JP2008103466A - 半導体レーザ - Google Patents

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Abstract

【課題】1つの電極への注入電流制御により単一モード性を保ったまま連続的に5nm程度以上発振波長を変化させることができ、活性導波路層及び非活性導波路層への電流注入も効率良く行うことができ、簡便に作製することができる半導体レーザを提供する。
【解決手段】異なる周期L1、L2を有し、活性導波路層2と非活性導波路層3とが光の伝搬方向に沿って交互に複数繰り返す周期構造を有する複数のレーザ部A1、A2を直列に接続した光導波路層において、レーザ部A1、A2の活性導波路層2と非活性導波路層3の長さの比を全て等しくし、各活性導波路層2a1、2a2に対応して設けた電極7a1、7a2同士を短絡し、各非活性導波路層3t1、3t2に対応して設けた電極8t1、8t2同士を短絡し、光導波路層の全長に渡って回折格子5を設け、回折格子5の途中に位相シフト10を設けた半導体レーザ。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ通信用光源及び光計測用光源として用いられる波長可変半導体レーザに関し、特に、光通信における光波長(周波数)多重システム用光源及び広帯域波長帯をカバーする光計測用光源に好適なものである。
通信情報量の増大に対して、光波長(周波数)多重通信システムの研究が行われているが、送信用光源及び同期検波用可同調光源として広範囲な波長調整機能が要求されており、又、光計測の分野からも広域波長帯をカバーする波長可変光源の実現が望まれている。これまでに、種々の可変波長光源が研究されてきたが、それらを大別すると、1つの発振モードで連続的に波長が変わるものと、モード跳びを伴って不連続に波長が変わるものとに分けることができる。実際のシステムヘの応用を考えた場合、制御性の面から、連続的に波長が変わるものの方が好ましい。又、波長変化を制御するために、温度を変化させて屈折率を制御するものと、電流注入による屈折率変化を用いるものの二つが主に使われているが、波長変化速度を考えると、電流注入による屈折率変化を用いた方が速い波長切り替えが可能である。
電流注入による屈折率変化を用いて連続的に発振波長を変化させることができる半導体レーザとしては、分布反射型レーザ(DBRレーザ)や二重導波路レーザ(TTGレーザ)などが研究されており、連続波長可変幅としてDBRレーザでは4.4nm、TTGレーザでは7nmという値が報告されている。近年では、DBRレーザのモード跳びを抑えるために、活性層領域を短くした、いわゆる短共振器DBRレーザも研究されている。
モード跳びをともなった不連続な波長可変幅としては、DBRレーザで10nmという値が得られている。又、不連続ではあるが広い波長可変幅が得られる半導体レーザとして、Y分岐レーザ、超周期構造回折格子レーザなどが試作され、50〜100nmの波長可変幅が得られている。
しかしながら、上記従来技術においては次のような問題があった。
TTGレーザでは、光の増幅作用を行う活性導波路層に電流注入してレーザ発振動作を生じさせ、該活性導波路層のすぐ近くに形成される波長制御用非活性導波路層に独立に電流注入することにより、発振波長を変化させる。ここで、回折格子の周期をΛ、導波路の等価屈折率をnとすれば、ブラッグ波長λbは、
λb=2nΛ (1)
と表される。レーザはこのブラッグ波長近傍の1つの共振縦モードで発振動作する。非活性導波路層に電流注入を行うと、導波路の等価屈折率が変化し、式(1)より、ブラッグ波長もそれに比例して変化する。ここで、ブラッグ波長の変化の割合△λb/λbは、
△λb/λb=△n/n (2)
となり、等価屈折率の変化の割合△n/nと等しくなる。又、電流注入による等価屈折率の変化に伴い、共振縦モード波長も変化する。TTGレーザの場合、共振器全体の等価屈折率が一様に変化するので、共振縦モード波長の変化の割合△λr/λrは等価屈折率の変化の割合△n/nに等しくなる。すなわち、
△λr/λr=△n/n (3)
となる。式(2)、式(3)より、TTGレーザでは、ブラッグ波長の変化と共振縦モードの変化が等しくなるので、最初に発振したモードが保たれたまま連続的に発振波長が変化するという大きな特徴を有する。しかしながら、単一横モード発振動作をさせるためには二重導波路の幅は1〜2μmにする必要があり、更に活性層と波長制御層との間に形成されるn型スペーサ層の厚さを1μm以下まで薄くする必要があるため、通常の半導体レーザで用いられている埋め込み構造にすることができず、それぞれの導波路層に効率良く電流を注入するための構造にすることが、製作上非常に困難であるという問題があった。又、通常の半導体レーザ構造と異なるため、半導体光増幅器などとの集積化が困難であり、多機能な集積デバイスを構成できないという問題点があった。
それに対してDBRレーザでは、光の増幅作用を行う活性導波路層と非活性導波路層とが直列に接続されている構造なので、通常の半導体レーザと同様に電流狭窄を行うための埋め込みストライプ構造を用いることができ、更に各々の導波路層に独立に電流注入を行うことは、各々の導波路層の上方に形成される電極を分離することにより容易に実現される。非活性導波路層への電流注入により、等価屈折率を変えてブラッグ波長を変化させる機構はTTGレーザと同様であるが、等価屈折率の変化する領域が共振器の一部に限られているために、ブラッグ波長の変化量と共振縦モード波長の変化量とは一致しない。共振縦モード波長の変化の割合△λr/λrは、全共振器長さLに対する分布反射器の実効長Leの割合分だけ等価屈折率の変化の割合△n/nよりも少なくなり、
△λr/λr=(Le/L)・(△n/n) (4)
となる。従って、式(2)、式(4)より、DBRレーザでは波長制御電流を注入するにつれてブラッグ波長と共振縦モード波長とが相対的に離れていくため、モード跳びを生じてしまうという欠点を持っていた。モード跳びを生じさせないためには、回折格子が形成されていない位相調整領域を設けて、そこへの電流注入により共振縦モードの変化量とブラッグ波長の変化量とを一致させる必要がある。しかし、この方法では2つの電極への波長制御電流を制御するための外部回路が必要になり、装置構造及び制御が複雑になるという問題があった。モード跳びを生じさせないもう一つの方法として、共振器長を短くして縦モード間隔を広げる短共振器DBRレーザが考えられるが、活性層を短くする必要があるため、大きな出力を得るのが困難であるという問題点があった。
TTGレーザ及びDBRレーザにおける連続波長可変幅は、波長制御層の屈折率変化量に制限され、その値は4〜7nm程度に留まっている。波長可変幅を更に広くするには、モード跳びを許容し、波長フィルタの波長変化量が屈折率変化量よりも大きくなるような手段を用いる必要がある。Y分岐レーザや、超周期構造回折格子レーザは、いずれも屈折率変化量よりもフィルタ波長変化量が大きくなる手段を用いている。これらのレーザでは、フィルタ波長を大きく変化させ、なおかつ十分な波長選択性を得るために、2つの電極に流す電流を制御する必要があり、更に共振縦モード波長を制御するための電極も必要となる。その結果、発振波長を調整するのに3つの電極への注入電流を制御しなければならず、制御が非常に複雑になってしまうという問題があった。
これらの課題を解決するべく、1つの電極への注入電流制御により連続的に4〜7nm程度発振波長を変化させることができ、なおかつ活性導波路層及び非活性導波路層への電流注入も効率良く行える半導体レーザを得ることと、モード跳びを伴うけれども、2つの電極への注入電流制御により、50〜100nm程度の範囲にわたって発振波長を変化させることができる半導体レーザが開発されている。非特許文献1及び特許文献1には、分布活性DFBレーザ(TDA−DFB−LD)の構造が開示されている。この構造によれば、活性層体積も十分確保できるため、高出力化を図ることが可能である。
図6に、非特許文献1に開示された分布活性DFBレーザの構造の断面図を示す。
この分布活性DFBレーザは、下部クラッド21上に、活性導波路層22と非活性導波路層23(波長制御領域)が交互に周期的に縦続接続された構造となっている。そして、それらの上に上部クラッド24が形成されて、その上部クラッド24上に、活性導波路層22、非活性導波路層23に対応する電極25、26が形成されると共に、下部クラッド21の下部に共通の電極27が形成されている。活性導波路層22への電流注入により発光するとともに利得が生じるが、それぞれの導波路には凹凸、すなわち回折格子28が形成されており、回折格子周期に応じた波長のみ選択的に反射されレーザ発振が起こる。一方、非活性導波路層23への電流注入によりキャリア密度に応じてプラズマ効果により屈折率が変化するため、非活性導波路層23の回折格子28の光学的な周期は変化する。非活性導波路層23の等価屈折率が変化し、1周期の長さに対する波長制御領域の長さの割合分だけ共振縦モード波長が短波長側にシフトする。繰り返し構造の1周期の長さをL、波長制御領域長をLtとすれば、共振縦モード波長の変化の割合は、
△λr/λr=(Lt/L)・(△n/n) (5)
となる。
一方、複数の反射ピークの各波長も、電流注入による等価屈折率の変化の結果、短波長側にシフトする。反射ピーク波長は繰り返し構造の1周期内の平均等価屈折率変化に比例するので、反射ピーク波長の変化の割合△λS/λSは、
△λS/λS=(Lt/L)・(△n/n) (6)
となる。
式(5)、式(6)より、反射ピーク波長と共振縦モード波長とは同じ量だけシフトする。従って、このレーザでは、最初に発振したモードを保ったまま連続的に波長が変化する。
特許文献1に開示されている分布活性DFBレーザの構造を図7に示す。
この分布活性DFBレーザも、下部クラッド31上に、活性導波路層32と非活性導波路層33が交互に周期的に縦続接続されたものであり、それらの上に上部クラッド34が形成されて、その上部クラッド34上に、活性導波路層32、非活性導波路層33に対応する電極35、36が形成されると共に、下部クラッド31の下部に共通の電極37が形成された構造である。この分布活性DFBレーザでは、回折格子38を一部のみに形成しているが、図6の分布活性DFBレーザと同じように連続的に波長変化する。又、特許文献1においては、図7に示す分布活性DFBレーザの構造を、周期をL1、L2に変えて2つ縦続接続した構造(図8)も開示されている。
Ishii et a1, "A Tunable Distributed Amplification DFB Laser Diode (TDA-DFB-LD)", IEEE Photonics Technology letters, voL10, no.1, Jan 1998. 特許3237733号公報
しかしながら、図6に示す分布活性DFBレーザの構造では、電流注入による波長変化量が増加するに従って、活性導波路層22と非活性導波路層23との周期変調が生じるために副モードが増大し、単一モード特性が劣化するという現象が生じる。図9は、図6に示す分布活性DFBレーザの構造の反射特性を示した説明した図である。図9(a)は、活性導波路層22と非活性導波路層23が同じ屈折率を有した状態の反射特性であり、図9(b)は、非活性導波路層23に電流を注入して活性導波路層22と非活性導波路層23の屈折率に差が生じた状態の反射特性、図9(c)は図9(b)よりも更に屈折率差が大きくなった状態の反射特性である。このように、非活性導波路層23への電流注入により主ピークは短波長側にシフトしていくが、それに応じて副モードが増大するのである。
又、図7に示す分布活性DFBレーザの構造においては、初めから回折格子38を限定して周期的に作製することにより、最初から図9(c)のような副モードが生じた状態を作り出している。その上で、活性導波路層32と非活性導波路層33との繰返し周期の異なる2つの領域を縦続接続した構造(図8)とすることにより二つの領域の副モード間隔を変え、副モードの増大を防ぐとともに、2つの領域の非活性導波路層33への電流注入量を変化させることで、共振させる反射ピークを変えて、広範囲での波長可変を可能としている。しかしながら、この方法を用いた場合、回折格子38を作製する領域を限定しているため、パターンを作製する電子ビーム(EB)描画が複雑になるという問題点があった。又、回折格子38が均等でないため、エッチングを均等に行うことが難しいという問題点があった。更に、共振器全体の反射率を確保するためには、部分的に存在している回折格子38の結合係数を大きくする必要があり、作製が困難であるという問題点があった。
本発明の目的は、上記問題を解決し、1つの電極への注入電流制御により単一モード性を保ったまま連続的に5nm程度以上発振波長を変化させることができ、なおかつ活性導波路層及び非活性導波路層への電流注入も効率良く行うことができ、できるだけ簡便に作製することができる半導体レーザを得ることである。
上記課題を解決する第1の発明に係る半導体レーザは、
半導体基板上に、該半導体基板より光学的屈折率が大きい光導波路層と、該光導波路層より屈折率が小さい光閉じ込め層とをそれぞれ1層以上含む直線光導波路を有する半導体レーザであって、
前記光導波路層の全長に渡って、同一周期で形成した回折格子と、
前記回折格子の途中に形成した位相シフトとを備えると共に、
前記光導波路層を、発振波長帯の光に対して光学的利得を有する活性領域と光学的利得を持たない非活性領域とが、光の伝搬方向に沿って、第一の周期で交互に複数繰り返す周期構造を有する第一のレーザ部と、発振波長帯の光に対して光学的利得を有する活性領域と光学的利得を持たない非活性領域とが、光の伝搬方向に沿って、前記第一の周期とは異なる第二の周期で交互に複数繰り返す周期構造を有する第二のレーザ部とを直列に接続して構成し、かつ、前記第一のレーザ部の周期構造における一周期中の前記活性領域と前記非活性領域の長さ比と前記第二のレーザ部の周期構造における一周期中の前記活性領域と前記非活性領域の長さの比を等しくし、
前記活性領域の上方に、電流を注入する第一の電極を各々設けると共に、該第一の電極同士を短絡し、かつ、前記非活性領域の上方に、前記第一の電極とは独立して電流を注入する第二の電極を各々設けると共に、該第二の電極同士を短絡したことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係る半導体レーザは、
半導体基板上に、該半導体基板より光学的屈折率が大きい光導波路層と、該光導波路層より屈折率が小さい光閉じ込め層とをそれぞれ1層以上含む直線光導波路を有する半導体レーザであって、
前記光導波路層の全長に渡って、同一周期で形成した回折格子と、
前記回折格子の途中に形成した位相シフトとを備えると共に、
前記光導波路層を、発振波長帯の光に対して光学的利得を有する活性領域と光学的利得を持たない非活性領域とが、光の伝搬方向に沿って交互に複数繰り返す周期構造を有するレーザ部を3つ以上直列に接続して構成すると共に、該3つ以上のレーザ部を各々異なる周期の周期構造とし、かつ、前記3つ以上のレーザ部の周期構造における一周期中の前記活性領域と前記非活性領域の長さ比を全て等しくし、
前記活性領域の上方に、電流を注入する第一の電極を各々設けると共に、該第一の電極同士を短絡し、かつ、前記非活性領域の上方に、前記第一の電極とは独立して電流を注入する第二の電極を各々設けると共に、該第二の電極同士を短絡したことを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明に係る半導体レーザは、
第1又は第2の発明に記載の半導体レーザにおいて、
前記回折格子の途中に形成する位相シフトを複数個としたことを特徴とする。
本発明に係る半導体レーザよれば、各々異なる周期を有する複数のレーザ部を直列に接続した光導波路層において、各レーザ部における活性領域と非活性領域の長さ比を全て等しくし、各活性領域に対応して設けた第一の電極同士を短絡し、かつ、各非活性領域に対応して設けた第二の電極同士を短絡し、光導波路層の全長に渡って、回折格子を設けると共に回折格子の途中に位相シフトを設けたので、第一の電極への電流制御のみで活性領域への電流注入が可能となり、連続的に波長調整が可能となると共に副モードを抑制して良好な単一モード特性が得られ、又、第二の電極への制御で10nmを越える広い範囲の波長調整が可能となる。又、上記構造を有するので、簡易な作製法により、容易に作製することができる。
以下、本発明に係る半導体レーザの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第一の実施形態)
図1は本発明に係る半導体レーザの第一の実施形態を示す図である。図1(a)は素子の上面から見た図であり、図1(b)及び(c)は、図1(a)におけるx−x’断面及びy−y’断面である。
まず、本発明に係る半導体レーザの動作原理について説明する。
図1に示す本実施形態の半導体レーザは、図6の半導体レーザの構造を、活性導波路層と非活性導波路層の繰り返し周期を変えて、直列に接続した構造となっている。従って、本実施形態の半導体レーザ、即ち、図1における第一のレーザ部A1及び第二のレーザ部A2を説明するため、その構成要素となる図6の半導体レーザの構造を参照して説明を行う。
従来の技術で示したTTGレーザやDBRレーザでは、回折格子が一様に形成されているため、その反射特性はブラッグ波長において1本の鋭いピークを持つものとなる。それに対して、図6の半導体レーザでは、前述したように活性領域と非活性領域とで等価屈折率が異なると、回折格子の物理的な周期が同じであっても光学的な周期が異なり、複数のピークを持つ反射特性になる。ここで、ピーク間隔は繰り返し周期Lに反比例する関係にある。各々のピークに対する包絡関数は、1周期内の回折格子の形状をフーリエ変換したものとなる。
周期的に配置された全ての活性導波路層に電流注入を行い、光学的利得を得ることにより、図6の半導体レーザは主ピーク近傍の1つの共振縦モードで発振する。周期的に配置された全ての非活性導波路層の波長制御電極に電流注入を行えば、波長制御領域の等価屈折率が変化し、1周期の長さに対する波長制御領域の長さの割合分だけ共振縦モード波長が短波長側にシフトする。繰り返し構造の1周期の長さをL、波長制御領域長をLtとすれば、共振縦モード波長の変化の割食は、前述のように式(5)となる。
一方、複数の反射ピークの各波長も、電流注入による等価屈折率の変化の結果、短波長側にシフトする。反射ピーク波長は繰り返し構造の1周期内の平均等価屈折率変化に比例するので、反射ピーク波長の変化の割合△λS/λSは、前述のように式(6)となる。
式(5)、式(6)より、反射ピーク波長と共振縦モード波長とは同じ量だけシフトする。従って、図6の半導体レーザでは、最初に発振したモードを保ったまま連続的に波長が変化する。
通常のDFBレーザのように全領域を活性導波路層にしてしまうと、レーザ発振によりキャリア密度がほぼ一定となるため、導波路の屈折率を変化させることができなくなってしまうので、波長可変動作が達成されない。
部分的かつ周期的に回折格子が形成されている非活性導波路層による分布反射器と、活性導波路層とが直列に接続された、通常のDBRレーザのような構造では、反射ピーク波長と共振縦モード波長の動きとが一致しないので、連続的な波長可変動作が達成されない。
つまり、回折格子の形成された活性導波路層と非活性導波路層が周期的に交互に並んでいることが重要である。
しかしながら、前述のように非活性領域への電流注入により波長を変化させると、波長変化量が大きくなるにつれて、主反射ピークの反射率が低下するとともに、主反射ピーク以外の波長に副反射ピークが生じる。これにより、図6の半導体レーザの構造をそのままレーザ共振器として用いると、波長可変時の単一モード特性が優れない。
そこで、図1のように、図6の半導体レーザを、繰り返し構造の周期が異なるもの(第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2)とし、これらを2つ直列に同一基板上に接続すれば、連続的な波長可変動作が達成されると同時に、副モードの影響を抑えることができるため、単一モード特性を良好に保つことができる。
図6の半導体レーザの構造において、活性導波路層と非活性導波路層の周期L(Lt+La)を59nmとした構造と、73nmとした構造とを作製し、各構造において、非活性導波路層の屈折率を電流注入により変化させた場合の反射特性を図2に示す。これは、図1における第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2のそれぞれの反射特性に相当する。なお、回折格子の結合係数κは20cm-1としており、活性導波路層と非活性導波路層の繰り返し数は6としている。活性導波路層と非活性導波路層の割合(La/Lt)は同じとし、非活性導波路層の屈折率変化を同じとしているので、両者の平均的な屈折率変化は同じである。活性導波路層と非活性導波路層の繰り返し周期が異なるため、主モードの反射ピークは一致しているが、副モードの反射ピークがずれていることがわかる。両者の繰り返し周期は、互いに素であるか、最大公倍数を十分大きくなるようにすることにより、副モードの重なりを防ぐことができる。
これにより、周期の異なる図6のDFBレーザの構造を縦続接続して共振器を作製した図1に示す半導体レーザの構造の場合には、副モードは片側の反射が得られないので主モードのみで共振が起こることがわかる。つまり、2つの繰り返し構造(第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2)において、1周期中の活性導波路層と非活性導波路層の長さの比を等しくし、望ましくは、1周期の長さに対する波長制御電極の長さの比を2つのレーザで等しくしておくと、全ての波長制御電極を短絡してそこに電流注入を行えば、前例と同様に反射ピーク波長と共振縦モード波長が同量だけ変化するので、連続的な波長調整を行うことができる。従って、第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2との間で反射ピーク及び共振縦モードの動きを一致させるために、1周期中の活性導波路層と非活性導波路層との長さの比を、2つのレーザ部間で等しくしておくことが重要であり、望ましくは、1周期の長さに対する波長制御電極の長さの比も、2つのレーザ部間で等しくしておけばよい。この例のように、2つのレーザを組み合わせた場合には、設計の自由度が広がり、反射ピークの主ピークと副ピークの反射率差を大きくとることができ、変調時でも安定な単一モード動作を得ることができる。
図3は本実施形態の半導体レーザの発振スペクトルである。回折格子の結合係数κは20cm-1としており、活性導波路層と非活性導波路層の繰り返し数は、第一のレーザ部A1、第二のレーザ部A2共に6としている。非活性導波路層の屈折率を電流注入によって低下させることにより、発振波長が短波長側ヘシフトしていることがわかる。又、約10nm程度の波長可変時においても、若干副モードが現れているが、十分抑圧されており、良好な単一モード特性が得られている。
Y分岐レーザや超周期回折格子レーザでは、波長フィルタや反射器の中心波長を大きく変化させるのに2つの領域への注入電流を制御する必要があり、更に共振縦モード波長を制御するための電極が必要なため、合計3領域への注入電流制御が必要であったが、本発明による半導体レーザでは、上述のように、反射器の反射ピーク波長を変化させると共振縦モード波長も同量だけ変化するので、2つの領域への注入電流を制御すればよいので、制御用回路を大幅に削減することができる。
なお、繰り返し周期の異なる本発明による半導体レーザを2つ独立して作製し、それをレンズ等により光学的に結合させた場合には、2つの半導体レーザ間に距離が生じるため、上述のように連続的に波長を変化させることはできない。なぜならば、波長制御電極に電流を注入したときに、2つのレーザ間の光の位相は全く変化しないため、その分だけ共振縦モードの変化が小さくなり、反射ピークの変化と一致しなくなるからである。つまり、2つのレーザは、直列且つ近接して直接接続されている必要があり、そのため、同一基板上に2つの半導体レーザが一体に集積されていなければならない。
次に、本発明に係る半導体レーザの第一の実施形態の構造について、図1を用いて説明する。
図1に示す本実施形態の半導体レーザは、n型InPからなる上部クラッド1(半導体基板)上に、上部クラッド1より光学的屈折率が大きい光導波路層と、この光導波路層より屈折率が小さい光閉じ込め層とをそれぞれ1層以上含む直線光導波路を有するものである。
光導波路層は、第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2とが直列に接続されて構成される。第一のレーザ部A1は、発振波長帯の光に対して光学的利得を有し、GaInAsPからなる長さLa1の活性導波路層2a1(活性領域)と、光学的利得を持たず、活性導波路層2a1とは組成の異なるGaInAsPからなる長さLt1の非活性導波路層3t1(非活性領域、波長制御領域)とが、光の伝播方向に沿って、周期L1(第一の周期)で交互に複数繰り返して縦続接続された周期構造である。第二のレーザ部A2も、第一のレーザ部A1と同様な周期構造となっているが、発振波長帯の光に対して光学的利得を有し、GaInAsPからなる活性導波路層2a2(活性領域)及び光学的利得を持たず、GaInAsPからなる非活性導波路層3t2(非活性領域、波長制御領域)の長さが、それぞれLa2及びLt2となり、周期L1とは異なる周期L2(第二の周期)で交互に複数繰り返して縦続接続されたものである。
このような構造の光導波路層と、p型InPからなる上部クラッド4との間には、光導波路層の全長に渡って、同一周期で凹凸を形成して、光導波路層の等価屈折率を周期変調させた回折格子5が形成されている。
上部クラッド4の上には、活性導波路層2(2a1、2a2)、非活性導波路層3(3t1、3t2)とのオーミックコンタクトのために高ドープのp型InGaAsからなるコンタクト層6を設け、更に、その上に活性層電極7(第一の電極)、波長制御電極8(第二の電極)を設け、活性層電極7、波長制御電極8に対応してコンタクト層6を2つに分離することにより、互いに独立して電流を注入できるようにしている。活性層電極7としては、活性導波路層2a1、2a2の領域の上方に、これらの領域に対応して各々活性層電極7a1、7a2が設けられ、更に、全ての活性層電極7a1、7a2同士が互いに素子上で短絡された構成であり、波長制御電極8としては、非活性導波路層3t1、3t2の領域の上方に、これらの領域に対応して各々波長制御電極8t1、8t2が設けられ、更に、全ての波長制御電極8t1、8t2同士が互いに素子上で短絡された構成である。又、基板下部、つまり、下部クラッド1の下部には、共通の電極9を形成している。
なお、電極同士を素子上で短絡しているので、活性層電極7が活性導波路層2のみに電流を注入できるように、活性層電極7の下層においては、活性導波路層2の上方の領域にのみコンタクト層6が形成され(図1(a)の電極幅の広い部分)、非活性導波路層3の上方の領域には絶縁層11が形成されている(図1(a)の電極幅の狭い部分、図1(c)参照)。同様に、波長制御電極8が非活性導波路層3のみに電流を注入できるように、波長制御電極8の下層においても、非活性導波路層3の上方の領域にのみコンタクト層6が形成され(図1(a)の電極幅の広い部分)、活性導波路層2の上方の領域には絶縁層11が形成されている(図1(a)の電極幅の狭い部分、図1(c)参照)。
活性導波路層2(2a1、2a2)にバンドギャップ波長1.55μmのGaInAsPを用いた場合、非活性導波路層3(3t1、3t2)はそれより短波のバンドギャップ波長、例えば、1.4μmのバンドギャップ波長のGaInAsPを用いることにより、レーザ発振の利得に寄与しなくなるために、キャリア密度が一定にならない。これにより、電流注入により大きく屈折率を変化させることができる。
活性導波路層2及び非活性導波路層3はバルク材料でなくともよく、例えば、量子井戸構造、もしくは、量子井戸をバリア層を挟んで重ねた多層量子井戸構造や、更に低次元の量子井戸構造を備えたものであっても良い。又、活性層への光閉じ込めやキャリア閉じ込めを高めるなどのために、活性層とクラッド層の間に中間の屈折率を持つ層を導入する分離閉じ込めヘテロ構造などを導入しても良い。
本素子に用いる半導体は、InPとGaInAsPの組み合わせに限定することなく、GaAs、GaInNAs、AlGaInAsなど、その他の半導体を用いても良いし、活性導波路層2と非活性導波路層3のバンドギャップ波長の組み合わせも上記に限定するものではない。
電流は活性導波路層2に効率よく注入されるように、両脇にp型半導体とn型半導体を交互に重ねることにより電流ブロック層を形成した埋め込みヘテロ構造(BH)としている。電流ブロック層は、p型半導体とn型半導体の多層構造に限定することなく、FeやRuをドーピングして高抵抗としてInP層としてもよい。
又、導波路構造は、本実施形態では埋め込みヘテロ構造を採用しているが、一般的なリッジ構造やハイメサ構造などでも本発明の原理を用いることができる。
第一のレーザ部A1の周期構造と第二のレーザ部A2の周期構造において、活性導波路層2と非活性導波路層3の繰り返し周期は、それぞれL1、L2と異なるが、非活性導波路層3の長さに対する活性導波路層2の長さの割合(La1/Lt1及びLa2/Lt2)、即ち、一周期中の活性導波路層2と非活性導波路層3の長さの比は全て同じである。本実施形態では、この割合を1/2とした。又、第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2の間において、1/4波長の位相シフト10を回折格子5の途中に形成することにより、回折格子5の位相を1/4波長変化させている。これにより、第一のレーザ部A1での反射波と第二のレーザ部A2での反射波の位相を、発振条件を満たすように整合させている。
活性導波路層2及び波長制御用の非活性導波路層3の上部に設けられる活性層電極7及び波長制御電極8は互いに分離されており、図1(a)に示すように、活性導波路層2上の活性層電極7a1、7a2同士及び非活性導波路層3上の波長制御電極8t1、8t2同士は素子上で短絡されており、櫛型の電極形状になっている。このように素子上で各々の領域の電極同士を短絡しておくことにより、金属製のボンディング・ワイヤをどこか一か所ずつ接着させるだけで、各領域に電流を注入することができる。
ここで、上記半導体レーザの作製方法を簡単に説明する。
最初に有機金属気相エピタキシャル成長法と、これによる選択成長法を用いて、n型InP下部からなる下部クラッド1上に、活性導波路層2(2a1、2a2)と非活性導波路層3(3t1、3t2)とを作製する。その後、塗布したレジストに、電子ビーム露光法を用いて回折格子5のパターンを転写し、転写パターンをマスクとしてエッチングを行い、回折格子5を形成する。p型InPからなる上部クラッド4及びp型InGaAsからなるコンタクト層6を成長した後、横モードを制御するために、幅1.2μmのストライプ状に導波路を加工し、その両側にp型半導体/n型半導体よりなるInP電流ブロック層を成長する。そして、活性層電極7及び波長制御電極8を形成した後、活性層駆動用の活性層電極7と波長制御用の波長制御電極8とを電気的に分離するために、それらの電極間のコンタクト層6を除去する。
なお、電極同士を素子上で短絡すると共に、活性層電極7が活性導波路層2のみに電流を注入できるように、活性層電極7を形成する前に、活性導波路層2の上方の領域にコンタクト層6を形成し、非活性導波路層3の上方の領域に絶縁層11を形成し、それらの上層に活性層電極7を形成している。同様に、電極同士を素子上で短絡すると共に、波長制御電極8が非活性導波路層3のみに電流を注入できるように、波長制御電極8を形成する前に、非活性導波路層3の上方の領域にコンタクト層6を形成し、活性導波路層2の上方の領域に絶縁層11を形成し、それらの上層に波長制御電極8を形成している。
半導体の成長法としては、有機金属気相エピタキシャル成長法に限らず、分子線エピタキシャル成長法やその他の手段を用いてもよい。回折格子5の形成方法も電子線露光法に限らず、二束干渉露光法やそのほかの手段を用いてもよい。
本実施形態では、第一のレーザ部A1及び第二のレーザ部A2における活性導波路層2と非活性導波路層3の繰り返しの数をそれぞれ6としている。第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2では同じ結合係数の回折格子5を用いているので、活性導波路層2と非活性導波路層3の繰り返し周期の長い第二のレーザ部A2の方が結合係数と長さの積が大きくなるため反射率は高くなる。従って、繰り返し数を同数とした場合、自然に出力は非対称となり、反射率の低い第一のレーザ部A1からの出力が反射率の高い第二のレーザ部A2からの出力に比べて大きくとれるため、第一のレーザ部A1側から出力を効率よく取り出すことができる。なお、活性導波路層2と非活性導波路層3の繰り返しの数は6に限らず、又、繰り返し数が第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2で同じである必要もないため、必要な反射率に応じて繰り返し周期や繰り返し数を設計すればよい。
本実施形態では、第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2の回折格子の間に1/4波長の位相シフト10を入れている。これにより最も位相整合がとれる条件となるが、必ずしも1/4波長の位相シフトでなくともよく、例えば1/8波長の位相シフトとすることで、位相条件はずれることになるが、位相シフト領域への光の集中を抑制することが可能となる。又、位相シフト10の位置は、必ずしも第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2の間である必要はなく、共振器中央の全共振器長の約1/3程度の範囲内に位相シフトがあれば、位相条件を満たすことができる。
本実施形態では、第一のレーザ部A1及び第二のレーザ部A2における活性導波路層2と非活性導波路層3の比を1:2としている。非活性導波路層3の割合を大きくすることで、平均の等価屈折率変化を大きくすることができるので、波長変化量を大きくすることができる。しかしながら、非活性導波路層3の割合を大きくすると必然的に活性導波路層2の割合が小さくなってしまい、レーザ発振に必要な利得を得ることが困難になる。従って、活性層の層数などの設計や導波路の損失に応じて割合を調整することが必要であるが、本発明の原理は、第一のレーザ部A1と第二のレーザ部A2において活性導波路層2と非活性導波路層3の割合(比)を同一とすることであるため、その割合(比)は要求に応じて変更可能である。
このように、本発明に係る半導体レーザでは、活性導波路層2と非活性導波路層3を交互に周期的に配置し、回折格子5を同一周期で配置する点が異なるだけで、通常の半導体レーザの作製法を用いて容易に作製することができる。又、通常のpnダイオード型の層構造であるため、半導体増幅器や変調器などとの集積も容易に実施することができるため、高性能多機能素子の要素となる光源素子として使用可能である。
(第二の実施形態)
図4は、本発明に係る半導体レーザの第二の実施形態を説明する図である。
図1に示した第一の実施形態の半導体レーザでは、活性導波路層2と非活性導波路層3の繰り返し周期の異なる二つの領域(第一のレーザ部A1、第二のレーザ部A2)を、1/4波長の位相シフト10を挟んで直列に接続した構造であった。これにより、各々の領域で変調時に生じる副モードの波長がずれるため、主モードのみで安定して発振が起きる。
これに対して、本実施形態の半導体レーザは、図4に示すように、各レーザ部の基本的構成は、第一の実施形態の半導体レーザにおけるレーザ部と同等の構成であるが、領域数(レーザ部の数)を、第一のレーザ部A1、第二のレーザ部A2、第三のレーザ部A3、第四のレーザ部A4と増やし、活性導波路層2と非活性導波路層3の繰返し周期が各々異なる3つ以上の領域を直列に接続した構造である。具体的には、第一のレーザ部A1は、長さLa1の活性導波路層2a1と長さLt1の非活性導波路層3t1とが、周期L1で交互に複数繰り返して縦続接続されたものであり、第二のレーザ部A2は、長さLa2の活性導波路層2a2と長さLt2の非活性導波路層3t2とが、周期L2で交互に複数繰り返して縦続接続されたものであり、第三のレーザ部A3は、長さLa3の活性導波路層2a3と長さLt3の非活性導波路層3t3とが、周期L3で交互に複数繰り返して縦続接続されたものであり、第四のレーザ部A4は、長さLa4の活性導波路層2a4と長さLt4の非活性導波路層3t4とが、周期L4で交互に複数繰り返して縦続接続されたものである。
又、本実施形態では、第二のレーザ部A2と第三のレーザ部A3の間に1/4波長の位相シフト10を入れて、第一のレーザ部A1から第四のレーザ部A4までを直列に接続している。又、活性導波路層2と非活性導波路層3の繰り返し数は、各レーザ部で3としている。又、回折格子5は共振器を構成する光導波路層全体に渡って形成されており、周期は全て同一である。
このような構造により、副モードの重なりを更に抑圧することができ、2つの領域からなる第一の実施形態の半導体レーザの場合に比べ、更なる単一モード特性の向上を図ることが可能となる。
本実施形態の半導体レーザでは、非活性領域への電流注入により屈折率が低下し、第一の実施形態と同様に、短波長側に発振波長がシフトする。波長変化に伴い、前述のように副モードの反射率が上がるが、本実施形態では、4つのレーザ部の活性導波路層2と非活性導波路層3の繰り返し周期が異なり、副モード間隔が異なる。4つの繰り返し周期をそれぞれ互いに素となるか、もしくは、最小公倍数が十分大きくなるように選べば、副モード同士が重ならない。4つの領域全てで活性導波路層2と非活性導波路層3の割合を一定に保てば、前述のように、主モードのみが連続的に波長変化することになる。
活性導波路層2と非活性導波路層3の繰り返し周期の異なるレーザ部の数は4に限定することなく、3以上とすることで、2つのレーザ部よりなる第一の実施形態の半導体レーザの場合よりも副モードを抑圧した半導体レーザを実現できる。又、各レーザ部の活性導波路層2と非活性導波路層3の繰り返し数は3に限定するものではなく、各レーザ部の繰り返し数が同一である必要もない。
なお、本実施形態の半導体レーザは、素子の層構造や作製方法などは、第一の実施形態と同じである。
(第三の実施形態)
図5は、本発明に係る半導体レーザの第三の実施形態を説明する図である。
本実施形態の半導体レーザは、図5に示すように、各レーザ部の基本的構成は、第一の実施形態の半導体レーザにおけるレーザ部と同等の構成であるが、領域数(レーザ部の数)を、第二の実施形態と同様に、第一のレーザ部A1、第二のレーザ部A2、第三のレーザ部A3、第四のレーザ部A4と増やし、活性導波路層2と非活性導波路層3の繰返し周期が各々異なる複数の領域を直列に接続した構造である。具体的には、第一のレーザ部A1は、長さLa1の活性導波路層2a1と長さLt1の非活性導波路層3t1とが、周期L1で交互に複数繰り返して縦続接続されたものであり、第二のレーザ部A2は、長さLa2の活性導波路層2a2と長さLt2の非活性導波路層3t2とが、周期L2で交互に複数繰り返して縦続接続されたものであり、第三のレーザ部A3は、長さLa3の活性導波路層2a3と長さLt3の非活性導波路層3t3とが、周期L3で交互に複数繰り返して縦続接続されたものであり、第四のレーザ部A4は、長さLa4の活性導波路層2a4と長さLt4の非活性導波路層3t4とが、周期L4で交互に複数繰り返して縦続接続されたものである。
又、本実施形態においては、第二の実施形態とは異なり、各レーザ部の間に各々位相シフト10を入れて、第一のレーザ部A1から第四のレーザ部A4までを直列に接続している。又、回折格子5は共振器を構成する光導波路層全体に渡って形成されており、周期は全て同一である。
このように、本実施形態では、領域数を増やし、活性導波路層2と非活性導波路層3の繰返し周期の異なる3つ以上の領域を直列に接続する構造とすることにより、副モードの重なりを更に抑圧している。このような構造により、2つの領域からなる第一の実施形態の半導体レーザの場合に比べ、更なる単一モード特性の向上を図ることが可能となる。又、位相シフト10の位置を中央に1つだけでなく、複数配置することにより、位相シフト10の部分に光が集中しキャリア密度分布が生じ、それに応じて屈折率分布ができ、予期せずに回折格子5の光学的な周期が変動してしまう、いわゆるホールバーニングの影響を抑えることができる。
本実施形態の半導体レーザでは、非活性領域への電流注入により屈折率が低下し、第一の実施形態と同様に、短波長側に発振波長がシフトする。波長変化に伴い、前述のように副モードの反射率が上がるが、本実施形態では、4つのレーザ部の活性導波路層2と非活性導波路層3の繰り返し周期が異なり、副モード間隔が異なる。4つの繰り返し周期をそれぞれ互いに素となるか、もしくは、最小公倍数が十分大きくなるように選べば、副モード同士が重ならない。4つの領域全てで活性導波路層2と非活性導波路層3の割合を一定に保てば、前述のように、主モードのみが連続的に波長変化することになる。又、中央に1つ位相シフト10を入れた第二の実施例に比べて、共振器内の光分布を一定にすることができ、キャリア密度分布も一定になるため、ホールバーニングの影響を防ぐことができる。位相シフト10の位置、位相シフト量は、回折格子5の結合係数や各領域の長さを総合的に勘案し、共振器内部で光密度分布ができるだけ一定となるような配置とすることが望ましい。
活性導波路層2と非活性導波路層3の繰り返し周期の異なるレーザ部の数は4に限定することなく、3以上とすることで、第一の実施形態の2つのレーザ部よりなる場合よりも副モードを抑圧した半導体レーザを実現できる。又、位相シフト10の位置は、発振が安定して起きる範囲内で、2個以上設けることにより、ホールバーニングの影響を抑えることができる。位相シフト10の位置は、必ずしも各領域の境界に設置する必要はない。
又、第一の実施形態のようにレーザ領域を2個として場合であっても、位相シフト10を複数個設ければ、ホールバーニングの影響を抑えることができる。
なお、本実施形態の半導体レーザは、素子の層構造や作製方法などは、第一の実施形態、第二の実施形態と同じである。
上記実施形態1〜3で示したように、本発明に係る半導体レーザは、1つの電極の活性層への電流注入と、1つの電極の電流制御のみで連続的に波長調整が可能なレーザであり、副モードを抑制し良好な単一モード特性が得られるとともに、簡易な作製法により作製できる半導体レーザである。
本発明に係る半導体レーザは、光通信における光波長(周波数)多重システム用光源及び広帯域波長帯をカバーする光計測用光源に好適なものである。
本発明に係る半導体レーザの第一の実施形態を説明する図である。 図1に示す半導体レーザの第一のレーザ部と第二のレーザ部の反射特性を説明する図である。 図1に示す半導体レーザの発振スペクトルを説明する図である。 本発明に係る半導体レーザの第二の実施形態を説明する図である。 本発明に係る半導体レーザの第三の実施形態を説明する図である。 従来の半導体レーザの構造を説明する図である。 従来の半導体レーザの構造を説明する図である。 従来の半導体レーザの構造を説明する図である。 図6に示す半導体レーザの反射特性を説明する図である。
符号の説明
1 下部クラッド
2 活性導波路層
3 非活性導波路層
4 上部クラッド
5 回折格子
6 コンタクト層
7 活性層用電極
8 波長制御用電極
9 電極
10 位相シフト

Claims (3)

  1. 半導体基板上に、該半導体基板より光学的屈折率が大きい光導波路層と、該光導波路層より屈折率が小さい光閉じ込め層とをそれぞれ1層以上含む直線光導波路を有する半導体レーザであって、
    前記光導波路層の全長に渡って、同一周期で形成した回折格子と、
    前記回折格子の途中に形成した位相シフトとを備えると共に、
    前記光導波路層を、発振波長帯の光に対して光学的利得を有する活性領域と光学的利得を持たない非活性領域とが、光の伝搬方向に沿って、第一の周期で交互に複数繰り返す周期構造を有する第一のレーザ部と、発振波長帯の光に対して光学的利得を有する活性領域と光学的利得を持たない非活性領域とが、光の伝搬方向に沿って、前記第一の周期とは異なる第二の周期で交互に複数繰り返す周期構造を有する第二のレーザ部とを直列に接続して構成し、かつ、前記第一のレーザ部の周期構造における一周期中の前記活性領域と前記非活性領域の長さ比と前記第二のレーザ部の周期構造における一周期中の前記活性領域と前記非活性領域の長さの比を等しくし、
    前記活性領域の上方に、電流を注入する第一の電極を各々設けると共に、該第一の電極同士を短絡し、かつ、前記非活性領域の上方に、前記第一の電極とは独立して電流を注入する第二の電極を各々設けると共に、該第二の電極同士を短絡したことを特徴とする半導体レーザ。
  2. 半導体基板上に、該半導体基板より光学的屈折率が大きい光導波路層と、該光導波路層より屈折率が小さい光閉じ込め層とをそれぞれ1層以上含む直線光導波路を有する半導体レーザであって、
    前記光導波路層の全長に渡って、同一周期で形成した回折格子と、
    前記回折格子の途中に形成した位相シフトとを備えると共に、
    前記光導波路層を、発振波長帯の光に対して光学的利得を有する活性領域と光学的利得を持たない非活性領域とが、光の伝搬方向に沿って交互に複数繰り返す周期構造を有するレーザ部を3つ以上直列に接続して構成すると共に、該3つ以上のレーザ部を各々異なる周期の周期構造とし、かつ、前記3つ以上のレーザ部の周期構造における一周期中の前記活性領域と前記非活性領域の長さ比を全て等しくし、
    前記活性領域の上方に、電流を注入する第一の電極を各々設けると共に、該第一の電極同士を短絡し、かつ、前記非活性領域の上方に、前記第一の電極とは独立して電流を注入する第二の電極を各々設けると共に、該第二の電極同士を短絡したことを特徴とする半導体レーザ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の半導体レーザにおいて、
    前記回折格子の途中に形成する位相シフトを複数個としたことを特徴とする半導体レーザ。
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