JP2008097982A - 直接メタノール形燃料電池システム及び携帯用電子機器 - Google Patents

直接メタノール形燃料電池システム及び携帯用電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料カートリッジの状態では非常に安全である固体状メタノールを利用し、システムとしても液体燃料を使用する場合の液漏れやクロスオーバーの問題を解決するとともに、燃料極の増圧がなく効率よく発電が可能な直接メタノール形燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池セル1は、燃料極2と電解質膜3と空気極4とからなり、燃料極2と空気極4とは電気回路Lにより電気的に接続されている。燃料容器たる固体状メタノール収容容器5は、燃料電池セル1の燃料極2側に近接して設置されている。収容容器5は、矩形箱型のケーシング11の内部に固体状メタノールと、アルカリ性無機固体とを充填してなり、下面側に開口部12が形成されていて、この開口部12を合成樹脂製メッシュ12Aにより仕切ることにより、固体状メタノール及びアルカリ性無機固体を保持した状態で通気性を確保している。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体状メタノールを燃料とする直接メタノール形燃料電池システムに関し、特に小型携帯用電子機器に好適な直接メタノール形燃料電池システムに関する。
固体高分子電解質型燃料電池は、パーフルオロスルホン酸膜等の固体電解質膜を電解質とし、この膜の両面に燃料極(アノード)及び酸化剤極(カソード)を接合して構成され、アノードに水素やメタノール、カソードに酸素を供給して電気化学反応により発電する装置である。このうち、メタノールを燃料とする固体高分子電解質型燃料電池は、「直接(ダイレクト)メタノール形燃料電池(DMFC)」と呼ばれ、下記の反応式により発電が行われる。
アノード:CHOH + HO → 6H + CO + 6e …[1]
カソード:3/2O + 6H + 6e → 3HO …[2]
この反応を起こすために、両電極は触媒物質が担持された炭素微粒子と固体高分子電解質との混合体より構成されている。
このような直接メタノール形燃料電池において、アノードに供給されたメタノールは、電極中の細孔を通過して触媒に達し、この触媒によりメタノールが分解されて、上記反応式[1]の反応で電子と水素イオンとを生成する。水素イオンは、アノード中の電解質及び両電極間の固体電解質膜を通ってカソードに達し、カソードに供給された酸素及び外部回路より流れ込む電子と反応して、上記反応式[2]のように水を生じる。一方、メタノールより放出された電子はアノード中の触媒担体を通って外部回路へ導き出され、外部回路よりカソードに流れ込む。この結果、外部回路ではアノードからカソードへ向かって電子が流れ電力が取り出される。
このメタノールを燃料とする直接メタノール形燃料電池は、作動温度が低く、大掛りな補機が必要ないこと等から携帯用電子機器用の小型電源として有用であり、近年、携帯用コンピューターや携帯電話等の次世代電源として開発が活発化してきている。
その一方で、燃料に使用するメタノールは液体であるために漏れやすく、またメタノール自体の可燃性及び毒性が懸念されており、安全に使用するための対策が課題となっている。さらに、液体燃料を使用することによる短所として、液体燃料中に溶解した不純物が燃料電池セルに供給されることによる燃料電池の性能劣化、液体燃料成分であるメタノールが燃料電池セルの電解質膜を浸透して空気極に達してしまうクロスオーバー現象等が挙げられる。特にクロスオーバーが発生すると燃料の単位容積当たりの発電効率が低下するばかりでなく、空気極での酸化過程で発生するホルムアルデヒドやギ酸、ギ酸メチル等の有害物質の生成が生じるため、これを解決することがDMFCの実用化の大きな課題となっている。
近年開発が進められているDMFCシステムとしては、燃料の体積密度を向上させるために、より高濃度のメタノールを適用する方法が主流であるが、燃料濃度が高くなるほどクロスオーバーの問題はより深刻になる。そこで、セルに使用される電解質膜等の素材の改良を進めることでクロスオーバーの低減を図ることが検討されているが、いまだ十分なレベルに達しておらず、このことがDMFCの商品化への大きな障壁となっている。
そこで、このようなメタノールの安全性等の課題に対し、分子状化合物を形成することによりメタノールを固形化し、漏れにくくするとともに可燃性を大きく低減した「固体状メタノール燃料」について本出願人は種々提案した(特許文献1〜3参照)。この固体状メタノールは水と接触することで固体中のメタノールを水側に放出する。こうして生成したメタノール水溶液を直接メタノール形燃料電池の燃料として使用することができるものである。
特開2006−040629号公報 特開2005−325254号公報 国際公開2005/062410号パンフレット
しかしながら、特許文献1〜3で提案されている使用方法は、固体状メタノールと水とを接触させることでメタノールを抽出してメタノール水溶液を生成し、それを燃料電池セルに供給するというものである。したがって、燃料電池システムとしては、液体燃料と同様にメタノール水溶液の漏れやクロスオーバー等の課題が存在していた。また、この水供給方式では、水タンク、ポンプ等の水供給機構が必要となるが、携帯用電子機器等に適用するにはこれらを必要としないシンプルな装置構造であるのが好ましい。
そこで、メタノールをパッシブ式で供給することが考えられるが、パッシブ式のDMFCでは、燃料極側はメタノールの漏洩を防止するために密封構造にする必要がある。
このため、前述したとおり燃料極(アノード)側では、メタノールと水が反応することにより、二酸化炭素(g)が発生するので、燃料極側の内圧が徐々に上昇することになる。最終的には、内部ガスの漏洩が生じ、メタノールガスが燃料電池セル外に漏れるおそれがある。このメタノールの漏れは燃料消費効率の低下だけでなく、安全性の面でも問題があり、解決する必要がある。
さらに、燃料電池システムの実用化のためにはDMFCが最も効率よく発電できるようにメタノールを供給してやることが求められている。しかしながら、従来は、物質収支の点でDMFCにおけるアノードとカソードでの反応を最適なものに維持することは非常に困難であった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、燃料カートリッジの状態では非常に安全である固体状メタノールを利用し、システムとしても液体燃料を使用する場合の液漏れやクロスオーバーの問題を解決するとともに、燃料極の増圧がなく効率よく発電が可能な直接メタノール形燃料電池システムを提供することを目的とする。また、本発明は、上記直接メタノール形燃料電池システムを用いた携帯用電子機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、直接メタノール形燃料電池セルと、前記燃料電池セルの燃料極に近接して設けられたメタノールを固体化した固体状メタノールを収容した燃料容器と、前記燃料電池セルの燃料極と燃料容器との間に存在する気体と反応するアルカリ性無機固体とを有することを特徴とする直接メタノール形燃料電池システムを提供する(請求項1)。
上記発明(請求項1)によれば、固体状メタノールを燃料電池セルの燃料極に近接して設けているので、固体状メタノールの表面からメタノール分子が徐々に気化して燃料電池セルの燃料極に達し、発電が行われることになる。
これは以下のような理由によると考えられる。すなわち、固体状メタノールでは、メタノールはその材料内部で包接現象等の分子間力でゆるやかに拘束されているため、一気に気化することはなく、徐々に気化していく。
そこで、固体状メタノールを燃料電池セルの燃料極に近接して設けて、燃料電池セル内の燃料極と固体状メタノールとの隙間の空間を非常に小さくすることにより、空間内のメタノール濃度は飽和蒸気濃度に速やかに達する。
そして、この気化したメタノールが燃料極の触媒上で分解されることにより、発電が行われるのである。なお、燃料電池セルにおいて、発電を行うには燃料極にメタノールと等モル量の水の供給が必要であるが、発電開始時には元々電解質膜が保持していた水分を利用することで反応が進行し、反応が進むに連れて空気極で生成する水が電解質膜を逆浸透し、燃料極に供給されるため、水を供給しなくても発電は起こる。
続いて、燃料極上でメタノールが分解されていくに伴い、分解した分を補充するような形でさらに固体状メタノール表面からのメタノールの気化が進むことで発電が継続される。
このように過剰なメタノールが燃料極に供給されることがないので、クロスオーバーや液漏れ等の問題が解消された直接メタノール形燃料電池システムとすることができる。
しかしながら、本発明者らが研究した結果、燃料電池の燃料極では、等モルのメタノールと水とが反応するが、水の消費量が多い場合、すなわち燃料電池の出力を大きくした場合には、かかる状態で運転を継続すると、空気極から電解質膜を逆浸透し燃料極に供給される水分や空気中の湿度だけでは水分が不足し、経時的に出力が減少する場合があることがわかった。これは燃料極の水が不足すると、反応に必要な水分の供給ができないだけでなく、電解質膜の電気伝導性が低下することが原因と考えられる。
さらに、このようなパッシブ式直接メタノール形燃料電池システムの場合、燃料極からメタノールを含む気体の漏洩を防止するために、燃料極側は密閉構造にしなければならない。しかし、燃料極ではメタノールの消費に伴って二酸化炭素が生成するため、発電の進行に伴って燃料極内の圧力が上昇してくる。このような状態では燃料極側の圧が増加しガス漏れが起こりやすくなり、メタノールがセル外に漏れるおそれが生じる。
そこで、本発明(請求項1)においては、前記燃料電池セルの燃料極と燃料容器との間に存在する気体と反応するアルカリ性無機固体を設けることにより、アルカリ性無機固体と、二酸化炭素とを反応させて、炭酸塩と水とを生成することにより、燃料極内の圧力の上昇を抑制することができる。
さらに、この際水も生成するので、システム内に液体としての水を存在させなくてもある程度の水を補給できるので、電解質の湿潤及び発電反応において水が不足するのも防止することができ、安定した発電が行えるようになる。さらに、システム内に液体を持たないので、液漏れのリスクがないという効果も得られる。
上記発明(請求項1)においては、前記燃料容器は、前記燃料電池セルに燃料を供給するための動力を有しないことが好ましい(請求項2)。かかる発明(請求項2)によれば、コンパクトな直接メタノール形燃料電池システムとすることができる。
上記発明(請求項1,2)においては前記アルカリ性無機固体が、前記固体状メタノールとともに前記燃料容器に充填されていることが好ましい(請求項3)。
上記発明(請求項3)によれば、燃料の供給と、二酸化炭素の吸収とを同じスペースで行うことができるので、システムのコンパクト化が図れる。さらに、固体状メタノールと、アルカリ性無機固体とは両方とも消費されるので、補充が必要となるが、両者を燃料容器に充填しておくことで、燃料容器を交換するだけで、両者を一度に補充することができる。
上記発明(請求項3)においては、前記アルカリ性無機固体が、前記固体状メタノールと均一に混合されていることが好ましい(請求項4)。かかる発明(請求項4)によれば、二酸化炭素の吸収と、燃料の放出とがいずれもほぼ均等に行われるので安定的に発電を行うことができる。
上記発明(請求項1〜4)においては、前記アルカリ性無機固体が水酸化カルシウムであるのが好ましい(請求項5)。かかる発明(請求項5)によれば、二酸化炭素と水酸化カルシウムとの反応により下記反応が生じる。
CO + Ca(OH) → CaCO + HO …[3]
これにより、二酸化炭素の吸収と同時に、反応に必要な水を補給することができる。
上記発明(請求項1〜5)によれば、前記燃料容器には、通気性面が形成されており、前記通気性面が、前記直接メタノール形燃料電池セルの燃料極側に対向していて、前記通気性面が気体成分のみが通過できるような透過性材料によって仕切られていることが好ましい(請求項6)。
上記発明(請求項6)によれば、燃料電池セルと燃料容器との設置間隔に対して、固体状メタノールから気化したメタノールの燃料極への移動距離を最小とすることができるので、燃料電池セルでの発電が速やかに行われ、かつ効率も良好なものとすることができる。さらに、固体状メタノールやアルカリ性無機固体の残骸等が燃料極等に残留すると、当該固体状メタノールに含まれるメタノール以外の成分が電解質膜の劣化を引き起こす可能性があるが、透過性材料によってこれを遮断することで、このような弊害を防止することができる。
また、本発明は、上記発明(請求項1〜6)の直接メタノール形燃料電池システムを備えることを特徴とする携帯用電子機器を提供する(請求項7)。かかる発明(請求項7)によれば、クロスオーバーや液漏れ等の問題が改善され、燃料極の増圧がなく、効率よく発電が可能でコンパクトな直接メタノール形燃料電池システムを用いることにより、安定して作動でき、コンパクトな携帯用電子機器とすることができる。
本発明によれば、クロスオーバーや液漏れ等の問題が改善され、燃料極の増圧がなく、効率よく発電が可能な直接メタノール形燃料電池システムを提供することができる。しかも、水供給機構等の装置を設ける必要がないので、直接メタノール形燃料電池システムのコンパクト化も図れるという効果も奏する。
以下、本発明の一実施形態に係る直接メタノール形燃料電池システムについて、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る直接メタノール形燃料電池システムを示す概略図であり、図2は、本実施形態に係る直接メタノール形燃料電池システムにおける固体状メタノール収容容器を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、燃料電池セル1は、燃料極2と、電解質膜3と、空気極4とからなり、燃料極2と空気極4とは、電気回路Lにより電気的に接続されている。
メタノールを固体化した固体状メタノールを収容する収容容器5は、燃料電池セル1の燃料極2側に近接して設置されている。
燃料電池セル1及び収容容器5は、枠体6により四方を囲むようにして固定されているとともに、収容容器5の天面は開閉可能のカバー7で覆われている。
固体状メタノール収容容器5は、矩形箱型のケーシング11の内部に、固体状メタノールと、アルカリ性無機固体とを充填してなり、下面側に開口部12が形成されていて、この開口部12を透過性材料としての合成樹脂製メッシュ12Aにより仕切ることにより、固体状メタノール及びアルカリ性無機固体を均一に混合された状態で保持するとともに、通気性を確保している。
この透過性材料としては、メタノールや水の分子は通過するが、固体状メタノール及びアルカリ性無機固体の粒子は通過しないような細孔を有するものであって、メタノール蒸気で侵されないような材料であればどのようなものでもよく、合成樹脂製メッシュ12Aの他、高分子フィルター、紙フィルター、その他の多孔質材料等を用いることができる。このような収容容器5は、カバー7の開閉等により枠体6に着脱自在な燃料カートリッジとして使用するのが好ましい。
上述したような直接メタノール形燃料電池システムにおいて、固体状メタノールとしては、メタノールの包接化合物を始めとするメタノールの分子化合物、メタノールをポリマーとともに固体化又はジベンジリデン−D−ソルビトール等のゲル化剤によりゲル化したもの、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機材料に吸着等によりメタノールを保持することで固体状としたもの、及びこれらにコーティングを施すことによりメタノールの気化温度を調節したもの等、メタノールを包含し、かつ固体の状態を示す物質であればどのようなものでも使用することができる。
分子化合物とは、単独で安定に存在することのできる2種類以上の化合物が水素結合やファンデルワールス力等に代表される、共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した化合物であり、水化物、溶媒化物、付加化合物、包接化合物等が含まれる。
このような分子化合物は、分子化合物を形成する化合物とメタノールとの接触反応により形成することができ、メタノールを固体状の化合物に変化させることができ、比較的軽量で安定にメタノールを貯蔵することができる。特に、ホスト化合物とメタノールとの反応によりメタノールを包接した包接化合物が好ましい。
固体状メタノールとしては、シート状、ブロック状(塊状)、粒状等種々の形態のものを用いることができる。これらの中では、粒子状のものが好ましい。固体状メタノールとして粒子状のものを用いることにより、粒径を小さくすることで気化速度を大きくでき、かつ発生したメタノール蒸気の移動が容易となる。
固体状メタノールの粒径は、取扱性、充填性、ガス移動性等を考慮すると、1μm〜10mmであることが好ましく、特に100μm〜5mmであることが好ましい。
このような固体状メタノールは、基材1質量部に対し、メタノール1〜4質量部が取り込まれたものであることが好ましい。
また、アルカリ性無機固体としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物等が該当するが、安全性等を考慮すると、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物を用いることが好ましい。このようなアルカリ性無機固体の性状としては、粉末状であることが望ましく、取扱性の観点から、その粒径は、1μm〜10mmであることが好ましく、特に二酸化炭素との反応性を考慮すると1μm〜100μmであることが好ましい。
なお、合成樹脂製メッシュ12A等の透過性材料は、これら固体状メタノール及びアルカリ性無機固体の態様に応じ、これらがこぼれ出ないようなものを適宜選択して用いればよい。
収容容器5中における、これら固体状メタノールとアルカリ性無機固体との割合は、理論的には全固体状メタノールに含まれるメタノールの量に対し、二酸化炭素が化学量論量(等モル)生じることから、アルカリ性無機固体も化学量論量(等モル)必要であると考えられるが、実際には理論二酸化炭素量に対して0.05〜1当量、好ましくは0.1〜0.5当量である。このようにアルカリ性無機固体の量が、理論二酸化炭素量に対して少なくて済むのは、COが電解質膜3を通過して空気極4側へ放出されたり、固体状メタノールの素材内部の空隙に吸収されたりするため、理論二酸化炭素量よりも少なくなるためであると考えられる。なお、アルカリ性無機固体が多いと固体状メタノールを充填できるスペースが減ることから、アルカリ性無機固体の配合量はできるだけ少ないことが望ましい。
このような構成を有する直接メタノール形燃料電池システムについて、その動作を説明する。
図1において、ケーシング11内の固体状メタノールは、その材料内部で包接現象をはじめとする分子間力でゆるやかに拘束されているため、一気に気化することはないが、徐々に気化する。そして、固体状メタノールの表面から徐々に気化したメタノール分子が燃料電池セル1の燃料極2に達する。
このとき、燃料極2と収容容器5の合成樹脂製メッシュ12Aとの間の隙間空間Sを非常に小さくすることで、空間S内のメタノール濃度はその条件における飽和蒸気濃度に速やかに達する。
この結果、下記の反応式により発電が行われる。
アノード:CHOH + HO → 6H + CO + 6e …[1]
カソード:3/2O + 6H + 6e → 3HO …[2]
このような状態における燃料極2近傍のメタノール濃度は、液体のメタノール(水溶液)を直接供給する方式に比べるとかなり希薄となるが、液体供給方式でも燃料極2のメタノールが全て反応するわけではなく、触媒活性の限界によって一部だけしか分解されない。また、メタノールが過剰であればあるほど、空気極4側にクロスオーバーするメタノール量も増える。
したがって、燃料極2におけるメタノールの濃度が高濃度であることは必ずしもメリットにならず、固体状メタノールから気化しただけのメタノールでも、空間S内のメタノール濃度が飽和蒸気濃度であれば、液体供給方式とほぼ同等の出力が得られる。
そして、メタノールが燃料極2の触媒上で分解されて減少するに伴い、この消費された分を補充するように固体状メタノールからのメタノール分子の気化が進む。これにより上記発電反応が継続することになる。
このとき上記反応式[1]においては、メタノールと水との反応により、メタノールと等モルの二酸化炭素ガスが生じるが、この二酸化炭素ガスは、合成樹脂製メッシュ12Aを透過して収容容器5内に拡散する。そして、この二酸化炭素ガスは収容容器5内のアルカリ性無機固体、例えば水酸化カルシウムと下記の反応式により吸収される。
CO + Ca(OH) → CaCO + HO …[3]
そして、上記反応によりCOと等モルの水が発生する。
したがって、元々電解質膜3が保持していた水分により反応が開始され、反応が進むに連れて反応式[2]で示すように空気極4で生成する水が電解質膜3を逆浸透するとともに、このCOとアルカリ性無機固体との反応により生じた水分も供給されることで発電反応が効率よく継続される。したがって、COとアルカリ性無機固体との反応により生じる水分は、メタノールに対して等モルより少なくてよい。ただし、確実に初期発電を行うためには、あらかじめ燃料極2に水を含ませておくのが好ましい。
以上、本発明について実施形態に基づき説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変形実施が可能である。例えば、固体状メタノールは、純度100%のメタノールを固体状としたものでなくてもよく、メタノールに水を添加して所望の濃度のメタノール溶液としてこれを固体状としたものを用いてもよい。また、収容容器5には、場合によっては、固体状メタノールの加熱装置又は振動付与装置等を設けてもよい。
上述したような本発明の直接メタノール形燃料電池システムは、ポンプ等の燃料供給用の動力を必要とせず、コンパクト化が図れるので、小型化が要求される携帯用電子機器の電源として特に好適である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、何ら以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
[燃料電池セル]
試験用の燃料電池セルとして以下の仕様のものを使用した。
MEA:ケミックス社製DMFC用MEA
・電解質膜:Nafion117(デュポン社製)
・アノード触媒:Pt−Ru/C
・カソード触媒:Pt/C
・有効膜面積:16cm
集電材料:SUSメッシュ(Auメッキ)
燃料極:密閉構造(ただし、上蓋の開閉で燃料の出し入れ可能)
空気極:開放構造
[固体状メタノールの作製]
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)39.8g(0.1mol)をメタノール100mLに加熱溶解して再結晶を行うことにより、THPE:メタノール=1:2(モル比)でメタノール含有率14質量%の固体状メタノールとして、メタノール包接化合物を得た。
[アルカリ性無機固体]
アルカリ性無機固体として平均粒径12μmの水酸化カルシウムを用意した。
[直接メタノール形燃料電池システム]
得られたメタノール包接化合物6gと水酸化カルシウム1.94g(理論当量の1.0倍)とを均一に混合し、寸法が40×40×10(mm)の図2に示す箱型容器に充填し、燃料極2に配向する面の開口部に透過性材料として不織布を張り、メタノール包接化合物が漏れ出ないようにして収容容器5とした。
燃料電池セル1の燃料極2にあらかじめ純水を張って湿潤させておき、試験前に純水を除去し、窒素ガス流で水滴を除去した。この燃料電池セル1を図1に示す装置に装着し、収容容器5が燃料極2側となるように装着してカバー7を閉じて密封し、直接メタノール形燃料電池システム(実施例1)とした。なお、燃料極2と収容容器5の不織布との間には5mmの間隙を形成した。
[比較例1]
実施例1において、メタノール包接化合物と水酸化カルシウムとの代わりに、3%メタノール水溶液10gを収容容器5に充填した以外は同様にして、直接メタノール形燃料電池システム(比較例1)を作製した。
[発電試験]
これら実施例1及び比較例1の直接メタノール形燃料電池システムに対し、電子負荷装置により電流を流し、燃料電池セルの特性を測定した。測定結果を、負荷電流密度(mA/cm,負荷電流をMEAの有効膜面積で除した値)を横軸に、セルの出力密度(mW/cm,負荷電流密度と燃料極−空気極間の電圧値(V)との積)を縦軸に示したグラフとして、図3に示す。
図3から明らかなとおり、実施例1の直接メタノール形燃料電池システムでは、測定中のセル電圧は安定しており、最高出力は約16mW/cmであった。さらに、その状態で4時間運転した際にも出力の低下はほとんどなく、燃料極2における内圧の上昇等も認められなかった。これはCOガスの吸収とともに水分の補給がなされているためであると予想される。
これに対し、メタノール溶液を供給した比較例1の直接メタノール形燃料電池システムでは、定中のセル電圧は安定していたが、最高出力は約14mW/cmと低く、電流密度も劣っていた。これは、クロスオーバーが発生しているためであると考えられる。さらに、その状態で4時間運転した際には出力の低下が認められ、しかも燃料極2における内圧の上昇が確認された。
[実施例2]
実施例1において、メタノール包接化合物6gに水酸化カルシウム0.97g(理論当量の0.5倍)を均一に混合して収容容器5に充填した以外は同様にして、直接メタノール形燃料電池システム(実施例2)を作製した。
この実施例2の直接メタノール形燃料電池システムに対し、実施例1と同様にして発電特性を測定したところ、実施例1とほぼ同等の性能を示した。また、4時間運転した際にも出力の低下はほとんどなく、燃料極2における内圧の上昇等も認められなかった。
[実施例3]
実施例1において、メタノール包接化合物6gに水酸化カルシウム0.39g(理論当量の0.2倍)を均一に混合して収容容器5に充填した以外は同様にして、直接メタノール形燃料電池システム(実施例3)を作製した。
この実施例3の直接メタノール形燃料電池システムに対し、実施例1と同様にして発電特性を測定したところ、実施例1とほぼ同等の性能を示した。また、4時間運転した際にも出力の低下はほとんどなく、燃料極2における内圧の上昇等も認められなかった。
本発明の一実施形態に係る直接メタノール形燃料電池システムを示す概略図である。 同実施形態に係る直接メタノール形燃料電池システムにおける固体状メタノール収容容器を示す斜視図である。 実施例1及び比較例1の直接メタノール形燃料電池システムにおける発電特性測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1…燃料電池セル
2…燃料極
3…電解質膜
4…空気極
5…固体状メタノール収容容器(燃料容器)
12…開口部(通気性面)
12A…合成樹脂製メッシュ(透過性材料)

Claims (7)

  1. 直接メタノール形燃料電池セルと、
    前記直接メタノール形燃料電池セルの燃料極に近接して設けられた、メタノールを固体化した固体状メタノールを収容した燃料容器と、
    前記直接メタノール形燃料電池セルの燃料極と前記燃料容器との間に存在する気体と反応するアルカリ性無機固体と
    を有することを特徴とする直接メタノール形燃料電池システム。
  2. 前記燃料容器は、前記燃料電池セルに燃料を供給するための動力を有しないことを特徴とする請求項1に記載の直接メタノール形燃料電池システム。
  3. 前記アルカリ性無機固体が、前記固体状メタノールとともに前記燃料容器に充填されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の直接メタノール形燃料電池システム。
  4. 前記アルカリ性無機固体が、前記固体状メタノールと均一に混合されていることを特徴とする請求項3に記載の直接メタノール形燃料電池システム。
  5. 前記アルカリ性無機固体が、水酸化カルシウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の直接メタノール形燃料電池システム。
  6. 前記燃料容器には、通気性面が形成されており、
    前記通気性面が、前記直接メタノール形燃料電池セルの燃料極側に対向していて、前記通気性面が気体成分のみが通過できるような透過性材料によって仕切られていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の直接メタノール形燃料電池システム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の直接メタノール形燃料電池システムを備えることを特徴とする携帯用電子機器。
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