JP2008105594A - 車両用サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用サイドエアバッグ装置1は、サイドエアバッグ10と、膨張用ガス供給装置20とを備える。サイドエアエアバッグ10は、肩部チャンバ11Aと、腹部チャンバ12Aと、腰部チャンバ13Aを有する。膨張用ガス供給装置20は、1以上のインフレータ21を有し、腹部チャンバ12Aを他のチャンバ11A、13Aより、低圧で、かつ先行して、展開膨張させる。乗員腹部42の剪断力を低減でき他のチャンバ11A、13Aが腹部チャンバ12Aの展開領域に侵入するのを抑制できる。膨張用ガス供給装置20が、低圧インフレータ21Aと高圧インフレータ21Bを有していてもよい。または、膨張用ガス供給装置20が、単一のインフレータ21とガス分流装置29を有していてもよい。
【選択図】 図1
Description
それを抑制するために、肩部チャンバ、腰部チャンバと胸部、腹部チャンバとを同時に展開膨張させると、腹部を高圧のチャンバで押すことになり、耐衝撃性の低い腹部にダメージを与えるおそれがある。たとえ、特許文献2のように、肩部チャンバ、腰部チャンバよりも胸部チャンバの展開膨張内圧を低くすることを腹部チャンバに適用しても、高圧の肩部チャンバ、腰部チャンバが低圧の腹部チャンバの展開領域に侵入して展開膨張し、肩部、腰部だけでなく腹部にもチャンバの高圧がかかり、腹部にダメージを与えるおそれが依然残る。
(1) サイドエアバッグと、該サイドエアバッグに膨張用ガスを供給する膨張用ガス供給装置とを備えた車両用サイドエアバッグ装置であって、
前記サイドエアエアバッグが、側突時に着座乗員の肩部の横に展開して肩部チャンバを形成する第1のエアバッグ部分と、腹部の横に展開して腹部チャンバを形成する第2のエアバッグ部分と、腰部の横に展開して腰部チャンバを形成する第3のエアバッグ部分を有しており、
前記膨張用ガス供給装置が、1以上のインフレータを有し、前記第2のエアバッグ部分を前記第1のエアバッグ部分および前記第3のエアバッグ部分より、低圧で、かつ、先行して、展開膨張させるよう設定されている車両用サイドエアバッグ装置。
(2) 前記第1のエアバッグ部分、第2のエアバッグ部分、第3のエアバッグ部分の展開膨張時の内圧ピーク値をそれぞれP1、P2、P3とし、前記第1のエアバッグ部分、第2のエアバッグ部分、第3のエアバッグ部分の展開時刻をそれぞれT1、T2、T3としたとき、P2<P3およびP1、かつ、T2<T3およびT1となるように、前記膨張用ガス供給装置の前記第1、第2、第3のエアバッグ部分の内圧および展開膨張順序が設定されている(1)記載の車両用サイドエアバッグ装置。
(3) 前記膨張用ガス供給装置が、前記第1のエアバッグ部分、第3のエアバッグ部分に接続された高圧インフレータと、前記第2のエアバッグ部分に接続された低圧インフレータとを含み、該低圧インフレータが前記高圧インフレータより先に着火されるよう点火順序が設定されている(1)または(2)記載の車両用サイドエアバッグ装置。
(4) 前記膨張用ガス供給装置が、単一のインフレータと、該単一のインフレータからの膨張用ガスを分流点で分流して前記第1、第2、第3のエアバッグ部分に供給するガス分流装置とを備えており、
該ガス分流装置は、前記分流点から前記第1、第2、第3のエアバッグ部分まで延びる第1、第2、第3の経路と、該第1、第2、第3の経路の前記第1、第2、第3のエアバッグ部分への開口端に位置する第1、第2、第3の噴口とを有しており、
前記第2の経路の長さは前記第1、第3の経路の長さよりも短く設定されており、および/または、前記第2の噴口の径は前記第1、第3の噴口の径よりも小さく設定されている(1)または(2)記載の車両用サイドエアバッグ装置。
(5) 前記サイドエアバッグの展開膨張前の状態では、前記第1のエアバッグ部分と前記第3のエアバッグ部分は上下方向に折り畳まれており、上下方向に折り畳まれた前記第1、第3のエアバッグ部分に該折り畳まれた第1、第3のエアバッグ部分を側方から覆うように前記第2のエアバッグ部分が被せられている(1)〜(4)の何れかに記載の車両用サイドエアバッグ装置。
また、第1のエアバッグ部分と第3のエアバッグ部分を上下方向に折り畳んだので、第1のエアバッグ部分と第3のエアバッグ部分を上下に容易に展開することができる。
まず、本発明の実施例1の車両用サイドエアバッグ装置1を、図1〜図7を参照して説明する。
なお、図1は、助手席に着座した乗員40と展開膨張状態のサイドエアバッグ10を背面から見た場合、または運転席に着座した乗員40と展開膨張状態のサイドエアバッグ10を正面から見た場合を示すが、リアシートの場合もこれに準じる。
車両用サイドエアバッグ装置1は、車両のフロントシートおよび/またはリアシートのシートバックのドア側側部2内に配置される。
ここで、第1、第2、第3のエアバッグ部分11、12、13はサイドエアバッグ10のサイドエアバッグ10のバッグ壁(たとえば、布)をいい、肩部、腹部、腰部チャンバ11A、12A、13Aはサイドエアバッグの展開膨張後のサイドエアバッグ内の空間部分をいう。
さらに具体的には、サイドエアバッグ10の展開初期、展開中期、および展開完了状態において、腹部チャンバ12Aの乗員40に接触する側の部分の上端は、平均的体形の成人男性(たとえば、AM50(American Male を100人並べたときの小柄な方から50番目) )の、ほぼ脇高さ44位置(「ほぼ」は、脇高さ±5cm以内、より好ましくは脇高さ±3cm以内、ただし、乗員の肋骨の側部下端よりは上)にある。サイドエアバッグ10の展開初期において、肩部チャンバ11Aの下端は腹部チャンバ12Aの乗員40に接触する側の部分の上端とほぼ同じ高さかそれより低い位置にある。また、サイドエアバッグ10の展開初期において、腹部チャンバ12Aの乗員40に接触する側の部分の上端は、肩部チャンバ11Aの下端よりも車両左右方向に乗員40側にある。
サイドエアバッグ10の展開初期、展開中期、および展開完了状態において、腹部チャンバ12Aの乗員40に接触する側の部分の下端は、平均的体形の成人女性(たとえば、AF50(American Female を100人並べたときの小柄な方から50番目) )の、ほぼ腰部上端高さ45位置(「ほぼ」は、腰部上端高さ±5cm以内、より好ましくは腰部上端高さ±3cm以内)かそれより下にある。サイドエアバッグ10の展開初期において、腰部チャンバ13Aの上端は腹部チャンバ12Aの乗員40に接触する側の部分の下端とほぼ同じ高さかそれより高い位置にある。また、サイドエアバッグ10の展開初期において、腹部チャンバ12Aの乗員40に接触する側の部分の下端は、腰部チャンバ13Aの上端よりも車両左右方向に乗員40側にある。
展開初期では、第2のエアバッグ部分12が低圧で展開し、膨張途中にある腹部チャンバ12Aが乗員腹部42に沿った形状で乗員腹部42に密着する。これによって、乗員40は腹部42で低圧にて反衝突側に押され、反衝突側への移動を始める。
以上の構成は、本発明の実施例1以外の実施例にも適用され得る。
腹部チャンバ12Aの内圧のピーク値P2を所望の値にチューニングするために、第2のエアバッグ部分12にベントホール(図示せず)を設けてもよい。
まず、図3、図4に示すように、第2のエアバッグ部分12が第1のエアバッグ部分11および第3のエアバッグ部分13より低圧で先行して展開膨張するので、展開初期において腹部チャンバ12Aが乗員40の腹部42に低圧で密着して乗員腹部42を低圧で押し、展開中期において肩部チャンバ11、腰部チャンバ13が乗員40の肩部41、腰部43に密着して肩部41、腰部43を高圧で押す。これによって、乗員40の体全体が反衝突側へほぼ均一速度で移動され、乗員40の腹部42が慣性で元の位置に留まろうとすることはない。その結果、従来(たとえば、特許文献1)に比べて、乗員40の腹部42に大きな剪断力が作用することが抑制される。この場合、第2のエアバッグ部分12の展開膨張は低圧のP2(従来の肩部チャンバ、腰部チャンバの圧力より低い)のため、乗員腹部42にかかる圧力は低く、肩部、腰部チャンバ11A、13Aの高圧チャンバ圧が乗員腹部42にかかることはなく、高圧チャンバ圧(たとえば、従来の肩部チャンバ、腰部チャンバの圧力、または、P1、P3)がかかることによる乗員腹部42のダメージは無い。
以上の作用、効果は、本発明の実施例1以外の実施例にも適用され得る。
また、第2のエアバッグ部分12にベントホールを設けてもよく、その場合には、腹部チャンバ12Aの内圧ピーク値P2を低い側に容易にチューニングすることができる。
つぎに、本発明の実施例2(主に、本発明の実施例1と異なる部分)を、図8、図9を参照して説明する。図1〜図5は、本発明の実施例2にも適用可能か、または適用可能な部分を含むので、図1〜図5も参照する。本発明の実施例2の構成のうち、本発明の実施例1と同じ部分には実施例1と同じ符号を付して説明を省略する。
サイドエアバッグ10を、T2<T3およびT1の展開順序とP2<P3およびP1の内圧の関係で展開膨張させるために、本発明の実施例2では、膨張用ガス供給装置20は、単一のインフレータ21と、該単一のインフレータ21からの膨張用ガスを分流点30で分流して第1、第2、第3のエアバッグ部分11、12、13に供給するガス分流装置29とを備えている。ガス分流装置29とインフレータ21は、望ましくは、シートフレーム6に固定されている。
ガス分流装置29を設けたことにより、インフレータ21を単一のインフレータとすることができ、部品点数の削減、設置スペースの低減とそれによる車載性の向上が得られる。また、ガス分流装置29を備えており、ガス分流装置29の第2の経路24の長さが第1、第3の経路23、25の長さよりも短く、および/または、ガス分流装置の第2の噴口27の径が第1、第3の噴口26、28の径よりも小さいため、腹部チャンバ12Aを肩部チャンバ11Aおよび腰部チャンバ13Aより、低圧で、かつ、先行して展開させることを、機械的に、したがって、確実に、行うことができる。
また、第1のエアバッグ部分11と第3のエアバッグ部分13を上下方向に折り畳んだので、第1のエアバッグ部分11と第3のエアバッグ部分13を上下に容易に展開膨張させることができる。これによって、肩部チャンバ11A、腰部チャンバ13Aを乗員40の肩部41と腰部43の横に速やかに展開膨張させることができると共に、肩部チャンバ11A、腰部チャンバ13Aの腹部チャンバ12A側への展開膨張をより一層抑制することができる。
2 シートバックのドア側部
3 ケース
4 縫合部
5 サイドドア
6 シートフレーム
10 サイドエアバッグ
11 第1のエアバッグ部分
12 第2のエアバッグ部分
13 第3のエアバッグ部分
11A 肩部チャンバ
12A 腹部チャンバ
13A 腰部チャンバ
20 膨張用ガス供給装置
21 インフレータ
21A 低圧インフレータ
21B 高圧インフレータ
22 ガス分流装置
23 第1の経路
24 第2の経路
25 第3の経路 26 第1の噴口
27 第2の噴口
28 第3の噴口
29 ガス分流装置
30 分流点
40 乗員
41 肩部
42 腹部
43 腰部
44 成人男性の脇高さ
45 成人女性の腰上端高さ
Claims (5)
- サイドエアバッグと、該サイドエアバッグに膨張用ガスを供給する膨張用ガス供給装置とを備えた車両用サイドエアバッグ装置であって、
前記サイドエアエアバッグが、側突時に着座乗員の肩部の横に展開して肩部チャンバを形成する第1のエアバッグ部分と、腹部の横に展開して腹部チャンバを形成する第2のエアバッグ部分と、腰部の横に展開して腰部チャンバを形成する第3のエアバッグ部分を有しており、
前記膨張用ガス供給装置が、1以上のインフレータを有し、前記第2のエアバッグ部分を前記第1のエアバッグ部分および前記第3のエアバッグ部分より、低圧で、かつ、先行して、展開膨張させるよう設定されている車両用サイドエアバッグ装置。 - 前記第1のエアバッグ部分、第2のエアバッグ部分、第3のエアバッグ部分の展開膨張時の内圧ピーク値をそれぞれP1、P2、P3とし、前記第1のエアバッグ部分、第2のエアバッグ部分、第3のエアバッグ部分の展開時刻をそれぞれT1、T2、T3としたとき、P2<P3およびP1、かつ、T2<T3およびT1となるように、前記膨張用ガス供給装置の前記第1、第2、第3のエアバッグ部分の内圧および展開膨張順序が設定されている請求項1記載の車両用サイドエアバッグ装置。
- 前記膨張用ガス供給装置が、前記第1のエアバッグ部分、第3のエアバッグ部分に接続された高圧インフレータと、前記第2のエアバッグ部分に接続された低圧インフレータとを含み、該低圧インフレータが前記高圧インフレータより先に着火されるよう点火順序が設定されている請求項1または請求項2記載の車両用サイドエアバッグ装置。
- 前記膨張用ガス供給装置が、単一のインフレータと、該単一のインフレータからの膨張用ガスを分流点で分流して前記第1、第2、第3のエアバッグ部分に供給するガス分流装置とを備えており、
該ガス分流装置は、前記分流点から前記第1、第2、第3のエアバッグ部分まで延びる第1、第2、第3の経路と、該第1、第2、第3の経路の前記第1、第2、第3のエアバッグ部分への開口端に位置する第1、第2、第3の噴口とを有しており、
前記第2の経路の長さは前記第1、第3の経路の長さよりも短く設定されており、および/または、前記第2の噴口の径は前記第1、第3の噴口の径よりも小さく設定されている請求項1または請求項2記載の車両用サイドエアバッグ装置。 - 前記サイドエアバッグの展開膨張前の状態では、前記第1のエアバッグ部分と前記第3のエアバッグ部分は上下方向に折り畳まれており、上下方向に折り畳まれた前記第1、第3のエアバッグ部分に該折り畳まれた第1、第3のエアバッグ部分を側方から覆うように前記第2のエアバッグ部分が被せられている請求項1〜請求項4の何れかに記載の車両用サイドエアバッグ装置。
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