JP2008101248A - 鋼材の表面処理方法及び表面処理された鋼材 - Google Patents

鋼材の表面処理方法及び表面処理された鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼材の表面処理方法において、鋼材の表面処理コストを、更に低減させることである。
【解決手段】クロム鋼等の鋼材を、炭化水素系ガス等の浸炭性ガスで所定時間浸炭し、鋼材に炭素を固溶する浸炭工程(S10)と、炭素を固溶した鋼材を加熱して、炭素を鋼材に拡散する拡散工程(S12)とを有する鋼材の表面処理方法であって、浸炭工程(S10)は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率を測定し、重量増加率に基づいて浸炭を止めることである。また、浸炭工程(S10)は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が変わるときに浸炭を止めることが好ましい。更に、浸炭工程(S10)と拡散工程(S12)とは、複数回行われることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼材の表面処理方法及び表面処理された鋼材に係り、特に、鋼材を浸炭性ガスで所定時間浸炭し、鋼材に炭素を固溶する浸炭工程と、炭素を固溶した鋼材を加熱して、炭素を鋼材に拡散する拡散工程と、を有する鋼材の表面処理方法及び表面処理された鋼材に関する。
自動車部品等の車両用部品には、一般的に、鋼や鋳鉄等の鉄鋼材料が用いられている。鋼材には、耐摩耗性等を向上させるために浸炭処理等の表面処理が行われる。鋼材の浸炭方法には、固体浸炭法、液体浸炭法、ガス浸炭法及び真空浸炭法等がある。特許文献1には、減圧無酸化雰囲気の加熱室にメタンやプロパン等の鎖状炭化水素ガスを供給して、減圧下において鋼部品を高周波加熱手段により加熱して浸炭処理を行い、その後、鎖状炭化水素ガスの供給を停止及び排出して減圧無酸化雰囲気下で拡散処理を行うことが記載されている。
特開2000−129418号公報
ところで、上述したような浸炭処理と拡散処理とを繰返し行う鋼材の表面処理方法では、浸炭処理に浸炭性ガスを使用するため、浸炭処理時間が長くなると浸炭性ガスの使用量が多くなる場合がある。炭化水素系ガス等の浸炭性ガスは、一般的に、高価であるため、浸炭処理時間が長くなり浸炭性ガスの使用量が多くなると、鋼材の表面処理コストが高くなる可能性がある。また、浸炭処理時間が長くなることにより、鋼材の表面処理時間が長くなり、表面処理された鋼材の生産性が低下する可能性がある。
そこで、本発明の目的は、鋼材の表面処理コストを、更に低減する鋼材の表面処理方法及び表面処理された鋼材を提供することである。
本発明に係る鋼材の表面処理方法は、鋼材を浸炭性ガスで所定時間浸炭し、鋼材に炭素を固溶する浸炭工程と、炭素を固溶した鋼材を加熱して、炭素を鋼材に拡散する拡散工程と、を有する鋼材の表面処理方法であって、浸炭工程は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率を測定し、重量増加率に基づいて浸炭を止めることを特徴とする。
本発明に係る鋼材の表面処理方法において、浸炭工程は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が変わるときに浸炭を止めることを特徴とする。
本発明に係る鋼材の表面処理方法において、浸炭工程と拡散工程とは、複数回行われることを特徴とする。
本発明に係る表面処理された鋼材は、鋼材を浸炭性ガスで所定時間浸炭し、鋼材に炭素を固溶する浸炭工程と、炭素を固溶した鋼材を加熱して、炭素を鋼材に拡散する拡散工程と、を有する鋼材の表面処理方法で表面処理された鋼材であって、浸炭工程は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率を測定し、重量増加率に基づいて浸炭を止めることを特徴とする。
本発明に係る表面処理された鋼材において、浸炭工程は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が変わるときに浸炭を止めることを特徴とする。
本発明に係る表面処理された鋼材において、浸炭工程と拡散工程とは、複数回行われることを特徴とする。
上記のように本発明に係る鋼材の表面処理方法及び表面処理された鋼材によれば、浸炭時間を短縮することにより、鋼材の表面処理コストを、更に低減することができる。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。図1は、鋼材の表面処理方法を示すフローチャートである。鋼材の表面処理方法は、浸炭工程(S10)と、拡散工程(S12)と、焼入れ工程(S14)とを含んで構成される。
浸炭工程(S10)は、鋼材を浸炭性ガスで所定時間浸炭し、鋼材に炭素を固溶する工程である。
鋼材には、炭素鋼、クロム鋼(Cr鋼)、クロムーモリブデン鋼(Cr−Mo鋼)、ニッケルークロム鋼(Ni−Cr鋼)、ニッケルークロムーモリブデン鋼(Ni−Cr−Mo鋼)等を用いることができる。勿論、鋼材は、上記金属材料に限定されることはない。
鋼材を浸炭する浸炭性ガスには、メタン、プロパン、エチレン、アセチレン等の炭化水素系ガスを用いることができる。炭化水素系ガスを高温で加熱して分解させることにより、分解して生成した炭素を鋼材に固溶させて浸炭することができるからである。また、浸炭性ガスには、炭化水素系ガスに窒素ガス等を混合した混合ガスを用いることができる。勿論、他の条件次第では、浸炭性ガスは、上記炭化水素系ガスに限定されることはない。
鋼材の浸炭処理に用いられる浸炭装置には、一般的に、金属材料の浸炭処理に用いられる浸炭炉を使用することができる。浸炭炉内に浸炭処理前のワーク材である鋼材を置いて、アセチレン等の浸炭性ガスを炉内に導入して加熱することにより、炭素を鋼材に固溶させて浸炭することができる。
鋼材を加熱して浸炭するときの浸炭温度は、例えば、850℃以上1000℃以下とすることができる。また、鋼材の浸炭温度は、900℃以上950℃以下とすることが好ましい。勿論、他の条件次第では、鋼材の浸炭温度は、上記温度範囲に限定されることはない。
拡散工程(S12)は、炭素を固溶した鋼材を加熱して、炭素を鋼材に拡散する工程である。浸炭工程(S10)で鋼材の表面に、例えば、セメンタイト(FeC)を形成させるように炭素を固溶させて浸炭処理した後に、鋼材の表面に固溶した高濃度の炭素を鋼材の内部に拡散させることにより、鋼材表面の炭素濃度を調整することができる。
炭素を固溶した鋼材の拡散処理は、炭素を固溶した鋼材を、浸炭性ガスの導入を止めて加熱することにより行うことができる。拡散処理に用いられる拡散処理装置には、浸炭工程(S10)で用いた浸炭炉を使用することが好ましい。浸炭工程(S10)と拡散工程(S12)とを同じ装置で処理することにより、浸炭工程(S10)後における鋼材の搬入及び搬出を省略することができ、鋼材をより短時間で表面処理することができるからである。勿論、他の条件次第では、拡散処理装置は、浸炭装置と同じ装置に限定されることはない。
炭素を固溶した鋼材を拡散処理するときの拡散温度は、例えば、850℃以上1000℃以下とすることができる。また、炭素を固溶した鋼材の拡散温度は、900℃以上950℃以下とすることが好ましい。勿論、他の条件次第では、炭素を固溶した鋼材の拡散温度は、上記温度範囲に限定されることはない。
浸炭工程(S10)と拡散工程(S12)とは、複数回行われることが好ましい。浸炭工程(S10)で鋼材表面に固溶した高濃度の炭素を、拡散工程(S12)で鋼材内部に拡散させて鋼材表面の炭素濃度を下げた後に、更に、浸炭工程(S10)で鋼材表面の炭素濃度が低下した鋼材を浸炭することで、炭素を効率よく鋼材に固溶させることができるからである。このように、浸炭工程(S10)と拡散工程(S12)とを複数回繰り返すことにより、鋼材により多くの炭素を含有させることができる。
浸炭工程(S10)は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率を測定し、重量増加率に基づいて浸炭を止めることが好ましい。浸炭時間の経過とともに鋼材に炭素が固溶して鋼材の重量が増加するため、浸炭時間に対する鋼材重量変化の割合である鋼材の重量増加率を測定し、重量増加率に基づいて浸炭を止めることにより、鋼材の重量増加率の大きい領域で浸炭することができるからである。そして、鋼材の重量増加率の大きい領域で浸炭することにより浸炭時間を短縮することができ、アセチレン等の浸炭性ガスの使用量を抑制することができる。
図2は、浸炭中における鋼材の重量変化を表した代表的なグラフである。図2では、グラフの横軸に浸炭時間(min)を取り、グラフの縦軸に鋼材の重量変化(g)を取り、浸炭時間に対する鋼材の重量変化量を黒丸で示した。
浸炭開始後の初期段階では、鋼材表面の炭素濃度が低いために、鋼材へ炭素が固溶する速度が速くなる。そのため、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率は大きくなる。そして、鋼材に炭素が固溶されるに従って、鋼材表面には、セメンタイト(FeC)が形成され、鋼材表面の炭素濃度が高くなる。更に、浸炭時間が経過して鋼材に炭素が固溶されると、鋼材表面がセメンタイト(FeC)で被覆される。鋼材表面がセメンタイト(FeC)で被覆されると、鋼材表面の炭素濃度が高濃度となるため、鋼材へ炭素が固溶する速度が遅くなり、浸炭開始後の初期段階と比較して浸炭時間に対する鋼材の重量増加率は小さくなる。したがって、図2に示すように、鋼材にセメンタイト(FeC)が被覆される前と、セメンタイト(FeC)が被覆された後とにおいて、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が変わり、グラフに変曲点が形成される。
図3は、浸炭された鋼材の代表的な断面組織を示す写真であり、図3(A)は、浸炭開始後の初期段階である変曲点前に浸炭を止めた鋼材の断面組織を示す写真であり、図3(B)は、変曲点後に浸炭を止めた鋼材の断面組織を示す写真である。変曲点前に浸炭を止めた鋼材では、図3(A)に示すように、鋼材表面の一部にセメンタイト(FeC)が形成される。そして、変曲点前に浸炭を止めた鋼材の表面は、まだ、セメンタイト(FeC)で被覆されてはいない。しかし、変曲点後に浸炭を止めた鋼材では、図3(B)に示すように、鋼材表面はセメンタイト(FeC)で被覆される。
このように、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率を測定することにより、鋼材表面がセメンタイト(FeC)で被覆される前に浸炭を止めることで、鋼材の重量増加率の大きい領域で浸炭することができ、浸炭時間を短縮することができる。
浸炭工程(S10)は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が変わるときに浸炭を止めることが好ましい。浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が変わるとき、例えば、鋼材表面がセメンタイト(FeC)で被覆される直前で浸炭を止めることにより、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が大きい領域で効率的に浸炭することができ、浸炭時間を、更に短縮することができるからである。
また、浸炭工程(S10)と拡散工程(S12)とを複数回行うことにより鋼材を表面処理する場合においても、浸炭工程(S10)では、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が変わるときに浸炭を止めることが好ましい。鋼材表面がセメンタイト(FeC)で被覆される直前で浸炭を止めることにより、重量増加率の高い領域で鋼材を複数回効率的に浸炭することができ、鋼材の表面処理時間を更に短縮することができるからである。そして、鋼材の浸炭時間を短縮することにより、高価な浸炭性ガスの使用量を抑えることができる。
焼入れ工程(S14)は、拡散工程(S12)後に、炭素を拡散した鋼材を熱処理して、鋼材表面の硬度を高くする工程である。炭素を拡散した鋼材の熱処理には、油焼入れやガス焼入れ等を用いることができる。炭素を拡散した鋼材の焼入れには、一般的に、炭素鋼等の熱処理で使用される熱処理炉等を用いることができる。
なお、上記における鋼材の表面処理方法は、トランスミッションギア等の自動車用金属部品等についても適用することができる。また、上記における鋼材の表面処理方法は、他の条件次第では、鉄(Fe)合金だけでなく、他の金属材料についても適用することができる。
以上、上記構成によれば、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率を測定し、重量増加率に基づいて浸炭を止めることにより、鋼材表面にセメンタイト(FeC)が被覆される前に浸炭を止めることができるので、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が高い領域で浸炭することができる。そして、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が高い領域で浸炭することにより、鋼材の浸炭時間を短縮することができ、浸炭性ガスの使用量を抑制し、鋼材の表面処理コストを低減することができる。
上記構成によれば、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率を測定し、重量増加率に基づいて浸炭を止めることにより、鋼材の浸炭時間を短縮して鋼材の表面処理時間をより短縮し、表面処理された鋼材の生産性を、更に向上させることができる。
上記構成によれば、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が変わるときに浸炭を止めることにより、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が大きい領域で効率的に浸炭することができ、浸炭時間を、更に短縮することができる。
鋼材に、2種類の表面処理条件で表面処理を行なった。図4は、実施例1及び比較例1における表面処理条件を示す図である。まず、実施例1における表面処理条件について説明する。
鋼材には、クロム鋼であるSCR420Hを使用した。図5は、表面処理に用いた鋼材SCR420Hの形状を示す図である。鋼材SCR420Hには、直径18mm、高さ50mmである円柱状鋼材を使用した。
浸炭処理は、図4に示すように、鋼材SCR420Hを浸炭温度950℃で加熱して行った。浸炭性ガスには、1質量%のアセチレンと、99質量%の窒素とを混合した混合ガスを使用した。そして、浸炭性ガスのガス流量は5L/minとした。
実施例1における表面処理条件では、浸炭処理と拡散処理とを合わせて1ステップとして、ステップ1からステップ11まで浸炭処理と拡散処理を繰返して実施した。浸炭処理は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率を測定し、鋼材表面がセメンタイト(FeC)で被覆される前に浸炭を止めて処理した。実施例1における浸炭時間は、ステップ1からステップ11の各々ステップで1分間とした。したがって、実施例1における表面処理条件では、浸炭時間の合計は11分間である。
拡散処理は、各々ステップの浸炭処理後に、上記浸炭性ガスの導入を止めて、炭素を固溶した鋼材SCR420Hを950℃で加熱することにより炭素を拡散させて処理した。拡散時間は、ステップ1では4分間、ステップ2では5分間、ステップ3では6分間、ステップ4〜5では7分間、ステップ6〜8では8分間、ステップ9〜10では10分間、ステップ11では15分間とした。したがって、実施例1における表面処理条件では、拡散時間の合計は88分間である。なお、浸炭時間と拡散時間を合わせた合計は99分間である。
次に、比較例1における表面処理条件について説明する。鋼材には、実施例1と同じクロム鋼SCR420Hを使用した。
浸炭処理は、図4に示すように、鋼材SCR420Hを浸炭温度950℃で加熱して行った。浸炭性ガスには、実施例1と同様に、1質量%のアセチレンと、99質量%の窒素とを混合した混合ガスを使用し、浸炭性ガスのガス流量を5L/minとした。
比較例1における表面処理条件では、図4に示すように、浸炭処理と拡散処理とを各々1回ずつ行った。比較例1における表面処理条件では、浸炭時間を33分間とした。
拡散は、鋼材SCR420Hを33分間浸炭処理した後に、上記浸炭性ガスの導入を止めて、炭素を固溶した鋼材SCR420Hを950℃で加熱することにより炭素を拡散させて処理した。比較例1における表面処理条件では、拡散時間を66分間とした。なお、浸炭時間と拡散時間を合わせた合計時間は99分間である。
そして、実施例1及び比較例1における表面処理において、浸炭処理と拡散処理とを合わせた時間に対する鋼材SCR420Hの重量を測定し、鋼材SCR420Hの重量変化量を求めた。また、単位時間(min)あたりの重量変化量(g)である重量増加率(g/min)を求め浸炭速度(g/min)として表した。
まず、実施例1と比較例1とにおける表面処理条件で表面処理された鋼材SCR420Hの重量変化量測定結果について説明する。図6は、実施例1と比較例1とにおける表面処理条件で表面処理された鋼材SCR420Hの重量変化量測定結果を示すグラフであり、図6(A)は、実施例1における表面処理条件で表面処理された鋼材SCR420Hの重量変化量を測定したグラフであり、図6(B)は、比較例1における表面処理条件で表面処理された鋼材SCR420Hの重量変化量を測定したグラフである。図6(A)と図6(B)では、横軸に浸炭処理と拡散処理とを合わせた処理時間を取り、縦軸に鋼材SCR420Hの重量変化量を取って、処理時間に対する重量変化量の関係を示した。
実施例1における表面処理条件では、図6(A)に示すように、各々ステップにおいて、浸炭処理では炭素が鋼材SCR420Hに固溶するため、鋼材SCR420Hの重量が増加し、浸炭後の拡散処理では、鋼材SCR420Hに固溶した炭素を拡散させるため、鋼材SCR420Hの重量はほとんど増加せず略一定となった。そして、ステップ1からステップ11まで浸炭処理と拡散処理とを繰り返した後における鋼材SCR420Hの重量増加は、約0.115gであった。
比較例1における表面処理条件では、図6(B)に示すように、浸炭処理では、炭素が鋼材SCR420Hに固溶するため鋼材SCR420Hの重量が増加し、浸炭時間33分間後の拡散処理では、鋼材SCR420Hに固溶した炭素を拡散させるため、鋼材SCR420Hの重量はほとんど増加せず略一定となった。そして、浸炭処理と拡散処理とを終了した後における鋼材SCR420Hの重量増加は、約0.115gであった。
実施例1と比較例1とにおける表面処理条件について、鋼材SCR420Hの重量変化を比較すると、鋼材SCR420Hの重量増加量は略同じであった。実施例1における表面処理条件では浸炭時間が合計で11分間であるのに対して、比較例1における表面処理条件では浸炭時間が合計で33分間であるので、実施例1の表面処理条件では、比較例1の表面処理条件に対して、略3分の1の浸炭時間で略同量の炭素を鋼材SCR420Hに固溶させることができた。
次に、実施例1と比較例1とにおける表面処理条件で表面処理された鋼材SCR420Hの浸炭速度測定結果について説明する。図7は、実施例1と比較例1とにおける表面処理条件で表面処理された鋼材SCR420Hの浸炭速度測定結果を示すグラフであり、図7(A)は、実施例1における表面処理条件で表面処理された鋼材SCR420Hの浸炭速度を測定したグラフであり、図7(B)は、比較例1における表面処理条件で表面処理された鋼材SCR420Hの浸炭速度を測定したグラフである。図7(A)と図7(B)とは、横軸に浸炭処理と拡散処理とを合わせた処理時間を取り、縦軸に鋼材SCR420Hの浸炭速度を取って、処理時間に対する浸炭速度の関係を示した。
実施例1における表面処理条件では、浸炭速度は、図7(A)に示すように、0.005g/min〜0.014g/minであった。浸炭開始直後の浸炭速度が0.014g/minと高く、ステップ回数が増えるに従って浸炭速度は小さくなり、例えば、ステップ後半であるステップ9からステップ11では、略0.005g/minとなった。
比較例1における表面処理条件では、浸炭速度は、図7(B)に示すように、0.0015g/min〜0.014g/minであった。浸炭開始直後の浸炭速度が0.014g/minと高く、浸炭時間が長くなるに従って浸炭速度は小さくなり、浸炭終了時には0.0015g/minと低下した。
実施例1と比較例1とにおける表面処理条件での浸炭速度を比較すると、まず、浸炭開始直後では、浸炭速度は0.014g/minであり同じであった。しかし、実施例1における表面処理条件では、ステップ11における浸炭処理の浸炭速度が0.005g/min以上を維持しているのに対して、比較例1における表面処理条件では、浸炭開始略4分間経過後から浸炭速度が0.005g/min以下となり、浸炭処理終了前には0.0015g/minとなった。したがって、実施例1の表面処理条件では、比較例1の表面処理条件よりも大きい浸炭速度で鋼材SCR420Hに浸炭させることができた。
実施例1及び比較例1の表面処理条件で処理した鋼材SCR420Hについて断面観察を行い、浸炭深さを測定した。図8は、表面処理した鋼材SCR420Hの断面観察結果を示す写真であり、図8(A)は、実施例1の表面処理条件で処理した鋼材SCR420Hの断面観察結果を示す写真であり、図8(B)は、比較例1の表面処理条件で処理した鋼材SCR420Hの断面観察結果を示す写真である。実施例1及び比較例1の表面処理条件で処理した鋼材SCR420Hでは、約0.68mmの略同じ浸炭深さが得られた。
以上、実施例1における表面処理条件では、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率を測定し、鋼材表面がセメンタイト(FeC)で被覆される前に浸炭を止めることにより、実施例1における浸炭合計時間が比較例1の浸炭合計時間より短くても、比較例1の表面処理条件と同等の浸炭深さが得られた。実施例1における表面処理条件では、比較例1における表面処理条件よりも、浸炭合計時間が短いので、アセチレンを含む浸炭性ガスの使用量を抑えることができた。
本発明の実施の形態において、鋼材の表面処理方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態において、浸炭中における鋼材の重量変化を表した代表的なグラフである。 本発明の実施の形態において、浸炭された鋼材の代表的な断面組織を示す写真である。 本発明の実施の形態において、実施例1及び比較例1における表面処理条件を示す図である。 本発明の実施の形態において、表面処理に用いた鋼材SCR420Hの形状を示す図である。 本発明の実施の形態において、実施例1と比較例1とにおける表面処理条件で表面処理された鋼材SCR420Hの重量変化量測定結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態において、実施例1と比較例1とにおける表面処理条件で表面処理された鋼材SCR420Hの浸炭速度測定結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態において、表面処理した鋼材SCR420Hの断面観察結果を示す写真である。
符号の説明
S10 浸炭工程、S12 拡散工程、S14 焼入れ工程。

Claims (6)

  1. 鋼材を浸炭性ガスで所定時間浸炭し、鋼材に炭素を固溶する浸炭工程と、
    炭素を固溶した鋼材を加熱して、炭素を鋼材に拡散する拡散工程と、
    を有する鋼材の表面処理方法であって、
    浸炭工程は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率を測定し、重量増加率に基づいて浸炭を止めることを特徴とする鋼材の表面処理方法。
  2. 請求項1に記載の鋼材の表面処理方法であって、
    浸炭工程は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が変わるときに浸炭を止めることを特徴とする鋼材の表面処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の鋼材の表面処理方法であって、
    浸炭工程と拡散工程とは、複数回行われることを特徴とする鋼材の表面処理方法。
  4. 鋼材を浸炭性ガスで所定時間浸炭し、鋼材に炭素を固溶する浸炭工程と、
    炭素を固溶した鋼材を加熱して、炭素を鋼材に拡散する拡散工程と、
    を有する鋼材の表面処理方法で表面処理された鋼材であって、
    浸炭工程は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率を測定し、重量増加率に基づいて浸炭を止めることを特徴とする表面処理された鋼材。
  5. 請求項4に記載の表面処理された鋼材であって、
    浸炭工程は、浸炭時間に対する鋼材の重量増加率が変わるときに浸炭を止めることを特徴とする表面処理された鋼材。
  6. 請求項4または5に記載の表面処理された鋼材であって、
    浸炭工程と拡散工程とは、複数回行われることを特徴とする表面処理された鋼材。
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