JP2005319288A - 長期保存性が改良された、電気的にアシストされたリドカインおよびエピネフリンのデリバリー装置 - Google Patents

長期保存性が改良された、電気的にアシストされたリドカインおよびエピネフリンのデリバリー装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エピネフリンを、典型的には、麻酔剤(リドカインなど)とともにデリバリーするための、長期安定性が高い、電気的にアシストされた経皮的ドラッグデリバリーシステムを提供する。該長期安定性が高い、エピネフリンを含有する経皮的デリバリー装置の製造方法も提供する。エピネフリンを経皮的にデリバリーするための、長期安定性が高い、パッケージされた電極アセンブリも提供する。
【解決手段】第1の電極を有するアノードアセンブリと、前記第1の電極と電気的に接触しているエピネフリンを含有するドナーハイドロゲルとを備えた、電気的にアシストされたドラッグデリバリー装置用の電極アセンブリであって、該密閉されたアノードアセンブリが、少なくとも12ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電子的、電気化学的、または微生物的に安定である。
【選択図】図2

Description

背景
発明の分野
[0001]長期安定性が高く、電気的にアシストされた経皮的ドラッグデリバリーシステムであって、典型的にはリドカインなどの麻酔剤とともにエピネフリンをデリバリーするための該システムが、長期安定性が高いエピネフリン含有経皮的デリバリー装置の製造方法と併せて、提供される。
背景技術の説明
[0002]経皮的ドラッグデリバリーシステムは、近年、薬剤を投与する極めて重要な手段となってきている。このようなシステムによれば、他の投与方法(2,3例を挙げれば、消化管を介した薬剤の導入や、皮膚の穿刺による薬剤の導入など)では明らかに得ることのできない利点が提供される。
[0003]2つの種類の経皮的ドラッグデリバリーシステムが存在する。「受動的」なものと「能動的」なものである。受動的なシステムでは、助けを受けない(unaided)使用者の皮膚を介して薬剤を輸送する。この例としては、局所的な苦痛を取り除くための局所麻酔剤の投与などが挙げられ、米国特許第3,814,095号に開示されている。一方、能動的なシステムでは、患者の皮膚を介した薬剤のデリバリーを容易にするために外部の力が用いられる。能動的システムの例としては、超音波法、電気穿孔法(electroporation)、および/またはイオン電気導入法が挙げられる。
[0004]イオン電気導入法による薬剤のデリバリーは、薬剤を充填したリザーバー電極と患者の皮膚に適用されたリザーバー電極(もう1つの電極)との間の電流を維持するのに十分な電圧を、薬剤を充填したリザーバー電極にかけることによって行われ、所望の薬剤が患者へイオンの形態でデリバリーされる。
[0005]従来のイオン電気導入法装置(米国特許第4,820,263号、第4,927,408号、および第5,084,008号に開示されたものなど(これらの開示を、参照により本明細書に含めるものとする))では、イオン電気導入法により薬剤が経皮的にデリバリーされる。これらの装置は、2つの電極、すなわち、アノードとカソードとから基本的になる。典型的なイオン電気導入法装置においては、電流は外部電源から流れる。アノードから薬剤をデリバリーする装置では、正に帯電した薬剤が、アノードにおいて皮膚にデリバリーされ、カソードにより電気回路が完結する。同様に、カソードから薬剤をデリバリーするシステムでは、負に帯電した薬剤が、カソードにおいて皮膚にデリバリーされ、アノードにより電気回路が完結する。したがって、種々の目的のため薬剤をデリバリーするイオン電気導入法がかなり注目されている1つの例としては、一般的な局所(local)麻酔剤であるリドカインの局所的(topical)なデリバリーがある。
[0006]文献に報告されているようなイオン電気導入装置の多くは、長期貯蔵安定性の問題のため、使用直前まで薬剤をリザーバー電極とは別個に貯蔵する必要がある。イオン電気導入法によるデリバリーは多くの薬剤に対し好ましいと考えられているが、幅広く用いられている訳ではない。というのも、多くの場合、潜在的なユーザー人口の必要性のすべてを満たす装置が市販されていないためである。幅広く使用されるために製品に求められる重要なものは、長期貯蔵安定性である。製剤が通常の流通条件および保存条件において安定でない場合、製品の耐用年数の大部分または全てが製品が製造され流通されるのに必要な間に経過してしまうため、よく売れる市販品とはならないだろう。こういった理由から、長期貯蔵性または安定性は製剤の規制認可過程の重要な1つであり、もし貯蔵安定性に問題がある場合、規制認可されないだろう。
[0007]デリバリー対象の薬剤を、複雑な、構成要素の多いリザーバー電極に貯蔵することは難しいことが示されてきた。ある場合には、リザーバー電極が、使用前に乾燥(水和しない)状態に維持される。これは、水性溶媒中での長期貯蔵で物理的および化学的変化を起こしてしまうという能動的電極材料の傾向のためである。よって、いくつかの構成要素を別々に保存しなければならず、イオン電気導入法装置の使用は制限されてきた。なぜなら、この装置を使用するには、リザーバー電極を使用直前に薬剤で充填し、水和する必要があるからである。個々の剤型中の特定の薬剤の含量の正確性と精度に関しては、規制基準がある。薬剤の剤型が錠剤の場合、重量変化、溶解、含量、および安定性に関して、特定の規制がある。非経口の剤型の場合、濃度と安定性評価が必要である。他のより複雑な剤型(経皮的またはイオン電気導入法によるデリバリー装置など)では、同様の基準が整備されているが、装置への充填に関する問題および充填した装置の安定性の問題は残されている。
[0008]いくつかの米国特許に、長期貯蔵安定性の問題を解決し、イオン電気導入法装置の製造を容易にするための装置が開示されている。米国特許第5,320,598号には、薬剤と最初は非水和状態にある電解液リザーバーとを備えた、乾燥状態のイオン電気導入法によるドラッグデリバリー装置が開示されている。
[0009]この装置は、水または他の液体を含む液体含有パウチまたは壊れやすいカプセルを有しており、使用前に液体の容器を壊すことにより液体が放出される。このような装置の商業的な製造は手間がかかるだろう。
[0010]また、米国特許第5,385,543号は、薬剤と電解液リザーバーとを備えた、乾燥状態のイオン電気導入法によるドラッグデリバリー装置を開示する。この開示された装置は、バッキング層と少なくとも1つの通路とを備えており、この通路によって、使用前に、水または他の液体が薬剤および電解液リザーバーに導入され、リザーバーと電極が接続される。この特許は、リザーバーを水和後に電極と接続することにより、剥離の問題が低減されることを開示している。
[0011]長期貯蔵安定性の問題に対する他の解決策が米国特許第5,817,044号に開示されている。この特許では、装置は少なくとも2つの部分に分割されるか、または別個であり、1つの部分は電極リザーバーを備え、他方は乾燥状態で薬剤を含有する薬剤リザーバーを備えている。ユーザーによって、2つの部分は、少なくとも部分的に水和したリザーバーの1つに対し、互いに導電的に接触される。これは、2つの部分を互いに接触させる装置を折り畳むか、2つの部分を隔てている障壁を取り除くことにより行われる。この装置は上記特許に開示された装置よりは若干使用しやすそうであるが、このような市販の装置は現在存在しない。
[0012]国際特許公開WO98/208869には、エピネフリンHClと塩酸リドカインをデリバリーするためのイオン電気導入法用装置が開示されている。この装置は、微生物の成長を妨げる物質と、エピネフリンの安定性を促進する酸化防止剤とを含む。この開示においては、長期貯蔵安定性の必要性が認識され、エピネフリンの安定性の問題を酸化防止剤を含ませることにより解決しているが、以下の点は何ら教示していない。すなわち、リザーバー電極に均一に充填することの利点、製造および貯蔵における電極およびその溶液の腐食の問題;適切な接着剤と接触しているリザーバー、保護用リリースカバー、パッケージ材料、またはパッケージ環境;また、電極上の薬剤の効果。また、この開示の情報に基づいた市販品は存在しない。
[0013]製造または成功した医薬組成物に関連するさらなる問題は、剤型の正確性および精密さへの必要性に関する。上記のイオン電気導入法によるドラッグデリバリー装置の中には、ユーザーまたは実行者は、リザーバー電極を水和させ、使用前に薬剤をデリバリー装置までデリバリーするためのいくつかの操作を行うことが必要である。このような操作は、薬剤を装置へ充填することを比較的未制御の条件下で実行者またはユーザーに依存しているため、不適当な投薬となることがある。医薬組成物の規制基準は、一般的に、ラベルクレイムの90〜110%の薬剤を含むことだけでなく、サンプル毎に薬物輸送が均一であることを指定している。アセンブリおよびイオン電気導入法のリザーバー電極の貯蔵に必要な条件下で、多くの薬剤は安定でないことはよく知られている。受動的な経皮的ドラッグデリバリーに有用なリザーバーとイオン電気導入法のドラッグデリバリー装置用のリザーバー電極とのアセンブリ工程において、薬剤と他の必要な安定性を促進させる賦形剤とを正確に繰り返し充填する方法(これは、機械化されたアセンブリ工程で用いることができ、また、これにより、十分な安定性を有する、薬剤が充填されたリザーバー電極が提供される)が、米国特許出願09/584,453と対応する国際特許公開WO01/91848(双方のすべてを本明細書に含むこととする)に開示されている。
[0014]パワーズら(Powers et al.)の米国特許第4,786,277号;リンクウィッツら(Linkwitz et al.)の米国特許第6,295,469号;およびEP 0941 085 B1は、リドカインのデリバリー用イオン電気導入装置を開示している。リンクウィッツらの文献は、リドカインとエピネフリンとのデリバリーを開示する。リンクウィッツらの装置は製品寿命を延ばすために十分な安定性を提供するものではない。リンクウィッツらの装置は、約10ヶ月の間だけ、そして薬剤充填ハイドロゲルリザーバー中においてのみ安定であると示されている。完全で市場性のある電極を備えた電極アセンブリの安定性は分析されておらず、リンクウィッツらのハイドロゲルの10ヶ月未満での安定性は、冷凍の困難性なく市販するには十分ではない。
[0015]アドレナリン(エピネフリンの自然形態)は1900年に単離された。これは1901年に医薬用途に導入された。エピネフリンおよびその塩に関しては、単離以来、安定性の問題が認識されてきた。というのも、遊離の塩の形態またはイオン化された塩の形態のエピネフリンは酸素の存在下では不安定であり、光および金属(Al,Cu,およびFeなど)イオンの塩などの存在下でその分解が促進されるためである。エピネフリンは、通常、単独もしくは他の薬剤(リドカインなど)と組み合わせて水溶液の状態で用いられる。エピネフリンは、典型的には、気密性容器中にて窒素などの不活性ガス下で保存される。容器は、通常、溶液に差し込む直接光を制限し、または補助的な不透明のパッケージ中に保存される。溶解性のエピネフリンを含有する溶液は不安定であり、溶液が多数の注入用バイアルにパッケージされている場合でも、開封後のバイアルは最初の使用から1週間以降は使用してはならないとの注意書きがラベルされている。不活性雰囲気下でエピネフリンの水溶液を含有するガラスアンプルは、24ヶ月以内の限られた製品寿命を有する。かかる容易に分解する性質は、最初の使用からの時間がしばしば無視または注意されない場合に、この分野において信頼性の問題を生じうる。これは、イオン電気導入法の製品にも関連する。既に現在市販されている(リドカインとエピネフリンのイオン電気導入法による局所的なデリバリー用であるIomed's Numby(登録商標)900など)。この装置は、能動的電極と返還電極のペアとコントローラーとを含むキットとして市販されている。多数回の使用のためのリドカインエピネフリン溶液のバイアル(Iontocain(商標))は、別に購入しなくてはならない。このシステムは組み立てなくてはならず、そして、リドカインとエピネフリンとを含有する液体を使用直前に能動的パッチに添加する。使用者にとっては、リドカインとエピネフリンを多数使用する際のバイアルの時間を記録し忘れやすく、その結果、バイアル中でエピネフリンが分解してしまう。また、使用直前にパッチへ充填することもやっかいである。個々の使用においてシリンジが必要であるし、製剤ごとのばらつきの可能性もある。例えば、充填用シリンジが適切な量の溶液で満たされないことがあり、溶液のいくらかはパッチに充填されないことがあり、および/または、この液体が、電極を含む吸収剤を使い果たすことがある。というのは、この溶液は吸収剤リザーバーとは別の相であり、周囲の接着剤や装置の効果を低下させることがあるからである。
[0016]商業的に許容可能なリドカインとエピネフリンのデリバリー用イオン電気導入法システムの安定性は、ガラスバイアル中または充填済シリンジ中にパッケージされたリドカイン/エピネフリン麻酔剤水溶液を保存することに比べて、薬剤の安定性をはるかに凌ぐ配慮を要する。現在まで、長期安定性を有する、リドカインとエピネフリンのデリバリー用の、デリバリーリザーバー中に既に充填されている薬剤を含むドナーリザーバー電極の製造法を、教示するものはない。ハイドロゲルリザーバーの酸素含量に対処することに加えて、エピネフリン/リドカイン含有リザーバーは、金属電極および薬剤装置の他の部分(接着剤、不織布転移用パッド、およびリリースカバーなど)と接触する。イオン電気導入法装置用の電極を製造するために典型的に用いられる銀/塩化銀は、典型的に、痕跡量のエピネフリンを分解する金属(銅など)を含有するという事実から、銀/塩化銀電極と接触するエピネフリン含有溶液の貯蔵に反するものである。実際、従来技術では、エピネフリンを使用しないことが教示され、他の血管収縮剤を示唆している(例えば、米国特許第5,334、138号、カラム6、22〜38行を参照されたい)。
[0017]エピネフリン/塩酸リドカイン製品のイオン電気導入の分野における教示は、13週から約10ヶ月の安定性を示すにすぎない。これらの製品は、薬剤含有リザーバー単独での安定性を示しており、装置の他の構成要素(必要な電極など)と組み合わせた場合の安定性は示していない。
[0018]さらに、従来のイオン電気導入法装置は、膜への組成物のデリバリーの効率と効果を最大限にする、種々の構造的、物理的、機械的、電気的、および/または、電気化学的な特徴を備えていない。必要なことは改善された特徴であり、これにより装置の性能を向上させることができる。
概要
[0019]長期安定性を有する、局所麻酔剤(リドカインなど)と併せたエピネフリンのデリバリーのためのイオン電気導入法装置が提供される。この装置において、薬剤は固溶体として固溶体リザーバーに貯蔵され、それによって、薬剤からの圧搾とリザーバーの可動領域の変更を回避した。この装置は、電極と、該電極と通電できるように位置した親水性ポリマーリザーバーとを備え、パッケージから取り出したらすぐに使用できる。すなわち、使用前に、アノードリザーバーに活性成分を充填したり、カソードリザーバー中に溶液を戻したりする必要がない。この装置は、24ヶ月以上室温で、電気的に安定であり、物理的に安定であり、電気化学的に安定であり、微生物的に安定であり、さらに化学的に安定であり、高温で長期に渡り安定であり、これによって、製造、物流、保存がより効率的になり、エンドユーザーに商品への信頼を提供し、消費者からの装置の返品が少ない。
[0020]電気的にアシストされたドラッグデリバリー装置用の電極アセンブリが提供される。該アセンブリは、第1の電極を備えた密閉されたアノードアセンブリと、前記第1の電極と電気的に接触しているエピネフリンを含むドナーハイドロゲルを備え、該アノードアセンブリは、密閉されている場合、少なくとも10ヶ月間、25℃で、電気的に安定であり、物理的に安定であり、電気化学的に安定であり、微生物的に安定であり、化学的に安定である。ドナーハイドロゲルは、典型的には、リドカインなどの麻酔剤を含む。1つの態様において、ドナーハイドロゲルは、前記パッケージされたドナーハイドロゲル中の酸素をすべて脱酸素するのに必要な、メタ重亜硫酸ナトリウムの最低量と同等量かわずに大きい量のメタ重亜硫酸ナトリウムを含む。電極アセンブリは、典型的には、密閉された容器に不活性ガスの存在下でパッケージされる。電極アセンブリはあらゆる有用な形状であってよいが、例えば、これに限定されないが、アノードアセンブリとカソードとの双方を備えた一体化アセンブリ、または、カソードとは別にパッケージされたアノードを備えた別々の電極である。
[0021]他の態様においては、電極アセンブリは、第1の電極と、リドカインと前記第1の電極と電気的に接触しているエピネフリンとを含んでなるドナーハイドロゲルとを備える。電極アセンブリは、密閉されている場合、少なくとも24ヶ月間25℃で、電気的に安定であり、物理的に安定であり、化学的に安定である。
[0022]ある具体的な態様において、電極アセンブリは密閉されたアセンブリである。この電極アセンブリは、バッキング;第1の銀/塩化銀電極と、前記バッキングに接続された前記第1の電極と電気的に接触しているリドカインとエピネフリンとを含んでなるPVPドナーハイドロゲル;第2の銀/塩化銀電極と、バッキングに接続された前記第2の電極と電気的に接触している返還ハイドロゲル;前記バッキングに接続されており、前記第1の電極と電気的に接触している、導電性の銀/塩化銀アノードトレース;前記バッキングに接続されており、前記第2の電極と電気的に接触している、導電性の銀/塩化銀カソードトレース;および、アノードおよびカソードトレースの周囲を被覆する誘電体層を備える。ドナーハイドロゲルはまた、前記パッケージされたドナーハイドロゲル中の酸素をすべて脱酸素するのに必要なメタ重亜硫酸ナトリウムの最低量と同等量かわずかに多い量のメタ重亜硫酸ナトリウムと、ハイドロゲルリザーバーの充填中または充填後における電極の腐食を防止するのに十分な量の塩とを含む。この態様において、第1および第2の電極とアノードおよびカソードトレースには、銀/塩化銀含有インクを蒸着させてもよい。電極アセンブリは、密閉されている場合、少なくとも10ヶ月間25℃で安定である。
[0023]また、パッケージされた電気的にアシストされたドラッグデリバリー装置用の電極アセンブリが提供される。パッケージされたアセンブリは、密閉された容器と、該容器に密閉された電極アセンブリとを含む。電極アセンブリは、第1の電極と、銀/塩化銀の第1の電極と電気的に接触しているリドカインとエピネフリンとを含んでなるドナーPVPハイドロゲルとを備える。パッケージされた電極アセンブリは、前記アノードアセンブリが密閉されている場合、少なくとも24ヶ月間25℃で、電気的に安定であり、物理的に安定であり、電気化学的に安定であり、微生物的に安定であり、化学的に安定である。ドナーPVPハイドロゲルは、パッケージされたドナーPVPハイドロゲル中の酸素を少なくとも24ヶ月間脱酸素するのに必要なメタ重亜硫酸ナトリウムの最低量と同等量またはわずかに多い量のメタ重亜硫酸ナトリウムを含んでよい。
[0024]局所麻酔剤とエピネフリンとを患者に対し電気的にアシストされたデリバリーするための、長期安定性を有する電極アセンブリを製造する方法が提供される。該電極アセンブリは、銀/塩化銀電極と電気的に接触している、未充填のハイドロゲルリザーバーを含んでなる。未充填のハイドロゲルリザーバーは、ハイドロゲルリザーバーの充填中または充填後に、電極の腐食を防止するのに十分な量の塩を含んでなる。この方法は、未充填のハイドロゲルリザーバーにリドカインとエピネフリンとを含有する充填用溶液を充填する工程と、密閉された容器にアセンブリをパッケージする工程とを備える。この方法の1つの態様においては、充填工程の前に、充填用溶液が、ハイドロゲルリザーバーを覆うように設けられた取り外し可能なモールドシートに取り付けられた吸収剤パッドに吸収され、この取り外し可能なライナーは、ハイドロゲルリザーバーに接触する吸収剤パッドとともに電極アセンブリに取り付けられ、それによって、充填用溶液とハイドロゲルとが接触する。
詳細な説明
[0043]この用途で特定される種々の範囲における数多くの数値は、特に示さない限り、記載されている範囲内の最小値および最大値には「約」という語が前に置かれているように、おおよそのものとして使用される。このように、記載されている範囲を超えるか下回る僅かなズレがあっても、範囲内の数値と実質的に同じ結果を達成できるように使用できる。また、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間のすべての値を含む連続的な範囲であることを意図している。
[0044]特に示さない限り、本発明の態様は「通常の使用」条件で実施され、これはこれらの態様における標準的な操作パラメータの範囲内での使用をいう。本明細書に記載した種々の態様の操作の間、「通常の使用」におけるイオン電気浸透装置に対する約10%以下の1以上のパラメータの故障率(failure rate)は、本発明の目的において適当な故障率である。
[0045]電気的にアシストされた、薬剤(例えば、リドカインおよびエピネフリン)の膜を介したデリバリーのための電極アセンブリが、本明細書に記載される。本発明の電極アセンブリは、室温(25℃)を超える温度においても、例外的な長期安定性を示す。
[0046]「未充填の」または「未充填のリザーバー」という語は、リザーバー充填工程によって必要的に定義される。充填工程において、薬剤または他の化合物または組成物が吸収されると、リザーバー中に吸収及び/又は拡散して、化合物または組成物の最終的な含量または濃度に達する。未充填のリザーバーとは、化合物または組成物が最終含量または最終濃度まで達していないリザーバーである1つの例において、未充填の薬剤リザーバーはハイドロゲルであって、後でより詳細に説明するように、水と塩を含む。1以上の他の成分が未充填のリザーバーに含まれてもよい。典型的には、有効成分は未充填のゲルリザーバー中には存在しない。他の付加的な典型的非イオン成分(保存剤など)が未充填のリザーバーに含まれていてもよい。塩は多くの塩(ハロゲン化アルカリ金属塩など)の1つであってよいが、塩は典型的には塩化ナトリウムである。他のハロゲン化塩(例えば、限定することなく、KClまたはLiClなど)は機能性の観点からはNaClと同じであり得るが、好ましくはない。電極の腐食を防止するためのハロゲン化塩の使用は、米国特許第6,629,968号および第6,635,045号に記載されており、両者の全内容を参照により本明細書に含めるものとする。
[0047]「電気的にアシストされたデリバリー」という語は、膜の間に電圧をかけることにより、膜(例えば、制限することなく、皮膚、粘膜、および爪)を介したあらゆる化合物の移動を容易にすることをいう。「電気的にアシストされたデリバリー」とは、限定することなく、イオン電気導入法によるデリバリー法、電気泳動法によるデリバリー法、および、電気的内方浸透法によるデリバリー法が含まれる。「有効成分」とは、限定することなく、薬剤、活性成分、治療用化合物、および、電気的にアシストされたデリバリー方法によって移動させることが可能な、患者における薬理的な効果を生じうる他の化合物を意味する。「経皮的装置」または「経皮的パッチ」は、能動的な経皮的装置またはパッチ、および、受動的な経皮的装置またはパッチの双方を含む。
[0048]「リドカイン」という語は、特に示さない限り、水溶性の形態のリドカイン(塩または誘導体、同族体、類縁体を含む)を指す。例えば、下記の実施例で用いられているように、「リドカイン」は塩酸リドカイン(HCl)(XYLOCAINEや他の名前で市販されている)を意味する。
[0049]「エピネフリン」という語は、水溶液において溶解可能な、エピネフリンのあらゆる形態、塩、その遊離の塩基、または誘導体、同族体、または類縁対を指す。例えば、下記の実施例で用いられているように、「エピネフリン」は酒石酸水素エピネフリンを意味する。
[0050]本明細書に記載された、種々の態様の電気的にアシストされたデリバリー装置に適用されるように、装置に関して使用される「一体とされた」という語は、少なくとも2つの電極が装置の共通の構造要素に連結されていることを意味する。例えば、限定することなく、イオン電気導入法装置の経皮的パッチには、その中に「一体とされた」カソードおよびアノードが含まれる。すなわち、カソードおよびアノードは共通のバッキングに接続されている。
[0051]本明細書に記載されている、種々の態様の電気的にアシストされたデリバリー装置に用いられているように、「フレキシブル」材料または構造的構成要素は、一般的に、種々の膜表面の形態に適合および一致する。「固い(stiff)」材料または構造的構成要素は、一般的に、種々の膜表面の形態に適合および一致しない。さらに、「フレキシブル」な材料または構成要素は、曲げ剛性が高い「固い」材料または構造的構成要素と比較して、曲げ剛性が低い。例えば、限定することなく、一体とされたパッチにバッキングとして使用されるフレキシブル材料は、患者の前腕の形状または肘の内側に実質的に適応できる一方で、「固い」材料は、バッキングとしての同様の使用に適合しない。
[0052]本明細書に用いられているように、「移動吸収剤」という語は、液体または複数の液体を少なくとも一時的にその中で保持し、他の媒体(例えば、ハイドロゲルリザーバーなど)へ保持していた液体を解放するように設計されたあらゆる媒体を指す。本明細書で使用しうる「移動吸収剤」の例としては、限定することなく、不織布や連続気泡のスポンジなどが挙げられる。
[0053]図1には、典型的な、電気的にアシストされたドラッグデリバリー装置1が模式的に描かれている。この装置1には、電源/コントローラー2,アノード電極アセンブリ4、およびカソード電極アセンブリ6が備わっている。アノード電極アセンブリ4およびカソード電極アセンブリ6は、導電性リード(lead)8aおよび8cによって、それぞれ電源/コントローラー2に電気的に接続されている。アノード電極アセンブリ4にはアノード10があり、カソード電極アセンブリ6にはカソード12がある。アノード10とカソード12は、ともにリード8a、8eと電気的に接触している。アノード電極アセンブリ4はアノードリザーバー14をさらに含み、カソード電極アセンブリ6はカソードリザーバー16をさらに含む。アノード電極アセンブリ4とカソード電極アセンブリ6はバッキング18を有し、電極アセンブリ4、6を膜(例えば、患者の皮膚)に固定し、リザーバー14、16と膜との電気的な接触を得るための感圧接着剤20がバッキングに対して塗布される。状況に応じて、リザーバー14、16は、少なくとも部分的に感圧接着剤20で被覆されてもよい。
[0054]図2〜10は、種々の側面における、電気的にアシストされたデリバリー装置において使用するため(例えば、組成物の膜へのデリバリーのため)に構築された、本発明の組み立てられた電極アセンブリ100を図示する。2つの電極(アノード104およびカソード106)を備えた印刷電極層102は、印刷電極層102とフレキシブルバッキング108との間に位置するフレキシブルバッキング接着剤層110により、フレキシブルバッキング108に接続される1以上のリード112、114は、アノード104および/またはカソード106から印刷電極層102のタブ端部116へ伸びていてもよい。種々の側面において、絶縁誘電体コーティング118は、1以上の電極104、106および/またはリード112、114の少なくとも一部の上に、および/または、1以上の電極104、106および/またはリード112、114の少なくとも一部に隣接して配置される。誘電体コーティング118は、印刷電極層102の物理的完全性を強化および増強するように働くことができ;リード112、114および/または電極104、106を流れる電流の点源濃度を減少させ;および/または、アノード104の部分とそれに関連するリード112およびカソード106の部分とそれに関連するリード114との間に好ましくない短絡経路が生じることを防ぐ。
[0055]他の態様においては、1以上のスプライン(spline)122A、122B、122C、122Dは、図示するように、印刷電極層102の種々の部分から伸びるように形成されうる。スプライン122の少なくとも1つの利点は、アセンブリ100に用いる印刷電極層102の製造性(例えば、電極層102のダイカット)および構築を容易にすることだと分かるだろう。スプライン122はまた、リリースカバー(下記の記載を参照)がアセンブリ100の構築または使用に関連して位置する場合、好ましくない真空の形成を防ぐことを助けうる。
[0056]他の本発明の態様において、タブ補強材124は、タブ補強材124とタブ端部116との間に位置する接着剤層126によって、印刷電極層102のタブ端部116に接続される。種々の態様において、タブスリット128はアセンブリ100のタブ端部116に形成されうる(図2および図4により詳細に示す)。タブスリット128はタブ補強材124と接着剤層126を通って延びるように形成し得る。他の態様では、タブ端部116に接続するように構築された最小のタブの長さ129(図6に具体的に示す)は、少なくとも約1.5インチの範囲であり得る。
[0057]図5A〜5Cに関して、タブ端部116は、電気的にアシストされたドラッグデリバリー装置(例えば、コネクタアセンブリ250のナイフエッジ250Aなど)の1以上の構成要素と、機械的、電気的、動作可能なように接続されるように構成されうる。図5B及び図5Cに模式的に示すように、タブ端部116がコネクタアセンブリ250のフレキシブル回路コネクタ250Bに挿入されると、タブ端部116のタブスリット128はそのなかでナイフエッジ250Aを受けるように構築されうる。ナイフエッジ250Aとタブスリット128との相互関係は、ユーザーが手でタブ端部116をコネクタアセンブリ250のフレキシブル回路コネクタ250Bへ挿入するための触覚として機能し得ると理解できる。さらに、ナイフエッジ250Aは、コネクタアセンブリ250からタブおよび部分116の取り外しによって、タブ端部116(例えば、センサートレース130など)上に位置する1以上の電気的接触部分を切断するか、さもなければ無効にするように構築してもよい。この電気的接触部分の無効化によって、例えば、アセンブリ100と組成物の膜へのデリバリー用のコネクタアセンブリ250を最初に使用した後の、意図しない将来のアセンブリ100の使用が生じる可能性を減少し得ると考えられる。
[0058]他の態様では、転写接着剤層132は印刷電極層102と接続して位置し、例えば、アセンブリ100を備える電気的にアシストされたデリバリー装置の操作中に、アセンブリ100の接着および/または膜からの取り外しを容易にしうる。図2に示すように、第1のハイドロゲルリザーバー134は印刷電極層102のアノード104と接続するように位置し、第2のハイドロゲルリザーバー136は印刷電極層102のカソード106と接続するように位置する。他の態様においては、ハイドロゲルが多くの例において好ましいものとなりうるものの、カソード106に接続されたハイドロゲルリザーバーは実質的に存在しないか、例えば、NaClを始めとする物質がカソード106と接続されてもよい。
[0059]図3に示すように、リリースカバー138はアノードドナー部140とカソード返還部142とを備える。アノードドナー部140は、アノードドナー部140中に置けるように適切に設計または採寸されたドナー移動吸収剤144を、その中に受容するように構築される。同様に、カソード返還部142は、カソード返還部142中に置けるように適切に設計または採寸された返還移動吸収剤146を、その中に受容するように構築される。移動吸収剤144、146は、適した方法または装置によって(例えば、1以上のスポット溶接を用いて)、そのそれぞれの部分140、142に取り付けうる。アセンブリ100を構築する際は、リリースカバー138はフレキシブルバッキング接着剤層110に接続するように構築され、ドナー移動吸収剤144はアノード104と接続しているハイドロゲルリザーバー134と接触し、返還移動吸収剤146はカソード106と接続しているハイドロゲルリザーバー136と接触するようにされることが理解できる。
[0060]種々の態様において、一体とされたアセンブリ100は、例えば、塩酸リドカインおよび酒石酸水素エピネフリンが充填されたドナーアセンブリとして機能しうる第1のリザーバー電極アセンブリ(リザーバー134とアノード104を備える)と、返還アセンブリとして機能しうる第2のリザーバー電極アセンブリ(リザーバー136とカソード106とを備える)とを備える。アセンブリ100は、フレキシブルバッキング108の電極アセンブリ固定部108A上に取り付けられた、リザーバー電極104とリザーバー電極106とを備える。アセンブリ100は、2つの電極(アノード104およびカソード106)を備え、そのそれぞれは、電極表面、操作可能なように接続された電極トレースまたはリードそれぞれ112および114を有する。電極104、106および電極トレース112、114は、例えば、導電性インクを用いて、電極層102上に蒸着された薄膜として形成されうる。導電性インクは、適当なバインダー材料中に例えばAgおよびAg/AgClを有してもよく、導電性インクは電極104、106および電極トレース112、114の双方に対して同じ組成物を有してもよい。導電性インクに対する基材の厚さは、約0.002インチから0.007インチの範囲であり得る。他の態様では、導電性インクの比容量は、好ましくは約2〜120 mA・min/cm2の範囲、より好ましくは5〜20 mA・min /cm2の範囲である。種々の態様において、導電性インクは印刷された導電性インクを含みうる。電極104、106および電極トレース112、114は、アセンブリ100の固い部分を含むよう電極層102中に形成されうる。
[0061]種々の本発明の態様において、アノード104/リザーバー134アセンブリの表面とカソード106/リザーバー136アセンブリの表面との最短距離152は、少なくとも約0.25インチであり得る。ここで図8を参照すると、例えば、距離152、電極104、106の幾何学的形状(例えば、厚さ、幅、全表面積、他)、および/または、他の要因との組み合わせを不適切に選択すると、膜154を介して電極において実質的に均一でない組成物のデリバリーがアセンブリ100の操作中に生じ得ることが分かるだろう。図示するように、膜を介した組成物のデリバリーは、組成物デリバリー経路156A〜156Fによって模式的に示される。対照的に、図9に示すように、距離152、電極104、106の幾何学的形状(例えば、厚さ、幅、全表面積、他)、および/または、他の要因との組み合わせを適切に選択すると、デリバリー経路156A〜156Fで示されるように膜154を介して電極間において、実質的に均一な組成物のデリバリーが生じうる。例えば、瘢痕組織を含むことがある膜を介した組成物のデリバリーの問題、または、膜密度の他の変動という問題(これは、例えば、装置の電極間における組成物のデリバリーの効率および均一性に悪影響を及ぼしうる)を、発明者が認識していたことがわかる。
[0062]上で議論したように、電極104、106はそれぞれ吸収剤リザーバー134、136(それぞれ)に設けられてよく、該吸収剤リザーバーは架橋ポリマー材料(例えば、架橋ポリ(ビニルピロリドン)ハイドロゲルなど(例えば、実質的に均一の濃度の塩が挙げられる))により形成される。リザーバー134、136はまた1以上の補強材(例えば、低坪量の不織布(non woven scrim)など)を含んでいてもよく、これによりハイドロゲルに形状保持力が付与される。リザーバー134、136はそれぞれ、膜(例えば、患者の皮膚)の適用部分に対する取り外し可能な接着性を与える接着性および粘着性を有していてもよい。種々の態様において、アセンブリ100の一部と膜の適用部分(単数又は複数)との間に形成される接着の結合の強さは、膜とリザーバー134、136との間に形成される接着の結合の強さよりも低い。リザーバー134、136のこのような接着性および粘着性によって、アセンブリ100が膜の適用部分からはずされた場合、例えば、実質的な量の接着剤残余物が膜上に残らないという効果が与えられる。また、これらの性質によって、リザーバー134、136が実質的に電極104、136にそれぞれ接続されたままになり、フレキシブルバッキング108が実質的に印刷電極層102に接続されたままになることができる。
[0063]本発明の態様に従って提供されるアセンブリ100の部分(複数)は、装置100の構造に沿って多数の方向に対し、柔軟性または低い曲げ剛性を示すように構成させることができる。しかしながら、装置100の柔軟性とは反対の働きは、比較的剛性のある電極層102(基材として例えば、印刷処理されたPETなどの材料が挙げられる)の構成であることができる。PETは比較的強度のある材料で、高い引張強度をマシン方向にも横方向にも示し、曲げ剛性G=Eδn(弾性率(E)と材料の厚さ(δ)の累乗の関数である)を有する。仮定的な反例として、例えばマイラー樹脂(Mylar)などの物質が、電極層102とフレキシブルバッキング108との双方に使用された場合、少なくとも2つの問題が生じうる:(1)アセンブリ100の柔軟性が低すぎるため、十分にまたは効率的に膜上の治療部位へ接着することができなくなる;(2)治療が終了したのち膜から取り外すとき、フレキシブルバッキング108の強度のため、アセンブリ100を取り外すためにアセンブリ100に比較的強い力を必要とする。
[0064]本発明のある態様により、剛性のある電極層102の周囲付近にフレキシブルバッキング108が提供される。ある観点からは、比較的薄く従属性が大きい(compliant)フレキシブルバッキング(例えば、約0.004インチのEVAから構成される)をフレキシブルバッキング108として使用することができる。この構成により、多数の平面方向に対しフレキシブルで従属性のあるアセンブリ100が提供され、これにより、アセンブリ100は種々の膜や表面の形状に適応することができる。さらに、感圧接着剤(例えばPIB)を転写接着剤層132として塗工することができ、それにより、フレキシブルバッキング108の柔軟性の潜在的な低下が緩和される。種々の態様において、本発明に従って構成された装置においては、アセンブリ100の機能を乱すことなく治療中のある程度の動きやたわみが許容されることが理解できる。それゆえアセンブリ100は多数の方向に対し低い曲げ剛性を示し、そのため、種々の膜表面部分の形状に対するアセンブリ100の適応性が得られ、これは通常の使用において、アセンブリ100の選択された方向に対して実質的に独立なものである。種々の態様において、フレキシブルバッキング108の少なくとも一部分の曲げ剛性は、電極層102の少なくとも一部分の曲げ剛性よりも低い。
[0065]一般に、本発明のある態様の利点は、アセンブリ100が膜に適用され組成物をデリバリーするときに、アセンブリ100の「フットプリント(footprint)」を最小にすることで実現される。本明細書で使用されるように、「フットプリント」という語は、アセンブリ100の操作中、膜表面部分(例えば、患者の皮膚)と接触するアセンブリ100の部分(単数または複数)を意味する。ある態様では、ドナー電極104とドナーリザーバー134とを備えたアセンブリの表面部分を構成することができ、返還電極106と返還リザーバー134とを備えたアセンブリの表面部分よりも大きく、アセンブリ100の全体のフットプリント上の返還アセンブリの効果を限定する。さらに、アノード104とカソード106とを分離する間隔152の長さも、フットプリントに影響を与えることがある。さらに、対応するリザーバー134、136に対する電極104、106の大きさも、アセンブリ100のフットプリントに影響を与える。ある態様においては、リザーバー134、136は、対応する電極104、106と少なくとも実質的に同じ大きさである。
[0066]いったんアノード104とカソード106の隔離間隔152を備えた電極層102の表面積が決定されたら、アセンブリ100は膜(例えば患者の皮膚)上での使用に対し十分な柔軟性および接着性を有すべきことを、発明者らも認識していたと考えられる。これらの目的は、剛性のある電極層102を取り囲む転写接着剤層132の周辺部分に依存する。種々の態様において、アノード104とカソード106の一方又は双方に隣接する転写接着剤層132の周辺部分は、最小幅137として(例えば、図1に示すように)与えられる。最小幅137は、ある態様において構成され、少なくとも約0.375インチという範囲である。一方、これらの目的は、転写接着剤層132とフレキシブルバッキング108の攻撃性(aggressiveness)に依存し、好ましくはフレキシブルバッキング108の強度(例えば、弾性率)と厚さの関数として、柔軟性および従属性を有する。十分に薄いあらゆる材料(例えば、超薄(ultra thin)PETなど)は柔軟であり得るが、例えば、転写接着剤層132とフレキシブルバッキング108は、患者にに対する不快感を最小限にしつつ膜から取り外すことが可能であるべきである、という点で他の問題が生じる。その結果、従属性(例えば、低強度)を有するフレキシブルバッキング108を、アセンブリ100を用いる治療に対し適当な強度を維持しつつ、採用することができる。
[0067]本発明の構成の種々の実施的な側面からは、アセンブリ100のフットプリント部分は、好ましくは約3 cm2〜100 cm2の範囲、より好ましくは約5 cm2〜60 cm2の範囲、最も好ましくは約22 cm2〜30 cm2の範囲であり得る。さらに、全体の電極104、106の面積は、好ましくは約2 cm2〜50 cm2の範囲、より好ましくは約4 cm2〜40 cm2の範囲であり得る。ある運転可能な例においては、電極104、106に対する全体の接触面積は約6.3 cm2であり、リザーバー134、136の全体の接触面積は約7.5 cm2である。対応する電極104、106に対するリザーバー134、136の面積比は、約1.0〜1.5の範囲であり得る。他の態様では、印刷電極層102に対するフレキシブルバッキング接着剤110は、約0.0015インチ〜約0.005インチの範囲の厚さを有し得る。フレキシブルバッキング108は適当な材料(EVA、ポリオレフィン、PF、PU、および/または他の同様の適当な材料など)を含んでなることができる。
[0068]本発明の構造物の他の観点においては、全体の電極の表面面積とフットプリント面積の比は、約0.1〜0.7であることができ、好ましくは約0.24である。ある態様においては、ドナー電極104の表面面積と返還電極106の表面面積との比は、約0.1〜5.0の範囲であることができ、好ましくは約1.7である。さらに他の観点からは、ドナーリザーバー134の厚さと返還リザーバー136の厚さの比は、約0.5〜2.0の範囲であることができ、より好ましくは約1.0である。
[0069]種々の態様において、例えば、充填用溶液のアリコートを直接ハイドロゲルリザーバーに設置し、この充填用溶液をハイドロゲル中にある期間にわたって吸収および拡散させることによって、ドナー電極リザーバー134を電極リザーバー充填用溶液からの有効成分で充填することができる。図10にこの電極リザーバーの充填方法が説明されており、そこでは、充填用溶液のアリコートは、リザーバーへの吸収および拡散用のハイドロゲルリザーバー上に設置されている。図10は、アノード280とバッキング288上のアノードトレース281とアノード280と接触するアノードリザーバー284とを備えたアノード電極アセンブリ274の概略断面図である。充填用溶液285のアリコート(リザーバー284に充填する組成物を含有する)はリザーバー284と接触して設置される。充填溶液285は、所望量の充填用溶液285の成分がゲルリザーバー284中に吸収および拡散されるのに十分な時間、リザーバー284に接触する。当業者に公知のあらゆる適した方法または装置を、リザーバー284に組成物を充填するために使用することができることが理解されよう。
[0070]他の本発明の態様において、ハイドロゲルリザーバー134、136の少なくとも1つは、電極104、106の少なくとも1つの少なくとも1部分と接続するように設置される。種々の側面において、ハイドロゲルリザーバー134、136の少なくとも1つの表面積は、対応する電極104、106の表面積と同じかそれより大きい。ハイドロゲルリザーバー134、136の少なくとも1つには組成物が充填され、充填されたハイドロゲルリザーバーが吸収飽和するまで充填されたハイドロゲルリザーバーに供給され得る。さらに、充填されたハイドロゲルリザーバーと接続されたまたはその近くのアセンブリ100の少なくとも1つの構成要素は、充填されたハイドロゲルリザーバーの水の吸収容量よりも低い水の吸収容量を有する。ある態様においては、アノード電極104と接続された未充填のハイドロゲルリザーバー134を含んでなる第1の種類の材料は、カソード電極106と接続された第2の未充填のハイドロゲルリザーバー136を含んでなる第2の種類の材料と実質的に同じである。
[0071]他の本発明の態様において、スリット202が、アセンブリ100のアノード104とカソード106との間に位置した部分において、フレキシブルバッキング108中に形成されてもよい。スリット202は、アノードを備えたアセンブリの部分とカソードを備えたアセンブリの部分との間の圧縮力を分散させることにより、アセンブリ100の膜に対する適応性を向上させる。種々の態様において、電極アセンブリ100は1以上の非接着性タブ206および208を備え、そのタブはフレキシブルバッキング108から延びており、そのタブに対してはある種の接着剤は塗工されない。非接着性タブ206、208によって、例えば、電極アセンブリ100に対するその付属物からリリースカバー138を容易にはずすことができる。また、非接着性タブ206、208によって、アセンブリ100が使用のため設置されている膜(例えば、患者の皮膚)からのアセンブリ100の取り外しを容易にすることができる。
[0072]上記したように、アノード電極トレース112とカソード電極トレース114の少なくとも1つの少なくとも1部を、トレース112、114に沿った部分において、絶縁誘電体コーティング118で被覆してもよい。絶縁誘電体コーティング118は、アセンブリ100のタブ端部116に位置するトレース112、114の部分を完全に被覆しないように形成させることができる。これにより、トレース112、114の間の電気的接触、および相互接続装置(コネクタアセンブリ250のフレキシブル回路コネクタ250Bなど)の電気的接触が可能になる。種々の態様において、誘電体コーティング118は、アノード104とリザーバー134アセンブリ、および/または、カソード106とリザーバー136アセンブリの少なくとも1つの少なくとも1部を被覆し得る。さらに、誘電体コーティング118は、電極104、106および/またはトレース112、114の少なくとも1つの周囲の、実質的に全てまたは少なくとも1部を被覆し得る。
[0073]種々の本発明の態様において、ギャップ212はタブ端部116に一番近い転写接着剤132の層の一部と該転写接着剤132の層に一番近いタブ補強材124の一部との間に提供することができ、電気的にアシストされたデリバリー装置(例えば、コネクタアセンブリ250など)の構成要素からのアセンブリ100の取り外し、または、電気的にアシストされたデリバリー装置(例えば、コネクタアセンブリ250など)の構成要素へのアセンブリ100の装着を容易にする。ある実施態様において、ギャップ212は少なくとも約0.5インチの幅である。ギャップ212は、例えば、アセンブリ100をコネクタアセンブリ250フレキシブル回路コネクタ250Bへ手動で挿入するための、触知性刺激の補助となる。また、ギャップ212は、膜上にアセンブリ100を接着および使用する間にアセンブリ100とデリバリー装置(例えば、コネクタアセンブリ250)の他の構成要素との間の相対的な動きによって生じる力を緩和することができる。
[0074]さらに、少なくとも1つの触知性フィードバックノッチ214と1以上のウイング216、218は、電極アセンブリ100のタブ端部116の中に形成され、また、電極アセンブリ100のタブ端部116から延びるように形成することができる。フィードバックノッチ214および/またはウイング216、218は触知性刺激の補助と考えることができ、この触知性刺激の補助は、電気的にアシストされたデリバリー装置構成要素の中へタブ端部116を挿入すること、または、電気的にアシストされたデリバリー装置構成要素からタブ端部116を取り外すことを容易にし、例えば、コネクタアセンブリ250のフレキシブル回路コネクタ250Bと運転上の関係を確立する。
[0075]図6Bおよび図6Cはそれぞれ、図6に示すような電極アセンブリ100の要素の積層化を示す。図6Bおよび図6Cにおいて、層の厚さはノンスケールであり、接着層は説明のため省略されていることが分かる。図6Bは、アノード電極104/リザーバー134のアセンブリと、カソード電極106/リザーバー136のアセンブリの断面図を示す。アノード104とカソード106は印刷電極層102上に積層されていることが示されている。アノードリザーバー134とカソードリザーバー136はアノード104とカソード106上にそれぞれ積層されることが示されている。図6Cは、アノード104、アノードトレース112、およびアノードリザーバー134の断面図である。アノード104、アノードトレース112、およびセンサートレース130は電極層102上に積層される。アノードリザーバー134はアノード104に関して示される。タブ補強材124(アクリル材料から構成することができる)は、例えば、アセンブリ100のタブ端部116に取り付けることが示されている。さらに、センサートレース130は、電極アセンブリ100のタブ端部116に配置してもよい。
[0076]他の本発明の態様において、図7および図7Aは、本発明の種々の装置とともに使用するために構成されたリリースカバー138、電極アセンブリ、および/またはシステムを模式的に示す。リリースカバー138はリリースカバーバッキング139を備え、これはアノード吸収剤ウエル140とカソード吸収剤ウエル142を備える。種々の例示的な観点からは、不織布アノード吸収剤パッドは移動吸収剤144としてアノード吸収剤ウエル140の中に含まれていてもよく、不織布カソード吸収剤パッドは移動吸収剤146としてカソード吸収剤ウエル142の中に含まれていてもよい。使用において、リリースカバー138は電極アセンブリ100に接続され、アノード吸収剤パッド144とカソード吸収剤パッド146は実質的にアノードリザーバー134とカソードリザーバー136をそれぞれ覆う。アノード吸収剤パッド144とカソード吸収剤パッド146はそれぞれ、対応するアノードリザーバー134またはカソードリザーバー136よりも僅かに大きくてもよく、リザーバー134、136を覆い、そして保護する。アノード吸収剤パッド144およびカソード吸収剤パッド146はまた、アノード吸収剤ウエル140およびカソード吸収剤ウエル142のそれぞれよりも小さくてもよい。種々の態様において、1以上のインディシア(indicia:印)220(例えば、示すような"+"の記号)を、アノードウエル140および/またはドナーウエル142に隣接するアセンブリ100のフレキシブルバッキング108の少なくとも1部に形成することができる。インディシア220は、例えば、イオン電気導入法の操作を行う際の、アセンブリ100の正しい方向および使用を促進しうると評価できる。
[0077]アノード吸収剤パッド144およびカソード吸収剤パッド146は、1以上の超音波スポット溶接部(例えば図7に示すような溶接部222、224、226など)によって、リリースカバー138の前記バッキング139に接続されてもよい。溶接部222、224、226は、不織布パッド144、146とウエル140、142のそれぞれとの間を連結する部分に、実質的に均一に分配することができる。
[0078]電極アセンブリ100からのリリースカバー138の取り外しを容易にするため、転写接着剤132と接続しているバッキング139の部分(複数)は、リリースカバー138が電極アセンブリ100に取り付けられたとき、リリースコーティング(例えば、シリコーンコーティングなど)で処理することができる。
[0079]図11は、密閉されたパッケージング360中の電極アセンブリ300の分離した模式図である。パッケージされた電極アセンブリ300は所定の位置のリリースライナー350とともに示され、アノード310とカソード312は参考のため透視的に示されている。密封パッケージング360は第1のシート362と第2のシート364とから形成される容器であり、とじ目(seam)366に沿って密閉されている。密封パッケージング360は、密閉されたときに液体または気体の透過(例えば、パッケージング360への酸素の透過)を実質的に防ぐこと、および/または、電極アセンブリ300を密閉パッケージング360の内部に密封した後のパッケージング360からの水の損失を実質的に防ぐことができれば、どのような適した組成および配置であってよい。
[0080]使用において、電極アセンブリ300がシート362と364の1つに設置された後に、シート362と364はともに密閉され、パウチが形成される。当業者に周知の他のパッケージング法を用いて、不活性雰囲気の密閉されたパッケージを形成してもよい。ある態様においては、不活性ガス中の酸素濃度を制御し、パッケージ内容量またはヘッドスペースを最小化することによって、密封されたパウチ内部の不活性ガス中の酸素のモル数は、パッケージ中の全ての酸素と反応するのに必要なエピネフリン含有リザーバー中のメタ重亜硫酸ナトリウムの量よりわずかに少ないように制限される。次いで、電極アセンブリ300はシート362と364との間に挿入され、不活性ガス(窒素など)がパウチに導入されてパウチから実質的に空気が抜かれ、そして、密閉されたパッケージング360が密封される。密閉されたパッケージング360は、接着剤、熱ラミネート加工、または電極アセンブリ300などの装置をパッケージングする技術分野における者に公知のあらゆる方法によって密閉することができる。と考えるべきである。シート362と364は、それ自体に折り畳まれた材料の単一のシートから形成させることができ、密閉されたパッケージング360の一面は合わされたシート中でシールではなく折り目となる。他の態様においては、シート362、364はともにラミネートされた個々のシートから形成させることができ、例えば、パッケージを形成する。他の容器形状も同様に、容器が密封されている限り、電極アセンブリの貯蔵に適するだろう。
[0081]シート362および364、そして一般に、密閉したパッケージング360は種々の材料から作ることができる。ある態様においては、密閉パッケージング360を作るために使用された材料は次の構成を有する:48ゲージのPET(ポリエチレンテレフタレート)/プライマー(Primer)/15 lb LDPE(低密度ポリエチレン)/1.0ミルのアルミニウム箔接着剤/48ゲージPET/1.0lb LDPEのシェブロン(chevron:山型)パウチの2ミルの剥離可能な層。この種のラミネート(ホイルオレフィン系フィルムと結合用接着剤)は、強度があり穴のないシールを形成することができ、本質的にピンホールがなく、24ヶ月以内および24ヶ月を超える貯蔵期間において、ガスおよび水蒸気の移動はゼロである。24ヶ月を超える期間、酸素、窒素、および水蒸気の移動を制限するために適した他のバリア材料は、当業者に周知であり、アルミニウム箔ラミネート(Rexam Medicalパッケージング(Mundelein、イリノイ州)から市販されているIntegra(登録商標)という商品など)が挙げられるが、これに限定されない。
[0082]本明細書に記載のあらゆるアセンブリ、装置、システム、または他の装置は、構造的に適するとき、上記の密閉パッケージングに密封することができると理解すべきである。
[0083]使用において、本明細書に記載された電極リザーバーは、成分をハイドロゲルに吸収および拡散するために適したあらゆる方法によって、電極リザーバー充填用溶液からの有効成分で充填することができる。ハイドロゲルに充填するための2つの方法には、吸収剤パッド(不織布材料など:これに、成分を含有する充填用溶液が吸収される)と接触するようにハイドロゲルを設置することが含まれるが、これに限定されない。第2の充填方法には、充填用溶液のアリコートを直接ハイドロゲル上に置く工程と、充填用溶液をハイドロゲル中に一定期間吸収および拡散させる工程とが含まれる。
[0084]第1の方法では、それぞれアノードリザーバー134およびカソードリザーバー136に吸収及び拡散される成分を含有する充填用溶液は、まず、不織布アノード吸収剤パッド144および不織布カソード吸収剤パッド146にそれぞれ吸収される。このように充填されたリリースカバーが電極アセンブリ100に接続されると、その中で成分が、吸収剤パッド144および146からそれぞれのリザーバーへ、脱着および拡散する。この場合、リザーバーカバーからリザーバーへの吸収および拡散は、約95%の移動効率であり、約5%過剰の充填用溶液を吸収剤パッドに吸収させることが必要である。このような不完全な移動にも拘わらず、充填用溶液の液滴をリザーバー上に滴下し、約16および24時間、または液滴が固定化され吸収されるまで待つという方法に対して、この充填方法の利点は大きい。というのは、いったんリリースカバーが電極アセンブリ上にラミネートされると、アセンブリをすぐにさらなる処理のために移動させたり、倉庫に置くことが可能になるからである。吸収および/または拡散が完全であることが分かる限り、アセンブリを平らに保ち、動かないようにする必要はない。
[0085]移動吸収剤144および146は、典型的な不織布材料である。しかし、織物(ガーゼパッドなど)や吸収剤ポリマー組成物(硬質または半硬質の連続気泡フォームなど)を始めとする他の吸収剤を使用することもできる。本明細書に記載したある特定の態様においては、リリースカバーの吸収剤パッドからリザーバーへの充填用溶液の移動効率は約95%である。この移動効率は、吸収剤パッドおよびリザーバーの組成、並びに、付随的な物理的要因(リザーバーおよび吸収剤パッドの大きさ、形状、厚さなどを挙げられるが、これに限定される訳ではない)、リリースカバーが電極アセンブリに固定されたときの吸収剤パッドおよびリザーバーの圧縮の程度に依存して変化することが本技術分野の者には理解されるであろう。あらゆる所定のリリースカバー・電極アセンブリ複合物に対する移動効率は実験により容易に測定することができ、リザーバーを所望の薬剤含量まで十分に充填するために必要な充填用溶液の量は、所望の仕様に対して容易に決定することができる。
[0086]上述したように、図10は、電極リザーバーを充填する第2の方法(ここでは、充填用溶液のアリコートがハイドロゲルリザーバーへ置かれ、リザーバーへ吸収および拡散される)を説明している。移動吸収剤144、146は、この方法で充填されたリザーバーを有する電極アセンブリに対するリリースカバーに典型的には含まれない。
[0087]種々の態様において、電極アセンブリ100は以下の工程によって適切な部分が製造される。まず、電極104および106とトレース112、114および130がポリマーバッキング(例えば、処理されたインク印刷可能なPETフィルムや他の適当な硬質材料など)上に印刷される。次いで、誘電体層118がトレース112および114の適切な部分上に設けられ得る。ここで、トレース112および114は、電極リザーバーに電気的に接触すること、および、電極アセンブリと例えば電源/コントローラーとの相互接続を意図していない。そして、電極が印刷されるポリマーバッキングがフレキシブルバッキング108にラミネートされる。そして、アノードリザーバー134とカソードリザーバー136は、電極104および106にそれぞれ位置する。リリースカバー138のアセンブリ、移動吸収剤144および146は、超音波的にウエル140および142の中に溶接され、アノードおよび/またはカソードリザーバー134および136へ吸収および/または拡散させるため、適切な充填用溶液が充填される。約5%の過剰の充填用溶液(ハイドロゲルへ吸収および拡散させるための必要量を超えるもの)が、典型的にはリザーバーカバーに添加される。というのは、この充填工程の移動効率(約95%)においては、吸収剤リザーバーカバーにいくらかの充填用溶液が残るからである。
[0088]いったん組み立てられ、そして充填用溶液が充填されると、リリースカバーは電極アセンブリ100上に設置され、充填された移動吸収剤144および146はアノードおよびカソードリザーバー134および136にそれぞれ接触する。時間の経過、典型的には少なくとも約24時間によって、充填用溶液のかなりの部分(約95%)が、ハイドロゲルリザーバーへ吸収および拡散される。そして、完成したアセンブリは、不活性ガス環境でパッケージされ、密封される。
[0089]ある使用方法においては、リリースカバー138が電極アセンブリ100から取り除かれ、電極アセンブリ100が患者の皮膚に適した位置にて設置される。電極アセンブリ100を皮膚上に設置した後、適当な相互接続(例えば、コネクタアセンブリ250の構成要素など)に挿入される。、あらゆる形(profile)、電気的にアシストされたドラッグデリバリーに対する本技術分野で公知のあらゆる手段によって、電圧がかけられる。電気的にアシストされたドラッグデリバリーのための電源およびコントローラーの例は、本技術分野において周知であり、米国特許第6,018,680号および第5,857,994号などに記載されている。最終的に、最適電流密度、薬剤濃度、および電流および/または電圧の継続時間は、あらゆる所定の電極/電極リザーバーの組み合わせに対して、実験的に決定および/または確認することができる。
[0090]本明細書に記載された電極は、標準AgまたはAg/AgCl電極であって、所望の治療期間に対してそれぞれの電極が電気化学的に支持されるようなAgとAgCl(始めから存在する場合)の比、厚さ、およびパターンで、標準的な方法に従ったあらゆる方法よって製造することができる。典型的には、使い捨てのイオン電気導入電極の調製においてよく知られているように、電極および電極トレースは、Ag/AgClインクを所望のパターンで固いポリマーバッキング(例えば、2 mmのPETフィルム)上に、標準的なリソグラフィー法(輪転グラビアなど)で印刷することによって調製した。Ag/AgClインクは、例えば、E.I. du Pont de Nemous and Companyからdu Pont製品番号5279として市販されているが、これに限定されるない。また、誘電物質を標準的な方法によって電極トレースに塗工することができる。電極は、誘電体インク電極および電極トレース上に標準的な印刷方法(例えば輪転グラビア)によって所望のパターンで塗工することができる。
[0091]感圧式接着剤(PSA)および転写接着剤は、所望の目的に適した、医薬的に許容可能なあらゆる接着剤であってよい。感圧式接着剤の場合、接着剤は、電極アセンブリを患者の皮膚や他の膜へ固定するために有用な許容可能なあらゆる接着剤であってよい。例えば、接着剤はポリイソブチレン(PIB)接着剤でもよい。電極アセンブリの異なる層に互いに接着させるために用いる転写接着剤も、このような目的に適した医薬的に許容可能なあらゆる接着剤(PIB接着剤など)であってよい。本明細書に記載された電極のアセンブリとして、PSAがバッキング材料上にプレコートされるように典型的には提供され、シリコーン被覆された解放ライナーがそれに接着され、材料の切断および取扱が容易にされている。転写接着剤は、シリコーン被覆された解放ライナーの2つの層の間に典型的には提供され、電極アセンブリ上での簡単な切断、取扱、および調節を容易にしている。
[0092]本明細書に記載のアノードおよびカソードリザーバーはハイドロゲルを含んでなることができる。ハイドロゲルは典型的には親水性であり、実施可能なかぎり、種々の架橋度と水分含量をとることができる。本明細書に記載のハイドロゲルは、医薬的および美容的に許容可能な吸収剤材料であることができ、かかる材料は、本明細書の充填用溶液および成分が吸収、拡散、または含有され、電気的にアシストされたドラッグデリバリーに適する。ハイドロゲルを作成するために有用な適切なポリマー組成物は当技術分野で公知であり、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、およびポリビニルアルコールを挙げることができるが、これに限定されない。リザーバーはさらに添加材料を含んでもよく、添加材料には、例えば、これに限定されないが、保存剤(Clariant Corporation(Mount Holly、North Carolina州)から市販のPhenonip抗菌剤など);酸化防止剤(メタ重亜硫酸ナトリウムなど);キレート剤(EDTAなど);および保湿剤がある。典型的な未充填のリザーバーには保存剤と塩が含まれる。本明細書で使用されるように、電極リザーバーの構成要素の水については、水は精製され、USP XIVの純水の基準を満たすことが好ましい。
[0093]上述したように、ハイドロゲルは、意図された使用の間、その形状を実質的に維持するために十分な内部強度と結合構造(cohisive structure)を有し、使用後に電極が取り除かれたのちに本質的に残余物を残さない。このように、ハイドロゲルの接着強度およびハイドロゲルと電極との間の接着強度はそれぞれ、ハイドロゲルと使用中に電極アセンブリが固定される膜(例えば、皮膚)との間の結合の接着強度よりも大きい。
[0094]ドナー(アノード)リザーバーはまた、塩を含み、好ましくは完全にイオン化する塩(例えば、塩化ナトリウムなどのハロゲン化塩)を約0.001重量%〜約1.0重量%、好ましくは約0.06重量%〜約0.9重量%の濃度で含む。塩の含量は、電極アセンブリの製造時および長期貯蔵時の電極の腐食を防止するのに十分なものである。これらの量は他の塩に対して、多くの要因に依存して実質的に比例的に変化し、因子としては、塩化ナトリウムの分子量と価数に対する、それぞれ所定の塩のイオン成分の分子量と価数がある。有機塩などの他の塩も塩薬剤の腐食効果を改善するのに有用である。典型的には、すべてのイオン性薬剤に対して最良の塩は、該イオン性薬剤のカウンターイオンと同じイオンを含む。例えば、薬剤がアセテートの形態である場合、アセテートが好ましい。しかしその目的は電極の腐食を防ぐことである。
[0095]リドカインHCIと酒石酸水素エピネフリンが以下の実施例において所望の薬学的応答を引き出すために使用される。リドカインのカウンターイオンがクロライドでない場合、塩素イオンは電極の腐食を防ぐために有用であり得るが、電極の腐食を防ぐための塩素イオンに加えて、または、電極の腐食を防ぐための塩素イオンの代わりに、腐食を防ぐ量の他のカウンターイオンが未充填のリザーバー内に含まれていてもよい。1つ以上のカウンターイオンが存在する場合(1以上の薬剤が充填され、それぞれの薬剤が異なったカウンターイオンを有する場合など)、電極の腐食を防止するために十分な量の両方のカウンターイオンをリザーバーに含むことが好ましい。以下に示す実施例において、ゲル中に充填される酒石酸水素エピネフリンの量は腐食を生じるのに十分ではないことに留意すべきである。
[0096]返還(カソード)リザーバーは、同じまたは異なったポリマー構造を有するハイドロゲルであることができ、典型的には、塩化ナトリウムなどの塩、保存剤、および付加的な保湿剤を含む。最終の製造工程に応じて、ある成分をハイドロゲルリザーバーの架橋中に添加することができ、他の成分を有効成分で充填することができる。しかし、成分の添加順に拘わらず、電極に接着するリザーバー中には塩が存在していなければならず、濃淡電池の形成を引き起こす有効成分(複数)または他の成分の充填前にそのなかに実質的に均一に分配されていると理解すべきである。
[0097]本明細書で使用されるように、「安定」および「安定性」とは、個々のパッケージされた電極・リザーバーアセンブリを指し、典型的には統計的に示される。「安定」という語は、所望の品質(これに限定されないが、具体的には、有効成分(エピネフリン含量、リドカイン含量など)、ハイドロゲル強度、ハイドロゲルの粘着性、電気回路構成および電気容量など)が所望の範囲に保持されることをいう。例えば、イオン電気導入法装置については、米国食品医薬品局(FDA)は、ロットにつき、最小2乗線形回帰統計法を用い95%の信頼度で所定の期間、エピネフリンのラベルクレイムの90%が保持されることを要求することがある。しかし、本明細書で使用されるように、電極アセンブリおよび/またはその部分は、イオン電気導入法システムにおける所望の機能を実質的に保持する限り、安定であると考えられる。適用可能なあらゆる統計学的方法によって測定されるが、安定性電極アセンブリの品質である。よって、FDAが承認した統計学的方法以外の方法を用いて、安定性を測定することができる。例えば、FDAの目的のため95%の信頼性が要求されることがあるが、この制限は「安定」といわれる装置に完全に当てはまる訳ではない。同様に、例示的な目的のみのため、「安定」なイオン電気導入法電極とは、最小二乗線形回帰分析法によって決定された、元のエピネフリン濃度の80%が所定の期間保持されることをいうこともある。
[0098]一般的に本明細書で用いられるように、電極リザーバー、リザーバー、または電極アセンブリは、一定期間密閉されているとき、安定である。これは、電極アセンブリが酸素や水を不透過な容器にシールされている(「密封されている」)と、電極リザーバーは一定期間所望の限度の範囲ないに特定の特性やパラメータを保持することを意味する。「元の濃度」「元の量」、または「元のレベル」とは、t=0とされる時点(典型的には電極アセンブリが密閉容器にシールされた後の時点)における電極アセンブリに関する、あらゆる構成成分の濃度、量、あるいはレベル、または、物理的、電気化学的、あるいは電気的なパラメータを意味する。この時間として、リザーバー(複数)中に成分が均一に分配されるように、最大数週間が採られる。
[0099]上で簡潔に述べたように、「安定性」とはリザーバー電極の種々の性質をいうことができる。薬剤または医薬的な安定性は1つのパラメーターである。例えば、エピネフリンは、典型的には極めて不安定である。それゆえ、イオン電気導入法の電極アセンブリは、有用な量のエピネフリンがデリバリーのために残っている間は、安定であると考えられる。同様に、リドカインについて検討すると、電極アセンブリは、有用な量のリドカインがデリバリーのために残っている間は、安定であると考えられる。
[0100]物理的安定性も考えられる。ハイドロゲルの強度(例えば、実施例に示すようなみかけの圧縮係数(apparent compressive modulus)やプローブの接着性(tack)は物理的安定性と考えられるパラメータの例である。電気的安定性および/または電気化学的安定性の場合、有用な電流容量のリテンション(比容量、mA・min/cm2)を測定することができる。上述したように、FDAは特定の統計学的試験を要求し、イオン電気導入法装置が安定に市場に出ることを限定しているが、こういった基準は、何が安定性パラメータであるかの例であり、ここでいう安定性とは、機能を維持するため望ましい限度内にパラメータが維持されることである。これは、典型的には(例えば、下記の実施例に示すような)所定の性質の範囲である。
[0101]本明細書に明細に記載されており、局所的麻酔剤リドカインと血管収縮剤エピネフリン(より詳細には、実施例に示すように塩酸リドカインと酒石酸水素エピネフリン)をデリバリーするためのイオン電気導入法システムという態様である。実施例に示される特定量のエピネフリンとリドカインは、効果的な局所的麻酔剤を製造するために選択される。リドカインおよび/またはエピネフリンの相対濃度および/または量の変化、並びに、リザーバー容量、リザーバー組成物、リザーバー皮膚接触表面積、電極サイズ、電極組成物、および電流プロファイルその他のパラメータの変化により、ゲルリザーバー中のリドカインおよび/またはエピネフリンの最適濃度が変化するだろう。当業者は成分の相対量を調整し、物理的、電気的、または化学的なあらゆるパラメータが本明細書に開示したものとは異なるシステムと同様の結果を得ることができるだろう。
[0102]全ての適用例ではないが、大部分の場合、エピネフリンの安定性は、本明細書に提供されるデータから推定可能な範囲のエピネフリン濃度には依存しないだろう。それゆえ、エピネフリンの有用な範囲は約0.01 mg/ml〜約3.0 mg/mlである。
[0103]リドカインは一般的な局所的麻酔剤であるが、他の有用な局所的(表面および/または浸潤)麻酔剤を本明細書に記載のシステムで使用することができる。麻酔剤としては、以下に限定されることなく、アミド系麻酔剤(ブピバカイン、ブタニリカイン、カルチカイン(carticaine)、シンコカイン/ジブカイン(dibucame)、クリブカイン(clibucaine)、エチルパラピペリジノアセチルアミノベンゾエート(ethyl parapiperidino acetylaminobenzoate)、エチドカイン、リドカイン、メピビカイン(mepivicaine)、オキサザイン(oxethazaine)プリロカイン(prilocaine)、ロピビカイン(ropivicaine)、トリカイン、トリメカイン(trimecaine)およびバドカイン(vadocaine)など);エステル型麻酔剤(これには、安息香酸のエステル(アミロカイン、コカイン、およびプロパノカイン(propanocaine)など)、メタアミノ安息香酸のエステル(クロルメカイン、プロキシメタカイン(proxymetacaine)など)、パラアミノ安息香酸エステル(PABA)(アメソカイン(テトラカイン)、ベンゾカイン、ブタカイン、ブトキシカイン、ブチルアミノベンゾエート、クロロプロカイン、オキシブプロカイン、パレトキシカイン(parethoxycaine)、プロカイン、プロポキシカイン、およびトリカインなど));およびその他の麻酔剤(ブクリカイン(bucricaine)、ジメチソキン(dimethisoqum)、ジペロドン(diperodon)、ジクロカイン(dyclocaine)、エチルクロライド、ケトカイン、ミルテカイン(myrtecaine)、オクタカイン、プラモキシン、およびプロピポカイン(propipocaine)など)、の塩が挙げられる。
[0104]局所的麻酔剤の中でも、ブピバカイン、ブタカイン、クロロプロカイン、シンコカイン、エチドカイン、メピビカイン、プリロカイン、プロカイン、ロピバカイン、およびテトラカイン(アメソカイン)の塩は、必ずしもより効果的という訳ではないが、上記の他の麻酔剤よりも、いくらか臨床的に意義があると考えられる。上記のそれぞれの化合物の他のある特徴によって、あらゆる特定の化合物を、多かれ少なかれ、本明細書に記載のイオン電気導入法デリバリーに適したものとなり得る。例えば、コカインの使用は、心臓血管に関する副作用のため避けることが得る。ブピバカイン、ブタカイン、クロロプロカイン、シンコカイン、エチドカイン、メピバカイン、プリロカイン、プロカイン、ロピバカイン、およびテトラカイン(アメソカイン)は、すべて約8または>8という同様のpKsを有し、リドカインと同様の条件でイオン化するため、リドカインの代わりに好適であり得る。ブピバカインおよびメピバカインがリドカインと同様の累積的(cumulative)なデリバリーを示し、エチドカイン、プリロカイン、およびプロカインがわずかに高いデリバリーを示すことが、ヒトの皮膚に対するin vitroでのイオン電気導入により示された。クロロプロカイン、プロカイン、およびプリロカインは比較的同様の短期間(<2時間)の効果を有するが、ブピビカイン、エチドカイン、メピビカインは3〜4時間持続する効果を有する。この時間は、エピネフリンがこれらの麻酔剤と共に使用されると、約2倍になる。局所麻酔剤の作用期間は、神経と接触する時間に依存する。この作用期間は、薬剤の生理化学的および薬物動態学的な性質に依存するだろう。それゆえ、治療剤と神経との間の接触を延長することができるあらゆる手順(血管収縮剤と麻酔剤との共輸送など)により、作用期間が延長されるだろう。
[0105]他の考慮すべき要因は、PABAに基づくエステル系麻酔剤は、アレルギー反応を引き起こす危険性がより大きいことに関する。これらのエステルは血漿コリンエステラーゼによって代謝され、アレルゲンとして知られるPABAを生じるからである。この理由から、アミド麻酔剤が好ましく、クロロプロカインおよびプロカインなどの分子はリドカインの代替として一番手とは考えられないだろう。ブピバカイン、エチドカイン、メピバカイン、ロピビカイン、およびプリロカインは、リドカインと同様の生理化学的性質および臨床効果のアミド麻酔剤であり、リドカインの代替物としていくらか好ましいかもしれない。プリロカインに関する第2の問題は、これはアミド麻酔剤の中でも最も安全であると一般的に考えられているものの、その代謝物の1つ(o-トルイジン)は、他のアミド麻酔剤よりも、メトヘモグロビン血症およびチアノーゼの危険性を増加させることに関係している。
[0106]上記の麻酔剤のそれぞれは、種々の血管収縮効果を有する。よって、麻酔剤と血管収縮剤の最適濃度は選択された局所的鎮痛剤に応じて様々である。しかし、それぞれの局所麻酔剤について、最適な有効濃度範囲は機能的な試験により実験的に容易に決定することができる。本明細書で使用するように、「麻酔剤」および「麻酔」という語は感覚が失われることを指し、対象となる患者の状態が考慮されない場合、本明細書に記載のイオン電気導入法装置の使用による局所的な効果に関する場合、本明細書に記載した薬剤のいくつかは「鎮痛剤」や「麻酔剤」に分類した方が好ましいかもしれないが、「鎮痛剤」および「痛覚欠如」と類義である。メタ重亜硫酸ナトリウムをドナーリザーバーに添加して、脱酸素してもよい。添加されるメタ重亜硫酸ナトリウムは、パッケージされたリザーバーからの全ての酸素を所定の時間で脱酸素するために必要な量の実質的に過剰量でなく、付加物のスルホン酸エピネフリンや他の分解生成物の生成を最小限にする。例えば、ドナーハイドロゲルは、前記パッケージされたドナーハイドロゲル中の酸素をすべて脱酸素するのに必要なメタ重亜硫酸ナトリウムの最低限の量の約110%以下の量(例えば約101%)のメタ重亜硫酸ナトリウムを含んでよい。前記パッケージされたドナーハイドロゲル中の酸素をあらゆる所定の時間で消費するのに必要なメタ重亜硫酸ナトリウムの量は、ドナーハイドロゲルが密封されているパッケージ中に存在する酸素の量から計算することができる。また、メタ重亜硫酸ナトリウムの最適量は、酸素との反応による、エピネフリンの酸化生成物(アドレノロン(adrenolone)またはアドレノクロムなど)または硫酸エピネフリンの酸化生成物の生成が本質的に停止したときのメタ重亜硫酸ナトリウムの量を決定することによって、滴定することができる。
実施例
実施例1−電極アセンブリの製造
[0107]以下の構成要素が組み立てられ、イオン電気導入法によりリドカインおよびエピネフリンをデリバリーするための電極アセンブリ(既述の図によって本質的に説明されている)が製造される。
[0108]バッキング:ポリイソブチレン(PIB)接着剤で被覆(6 mg/cm2)されているエチレン酢酸ビニル(EVA)(4.0 mil±0.4 mil)、(ペンシルバニア州グレンロック(Glen Rock)のAdhesive Research)。このバッキングは、ゲル電極とバッキングの外縁との間に、ゲルの端部のあらゆる点において0.370インチ〜0.375インチ±0.005インチのギャップができるような寸法とされた。触覚フィードバック用ノッチ(触知性フィードバックノッチ)とウイング部(ウイング)を除いて、電極のタブ端部の幅は0.450インチ〜0.500インチ±0.005インチだった。
[0109]タブの補強材:7 milのPET/アクリル系接着剤(コネチカット州、ウインザー(Windsor)のScapa Tapes)
[0110]印刷電極:清浄(clear)で印刷可能なPETフィルム(du Pont 200J102、2 mil)上に印刷されたAg/AgCl電極と、誘電物質で被覆されたAg/AgClトレース。Ag/AgClインクは、du PontのAg/AgClインク♯5279、du Pontの希釈剤(Thinner)♯8243、du Pontの消泡剤(Defoamer)およびメチルアミルケトン(MAK)から調製した。誘電体インクは、サンケミカル(Sun Chemical)の誘電体インク♯ESG56520G/Sだった。電極は、図1および2に本質的に示すように、輪転グラビア印刷され、電極インクおよび誘電体インクのコート層の重量は少なくとも約2.6 mg/cm2だった。アノードの直径は0.888インチ±0.005インチだった。カソードは、図に示すように本質的に卵型だった。卵型の半円部分の端部は、半径がともに0.193インチ±0.005インチだった。卵型の半円部分の中心は0.725インチ±0.005インチだけ離れている。
[0111]転写接着剤(Transfer Adhisive):6 mg/cm2±0.4 mg/cm2 Ma-24A PIB転写接着剤(Adhesives Research)。電極に印刷されたとき、アノード電極およびカソード電極と該電極を包囲する転写接着剤との間に0.030インチ±0.0030インチのギャップがあった。
[0112]アノードゲルリザーバー:以下を含む、40 milの接着力の強い架橋されたポリビニルピロリドン(PVP)ハイドロゲルシート:24重量%±1重量%のPVP;1重量%±0.05重量%のPhenonip;0.06重量%のNaCl、純水(USP)で容量にする(QS)。
[0113]ハイドロゲルは、約2.7 Mrad(27 kGy)の照射線量、1 MeVの電子線電圧で、電子線照射により架橋した。アノードゲルリザーバーは円形で、0.994インチ±0.005インチの直径、約0.8 mL(0.7 g)の体積を有していた。334 mgの充填溶液Aを下記の吸収剤(不織布)上に置き、次いで、吸収剤を含有するカバーアセンブリをパッチ上に置き、吸収剤がアノードリザーバーに直接接触し、充填用溶液がリザーバー中に吸収されるようにして、リザーバーに充填した。
[0114]充填用溶液Aを、表Aに示す成分で調製し、表Bに示すアノードリザーバー組成物を得た。
Figure 2005319288
Figure 2005319288
[0115]カソードリザーバー:以下を含んでなる、40 milの接着性の強いポリビニルピロリドン(PVP)ハイドロゲルシートからなる未充填のカソードゲル(Hydrogel Design システムズ社):24%±1重量%のPVP、1%のPhenonip抗菌剤、0.06重量%のNaCl、および純水。ハイドロゲルは、約2.7 Mrad(27 kGy)の照射線量、1 MeVの電子線電圧で、電子線照射により架橋した。カソードリザーバーは、図に示すように、本質的に卵型だった。卵型の半円部分の端部は半径がともに0.243インチ±0.005インチだった。卵型の半円部分の中心は、0.725インチ±0.005インチだけ分かれており、カソードリザーバーの容積は約0.36 mL(0.37 g)だった。カソードリザーバーは、下記の227 mgのカソード充填用溶液を下記の吸収剤(不織布)上に置き、次いで、吸収剤を含有するカバーアセンブリをパッチ上に置き、吸収剤がカソードリザーバーと直接接触し、充填用溶液がリザーバーに吸収されるようにして、充填した。カソード充填用溶液は表Cに示す成分から調製し、表Dに示すカソードリザーバー組成物を得た。
Figure 2005319288
Figure 2005319288
[0116]溶液量と組成物のロットごとのバラツキは典型的には±5%以内だったが、統計的な解析はしていない。
[0117]リリースカバー:シリコーン(Furon 7600、UV硬化性シリコン)でコーティングされた、7.5 mil±0.375 milのポリエチレンテレフタレートグリコレート(PETG)フィルム
[0118]不織布:1.00 mm±0.2 mmのVilmed M1561医療用不織布。ビスコースレーヨンとPEに熱接着されたポリエステル/ポリエチレン(PES/PE)繊維との混合物(ドイツ、バインハイム(Weinheim)のFreudenberg Faservliesstoffe KG医療用不織布グループ)。
[0119]電極アセンブリ:電極は、アノードおよびカソードリザーバーが電極を被覆するように、図に示すように本質的に組み立てられた。タブ補強剤(tab stiffener)は、アノードおよびカソードトレースとはバッキングの反対側で、電極アセンブリのバッキングのタブ端部に付けた。薬剤は、以下に示すように、未充填のアノードリザーバーに添加した。
[0120]パッケージング:組み立てられた電極アセンブリを、窒素ガスでパージした、金属の薄片で裏打ちしたポリエチレンパウチで密閉した。
実施例2−ハイドロゲル電極リザーバーの製造−液滴充填
[0121]他の態様では、一体とされたパッチアセンブリ中に未充填のゲルリザーバーが、表Eに示す詳細に従って調製された。
Figure 2005319288
[0122]ゲルを、約2.7 Mrad(27 kGy)の照射線量、1 MeVの電子線電圧で、電子線照射により架橋した。
[0123]未充填のアノードゲルリザーバーをAg/AgClアノード上に置き、0.32 mlのアリコートの充填用溶液A(表A)を、リザーバー上に置いて、リザーバー中に吸収および拡散させた。
実施例3−安定性試験
[0124]本明細書で使用されるように、実施例1によって調製された5,000のパッチについて、3つの安定性のロット(ロット1,2,および3)が、表Fに示す4つの保存条件におけるサンプルの安定性データとともに、詳細に説明される。
Figure 2005319288
[0125]以下に、ロット1,2,および3についての、5℃での24ヶ月のデータ25℃/60%RHでの24ヶ月のデータ、30℃/60%RHでの12ヶ月のデータ、40℃/75%RHでの6ヶ月の安定性データである。安定性試験の方法と詳細を以下に示す。PVPゲルリザーバーは、実施例1に従って調製した。
試験方法と詳細
[0126]安定性の詳細と分析試験の方法は以下の通りである。
試験方法A
HPLC法 塩酸リドカイン
[0127]塩酸リドカイン(アノード薬剤溶液(分注用)中およびアノードハイドロゲル中に含有されている)は、溶液から直接測定するか、アノードハイドロゲルリザーバーから抽出する。0.01 M酢酸緩衝液(pH 3.8)で抽出する間に、リドカインをアノードハイドロゲルリザーバーから取り出し、次いで、WatersのC8カラムを用い、UV検出器で254 mmにてHPLC分析をした。リドカインは塩酸リドカインとされた。分析には、アセトニトリル/酢酸緩衝液(測定中80/20から60/40)の移動相を1次のグラジエントで用いる。標準試薬の濃度は約0.041 mg/mLである。本質的に同様のクロマトグラフィーをアノード充填用溶液中のリドカインにも行うが、この場合、アセトニトリル/0.01 M酢酸(80/20)緩衝液の移動相(pH 3.8)を用い、一定の組成で7分間行う。
HPLC法 酒石酸水素エピネフリン
[0128]酒石酸水素エピネフリンを充填溶液(分注用)に加え、アノードハイドロゲルリザーバー中に充填させる。リドカインは、分析前に、充填用溶液から直接測定するか、アノードハイドロゲルリザーバーから抽出する。アノードハイドロゲル中の酒石酸水素エピネフリンは、0.01 M酢酸緩衝液(pH 3.8)で同じ抽出液を用いて、リドカインと同時に抽出する。しかし、クロマトグラフィーは異なる。エピネフリンは、Waters Nova Pak(登録商標)C18カラムを用い、280 nmにセットされたUV検出器で、抽出液をHPLC分析して分析すると、エピネフリン遊離塩基とされる。分析には、0.05 Mリン酸緩衝液/メタノール移動相(pH 3.8)の1次のグラジエント移動相濃度で(分析中、85/15から15/85となる)を使用する。この分析において、標準試薬の濃度は0.02 mg/mLである。
試験方法B
イオン電気導入法パッチおよびアノード充填溶液における、リドカイン分解生成物のHPLC評価法
[0129]最も生じやすいリドカインの分解生成物は2,6-ジメチルアニリンである。これは、製剤通常の安定性保存条件または強制分解試験において、検出されなかった。これおよび他の潜在的な分解物は、Waters Nova Pak(登録商標)C8カラムを用い、254 nmにセットされたUV検出器で、HPLCによって分析できる。分析のため、パッチ構成物全体を、酢酸緩衝液/アセトニトリル溶液(pH 3.4)で3時間抽出した。
試験方法C
HPLC法 エピネフリン分解物−スルホン酸エピネフリンとアドレナロン
[0130]これらの化合物が、エピネフリンの分解に伴って生成すると考えられる2つの主な生成物と同定された。スルホン酸エピネフリンはエピネフリンとメタ重亜硫酸ナトリウムとの付加物であり、アドレナロンはエピネフリンの酸化生成物である。強制分解試験では他の潜在的な分解生成物がまず考えられるが、上記の2つの生成物のみが同定された分解生成物である。例えば、アドレノクロムは潜在的な分解生成物として最初に考えられるが、研究によると、この分解物は不安定で、急速に重合する。この方法を、これらの潜在的な分解物の(最終的なパッチ中のエピネフリンで)0.1%レベルでの定量ために、HPLC法に使用する。分解物は、酢酸緩衝液と5%のアセトニトリル中で3時間、アノードハイドロゲルリザーバーから抽出する。この方法においては電気化学検出器を使用した(DC電流測定モード、+0.70 V電位、2μAレンジ、Waters SymmetryShield(商標)RP8クロマトグラフィー用カラム(USP packing Uと同等品))。グラジエント分析は、55分間で、100%の移動相Bから、10/90の酢酸緩衝液(pH=3.8)/アセトニトリルを経由して、100%の移動相B(酢酸緩衝液と5%のアセトニトリル)に戻した。
試験方法D
HPLC法 保存剤−Phenonip(登録商標)
[0131]アノードおよびカソードハイドロゲルリザーバーとカソード充填溶液(分注用)におけるPhenonipの組成(2-フェノキシエタノール、メチル-、エチル-、プロピル-、ブチル-、およびイソブチル-パラベン類)はHPLCにより分析する。定組成分析を、270 nmにセットされたUV検出器、Waters Symmetry(登録商標)C18カラム、およびpH 3.8で(0.05M)リン酸緩衝液/アセトニトリル移動相(35/65)を用いて行った。Phenonip組成は、分析前にハイドロゲルから抽出した。標準試薬を、保存液中の成分に対する参照として使用した。
試験方法E
ハイドロゲル表面のpH
[0132]ハイドロゲル表面のpHを、ATI Orion PerpHect(登録商標)メーター(Model 370)、およびOrion Flat Surface PerpHect(登録商標)複合pH電極0 14 pH(エポキシ本体)(型番8235BN)を用いて測定した。
試験方法F
リドカインイオン電気導入法パッチシステムにおけるハイドロゲルリザーバーとその周囲の接着剤の表面形状および圧縮係数分析
[0133]この試験の目的は、リドカインイオン電気導入法のパッチにおける、アノードおよびカソードハイドロゲルリザーバーの強度、並びに、これらの構成要素の接着特性を測定することである。この試験は、最終的なパッチにおける周囲の接着剤の接着特性を決定するためにも使用される。テクスチャー分析機(texture analyzer)(型番TA-XT 2i、Texture Technologies社、Scarsdale, N.Y.)は、皮膚が接触するパッチの構成要素の接着性と強度とを測定できるように選択した。テクスチャー分析機により、試料の表面を浸透する力と変位をを測定し、取り外した。直径の小さいプローブをこの装置に用いる。パッチの皮膚に接触するすべての表面における複数の値は、パッチを分解することなく測定できる。みかけの圧縮係数もこの装置で測定することができる。というのも、このテキスチャー分析機は、一定の浸透力、変形速度、設置(dwell)および取り外し(removal)の速度で、運転するよう設定できるからである。ゲルを試験するため、浸透力は50 g、変形速度は0.1 cm/s、設置速度は30秒、および取り外し速度は1 cm/sだった。接着性試験を、設置約1秒としたこと以外は同様の方法で行った。
試験方法G
生菌数
[0134]生菌数の計測をUSP<61>標準に従って行った。
試験方法H
印刷された電極材料に対するアノードおよびカソードの比容量の測定手順
[0135]比容量は、イオン電気導入法によるドラッグデリバリーを維持するための、電気化学的に有用な材料の量の測定値である。試験を行うため、電気化学セルは、Ag/AgCl電極を備えたイオン電気導入法のパッチを、イオン的に行われたアガロースゲルに取り付けることによって作成した。一定の直流電流を電源によって試験用セルにかける。電源からの定電流のアウトプットは、目盛付き電流計を用いて設定した。アノードおよびカソードの電位と電流は、目盛付きの装置によって連続的にモニターする。この試験は、アノードおよびカソードの電圧がAg/AgCl電極反応に関する終点の電圧に達するまで行う。比容量は、かけた電流、終点の電圧に達する時間、および電極面積とから計算する。
試験方法I
誘電物質漏電電流の測定
[0136]誘電物質の漏電電流は、導電性のトレースが導電媒体と接触する場合に生じる、誘電物質コーティングを通るパラサイト電流の測定値である。誘電物質の漏電電流を測定するため、2つの誘電物質で被覆された導電性インクトレースとイオンを伝達するハイドロゲル(0.06重量%塩化ナトリウム)とを接続して回路を組み立てた。一定の電流を回路にかけ、生じた電流、誘電物質漏電電流を直接電流計で測定した。漏電電流単位長さあたりのは、誘電物質漏電電流を、ハイドロゲルで被覆されている誘電物質の長さで割って計算する。すべての測定は、較正された電子機器で行った。
試験方法J
パッチの漏電電流の測定
[0137]この試験の目的は、前記アノード電極と前記カソード電極との間のイオンの経路から生じる、パッチのパラサイト電流を測定することである。この方法は、オームの法則を直接適用することに基づいている。アノードおよびカソードのリード(lead)に対する一定電圧からなる単純な回路を組み立て、生じた電流、パッチ漏電電流を電流計で直接測定した。
試験方法K
トレースの導電性
[0138]この方法の目的は、導電性トレースを介したパッチ中の電気的経路の完全性(integrity)を分析することである。導電性トレースの完全性は、コントローラー電源の電力消費に影響し、最悪のパターンである。導電性トレースの断線により、操作不能なシステムとなりうる。トレースの導電性は、標準ACインピーダンス電気機器(LCRメーター)で、電極タブとトレース接続タブとの間の抵抗(導電性)を直接測定することによって測定した。
試験方法L
ハイドロゲル電極の導電性評価手順
[0139]この方法の目的は、電極ゲルアセンブリを介したパッチ中の電気的経路の完全性を分析することである。電極ゲルアセンブリの完全性は、デリバリーされた薬剤の量および不均一性に影響する。この性質は、導電性を測定することにより分析する。
[0140]試験を行うために、電気化学セルは、カウンター電極を、イオン電気導入法パッチの電極ゲルアセンブリに取り付けることによって形成される。電気化学セルの抵抗は標準ACインピーダンス電子機器(LCRメーター)を用いて測定した。相互接続トレースと電極ゲルアセンブリの抵抗を測定する。また、電気化学セルの厚さを測定し、電極−ゲル導電性を上の測定値から計算する。
試験方法M
パウチを開封する力(Opening Force)の測定
[014、1]密閉したパウチに対するパウチを開封する力を、50Nの容量の静的ロードセルと空気圧支持部と備えた挿入引っ張り試験機(Insertion tensile tester)(型番5565)で測定した。この種の試験が金属箔(金属箔)をラミネートしたパッケージ材料を試験するために使用することは、パッケージ業界において周知である。
試験方法N
パウチの破裂強度の測定
[0142]パウチの破裂強度を、TM Electronics BT 1000 15パッケージ試験機で測定した。この種の試験も金属箔(金属箔)をラミネートしたパッケージ材料を試験するために使用されることは、パッケージ業界において周知である。
Figure 2005319288
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Figure 2005319288
A.安定性データ 5℃
[0143]5℃で冷蔵保存されているロット1,2,および3についての貯蔵安定性データを、それぞれ表H、表I、および表Jに示す。全てのデータは24ヶ月間どの時点でも仕様案の範囲内だった。パッチまたは金属箔/金属箔パウチに、低温貯蔵による悪影響は見られなかった。このデータを使用して、表示されている許容温度を逸脱した温度をサポートしてもよい。
Figure 2005319288
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B.安定性データ25℃/60%RH
[0144]25℃/60%RHにおけるロット1,2,および3の長期安定性データを、表K、表L、および表Mにそれぞれ示す。全てのデータは、24ヶ月間のどの時点でも基準値案の範囲内にある。相対湿度と温度は、安定性試験の間、パッケージに信頼性あるか否かを判断するために制御された。しかし、本発明で使用する金属箔でラミネートされたパッケージに対しては、あらゆる時点で全ての試験条件において(湿度または温度に拘わらず)パッケージに悪影響はなかった。
Figure 2005319288
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エピネフリン有効性および分解物の評価
[0145]25℃/60%RHにおけるロット1,2,および3のエピネフリンの有効性評価データを、上記の表Y、表L、および表Mにそれぞれ示す。エピネフリンの線形回帰データと、ロット1,2,および3に対する95%の信頼下限の決定について、図12、図13、および図14にそれぞれ示す。3つのロットのそれぞれに対する直線の式を以下に示す。
図12 ロット1のラベルクレイム(Label claim)(%)=113.8−0.286時間(月)
図13 ロット2のラベルクレイム(Label claim)(%)=102.3−0.286時間(月)
図14 ロット3のラベルクレイム(Label claim)(%)=102.4−0.286時間(月)
[0146]参照を容易にするため、図12、図13、および図14を作成するために使用したエピネフリンの有効性データを、表N、表O、および表Pにそれぞれ示す。データは、表N、表O、および表Pに、mg/パッチおよびラベルクレイム(%)として示す。データはラベルクレイム(%)として提供する。線形回帰による推定すると、52ヶ月を超える製品寿命が得られた。
Figure 2005319288
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[0147]ロット1,2,および3に対するエピネフリン分解物の評価データを、上の表K、表L、および表Mにそれぞれ示す。パッチ中のエピネフリンは、少量のアデレノロンとともに、主にスルホン酸エピネフリンに分解する。24ヶ月の時点において、スルホン酸エピネフリンは、約43μg以下である。これは、エピネフリンの主な分解経路が、現実に主要な始めにエピネフリンの分解を防ぐために用いられる保存剤(メタ重亜硫酸ナトリウム)によって生じることを示している。ロット1,2,および3に対するスルホン酸エピネフリンの処方に関するデータによって、分解速度が約1.6μg/月または約0.16%/月であることが示される。
塩酸リドカイン有効性および分解物の評価
[0148]25℃/60%RHにおけるロット1,2,および3の塩酸リドカインの有効性評価データを、上の表K、表L、および表Mにそれぞれ示す。塩酸リドカインの線形回帰データと、ロット1,2,および3に対する95%の信頼下限の決定について、図15、図16、および図17にそれぞれ示す。3つのロットのそれぞれに対する直線の式を以下に示す。
図15 ロット1のラベルクレイム(Label claim)(%)=101.14−0.208・時間(月)
図16 ロット2のラベルクレイム(Label claim)(%)=99.526−0.208・時間(月)
図17 ロット3のラベルクレイム(Label claim)(%)=99.669−0.208・時間(月)
参照を容易にするため、図15、図16、および図17を作成するために使用した塩酸リドカインの有効性データを、下の表Q、表R、および表Sにそれぞれ示す。線形回帰による推定によると、57ヶ月を超える製品寿命が得られた。
Figure 2005319288
Figure 2005319288
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[0149]負の傾きは、3つの全ロットで塩酸リドカインに対する線形回帰直線に関する。負の傾きは不安定性を示唆するものではないが、アノードハイドロゲルリザーバーからトランスファーパッドへの有効成分の移動(これは、ゼロ以降の時間における不織布を含むすべての物質収支によって示される)を示唆している。
[0150]ロット1,2,および3に対する塩酸リドカイン分解物の評価データを、上の表K、表L、および表Mにそれぞれ示す。塩酸リドカインは安定なAPIである。パッチ中の塩酸リドカインが分解した証拠はない。最も予想される塩酸リドカインの分解生成物である2,6ジメチルアニリンは存在しない。
保存性評価/微生物限界
[0151]ロット1,2,および3に対する保存性および微生物的限界の試験結果を、上の表K、表L,および表Mそれぞれに示す。アノードリザーバーに対する最初および24ヶ月の時点における全ての結果は、基準値の範囲内であり、イオン電気導入法パッチが適切に保存されることを示している。
ゲル強度
[0152]アノードおよびカソードハイドロゲルの完全性は、pH、プローブの接着性(Probe Tack)および見かけの圧縮係数の測定によって求める。25℃/60%RHにおけるロット1,2,および3に対するデータを、上の表K、表L、および表Mにそれぞれ示す。全ての試験であらゆる時点において基準値の範囲内にある。ゲルは接着性を維持し、pHは皮膚への適用に適した基準値の範囲に収まっている。
パッチ強度−物理的および電気化学的
[0153]周囲の接着剤のプローブ接着性(Probe Tack)試験は、パッチが皮膚に接触し続けることを確かめるものである。25℃/60%RHにおけるロット1,2,および3に対するデータを、上の表K、表L、表Mにそれぞれ示す。値は、全ての時点において基準値の範囲内にある。電気化学的試験によって、導電性トレースが損なわれずに残り、電極の完全性が損なわれないことが示される。
パウチ強度
[0154]開封力および破裂強度は、金属箔/金属箔パウチ(密閉容器)の完全性(密閉性・一体性)を確実にする。25℃/60%RHにおけるロット1,2,および3に対するデータを、上の表K,表L,および表Mにそれぞれ示す。値は、全ての時点において基準値の範囲内である。
[0155]まとめれば、イオン電気導入法パッチの安定性試験に関する25℃/60%RHにおける長期安定性データの全体は予想された限界値の範囲内だった。安定性ロットは、提案されタ24ヶ月の製品寿命という範囲内に収まっており、製品中で最も安定性が低い物質であるエピネフリンは95%の信頼区間で26ヶ月の安定性とされた。活性成分とアノードリザーバー中の活性成分の分解物に対する試験、保存性と微生物学的な完全性の試験、アノードおよびカソードゲルの完全性の試験、パッチの完全性試験、パウチの完全性の試験によって、本発明のシステムが設計通り機能し続けることが示唆される。
C.安定性データ 30℃/60%RH
[0156]30℃/60%RHで保存されたロット1,2,および3に関する、中程度の貯蔵安定性データも、5℃および25℃で、3ヶ月の間隔で12ヶ月まで収集した。中程度の貯蔵におけるデータと、以前の安定性試験の知見から、製品に顕著な変化(特に、エピネフリンの有効性)が加速された保存条件で生じうることが分かった。中程度の保存条件では、12ヶ月のあらゆる時点において全てのデータは基準値案の範囲内にある。データは、12ヶ月を過ぎた後のエピネフリンの有効性の顕著な変化などの、高温における、低下したものの許容可能なエピネフリンの安定性を示す。
D.安定性データ 40℃/75%RH
[0157]40℃/75%RHで保存されたロット1,2,および3に関する加速された貯蔵安定性データも、5℃および25℃で、1.5ヶ月の間隔で6ヶ月まで収集した。加速貯蔵でのデータを、以前の安定性試験の知見と合わせ、製品中で顕著な変化(特に、エピネフリンの有効性)が加速された保存条件下でも生じうることが分かった。しかし、加速された保存条件では、6ヶ月のあらゆる時点において全てのデータは基準値案の範囲内に収まっていた。データによれば40℃においてエピネフリンの有効性に顕著な変化が示されているが、エピネフリンの有効性と分解は、6ヶ月の貯蔵期間中基準値案の範囲内に収まる。30℃および40℃におけるデータを用いて、室温における長期間の安定性を予想し、25℃以上における短期間の逸脱を説明しようとする。こういった高温において、システムの構成要素は異常な分解を示さない。
実施例4−エピネフリンとメタ重亜硫酸ナトリウムとの反応
[0158]エピネフリンが、エピネフリンと酸素との反応を阻害または低下させ、システム中にエピネフリンの2つの酸化生成物が生成することを抑制するよう、メタ重亜硫酸ナトリウムをアノード処方に添加する。しかし、過剰量のメタ重亜硫酸ナトリウムは好ましくない。
[0159]エピネフリン含有薬剤溶液を分注するための、典型的な市販の多目的ストッパー付きガラスバイアルシステムでは、酸素が連続的に容器に導入され、大気中の酸素をそれぞれの剤型の取り外しで再導入することで、メタ重亜硫酸ナトリウムの影響を最終的には無視できるレベルまで減少させることができる。メタ重亜硫酸ナトリウムは、シリンジのサンプルがなくなり、なくなった溶液が以下のように大気中の酸素で置換されるにつれて、導入された酸素との反応によって全体的に消費される。
O+O+Na → NaSO+HSO
[0160]生成物溶液では、メタ重亜硫酸ナトリウムが消費されると、エピネフリンのアドレナロンおよびアドレノクロムへの酸化が、エピネフリン分解の最大の原因となる。しかし、上の実施例に記載したパッケージされたイオン電気導入法装置の設計上の問題から、パッケージ時に密閉されたパッケージ中に存在する、すべての酸素を脱酸素するのに必要な量より多いメタ重亜硫酸ナトリウムは、製品寿命中にすべて「消費」されず、そのため、エピネフリンが連続的に保護され、製品の長期保存性が長くなる。上記のイオン電気導入法装置は1回限りで使用する。製品が最初にパッケージされたとき、パウチ約0.5%以下の酸素を含み、24cc未満のヘッドスペースを有している。より多い量のメタ重亜硫酸ナトリウムを添加し、製造時の損失をカバーし、パッケージ中の酸素含量とする。ナトリウムアノード溶液中のメタ重亜硫酸は密閉されたシステム中で酸素と反応し、密閉されたシステム中の全体の酸素濃度を最終的にゼロまで減少させる。パウチ中の経時的な酸素含量の分析によって内部装置カバーからパッチへ解放される酸素の当初の含量が増加することが示され、この酸素含量は約30日間の終わりには約ゼロ(0.00%)に減少する。超過時間におけるメタ重亜硫酸ナトリウムの減少が、メタ重亜硫酸ナトリウム含量に対するアノードハイドロゲル材料のイオンクロマトグラフィー分析によって示された。
[0161]メタ重亜硫酸ナトリウムと酸素との反応速度は、酸素とエピネフリンとの反応速度よりもかなり大きかった。このメカニズムによって、酸素からの攻撃から保護されるため、エピネフリンが安定化される。これは、製品寿命の間アノードハイドロゲルにおいて顕著な量のアドレナロンまたは測定可能な量のアドレノクロムの生成がないことから示される。アノードハイドロゲル中のエピネフリンはメタ重亜硫酸ナトリウムと付加物を形成し、酸素がない場合でもエピネフリンを分解させる。付加生成物であるスルホン酸エピネフリンは、メタ重亜硫酸ナトリウムとエピネフリンのアミン側鎖のヒドロキシル基との反応生成物である。イオン電気導入パッチは、酸素の再混入を防ぐ密閉したパウチ中にパッケージされる。パウチ中の酸素含量がゼロになると、酸化によるエピネフリンが終わり、エピネフリンの予想される分解は付加生成物の生成となる。
[0162]スルホン酸エピネフリンの生成速度は、0.5 mg/パッチのメタ重亜硫酸ナトリウムを含有するアノード処方で生成物が作られる場合(図18Aおよび図18B)、1次である。約2週間(製品が解放される典型的な時間である)後、メタ重亜硫酸ナトリウムの量は、既に、約0.4〜0.38 mg/パッチまで低くなり、メタ重亜硫酸ナトリウムが製造工程においてエピネフリンを保護するために「働いて」いることがわかる。保護していることは、アノード溶液が使用された後も、アドレナロンおよびアドレノクロムがアノードハイドロゲルに生成しないという事実からも実証される。
実施例5−エピネフリンを含有する受動的な経皮的パッチ
[0163]上記のデータを、複雑なイオン電気導入法システムについて参照すると、電極アセンブリの長期安定性が、エピネフリン含有リザーバーが銀/塩化銀電極と接触して維持されていても、実現されている。このイオン電気導入電極に関する教示は、電極のない受動的な経皮用装置にも十分に応用可能である。このような受動的装置は、上記の電極アセンブリと同様に安定か、それ以上に安定である。典型的な受動的装置は、バッキングに取り付けられたエピネフリン含有ハイドロゲルリザーバーだったり、上述したようにパッケージされている。受動的経皮用パッチは、電極アセンブリに関して上述したあらゆる方法で組み立ておよび充填してもよいが、カウンター電極は受動的システムでは必要でないため、単一のリザーバーシステムでは電極はない。
[0164]実施例1〜5に記載した実験に加えて、他の重要な安定性試験を25℃で行い、長期間行っタアる実験において、充填用吸収剤(上記実施例2に従って充填された)がないパッチを試験し、24ヶ月間25℃で経過させた。他には、パッチを過剰のメタ重亜硫酸ナトリウムで充填し、3ヶ月未満で止め、不安定な能動的エピネフリンを「保護」するために用いられる多すぎる保存剤による副作用が示された。
[0165]パッチシステムの25℃のデータにより、経皮用ハイドロゲルパッチの長期安定性が、電子輸送リザーバー電極、受動的パッチ、および液体ゲルにおいて、リドカインとエピネフリンの双方、リドカイン単独、またはエピネフリン単独について示された。エピネフリンは、試験した装置において最も不安定な薬剤であリ24ヶ月以上室温にて保存されるため、これらのシステムは、リドカイン以外の局所麻酔剤(ピボカインおよびプロカインなど(これに限定されない))には安定であると予想される。
[0166]本明細書において発明の特定の態様は本発明を説明する目的で記載されているのであって、本発明を限定する目的で記載したのではない。本発明の原則と範囲との範囲内で、添付の特許請求の範囲に記載された発明から逸脱することなく、業界において通常の技能を有する者によって、詳細、材料、および部品の配置に関する多くの変更が行えることを認識するだろう。
図1(従来技術)は、アノードアセンブリ、カソードアセンブリ、およびコントローラー/電源を備えた、電気的にアシストされたドラッグデリバリーシステムを図解したものである。 図2は、本発明によって提供される、組み立てられた電極アセンブリについて、種々の側面の組立分解等角図を示す。 図3は、本発明によって提供される、組み立てられた電極アセンブリについて、種々の側面の組立分解等角図を示す。 図4は、本発明によって提供される、組み立てられた電極アセンブリについて、種々の側面の上からの図を示す。 図5Aは、本発明によって提供される組み立てられた電極アセンブリと、電気的にアシストされたデリバリー装置の構成要素との接続について、種々の側面を示す組立分解等角図を含む。 図5Bは、本発明によって提供される組み立てられた電極アセンブリの一部と、電気的にアシストされたデリバリー装置の構成要素との相互関係について、概略図を示す。 図5Cは、本発明によって提供される組み立てられた電極アセンブリの一部と、電気的にアシストされたデリバリー装置の構成要素との相互関係について、概略図を示す。 図6は、本発明によって提供される組み立てられた電極アセンブリについて、種々の側面の上からの概略図である。 図6Bおよび図6Cは、図6の電極アセンブリについて、種々の側面を示す断面図である。 図6Bおよび図6Cは、図6の電極アセンブリについて、種々の側面を示す断面図である。 図7は、本発明によって提供される組み立てられた電極アセンブリについて、種々の側面の上からの概略図である。 図7Aは、図7のリリースカバーの断面図である。 図8は、電極形状と、膜を介した組成物のデリバリー経路上の空間との効果を示す概略図である。 図9は、電極形状と、膜を介した組成物のデリバリー経路上の空間との効果を示す概略図である。 図10は、充填用溶液と接触している、概略的な未充填の電極アセンブリの断面図を示す。 図11は、本発明によって構成された電極アセンブリを含むパッケージの断面図である。 図12〜図14は、それぞれロット1,2,および3に対する、塩酸リドカインの有効性評価データ(25℃/60%RH)の線形回帰プロットである。 図12〜図14は、それぞれロット1,2,および3に対する、塩酸リドカインの有効性評価データ(25℃/60%RH)の線形回帰プロットである。 図12〜図14は、それぞれロット1,2,および3に対する、塩酸リドカインの有効性評価データ(25℃/60%RH)の線形回帰プロットである。 図15〜17は、それぞれロット1,2,および3に対する、エピネフリンの有効性評価データ(25℃/60%RH)の線形回帰プロットである。LSLとUSLはそれぞれ、規格の下限(Lower Specification Limit)と規格の上限(Upper Specification Limit)を意味する。 図15〜17は、それぞれロット1,2,および3に対する、エピネフリンの有効性評価データ(25℃/60%RH)の線形回帰プロットである。LSLとUSLはそれぞれ、規格の下限(Lower Specification Limit)と規格の上限(Upper Specification Limit)を意味する。 図15〜17は、それぞれロット1,2,および3に対する、エピネフリンの有効性評価データ(25℃/60%RH)の線形回帰プロットである。LSLとUSLはそれぞれ、規格の下限(Lower Specification Limit)と規格の上限(Upper Specification Limit)を意味する。 図18Aおよび図18Bは、スルホン酸エピネフリンのパッチ毎の蓄積(mg)を示すグラフである(25℃24ヶ月間:図18A、40℃6ヶ月間:図18B)。 図18Aおよび図18Bは、スルホン酸エピネフリンのパッチ毎の蓄積(mg)を示すグラフである(25℃24ヶ月間:図18A、40℃6ヶ月間:図18B)。

Claims (78)

  1. 第1の電極を有するアノードアセンブリと、前記第1の電極と電気的に接触しているエピネフリンを含有するドナーハイドロゲルとを備えた、電気的にアシストされたドラッグデリバリー装置用の密閉された電極アセンブリであって、
    該密閉されたアノードアセンブリが、少なくとも12ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電子的、電気化学的、または微生物的に安定である、上記アセンブリ。
  2. 前記ドナーハイドロゲル中の前記エピネフリンが、少なくとも24ヶ月間25℃で、元のレベルの90%以内しか分解しない、請求項1の電極アセンブリ。
  3. 前記アノードアセンブリが、少なくとも24ヶ月間25℃で、物理的に安定である、請求項1の電極アセンブリ。
  4. 前記アノードアセンブリが、少なくとも24ヶ月間25℃で、化学的に安定である、請求項1の電極アセンブリ。
  5. 前記アノードアセンブリが、少なくとも10ヶ月間25℃で、電気化学的に安定である、請求項1の電極アセンブリ。
  6. 前記アノードアセンブリが、少なくとも6ヶ月間40℃で、物理的、化学的、電子的、電気化学的、および微生物的に安定である、請求項1の電極アセンブリ。
  7. 前記アノードアセンブリが、少なくとも12ヶ月間30℃で、物理的、化学的、電子的、電気化学的、および微生物的に安定である、請求項1の電極アセンブリ。
  8. 前記ドナーハイドロゲルが局所麻酔剤を含んでなる、請求項1の電極アセンブリ。
  9. 前記局所麻酔剤がリドカインである、請求項8の電極アセンブリ。
  10. 第2の電極を有するカソードアセンブリと、前記第2の電極と電気的に接触している返還ハイドロゲルとをさらに備えた請求項1の電極アセンブリであって、
    前記アノード電極と前記カソード電極とがバッキングに接続されている、上記電極アセンブリ。
  11. 前記バッキングに接続されており、前記第1の電極に電気的に接続されている、導電性のアノードトレースと、
    前記バッキングに接続されており、前記第2の電極に電気的に接続されている、導電性のカソードトレースと
    をさらに備える、請求項10の電極アセンブリ。
  12. 前記アノードと前記カソードトレースが誘電物質で被覆されている、請求項11の電極アセンブリ。
  13. 前記第1および第2の電極ならびに前記アノードおよびカソードトレースが、銀/塩化銀含有インクで印刷されている、請求項11の電極アセンブリ。
  14. 前記第1および第2の電極が銀/塩化銀電極である、請求項10の電極アセンブリ。
  15. 前記ドナーハイドロゲル中の前記エピネフリンが、24ヶ月25℃で、元のレベルの約95重量%以内しか分解しない、請求項1の電極アセンブリ。
  16. 前記ドナーハイドロゲル中の前記エピネフリンが、18ヶ月25℃で、元のレベルの約94重量%以内しか分解しない、請求項1の電極アセンブリ。
  17. 前記ハイドロゲルがポリビニルピロリドンを含んでなる、請求項1の電極アセンブリ。
  18. 前記ハイドロゲルが約17重量%のポリビニルピロリドンである、請求項17の電極アセンブリ。
  19. 前記第1の電極が銀または銀/塩化銀電極である、請求項1の電極アセンブリ。
  20. 前記ドナーハイドロゲルが、前記パッケージされたドナーハイドロゲル中の酸素を少なくとも24ヶ月間脱酸素するのに必要なメタ重亜硫酸ナトリウムの最低限量と同等量またはわずかに大きい量の、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む、請求項1の電極アセンブリ。
  21. 前記ドナーハイドロゲルが、前記パッケージされたドナーハイドロゲル中の酸素を少なくとも24ヶ月間脱酸素するのに必要なメタ重亜硫酸ナトリウムの最低限量と同等量の約110%未満の量の、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む、請求項20の電極アセンブリ。
  22. 前記ドナーハイドロゲルが、前記パッケージされたドナーハイドロゲル中の酸素を少なくとも24ヶ月間脱酸素するのに必要なメタ重亜硫酸ナトリウムの最低限量と同等量の約101%の量の、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む、請求項20の電極アセンブリ。
  23. 前記ドナーハイドロゲルが、約2重量%〜約12重量%のリドカインと約0.001重量%〜約0.3重量%のエピネフリンとを含んでなる、請求項1の電極アセンブリ。
  24. 前記ドナーハイドロゲルが、約1 mlの容積を有し、約100 mgの塩酸リドカインと約1.05 mgの酒石酸水素エピネフリンとを含んでなる、請求項23の電極アセンブリ。
  25. 前記ドナーハイドロゲルが約40 mil±5 milの厚さである、請求項24の電極アセンブリ。
  26. 前記ドナーハイドロゲルが、塩酸リドカインと酒石酸水素エピネフリンとを70〜125:1の質量比で含んでなる、請求項1の電極アセンブリ。
  27. 前記ドナーハイドロゲルが、パラベン類、メタ重亜硫酸ナトリウム、キレート剤、クエン酸、グリセリン、および塩化ナトリウムの1つ以上と、リドカインとをさらに含む、請求項1の電極アセンブリ。
  28. 前記ドナー電極が、リドカインとエピネフリンとを含有する溶液を、約0.001重量%〜約1.0%の塩化ナトリウムを含有する未充填のハイドロゲルと接触させることにより調製される、請求項1の電極アセンブリ。
  29. 不活性雰囲気下でパッケージされた、請求項1の電極アセンブリ。
  30. 前記不活性ガスが窒素である、請求項29の電極アセンブリ。
  31. 密閉された容器において不活性雰囲気下にパッケージされた、電気的にアシストされたドラッグデリバリー装置用の電極アセンブリであって、
    該電極アセンブリは、
    (a)バッキング;
    (b)該バッキングに接続されている第1の銀または銀/塩化銀電極、および、ポリビニルピロリドンを含んでなり、該第1の電極と電気的に接触しているリドカインとエピネフリンとを含有するドナーハイドロゲル;
    (c)該バッキングに接続されている第2の銀または銀/塩化銀電極、および、該第2の電極と電気的に接触している返還ハイドロゲル;
    (d)該バッキングに接続されており、該第1の電極と電気的に接触している導電性の銀または銀/塩化銀のアノードトレース;
    (e)前記バッキングに接続されており、該第2の電極と電気的に接触している、導電性の銀または銀/塩化銀のカソードトレース;および
    (f)該アノードトレースおよび前記カソードトレースの少なくとも1部を被覆する誘電体層;
    を含んでなり、
    ここで、該ドナーハイドロゲルは、
    ドナーハイドロゲル中の酸素を少なくとも10ヶ月間脱酸素するのに必要なメタ重亜硫酸ナトリウムの最低限量と同等量かわずかに大きい量のメタ重亜硫酸ナトリウムと、
    該ハイドロゲルリザーバーへの充填中または充填後の電極の腐食を防ぐのに十分な量の塩と
    を含み、
    該第1および第2の電極ならびに該アノードおよびカソードトレースが印刷され、そして、
    該アノードアセンブリが、少なくとも10ヶ月間25℃で安定である、
    上記電極アセンブリ。
  32. 電気的にアシストされた局所麻酔剤および血管収縮剤の患者へのデリバリーのための、長期保存性の電極アセンブリの製造方法であって、
    該電極アセンブリは、銀・塩化銀電極と電気的に接触している未充填のハイドロゲルリザーバーを備え、
    該未充填のハイドロゲルリザーバーは、該ハイドロゲルリザーバーへの充填中または充填後の電極の腐食を防ぐのに十分な量の塩を含有し、
    (a)該未充填のハイドロゲルリザーバーを、リドカインとエピネフリンとを含有する充填用溶液で充填し、
    (b)該アセンブリを密閉された容器中に不活性雰囲気でパッケージすること、
    を含んでなる上記方法。
  33. 充填前に、前記充填用溶液を、前記ハイドロゲルリザーバーを覆うように形成された取り外し可能なライナーに付いている吸収剤パッドに吸収させ、
    該取り外し可能なライナーは前記電極アセンブリに取り付けられ、該吸収剤パッドは該ハイドロゲルリザーバーと接触し、
    それによって前記充填用溶液と前記ハイドロゲルとが接触される、
    請求項32の方法。
  34. 第1の電極と、前記第1の電極と電気的に接触している、リドカインおよびエピネフリンを含むドナーハイドロゲルとを含む電気的にアシストされたドラッグデリバリー装置用の電極アセンブリであって、
    前記アノードアセンブリが密閉されている場合、少なくとも12ヶ月間25℃で、電気的に安定であり、物理的に安定であり、および化学的に安定である、上記電極アセンブリ。
  35. 密閉された容器と、該容器中に密閉された電極アセンブリとを含む、パッケージされた電気的にアシストされたドラッグデリバリー装置用の電極アセンブリであって、
    該電極アセンブリは、
    第1の電極と、
    銀/塩化銀の第1の電極と電気的に接触している、リドカインとエピネフリンとを含んでなるハイドロゲルを含んでなるドナーポリビニルピロリドンと
    を含んでなり、
    該パッケージされた電極アセンブリは、前記アノードアセンブリが密閉されている場合、少なくとも12ヶ月間25℃で、電気的に安定であり、物理的に安定であり、および化学的に安定である、上記電極アセンブリ。
  36. 前記ドナーハイドロゲルが、前記パッケージされたドナーハイドロゲル中の酸素を少なくとも24ヶ月間脱酸素するのに必要なメタ重亜硫酸ナトリウムの最低限量と同等量かわずかに大きい量のメタ重亜硫酸ナトリウムを含有する、請求項35のパッケージされた電極アセンブリ。
  37. アノードアセンブリを備えた密閉された電極を備えた、パッケージされた電気的にアシストされたドラッグデリバリー装置用の電極アセンブリであって、
    該アノードアセンブリは、第1の電極と、前記第1の電極と電気的に接触している、血管収縮剤、麻酔剤、および薬学的に許容可能な賦形剤を含有するドナーハイドロゲルとを備えており、
    該電極アセンブリは、少なくとも12ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電子的、電気化学的、または微生物的に安定である、上記電極アセンブリ。
  38. 前記血管収縮剤がエピネフリンおよびフェニレフリンの1つである、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  39. 前記麻酔剤が以下からなる群より選択される、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ:
    アミド型麻酔剤、エステル型麻酔剤、ブピバカイン、ブタニリカイン、カルチカイン(carticaine)、シンコカイン/ジブカイン、クリブカイン(clibucaine)、エチルパラピペリジノアセチルアミノベンゾエート(ethyl parapiperidino acetylaminobenzoate)、エチドカイン、リドカイン、メピビカイン(mepivicaine)、オキセサゼイン、プリロカイン、ロピビカイン(ropivicaine)、トリカイン、トリメカイン(trimecaine)、バドカイン(vadocaine)、アミロカイン、コカイン、プロパノカイン(propanocaine)、メタアミノ安息香酸のエステル、クロルメカイン(clormecaine)、プロキシメタカイン(proxymetacaine)、パラアミノ安息香酸のエステル、アメソカイン、ベンゾカイン、ブタカイン、ブトキシカイン、アミノ安息香酸ブチル、クロロプロカイン、オキシブプロカイン、パレトキシカイン(parethoxycaine)、プロカイン、プロポキシカイン、トリカイン、ブクリカイン(bucricaine)、ジメチソキン、ジペロドン(diperodon)、ジクロカイン(dyclocaine)、エチルクロライド、ケトカイン、ミルテカイン(myrtecaine)、オクタカイン、プラモキシン、およびプロピポカイン(propipocaine)。
  40. 前記麻酔剤が以下の1つである、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ:
    ブピバカイン、ブタカイン、クロロプロカイン、シンコカイン、エチドカイン、メピバカイン、プリロカイン、プロカイン、ロピバカイン、およびテトラカイン。
  41. 前記麻酔剤が以下の1つである、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ:
    ブピバカイン、エチドカイン、メピバカイン、ロピビカイン、およびプリロカイン。
  42. 前記麻酔剤がリドカインである、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  43. 前記ドナーハイドロゲルが約2重量%〜約12重量%のリドカインを含んでなる、請求項42のパッケージされた電極アセンブリ。
  44. 前記ドナーハイドロゲルが約5重量%〜約12重量%のリドカインを含んでなる、請求項42のパッケージされた電極アセンブリ。
  45. 前記ドナーハイドロゲルが約8重量%〜約12重量%のリドカインを含んでなる、請求項42のパッケージされた電極アセンブリ。
  46. 前記電極アセンブリが、少なくとも18ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電子的、電気化学的、または微生物的に安定である、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  47. 前記電極アセンブリが、少なくとも10ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電子的、電気化学的、または微生物的に安定である、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  48. 前記電極アセンブリが、少なくとも36ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電子的、電気化学的、または微生物的に安定である、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  49. 前記電極アセンブリが、少なくとも48ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電子的、電気化学的、または微生物的に安定である、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  50. 前記ドナーハイドロゲルが約0.001重量%〜約0.3重量%のエピネフリンを含んでなる、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  51. 前記ドナーハイドロゲルが約0.01重量%〜約0.3重量%のエピネフリンを含んでなる、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  52. 前記ドナーハイドロゲルが約0.075重量%〜約0.125重量%のエピネフリンを含んでなる、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  53. 前記ドナーハイドロゲルが約0.005重量%〜約0.1重量%のメタ重亜硫酸ナトリウムを含んでなる、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  54. 前記ドナーハイドロゲルが約0.025重量%〜約0.075重量%のメタ重亜硫酸ナトリウムを含んでなる、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  55. 前記ドナーハイドロゲルが約0.01重量%〜約0.1重量%の塩化ナトリウムを含んでなる、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  56. 前記ドナーハイドロゲルがポリビニルピロリドンを含んでなる、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  57. 前記第1の電極が、銀または銀/塩化銀電極である、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  58. 前記第1の電極が、印刷された銀または銀/塩化銀電極である、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  59. 前記電極が不活性雰囲気中でパッケージされた、請求項37のパッケージされた電極アセンブリ。
  60. 前記不活性雰囲気が窒素を含んでなる、請求項59のパッケージされた電極アセンブリ。
  61. 請求項37のパッケージされた電極アセンブリであって、
    前記ドナーハイドロゲルが、リドカイン、エピネフリン、メタ重亜硫酸ナトリウム、クエン酸、塩化ナトリウム、キレート剤、パラベン類、およびグリセリンを含んでなるポリビニルピロリドンハイドロゲルであり、
    前記電極が不活性雰囲気中でパッケージされた、上記電極アセンブリ。
  62. 不活性雰囲気中でパッケージされた密閉された電極を備えた、電気的にアシストされたドラッグデリバリー装置用のパッケージされた電極アセンブリであって、
    該電極はアノードアセンブリを備え、
    該アノードアセンブリは、第1の電極と、該第1の電極と電気的に接触しているポリビニルピロリドンドナーハイドロゲルとを備え、
    該ハイドロゲルは、リドカイン、エピネフリン、メタ重亜硫酸ナトリウム、クエン酸、塩化ナトリウム、パラベン類、およびグリセリンを含有し、
    該電極アセンブリは、少なくとも12ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電子的、電気化学的、または微生物的に安定である、
  63. 25℃で少なくとも24ヶ月間安定である、エピネフリンを含んでなる、経皮的パッチ。
  64. 25℃で少なくとも24ヶ月間安定である、エピネフリンを含んでなる、電子輸送リザーバー。
  65. 不活性雰囲気中でパッケージされた、密閉されたポリビニルピロリドンハイドロゲルを備えた、パッケージされた経皮的ドラッグデリバリー装置であって、
    該ハイドロゲルは、リドカイン、エピネフリン、メタ重亜硫酸ナトリウム、クエン酸、塩化ナトリウム、キレート剤パラベン類、およびグリセリンを含有し、
    該電極アセンブリは、物理的、化学的、または微生物的に、少なくとも12ヶ月間25℃で安定である、上記装置。
  66. 前記ドナーハイドロゲルが約2重量%〜約12重量%のリドカインを含んでなる、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  67. 前記ドナーハイドロゲルが約5重量%〜約12重量%のリドカインを含んでなる、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  68. 前記ドナーハイドロゲルが約8重量%〜約12重量%のリドカインを含んでなる、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  69. 前記電極アセンブリが、少なくとも18ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電気化学的、電気的、または微生物的に安定である、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  70. 前記電極アセンブリが、少なくとも24ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電気化学的、電気的、または微生物的に安定である、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  71. 前記電極アセンブリが、少なくとも36ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電気化学的、電気的、または微生物的に安定である、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  72. 前記電極アセンブリが、少なくとも48ヶ月間25℃で、物理的、化学的、電気化学的、電気的、または微生物的に安定である、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  73. 前記ドナーハイドロゲルが約0.001重量%〜約0.3重量%のエピネフリンを含んでなる、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  74. 前記ドナーハイドロゲルが約0.01重量%〜約0.3重量%のエピネフリンを含んでなる、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  75. 前記ドナーハイドロゲルが約0.075重量%〜約0.125重量%のエピネフリンを含んでなる、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  76. 前記ドナーハイドロゲルが約0.005重量%〜約0.1重量%のメタ重亜硫酸ナトリウムを含んでなる、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  77. 前記ドナーハイドロゲルが約0.025重量%〜約0.075重量%のメタ重亜硫酸ナトリウムを含んでなる、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
  78. 前記ドナーハイドロゲルが約0.01重量%〜約0.1重量%の塩化ナトリウムを含んでなる、請求項65のパッケージされた電極アセンブリ。
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