JP2008098506A - コイル部品及びコイル部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂封止成型によって埋設される巻線コイルの導電線と金属端子との接続部における断線の発生を抑制できるコイル部品及びコイル部品の製造方法を提供する。
【解決手段】導電線からなる巻線コイル2の端部21を金属端子3に接続し樹脂材料で封止成型した送信用アンテナコイル(コイル部品)100において、前記金属端子3に一体的に成形された隔壁部34を具備するように構成する。
【選択図】図3
【解決手段】導電線からなる巻線コイル2の端部21を金属端子3に接続し樹脂材料で封止成型した送信用アンテナコイル(コイル部品)100において、前記金属端子3に一体的に成形された隔壁部34を具備するように構成する。
【選択図】図3
Description
本発明は、導電線からなるコイルの端部と金属端子とを接続させた接続部を有するコイル部品に関し、特に、その接続部を樹脂材料で封止成型したコイル部品及びそのコイル部品の製造方法に関する。
従来、磁性体コア101と、巻線コイル102と、金属端子103と、から構成されたコイル部品110においては、図9(a)に示すように、上記金属端子103が樹脂部材104に植設された、いわゆる樹脂ベースと呼ばれる部材を用いるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このとき、金属端子103の植設に係る固定強度は、上記金属端子103の一部を樹脂ベース104に埋設することによって高められている。また、図9(b)に示すように、上記金属端子103のうち樹脂ベース104から露出している部位は、巻線コイル102の導電線端部が絡げ固定されるように構成されており、コイル部品の製造作業の効率化が図られている。
近年、コイル部品は様々な電子機器に搭載されるようになり、コイル部品に求められる環境使用条件もより厳しいものとなっている。ここでいう環境使用条件とは、温度,湿度,振動/衝撃,等様々な外的要因に対して、コイル部品が耐用し得る性能を意味し、磁性体コアや巻線コイルのみならず、巻線コイルと金属端子との接続部等においても、上記外的要因に耐え得る信頼性の高いコイル部品が求められるようになってきている。
例えば、上記の接続部の信頼性を高めるために、図10に示すように、センサヘッド成形時のハウジングの変形防止を目的とした回転センサ120において、絡げ片111とセンサ部から延伸するリード線(センサからの電気信号を伝達するための導電線)112とを接続した部位(接続部)113を、合成樹脂製のセンサヘッド114にて封止成型したものが提案されている(特許文献2参照)。
上述の回転センサ120は、センサから延伸するリード線112を二股状に形成された絡げ片111に挿通して、接続固定した後、合成樹脂部材により封止成型を行うものである。しかし、封止成型工程においては、リード線112は、液状樹脂の流れに曝される状態となり、リード線112には不要な応力が印加される。この結果、リード線112が、絡げ片111に固定された接続部113を作用点として切断されてしまい、断線不良が発生するという問題がある。
また、上述のような断線不良が発生した場合、その不良箇所は既に封止成型されてしまっていることから修正を行うことが不可能となる。その結果、その製品は不良品として廃棄処分せざるを得なくなるという問題もある。
さらに、上記封止成型工程においてリード線112の断線が起こらなかったとしても、射出された合成樹脂が硬化反応を起こす際に生じる収縮・膨張挙動や、製品として使用されている際に繰り返し印加される温度変化等の外部要因に起因した樹脂の膨張・収縮によって、リード線112が断線するという問題がある。
本発明の目的は、上記のような問題点を考慮し、樹脂封止成型によって埋設されるコイルの導電線と金属端子との接続部において発生する断線等を少なくすることのできるコイル部品及びコイル部品の製造方法を提供することである。
本発明は、上記のような目的を達成するためになされたものであり、この目的は、下記(1)〜(3)の発明によって達成される。
(1)導電線からなる巻線コイルの端部を金属端子に接続し樹脂材料で封止成型したコイル部品において、
前記金属端子に一体的に成形された隔壁部を備えたこと
を特徴とするコイル部品。
前記金属端子に一体的に成形された隔壁部を備えたこと
を特徴とするコイル部品。
(2)前記隔壁部は、前記巻線コイルの端部と前記金属端子との接続部の近傍に設けられていること
を特徴とする上記(1)に記載のコイル部品。
を特徴とする上記(1)に記載のコイル部品。
(3)導電線からなる巻線コイルの端部を金属端子に接続し樹脂材料で封止成型するコイル部品の製造方法であって、
金属端子に隔壁部を一体的に成形する工程と、
巻線コイルの端部と金属端子とを接続する工程と、
前記隔壁部を屈曲加工する工程と、
前記隔壁部、及び前記コイルの端部と金属端子との接続部を樹脂材料によって封止成型する工程と、
を備えたこと
を特徴とするコイル部品の製造方法。
金属端子に隔壁部を一体的に成形する工程と、
巻線コイルの端部と金属端子とを接続する工程と、
前記隔壁部を屈曲加工する工程と、
前記隔壁部、及び前記コイルの端部と金属端子との接続部を樹脂材料によって封止成型する工程と、
を備えたこと
を特徴とするコイル部品の製造方法。
本発明に係るコイル部品によれば、金属端子の隔壁部によって、封止成型の際に生じる樹脂の流れを巻線コイルの導電線に衝突させないようにするので、導電線で生じる応力を小さくし、巻線コイルと金属端子との接続部で生じる断線不良の発生を少なくすることができる。また、隔壁部によって、樹脂が硬化する際に生じる収縮・膨張挙動により導電線に生じる応力を小さくし、巻線コイルと金属端子との接続部で生じる断線不良の発生を少なくすることができる。
また、製品として使用されている際に、経時的に繰り返し印加される温度変化等の外部要因に起因した樹脂の膨張・収縮によって、巻線コイルと金属端子との接続部で生じる断線不良の発生を少なくすることができる。
本発明に係るコイル部品の製造方法によれば、樹脂材料で金属端子を封止成形する前に、金属端子の隔壁部の屈曲加工を行うので、金属端子の隔壁部の成形を簡単に行うことができる。
以下、本発明に係るコイル部品を実施するための一実施の形態について、送信用アンテナコイルを例にして図面を参照しながら説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施の形態に係る送信用アンテナコイル100の内部部品の構成図を示したものである。
図1に示すように、本実施の形態に係る送信用アンテナコイルの内部部品50は、磁性体コア1と、巻線コイル2と、金属端子3と、樹脂ベース4と、から構成されている。
図1に示すように、本実施の形態に係る送信用アンテナコイルの内部部品50は、磁性体コア1と、巻線コイル2と、金属端子3と、樹脂ベース4と、から構成されている。
磁性体コア1は扁平の棒状に形成してあり、材質はMn−Zn系フェライトが用いられる。これは、より強力な磁界や磁束を発生させることで、ハイパワーの送信用アンテナコイル100を得るためである。また、磁性体コア1に巻回された巻線コイル2には大電流が印加されることから、磁気飽和によるインダクタンスの劣化を防ぐことも目的としている。なお、磁性体コア1の材質としては、Mn−Zn系フェライトに限定されることなく、金属系圧粉磁芯や、アモルファス薄体の積層磁芯等を用いてもよい。
また、磁性体コア1の周面には、磁性体コア1と巻線コイル2との導通不良を防止するため、絶縁性テープが貼り付けられていてもよい。
巻線コイル2は、導電線を、所望の電気特性によって決定された巻き数で巻回することにより構成されている。
磁性体コア1の一端部には、樹脂ベース4が連設されている。樹脂ベース4は、矩形状に成型されており、材質は、例えば、ABS樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂等が用いられる。樹脂ベース4の上面には、2本のガイド溝41が形成されており、巻線コイル2から延びた導線がガイド溝41に沿って載置される。ガイド溝41は、磁性体コア1の長手方向に沿うように形成されており、所定の距離を隔てて、互いに平行となるように形成されている。樹脂ベース4の幅は、磁性体コア1の幅よりも大きくなるように成形されており、また、樹脂ベース4の高さも、磁性体コア1の高さよりも大きくなるように成形されている。なお、樹脂ベース4は、金型を用いた射出成型によって製造される。
図2は、図1に示した送信用アンテナコイルの内部部品50における金属端子3近傍の拡大図である。
図2に示すように、樹脂ベース4の磁性体コア1と連接している側と反対の端面には、インサート成型により埋設された2本の金属端子3a、3bが設けられている。金属端子は、主としてリン青銅等の材質により構成されている。金属端子3a、3bが樹脂ベース4に埋設される位置は、樹脂ベースの端面にガイド溝41によって形成された凹部の直下である。
金属端子3は、巻線コイル2から延びた導電線の端部21を載置するための平面を有する台座部31と、送信用アンテナコイルを設置する装置から延びたハーネスを係合するためのハーネス係合部32と、台座部31に載置された導電線の端部21の先端22を保持固定するための接続部33と、導電線の端部21を保護するための隔壁部34と、樹脂ベース4の内部で固定される固定部35と、で構成されている。ここで、導電線の端部21とは、樹脂ベース4の端面から金属端子3の接続部33との間で掛け渡される導電線の部位と定義する。
台座部31は、直線的に延びた扁平部材で形成されており、導電線の端部21を載置するための平面部を有している。台座部31の先端には、両側面から下方に向かって延出された平板状部材によって下向きに開口する断面コの字状のハーネス係合部32が形成されている。
樹脂ベース4端面の左側に埋設された金属端子3aの台座部31の左側面には、接続部33と隔壁部34とが所定の間隔を有するように設けられ、接続部33と隔壁部34との間には、離間部6が形成されている。また、樹脂ベース4端面の右側に埋設された金属端子3bの台座部31の右側面には、接続部33と隔壁部34とが所定の間隔を有するように設けられ、金属端子3aの場合と同様に離間部6が形成されている。このとき、接続部33はハーネス係合部32側に、隔壁部34は樹脂ベース4側に位置するようにして台座部31に成形されている。
金属端子3aの接続部33は、台座部31の左側面から左側方に延出したのち上方に向かって湾曲し、先端の平面部分が台座の平面部と対向するような形状に形成されている。また、金属端子3bの接続部33は、右側面から右側方に延出したのち上方に向かって湾曲し、先端の平面部分が台座の平面部と対向するような形状に形成されている。このとき、金属端子3aの接続部33と金属端子3bの接続部33とは、互いに対向するように構成されている。このように構成された接続部33は、台座部31に載置されている導電線端部21の先端22を保持固定して、コイル端部と金属端子とを電気的かつ機械的に接続するための接続部を構成する。
金属端子3aの隔壁部34は、台座部31の左側面から上方に向かって延出された平板部材で形成されている。隔壁部34は、台座部31の長手方向に沿うように形成されている。また、金属端子3bの隔壁部34は、台座部31の右側面から上方に向かって延出された平板部材で形成されている。隔壁部34は、台座部31の長手方向に沿うように形成されており、金属端子3aの隔壁部34と金属端子3bの隔壁部34とは、互いに対向するように構成されている。このように構成された隔壁部34は、樹脂注入時に生じる樹脂の流動による衝撃等から、台座部31に載置されている導電線端部21を保護する。
図3は、本発明の一実施の形態に係る送信用アンテナコイル100の透過斜視図を示したものである。図3において、図2と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図3に示すように、送信用アンテナコイル100は、ABS樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂等の材料によって矩形状に形成された外装樹脂部材5と、外装樹脂部材5の短手の端面から突出した2本の金属端子3と、から構成されている。外装樹脂部材5の内部には、図1に示した送信用アンテナコイルの内部部品50が封止されている。
本実施形態の送信用アンテナコイル100は、金属端子3のハーネス係合部32のみが外装樹脂部材5から露出するように封止成形されており、金属端子3に一体的に成形されている接続部33、隔壁部34及び導電線端部21と金属端子3の接続部は、外装樹脂部材5に埋設されるように構成されている。このように、ハーネス係合部32を外装樹脂部材5から露出させる構成とすることにより、送信用アンテナコイルが使用される外部機器と接続を図る際に、外部機器のハーネスをハーネス係合部32に簡単に接続することができる。
次に、本発明に係るコイル部品の製造方法について、図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態の送信用アンテナコイル100の内部部品50において、樹脂ベース4を製造する工程を説明するための図である。なお、図中の矢印は、時系列を表すものである。
図4は、本実施形態の送信用アンテナコイル100の内部部品50において、樹脂ベース4を製造する工程を説明するための図である。なお、図中の矢印は、時系列を表すものである。
まず、図4(a)に示すように、リン青銅で構成された矩形状の平板状部材(ワーク)10を用意する。つぎに、図4(b)に示すように、ワークの上下端部に、ワーク送り用の孔10aを複数形成する。同時に、後述する金属端子の型抜きを容易にするためのガイド線10bを形成する。次に、図4(c)に示すように、打ち抜き加工等によって、台座部31、ハーネス係合部32、接続部33、隔壁部34、固定部35が一体となるように成型された金属端子3の型抜き成型を行う。このとき、ワークの上下左右端部には、同時に外枠部が形成される。このように、型抜きされた金属端子3は、平板(平面)状で成型されているため、型抜き用の金型の構造は簡単なものとすることができる。このため、金型の製造コストを安くすることができるとともに、打ち抜き加工等の工程を減らすことができる。
また、接続部33と隔壁部34との間に離間部6を設ける構成とすることにより、ワーク10を打ち抜き加工する際の生産性を向上させることができる。このとき、打ち抜き加工に係る金型製造時の精度、金型の強度等を勘案すると、隔間部6の最小寸法は、約0.2mmとすることが望ましい。
次に、図4(d)に示すように、金属端子の型抜きによりワーク10の上端部に形成されている外枠部を削除する。次に、図4(e)に示すように、外枠部が削除された金属端子3の固定部35を埋め込むように樹脂部材を射出成型することにより、金属端子3に樹脂ベース4を一体成型する。同時に、樹脂ベース4の上面には、2本のガイド溝41が形成される。次に、図4(f)に示すように、ワーク10の下端部に形成されている外枠部を削除する。さらに、金属端子3に一体に形成されているハーネス係合部32、隔壁部34を屈曲加工することによって、金属端子3を植設した樹脂ベース4が完成する。
次に、導電線を巻回することにより巻線コイル2が設けられた磁性体コア1の端部を、金属端子3が延伸している側の端面と反対側の樹脂ベース4の端面に挿通固定する。次に、金属端子3に一体に形成されている接続部33、を屈曲加工して、金属端子3を所定の形に成形する。このとき、絡げ加工、カシメ加工、半田加工等を用いて、巻線コイル2の導電線の端部21と接続部33とを接続し、送信用アンテナコイルの内部部品50を得る。最後に、内部部品50を金型内に設置した後に、液状樹脂材料を射出して、外装樹脂部材5を封止成型し、送信用アンテナコイル100を製造する。
本実施形態の送信用アンテナコイルの製造方法によれば、金属端子3に設けられた隔壁部34の屈曲加工を、少なくとも外装樹脂部材5の封止成型前の工程で行うので、隔壁部34を容易かつ確実に形成することができる。また、金属端子3に設けられた接続部33の屈曲加工も、外装樹脂ベース5の封止成型前に行うので、巻線コイル2の導線と金属端子3との接続を確実に行うことができる。
図5は、図3に示した送信用アンテナコイル100の端部近傍の拡大透過図である。図5において、図3と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図5に示すA−A′線は、金属端子3の隔壁部34の中心部を切断する線分である。
図5に示すA−A′線は、金属端子3の隔壁部34の中心部を切断する線分である。
図6(a)は、金型のキャビティ内(ここでいうキャビティとは、金型内で成形品とほぼ同一形状を有し溶融樹脂が流れこむ空間のことをいう。)に内部部品50を設置し、注入孔50aから液状樹脂材料を注入して、外装樹脂部材5を射出成型する際の液状樹脂材料の動きを示す図であって、図5に示したA−A′断面における状態を示す図である。また、図6(b)は、図5に示した送信用アンテナコイルを上方から見た際の液状樹脂材料の流れを示した平面図である。なお、液状樹脂材料の流れの向きを図中に示した矢印によって概略的に示す。
本発明の実施形態に係る外装樹脂部材5の封止成型を行う場合に、ABS樹脂,PBT樹脂,PPS樹脂等の樹脂材料は、粘度が比較的高い状態で射出されることとなるが、図6(a)、(b)の矢印で示されるように、本実施形態の送信用アンテナコイル100では、金属端子3に形成されている隔壁部34の存在により、流動する液状樹脂が、直接的に接続部33近辺の導電線端部21に流れ当たることはない。すなわち、巻線コイル2の導電線端部21は、金属端子3に設けられた隔壁部34によって、流動する液状樹脂の流れに曝されていないために、台座部31に載置された導電線に過度の応力が印加されることはない。ここで、例えば、隔壁部34を具備していない金属端子を用いて外装樹脂部材5の封止成型を行ったとすれば、導電線端部21が液状樹脂材料の流れに曝された状態となり、接続部33を支点として導電線に応力が印加される結果、特に、接続部33近辺において断線不良するという問題が生じていた。
なお、このとき、金属端子3に形成される接続部33と隔壁部34との間には、打ち抜き加工時の生産性を考慮した離間部6が存在するが、上述したとおり、隔間部6の最小寸法が小さく設定されていることから、離間部6に流れ込む液状樹脂量は少なく、導電線には断線不良を引き起こすほどの応力は生じない。
図7(a)は、図6(a)において注入した液状樹脂材料が硬化する際に生じる樹脂の膨張・収縮応力の発生する状態を示す模式図であって、図5に示したA−A′断面における状態を示す図である。図7(b)は、図7(a)において発生した樹脂の膨張・収縮応力を、図5に示した送信用アンテナコイルを上方から見た際の模式図である。なお、樹脂が硬化する際に生じる膨張・収縮応力の挙動方向を図中に示した矢印によって概略的に示す。また、小さい矢印は、樹脂硬化反応時に生じる僅かな膨張挙動方向を示し、大きい矢印は、樹脂硬化反応時の収縮挙動方向を示す。
一般に、外装樹脂部材が射出成型された後には、外装樹脂部材5は、冷却に伴い金型内で硬化反応を起こす。その際、図7(a)(b)に示されるように、外装樹脂部材5は一旦、小規模な膨張を起こした後、その膨張挙動よりも若干大きな規模の収縮挙動を生じる。この外装樹脂ベース部材の膨張・収縮挙動は、上述の硬化反応時のみならず、コイル部品として、経時的に使用される中で繰り返される温度環境によっても起こり得る。このため、従来の金属端子に隔壁部を具備しないコイル部品では、導電線が、巻線コイルの導電線端部と金属端子とを接続する接続点を作用点として切断してしまい、断線不良が発生するという問題があった。
本実施形態の送信用アンテナコイル100では、金属端子3に形成された隔壁部34は、上述した外装樹脂部材5の膨張・収縮挙動を分断するように機能するため、巻線コイル2の導電線端部21と金属端子3とを接続する接続点33の近傍で発生する外装樹脂部材5の応力を小さくすることができる。これにより、外装樹脂部材5の硬化反応時の樹脂の膨張・収縮挙動に起因した応力によって発生する巻線コイル2の導電線端部21の断線不良の発生を抑制することができる。
以上述べたように、本発明に係るコイル部品によれば、金属端子3の隔壁部34によって、封止成型の際の液状樹脂材料の流れを巻線コイル2の導電線に衝突させないようにするので、導電線で生じる応力を小さくし、巻線コイル2と金属端子3との接続部33で生じる断線不良の発生を少なくすることができる。また、隔壁部34によって、樹脂が硬化する際に生じる収縮・膨張反応で導電線に生じる応力を小さくし、巻線コイル2と金属端子3との接続部33で生じる断線不良の発生を少なくすることができる。
図8は、金属端子3に成型される隔壁部の実施形態例を示す構成図である。図8において、図2と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図8(a)に示す隔壁部34aは、隔壁部34aの長手方向の長さを、金属端子3の台座部31に沿って樹脂ベース4の端面近傍にまで延びるように構成したものである。これにより、台座部31に載置されている導電線端部21を確実に樹脂材料の挙動から保護することができる。
図8(b)に示す隔壁部34bは、隔壁部34bを、台座部31を挟んで対向するように構成したものである。これにより、台座部31に載置されている導電線端部21を確実に樹脂材料の挙動から保護することができる。
図8(c)に示す隔壁部34cは、隔壁部34cを、2段階で屈曲加工させてL字型の形状に構成したものである。これにより、台座部31に載置されている導電線端部21を側方からの樹脂材料の挙動からだけではなく、上方からの樹脂材料の挙動からも保護することができる。
なお、図8に示された各実施形態の隔壁部を相互に組み合わせた構成としてもよい。これにより、封止成型時における外装樹脂部材の応力や、硬化反応時における樹脂部材の応力の影響をさらに小さくすることができる。
また、図6(a)において示した液状樹脂材料が注入される注入孔50aの位置を変更する場合には、射出される液状樹脂の流れが導電線端部21に直接的に衝突しないような位置に隔壁部を形成すればよい。
以上述べたように、本発明の実施形態では、自動車のキーレスエントリシステム等に好適に採用される送信用アンテナコイル100を例として説明したが、少なくとも、金属端子と導電線とが接続された接続部を有し、少なくとも上記接続部が埋設されるように樹脂材料によって封止成型されるといった構成からなるコイル部品であれば、必ずしも磁性体コア1等は必須の要件とされない。例えば、空芯巻線コイルと、金属端子を植設した樹脂ベースとから構成され、金属端子と空芯巻線コイルの導電線端末とが接続された接続部を有し、少なくとも上記接続部が埋設されるように樹脂材料によって封止成型されるといった構成の電子部品であっても、本発明を適用することができる。
すなわち、本発明の電子部品及び電子部品の製造方法は、上述の各形態に限定されるものではなく、その他材料、構成等において本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。特に、金属端子の形状は、母材となる板状部材から、打ち抜き・屈曲加工して形成することができれば、本実施形態の例に限定されるものではない。
1・・磁性体コア、2・・巻線コイル、21・・端部、22・・先端部、3・・金属端子、31・・台座部、32・・ハーネス係合部、33・・接続部、34・・隔壁部、35・・固定部、4・・樹脂ベース、5・・外装樹脂ベース、6・・離間部、9・・金型、10・・ワーク(板状部材)、10a・・ワーク送り孔、50・・内部部品、100・・送信用アンテナコイル
Claims (3)
- 導電線からなる巻線コイルの端部を金属端子に接続し樹脂材料で封止成型したコイル部品において、
前記金属端子に一体的に成形された隔壁部を備えたこと
を特徴とするコイル部品。 - 前記隔壁部は、前記巻線コイルの端部と前記金属端子との接続部の近傍に設けられていること
を特徴とする請求項1に記載のコイル部品。 - 導電線からなる巻線コイルの端部を金属端子に接続し樹脂材料で封止成型するコイル部品の製造方法であって、
金属端子に隔壁部を一体的に成形する工程と、
巻線コイルの端部と金属端子とを接続する工程と、
前記隔壁部を屈曲加工する工程と、
前記隔壁部、及び前記コイルの端部と金属端子との接続部を樹脂材料によって封止成型する工程と、
を備えたこと
を特徴とするコイル部品の製造方法。
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