JP2008105313A - ハードコート構造を備えた透明体、およびハードコート構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線遮蔽機能をもつハードコート構造をPC基材上に備えながら、ハードコート構造に膜剥がれが生じにくい透明体を提供する。
【解決手段】樹脂製の透明基材と、透明基材上に搭載されたハードコート構造とを有する透明体であって、ハードコート構造は、基材側に配置された紫外線吸収層と、その上に配置されるハードコート層とを含む。紫外線吸収層と基材との間には無機化合物バッファ層を挿入する。このバッファ層により、紫外線吸収層と基材との密着性を向上させる。基材はポリカーボネートであり、紫外線吸収層は酸化亜鉛膜である場合、バッファ層は酸化珪素膜を用いることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材上にハードコート構造を備えた透明体に関し、特に、紫外線遮蔽機能をもつハードコート構造を備えた透明体に関する。
従来よりレンズ等の透明部材は、表面の傷や割れを防止するためにハードコート層が設けられる。ハードコート層としては、一般的に酸化珪素(SiOx)薄膜が用いられる。SiOx膜は、ガラスと同等の硬度を有し、傷やレンズの損傷を防止する。膜厚は、μmオーダーであることが望ましい。SiOx膜は、CVD(化学的気相成長)法やスパッタ法等の真空蒸着や塗布法によって成膜される。
また、透明部材の基材がポリカーボネート(以下PCと記す)からなる場合、PCが波長250〜360nmの紫外線によって黄変する性質があるため、ハードコート層とは別に、紫外線を遮蔽する層を設け、黄変を防止する必要がある。紫外線を遮蔽する層としては、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物薄膜からなる紫外線吸収層が用いられる。ZnOは、約3.3eVのバンドギャップを持つ半導体で380nm付近以下の紫外線を吸収し、数千オングストロームの膜厚でPCの黄変を防止できる。他にITO(酸化インジウム・スズ)膜やTiO膜等を用いることができる。ZnO膜はイオンプレーティングやスパッタ等の真空蒸着又は塗布によって成膜する。
紫外線吸収層とハードコート層とを組み合わせて用いる場合、従来図4のように、透明基材1上に紫外線吸収層2を配置し、最上層にハードコート層3を設ける。このような二層構造で紫外線遮蔽機能を持つハードコートは、例えば特許文献1に開示されている。
図4のような紫外線吸収層とハードコート層の2層からなるハードコート構造は、例えば自動車用ヘッドランプに用いられる。ヘッドランプの構造は、特許文献2に記載されているようにランプが固定されたハウジングの前面にPC製のレンズが密封接着されている。レンズの内壁への入射光はランプからの光に限られ、PC製のレンズを黄変させる波長は含まれないため、レンズの内壁には紫外線吸収層は不要である。そこで、太陽光等が入射するレンズの外壁には、図4のような紫外線吸収層とハードコート層の積層構造を設けることにより、レンズ基材がPCであっても傷や損傷を防止でき、しかも黄変を防止することができる。
特開平7−267683号公報 特開2000−207908号公報
しかしながら、紫外線吸収層(ZnO膜)とハードコート層の2層からなるハードコート構造をPC基材上に設けた場合、PC基材とZnO膜との界面からハードコート構造が剥離するという問題が生じる。この現象は、基材がガラス製である場合には生じず、PC基材に特有の現象である。
本発明の目的は、紫外線遮蔽機能をもつハードコート構造をPC基材上に備えながら、ハードコート構造に膜剥がれが生じにくい透明体を提供することにある。
発明者らは、紫外線吸収層(ZnO膜)とハードコート層の2層からなるハードコート構造をPC基材上に設けた場合、PC基材とZnO膜との界面からハードコート構造が剥離するメカニズムを研究した。その結果、ハードコード層は、ハードコートとして機能するためにμmオーダーの厚膜にする必要があるため、層の内部応力が大きく、この内部応力によるストレスが、PC基材とZnO層との間の密着力を超えてしまうためにハードコート構造が基材から剥離するものと考えられる。このことは、剥離現象が、基材がガラス製である場合には生じず、PC基材に特有の現象であり、PC基材の上にハードコートのみを設けた場合には生じないという実験結果と一致する。
これらの知見に基づき、上記目的を達成するために本発明の第1の態様では、以下のような透明体を提供する。すなわち、樹脂製の透明基材と、透明基材上に搭載されたハードコート構造とを有する透明体であって、ハードコート構造は、基材側に配置された紫外線吸収層と、その上に配置されたハードコート層とを含む。紫外線吸収層と基材との間には無機化合物バッファ層を挿入する。このバッファ層により、紫外線吸収層と基材との密着性を向上させる。
例えば、基材はポリカーボネートであり、紫外線吸収層は酸化亜鉛膜である場合、バッファ層は酸化珪素膜を用いることができる。発明者らの評価実験によると酸化珪素は、酸化亜鉛膜およびポリカーボネートの両方に密着性が高い。
バッファ層の膜厚は1000オングストローム以上であることが好ましい。これにより、基材表面の凹凸をバッファ層により覆うことができる。なお、ハードコート層は、酸化珪素膜を用いることができる。
本発明の第2の態様によれば、ポリカーボネート基材と、基材上に順に積層された、第1の酸化珪素膜と、酸化亜鉛膜と、第2の酸化珪素膜とを有する透明体が提供される。第1の酸化珪素膜は、酸化亜鉛膜とポリカーボネート基材との密着性を高めることができる。第2の酸化珪素膜は、ハードコートとして機能することができる。
第1の酸化珪素膜の膜厚は1000オングストローム以上であり、第2の酸化珪素膜の膜厚は1μm以上であることが望ましい。
本発明の第3の態様によれば、以下のようなハードコート構造が提供される。すなわち、基材側に配置された紫外線吸収層と、その上に配置されるハードコート層とを含むハードコート構造であって、紫外線吸収層は、酸化亜鉛膜であり、酸化亜鉛膜と基材との間にはバッファ層が配置されている。バッファ層は、酸化亜鉛膜と基材との密着性を高める。例えば、バッファ層として、酸化珪素膜を用いることができる。
本発明の第4の態様によれば、以下のようなハードコート構造が提供される。すなわち、基材上に順に積層された、第1の酸化珪素膜と、酸化亜鉛膜と、第2の酸化珪素膜とを有するハードコート構造である。第1の酸化珪素膜は、酸化亜鉛膜と基材との密着性を高めることができ、第2の酸化膜は、ハードコートとして機能することができる。
本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。
まず、本実施の形態の透明体の構造について図面を用いて説明する。本実施の形態の透明体は、PC(ポリカーボネート)製の基材と、これを傷や損傷から保護するためのハードコート構造とを備えるものであり、ハードコート構造は、PC製基材を黄変させる紫外線を遮蔽する機能を備える。このような透明体の一例としては、ヘッドランプのPCレンズ、眼鏡のPCレンズ、PCを使用した窓等の建材、ならびに、PCを使用した自動車窓等が挙げられるが、本実施の形態の透明体は、これらに限定されるものではなく、他の用途の透明体にも適用される。
具体的には、図1に示したように、透明体は、PC製の基材1と、その上に配置されたハードコート構造5を有する。ハードコート構造5は、基材1側から順に積層されたバッファ層4、紫外線吸収層2、およびハードコート層3の3層である。バッファ層4およびハードコート層3の材質は、SiOxである。xは、1.5<x<2.0であることが望ましく、1.7≦x≦1.8であることがさらに望ましい。紫外線吸収層2の材質は、酸化亜鉛(ZnO)である。
バッファ層(SiOx膜)4の膜厚は、1000オングストローム以上10μm以下であり、5000オングストローム以上であることが望ましい。紫外線吸収層(ZnO膜)2の膜厚は500オングストローム以上2μm以下であることが望ましい。ハードコート層(SiOx膜)3の膜厚は、ハードコートとして機能しうる硬度を生じるために1000オングストローム以上であることが望ましく、1μm以上20μm以下であることがより望ましい。
つぎに、ハードコート構造の各層の機能について説明する。ハードコート層3は、基材1に傷や割れが生じるのを防止するために最表層に配置されている。紫外線吸収層2を構成するZnOは、約3.3eVのバンドギャップを有し、380nm付近以下の紫外線を吸収する性質を有する。ZnOからなる紫外線吸収層2を配置したことにより、PC基材1に黄変を生じさせる波長250〜360nmの紫外線を紫外線吸収層2に吸収させることができる。バッファ層4は、基材1と紫外線吸収層(ZnO膜)2との密着性を高め、ハードコート構造全体が基材1から剥がれるのを防止するために配置されている。また、バッファ層4には、基材1の透明性を損なわない透明性と、バッファ層4自身が黄変等を生じない材料で形成されていることが必要である。
発明者らは、本実施の形態の透明体のハードコート構造を設計するにあたって、PC基材とSiOx膜との密着性、ならびにZnO膜とSiOx膜との密着性を予め測定した。密着性の測定は、JIS D0202 8.12に準ずるゴバン目試験により行った。ただし、試験に用いた試料のSiOx膜の膜厚は1μm、ZnO膜の膜厚は2000オングストロームとした。その結果、PC基材とSiOx膜との密着性、および、ZnO膜とSiOxとの密着性は、いずれも1であり、これらの密着性は良好であることがわかった。これに対し、PC基材とZnO膜のゴバン目試験の結果は4であり、密着性は低かった。このため、バッファ層4を配置しない場合には、ハードコード層3の膜厚を厚くすると、ハードコート層3の内部応力が大きくなり、この内部応力によるストレスがPC基材とZnO膜間の密着力よりも超えるとハードコート構造5が基材1から剥離すると考えられる。
この結果に基づき、本実施の形態では、PC基材1と紫外線吸収層(ZnO膜)2との間に、バッファ層4としてSiOx膜を挟むことにより、密着性の悪いPC基材1とZnO膜(紫外線吸収層)2との接触を回避した。上記試験結果によると、PC基材1とSiOx膜との密着性はゴバン目試験で1と高いため、PC基材1とバッファ層4との界面における密着性は高い。また、上記試験結果によるとZnO膜とSiOx膜との密着性もゴバン目試験で1と高いため、紫外線吸収層(ZnO膜)2とバッファ層(SiOx膜)4との界面における密着性、ならびに紫外線吸収層(ZnO膜)2とハードコート層(SiOx膜)3との界面における密着性も高い。このように本実施の形態では、SiOx膜をバッファ層4として配置したことにより、透明体の全ての界面における密着性を高くすることができる。しかも、SiOx膜は、ハードコート層3としても用いられているように透明性が高く、黄変等も生じにくい。ZnO膜による紫外線吸収機能を有するハードコート構造を備えた透明体でありながら、各界面の密着性が高く、剥離の生じにくい透明体を提供することができる。また、バッファ層4とハードコート層3とを同じ材質にすることにより、成膜が容易になるという効果もある。
つぎに、本実施の形態の透明体の製造方法について説明する。ここでは、直流プラズマを用いた化学的気相成長(CVD)法と、直流プラズマを用いた真空蒸着法とを行うことができる図2の成膜装置を用いて透明体のハードコート構造5を連続して形成する。
図2の成膜装置は、プラズマガン31と成膜室7とを備えている。成膜室7には、プラズマガン31と対向する位置にアノード電極38が配置され、直流プラズマがプラズマガン31からアノード電極38に向かって生じる。これらの間の空間に反応ガス37を導入するための反応ガス導入管8が備えられ、反応ガス導入管8と向かい合う位置に基材1を保持する基材ホルダー36が備えられている。これらの構成により、CVD法により成膜を行うことができる。また、成膜室7内には、電極を兼ねた坩堝33が配置され、プラズマガン31からのプラズマを坩堝33内の材料に導くことにより、坩堝33内に充填されているZnO34を蒸発させ、蒸着法による成膜を行うことができる。プラズマガン31とアノード電極38と坩堝33には、それぞれ電源10が接続されている。プラズマガン31の外側、ならびに、成膜室7の外側にはそれぞれ中心軸が一致するように電磁石12が配置されている。電磁石12は、プラズマガン31が発生したプラズマ35をビーム状に収束する作用をする。
まず、基材1を基材ホルダー36にセットし、成膜室7を所定の圧力まで排気した後、バッファ層4となるSiOx層をCVD法により形成する。すなわち、プラズマガン31にキャリアガス32を導入し、プラズマガン31とアノード電極38間に電圧を掛けプラズマ35を発生させる。そこに反応ガス37としてシロキサンを反応ガス導入管8から導入し、重合反応を生じさせ、基材1にSiOxを所定の厚さまで堆積させる。これにより、バッファ層(SiOx層)4を形成する。
SiOx成膜後、成膜室7を開放することなく、紫外線吸収層2となるZnO層を真空蒸着法により形成する。すなわち、プラズマガン31と坩堝33間に電圧を掛け、坩堝33との間にプラズマ35を発生させる。これにより、坩堝33内のZnO34を加熱して蒸発させ、基材1上に所定の厚さまで堆積させる。これにより、紫外線吸収層(ZnO層)2を形成する。
ZnO層成膜後、成膜室7を開放することなく、再びSiOx層を成膜し、ハードコート層3を形成する。成膜方法は、バッファ層4の上記成膜方法と同じCVD法である。ただし、ハードコート層3は、ハードコートとして機能を発揮させるために上述した所定の膜厚に成膜する。
以上により、図1のように基材1上に三層構造のハードコート構造5を備えた透明体を製造することができる。しかも、連続成膜が可能であるため、効率よくハードコート構造を成膜できる。
このように本実施の形態の透明体は、バッファ層(SiOx膜)4を基材1と紫外線吸収層2の間に配置したことにより、すべての界面の密着性を高めることができる。これにより、ハードコート層(SiOx膜)3よりも基材1側に紫外線吸収層2としてZnO膜を備えながらも、ハードコート構造5が基材1から剥がれにくい。よって、紫外線吸収層2によってPC基材1の黄変を防ぎ、かつ、ハードコート層3によって基材1の傷や損傷を防ぐことができる。
本実施の形態の透明体の構造は、ヘッドランプのPCレンズ、眼鏡のPCレンズ、PCを使用した窓等の建材、ならびに、自動車のPCを使用した窓等に適用することができる。例えば、自動車用ヘッドランプに用いる場合、ランプが固定されたハウジングの前面に密封接着されたPC製レンズに、本実施の形態のハードコート構造5を適用することができる。すなわち、PC製レンズを基材1として、その表面にハードコート構造5を設けることができる。PC製レンズの内壁への入射光はランプからの光に限られ、PC製のレンズを黄変させる紫外波長は含まれないため、レンズの内壁には紫外線吸収層は不要である。そこで、太陽光等が入射するレンズの外壁に、本実施の形態ハードコート構造5を設ける。これにより、レンズ基材がPCであっても傷や損傷を防止でき、しかも黄変を防止することができる。
以下、本発明の一実施例について説明する。
本実施例では、図1の構造の透明体を製造した。バッファ層4およびハードコート層3の材質は、SiOx(1.5<x<2.0)である。紫外線吸収層2の材質は、ZnOである。基材1は、PCであり、板状(厚さ5mm)とした。
バッファ層(SiOx膜)4の膜厚は、1000オングストローム、5000オングストローム、1μmの3種類とした。紫外線吸収層(ZnO膜)2の膜厚は2000オングストローム、ハードコート層(SiOx膜)3の膜厚は2μmとした。
各層の成膜は、実施の形態で説明した製造手順の通り、図2の成膜装置を用いて行った。キャリアガス32としては、Arを用いた。バッファ層4およびハードコート層3となるSiOx膜の成膜時の反応ガス37は、ヘキサメチルジシロキサンを用いた。
また、比較例として、バッファ層4のみを備えず、他の構成については本実施例と同様にした比較例の透明体を製造した。製造は、図2の成膜装置を用いて、バッファ層4の工程のみを行わず、他の工程については本実施例と同様に行った。
バッファ層4の膜厚の異なる3種類の実施例の透明体と、比較例の透明体について、ハードコート構造5の密着性を測定した。密着性の測定は、JIS D0202 8.12に準ずるゴバン目試験により行った。その結果を表1に示す。
Figure 2008105313
表1より、バッファ層4を備えた実施例の透明体はゴバン目試験の値が3以下であるのに対し、バッファ層4を備えない比較例の透明体の値は4であり、実施例の透明体の方がハードコート構造5の基材1への密着性が高いことが確認された。また、実施例の透明体は、バッファ層4の膜厚が厚くなるにつれてゴバン目試験の値が小さくなっており、バッファ層4は厚い方が密着性が高いことがわかった。その理由は、バッファ層4が1000オングストロームの場合、ポリカーボネート基材1の表面の凹凸を覆いきれず、部分的に基材1が紫外線吸収層(ZnO膜)2に直接接触して、バッファ層4の作用を十分に発揮できないためであると考えられる。
よって、バッファ層4の厚さは、透明体に要求されるハードコート構造5の密着性に応じて定め、高い密着性が要求される場合には、バッファ層を厚くすることが望ましい。例えば、透明体が自動車用ヘッドランプの前面レンズである場合には、ハードコート構造5の密着性は2以下であることが望ましいため、バッファ層4の厚さを5000オングストローム以上にする。さらに強固にハードコート構造5を付ける必要がある場合には、バッファ層2の膜厚を1μm以上にすることが望ましい。
また、本実施例の透明体の透過率を確認するため、本実施例の厚さ1μmのバッファ層4を備えた透明体と、比較例のバッファ層4を備えない透明体について、透過率を測定した。(なお、基材1の透過率の影響を除去するために、透過率測定用の実施例及び比較例の試料については、基材1の材質を石英に変更している。)測定結果を図3に示す。図3から明らかなように、実施例の透明体(試料)と比較例の透明体(試料)は、400nm以下における紫外線吸収に差異は見られず、バッファ層4を追加したことにより透明体としての特性劣化がないことを確認できた。
本実施の形態のハードコート構造5を備えた透明体の構造を示す断面図。 本実施の形態において透明体の製造に用いる成膜装置の概略構成を示すブロック図。 実施例の透明体と比較例の透明体の透過率を示すグラフ。 従来のハードコート構造を備えた透明体の構造を示す断面図。
符号の説明
1…基材(ポリカーボネート)、2…紫外線吸収層(ZnO膜)、3…ハードコート層(SiOx膜)、4…バッファ層(SiOx膜)、5…ハードコート構造、7…成膜室、8…反応ガス導入管、10…電源、12…電磁石、31…プラズマガン、32…キャリアガス、33…坩堝、34…ZnO、35…プラズマ。

Claims (11)

  1. 樹脂製の透明基材と、該透明基材上に搭載されたハードコート構造とを有する透明体であって、
    前記ハードコート構造は、前記基材側に配置された紫外線吸収層と、その上に配置されたハードコート層とを含み、前記紫外線吸収層と基材との間には無機化合物バッファ層が配置されていることを特徴とする透明体。
  2. 請求項1に記載の透明体において、前記バッファ層は、前記ハードコート層と同じ材質であることを特徴とする透明体。
  3. 請求項1または2に記載の透明体において、前記基材は、ポリカーボネートであり、前記紫外線吸収層は、酸化亜鉛膜であり、前記バッファ層は、酸化珪素膜であることを特徴とする透明体。
  4. 請求項2に記載の透明体において、バッファ層の膜厚は1000オングストローム以上であることを特徴とする透明体。
  5. 請求項1ないし4に記載の透明体において、前記ハードコート層は、酸化珪素膜であることを特徴とする透明体。
  6. ポリカーボネート基材と、該基材上に積層された、酸化亜鉛膜と、ハードコート層とを有し、前記基材と酸化亜鉛膜との間には、酸化珪素膜が配置されていることを特徴とする透明体。
  7. ポリカーボネート基材と、該基材上に順に積層された、第1の酸化珪素膜と、酸化亜鉛膜と、第2の酸化珪素膜とを有することを特徴とする透明体。
  8. 請求項7に記載の透明体において、前記第1の酸化珪素膜の膜厚は1000オングストローム以上であり、前記第2の酸化珪素膜の膜厚は1μm以上であることを特徴とする透明体。
  9. 基材側に配置された紫外線吸収層と、その上に配置されるハードコート層とを含むハードコート構造であって、
    前記紫外線吸収層は、酸化亜鉛膜であり、前記酸化亜鉛膜と基材との間にはバッファ層が配置されていることを特徴とするハードコート構造。
  10. 請求項9に記載のハードコート構造において、前記バッファ層は、酸化珪素膜であることを特徴とするハードコート構造。
  11. 基材上に順に積層された、第1の酸化珪素膜と、酸化亜鉛膜と、第2の酸化珪素膜とを有することを特徴とするハードコート構造。
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