100[Ω]で除した値であり、抵抗RLは、RL=(V1−V2)/Is、の関係式によって求めることができる。
ここで、品番CR1616(定格電圧3[V]、容量55[mAh])の電池50を2個、或いは品番CR1216(定格電圧3[V]、容量27[mAh])の電池50を2個用いた場合を例にして説明する。直流電源として、3Vの電池を2つ用いるのは、上述した5[V]以上であり、且つ、電池50の数を少なくしたいためである。また、0.5[mA]の定電流に用いられる定電流ダイオード52としては、表1の石塚電子製の製品が挙げられる。ここでは、ピンチオフ電流IPの代表値が0.5[mA]以下の製品を選んでいる。ピンチオフ電流IPの代表値が0.5[mA]より小さい製品は、並列接続を行って0.5[mA]±10%にすることができる。
Figure 2011092543
この表1から次のようなことがわかる。(1)定電流ダイオード52は、ピンチオフ電流IPのバラツキが大きく(最小から最大の範囲が大きく)、ピンチオフ電流が小さいほど、そのバラツキが大きくなり、E−101では代表値の50〜210%である。(2)電圧VAKが、肩特性で記載されているVk以上の範囲である必要がある。したがって、Vkが小さいほど、ピンチオフ電流IPを流す時間が長くなる。Vkとは、定電流ダイオード52が、ピンチオフ電流IPを流すために必要となる電圧のことをいう。したがって、通電させる電流を0.5[mA]とし、抵抗RLは10[kΩ]とするので、5[V]以上の電圧が必要であり、さらに、定電流ダイオード52を動作させるために、少なくとも電圧Vkが必要となる。例えば、E−101の定電流ダイオード52を用いる場合は、5.5[V]以上の電圧が必要であり、E−301の定電流ダイオード52を用いる場合は、5.8[V]以上の電圧が必要となり、E−501の定電流ダイオード52を用いる場合は、6.1[V]以上の電圧が必要となる。
後述するが、想定した用途でのイオン性薬剤透過装置10の通電時間は約20分間である。したがって、直列接続された2個の電池50によって得られる電圧Vccが、Vcc>0.5[mA]×10[kΩ]+Vk、の関係式を20分間満たせばよいことになる。通常、電池は、使用前の電圧が公称電圧より10%以上高いことが多いので、通電時の電池の内部抵抗による電圧降下を考慮しても、初期のVccは6.1[V]以上となるため、表1に示した3種類の定電流ダイオード52が使用可能である。この3種類の定電流ダイオード52を使用する場合の定電流ダイオード52の数を表2に示す。
Figure 2011092543
定電流ダイオード52のピンチオフ電流IPにバラツキがあるため、予め定電流ダイオード52のピンチオフ電流IPを測定して、定電流ダイオード52の選別と組み合わせを行って、0.45〜0.55[mA]の電流を流せるようにする。
E−101の定電流ダイオード52は、個々の製品によって、ピンチオフ電流IPが0.05〜0.21[mA]の範囲でバラツキがあるので、E−101の定電流ダイオード52を使用する場合は、3〜11個必要となる。なお、ピンチオフ電流IPが小さい定電流ダイオード52と大きいダイオードを組み合わせることで、使用する定電流ダイオード52を5〜6個に抑えることができる。
また、E−301の定電流ダイオード52は、個々の製品によって、0.2〜0.42の範囲でバラツキがあるので、E−301の定電流ダイオード52を使用する場合は、2〜3個必要となる。なお、ピンチオフ電流IPが小さい定電流ダイオード52と大きい定電流ダイオード52とを組み合わせることで、使用する定電流ダイオード52を2個にすることができる。
E−501の定電流ダイオード52は、個々の製品によってバラツキがあるが、ピンチオフ電流IPが0.45[mA]以上の定電流ダイオード52を用いることで、1個の定電流ダイオード52を使用することができる。
図8は、図6の回路で、E−301を2個使用し、10[kΩ]の抵抗RLに定電流0.5[mA]を流した場合における電圧Vcc、電圧VAK、電圧V1の測定結果を示す図である。直流電源として、2個直列接続された前記CR1616を用いている。図8に示す太線が電圧Vccを、破線が電圧V1を、細線がVAKをそれぞれ示している。20分より長い約2時間の間、電圧V1は、約5[V]なので、定電流ダイオード52は、約0.5[mA]を流すことができている。また、VAKも、0.8V以上であることが確認できる。この結果から、容量が約半分のCR1216の電池でも、20分以上の間、通電可能であり、特に、Vkが0.5[V]以上であるE−101を用いた場合は、余裕を持って通電できることが容易に諒解されよう。
表3に、イオン性薬剤透過装置10の薬剤送達量とLidoSiteの薬物送達量との比較を示す。ファラデーの法則により、薬剤送達量は、電流と時間との積に比例するので、上記測定結果から、20分程度の通電で、バイテリス製のLidoSiteと同量以上の薬剤を送達できることが理解されよう。
Figure 2011092543
図4〜図7に示す回路は、簡単な回路構成であるが、以下のように実用的な安全性も有している。例えば、定電流ダイオード52が開放モードで故障した場合であって、接続している定電流ダイオード52が1個の場合は電流が流れない。接続している定電流ダイオード52が複数の場合であって(定電流ダイオード52が並列接続の場合であって)、全てが開放モードで故障した場合は電流が流れない。接続している定電流ダイオード52が複数の場合であって、正常な定電流ダイオード52と、開放モードで故障した定電流ダイオード52とがある場合は、流れる電流は小さくなる。
一方、定電流ダイオード52が短絡モードで故障した場合であって、定電流ダイオード52が短絡した場合は、Vcc/RLの電流が流れる。接続された定電流ダイオード52が1個の場合に、該1個の定電流ダイオード52が短絡した場合はもちろんのこと、並列接続された複数の定電流ダイオード52のうち、1個でも短絡した場合は、Vcc/RLの電流が流れる。ここで、少なくとも皮膚抵抗RLは、5[kΩ]以上と見なすことができ、Vccは高くても、約6.5Vとなるので、定電流ダイオード52が短絡した場合は、流れる電流は多くても6.5[V]/5[kΩ]=1.3[mA]となり、最小感知電流程度なので安全である。表4に、最小感知電流の説明として、マクロショックの人体反応を表4に示す。
Figure 2011092543
表4に示すように、人がピリピリと電気を感じ始める電流が1[mA]であり、人が手足等の部位に流れた電気を強く感じる電流が3〜5[mA]であり、人体に接触している電気を通電する導体を自力で離脱できる限界の電流が10〜20[mA]である。
このように、イオン性薬剤透過装置10は、コントローラを用いずに、直列接続された2個の電池と、定電流ダイオード52を用いるようにしたので、イオン性薬剤透過装置10のコストを低減することができ、小型化することができる。また、イオン性薬剤透過装置10を安価にすることができるので、使い捨てのイオン性薬剤透過装置を提供することができ、使い捨てにすることで衛生的である。
また、1回の使用で使い捨てることにより、繰り返し使用による疲労故障について心配することがなく、さらに、1回の使用で使い捨てるので、電池交換を行わなくてすみ、筐体を簡略化し、電池交換の機構を設ける必要がないなのど、保守管理の手間がほとんど省略できる。
なお、上記実施の形態では、イオン性麻酔剤を用いて説明したが、イオン性薬剤であれば、イオン性麻酔剤に限られない。また、定電流ダイオード52を用いたが、定電流を出力する半導体素子を用いることが可能なことは勿論である。また、イオン性薬剤透過装置10は、イオン性薬物が吸収促進の対象となるが、電気が流れることによって水の流れも生じるため、電荷を持たない薬物や分子量の大きな薬物でも皮膚透過性が上昇する効果が得られる。したがって、イオン性薬剤の代わりに、電荷を持たない薬剤をゲル30に封入して、イオン性薬剤透過装置10を使用してもよい。
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10…イオン性薬剤透過装置 12…パッチ
14…通電装置 20…貼付部材
22…電極 24…リザーバ
26…接続部 28…絶縁フィルム
30…ゲル 32…銀ペースト
34…突出部 40…孔
50…電池 52…定電流ダイオード
54…絶縁シート

Claims (8)

  1. 電池と、
    前記電池の電圧を用いて一定の電流を出力する定電流半導体素子と、
    前記定電流半導体素子が出力する電流を外部導体に出力するための電極を有する第1リザーバと、
    前記第1リザーバから出力され前記外部導体を流れる電流を前記電池に戻すための電極を有する第2リザーバと、
    を備え、
    前記第1リザーバ及び前記第2リザーバの一方には、イオン性薬剤が封入されていることを特徴とするイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置。
  2. 請求項1に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、
    前記第1リザーバ及び前記第2リザーバは、前記外部導体に粘着可能な1つのパッチに設けられることを特徴とするイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置。
  3. 請求項1又は2に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、
    前記定電流半導体素子は、予め測定したピンチオフ電流値が所定の電流値であることを特徴とするイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置。
  4. 請求項1又は2に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、
    前記定電流半導体素子を複数備え、
    複数の前記定電流半導体素子は、並列接続されており、
    並列接続された前記複数の定電流半導体素子の予め測定したピンチオフ電流値の合計が所定の電流値であることを特徴とするイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、
    前記定電流半導体素子は、少なくとも電界効果トランジスタを有することを特徴とするイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、
    前記イオン性薬剤は、イオン性麻酔剤であることを特徴とするイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、
    前記第1リザーバ及び前記第2リザーバの他方には、生理食塩水が封入されていることを特徴とするイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置であって、
    前記電池は、ボタン型電池又はペーパー電池であることを特徴とするイオントフォレシスを利用したイオン性薬剤透過装置。
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