JP2008097845A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】透明電極又は半透明電極の抵抗による電圧低下を軽減して均一に発光させることができると共に、十分な光の取り出し効率を達成することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること。
【解決手段】透明な支持基板と、前記支持基板上に配置された透明電極又は半透明電極からなる第一電極と、前記第一電極上に配置された少なくとも1層の有機層と、前記有機層上に配置された第二電極とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記第一電極の少なくとも一方の表面上に配置され、前記第一電極に電気的に接続されており、且つ開口部が設けられた補助電極を備え、
前記開口部における前記補助電極の端部が前記支持基板の表面に対して逆テーパー形状となっていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置等に用いられる発光素子として有用な有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、Tangらは有機蛍光色素を発光層とし、これと電子写真の感光体等に用いられている有機電荷輸送化合物とを積層した二層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ということがある。)を作製した(特開昭59−194393号公報)。さらに、蛍光色素を電子輸送発光層に微量ドーピングすることで、蛍光色素からの発光となり、高効率、長寿命の素子が得られることが報告されている。有機EL素子は、競合素子に比べ、低電圧駆動、高輝度に加えて多数の色の発光が容易に得られるという特徴があることから素子構造や有機蛍光色素、有機電荷輸送化合物について多くの試みが報告されている〔ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn.J.Appl.Phys.)第27巻、L269頁(1988年)〕、〔ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(J.Appl.Phys.)第65巻、3610頁(1989年)〕。
また、主に低分子の有機化合物を用いる有機EL素子とは別に、高分子の発光材料を用いる高分子発光素子(以下、高分子LEDということがある。)については、WO9013148号公開明細書、特開平3−244630号公報、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)第58巻、1982頁(1991年)等で提案されている。例えば、WO9013148号公開明細書の実施例には、可溶性前駆体を電極上に製膜し、熱処理を行うことにより共役系高分子に変換されたポリ(p−フェニレンビニレン)(以下、PPVということがある。)薄膜を用いた素子が開示されている。
これら有機EL素子等を用いた表示装置や照明装置においては、その発光面積が大きくなるにつれて、透明電極又は半透明電極の配線抵抗による電圧低下が無視できなくなり、発光輝度のムラが大きくなってしまうという問題点があった。また、支持基板側に光を取り出す方式(ボトムエミッション型)の有機EL素子では、有機発光層からの発光は支持基板側の透明電極または半透明電極を通して外部に出射される。そして、ボトムエミッション型の有機EL素子においては、特に屈折率の差が大きい透明電極又は半透明電極と支持基板との界面において、臨界角以上で放射される光は全反射されて層内を横方向に伝播してしまうために有機発光層からの光を十分に取り出すことができず、十分な光の取り出し効率を達成できないという問題があった。
これらの問題を解決するために、例えば、特開2004−119216号公報(特許文献1)には、補助電極を備える有機EL素子であって、前記補助電極の端部をテーパー形状とした有機EL素子が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載されているような有機EL素子は、光の取り出し効率の点で未だ必ずしも十分なものではなかった。さらに、特開平10−189251号公報(特許文献2)には、プリズム、マイクロレンズといった幾何構造を導入したディスプレイ装置が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載されているようなディスプレイ装置においては、取り出し効率向上のための構成要素を別途作成しなければならず、製造工程の複雑化及び製造コストの上昇を招くという問題があった。
特開2004−119216号公報 特開平10−189251号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、透明電極又は半透明電極の抵抗による電圧低下を軽減して均一に発光させることができると共に、十分な光の取り出し効率を達成することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、透明な支持基板と、前記支持基板上に配置された透明電極又は半透明電極からなる第一電極と、前記第一電極上に配置された少なくとも1層の有機層と、前記有機層上に配置された第二電極とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記第一電極の表面上に開口部が設けられた補助電極を形成し、前記開口部における前記補助電極の端部を前記支持基板の表面に対して逆テーパー形状とすることにより、透明電極又は半透明電極の抵抗による電圧低下を軽減して均一に発光させることができると共に、十分な光の取り出し効率を達成することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、透明な支持基板と、前記支持基板上に配置された透明電極又は半透明電極からなる第一電極と、前記第一電極上に配置された少なくとも1層の有機層と、前記有機層上に配置された第二電極とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記第一電極の少なくとも一方の表面上に配置され、前記第一電極に電気的に接続されており、且つ開口部が設けられた補助電極を備え、
前記開口部における前記補助電極の端部が前記支持基板の表面に対して逆テーパー形状となっていることを特徴とするものである。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、前記逆テーパー形状が、前記支持基板の表面に対するテーパー角度が100〜170°の範囲となる形状であることが好ましい。
さらに、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、前記補助電極の端部の表面が粗面化及び/又は曲面化されていることが好ましい。
さらに、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、前記補助電極の前記有機層と対面する表面が粗面化及び/又は曲面化されていることが好ましい。
さらに、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、前記補助電極が、前記第一電極の表面のうち、前記有機層と反対側の表面上に配置されていることが好ましい。
本発明の面状光源は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とするものである。また、本発明のセグメント表示装置は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とするものである。さらに、本発明のドットマトリックス表示装置は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とするものである。また、本発明の液晶表示装置は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とするものである。
なお、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、透明電極又は半透明電極の抵抗による電圧低下を軽減して均一に発光させることができると共に、十分な光の取り出し効率を達成することが可能となる。すなわち、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、透明電極又は半透明電極からなる第一電極の表面上に、前記第一電極に電気的に接続された補助電極が形成されている。そして、前記補助電極は、前記第一電極と比較して電気抵抗値の低い材料からなるものであるので、本発明によれば、前記第一電極の抵抗による電圧低下を軽減して均一に発光させることが可能となる。
また、ボトムエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、特に屈折率の差が大きいために臨界角が大きくなる第一電極と支持基板との界面において、有機層からの光のうちの臨界角以上で放射される光が全反射されて前記第一電極及び前記有機層の層内を横方向に伝播してしまう。そして、前記開口部における前記補助電極の端部の表面と前記支持基板の表面とからなる角度が90°である場合においては、前記層内を横方向に伝播する光が前記開口部における前記補助電極の端部の表面で反射されても、その反射光の支持基板への入射角は変化しないため、その反射光を外部に取り出すことはできない。一方、前記開口部における前記補助電極の端部が前記支持基板の表面に対してテーパー形状となっている場合においては、前記層内を横方向に伝播する光が前記開口部における前記補助電極の端部の表面で反射することにより、その反射光の支持基板への入射角が変化するため、その反射光の少なくとも一部を外部に取り出すことができる。
これに対し、本発明のように前記開口部における前記補助電極の端部が前記支持基板の表面に対して逆テーパー形状となっている場合においては、前記端部がテーパー形状となっている場合と同様に、反射光の支持基板への入射角が変化するため、その反射光の少なくとも一部を外部に取り出すことができる。さらには、図1に示すように、前記第一電極3及び前記有機層(図示せず)の層内を横方向に伝播する光が前記開口部における前記補助電極2の端部の表面で反射することにより、その反射光の少なくとも一部Lが直接支持基板1へ臨界角未満の角度で入射するため、前記端部がテーパー形状となっている場合と比較して、より効率よく有機層からの光を外部に取り出すことができる。そのため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、十分な光の取り出し効率を達成することが可能となる。
本発明によれば、透明電極又は半透明電極の抵抗による電圧低下を軽減して均一に発光させることができると共に、十分な光の取り出し効率を達成することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することが可能となる。
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、透明な支持基板と、前記支持基板上に配置された透明電極又は半透明電極からなる第一電極と、前記第一電極上に配置された少なくとも1層の有機層と、前記有機層上に配置された第二電極とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記第一電極の少なくとも一方の表面上に配置され、前記第一電極に電気的に接続されており、且つ開口部が設けられた補助電極を備え、
前記開口部における前記補助電極の端部が前記支持基板の表面に対して逆テーパー形状となっていることを特徴とするものである。
(支持基板)
本発明にかかる支持基板は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する際の支持体となるものである。また、このような支持基板は、支持基板側から後述する有機層からの光を取り出すという観点から、可視光領域において透明なものであることが必要となる。このような支持基板としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等の基板が挙げられる。
(第一電極)
本発明にかかる第一電極は、前記支持基板上に配置された透明電極又は半透明電極からなる電極であって、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極となるものである。このような第一電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物や金属の薄膜を用いることができ、透過率が高いものが好適に利用でき、用いる有機層により適宜選択して用いることができる。このような第一電極の材料としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラス(NESA等)、金、白金、銀、銅が用いられる。これらの中でも、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。
このような第一電極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50nm〜500nmである。
以上説明したような第一電極を形成させる方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。なお、このような第一電極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体等の有機物の透明導電膜を用いてもよい。また、有機層への電荷注入を容易にするという観点から、このような第一電極の有機層側の表面上に、フタロシアニン誘導体、ポリチオフェン誘導体等の導電性高分子、Mo酸化物、アモルファスカーボン、フッ化カーボン、ポリアミン化合物等の1〜200nmの層、或いは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚10nm以下の層を設けてもよい。
(補助電極)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、前記第一電極の少なくとも一方の表面上に配置され、前記第一電極に電気的に接続されており、且つ開口部が設けられた補助電極を備えることが必要である。そして、このような補助電極においては、前記開口部における前記補助電極の端部が前記支持基板の表面に対して逆テーパー形状となっていることが必要である。本発明においては、このような補助電極を備えることにより、透明電極又は半透明電極の抵抗による電圧低下を軽減して均一に発光させることができると共に、十分な光の取り出し効率を達成することが可能となる。
このような逆テーパー形状とは、前記支持基板の表面に対するテーパー角度が90°を超える角度となる形状のことをいう。また、このようなテーパー角度としては、支持基板と第一電極との界面で反射され外部に取り出すことが出来ない光をより効果的に外部に取り出すという観点から、100〜170°の範囲であることが好ましく、110〜150°の範囲であることがより好ましい。
このような補助電極は、開口部における前記補助電極の端部が前記支持基板の表面に対して逆テーパー形状となるようにして、開口部が設けられたものであればよく、必ずしも秩序的に開口部が設けられたものでなくてもよい。そして、このような補助電極の線幅は特に限定されず、またこのような線幅は一定でなくてもよいが、光の利用効率の観点から、1〜200μmの範囲であることが好ましく、10〜100μmの範囲であることがより好ましい。
また、このような補助電極の材料としては、前記第一電極の材料より電気伝導度が高ければ特に制限はないが、通常は10S/cm以上の電気伝導度を有する導電材料が使用され、例えば、アルミニウム、ニッケル、銀、クロミニウム、金、銅、タンタル等の金属材料が好適に利用される。これらの中でも、電気伝導度の高さ、材料のハンドリングの容易さの観点から、アルミニウム、ニッケル、クロミニウム、銅、銀がより好ましい。これらの材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、補助電極の材料として金属を用いた場合には、後述する有機層からの光が遮断されることから、素子の発光する面積に対する補助電極で被われる面積の割合は、20〜90%の範囲であることが好ましく、30〜80%の範囲であることがより好ましい。
また、このような補助電極の厚みは、面抵抗が所望の値となるように適宜選択することができるが、例えば10〜500nmであり、好ましくは20〜300nmであり、より好ましくは50〜150nmである。
さらに、このような補助電極は、前記第一電極の表面のうち、有機層側の表面上に配置されていてもよいが、第一電極と補助電極との電気的な接続をより確実にするという観点から、有機層と反対側の表面上に配置されていることが好ましい。
以上説明したような補助電極を形成させる方法としては、例えば、以下のような方法を挙げることができる。すなわち、エッチング液に対する溶解性の異なる複数の補助電極の材料を準備する工程(工程(i))と、前記支持基板又は前記第一電極上に溶解性の高い補助電極の材料から順次製膜して補助電極の材料の多層膜を形成する工程(工程(ii))と、補助電極の材料の多層膜をフォトレジストを用いたエッチング法によりパターン形成して補助電極を形成する工程(工程(iii))とを含む方法が挙げられる。このような方法によれば、エッチング液に対する補助電極の材料の溶解性の差を利用して、前記開口部における前記補助電極の端部を前記支持基板の表面に対して逆テーパー形状とすることができる。
工程(i)においては、エッチング液に対する溶解性の異なる複数の補助電極の材料を準備する。このようにエッチング液に対する溶解性の異なる複数の補助電極の材料としては、前記補助電極の材料の中から適宜選択して用いることができる。
工程(ii)においては、前記支持基板又は前記第一電極上に溶解性の高い補助電極の材料から順次製膜して補助電極の材料の多層膜を形成する。このように補助電極の材料を製膜する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が挙げられる。
工程(iii)においては、導電材料の積層体をフォトレジストを用いたエッチング法によりパターン形成して補助電極を形成する。このようなフォトレジストを用いたエッチング法としては、適宜公知の方法を用いることができる。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、このような補助電極の端部の表面が粗面化及び/又は曲面化されていることが好ましい。このように補助電極の端部の表面をさらに加工することによって、補助電極の端部の表面での正反射を利用するだけでは外部に取り出すことができなかった光も有効に外部に取り出すことが可能となる。すなわち、このように前記補助電極の端部の表面が粗面化されていることによって、前記第一電極及び後述する有機層の層内を横方向に伝播する光が前記開口部における前記補助電極の端部の表面で乱反射することにより、乱反射した少なくとも一部の光の支持基板への入射角が臨界角未満となり、乱反射した少なくとも一部の光を外部に取り出すことができる。また、このように前記補助電極の端部の表面が曲面化されていることによって、前記第一電極及び後述する有機層の層内を横方向に伝播する光が前記開口部における前記補助電極の端部の表面で反射することにより、その反射光の支持基板への入射角が更に変化するため、その反射光の少なくとも一部を外部に取り出すことができる。
このように前記補助電極の端部の表面を粗面化する方法としては、例えば、エッチング法によりパターン形成するにあたり、エッチング液の濃度やエッチング時間を調整する方法を挙げることができる。このような方法においては、エッチング液の濃度が低くなるほど前記補助電極の端部の表面における凹凸の深度が大きくなる傾向にある。また、エッチング時間が短くなるほど前記補助電極の端部の表面における凹凸の深度が大きくなる傾向にある。
このようにして粗面化された補助電極の端部の表面は、光の波長レベルの寸法において一つ以上の曲率からなる曲線を有する平滑ではない形状、より具体的には、凹面や凸面、球面等の曲面やそれらを組み合わせた形状となる。これらの形状の大きさとしては、補助電極の最小の線幅に対して1/2未満の大きさであることが好ましい。また、これらの形状の間隔は、0.05〜5μmの範囲であることが好ましく、0.1〜1μmの範囲であることがより好ましい。さらに、これらの形状における凹凸の深度は、補助電極の膜厚が薄くなることで抵抗が大きくなってしまうのを抑制するという観点から、補助電極の膜厚に対して1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましい。
また、このように前記補助電極の端部の表面を曲面化する方法としては、例えば、補助電極の材料の多層膜を形成するにあたり、それぞれの補助電極の材料のエッチング液に対する溶解性や膜の厚みを調整する方法を挙げることができる。
このようにして曲面化された補助電極の端部の表面は、光の波長レベルの寸法において一つ以上の曲率からなる曲線を有する平滑ではない形状、より具体的には、凹面や凸面、球面等の曲面やそれらを組み合わせた形状となる。これらの形状の大きさとしては、補助電極の最小の線幅に対して1/2以上の大きさであればよいが、補助電極の最小の線幅と同程度の大きさであることが好ましい。また、これらの形状の間隔は、0.5〜10μmの範囲であることが好ましく、1〜5μmの範囲であることがより好ましい。さらに、これらの形状における凹凸の深度は、補助電極の膜厚が薄くなることで抵抗が大きくなってしまうのを抑制するという観点から、補助電極の膜厚に対して1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましい。
さらに、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、このような補助電極の後述する有機層と対面する表面が粗面化及び/又は曲面化されていることが好ましい。このように補助電極の後述する有機層と対面する表面をさらに加工することによって、補助電極の端部における反射だけでは外部に取り出すことができなかった光も有効に外部に取り出すことが可能となる。すなわち、このように前記補助電極の後述する有機層と対面する表面が粗面化されていることによって、前記第一電極及び後述する有機層の層内を横方向に伝播する光が前記補助電極の後述する有機層と対面する表面で乱反射することにより、乱反射した少なくとも一部の光の支持基板への入射角が臨界角未満となり、乱反射した少なくとも一部の光を外部に取り出すことができる。また、このように前記補助電極の後述する有機層と対面する表面が曲面化されていることによって、前記第一電極及び後述する有機層の層内を横方向に伝播する光が前記補助電極の後述する有機層と対面する表面で反射することにより、その反射光の支持基板への入射角が変化するため、その反射光の少なくとも一部を外部に取り出すことができる。
このように前記補助電極の後述する有機層と対面する表面を粗面化及び/又は曲面化する方法としては、例えば、補助電極を形成した後に、サンドブラスト法、レーザー加工法等の表面処理を行う方法を挙げられる。このようなサンドブラスト法においては、使用する粒子の直径や処理時間を適宜選択することにより、表面の形状を調整することができる。表面を粗面化する場合には、粒子の直径を0.1〜10μmの範囲とすることが好ましく、また、処理時間を100〜300秒間とすることが好ましい。なお、表面を粗面化する場合には、加工精度の観点から、レーザー加工法を用いることが好ましい。
このようにして粗面化された補助電極の後述する有機層と対面する表面は、前記説明した粗面化された補助電極の端部の表面と同様の形状となる。また、このようにして曲面化された補助電極の後述する有機層と対面する表面は、前記説明した曲面化された補助電極の端部の表面と同様の形状となる。
(有機層)
本発明にかかる有機層は、前記第一電極及び前記第二電極の間に設けられた層である。このような有機層は、少なくとも1層の発光材料を含有する層であればよいが、複数の層により構成されていてもよい。有機エレクトロルミネッセンス素子の動作は、本質的に、電子及び正孔を電極から注入する過程と、電子及び正孔が有機層を移動する過程と、電子及び正孔が再結合し、一重項励起子又は三重項励起子を生成する過程と、その励起子が発光する過程とからなるが、有機層が複数の層により構成される場合には、各過程において要求される機能を複数の材料に分担させるとともに、それぞれの材料を独立して最適化できる。また、このような有機層の発光色としては、赤、青、緑の3原色の発光以外に、中間色や白色の発光が例示される。フルカラー素子には、3原色の発光色が、平面光源では白色や中間色の発光が好ましい。
また、本発明においては、このような有機層に用いられる発光材料として、低分子型発光材料(i)だけでなく、高分子型発光材料(ii)を用いることができる。そして、このような発光材料の種類によっては、有機層に用いられる他の材料が異なるので、以下低分子型発光材料(i)を用いる場合と高分子発光材料(ii)を用いる場合とに分けてそれぞれ説明する。
(i)低分子型発光材料を用いる場合
低分子型発光材料を用いる場合における有機層の材料としては、「有機ELディスプレイ」(時任静夫、安達千波矢、村田英幸 共著 株式会社オーム社 平成16年刊 第1版第1刷発行)17〜48頁、83〜99頁、101〜120頁に記載の蛍光や燐光発光材料、正孔輸送材料、電子ブロック材料、正孔ブロック材料、電子輸送材料が挙げられる。具体的には、正孔輸送材料としては、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同2−311591号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報、同11−35687号公報、同11−217392号公報、特開2000−80167号公報に記載されているもの等が例示される。
さらに、低分子型発光材料(三重項発光錯体)としては、例えば、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)3、Btp2Ir(acac)、白金を中心金属とするPtOEP、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)3phenが挙げられる。具体的には、例えば、Nature, (1998), 395, 151、Appl. Phys. Lett. (1999), 75(1), 4、Proc. SPIE-Int. Soc. Opt. Eng. (2001), 4105(Organic Light-Emitting Materials and DevicesIV), 119、J. Am. Chem. Soc., (2001), 123, 4304、Appl. Phys. Lett., (1997), 71(18), 2596、Syn. Met., (1998), 94(1), 103、Syn. Met.,(1999), 99(2), 1361、Adv. Mater., (1999), 11(10), 852 、Jpn.J.Appl.Phys.,34, 1883 (1995)等に記載されているもの等が例示される。
これらの有機層の材料を含有する層の厚みとしては、発光効率や駆動電圧が所望の値になるように適宜選択されるが、5〜200nmが一般的である。また、正孔輸送層の厚みは、例えば10〜100nmであり、好ましくは20〜80nmである。発光層の厚みは、例えば10〜100nmであり、好ましくは20〜80nmである。正孔ブロック層の厚みは、例えば5〜50nmであり、好ましくは10〜30nmである。電子注入層の厚みは、例えば10〜100nmであり、好ましくは20〜80nmである。
これらの層を形成させる方法としては、真空蒸着、クラスター蒸着、分子線蒸着等の真空プロセス以外に、これらの層を構成する材料が溶解性をもつものやエマルジョンを形成できるものは、後述するコーティング法や印刷法にて製膜する方法が挙げられる。
(ii)高分子型発光材料を用いる場合
高分子型発光材料を用いる場合における有機層の材料としては、「高分子EL材料」(大西敏博、小山珠美 共著 共立出版 2004年刊 初版版第1刷発行)33〜58頁に記載の材料が挙げられ、電荷注入層や電荷輸送層と積層した構造で有機エレクトロルミネッセンス素子を構築することができる。より具体的には、高分子化合物の正孔輸送性材料、電子輸送性材料及び発光材料としては、WO99/13692公開明細書、WO99/48160公開明細書、GB2340304A、WO00/53656公開明細書、WO01/19834公開明細書、WO00/55927公開明細書、GB2348316、WO00/46321公開明細書、WO00/06665公開明細書、WO99/54943公開明細書、WO99/54385公開明細書、US5777070、WO98/06773公開明細書、WO97/05184公開明細書、WO00/35987公開明細書、WO00/53655公開明細書、WO01/34722公開明細書、WO99/24526公開明細書、WO00/22027公開明細書、WO00/22026公開明細書、WO98/27136公開明細書、US573636、WO98/21262公開明細書、US5741921、WO97/09394公開明細書、WO96/29356公開明細書、WO96/10617公開明細書、EP0707020、WO95/07955公開明細書、特開2001−181618号公報、特開2001−123156号公報、特開2001−3045号公報、特開2000−351967号公報、特開2000−303066号公報、特開2000−299189号公報、特開2000−252065号公報、特開2000−136379号公報、特開2000−104057号公報、特開2000−80167号公報、特開平10−324870号公報、特開平10−114891号公報、特開平9−111233号公報、特開平9−45478号公報等に開示されているポリフルオレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体及び共重合体、芳香族アミン及びその誘導体の(共)重合体が挙げられる。これらの高分子型発光材料や電荷輸送材料には、前述した低分子型発光材料を用いる場合に有機層に用いられる発光材料や電荷輸送材料を混合して用いてもよい。また、これらの高分子型発光材料や電荷輸送材料においては、前述した低分子型発光材料がこれらの材料の構造に含まれていてもよい。
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層又は前記第一電極と正孔輸送層との間に設けられ、前記第一電極の材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送性材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、前記第二電極と電子輸送層との間に設けられ、前記第二電極の材料と電子輸送層に含まれる電子輸送性材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層等が挙げられる。
また、このような電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、導電性高分子を含む層は少なくとも一方の電極(第一電極、第二電極)と発光層との間に電極に隣接して設けられる。
このような導電性高分子の電気伝導度は、10−7S/cm以上であり且つ10S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10−5S/cm以上であり且つ10S/cm以下であることがより好ましく、10−5S/cm以上であり且つ10S/cm以下であることが特に好ましい。また、通常はこのような導電性高分子の電気伝導度を10−5S/cm以上であり且つ10S/cm以下とするために、このような導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープするイオンとしては、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンが用いられる。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオン等が挙げられ、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
電荷注入層に用いる材料としては、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよいが、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子;金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等);カーボン等が挙げられる。
また、電荷注入を容易にする目的で、前記第一電極及び/又は前記第二電極に隣接して平均厚みが10nm以下の絶縁層を設けてもよい。このような絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられ、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属等の金属フッ化物や金属酸化物が好ましい。
また、第二電極に近い側の有機層に含有される電子輸送性高分子材料としては、電極から電子が注入され、輸送する高分子材料であればよく特に制限はされないが、π及びσ共役系高分子や電子輸送性の基を高分子中に含む高分子材料を適宜使用することができる。さらに、低分子の電子輸送性材料を併用することもできる。
これらの正孔輸送性高分子材料や電子輸送性材料は電荷の輸送以外に、発光機構を有しているものも好適に利用できるが、本発明においては、前記発光材料をこれらの層にドーピングして用いることもできる。
以上説明したような有機層の材料を含有する層の厚みは、用いる材料によって最適値が異なるが、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜選択することができる。また、発光層の厚みは、例えば5〜300nmであり、好ましくは30〜200nmであり、さらに好ましくは40〜150nmである。電荷注入層の厚みは、例えば1nm〜100nmであり、好ましくは2nm〜10nmである。電子輸送性高分子層の厚みは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
また、ここまで述べてきた有機層の材料のうちの高分子材料を含有する層(発光層、電荷輸送層、電荷注入層)を形成させる方法としては、例えば、溶液からのコーティング法や印刷法にて製膜する方法が挙げられる。なお、このような方法は、前記高分子材料を含有しない層(発光層、電荷輸送層、電荷注入層)を形成させる方法としても採用することができる。このような方法によれば、溶液を塗布後乾燥することにより溶媒を除去するだけでよく、また電荷輸送材料や発光材料を混合した場合においても同様な手法が適用でき、製造上非常に有利である。このようなコーティング法及び印刷法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法が挙げられる。また、電荷注入材料は、エマルジョン状で水やアルコールに分散させたものを溶液と同様な方法で、製膜することができる。
このようなコーティング法や印刷法において、有機層の材料に用いる溶媒としては特に限定されないが、前記高分子材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。前記高分子材料が非極性溶媒に可溶なものである場合において、このような溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、テトラリン、アニソール、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;デカリン、ビジクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒が挙げられる。
また、複数の層を積層する場合においては、上下の層の混合を防止するために、最初に形成された層を不溶化することが好ましい。このように不溶化する方法としては、可溶性の前駆体や可溶基を有する高分子を用いて、熱処理により、前駆体を共役系高分子に転換したり、可溶基を分解することで溶解性を低下させることで不溶化する方法や、架橋基を分子内に有する正孔輸送性高分子を用いる方法、或いは、熱、光、電子線等により架橋反応を生ずるモノマーやマクロマーを混合する方法等が挙げられる。
このような架橋基としては、側鎖にビニル基、(メタ)アクリレート基、オキセタン基、シクロブタジエン基、ジエン基等を有する高分子が例示される。これらの基の導入率は、電子輸送性高分子の製膜時に使用する溶媒に対して不溶化すれば特に制限はないが、例えば0.01〜30質量%であり、好ましくは0.5〜20質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
また、架橋反応を生ずるモノマーやマクロマーとしては、ポリスチレン換算の重量平均分子量2000以下の材料で、ビニル基、(メタ)アクリレート基、オキセタン基、シクロブタジエン基、ジエン基等の基を二つ以上有するものが挙げられる。さらに、酸無水物基や桂皮酸のように分子間で架橋反応を有する材料も例示される。これらの例としては、「UV・EB硬化技術の現状と展望」(市村國宏 監修 株式会社シーエムシー出版 2002年刊 第1版第1刷発行 第2章)に記載のものが好適に使用できる。
さらに、高分子化合物を有機層の材料として用いる場合には、その純度が電荷輸送特性や発光特性等の素子の性能に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等、カラムクロマトグラフィーの方法で精製した後に重合することが好ましい。また重合後、酸洗浄、アルカリ洗浄、中和、水洗浄、有機溶媒洗浄、再沈殿、遠心分離、抽出、カラムクロマトグラフィー、透析などの慣用の分離操作、精製操作、乾燥その他の操作による純化処理をすることが好ましい。
(第二電極)
本発明にかかる第二電極は、前記有機層上に配置される電極であって、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の陰極となるものである。このような第二電極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうちの2つ以上の合金;或いはそれらのうちの1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1つ以上との合金;グラファイト又はグラファイト層間化合物が用いられる。これらの合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
このような第二電極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
以上説明したような第二電極を形成させる方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が挙げられる。なお、このような第二電極を2層以上の積層構造としてもよい。また、第二電極と有機層との間に、導電性高分子からなる層、或いは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚10nm以下の層を設けてもよい。
(有機エレクトロルミネッセンス素子)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、前述した第一電極、第二電極、補助電極、及び有機層を前述した支持基板上に形成させることにより作製することができる。また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、必要に応じて保護層を設けてもよい。このような保護層の材料としては、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンの他に、アクリル系樹脂等の光硬化性樹脂が挙げられる。これらの保護層の材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
以上説明したような本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、液晶ディスプレイのバックライト又は照明用としての曲面状や平面状の面状光源;インテリアや広告に用いられるセグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置等に用いられる発光素子として好適に用いることができ、照明用としての曲面状や平面状の面状光源として特に好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、合成例1、2において用いた下記構造式(A)〜(C)で表される化合物A〜Cとしては、WO2000/046321公開明細書に記載された方法に従って合成したものを用いた。
Figure 2008097845
Figure 2008097845
Figure 2008097845
(合成例1)
先ず、200mlセパラブルフラスコにメチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ社製、商品名:Aliquat336)を0.91gと、化合物Aを5.23gと、化合物Cを4.55gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。その後、トルエン70mlを加え、酢酸パラジウム2.0mg、トリス(o−トリル)ホスフィン15.1mgを加えた後に、環流させて混合溶液を得た。
次に、得られた混合溶液に、炭酸ナトリウム水溶液19mlを滴下後、環流下終夜攪拌した後、フェニルホウ酸0.12gを加えて7時間攪拌した。その後、300mlのトルエンを加え、反応液を分液し、有機相を酢酸水溶液及び水で洗浄した後、ナトリウムN,N−ジエチルジチオカルバメート水溶液を加えて4時間攪拌した。
次いで、攪拌後の混合溶液を分液した後、シリカゲル−アルミナカラムを通し、トルエンで洗浄した後に、メタノールに滴下してポリマーを沈殿させ、その後、得られたポリマーをろ過、減圧乾燥した後にトルエンに溶解させた。そして、得られたトルエン溶液を再度メタノールに滴下して沈殿物を生じさせ、この沈殿物をろ過、減圧乾燥して高分子化合物1を得た。得られた高分子化合物1のポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは3.2×10であり、ポリスチレン換算の数平均分子量Mnは8.8×10であった。
(合成例2)
先ず、化合物Bを22.5gと2,2’−ビピリジルを17.6gとを反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。その後、あらかじめアルゴンガスでバブリングして脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)1500gを加え、混合溶液を得た。そして、得られた混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を31g加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で3時間反応させた。なお、反応は、窒素ガス雰囲気中で行った。
次に、得られた反応溶液を冷却した後、この溶液に、25質量%アンモニア水200ml/メタノール900ml/イオン交換水900ml混合溶液をそそぎ込み、約1時間攪拌した。その後、生成した沈殿物を濾過して回収し、この沈殿物を減圧乾燥した後、トルエンに溶解させた。そして、得られたトルエン溶液を濾過して不溶物を除去した後、このトルエン溶液を、アルミナを充填したカラムを通過させることにより精製した。
次に、精製後のトルエン溶液を、1規定塩酸水溶液で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。そして、このトルエン溶液を、約3質量%アンモニア水で洗浄し、静置、分液した後、トルエン溶液を回収した。その後、このトルエン溶液をイオン交換水で洗浄し、静置、分液した後、洗浄後のトルエン溶液を回収した。
次いで、洗浄後のトルエン溶液をメタノール中にそそぎ込み、沈殿物を生じさせ、この沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して高分子化合物2を得た。得られた高分子化合物2のポリスチレン換算の重量平均分子量は8.2×10であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は1.0×10であった。
(実施例)
先ず、支持基板としてガラス基板(100mm×100mm)を準備した。そして、前記支持基板上に、Alターゲット及びNiターゲット並びにスパッタガスとしてArを用い、120℃におけるDCスパッタ法により、膜厚150nmのAlを堆積させた後に、膜厚150nmのNiを堆積させて補助電極の膜を形成した。このときの製膜圧力は0.5Pa、スパッタリングパワーは2.0kWであった。この補助電極の膜の上にレジスト塗布後、110℃で90秒間ベークした後、開口部が設けられた所定のフォトマスクを通して、200mJのエネルギーで露光し、0.5質量%の水酸化カリウム水溶液によって現像後、130℃で110秒間ポストベークした。次いで、エッチング液(朝日化学社製、商品名:アサフィクス)に、45℃、180秒間浸漬し、補助電極のパターニングを行い、最後に2質量%水酸化カリウム水溶液に浸漬することで、レジスト残渣を剥離し、補助電極を形成した。このような補助電極においては、開口部における補助電極の端部が前記支持基板の表面に対して逆テーパー形状となっていた。
次に、補助電極が形成された基板上に第一電極を形成した。すなわち、第一電極材料としてITO焼成ターゲット、スパッタガスとしてArを用い、120℃におけるDCスパッタ法により、膜厚3000nmのITOを堆積させた。このときの製膜圧力は0.25Pa、スパッタリングパワーは0.25kWであった。その後、200℃のオーブンで40分間アニール処理を行った。その後、第一電極が形成された基板を60℃の弱アルカリ性洗剤、冷水、50℃の温水を用いて超音波洗浄し、50℃の温水から引き上げて乾燥した後、20分間UV/O洗浄を行った。
そして、洗浄後の基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(スタルクヴィテック社製、商品名:BaytronP CH8000)の懸濁液を0.45μm径のフィルターでろ過し、さらに0.2μm径のフィルターでろ過して得られた溶液をスピンコートにより80nmの厚みで製膜し、大気雰囲気下において200℃で15分間熱処理し、正孔注入層(すなわち、電荷注入層)を形成した。次いで、合成例1及び2で得られた高分子化合物1及び高分子化合物2を1:1の質量比でトルエンに溶解させ、1質量%の高分子溶液を調製し、調製された溶液を正孔注入層が形成された基板上にスピンコートして80nmの膜厚で製膜し、窒素雰囲気下のホットプレート上において130℃で60分間熱処理し、発光層を形成した。その後、発光層が形成された基板に真空蒸着により、LiF、Ca、Alを順次それぞれ、2nm、5nm、200nmの厚みで蒸着し、第二電極を形成した。なお、真空度が1×10−4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。最後に、不活性ガス中で、第二電極が形成された基板における第二電極の表面をガラス板で覆い、さらに基板の4辺を光硬化性樹脂で覆った後に、光硬化性樹脂を硬化させることで保護層を形成して、有機EL発光素子を作製した。
このようにして得られた有機EL発光素子を図2に示す。すなわち、図2に示す有機EL素子は、支持基板1、補助電極2、第一電極3、電荷注入層4、発光層5、第二電極6、及び保護層7を備えている。そして、電荷注入層4及び発光層5とからなる有機層11が、第一電極3及び第二電極6に挟持されている。また、第一電極3の有機層11と反対側の表面上に補助電極2が形成されている。
(比較例)
支持基板上に膜厚300nmのAlを堆積させた後に、膜厚15nmのNiを堆積させて補助電極の膜を形成した以外は実施例と同様にして比較用の有機EL発光素子を作製した。得られた比較用の有機EL発光素子においては、前記開口部における前記補助電極の端部の表面と前記支持基板の表面とからなる角度が約90°となっていた。
<有機EL発光素子の発光特性の評価>
実施例及び比較例で得られた有機EL発光素子の発光特性を評価した。すなわち、素子全体に10Vの電圧を印加した際の発光輝度を測定し、さらに発光面の様子を目視にて観察した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2008097845
表1に示した結果から明らかなように、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(実施例)においては、比較例で得られた有機エレクトロルミネッセンス素子と比較して発光輝度が1.3倍程度に向上しており、光の取り出し効率の向上していることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、透明電極又は半透明電極の抵抗による電圧低下を軽減して均一に発光させることができると共に、十分な光の取り出し効率を達成することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することが可能となる。
したがって、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置等に用いられる発光素子として有用である。
本発明にかかる補助電極によって層内を伝播する光が外部に取り出される作用機構を説明するための概略断面図である。 実施例において得られた有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構造を示す概略断面図である。
符号の説明
1…支持基板、2…補助電極、3…第一電極、4…電荷注入層、5…発光層、6…第二電極、7…保護層、11…有機層、L…補助電極で反射された反射光。

Claims (9)

  1. 透明な支持基板と、前記支持基板上に配置された透明電極又は半透明電極からなる第一電極と、前記第一電極上に配置された少なくとも1層の有機層と、前記有機層上に配置された第二電極とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記第一電極の少なくとも一方の表面上に配置され、前記第一電極に電気的に接続されており、且つ開口部が設けられた補助電極を備え、
    前記開口部における前記補助電極の端部が前記支持基板の表面に対して逆テーパー形状となっていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記逆テーパー形状が、前記支持基板の表面に対するテーパー角度が100〜170°の範囲となる形状であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記補助電極の端部の表面が粗面化及び/又は曲面化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記補助電極の前記有機層と対面する表面が粗面化及び/又は曲面化されていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記補助電極が、前記第一電極の表面のうち、前記有機層と反対側の表面上に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする面状光源。
  7. 請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とするセグメント表示装置。
  8. 請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とするドットマトリックス表示装置。
  9. 請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする液晶表示装置。
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