JP2008101250A - 高炉炉壁の築造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】煉瓦支持金物の設置が不要で煉瓦積み施工を効率的に実施するとともに、操業による耐火煉瓦の脱落および破損を防止することが可能な高炉炉壁の築造方法を提供する。
【解決手段】高炉炉壁の築造方法は、耐火煉瓦壁13を施工する領域を上下方向に複数の築炉段16に区分し、各築炉段16の下側の上下に互い違いに並んで配置された開口14に煉瓦受け金物17を高炉鉄皮12の外側から挿入し、煉瓦受け金物17の上に耐火煉瓦18を積み上げる第1工程と、煉瓦受け金物17の下側に耐火煉瓦18を積み上げ、煉瓦受け金物17の上に積み上げた耐火煉瓦18と連接させて、煉瓦受け金物17が支持していた煉瓦荷重を軽減する荷重軽減状態にする第2工程と、煉瓦荷重が軽減された煉瓦受け金物17を開口14から引き抜き、この開口14に冷却盤15を装着する第3工程とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、高炉の朝顔部から炉頂部にかけて耐火煉瓦を設置する高炉炉壁の築造方法に係り、更に詳細には、耐火物施工の工期短縮を図った高炉炉壁の築造方法に関する。
従来の、高炉シャフト煉瓦の支持方法としては、高炉の鉄皮内面に板状の煉瓦支持金物を円周方向および上下方向に間隔をあけて設置して多数の仕切られた空間を形成し、この空間内に耐火煉瓦を煉瓦積み施工するか、または、箱型の煉瓦支持金物を円周方向および上下方向に配設し、この煉瓦支持金物内部に耐火煉瓦を煉瓦積み施工していた(例えば、特許文献1参照)。
特開昭59−185709号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、高炉炉体の朝顔部等の高炉内において高温熱負荷となる部位に煉瓦支持金物を設置しているので、操業中に煉瓦支持金物自体が大きく熱変形する。このため、板状の煉瓦支持金物により仕切られた空間内に煉瓦積みされた耐火煉瓦では脱落が生じ、箱型の煉瓦支持金物の内部に煉瓦積みされた耐火煉瓦では耐火煉瓦同士に競り合いが生じ耐火煉瓦が破損するという問題がある。そこで、高炉炉体の縦方向に設置する煉瓦支持金物の設置位置を調整して、操業中における煉瓦支持金物の熱変形の影響を小さくしているが、煉瓦支持金物の設置位置が制約を受けるため、すなわち、煉瓦支持金物が適切なる位置に設置できないため、煉瓦積み施工を効率的に実施できないという問題が生じている。
本発明は係る事情に鑑みてなされたもので、煉瓦支持金物の炉内設置を不要として高炉の朝顔部から炉頂部にかけての煉瓦積み施工を効率的に実施するとともに、操業による耐火煉瓦の脱落および破損を防止することが可能な高炉炉壁の築造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る高炉炉壁の築造方法は、下部内側に炉底壁煉瓦が所定高さで積み上げられている高炉鉄皮の内周面に耐火煉瓦が内張りされた耐火煉瓦壁に、該高炉鉄皮の内周面に千鳥配置された開口から内側に突出した複数の冷却盤が貫通配置された高炉炉壁の築造方法において、
前記耐火煉瓦壁を施工する領域を上下方向に複数の築炉段に区分し、前記開口のうち該各築炉段の下側の上下に互い違いに並んで配置された開口に煉瓦受け金物を前記高炉鉄皮の外側から挿入し、該煉瓦受け金物の上に前記耐火煉瓦を積み上げる第1工程と、
前記煉瓦受け金物の下側に前記耐火煉瓦を積み上げ、前記煉瓦受け金物の上に積み上げた前記耐火煉瓦と連接させて、該煉瓦受け金物が支持していた煉瓦荷重を軽減する荷重軽減状態にする第2工程と、
前記煉瓦荷重が軽減された前記煉瓦受け金物を前記開口から引き抜き、該煉瓦受け金物が装着されていた開口に前記冷却盤を装着する第3工程とを有する。
本発明に係る高炉炉壁の築造方法において、前記荷重軽減状態は、前記煉瓦受け金物の下側に積み上げられた前記耐火煉瓦が、前記炉底壁煉瓦で支持される状態とすることができる。
本発明に係る高炉炉壁の築造方法において、前記複数の築炉段で、その下側の上下に互い違いに並んだ開口への前記煉瓦受け金物の装着および該煉瓦受け金物上への前記耐火煉瓦の積み上げを開始することが好ましい。
本発明に係る高炉炉壁の築造方法において、前記煉瓦受け金物の上に積み上げられた前記耐火煉瓦の高さ位置が、前記高炉鉄皮の内周面の周方向で実質的に同一高さ位置に達してから、または、前記荷重軽減状態が成立してから、例えば、前記煉瓦受け金物が装着されていない前記開口に前記冷却盤を装着することが好ましい。
本発明に係る高炉炉壁の築造方法において、前記煉瓦受け金物および前記冷却盤はそれぞれ着脱自在に前記高炉鉄皮に装着されることが好ましい。また、前記耐火煉瓦は、周方向に同一の段数で積み上げて、各段の前記耐火煉瓦の高さ位置を周方向で実質的に同一にすることが好ましい。更に、前記耐火煉瓦壁を施工する領域は、高炉炉体の朝顔部から炉頂部までの領域とすることができる。
請求項1〜7記載の高炉炉壁の築造方法においては、煉瓦受け金物が炉内に存在しないので、操業中の煉瓦受け金物の熱変形に伴う耐火煉瓦の脱落および破損を防止することが可能になる。
特に、請求項2記載の高炉炉壁の築造方法においては、煉瓦受け金物で支持された耐火煉瓦と、下から積み上げた耐火煉瓦とが一体化して、煉瓦受け金物で支持していた煉瓦荷重を下から積み上げた耐火煉瓦で分担支持することができ、煉瓦受け金物を開口から高炉鉄皮の外側に引き抜くことが可能になる。
請求項3記載の高炉炉壁の築造方法においては、複数の築炉段で、煉瓦受け金物を装着しその上への耐火煉瓦の積み上げを開始するので、高炉鉄皮の内周面を耐火煉瓦で短期間に内張りすることが可能になる。
請求項4記載の高炉炉壁の築造方法においては、施工の途中から開口に実際の冷却盤を取付けるので、高炉鉄皮の内周面への耐火煉瓦の配設を効率的に行なうことが可能になる。
請求項5記載の高炉炉壁の築造方法においては、煉瓦受け金物および冷却盤はそれぞれ着脱自在に高炉鉄皮に取付けられるので、煉瓦受け金物と冷却盤の取り替えを効率的に実施することができる。
請求項6記載の高炉炉壁の築造方法においては、耐火煉瓦は、周方向に同一の段数で積み上げて、各段の耐火煉瓦の高さ位置を周方向で実質的に同一にするので、各煉瓦受け金物の下側に耐火煉瓦を積み上げて、煉瓦受け金物で支持していた煉瓦荷重を下から積み上げた耐火煉瓦で確実に分担支持することが容易に可能になる。
請求項7記載の高炉炉壁の築造方法においては、高温熱負荷となる部位に煉瓦支持金物が設置されないので耐火煉瓦の寿命が伸び、高炉補修が軽減され高炉の安定操業が可能になる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る高炉炉壁の築造方法を適用する高炉の断面図、図2は同高炉炉壁の築造方法により築炉を開始した際の高炉鉄皮の内周面の部分展開図、図3は同高炉炉壁の築造方法による築炉完了時における高炉鉄皮の内周面の部分展開図図4(A)、(B)はそれぞれ同高炉炉壁の築造方法において、高炉鉄皮の開口に外側から煉瓦受け金物を挿入して取付けた状態を示す側断面図、平断面図、図5は同高炉炉壁の築造方法において、煉瓦受け金物の上に積み上げられた耐火煉瓦の状態を示す正面図、図6(A)〜(D)はそれぞれ、図5における耐火煉瓦の各段の煉瓦配置を平面視および正面視した説明図、図7は同高炉炉壁の築造方法の第2工程完了後の高炉鉄皮の内周面の部分展開図、図8は煉瓦受け金物の下側に耐火煉瓦が積み上げられて煉瓦受け金物の上に積み上げた耐火煉瓦と連接した状態を示す説明図、図9(A)は下側に耐火煉瓦が積み上げられた煉瓦受け金物の状態を示す側断面図、図9(B)は煉瓦受け金物を開口から引き抜いた際の高炉鉄皮の内周面に内張りされた耐火煉瓦の状態を示す側断面図、図9(C)は開口に冷却盤を装着した際の状態を示す側断面図である。
図1、図2、図3に示すように、本発明の一実施の形態に係る高炉炉壁の築造方法は、高炉10の下部内側の炉底壁煉瓦11が所定高さ(例えば、朝顔部の下端と当接する高さ)まで積み上げられている高炉鉄皮12の内周面に内張りされた耐火煉瓦壁13に、高炉鉄皮12の内周面に千鳥配置された開口14のそれぞれから内側に突出した冷却盤15が貫通配置された高炉炉壁を築造する方法である。なお、符号19は羽口、符号20は出銑口である。
耐火煉瓦壁13を施工する領域は、高炉10炉体の朝顔部から炉頂部までの領域であり、この領域を上下方向に複数(本実施の形態では2段、例えば、朝顔部からシャフト下部までの範囲と、シャフト中部から炉頂部までの範囲)の築炉段16に区分する。そして、各築炉段16の高炉鉄皮12の内周面の下側に作業用の仮設デッキ21を取る付ける仮設架台22を設置して、高炉鉄皮12に千鳥配置された開口14のうち各築炉段16の下側の上下に互い違いに並んで配置された開口14に、図4(A)、(B)に示すように、高炉鉄皮12の外側から煉瓦受け金物17を挿入して装着する。なお、千鳥配置とは、図2に示すように、開口14が高炉鉄皮12の内周面の水平方向に均等に配置され、水平方向に配置された隣り合う開口14の中心位置と、上下に配置される開口14の中心位置が実質的に一致する状態をいう。
ここで、開口14は、高炉鉄皮12に設けられ正面視して矩形状の貫通孔23と、貫通孔23に連通し、炉外側に突出する矩形状の短筒体24と、短筒体24の先部に設けられた受けフランジ部25を有している。また、煉瓦受け金物17は、貫通孔23に挿通可能な幅を有し、厚みTが冷却盤15の厚みS(図9参照)より、例えば3〜6mm程度薄く平面視して矩形状の煉瓦支持板部材26と、煉瓦支持板部材26の基側に設けられ、開口14に設けられた受けフランジ部25と対となる取付けフランジ部27を有している。このような構成とすることにより、貫通孔23に煉瓦支持板部材26を貫通孔23に挿通させて取付けフランジ部27を受けフランジ部25に、例えばボルトおよびナットを用いて連結することで煉瓦受け金物17を開口14に取付けることができ、受けフランジ部25と取付けフランジ部27の連結を解除して煉瓦支持板部材26を貫通孔23から引き抜くことで煉瓦受け金物17を開口14から取り外すことができる。これによって、煉瓦受け金物17を着脱自在に高炉鉄皮12に装着することができる。
続いて、図5に示すように、高炉鉄皮12の外側から開口14に挿入し内側に突出させた煉瓦受け金物17の煉瓦支持板部材26の上面に耐火煉瓦18を積み上げていくが、耐火煉瓦18の積み上げ方法に関しては、図6(A)〜(D)に基づいて詳細に説明する。
先ず、図6(A)の(a)、(b)に示すように、築炉段16の下側の上下に互い違いに並んで配置された開口14の下側の開口14に装着された煉瓦受け金物17の上面に1段目の耐火煉瓦18として、炉内側にα11、α12、高炉鉄皮12側にβ11、β12を載置する。このとき、α11およびα12の煉瓦目地とβ11およびβ12の煉瓦目地が繋がらないように、煉瓦受け金物17の上面に載置したα11、α12に対して、β11、β12は水平方向にずらせて載置する。次いで、図6(B)の(a)、(b)に示すように、2段目の耐火煉瓦18として、炉内側の1段目のα11、α12の上面にα21、α22、高炉鉄皮12側の1段目のβ11、β12の上面にβ21、β22を載置する。このときも、α21およびα22の煉瓦目地に対して、β21およびβ22の煉瓦目地が繋がらないように、更に、α11およびα12の煉瓦目地とα21およびα22の煉瓦目地が、β11およびβ12の煉瓦目地とβ21およびβ22の煉瓦目地がそれぞれが繋がらないように、1段目のα11、α12、β11、およびβ12に対して、2段目のα21、α22、β21、およびβ22を水平方向にずらせて載置する。
続いて、図6(C)の(a)、(b)に示すように、3段目の耐火煉瓦18として、炉内側の2段目のα21、α22の上面にα31、α32、高炉鉄皮12側の2段目のβ21、β22の上面にβ31、β32を載置する。このときも、α31およびα32の煉瓦目地に対して、β31およびβ32の煉瓦目地が繋がらないように、更に、α21およびα22の煉瓦目地とα31およびα32の煉瓦目地が、β21およびβ22の煉瓦目地とβ31およびβ32の煉瓦目地がそれぞれが繋がらないように、2段目のα21、α22、β21、およびβ22に対して、3段目のα31、α32、β31、およびβ32を水平方向にずらせて載置する。そして、図6(D)の(a)、(b)に示すように、4段目の耐火煉瓦18として、炉内側の3段目のα31、α32の上面にα41、α42、およびα43を、高炉鉄皮12側の3段目のβ31、β32の上面にβ41、β42、β43を載置する。このときも、α41およびα42並びにα42およびα43の各煉瓦目地に対して、β41およびβ42並びにβ42およびβ43の各煉瓦目地が繋がらないように、更に、α31およびα32の煉瓦目地に対してα41およびα42並びにα42およびα43の各煉瓦目地が繋がらないように、β31およびβ32の煉瓦目地に対してβ41およびβ42並びにβ42およびβ43の各煉瓦目地が繋がらないように、3段目のα31、α32、β31、およびβ32に対して、4段目のα41、α42、α43、β41、β42、およびβ43を水平方向にずらせて載置する。
これによって、図5に示すように、4段目のα41およびβ41の一側端面は、4段目のα41、α42、α43、β41、β42、およびβ43を支持している煉瓦受け金物17の一側上方に千鳥配置された別の煉瓦受け金物17の端面に当接し、4段目のα43およびβ43の他側端面は、4段目のα41、α42、α43、β41、β42、およびβ43を支持している煉瓦受け金物17の他側上方に千鳥配置された別の煉瓦受け金物17の端面に当接する。更に、4段目のα41、α42、α43、β41、β42、およびβ43の上面は実質的に同一高さ位置となり、しかも、α41、α42、α43、β41、β42、およびβ43の煉瓦群を両側から挟んで配置されている煉瓦受け金物17の上面とも実質的に同一高さ位置となる。そして、上記の耐火煉瓦18の積み上げを、築炉段16の下側の上下に互い違いに並んで配置された開口14の下側の開口14に装着された残り全ての煉瓦受け金物17に対して同一の段数で積み上げていくことにより、図2に示すように、高炉鉄皮12の内周面に内張りされた耐火煉瓦18の上面の高さ位置を周方向で実質的に同一高さ位置にすることができる。なお、高炉鉄皮12の内周面に内張りされた耐火煉瓦18の各煉瓦目地は、相互に繋がっていないので、高炉操業中に高炉内のガスが高炉鉄皮12側に進入するのを抑制することができる。
ここで、高炉鉄皮12の築炉段16の内周面に内張りしてきた耐火煉瓦18の上面の高さ位置が、周方向で実質的に同一高さ位置に達する状態になると、これ以降では高炉鉄皮12の内側面において周方向の任意の角度位置の場所に耐火煉瓦18を載置することができるので、図7に示すように、煉瓦受け金物17が装着された開口14より上方に位置する開口14には高炉鉄皮12の外側から冷却盤15を装着させながら、耐火煉瓦18の煉瓦目地が繋がらないように耐火煉瓦18同士を連接させて積み上げていくことができる。
一方、高炉10の下部内側の炉底壁煉瓦11は、朝顔部の下端と当接する高さ位置まで積み上げられているので、朝顔部の下側領域では、高炉鉄皮12の内側面において周方向の任意の角度位置の場所に耐火煉瓦18を載置することができる。
このため、図2、図7に示すように、朝顔部の下側(最下段の築炉段16より下側)に形成された開口14に高炉鉄皮12の外側から冷却盤15を装着させながら、耐火煉瓦18の煉瓦目地が繋がらないように耐火煉瓦18同士を連接させて積み上げていくことができる。その結果、各築炉段16で耐火煉瓦18の積み上げ作業を行なっていくと、図7に示すように、各築炉段16で煉瓦受け金物17の下側領域を除く全ての高炉鉄皮12の内周面は耐火煉瓦18で内張りされた状態になる(以上、第1工程)。
図7に示すように、煉瓦受け金物17の下側領域に耐火煉瓦18を積み上げる場合、各築炉段16の煉瓦受け金物17の下方に積み上げられてきた耐火煉瓦18の上面の高さ位置は、周方向で実質的に同一高さ位置になっているので、更にその上に積み上げる耐火煉瓦18は、高炉鉄皮12の内側面において周方向の任意の角度位置の場所に載置することができる。このため、図8に示すように、耐火煉瓦18の煉瓦目地が繋がらないように耐火煉瓦18同士を連接させて積み上げていくことにより、煉瓦受け金物17の下側領域を耐火煉瓦18で充填して、煉瓦受け金物17の下側から積み上げた耐火煉瓦18と煉瓦受け金物17の上に積み上げた耐火煉瓦18とを連接させることができる。その結果、各築炉段16の高炉鉄皮12の内周面に内張りされた耐火煉瓦18と、高炉10下部内側に内張りされた炉底壁煉瓦11とは一体化し、各築炉段16に内張りされた耐火煉瓦18は、高炉10下部内側に内張りされた炉底壁煉瓦11で支持される状態となり、煉瓦受け金物17が今まで支持していた煉瓦荷重を、積み上げた耐火煉瓦18で分担支持することができ、煉瓦受け金物17が支持してきた煉瓦荷重を軽減させて、煉瓦受け金物17を荷重軽減状態にすることができる(以上、第2工程)。なお、上方の開口14への冷却盤15の装着は、この荷重軽減状態の成立後に行うこともできる。
各築炉段16に内張りされた耐火煉瓦18が高炉10下部内側に内張りされた炉底壁煉瓦11で支持される状態になると、煉瓦受け金物17を取り除いても煉瓦受け金物17の上に積み上げた耐火煉瓦18は崩れない。一方、縦方向に並んだ開口14に装着された冷却盤15の間に複数(図8では7段)の耐火煉瓦18を積み上げた場合、最上段の耐火煉瓦18の上面は、上方に配置される冷却盤15の下面に当接するように耐火煉瓦18の厚みが予め調整されているので、冷却盤15の上面に耐火煉瓦18を積み上げた場合、図8、図9(A)に示すように、冷却盤15の上方に配置された煉瓦受け金物17の煉瓦支持板部材26の下面と冷却盤15の上面に積み上げられた最上段の耐火煉瓦18の上面との間には厚さHの隙間28が形成されている。そこで、煉瓦受け金物17の取付けフランジ部27と開口14の受けフランジ部25の連結を解除すると、煉瓦支持板部材26は、煉瓦支持板部材26の下方に形成されている隙間28の厚みHに相当する距離だけ落下して、煉瓦受け金物17に作用していた煉瓦荷重が解放される。このため、図9(B)に示すように、煉瓦支持板部材26を貫通孔23から引き抜くことができる。そして、図9(C)に示すように、開口14の貫通孔23に冷却盤15を先側から挿入し、冷却盤15の基側に設けられた取付けフランジ29を受けフランジ部25に、例えばボルトおよびナットを用いて連結することで冷却盤15を開口14に取付けることができ、受けフランジ部25と取付けフランジ部29の連結を解除して冷却盤15を貫通孔23から引き抜くことで冷却盤15を開口14から取り外すことができる。これによって、冷却盤15を着脱自在に高炉鉄皮12に装着することができる(以上、第3工程)。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、高炉炉体の朝顔部から炉頂部までの領域を、朝顔部からシャフト下部までの範囲と、シャフト中部からシャフト上部までの範囲の2つの築炉段に分けて高炉鉄皮の内周面に耐火煉瓦の内張りを行なったが、高炉炉体の朝顔部から炉頂部までの領域を3段以上の築炉段に分割して各築炉段毎の高炉鉄皮の内周面に耐火煉瓦を内張りしてもよい。
また、各築炉段における耐火煉瓦の積み上げよりも、朝顔部の下側領域、すなわち、高炉の下部内側に内張りされた炉底煉瓦壁の上への耐火煉瓦の積み上げを先行させ、最下段の築炉段に内張りされた耐火煉瓦を炉底壁煉瓦で支持される状態にして、最下段の築炉段では、開口に高炉鉄皮の外側から冷却盤を装着させながら耐火煉瓦を積み上げるようにしてもよい。
本発明の一実施の形態に係る高炉炉壁の築造方法を適用する高炉の断面図である。 同高炉炉壁の築造方法により築炉を開始した際の高炉鉄皮の内周面の部分展開図である。 同高炉炉壁の築造方法による築炉完了時における高炉鉄皮の内周面の部分展開図である。 (A)、(B)はそれぞれ同高炉炉壁の築造方法において、高炉鉄皮の開口に外側から煉瓦受け金物を挿入して取付けた状態を示す側断面図、平断面図である。 同高炉炉壁の築造方法において、煉瓦受け金物の上に積み上げられた耐火煉瓦の状態を示す正面図である。 (A)〜(D)はそれぞれ、図5における耐火煉瓦の各段の煉瓦配置を平面視および正面視した説明図である。 同高炉炉壁の築造方法の第2工程完了後の高炉鉄皮の内周面の部分展開図である。 煉瓦受け金物の下側に耐火煉瓦が積み上げられて煉瓦受け金物の上に積み上げた耐火煉瓦と連接した状態を示す説明図である。 (A)は下側に耐火煉瓦が積み上げられた煉瓦受け金物の状態を示す側断面図、(B)は煉瓦受け金物を開口から引き抜いた際の高炉鉄皮の内周面に内張りされた耐火煉瓦の状態を示す側断面図、(C)は開口に冷却盤を装着した際の状態を示す側断面図である。
符号の説明
10:高炉、11:炉底壁煉瓦、12:高炉鉄皮、13:耐火煉瓦壁、14:開口、15:冷却盤、16:築炉段、17:煉瓦受け金物、18:耐火煉瓦、19:羽口、20:出銑口、21:仮設デッキ、22:仮設架台、23:貫通孔、24:短筒体、25:受けフランジ部、26:煉瓦支持板部材、27:取付けフランジ部、28:隙間、29:取付けフランジ部

Claims (7)

  1. 下部内側に炉底壁煉瓦が所定高さで積み上げられている高炉鉄皮の内周面に耐火煉瓦が内張りされた耐火煉瓦壁に、該高炉鉄皮の内周面に千鳥配置された開口から内側に突出した複数の冷却盤が貫通配置された高炉炉壁の築造方法において、
    前記耐火煉瓦壁を施工する領域を上下方向に複数の築炉段に区分し、前記開口のうち該各築炉段の下側の上下に互い違いに並んで配置された開口に煉瓦受け金物を前記高炉鉄皮の外側から挿入し、該煉瓦受け金物の上に前記耐火煉瓦を積み上げる第1工程と、
    前記煉瓦受け金物の下側に前記耐火煉瓦を積み上げ、前記煉瓦受け金物の上に積み上げた前記耐火煉瓦と連接させて、該煉瓦受け金物が支持していた煉瓦荷重を軽減する荷重軽減状態にする第2工程と、
    前記煉瓦荷重が軽減された前記煉瓦受け金物を前記開口から引き抜き、該煉瓦受け金物が装着されていた開口に前記冷却盤を装着する第3工程とを有することを特徴とする高炉炉壁の築造方法。
  2. 請求項1記載の高炉炉壁の築造方法において、前記荷重軽減状態は、前記煉瓦受け金物の下側に積み上げられた前記耐火煉瓦が、前記炉底壁煉瓦で支持される状態であることを特徴とする高炉炉壁の築造方法。
  3. 請求項1および2のいずれか1項に記載の高炉炉壁の築造方法において、前記複数の築炉段で、その下側の上下に互い違いに並んだ開口への前記煉瓦受け金物の装着および該煉瓦受け金物上への前記耐火煉瓦の積み上げを開始することを特徴とする高炉炉壁の築造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高炉炉壁の築造方法において、前記煉瓦受け金物の上に積み上げられた前記耐火煉瓦の高さ位置が、前記高炉鉄皮の内周面の周方向で実質的に同一高さ位置に達してから、または、前記荷重軽減状態が成立してから、前記開口に前記冷却盤を装着することを特徴とする高炉炉壁の築造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の高炉炉壁の築造方法において、前記煉瓦受け金物および前記冷却盤はそれぞれ着脱自在に前記高炉鉄皮に装着されることを特徴とする高炉炉壁の築造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高炉炉壁の築造方法において、前記耐火煉瓦は、周方向に同一の段数で積み上げて、各段の前記耐火煉瓦の高さ位置を周方向で実質的に同一にすることを特徴とする高炉炉壁の築造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の高炉炉壁の築造方法において、前記耐火煉瓦壁を施工する領域は、高炉炉体の朝顔部から炉頂部までの領域であることを特徴とする高炉炉壁の築造方法。
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