JP2008108784A - 希土類ボンド磁石及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 一定体積中の希土類磁石粉末の含有量を高めることが可能な希土類ボンド磁石の製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の好適な実施形態の製造方法は、樹脂と、平板状の粒子から構成される希土類磁石粉末とを含む原料を、圧縮して成形する工程を有する。そして、かかる工程においては、希土類磁石粉末を構成する粒子のうちの少なくとも一部に割れを発生させることで、当該粒子よりも小さい平板状の粒子を生じさせる。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の好適な実施形態の製造方法は、樹脂と、平板状の粒子から構成される希土類磁石粉末とを含む原料を、圧縮して成形する工程を有する。そして、かかる工程においては、希土類磁石粉末を構成する粒子のうちの少なくとも一部に割れを発生させることで、当該粒子よりも小さい平板状の粒子を生じさせる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、希土類ボンド磁石及びその製造方法に関する。
従来、モータに用いられる磁石としては、フェライト磁石が多用されてきた。しかし、近年では、これらの用途に対してより小型化や高磁気特性化がなされた磁石が要求されている。そこで、希土類ボンド磁石の適用が検討されている。希土類ボンド磁石は、希土類磁石粉末を樹脂等のバインダーによって固化成形して得られる磁石である。そのため、寸法精度が高い、形状自由度が高い、機械特性に優れる等、小型化に有利な製造上の利点を有している。
このような希土類ボンド磁石においては、樹脂は磁性を発現することができないため、小型化しながらも優れた磁気特性を得るには、一定体積中に含まれる希土類磁石粉末の含有量をできるだけ多くして希土類ボンド磁石の密度を高める必要がある。高密度の希土類ボンド磁石を製造するための方法としては、粒度の大きい希土類磁石粉末と粒度の小さい希土類磁石粉末とを組み合わせて用いる方法(特許文献1、2参照)や、不定形の粒子と球状の粒子とを組み合わせて用いる方法(特許文献3、4参照)が知られている。こうすれば、大きい粒子の隙間に小さい粒子が分布されたり、また、球状粒子によって不定形粒子の流動性が上がったりすることにより、希土類磁石粉末の密度が高められる。
特開平2−110904号公報
特開平4−114409号公報
特開平4−144207号公報
特開平4−144209号公報
しかしながら、希土類ボンド磁石に対しては、上述した従来技術による場合以上の小型化及び高磁気特性化が求められる場合も増えており、かかる要求に応えるために更なる高密度化が求められている。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、一定体積中の希土類磁石粉末の含有量を高めることが可能な希土類ボンド磁石の製造方法、及び、これによって高密度化された希土類ボンド磁石を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の希土類ボンド磁石は、樹脂と、平板状の粒子から構成される希土類磁石粉末とを含む原料を、圧縮して成形する工程を有しており、かかる工程において、希土類磁石粉末を構成する粒子のうちの少なくとも一部に割れを発生させ、当該粒子よりも小さい平板状の粒子を生じさせることを特徴とする。
本発明の希土類ボンド磁石の製造方法においては、平板状の粒子(以下、「平板状粒子」と略す)から構成される希土類磁石粉末を原料として用いていることから、得られる希土類ボンド磁石中の希土類磁石粉末も平板状粒子から主に構成されるようになる。このような平板状粒子は互いに重なり合うようにして分布することになる。
また、これに加えて、本発明では、原料である平板状粒子の一部を割ることで、より小さい平板状粒子を生じさせている。そのため、得られる希土類ボンド磁石においては、原料である大きな平板状粒子の周囲にこれよりも小さい平板状粒子が存在し、これによって、大きい平板状粒子の隙間が小さい平板状粒子によって埋められるような構成となる。特に、この希土類ボンド磁石においては、隙間に存在する粒子も平板状となることから、希土類磁石粉末が極めて高密度に分布することとなる。
その結果、本発明の製造方法により得られる希土類ボンド磁石は、一定体積中の希土類磁石粉末の含有量が従来に比して多いものとなり、小型であっても優れた磁気特性を発現し得るものとなる。
上記本発明の希土類ボンド磁石の製造方法においては、原料中の希土類磁石粉末が、150μm以上の粒度を有していると好ましい。このような粒度を有する希土類磁石粉末は、圧縮成形時に平板状粒子の割れを生じ易いことから、上記本発明の製造方法に特に適している。
また、本発明の希土類ボンド磁石の製造方法においては、1000MPa以上の圧力で圧縮して成形することが好ましい。こうすれば、第1の希土類磁石粉末の割れが更に良好に生じるようになり、小型で高磁気特性の希土類ボンド磁石が一層得られ易くなる。
さらに、原料中の樹脂の含有量は、0.5〜1.5質量%とすることが好ましい。こうすれば、希土類磁石粉末を十分に結合させつつ、一定体積中の希土類磁石粉末の含有量を良好に高めることができ、小型且つ高磁気特性の希土類ボンド磁石が更に得られ易くなる。
また、本発明の希土類ボンド磁石は、希土類磁石粉末と、この希土類磁石粉末を結合する樹脂とを含有しており、希土類磁石粉末は、平板状の粒子から構成される第1の希土類磁石粉末と、平板状の粒子から構成され第1の希土類磁石粉末よりも小さい粒径を有する第2の希土類磁石粉末とを含有しており、第1の希土類磁石粉末を構成する粒子間に、第2の希土類磁石粉末を構成する粒子が存在していることを特徴とする。
上記構成を有する本発明の希土類ボンド磁石においては、平板状粒子からなる希土類磁石粉末が高密度に分布しているとともに、第1の希土類磁石粉末を構成する平板状粒子の隙間を、第2の希土類磁石粉末を構成する平板状粒子が埋めるような形態となっている。そのため、一定体積中の希土類磁石粉末の含有量が極めて多くなっている。したがって、かかる希土類ボンド磁石は、高密度であり、小型であっても高い磁気特性を発現し得るものとなる。
また、上記本発明の希土類ボンド磁石は、樹脂の含有量が0.5〜1.5質量%以下であるとより好ましい。こうすれば、希土類ボンド磁石においては、希土類磁石粉末が高密度に分布するとともに、この希土類磁石粉末が樹脂によって十分良好に結合され得る。その結果、希土類ボンド磁石は、小型であっても高磁気特性を有し、しかも形状安定性にも優れるものとなる。
本発明によれば、一定体積中の希土類磁石粉末の含有量を高めることが可能な希土類ボンド磁石の製造方法を提供することが可能となる。また、これによって高密度化され、小型であっても高磁気特性を有し、しかも、形状安定性にも優れる希土類ボンド磁石を提供することが可能となる。
以下、必要に応じて図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
まず、本発明による希土類ボンド磁石の製造方法の好適な実施形態について説明する。
希土類ボンド磁石の製造においては、まず、希土類磁石粉末、及び、バインダーである樹脂を含む原料を調製する。原料は、上述した希土類磁石粉末と樹脂とを混合又は混錬することで得ることができる。
希土類磁石粉末は、希土類元素を含む磁性材料の粉末であり、平板状の形態を有する粒子(平板状粒子)から構成される。平板状粒子とは、面方向に対して厚みが大幅に小さくなっている形状を有する粒子である。例えば、粒子の面方向を投影した像の短軸径に対する厚みの割合(以下、扁平率という)が20%程度以下であるような形状のものがこれに該当する。このような平板状粒子から構成される希土類磁石粉末は、例えば、急冷法、ストリップキャスト(SC)法等により製造したり、これらによって製造されたものを更に粉砕したりすることによって得ることができる。
希土類磁石粉末としては、希土類元素(Rで示す)、鉄又は鉄とコバルト(Tで示す)、遷移元素(Mで示す)及びホウ素等から構成されるR−T−B系やR−T−M−B系の磁性粉末や、R及びMから構成されるR−M系の磁性粉末等、希土類元素を含むものであれば特に制限なく適用できる。なかでも、前者のR−T−B系に属するNd−Fe−B系の磁性粉末が好適である。
希土類磁石粉末としては、ある程度以上の大きさを有する粒子から構成されるものを用いるのが好ましい。具体的には、希土類磁石粉末としては、150μm以上の粒度を有するものが好ましく、250μm以上の粒度を有するものがより好ましい。このような粒度を有する希土類磁石粉末を用いることで、後述する圧縮成形工程において、平板状粒子の割れが良好に発生するようになる。
ここで、原料に用いる希土類磁石粉末は、例えば、上記以上の粒度を有する粉末と、これよりも小さい粒度を有する粉末とが混合されたものであってもよい。ただし、圧縮成形工程における平板状粒子の割れを良好に発生させるためには、原料に用いる希土類磁石粉末は、150μm以上の粒度を有する希土類磁石粉末を少なくとも75質量%以上含んでいることが好ましく、150μm以上の粒度を有する希土類磁石粉末のみを含んでいることがより好ましい。
ここで、粒度とは、ふるい分けによって分級された値をいうことと定義する。したがって、希土類ボンド磁石の製造においては、原料調製前に希土類磁石粉末を150μm以上、好ましくは250μm以上の粒度を有するようにふるい分けする工程を実施することがより好ましい。
樹脂としては、通常ボンド磁石のバインダーとして適用されるものを特に制限なく適用できる。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系のエラストマー、アイオノマー、エチレンプロピレン共重合体(EPM)、エチレン−エチルアクリレート共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。なかでも、熱硬化性樹脂が好ましく、エポキシ樹脂又はフェノール樹脂がより好ましい。
原料における樹脂の含有量は、原料の合計質量中、0.5〜1.5質量%であると好ましく、0.75〜1.0質量%であるとより好ましい。樹脂含有量を1.5質量%以下とすることで、相対的に希土類磁石粉末の含有量が増え、高密度の希土類ボンド磁石が得られ易くなる。なお、樹脂含有量を0.5質量%未満とすると、これ以上とした場合に比べて保形性が悪くなる場合がある。
上述した原料の調製後には、この原料を圧縮して成形する成形工程を行うことにより、希土類ボンド磁石を得る。成形(圧縮成形)においては、原料を所定形状の金型内に導入した後、この原料に対して圧力を加える。圧縮成形は、機械プレスや油圧プレス等の圧縮成形機を用いることで行うことができる。
圧縮成形においては、原料に圧力を加えることによって、原料に含まれる希土類磁石粉末を構成している平板状粒子の少なくとも一部に割れを発生させる。そして、これによりもとの平板状粒子よりも小さい平板状粒子を生じさせる。割れによって生じた小さい平板状粒子は、圧縮によって高密度化された原料中には広く分散されることはなく、もとの平板状粒子の周囲に残りやすい。その結果、成形後に得られる希土類ボンド磁石には、大きい平板状粒子と、これらの間を埋めるように分布した小さい平板状粒子が混在することとなる。
圧縮成形において、平板状粒子は、必ずしも限定されないが、圧力が加わった場合に面方向よりも厚み方向の強度が弱いことから、厚み方向に沿って割れを生じることになる。そして、割れによって発生した粒子は、同様に平板状の形態を有することが多い。このような割れは、希土類磁石粉末が球状粒子からなる場合には発生し難いと考えられる。
上述したように、原料中の希土類磁石粉末が150μm以上(好ましくは250μm以上)の粒度を有していると、個々の粒子が大きいことから加圧による応力が加わり易く、そのため平板状粒子の割れが発生し易くなる。
平板状粒子の割れは、原料に含まれる平板状粒子の一部で生じていればよいが、原料中の平板状粒子の5〜30%程度で生じていると特に好適である。この範囲で割れが生じると、原料として用いた大きな平板状粒子が適度に残るとともに、その周囲が割れによって発生した小さな平板状粒子によって良好に満たされるようになる。その結果、希土類ボンド磁石においては、希土類磁石粉末が特に密に存在し、これによって高い磁気特性が得られるようになる。
なお、通常、平板状粒子は等分されるように割れることは少なく、例えば端部のみが欠けるようにして割れることが多いことから、割れによって生じた平板状粒子も、比較的大きなものと、これよりもはるかに小さなものとに分かれることが多い。つまり、割れによって発生した平板状粒子同士でも、上述したような密な分布が形成され得る。したがって、例えば原料中の平板状粒子の殆どが割れを発生していたとしても、大小の粒子による密な構造を得ることができる。
この圧縮成形時の圧力は1000MPa以上とすることが好ましく、1200MPa以上とすることがより好ましい。このような圧力で圧縮成形を行うと、平板状粒子の割れが良好に発生するほか、原料が良好に圧縮されるため、小型でも優れた磁気特性を有する希土類ボンド磁石が得られ易くなる。なお、平板状粒子の割れが過度に生じて多数の細かい粒子に分割されてしまうと、逆に良好な磁気特性が得られなくなるおそれもあることから、圧縮成形の際の圧力の上限は2000MPa程度とすることが好ましい。
原料に含まれるバインダーである樹脂が、例えば、熱硬化性樹脂である場合は、成形後の成形物を、加熱炉等にいれて加熱するか又は圧縮成形とともに加熱を行うことにより樹脂を硬化させる。こうして、希土類ボンド磁石が得られる。
なお、上記工程を経て希土類ボンド磁石を完成させた後には、これを磁石素体としてその表面上に磁石を保護するための保護層を更に設けてもよい。保護層は、例えば、樹脂を塗布して樹脂層を形成したり、磁石素体を化成処理して化成処理層を形成したりすることで設けることができる。
次に、このような製造方法によって得られる希土類ボンド磁石の好適な実施形態について説明する。
図1は、希土類ボンド磁石の断面構成の一例を示す操作型電子顕微鏡(SEM)写真である。このSEM写真は、2次電子像を示している。また、図2は、同様の断面を拡大して示す模式図である。図1に示されるように、希土類ボンド磁石は、多数の平板状粒子から構成される希土類磁石粉末を含み、これらの平板状粒子が密に分布した構成を有している。そして、これらの平板状粒子は、バインダーである樹脂(図中の黒色部分)によって結合された状態となっている。
図1に示す断面を拡大して観察すると、図2に示すように、比較的大きな平板状粒子2と、これよりも小さな平板状粒子4とが混在している。そして、多数の平板状粒子2の隙間に、平板状粒子4が分布したような構造となっている。このように、希土類ボンド磁石を構成する希土類磁石粉末は、より大きな平板状粒子2から構成される希土類磁石粉末(第1の希土類磁石粉末)と、これらよりも小さな平板状粒子4から構成される希土類磁石粉末(第2の希土類磁石粉末)とを含有している。
このような構成を有する希土類ボンド磁石において、平板状粒子4は、原料として用いた希土類磁石粉末を構成する平板状粒子が割れて生じた平板状粒子のうち、小さい方の粒子である。また、平板状粒子2は、原料である希土類磁石粉末を構成している平板状粒子や、これが割れて生じた粒子のうち大きい方の粒子である。この場合、平板状粒子4は、平板状粒子2の隙間に一層効率よく存在できる。その結果、希土類ボンド磁石は、希土類磁石粉末がより密に分布したものとなる。
希土類磁石粉末において、第2の希土類磁石粉末の粒径(長軸径)は、好ましくは第1の希土類磁石粉末の6〜66%程度であり、より好ましくは6.4〜30%程度である。具体的には、第1の希土類磁石粉末の平均粒径は150〜500μmであると好ましく、250〜500μmであるとより好ましい。また、第2の希土類磁石粉末の平均粒径は、30〜100μmであると好ましく、32〜75μmであるとより好ましい。
なお、希土類ボンド磁石において、第1の希土類磁石粉末を構成している平板状粒子と、第2の希土類磁石粉末を構成している平板状粒子とは、通常、上記のような顕微鏡写真を観察し、比較的大きな平板状粒子とこれよりも明らかに小さな平板状粒子とを見分けることで区別することが可能である。
上述した構成を有する希土類ボンド磁石において、樹脂の含有量は、希土類ボンド磁石の総質量中、0.5〜1.5質量%であると好ましく、0.75〜1.0質量%であるとより好ましい。本実施形態の希土類ボンド磁石は、平板状粒子からなる希土類磁石粉末を含み、しかも、上記のような大小の粒子による密な構造が形成されていることから、上記のような少ない樹脂含有量とすることが可能となっている。
そして、希土類ボンド磁石は、樹脂の含有量が1.5質量%以下であることで、一定体積中に占める希土類磁石粉末の割合が相対的に大きくなるため、小型であっても優れた磁気特性を発揮し得るものとなる。希土類ボンド磁石においては、希土類磁石粉末よりも樹脂のほうが密度が小さいことから、一定体積中の希土類磁石粉末の割合が相対的に多くなるほど、希土類ボンド磁石全体の密度は大きくなる。つまり、同体積であれば、高密度の希土類ボンド磁石ほど磁気特性に優れると言える。
しかし、樹脂含有量が少なすぎると、高密度とはなり得るものの、希土類磁石粉末の結合が十分でなくなり、成形体の形状を維持するのが困難となるおそれがある。そのため、樹脂含有量の下限値は0.5質量%とすることが好ましい。ただし、希土類ボンド磁石においては、必ずしも全ての粒子同士が樹脂によって結合されている必要はなく、樹脂は、少なくとも全体の形状を安定に保持できる程度に含まれていればよい。
このように、上記構成を有する希土類ボンド磁石は、希土類磁石粉末が平板状粒子から構成され、また、大きい平板状粒子2間の隙間を小さい平板状粒子4で満たされた構造を有しており、更に、樹脂含有量が従来よりも少なくされているため、例えば、球状粒子のみからなる磁性粉を含有する通常の希土類ボンド磁石に比して、一定体積中に希土類磁石粉末が密に存在している。その結果、本実施形態の希土類ボンド磁石は、従来に比して高密度であり、その結果、小型化した場合であっても高い磁気特性を有するものとなる。
以上、本発明の希土類ボンド磁石の製造方法及びこれにより得られる希土類ボンド磁石の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものであってもよい。
例えば、上述した実施形態の製造方法では、原料である希土類磁石粉末として、平板状粒子のみから構成されるものを例示したが、例えば、原料である希土類磁石粉末の一部に球状等の形状を有する粒子が含まれていてもよい。同様に、本発明の希土類ボンド磁石は、希土類磁石粉末の一部に平板状の形状を有しない粒子を含んでいてもよい。ただし、本発明の効果を良好に得る観点からは、原料や希土類ボンド磁石を構成している希土類磁石粉末の95質量%以上、より好ましくは98質量%以上が平板状粒子から構成されることが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[希土類ボンド磁石の原料の調製]
[希土類ボンド磁石の原料の調製]
(試料1〜7)
まず、希土類磁石粉末として平板状粒子から構成されるNd−Fe−B系磁性粉末(MQI社製、MQP−B)を準備した。次いで、この磁性粉末をふるい分けにより分級し、150μmよりも粒度が小さいもの、150μm以上の粒度を有するもの、250μm以上の粒度を有するもの、分級を行わなかったものの4種の磁性粉末を調製した。
まず、希土類磁石粉末として平板状粒子から構成されるNd−Fe−B系磁性粉末(MQI社製、MQP−B)を準備した。次いで、この磁性粉末をふるい分けにより分級し、150μmよりも粒度が小さいもの、150μm以上の粒度を有するもの、250μm以上の粒度を有するもの、分級を行わなかったものの4種の磁性粉末を調製した。
それから、試料1〜7用の磁性粉末として、150μm以上又は250μm以上の粒度を有する磁性粉末(磁性粉末A)と、150μmよりも小さい粒度を有する磁性粉末とを表1に示すように配合(表中の配合割合は質量%)した磁性粉末(試料1〜6)、及び、分級を行わなかった磁性粉末(試料7)をそれぞれ調製した。
そして、各磁性粉末98.5質量%に対し、樹脂であるエポキシ樹脂を1.5質量%それぞれ混合して、希土類ボンド磁石の原料である試料1〜7を得た。
[希土類ボンド磁石の製造と密度の評価]
[希土類ボンド磁石の製造と密度の評価]
試料1〜7の原料をそれぞれ用いて、機械プレスによる圧縮成型を行い、成型体を得た。そして、得られた各成型体に対し、140℃、5時間の加熱を行うことで樹脂を硬化させて、希土類ボンド磁石を得た。この際、各原料について、複数の成型圧力の条件を適用して各種の希土類ボンド磁石を作製した。そして、全ての希土類ボンド磁石についてそれぞれ密度を測定した。得られた結果を図3に示す。図3は、試料1〜7を用いて希土類ボンド磁石の製造を行った場合の、成型圧力に対する希土類ボンド磁石の密度を示すグラフである。
図3に示すように、まず、各試料を用いた場合とも、成型圧力が大きいほど高い密度が得られることが判明した。異なる試料同士を比較すると、250μm以上の粒度を有する希土類磁石粉末のみを用いた原料(試料6)を用いた場合が、最も大きい密度が得られることが確認された。また、試料1〜4の結果から、150μm以上の粒度を有する磁性粉末の配合割合が高いほど、高密度が得られることが判明した。
一方、150μm以上の粒度の希土類磁石粉末を含まない原料(試料5)から得られた希土類ボンド磁石は、密度が大幅に小さいことが確認された。なお、分級を行わなかった試料7では、試料3と4の中間くらいの密度が得られたが、これは、分級を行わなかった試料7中にも、150μm以上の粒度を有する希土類磁石粉末が含まれていたためと考えられる。
[希土類ボンド磁石の原料の調製]
[希土類ボンド磁石の原料の調製]
(試料8〜14)
上述した試料1の調製に用いた配合の希土類磁石粉末を用い、樹脂であるエポキシ樹脂の配合割合をそれぞれ変化させて各種の希土類ボンド磁石の原料(試料8〜14)を調製した。エポキシ樹脂の配合割合は、それぞれ0.50質量%、0.75質量%、1.00質量%、1.25質量%、1.50質量%、2.00質量%及び3.00質量%とした。
[希土類ボンド磁石の製造と密度の評価]
上述した試料1の調製に用いた配合の希土類磁石粉末を用い、樹脂であるエポキシ樹脂の配合割合をそれぞれ変化させて各種の希土類ボンド磁石の原料(試料8〜14)を調製した。エポキシ樹脂の配合割合は、それぞれ0.50質量%、0.75質量%、1.00質量%、1.25質量%、1.50質量%、2.00質量%及び3.00質量%とした。
[希土類ボンド磁石の製造と密度の評価]
試料8〜14の原料をそれぞれ用い、上記と同様にして成型圧力を変えながら各原料について複数の希土類ボンド磁石を作製した。そして、全ての希土類ボンド磁石について、密度を測定した。得られた結果を図4に示す。図4は、試料8〜14を用いて希土類ボンド磁石の製造を行った場合の、成型圧力に対する希土類ボンド磁石の密度を示すグラフである。
図4に示すように、樹脂含有量が少ない試料を用いた場合ほど高い密度が得られることが確認された。なかでも、樹脂含有量が2.00質量%を超えた場合、特に3.00質量%を超えた場合は、密度が大幅に小さくなることが判明した。
2,4…平板状粒子。
Claims (6)
- 樹脂と、平板状の粒子から構成される希土類磁石粉末と、を含む原料を、圧縮して成形する工程を有しており、
前記工程において、前記希土類磁石粉末を構成する前記粒子のうちの少なくとも一部に割れを発生させて、前記粒子よりも小さい平板状の粒子を生じさせる、
希土類ボンド磁石の製造方法。 - 前記原料に含まれる前記希土類磁石粉末が、150μm以上の粒度を有している、請求項1記載の希土類ボンド磁石の製造方法。
- 1000MPa以上の圧力で圧縮して成形する、請求項1又は2記載の希土類ボンド磁石の製造方法。
- 前記原料中の前記樹脂の含有量が、0.5〜1.5質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の希土類ボンド磁石の製造方法。
- 希土類磁石粉末と、この希土類磁石粉末を結合する樹脂と、を含有する希土類ボンド磁石であって、
前記希土類磁石粉末は、平板状の粒子から構成される第1の希土類磁石粉末と、平板状の粒子から構成され前記第1の希土類磁石粉末よりも小さい粒径を有する第2の希土類磁石粉末と、を含有しており、
前記第1の希土類磁石粉末を構成する前記粒子間に、前記第2の希土類磁石粉末を構成する前記粒子が存在している、
希土類ボンド磁石。 - 前記樹脂の含有量が、0.5〜1.5質量%である、請求項5記載の希土類ボンド磁石。
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