JP2008100809A - エレベータのディスクブレーキ - Google Patents
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Abstract
【課題】保守作業性の改善を図ったエレベータのディスクブレーキを提供する。
【解決手段】駆動モータの回転軸1に形成された環状溝1bにOリング11を配置するとともに、環状溝1bのうちOリング11の回転軸1先端側にバックアップリング12を配置し、そのバックアップリング12をもって回転軸1とブレーキディスク4のボス部4aとの間の隙間Gを回転軸1の径方向で狭める。
【選択図】図1
【解決手段】駆動モータの回転軸1に形成された環状溝1bにOリング11を配置するとともに、環状溝1bのうちOリング11の回転軸1先端側にバックアップリング12を配置し、そのバックアップリング12をもって回転軸1とブレーキディスク4のボス部4aとの間の隙間Gを回転軸1の径方向で狭める。
【選択図】図1
Description
本発明はエレベータのディスクブレーキに関し、特に、巻上機の回転軸とブレーキディスクとの間にリング状のゴム系弾性体が介装され、制動時に生じる上記ゴム系弾性体の弾性変形に基づく復元力をもって制動力解放時にブレーキディスクを引き戻すようにしたエレベータのディスクブレーキに関する。
エレベータのディスクブレーキとして、駆動モータの回転軸にブレーキディスクをスプライン結合するとともに、巻上機に対して固定された固定プレートと回転軸の軸方向に移動可能な可動プレートをもってブレーキディスクを挟持して回転軸を制動する技術が特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載の技術では、可動プレートがブレーキスプリングによりブレーキディスクに常時押し付けられていて、電磁力をもって可動プレートをブレーキディスクから引き離すことでブレーキを解放するようになっている。
このようなディスクブレーキにおいて、回転軸の外周面に環状溝を形成するとともに、その環状溝にブレーキディスクの内周面に当接するリング状のゴム系弾性体を配置したものが一部で採用されている。すなわち、制動時に固定プレート側へ変位するブレーキディスクに引き摺られて上記ゴム系弾性体が弾性変形し、そのゴム系弾性体の復元力をもってブレーキ解放時にブレーキディスクを反固定プレート側に引き戻すようにしている。
なお、類似の技術として、自動二輪用ディスクブレーキのピストンシールを制動時に弾性変形させ、そのピストンシールの復元力をもってブレーキ解放時にピストンを引き戻すようにした技術が例えば特開2001−263393号公報に記載されている。
特開2000−177956号公報
以上のように上記ゴム系弾性体を有するディスクブレーキでは、例えばディスクブレーキの保守作業を行うべくブレーキディスクを脱着したときに、回転軸とブレーキディスクとの間に上記ゴム系弾性体が引き込まれて破損し、保守作業が煩雑になるという問題点があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ブレーキディスク脱着時における上記ゴム系弾性体の破損を防止することで、保守作業性の向上を図ったエレベータのディスクブレーキを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、巻上機の回転軸にスプライン結合したブレーキディスクの一方側に巻上機の非可動部分に対して固定された固定プレートが配置されている一方で、ブレーキディスクの他方側に回転軸の軸方向で移動可能な可動プレートが配置され、可動プレートを固定プレート側に押圧し、その可動プレートと固定プレートによりブレーキディスクを挟持することで回転軸を制動するようになっていて、さらに、回転軸の外周面に形成された環状溝にブレーキディスクの内周面に当接するリング状のゴム系弾性体が配置され、制動時に生じる上記ゴム系弾性体の弾性変形に基づく復元力をもってブレーキ解放時にブレーキディスクを引き戻すようにしたエレベータのディスクブレーキであることを前提としていて、環状溝のうち上記ゴム系弾性体のブレーキディスク引き戻し方向側にバックアップリングが隣接配置されていて、そのバックアップリングが回転軸とブレーキディスクとの間の隙間を回転軸の径方向で少なくとも狭めるようになっていることを特徴としている。
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、バックアップリングがゴム系弾性体のブレーキディスク引き戻し方向側で回転軸とブレーキディスクとの間の隙間を回転軸の径方向で少なくとも狭めているため、ブレーキディスク脱着時における上記ゴム系弾性体のブレーキディスク引き戻し方向への引き込まれを防止できる。
より望ましくは請求項2に記載のように、バックアップリングが上記ゴム系弾性体を回転軸の軸方向で位置決めしていると、回転軸の軸方向における上記ゴム系弾性体の遊びが無くなり、上記ゴム系弾性体がブレーキディスクを引き戻す引き戻し量が安定したものとなる。
詳細には請求項3に記載のように、バックアップリングが回転軸のうち環状溝を形成する側壁面と上記ゴム系弾性体の両者に当接していると、回転軸の軸方向で上記ゴム系弾性体が位置決めされる。
請求項1に記載の発明によれば、ブレーキディスク脱着時に上記ゴム系弾性体がブレーキディスク引き戻し方向へ引き込まれることが防止できるため、ブレーキディスクの脱着を伴う保守作業の作業性が向上する。
また、請求項2に記載の発明によれば、上記ゴム系弾性体がブレーキディスクを引き戻す引き戻し量が安定したものとなり、ディスクブレーキのいわゆる引きずりを防止することができるメリットがある。
図1は本発明のより具体的な実施の形態を示す図であって、ブレーキ解放状態におけるエレベータのディスクブレーキを示す断面図である。
巻上機のうち駆動モータの回転軸1は図1に示すように巻上機のフレーム2とそのフレーム2に固定された固定プレートたるベースプレート3を挿通していて、回転軸1はその先端に一般部よりも大径で且つ外周面にスプラインが形成されたハブ部1aを有している。
ハブ部1aにはブレーキディスク4がスプライン結合されていて、そのブレーキディスク4の両面にはそれぞれリング状のブレーキシュー5が取り付けられている。換言すれば、ブレーキディスク4と回転軸1は相対回転不能で、且つブレーキディスク4が回転軸1上を軸方向に移動可能となっている。
ベースプレート3には反フレーム2側に突出する複数のガイドピン6が回転軸1の周方向で等間隔に設けられていて、ブレーキディスク4の反ベースプレート3側に配置された可動プレートたるアーマチュア7を各ガイドピン6が回転軸1の軸方向で移動可能に案内しているとともに、電磁コイル8aを内蔵する電磁プレート8がアーマチュア7の反ベースプレート3側でガイドピン6に支持されている。
アーマチュア7と電磁プレート8の間にはブレーキスプリング9が介装されていて、そのブレーキスプリング9をもってアーマチュア7をベースプレート3側に押圧し、アーマチュア7とベースプレート3との間にブレーキディスク4を挟持することで回転軸1を制動するようになっている。一方、ブレーキ解放時には電磁コイル8aを励磁することで、アーマチュア7をブレーキスプリング9の付勢力に抗して電磁プレート8に吸引するようになっている。
すなわち、ブレーキ解放状態ではブレーキディスク4とベースプレート3との間およびブレーキディスク4とアーマチュア7との間に所定の間隙が設けられていて、制動開始時にブレーキディスク4がアーマチュア7に押圧されてベースプレート3側へ変位することとなる。なお、ガイドピン6の先端に螺合したナット10によって制動時におけるアーマチュア7と電磁プレート8の間隙を変化させ、ディスクブレーキの制動力を調整できるようになっている。
より詳細には、回転軸1のハブ部1aに隣接して所定幅の環状溝1bが形成されていて、その環状溝1bにゴム系弾性体たるOリング11が配置されている。
環状溝1bはOリング11の線径、すなわちOリング11の幅よりも幅広に形成されているとともに、その環状溝1bにはOリング11の回転軸1先端側に滑性の良好な樹脂から形成されたバックアップリング12が隣接配置されている。バックアップリング12は回転軸1のうち環状溝1bを形成する側壁面とOリング11の両者に当接していて、Oリング11がバックアップリング12によって回転軸1の軸方向で位置決めされている。なお、図示は省略しているが回転軸1はいわゆる分割構造になっていて、回転軸1のうちハブ部1aを回転軸本体から取り外した状態でOリング11とバックアップリング12を回転軸1に取り付け、その上でハブ部1aを回転軸本体にキー結合するようになっている。また、図1では環状溝1bと、その環状溝1bに配置されたOリング11およびバックアップリング12と、を誇張して実際よりも大きく描いている。
一方、ブレーキディスク4は内周面にスプラインが形成された略円筒状のボス部4aとそのボス部4aのうち回転軸1先端側端部に形成された略フランジ状のディスク部4bとから構成されていて、ボス部4aとハブ部1aとがスプライン結合している。なお、ボス部4aとハブ部1aとのスプライン結合部を図1における符号Sにて示している。
ボス部4aは回転軸1のハブ部1aおよび環状溝1bに被さっていて、Oリング11がボス部4aの内周面に当接している。すなわち、回転軸1を制動すべくブレーキディスク4がベースプレート3側に変位したときに、Oリング11がボス部4aの内周面に引き摺られて回転軸1とボス部4aとの間に引き込まれるように弾性変形し、その弾性変形に基づくOリング11の復元力をもってブレーキ解放時にブレーキディスク4を回転軸1先端側に引き戻すことになる。
また、バックアップリング12の外径は回転軸1の一般部よりも大径で且つボス部4aの歯先円よりも若干小径に設定されていて、回転軸1とボス部4aとの間の回転軸1の径方向における隙間Gをバックアップリング12をもって狭めている。
以上のように構成した本実施の形態では、隙間Gがバックアップリング12により狭められているため、例えばディスクブレーキの保守作業をすべくブレーキディスク4を回転軸1から取り外す際に、回転軸1とボス部4aとの間へのOリング11の引き込まれを防止できる。
また、バックアップリング12によってOリング11が回転軸1の軸方向で位置決めされることで回転軸1の軸方向におけるOリング11の遊びがなくなるため、ブレーキ解放時にブレーキディスク4を引き戻す引き戻し量が安定する。
したがって本実施の形態によれば、ブレーキディスク取り外し時にOリング11がブレーキディスク4と回転軸1との間に引き込まれることが防止できるため、ブレーキディスク4の脱着を伴う保守作業の作業性が飛躍的に向上する。
また、Oリング11がブレーキディスク4を引き戻す引き戻し量が安定し、ディスクブレーキのいわゆる引きずりを防止することができるメリットがある。
なお、本実施の形態におけるバックアップリング12の外周面にスプラインを形成し、バックアップリング12とボス部4aとをスプライン結合させるようにしてもよい。この場合には、隙間Gが回転軸1の径方向でさらに狭められるため、ブレーキディスク取り外し時におけるOリング11の引き込まれをより効果的に防止できる。
さらに、バックアップリング12の外径とボス部4aの内径とが略同径となるように構成し、ブレーキディスク4組付時にバックアップリング12がブレーキディスク4をガイドするようにしてもよい。この場合には、ブレーキディスク4組付時にブレーキディスク4を回転軸1に対して平行に外挿することができるようになり、その組付作業が容易となるメリットがある。
1…回転軸
1b…環状溝
3…ベースプレート(固定プレート)
4…ブレーキディスク
7…アーマチュア(可動プレート)
11…Oリング(ゴム系弾性体)
12…バックアップリング
1b…環状溝
3…ベースプレート(固定プレート)
4…ブレーキディスク
7…アーマチュア(可動プレート)
11…Oリング(ゴム系弾性体)
12…バックアップリング
Claims (3)
- 巻上機の回転軸にスプライン結合したブレーキディスクの一方側に巻上機の非可動部分に対して固定された固定プレートが配置されている一方で、ブレーキディスクの他方側に回転軸の軸方向で移動可能な可動プレートが配置され、可動プレートを固定プレート側に押圧し、その可動プレートと固定プレートによりブレーキディスクを挟持することで回転軸を制動するようになっていて、さらに、回転軸の外周面に形成された環状溝にブレーキディスクの内周面に当接するリング状のゴム系弾性体が配置され、制動時に生じる上記ゴム系弾性体の弾性変形に基づく復元力をもってブレーキ解放時にブレーキディスクを引き戻すようにしたエレベータのディスクブレーキにおいて、
環状溝のうち上記ゴム系弾性体のブレーキディスク引き戻し方向側にバックアップリングが隣接配置されていて、そのバックアップリングが回転軸とブレーキディスクとの間の隙間を回転軸の径方向で少なくとも狭めるようになっていることを特徴とするエレベータのディスクブレーキ。 - バックアップリングが上記ゴム系弾性体を回転軸の軸方向で位置決めしていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータのディスクブレーキ。
- バックアップリングが回転軸のうち環状溝を形成する側壁面と上記ゴム系弾性体の両者に当接していることを特徴とする請求項2に記載のエレベータのディスクブレーキ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006284502A JP2008100809A (ja) | 2006-10-19 | 2006-10-19 | エレベータのディスクブレーキ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008100809A true JP2008100809A (ja) | 2008-05-01 |
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JP2006284502A Pending JP2008100809A (ja) | 2006-10-19 | 2006-10-19 | エレベータのディスクブレーキ |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011229331A (ja) * | 2010-04-22 | 2011-11-10 | Kawasaki Heavy Ind Ltd | 制動機能付モータ、及びそれを備えるロボット |
JP2013103832A (ja) * | 2011-11-16 | 2013-05-30 | Toshiba Elevator Co Ltd | エレベータ制動装置 |
JP2019142611A (ja) * | 2018-02-16 | 2019-08-29 | 東芝エレベータ株式会社 | 巻上機の電磁ディスクブレーキ装置 |
CN112896376A (zh) * | 2021-01-18 | 2021-06-04 | 中车青岛四方机车车辆股份有限公司 | 制动盘的检修方法 |
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2006
- 2006-10-19 JP JP2006284502A patent/JP2008100809A/ja active Pending
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