JP2008109112A - 光電変換層用塗工液およびその製造方法ならびに、有機薄膜太陽電池およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、フラーレン誘導体の濃度が異なる2種類のアクセプター溶液と、電子供与性の光電変換材料を含むドナー溶液と、を混合することを特徴とする光電変換層用塗工液の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
その他にも、p型共役ポリマーであるポリ−3−アルキルチエフェン誘導体(P3RT)を用いた系、また、ポリフェニレンビニレン系のp型共役ポリマー(MEH−PPV)にシアノ基を導入してn型化したポリフェニレンビニレン誘導体(CN−PPV)や、カーボンナノチューブ(CNT)をn型有機半導体として用いた系が挙げられている。
このような凝集体のサイズが異なるフラーレン誘導体を有する光電変換層用塗工液を用いて、有機薄膜太陽電池の光電変換層の形成に用いた場合には、フラーレン誘導体が、凝集体のサイズに応じて、電荷分離性や導電性のそれぞれの機能を分担することにより、光電変換効率に優れた有機薄膜太陽電池とすることができる。すなわち、光電変換効率に優れた光電変換層を形成可能な光電変換層用塗工液とすることができる。
以下、本発明の光電変換層用塗工液およびその製造方法ならびに有機薄膜太陽電池およびその製造方法について説明する。
まず、本発明の光電変換層用塗工液の製造方法について説明する。本発明の光電変換層用塗工液の製造方法は、フラーレン誘導体の濃度が異なる2種類のアクセプター溶液と、電子供与性の光電変換材料を含むドナー溶液と、を混合することを特徴とするものである。
このような凝集体のサイズの異なるフラーレン誘導体を有する光電変換層用塗工液を用いて、有機薄膜太陽電池の光電変換層の形成に用いた場合には、フラーレン誘導体が、凝集体のサイズに応じて、電荷分離性や導電性のそれぞれの機能を分担することにより、光電変換効率に優れた有機薄膜太陽電池とすることができる。すなわち、光電変換効率に優れた光電変換層を形成可能な光電変換層用塗工液とすることができる。
以下、本発明の光電変換層用塗工液の製造方法について説明する。
まず、本発明に用いられるアクセプター溶液について説明する。本発明に用いられるアクセプター溶液は、フラーレン誘導体を溶媒に溶解させたものであり、かつ上記フラーレン誘導体の濃度が異なる2種類のものである。
本発明に用いられるフラーレン誘導体は、本発明の製造方法により製造された光電変換層用塗工液を用いて形成された光電変換層において、電子受容性を有するn型有機半導体として機能するものであれば特に限定されるものではない。
このようなフラーレン誘導体としては、フラーレン、フラーレンの誘導体、ならびにフラーレンおよびフラーレンの誘導体の混合物を挙げることができる。
本発明に用いられる溶媒としては、上述したフラーレン誘導体を溶解することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に有機薄膜太陽電池の光電変換層の形成に用いられるものを用いることができる。
本発明に用いられるアクセプター溶液は、上述したフラーレン誘導体を上述した溶媒に溶解させたものであり、かつ上記フラーレン誘導体の濃度が異なる2種類のものである。
すなわち、フラーレン誘導体は濃度に応じて形成される凝集体のサイズが異なるため、フラーレン誘導体の濃度が異なる2種類のアクセプター溶液を混合して得られる光電変換層用塗工液は、凝集体のサイズが異なるフラーレン誘導体を含むことになる。
このような凝集体のサイズが異なるフラーレン誘導体を有する光電変換層用塗工液を用いて、有機薄膜太陽電池の光電変換層の形成に用いた場合には、フラーレン誘導体が、凝集体のサイズに応じて、電荷分離性や導電性のそれぞれの機能を分担することにより、光電変換効率に優れた有機薄膜太陽電池とすることができる。すなわち、光電変換効率に優れた光電変換層を形成可能な光電変換層用塗工液とすることができる。
なお、上記フラーレン誘導体の濃度は、調製したアクセプター溶液の質量に占めるフラーレン誘導体の質量の割合を表したものである。
本発明に用いられるドナー溶液は、電子供与性の光電変換材料を含むものであり、通常、有機溶媒中に上記電子供与性の光電変換材料を溶解したものである。
以下、このようなドナー溶液について説明する。
本発明に用いられる電子供与性の光電変換材料は、本発明の光電変換層用塗工液を用いて形成された光電変換層において、電子供与性を有するp型有機半導体として機能するものであれば特に限定されるものではない。
本発明に用いられる有機溶媒は、上述した電子供与性の光電変換材料を溶解することができるものであれば特に限定されるものではなく、上記「1.アクセプター溶液」の項に記載した溶媒と同様のものを用いることができる。なかでも本発明においては、上記アクセプター溶液に用いられる溶媒と同一のものを用いることが好ましい。上述した電子供与性の光電変換材料を高濃度で溶解することができるためである。また、上記アクセプター溶液と優れた相溶性を有するからである。
本発明に用いられる電子供与性の光電変換材料の濃度としては、本発明の光電変換層用塗工液を用いて光電変換層を形成した際に、所望の光電変換効率とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、ドナー溶液、およびアクセプター溶液(高濃度アクセプター溶液、低濃度アクセプター溶液の2種類)を混合し光電変換層用塗工液とした状態において0.3質量%〜3質量%の範囲内となる濃度とすることが好ましく、なかでも0.5質量%〜2質量%の範囲内となる濃度とすることが好ましい。上記範囲より大きいと本発明の光電変換層用塗工液とした際に、均一に溶解させることが困難だからである。
次に、本発明の光電変換層用塗工液の製造方法について説明する。本発明の光電変換層用塗工液の製造方法は、上述したフラーレン誘導体の濃度が異なる2種類のアクセプター溶液と、ドナー溶液とを、混合するものであれば特に限定されるものではない。
さらに、フラーレン誘導体および電子供与性の光電変換材料を溶媒に溶解させてアクセプター・ドナー溶液を形成した後、上記アクセプター・ドナー溶液とはフラーレン誘導体の濃度が異なるアクセプター溶液を添加し、混合するものであっても良い。
また、上記調整用アクセプター溶液は単一の濃度のものであっても良く、上記フラーレン誘導体の濃度が異なる2種類以上のものであってもよい。本発明の製造方法によって製造する光電変換層用塗工液の用途等に応じて適宜調製することができる。
次に、本発明の光電変換層用塗工液について説明する。本発明の光電変換層用塗工液は、凝集体の平均粒径が異なる2種類のフラーレン誘導体と、電子供与性の光電変換材料とを含むことを特徴とするものである。
一般に、フラーレン誘導体の凝集体のサイズが比較的大きい場合には、導電性が高くなると考えられる。また、フラーレン誘導体の凝集体のサイズが比較的小さい場合には、比表面積が大きくなるため、フラーレン誘導体が電子供与性の光電変換材料と接触しやすくなり、電荷を生み出しやすくなると考えられる。すなわち、凝集体の平均粒径の異なる2種類のフラーレン誘導体のうち、凝集体の平均粒径の大きいフラーレン誘導体は導電性の機能を担い、凝集体の平均粒径の小さいフラーレン誘導体は電荷分離性の機能を担うものと思料される。
このように本発明においては、凝集体の平均粒径の異なる2種類のフラーレン誘導体を用いることにより、フラーレン誘導体に、凝集体の平均粒径(凝集体のサイズ)に応じて、機能を分担させ、それにより光電変換効率を高めることができるのである。すなわち、光電変換効率に優れた光電変換層を形成可能な光電変換層用塗工液とすることができる。
以下、本発明の光電変換層用塗工液の各構成について説明する。
本発明に用いられるフラーレン誘導体は、凝集体の平均粒径が異なる2種類のものである。
なお、「凝集体」には、フラーレン誘導体が凝集しているものだけでなく、フラーレン誘導体が単分散しているものも含まれる。
ここで、粒度分布のうち粒径200nm以下の範囲とするのは、測定の際に塵などが試料に混入する場合があり、塵などに由来する粒度分布を除外するためである。
本発明に用いられる電子供与性の光電変換材料としては、上記「A.光電変換層用塗工液の製造方法」に記載したものと同様とすることができる。
本発明に用いられる溶媒としては、フラーレン誘導体および電子供与性の光電変換材料を溶解することができるものであれば特に限定されるものではない。
なお、溶媒については、上記「A.光電変換層用塗工液の製造方法」に記載したフラーレン誘導体を溶解する溶媒および電子供与性の光電変換材料を溶解する有機溶媒と同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の光電変換層用塗工液の製造方法について説明する。本発明の光電変換層用塗工液は、フラーレン誘導体の濃度が異なる2種類のアクセプター溶液と、電子供与性の光電変換材料を含むドナー溶液とを混合することにより製造することができる。また、本発明の光電変換層用塗工液は、フラーレン誘導体の凝集体の平均粒径が異なる2種類のアクセプター溶液と、電子供与性の光電変換材料を含むドナー溶液とを混合することにより製造することもできる。
なお、フラーレン誘導体および溶媒については、上記「A.光電変換層用塗工液の製造方法」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
なお、アクセプター溶液に含まれるフラーレン誘導体の濃度が異なることについては、上記「A.光電変換層用塗工液の製造方法」に記載したので、ここでの説明は省略する。
なお、ドナー溶液については、上記「A.光電変換層用塗工液の製造方法」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、アクセプター溶液およびドナー溶液の混合順序、アクセプター溶液およびドナー溶液の混合方法、アクセプター溶液およびドナー溶液を混合するタイミング等については、上記「A.光電変換層用塗工液の製造方法」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、調整用アクセプター溶液については、上記「A.光電変換層用塗工液の製造方法」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法について説明する。本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法は、使用する光電変換層用塗工液の構成により2つの態様に分けられる。以下、各態様について説明する。
本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法の第1態様は、基板を用い、上記基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、上記第1電極層上に、上記「A.光電変換層用塗工液の製造方法」に記載の製造方法により製造された光電変換層用塗工液を塗工して光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、上記光電変換層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、を有することを特徴とするものである。
以下、このような本態様の有機薄膜太陽電池の製造方法の各工程について説明する。
本態様における第1電極層形成工程は、基板上に第1電極層を形成する工程である。以下、このような工程について説明する。
本工程に用いられる基板は、透明なものであっても不透明なものであっても良いが、例えば、この基板側が光の受光面となる場合には、透明基板であることが好ましい。この透明基板の材料としては、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を挙げることができる。
本工程に用いられる第1電極層は、上記基板上に形成されるものである。
本工程における第1電極層の形成方法としては、上述した基板上に第1電極層を、密着性良く形成するものであれば特に限定されるものではなく、一般に用いられている方法を用いることができる。本工程においては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法等の乾式塗工法、およびITO微粒子を含有する塗工液等を塗布する湿式塗工法を挙げることができる。また、第1電極層をパターン状に形成する場合のパターニング方法としては、第1電極層を所望のパターンに精度良く形成することができる方法であれば特に限定されないが、具体的には、フォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
本態様における光電変換層形成工程は、上記第1電極層上に、上述した製造方法により製造された光電変換層用塗工液を塗工して光電変換層を形成するものである。ここで上記光電変換層用塗工液は、上記「A.光電変換層用塗工液の製造方法」の項に記載したものと同様の方法によって製造されるものであるため、ここでの記載は省略する。
本工程に用いられる光電変換層は、上記第1電極層上に形成されるものであり、上述した電子供与性の光電変換材料と、上述したフラーレン誘導体とを有するものである。上記光電変換層は、有機薄膜太陽電池の電荷分離に寄与し、生じた電子および正孔を各々反対方向の電極に向かって輸送する機能を有するものである。
本工程において、上記光電変換層用塗工液の塗工方法としては、上記第1電極層上に均一な膜厚で塗工することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等を挙げることができる。なかでも本発明においては、スピンコート法を好ましく用いることができる。光電変換層を所定の膜厚となるように精度良く形成することが容易であり、かつ低せん断応力で塗工することができるため、上述した製造方法で製造した光電変換層用塗工液に含まれるフラーレン誘導体の凝集体のサイズを維持することが容易であるからである。
本工程においては、このような乾燥処理に用いられる乾燥方法として、例えば、加熱乾燥、送風乾燥、真空乾燥等、公知の方法を用いることができる。
本態様における第2電極層形成工程は、上記光電変換層上に、上記第1電極層と対向する電極である第2電極層を形成する工程である。以下、このような第2電極層形成工程について説明する。
本工程に用いられる第2電極層は、上記光電変換層上に形成されるものであり、上記第1電極層と対向する電極である。
このような第2電極層の形成方法としては、一般に使用される方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法等の乾式塗工法、およびAg等の金属コロイドを含有する金属ペースト等を用いて塗布する湿式塗工法を挙げることができる。
本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法の第2態様は、基板を用い、上記基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、上記第1電極層上に、上記「B.光電変換層用塗工液」に記載の光電変換層用塗工液を塗工して光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、上記光電変換層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、を有することを特徴とするものである。
なお、第1電極層形成工程および第2電極層形成工程については、上記第1態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、本態様の有機薄膜太陽電池の製造方法における光電変換層形成工程について説明する。
なお、上記光電変換層用塗工液については、上記「B.光電変換層用塗工液」に詳しく記載したため、ここでの説明は省略する。
また、光電変換層用塗工液の塗工方法および乾燥方法、ならびに光電変換層等については、上記第1態様に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の有機薄膜太陽電池について説明する。本発明の有機薄膜太陽電池は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成された光電変換層と、上記光電変換層上に形成された第2電極層とを有する有機薄膜太陽電池であって、上記光電変換層が、凝集体の平均粒径が異なる2種類のフラーレン誘導体と、電子供与性の光電変換材料とを含有することを特徴とするものである。
本発明に用いられる光電変換層は、凝集体の平均粒径が異なる2種類のフラーレン誘導体と、電子供与性の光電変換材料とを含有するものである。
また、光電変換層の膜厚およびその他の点については、上記「C.有機薄膜太陽電池の製造方法」に記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、光電変換層と正孔取出し電極との間に正孔取出し層が形成されていてもよい。第1電極層が正孔取出し電極である場合は、光電変換層と第1電極層との間に正孔取出し層が形成される。また、第2電極層が正孔取出し電極である場合は、光電変換層と第2電極層との間に正孔取出し層が形成される。
これらの中でも、特にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、トリフェニルジアミン(TPD)が好ましく用いられる。
本発明においては、光電変換層と電子取出し電極との間に電子取出し層が形成されていてもよい。第2電極層が電子取出し電極である場合は、光電変換層と第2電極層との間に電子取出し層が形成される。また、第1電極層が電子取出し電極である場合は、光電変換層と第1電極層との間に電子取出し層が形成される。
本発明の有機薄膜太陽電池は、上述した構成部材の他にも、必要に応じて後述する構成部材を有していてもよい。例えば、本発明の有機薄膜太陽電池は、保護シート、充填材層、バリア層、保護ハードコート層、強度支持層、防汚層、高光反射層、光封じ込め層、紫外線・赤外線遮断層、封止材層等の機能層を有していてもよい。また、層構成に応じて、各機能層間に接着層が形成されていてもよい。
なお、これらの機能層については、特開2007-73717号公報等に記載のものと同様とすることができる。
1.第1電極層の形成
基板として準備した厚さ125μmのPENフィルム基板の表面にPVD法によりSiO2の薄膜を形成した。次いで、SiO2薄膜の上面に、透明電極であるITO膜(膜厚150nm、シート抵抗20Ω/□)を、圧力勾配型プラズマガンを用いた反応性イオンプレーティング法(パワー:3.7kW、酸素分圧:73%、製膜圧力:0.3Pa、製膜レート:150nm/min、基板温度20℃)により製膜した後に、エッチングによりパターニングすることで、基板上にパターン状に形成されITOからなる第1電極層を形成した。次いで、上記第1電極層が形成された基板を、アセトン、基板洗浄液、IPAを用いて洗浄した。
次いで、導電性高分子ペースト(ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)分散品)を、スピンコート法にて、上記第1電極層上に製膜し、150℃で30分間乾燥することにより、正孔取出し層(膜厚100nm)を形成した。
フラーレン誘導体の濃度が異なる2種類のアクセプター溶液を調製した後、混合することで光電変換層用塗工液を調製した。
フラーレン誘導体としてPCBMを、および電子供与性の光電変換材料としてポリアルキルチオフェン(P3HT:poly(3−hexylthiophene−2,5−diyl))を、溶媒であるクロロベンゼンに溶解し、PCBMの濃度が0.11wt%、P3HTの濃度が1.1wt%となるように調製した。この場合における第1アクセプター溶液は、フラーレン誘導体と電子供与性の光電変換材料とを含むアクセプター・ドナー溶液である。
フラーレン誘導体として用いるPCBMの濃度が0.1wt%となるように溶媒として準備した1,2−ジクロロベンゼンに溶解した後、減圧・加熱条件下で溶媒を除去して、PCBM濃度を3.0wt%になるまで、固形分が析出しないように蒸発速度を制御しながら濃縮した。
次いで、上記光電変換層用塗工液を「2.正孔取出し層の形成」によって形成した正孔取出し層上にスピンコート方にて回転数700rpmの条件で塗布し、光電変換層(膜厚150nm)を形成した。
上記光電変換層上にAl層(100nm)を蒸着法にて形成することで第2電極層を形成した。
以上により、有機薄膜太陽電池を作製した。
「3.光電変換層用塗工液の調製」において、フラーレン誘導体の濃度の異なる2種類のアクセプター溶液を用いることなく、第1アクセプター溶液のみを用い、PCBM濃度が0.4wt%、P3HT濃度が1.0wt%となるようにクロロベンゼンに溶解し、光電変換層用塗工液を調製した以外は、実施例1と同様に有機薄膜太陽電池を作製した。
太陽電池特性に関しては、AM1.5、擬似太陽光(100mW/cm2)を照射光源とし、ソースメジャーユニット(HP社製、HP4100)にて電圧印加により電流電圧特性の評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
(アクセプター溶液Aの調製)
フラーレン誘導体(PCBM)を、PCBMの濃度が0.1wt%となるように、クロロベンゼンに溶解した。アクセプター溶液AでのPCBMの凝集体の粒径は1nm程度に分布しており、平均粒径は1nmであった。
フラーレン誘導体(PCBM)を、PCBMの濃度が0.5wt%となるように、クロロベンゼンに溶解した。アクセプター溶液BでのPCBMの凝集体の粒径は1nm程度に分布しており、平均粒径は1nmであった。
フラーレン誘導体(PCBM)を、PCBMの濃度が1.0wt%となるように、クロロベンゼンに溶解した。アクセプター溶液CでのPCBMの凝集体の粒径は30nm〜100nm程度に分布しており、平均粒径は60nmであった。
フラーレン誘導体(PCBM)を、PCBMの濃度が2.0wt%となるように、クロロベンゼンに溶解した。アクセプター溶液DでのPCBMの凝集体の粒径は30nm〜100nm程度に分布しており、平均粒径は60nmであった。
実施例1の「3.光電変換層用塗工液の調製」において、第2アクセプター溶液として参考例のアクセプター溶液CまたはDを用いた以外は、実施例1と同様に有機薄膜太陽電池を作製した。
実施例1と同様にして変換効率値を測定した結果、いずれの有機薄膜太陽電池も比較例と比べて太陽電池の性能が向上した。
2 … 第1電極層
3 … 光電変換層
4 … 第2電極層
10 … 有機薄膜太陽電池
Claims (12)
- フラーレン誘導体の濃度が異なる2種類のアクセプター溶液と、電子供与性の光電変換材料を含むドナー溶液と、を混合することを特徴とする光電変換層用塗工液の製造方法。
- 前記アクセプター溶液のフラーレン誘導体の濃度差が1質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換層用塗工液の製造方法。
- 前記アクセプター溶液の一方のフラーレン誘導体の濃度が、0.1質量%〜1質量%の範囲内であり、かつ他方のフラーレン誘導体の濃度が、2質量%〜10質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光電変換層用塗工液の製造方法。
- 前記電子供与性の光電変換材料が、ポリアルキルチオフェンであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の光電変換層用塗工液の製造方法。
- 凝集体の平均粒径が異なる2種類のフラーレン誘導体と、電子供与性の光電変換材料とを含むことを特徴とする光電変換層用塗工液。
- 前記フラーレン誘導体の凝集体の平均粒径差が30nm以上であることを特徴とする請求項5に記載の光電変換層用塗工液。
- 前記電子供与性の光電変換材料が、ポリアルキルチオフェンであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の光電変換層用塗工液。
- 基板を用い、前記基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
前記第1電極層上に、前記請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の製造方法により製造された光電変換層用塗工液を塗工して光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、
前記光電変換層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、
を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。 - 基板を用い、前記基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
前記第1電極層上に、請求項5から請求項7までのいずれかの請求項に記載の光電変換層用塗工液を塗工して光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、
前記光電変換層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、
を有することを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。 - 基板と、前記基板上に形成された第1電極層と、前記第1電極層上に形成された光電変換層と、前記光電変換層上に形成された第2電極層とを有する有機薄膜太陽電池であって、
前記光電変換層が、凝集体の平均粒径が異なる2種類のフラーレン誘導体と、電子供与性の光電変換材料とを含有することを特徴とする有機薄膜太陽電池。 - 前記フラーレン誘導体の凝集体の平均粒径差が30nm以上であることを特徴とする請求項10に記載の有機薄膜太陽電池。
- 前記電子供与性の光電変換材料が、ポリアルキルチオフェンであることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の有機薄膜太陽電池。
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