JP2008099665A - ソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉、ソース類またはフラワーペースト類用食品素材、およびソース類またはフラワーペースト類 - Google Patents

ソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉、ソース類またはフラワーペースト類用食品素材、およびソース類またはフラワーペースト類 Download PDF

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【課題】ソース類およびフラワーペースト類を調理する際の作業性および食感を改善し、かつ常温、チルドまたは冷凍保存後の電子レンジ調理などの再加熱調理においても、穀物臭を感じず、澱粉の老化による粉っぽさなどを抑制し、製造直後の口溶けを保持できる、いいかえれば経時変化耐性に優れた、ソース類およびフラワーペースト類が得られる、ソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉、該小麦粉を用いたソース類またはフラワーペースト類用食品素材、およびソース類またはフラワーペースト類を提供すること。
【解決手段】湿熱処理した小麦粉であって、α化度が12.5%以上、30%以下であり、かつ対粉300質量%に加水した場合の粘度が、1Pa・s以上、10Pa・s以下であることを特徴とするソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉、および該小麦粉を利用したソース類またはフラワーペースト類用食品素材およびソース類またはフラワーペースト類。
【選択図】なし

Description

本発明は、ベシャメルソースに代表されるホワイトソース、ドミグラスソースに代表されるブラウンソースのように西洋料理に使用されるソース類、洋菓子や菓子パンのフィリングとして使用されるフラワーペースト類に関し、調理時のハンドリングが容易で食感の良好なものが得られるソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理粉、該小麦粉を用いた食品素材、およびソース類またはフラワーペースト類に関する。
ソース類は通常、ルウと呼ばれる小麦粉をバターで炒めたものを牛乳やダシでのばして作られる。小麦粉をあらかじめ加熱することにより小麦粉特有の粘りと穀物臭を取り除くことが目的である。また、洋菓子や菓子パンのフィリングとして使用されるフラワーペースト類は、小麦粉に砂糖や乳製品、香料などを加えて加熱し、澱粉を糊化させて作られるが、加熱が不十分であると小麦粉特有の穀物臭と粉っぽい食感が残り、商品価値を下げてしまう。
これらルウ、ソースなどのソース類においては、従来から、上記したような問題点を解決するために、多くの報告がなされている。
例えば、「生澱粉類原料と乳糖、デキストリン、粉飴の1種又は2種以上の分散剤と食用固体脂15〜35%の混合物を20〜50℃の品温として押出し造粒機にかけて造粒することを特徴とする顆粒状スープ及びソース類食品の製造法」(特許文献1)、「小麦粉および油脂の混合物を加熱して、小麦粉をいためるルーの製造において、小麦粉および油脂に乳化剤を加えて、原料とすること、および原料の処理を、二軸型のエクストルーダーにおいて行うことを特徴とするルーの製造法」(特許文献2)、「平均粒子径25〜50μm、損傷度4.5〜15%の損傷小麦粉を原料として得られるルーを用いてソースを製造することを特徴とする滑らかな組織を有し、食感良好なソースの製造方法」(特許文献3)、および「あらかじめ水分を調製して低水分含有量とした小麦粉および/または
澱粉の表面に複数の油脂膜を有する粉末状食品であって、前記小麦粉および/または澱
粉の表面に形成された常温で液状の油脂からなる第1油脂膜と、第1油脂膜の上に形成された乳化剤膜と、この乳化剤膜の上に形成された常温で固体の油脂からなる第2油脂
膜とを有し、さらにその上に粉末油脂の層を有することを特徴とする粉末状食品」(特許文献4)を挙げることができる。
しかしながら、これらの発明によっても、いまだソース類を調理する際の作業性および食感を改善することは困難であり、また常温、チルドまたは冷凍保存後の電子レンジ調理などの再加熱調理においても、澱粉の老化による粉っぽさなどを抑制し、製造直後の口溶けを保持できるようにすることは困難であった。
特公昭57−47464号公報 特公昭64−51067号公報 特開平10−4896号公報 特開2004−253号公報
本発明は、このような従来の問題点を解消し、ソース類およびフラワーペースト類を調理する際の作業性および食感を改善し、かつ常温、チルドまたは冷凍保存後の電子レンジ調理などの再加熱調理においても、穀物臭を感じず、澱粉の老化による粉っぽさなどを抑制し、製造直後の口溶けを保持できる、いいかえれば経時変化耐性に優れた、ソース類およびフラワーペースト類が得られる、ソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉、該小麦粉を用いたソース類またはフラワーペースト類用食品素材、およびソース類またはフラワーペースト類を提供することをその課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定の範囲のα化度および加水後の生地粘度を有し、かつ粒度粒径調整された湿熱処理小麦粉を使用することで、上記のバッターに必要とされる全ての項目において、極めて優れた品質のソース類およびフラワーペースト類が実現できることを見出し、本発明を完成した。
具体的には、本発明は、これらハンドリングの煩雑さおよび難しさを解消し、更に食感的にも優位性を付与するための新規素材であり、それを利用したソース類またはびフラワーペースト類である。本発明を利用することで、ソース類に関しては小麦粉を炒めてルウを作る作業工程を省くことができ、フラワーペースト類に関しては、迅速に水に溶解し、すぐに粘度が出るため加熱調理時のハンドリングのブレを抑制させることができるものである。
すなわち、本発明は、下記のソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉、ソース類またはフラワーペースト類用食品素材、およびソース類またはフラワーペースト類を提供することにより、前記課題を解決したものである。
「湿熱処理した小麦粉であって、α化度が12.5%以上、30%以下であり、かつ対粉300質量%に加水した場合の粘度が、1Pa・s以上、10Pa・s以下であることを特徴とするソース類またはフラワーペースト類湿熱処理小麦粉。」
「上記の本発明のソース類用湿熱処理小麦粉を含有することを特徴とするソース類またはフラワーペースト類用食品素材。」
「上記の本発明のソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉または上記の本発明のソース類またはフラワーペースト類用食品素材を用いて製造されたことを特徴とするソース類またはフラワーペースト類。」
本発明によれば、ソース類およびフラワーペースト類を調理する際の作業性および食感を改善し、常温、チルドまたは冷凍保存後の電子レンジ調理などの再加熱調理においても、穀物臭を感じず、澱粉の老化による粉っぽさなどを抑制し、製造直後の口溶けなどを保持できる、いいかえれば経時変化耐性に優れた、ソース類及びフラワーペースト類が得られる、ソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉、該小麦粉を用いたソース類またはフラワーペースト類用食品素材、およびソース類またはフラワーペースト類を提供することができる。
まず、本発明のソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉の好ましい実施形態について、以下に述べる。
本発明の湿熱処理小麦粉は、小麦粉に水や水蒸気を加え加熱処理する湿熱処理を行い、その後乾燥・粉砕してなるものである。この湿熱処理小麦粉は、α化度が12.5%以上、30%以下、好ましくはα化度が15.0%以上、25.0%以下であり、かつ対粉300質量%に加水した場合の粘度が、1Pa・s以上、10Pa・s以下、好ましくは該粘度が2.0Pa・s以上、5.0Pa・s以下である。
本発明の湿熱処理小麦粉は、更に、粒径が1.0mm以下であり、かつ粒径0.40mm以下の小麦粉の割合が90%以上であることが好ましい。
α化度が12.5%未満で、対粉300質量%に加水した場合の粘度が1Pa・s未満である湿熱処理小麦粉は、食感的にも通常の小麦粉を使用したソースと比べて優位性が低い。
一方、α化度が30%を超え、対粉300質量%に加水した場合の粘度が10Pa・sを超える湿熱処理小麦粉は、吸水性が高すぎることによる水溶き時のダマの発生が目立ち、本発明品本来の水溶けの良さが減退すると共に、小麦粉自体の重量が減り水っぽくなるため、食感的にも悪化する。
また、この湿熱処理小麦粉の粒径が1.0mm以下であり、かつ粒径0.40mm以下の小麦粉の割合が90%以上であることにより、冷水に速やかに溶解し、粘度が安定し、ハンドリング的に最適になるのと同時に、食感的にも粉っぽさやダマを感じることが無く望ましい。
本発明の湿熱処理小麦粉の原料となる小麦粉としては、薄力粉、中力粉、強力粉などが挙げられ、適宜選択して用いることができる。この湿熱処理小麦粉の具体的な製造方法は限定されないが、例えば以下のような方法が採用される。
小麦粉の湿熱処理に関しては、小麦粉に水や水蒸気を加え加熱処理する湿熱処理によって、小麦粉に含まれる澱粉を糊化させる方法であれば良く、例えば、密閉型容器内に加水した小麦粉を充填した後、飽和水蒸気を用いて加圧状態で加熱処理する方法、一軸または二軸型エクストルーダーを用いて小麦粉を加水・加熱混練する方法などが採用できる。
例えば、薄力小麦粉を、適宜加水調整した後、アルミパウチに封入密閉し、飽和水蒸気を用いて加圧(1気圧)状態で加熱処理(例えば、110〜130℃で、10〜20分間)することにより、本発明の湿熱処理小麦粉を得ることができる。
また、上記湿熱処理後の乾燥処理の方法としては、棚乾燥、熱風乾燥、流動層乾燥などの方法が挙げられ、湿熱処理の方法に応じて適宜採用できる。該乾燥処理後の粉砕処理については、ロール粉砕、ピンミル粉砕などの各種粉砕機が採用できる。
本発明の湿熱処理小麦粉において、上記のα化度および粘度は下記のようにして測定した値である。
<α化度の測定>
α化度(糊化度ともいう。)の測定にあたっては、従来法であるβ−アミラーゼ・プルラナーゼ法により測定を行う。以下に、その内容について説明する。
(A)試薬
使用する試薬は、以下の通りである。
1.0.8M酢酸−酢酸Na緩衝液
2.10N水酸化ナトリウム溶液
3.2N酢酸溶液
4.酵素溶液:β−アミラーゼ(ナガセ生化学工業(株)#1500)0.017gおよびプルラナーゼ(林原生物化学研究所、No. 31001) 0.17gを上記0.8M酢酸−酢酸Na緩衝液に溶かして100mlとしたもの。
5.失活酵素溶液:上記酵素溶液を10分間煮沸させて調製。
6.ソモギー試薬およびネルソン試薬(還元糖量の測定用試薬)
(B)測定方法
1.湿熱処理小麦粉をホモジナイザーで粉砕し、100メッシュ以下とする。この粉砕した湿熱処理小麦粉0.08〜0.10gをガラスホモジナイザーに取る。
2.これに脱塩水8.0mlを加え、ガラスホモジナイザーを10〜20回上下させて分散を行う。
3.2本の25ml容目盛り付き試験管に上記2.の分散液を2mlずつとり、1本は0.8M酢酸−酢酸Na緩衝液で定容し、試験区とする。
4.他の1本には、10N水酸化ナトリウム溶液0.2mlを添加し、50℃で3〜5分間反応させ、完全に糊化させる。その後、2N酢酸溶液1.0mlを添加し、pHを6.0付近に調整した後、0.8M酢酸−酢酸Na緩衝液で定容し、糊化区とする。
5.上記3.および4.で調製した試験区および糊化区の試験液をそれぞれ0.4mlとり、それぞれに酵素溶液0.1mlを加えて、40℃で30分間酵素反応させる。同時に、ブランクとして、酵素溶液の代わりに失活酵素0.1mlを加えたものも調製する。酵素反応は途中で反応液を時々攪拌させながら行う。
6.上記反応済液0.5mlにソモギー試薬0.5mlを添加し、沸騰浴中で15分間煮沸する。煮沸後、流水中で5分間冷却した後、ネルソン試薬1.0mlを添加・攪拌し、15分間放置する。
7.その後、脱塩水8.00mlを加えた後、攪拌し、500nmの吸光度を測定する。
(C)α化度の算出
下式によりα化度を算出する。
Figure 2008099665
<粘度の測定>
粘度を測定するにあたっては、対粉300質量%に加水したバッターを調製し、ミキサーによるミキシングを行った後の該バッターの粘度をBM型粘度計にて測定する。以下に、その手順について説明する。
(A)バッターの調製
ボール(ホバート社製)に、冷水を900ml注ぎ、その上に湿熱処理小麦粉を300g入れる。ワイヤーホイップ(ホバート社製)にて適当に攪拌し、粉と水を馴染ませた後、ミキサー(ホバート社製)にて1st=30秒、2nd=240秒攪拌する。
(B)測定方法
BM型粘度計を使用し、ミキサー攪拌後10分経過後の粘度を測定する。
本発明のソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉は、従来のソース類またはフラワーペースト類用小麦粉と同様にしてソース類またはフラワーペースト類の製造に使用することができる。例えば、本発明のソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉は、ソース類またはフラワーペースト類の製造時に、水やその他の添加物を加えてソース類またはフラワーペースト類を調製してもよく、またソース類またはフラワーペースト類を製造する前に予め、その他の添加物と混合・加工してソース類またはフラワーペースト類用食品素材としておいてもよい。
次に、本発明のソース類またはフラワーペースト類用食品素材について説明する。
本発明のソース類またはフラワーペースト類用食品素材は、上記の本発明のソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉を含有するものである。ソース類またはフラワーペースト類用食品素材は、粉末状でもよく、固体状でもよい。
本発明のソース類またはフラワーペースト類用食品素材は、上記湿熱処理小麦粉の他に、ソース類またはフラワーペースト類用小麦粉に従来用いられている原材料や添加物、例えば、その他の小麦粉、穀粉類、澱粉類;大豆蛋白質、小麦グルテン、卵粉末、脱脂粉乳などの蛋白素材;動植物油脂、粉末油脂などの油脂類、増粘剤、乳化剤、食塩、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、デキストリンなどを適宜含有することができる。本発明のソース類またはフラワーペースト類用食品素材は、上記湿熱処理小麦粉の他に、その他の粉原料を使用する場合、上記湿熱処理小麦粉の含有量が、全粉原料中、20.0質量%以上であることが好ましい。
本発明のソース類またはフラワーペースト類用食品素材は、本発明の湿熱処理小麦粉を含有していることにより、冷水に極めて速やかに溶けつつ、非常に高い粘度を発現することができる。その結果、従来のソース及びフラワーペースト作成に必要とされた手間が省略できると共に、従来の小麦粉では出せないような口溶けを発現させることが可能となった。
本発明のソース類またはフラワーペースト類は、上記した本発明のソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉あるいは本発明のソース類またはフラワーペースト類用食品素材を用いて、常法により製造されたものである。該ソース類またはフラワーペースト類としては、ホワイトソース、ブラウンソース、カレーソースなどに使用するソース類、クリームコロッケのフィリング、洋菓子および菓子パン用カスタードクリームなどのフラワーペースト類を挙げることができる。例えば、本発明のソース類またはフラワーペースト類用食品素材を用いて本発明のソース類またはフラワーペースト類を製造するには、本発明のソース類またはフラワーペースト類用食品素材に対し、水と副原料を加え加熱することにより得ることができる。
次に、本発明をさらに具体的に説明するために、実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜4および比較例1〜2>
小麦粉(薄力粉:日清製粉株式会社製のバイオレット)を、表1に示す加水率にて加水を行った後、アルミパウチに封入密閉し、飽和水蒸気を用いて加圧(1気圧)状態で加熱処理(130℃で15分間)することにより、湿熱処理を行った。
湿熱処理後、湿熱処理された小麦粉を棚乾燥にて乾燥処理し、粉砕機にて粉砕処理を行い、粒径1.0mm以下の小麦粉の割合が100%で、粒径0.40mm以下の小麦粉の割合が90%である湿熱処理小麦粉を得た。得られた湿熱処理小麦粉のα化度、および対粉300質量%に加水した場合の粘度を表1に示す。なお、α化度および粘度については、上記した手順で測定した。また、粒径については、マイクロトラックFRA9220(乾式)(日機装株式会社製)を用いて測定を行った。
<比較例3>
比較例3は、湿熱処理を行っていない小麦粉(薄力粉:日清製粉株式会社製のバイオレット)を使用した例である。
<評価試験例1>
実施例1〜4の湿熱処理小麦粉、比較例1〜2の湿熱処理小麦粉および比較例3の小麦粉を用い、表2に示すミックスの配合および調理方法にてホワイトソースをそれぞれ調製した。
得られたホワイトソースを、以下の表3に示す評価基準にて、製造直後、および24時間チルド保存後に電子レンジで再加熱したものについてそれぞれ、パネラー10名にて評価した。その結果を表1に併記した。
Figure 2008099665
Figure 2008099665
Figure 2008099665
以上の結果から、明らかなように、α化度が12.5%以上30%以下であり、かつ対粉300質量%の加水で1Pa・s以上10Pa・s以下の粘度となる本発明の湿熱処理小麦粉を含有するミックスを用いたホワイトソース(実施例1〜4)は、未処理の小麦粉を使用したもの(比較例3)より速やかに冷水および牛乳に溶解し、粘度が発現するなどハンドリングが簡便であるとともに、加熱してできたソースは穀物臭も感じず、口溶け的にも非常に良好であることが判る。α化度が12.5%未満、対粉300質量%の加水で1Pa・s未満の湿熱処理小麦粉を含有するミックスを用いたホワイトソース(比較例1)では、未処理の小麦粉を用いたホワイトソース(比較例3)に対し有意性が少ない。また、α化度が30%を超え、対粉300質量%の加水で10Pa・sを超える湿熱処理粉を用いたホワイトソース(比較例2)では、非常に高いα化故に吸水時にダマが発生し、それは食感にも悪い影響を与え、品質面で問題がある。
<実施例5〜6>
湿熱処理小麦粉を製造する際の湿熱処理の条件は、実施例2の場合と同一とし、乾燥後の粉砕処理の条件を変え、表4に示す粒径分布の湿熱処理小麦粉をそれぞれ調製し、実施例2と同様にしてホワイトソースを調理し、評価を行った。その結果を表4に示す。なお、表4には、実施例2の結果についても併記した。
Figure 2008099665
表4に示す結果から明らかなように、0.40mm以上の粒径のものおよび1mm以上の粒径のものが増えると、大粒子成分が溶けにくいため粘度的に安定せず、その結果、品質が低下する傾向にある。
<実施例7〜10および比較例4〜6>
<評価試験例2>
実施例1〜4の湿熱処理小麦粉、比較例1〜2の湿熱処理小麦粉および比較例3の小麦粉を用い、表5に示すミックスの配合および調理方法にてフラワーペーストをそれぞれ調製した。
得られたフラワーペーストを、以下の表6に示す評価基準にて、製造直後、および24時間チルド保存後に、それぞれパネラー10名にて評価した。その結果を表7に示す。
Figure 2008099665
Figure 2008099665
Figure 2008099665
以上の結果から、明らかなように、α化度が12.5%以上30%以下であり、かつ対粉300質量%の加水で1Pa・s以上10Pa・s以下の粘度となる本発明の湿熱処理小麦粉を含有するミックスを用いたフラワーペースト(実施例7〜10)は、未処理の小麦粉を使用したもの(比較例6)より速やかに冷水および牛乳に溶解するとともに、加熱してできたフラワーペーストは口溶けが非常に良好であることが判る。α化度が12.5%未満、対粉300質量%の加水で1Pa・s未満の湿熱処理小麦粉を含有するミックスを用いたフラワーペースト(比較例4)では、未処理の小麦粉を用いたフラワーペースト(比較例6)に対し有意性が少ない。また、α化度が30%を超え、対粉300質量%の加水で10Pa・sを超える湿熱処理粉を用いたフラワーペースト(比較例5)では、非常に高いα化故に吸水時にダマが発生し、それは食感にも悪い影響を及ぼす。
<実施例11〜12>
湿熱処理小麦粉を製造する際の湿熱処理の条件は、実施例8の場合と同一とし、乾燥後の粉砕処理の条件を変え、表8に示す粒径分布の湿熱処理小麦粉をそれぞれ調製し、実施例8と同様にしてフラワーペーストを調理し、評価を行った。その結果を表8に示す。なお、表8には、実施例8の結果についても併記した。
Figure 2008099665
表8に示す結果から明らかなように、0.40mm以上の粒径のものおよび1mm以上の粒径のものが増えると、大粒子成分が溶けにくいため粘度的に安定せず、その結果、品質が低下する傾向にある。
以上の結果から、総合的に本発明のソース類またはフラワーペースト類は、α化度が12.5%以上、30%以下であり、対粉300質量%の加水した場合の粘度が、1Pa・s以上、10Pa・s以下であり、更に粒径が1.0mm以下であり、かつ粒径0.40mm以下の小麦粉の割合が90%以上である湿熱処理小麦粉を含有することを特徴とするソース類またはフラワーペースト類用食品素材を用いて得られることにより、極めて優れた効果を奏することが明確である。

Claims (4)

  1. 湿熱処理した小麦粉であって、α化度が12.5%以上、30%以下であり、かつ対粉300質量%に加水した場合の粘度が、1Pa・s以上、10Pa・s以下であることを特徴とするソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉。
  2. 更に粒径が1.0mm以下であり、かつ粒径0.40mm以下の小麦粉の割合が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載のソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉。
  3. 請求項1もしくは2に記載のソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉を含有することを特徴とするソース類またはフラワーペースト類用食品素材。
  4. 請求項1もしくは2に記載のソース類またはフラワーペースト類用湿熱処理小麦粉または請求項3に記載のソース類またはフラワーペースト類用食品素材を用いて製造されたことを特徴とするソース類またはフラワーペースト類。
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