JP2008103061A - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法および磁気ディスク製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粒径の大きい研磨砥粒40を含有する研磨液を供給しながら、ガラス基板1と軟質の研磨パッド10とを相対的に移動させて研磨を行う先行研磨工程では、ガラス基板1の主表面の端部が中央部と比べて隆起する形状(スキージャンプ)が生じる。後続研磨工程では、粒径の小さい研磨砥粒50を含有する研磨液と、研磨パッド10より硬度の高い研磨パッド20とを用い、仮に平坦な端部を有するガラス基板を研磨すれば主表面の端部が中央部と比べて下降する形状(ロールオフ)のガラス基板100が得られる研磨を行うことで、先行研磨工程で発生したスキージャンプを相殺する方向に変化させ、端部形状を平坦に近付ける。
【選択図】図3
Description
図1は、本発明による磁気ディスク用ガラス基板の研磨装置の実施形態である、両面研磨装置を説明する図である。両面研磨装置3は、研磨パッド10を用い、ガラス基板1と研磨パッド10とを相対的に移動させて研磨を行う装置である。
図3は図1に示す研磨装置を用いて本発明による磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の実施形態を示す模式図である。本方法は、図3(a)(b)に示す複数の研磨工程を含む。これら研磨工程では、研磨砥粒40または50を含有する研磨液を供給しながらガラス基板1と研磨パッド10または20とを相対的に移動させてガラス基板1の主表面を研磨する。図3(a)は、主表面の端部が中央部と比べて隆起した形状(スキージャンプ)となるよう研磨を行う先行研磨工程であり、後述の実施例における予備研磨工程に相当する。図3(b)は、隆起した形状(スキージャンプ)を相殺する方向に変化させて、端部を平坦に近付ける研磨を行う後続研磨工程であり、後述の実施例における鏡面研磨工程に相当する。先行研磨工程は、研磨砥粒40と研磨パッド10とで構成されるセットによって実現され、後続研磨工程は、研磨砥粒50と研磨パッド20とで構成されるセットによって実現される。
上述の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により得られたガラス基板の表面に少なくとも磁性層を形成して磁気ディスクを製造すれば、端部が実質的に平坦な磁気ディスクなど、所望の端部形状を有する磁気ディスクが得られる。
本発明をさらに一般化すれば、ガラス基板1に対して行われる第1処理工程と、第1処理工程で生じたガラス基板1の端部形状の変化を相殺する方向に変化させて所望の端部形状を形成する第2処理工程とを含む実施形態も考えられる。端部形状を、互いに相殺する方向に変化させる第1・第2処理工程は、複数の研磨工程に限定されない。すなわち、後続の工程において、先行する工程での端部形状変化を相殺する方向に変化させるという技術思想に該当する、いかなる実施形態も考えられる。
まず、アモルファスガラスからなる多成分系のガラス基板を用意した。ガラスの硝種はアルミノシリケートガラスであり、具体的な化学組成は、SiO2が63.5重量%、Al2O3が14.2重量%、Na2Oが10.4重量%、Li2Oが5.4重量%、ZrO2が6.0重量%、Sb2O3が0.4重量%、As2O3が0.1重量%とした。
続いて、ガラス基板1を回転させながら、ブラシ研磨によりガラス基板1の端面(内周、外周)の表面粗さを、最大高さ(Rmax)で1.0μm程度、算術平均粗さ(Ra)で0.3μm程度になるように研磨した。
続いて、#1000の粒度の砥粒を用いて、主表面の平坦度が3μm、Rmaxが2μm程度、Raが0.2μm程度となるようにガラス基板表面を研削した。ここで平坦度とは、基板表面の最も高い部分と、最も低い部分との上下方向(表面に垂直な方向)の距離(高低差)であり、平坦度測定装置で測定した。また、Rmax、及びRaは、原子間力顕微鏡(AFM)(デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープ)にて測定した。
予備研磨工程は、上記研削工程(3)で研削され、さらに粗削りされたガラス基板を初めて研磨パッドを用いて研磨する工程である。一度に100枚〜200枚のガラス基板の両主表面を研磨できる研磨装置3を用いて予備研磨工程を実施した。研磨パッドには、ポリウレタン系軟質ポリッシャを用いた。研磨パッドには、予め酸化ジルコニウムと酸化セリウムとを含ませてあるものを使用した。
鏡面研磨工程は、予備研磨されたガラス基板をさらに研磨して、ガラス基板の主表面が鏡面化するまで研磨する工程である。一度に100枚〜200枚のガラス基板の両主表面を研磨できる研磨装置3を用いて、鏡面研磨(2次研磨)工程を実施した。研磨パッドには、ポリウレタン系軟質ポリシャを用いた。鏡面研磨工程における研磨液は、超純水に、さらにグレイン径が40nmのコロイド状シリカ粒子を加えて作製した。なおコロイド状シリカ粒子のグレイン径は、20〜60nmの範囲内が望ましい。そして、この(5)鏡面研磨工程を行った後の端部形状を観測したところ、図3(c)に示すように、端部形状が実質的に平坦な形状であることが分かった。
続いて、ガラス基板1を、濃度3〜5wt%のNaOH水溶液に浸漬してアルカリ洗浄を行った。なお、洗浄は超音波を印加して行った。さらに、中性洗剤、純水、純水、イソプロピルアルコール、イソプロピルアルコール(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。洗浄後のガラス基板1の表面をAFM(デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープ)により観察したところ、コロイダルシリカ研磨砥粒の付着は確認されなかった。また、ステンレスや鉄などの異物も発見されなかった。
続いて、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)とを混合して375℃に加熱した化学強化塩の中に、300℃に予熱した洗浄済みガラス基板1を約3時間浸漬することにより化学強化処理を行った。この処理により、ガラス基板1の表面のリチウムイオン、ナトリウムイオンは、化学強化塩中のナトリウムイオン、カリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板1は化学的に強化される。なお、ガラス基板1の表面に形成された圧縮応力層の厚さは、約100〜200μmであった。化学強化の実施後は、ガラス基板1を20℃の水槽に浸漬して急冷し、約10分維持した。
続いて、上記急冷を終えたガラス基板1を、約40℃に加熱した硫酸に浸漬し、超音波を掛けながら洗浄して、磁気ディスク用ガラス基板の製造を完了した。
続いて、磁気ディスク用ガラス基板について検査を行った。磁気ディスク用ガラス基板の表面の粗さをAFM(原子間力顕微鏡)で測定したところ、最大山高さ(Rp)は1.8nm、算術平均粗さ(Ra)は0.25nmであった。また、表面は清浄な鏡面状態であり、磁気ヘッドの浮上を妨げる異物や、サーマルアスペリティ障害の原因となる異物は存在しなかった。
続いて、上述の磁気ディスク用ガラス基板に、ガラス基板の表面にCr合金からなる付着層、CoTaZr基合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt基合金からなる垂直磁気記録層、水素化炭素からなる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を順次成膜することにより、垂直磁気記録ディスクを製造した。
続いて、以上のように製造された磁気ディスクの検査を行った。まず、浮上量が8nmである検査用ヘッドを用いて磁気ディスク上を浮上走行させるヘッドクラッシュ試験を実施した。その結果、磁気ヘッドが異物等に接触することもなく、クラッシュ障害は生じなかった。
3 両面研磨装置
10、20 研磨パッド
40、50 研磨砥粒
Claims (12)
- ガラス基板の端部形状が変化する第1処理工程および第2処理工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、該方法はさらに、
前記第1処理工程の前に、前記第1処理工程後の前記ガラス基板の端部形状を把握する把握工程を含み、
前記第2処理工程では、前記把握工程によって把握された端部形状を相殺する方向に変化させることで所望の形状を得ることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - ガラス基板と該ガラス基板の主表面を研磨する研磨パッドとの間に研磨砥粒を含有する研磨液を供給し、前記ガラス基板と研磨パッドとを相対的に移動させることで研磨する研磨工程を複数含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、
前記複数の研磨工程には、
前記ガラス基板の主表面の端部形状が、主表面の中央部と比べて隆起した形状となるよう研磨を行うための先行研磨工程と、
前記先行研磨工程にて隆起した形状を相殺する方向に変化させることで前記端部形状を所望の形状とするための研磨を行う後続研磨工程とが含まれることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記所望の形状とは、前記ガラス基板の端部形状が実質的に平坦であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記所望の形状とは、前記ガラス基板の端部形状が中央部と比べて下降した形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記後続研磨工程では、端部形状が平坦なガラス基板を研磨した場合に該端部形状が中央部と比べて下降した形状となるように研磨を行うことを特徴とする、請求項2から4までのいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記先行研磨工程に用いる研磨パッドより硬度の高い研磨パッドを前記後続研磨工程に用いることを特徴とする請求項2から5までのいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 請求項2から6までのいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により得られたガラス基板の表面に少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
- 前記複数の研磨工程は、該複数の研磨工程を行った後のガラス基板の主表面の粗さ(Ra)が0.2nm以下となるように研磨することを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- ガラス基板と該ガラス基板の主表面を研磨する研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給し、前記ガラス基板と研磨パッドとを相対的に移動させることで前記ガラス基板の主表面を研磨する複数の研磨工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、
前記複数の研磨工程では、主表面における端部が平坦なガラス基板を研磨した場合に該端部の形状が中央部と比べて隆起した形状となるように前記ガラス基板の主表面を研磨する第1研磨工程と、
主表面における端部が平坦なガラス基板を研磨した場合に該端部の形状が中央部と比べて下降した形状となるように前記ガラス基板の主表面を研磨する第2研磨工程とを行うことで、前記ガラス基板の端部形状を実質的に平坦な形状にすることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - ガラス基板と該ガラス基板の主表面を研磨する研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給し、前記ガラス基板と研磨パッドとを相対的に移動させることで前記ガラス基板の主表面を研磨する複数の研磨工程と、
ガラス基板を化学強化処理液に接触させることにより、前記ガラス基板に含まれる一部のイオンを該化学強化処理液中のイオンに置換することにより、ガラス基板の主表面における端部の形状が中央部と比べて隆起した形状となる化学強化処理工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、
前記複数の研磨工程は、主表面における端部が平坦なガラス基板を研磨した場合に該端部の形状が中央部と比べて隆起した形状となるように前記ガラス基板の主表面を研磨する第1研磨工程と、
主表面における端部が平坦なガラス基板を研磨した場合に該端部の形状が中央部と比べて下降した形状となるように前記ガラス基板の主表面を研磨する第2研磨工程とを含んでいて、
前記複数の研磨工程および化学強化処理工程を行うことで前記ガラス基板の端部形状を実質的に平坦な形状にすることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記複数の研磨工程は、該複数の研磨工程を行った後のガラス基板の主表面の粗さ(Ra)が0.2nm以下となるように研磨することを特徴とする請求項9または10に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 請求項9から11までのいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により得られたガラス基板の表面に少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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