以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の実施の形態においては相対応する部分に同じ符号を付して説明することとする。
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。図示した画像形成装置1は、画像読取装置2及び外部機器(パーソナルコンピュータ等)3と通信回線4によって接続された受信部5と、この受信部5で受信した画像データに基づいて画像書込部6を制御する画像記録制御部7と、画像書込部6によって静電潜像が書き込まれるドラム状の像保持体(感光体ドラム)8と、像保持体8の円周方向に沿って配設された帯電器9、現像器10及びクリーナー11と、像保持体8に形成されたトナー画像を用紙に転写するロール形状の転写体(以下、「転写ロール」と記す)12と、用紙に転写されたトナー画像を定着させる定着装置13と、定着装置13でトナー画像の定着がなされた用紙のカールを矯正するカール矯正装置14と、このカール矯正装置14を経由して搬送された用紙を機外に排出する排出ロール対15と、排出ロール対15によって排出された用紙を積載状態で収容する排出トレイ16と、像保持体8及び転写ロール12の対向位置(接触位置)を用紙が通過するように形成された用紙搬送路17と、画像形成に使用される用紙を積載状態で収容する用紙積載トレイ18と、用紙積載トレイ18に積載された用紙を用紙搬送路17に供給する用紙供給ユニット19とを備えた構成となっている。画像読取装置2は、画像形成装置1の一機能部として存在するものであってもよいし、画像形成装置1とは別個の機能部として存在するものであってもよい。
定着装置13は、定着ロール対を構成する2つのロール、すなわち加熱ロール21と加圧ロール22を用いて構成されている。加熱ロール21と加圧ロール22は、互いに所定の圧力で接触する状態に配置されている。また、加熱ロール21と加圧ロール22は、一方のロールを駆動側、他方のロールを従動側として、それぞれ回転可能に設けられている。定着ロール対を構成する加熱ロール21と加圧ロール22は、それらのロール間に用紙を挟み込んで回転することにより、用紙を搬送方向の下流側へと送り出す。
その際、加熱ロール21は用紙の第1面に接触し、加圧ロール22は用紙の第2面に接触するように配置されている。用紙の第1面と第2面は表裏の関係にある。用紙の第1面は、定着装置13よりも用紙搬送方向の上流側に配置された像保持体8と転写ロール12との間を用紙が通過するときに、トナー画像が転写される用紙の面(画像保持面)であり、その反対側の面が用紙の第2面(非画像保持面)である。用紙に対するトナー画像の定着は、加熱ロール21と加圧ロール22の間(接触部)を用紙が通過するときに、加熱ロール21によって用紙に加えられる熱と加圧ロール22によって用紙に加えられる圧力を利用して行なわれる。このため、加熱ロール21と加圧ロール22の接触部は、定着装置13で用紙に画像の定着が行なわれる位置となる。
図2は本発明の第1実施形態に係る画像形成装置におけるカール矯正装置の構成を示す概略図である。カール矯正装置14は、定着装置13の用紙搬送方向下流側に設けられている。用紙搬送方向においては、定着装置13とカール矯正装置14が隣り合う位置関係で配置されている。このため、定着装置13でトナー画像が定着された用紙は、カール矯正装置14に取り込まれる。
カール矯正装置14は、大きくは、一対の用紙搬送案内部材23A,23Bと、第1のエアー吹き付け部24と、第2のエアー吹き付け部25と、制御部26とを用いて構成されている。
一対の用紙搬送案内部材23A,23Bは、定着装置13と排出ロール対15との間に用紙搬送路を形成し、この用紙搬送路に沿って用紙の搬送(進行方向)を案内するものである。一対の用紙搬送案内部材23A,23Bは、所定の隙間(例えば、3mm程度の隙間)を介して対向する状態に配置されている。また、一方(上側)の用紙搬送案内部材23Aは、用紙の第1面に対向する状態で配置され、他方(下側)の用紙搬送案内部材23Bは、用紙の第2面に対向する状態で配置されている。
一対の用紙搬送案内部材23A,23Bによって形成される用紙搬送路は、図示のように用紙搬送方向と直交する方向(ロールの回転軸方向)から見てS字形にカーブしている。このS字形の搬送カーブは、定着装置13から送り出された用紙を一方側と他方側に曲げるために形成されたもので、当該搬送カーブの入口から出口までの間に、本発明における第1の用紙曲げ部と第2の用紙曲げ部を含んでいる。すなわち、搬送カーブの入口に近い上流側のカーブ部分が第1の用紙曲げ部に相当し、搬送カーブの出口に近い下流側のカーブ部分が第2の用紙曲げ部に相当する。また、搬送カーブ(S字カーブ)の曲率半径は、用紙のカールを矯正し得るように、例えば100〜200mmの範囲内で設定されている。
第1のエアー吹き付け部24は、S字形の搬送カーブのうち、下流側のカーブ部分(第1の用紙曲げ部)に沿って搬送される用紙の曲げ部分にエアーを吹き付けるものである。第1のエアー吹き付け部24は、第1のファン27と第1のダクト28とを用いて構成されている。第1のファン27は、エアー流の発生源となるものである。第1のダクト28は、第1のファン27の回転によって発生させたエアー流を、例えば上側の用紙搬送案内部材23Aに設けられた貫通穴(不図示)を通して用紙搬送路へと導くものである。
第2のエアー吹き付け部25は、S字形の搬送カーブのうち、上流側のカーブ部分(第2の用紙曲げ部)に沿って搬送される用紙の曲げ部分にエアーを吹き付けるものである。第2のエアー吹き付け部25は、第2のファン29と第2のダクト30とを用いて構成されている。第2のファン29は、エアー流の発生源となるものである。第2のダクト30は、第2のファン29の回転によって発生させたエアー流を、例えば下側の用紙搬送案内部材23Bに設けられた貫通穴(不図示)を通して用紙搬送路へと導くものである。ちなみに、S字形の搬送カーブにおいては、各々のエアー吹き付け部24,25によって用紙幅の全域にエアーが吹き付けられる構成となっている。
制御部26は、各々のエアー吹き付け部24,25におけるファン27,29の駆動状態を画像形成条件に基づいて制御するものである。画像形成条件としては、例えば、用紙の種類(紙質、サイズ、厚さ、坪量など)、画像の種類(カラー画像、白黒画像、文字画像、イメージ画像など)、画像の濃度、機内の環境(温度、湿度など)、用紙の含水率、画像形成モード(片面モード、両面モードなど)などを適用することが可能である。
続いて、上記構成からなる画像形成装置の動作について説明する。まず、用紙積載トレイ18に収容された用紙を用紙供給ユニット19によって用紙搬送路17に供給し、この用紙搬送路17を通して像保持体8と転写ロール12との間(対向位置)に用紙を送り込むことにより、像保持体8に形成されたトナー画像を転写ロール12によって用紙に転写する。次いで、画像転写済みの用紙を定着装置13に送り込む。定着装置13では、加熱ロール21と加圧ロール22の間を通して用紙を搬送する。その後、カール矯正装置14を経由して用紙を排出ロール対15に送り込み、この排出ロール対15の回転にしたがって用紙を排出トレイ16上に排出する。
その際、カール矯正装置14においては、画像形成条件に基づく制御部26からの駆動命令にしたがって、第1のエアー吹き付け部24と第2のエアー吹き付け部25の駆動状態が次のように制御される。
まず、定着装置13で用紙にトナー画像を定着させるにあたっては、画像形成条件の違いによって用紙に生じるカールの状態(カール量、カール方向)が異なる。このため、制御部26では、予め実験データ等に基づいて設定された画像形成条件とエアー吹き付け駆動条件の対応関係(制御用の対応テーブル)にしたがって、第1のエアー吹き付け部24と第2のエアー吹き付け部25の駆動状態を個別に制御する。
すなわち、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量よりも小さいと判断(事前の実験データ等から想定)される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第1の動作モードとして、図3(A),(B)に示すように、第1のファン27と第2のファン29を共に停止させて、第1のエアー吹き付け部24と第2のエアー吹き付け部25を共にオフ状態とする。
また、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量以上であり、かつカールの方向が図4(A)に示すように上側に凸になると判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第2の動作モードとして、図4(B),(C)に示すように、第1のファン27を停止させて第1のエアー吹き付け部24をオフ状態とする一方、第2のファン29を回転させて第2のエアー吹き付け部25をオン状態とする。なお、カール状態は例えば図26に示すような画像形成条件から判断されるが、これらの条件のうちの一つによるものでも複数の条件を組み合わせて判断されるものでも構わない。
また、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量以上であり、かつカールの方向が図5(A)に示すように下側に凸になると判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第3の動作モードとして、図5(B),(C)に示すように、第1のファン27を回転させて第1のエアー吹き付け部24をオン状態とする一方、第2のファン29を停止させて第2のエアー吹き付け部25をオフ状態とする。
上記第1の動作モードにおいては、一対の用紙搬送案内部材23A,23Bによって形成されるS字形の搬送カーブを通過する用紙Pに対して、第1のエアー吹き付け部24がエアーの吹き付けを行なわず、第2のエアー吹き付け部25もエアーの吹き付けを行なわない。
また、第2の動作モードにおいては、一対の用紙搬送案内部材23A,23Bによって形成されるS字形の搬送カーブを通過する用紙Pに対して、第1のエアー吹き付け部24がエアーの吹き付けを行なわず、第2のエアー吹き付け部25だけがエアーの吹き付けを行なう。
また、第3の動作モードにおいては、一対の用紙搬送案内部材23A,23Bによって形成されるS字形の搬送カーブを通過する用紙Pに対して、第1のエアー吹き付け部24だけがエアーの吹き付けを行ない、第2のエアー吹き付け部25はエアーの吹き付けを行なわない。
このため、3つの動作モードでカールの矯正力を相対的に比較すると、エアーの吹き付けを全く行なわない第1の動作モードよりも、一方のエアー吹き付け部からエアーの吹き付けを行なう第2の動作モードや第3の動作モードの方がカールの矯正力が大きくなる。その理由は、定着装置13から送り出された用紙Pを、例えば上述したS字形の搬送カーブに沿って曲げた状態で、当該用紙Pの曲げ部分にエアーを吹き付けると、用紙Pに含まれる水分の抜け(脱湿)が促進されて、用紙Pの曲げ部分がより強固に癖付けされるためである。また、第2の動作モードと第3の動作モードでは、カールの矯正方向が反対方向になる。したがって、各々のエアー吹き付け部24,25のオンオフを制御部26で制御することにより、カールの矯正力や矯正方向を調整することができる。
また、第2の動作モードにおいては、S字形の搬送カーブに沿って搬送される用紙Pに対して、当該搬送カーブの途中で下側に凸となる状態(カールの方向と反対方向)に曲げられた用紙Pの第2面の曲げ部分に第2のエアー吹き付け部25によってエアーが吹き付けられる。このため、第1の動作モードに比較すると、より強い力(カール矯正力)で用紙Pが下側に凸となるように癖付けされる。
また、第3の動作モードにおいては、S字形の搬送カーブに沿って搬送される用紙Pに対して、当該搬送カーブの途中で上側に凸となる状態(カールの方向と反対方向)に曲げられた用紙Pの第1面の曲げ部分に第1のエアー吹き付け部24によってエアーが吹き付けられる。このため、第1の動作モードに比較すると、より強い力(カール矯正力)で用紙Pが上側に凸となるように癖付けされる。
図6は本発明の第1実施形態に係る画像形成装置におけるカール矯正装置の他の構成を示す概略図である。図示したカール矯正装置14においては、一対の用紙搬送案内部材23A,23Bによって形成される用紙搬送路のカーブを円弧状(U字形)の搬送カーブとし、この搬送カーブの片側にエアー吹き付け部25を設けた構成となっている。搬送カーブは、定着装置13から送り出された用紙を曲げるために形成されたものである。この搬送カーブ(U字カーブ)の曲率半径は、用紙のカールを矯正し得るように、例えば100〜200mmの範囲内で設定されている。エアー吹き付け部25は、搬送カーブに沿って搬送される用紙の曲げ部分にエアーを吹き付けるもので、ファン29とダクト30を用いて構成されている。
かかる構成において、制御部26は、画像形成条件に基づいてエアー吹き付け部25の駆動状態を次のように制御する。すなわち、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量よりも小さいと判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第1の動作モードとして、図7(A),(B)に示すように、ファン29を停止させてエアー吹き付け部25をオフ状態とする。
また、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量以上であり、かつカールの方向が図8(A)に示すように上側に凸になると判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第2の動作モードとして、図8(B),(C)に示すように、ファン29を回転させてエアー吹き付け部25をオン状態とする。
上記第1の動作モードにおいては、一対の用紙搬送案内部材23A,23Bによって形成される円弧状の搬送カーブを通過する用紙Pに対して、エアー吹き付け部25はエアーの吹き付けを行なわない。
また、第2の動作モードにおいては、一対の用紙搬送案内部材23A,23Bによって形成される円弧状の搬送カーブを通過する用紙Pに対して、エアー吹き付け部25がエアーの吹き付けを行なう。
このため、2つの動作モードでカールの矯正力を相対的に比較すると、エアーの吹き付けを行なわない第1の動作モードよりも、エアーの吹き付けを行なう第2の動作モードの方がカールの矯正力が大きくなる。したがって、エアー吹き付け部25のオンオフを制御部26で制御することにより、カールの矯正力を調整することができる。
また、第2の動作モードにおいては、円弧状の搬送カーブに沿って搬送される用紙Pに対して、当該搬送カーブの途中で下側に凸となる状態(カールの方向と反対方向)に曲げられた用紙Pの第2面の曲げ部分にエアー吹き付け部25によってエアーが吹き付けられる。このため、第1の動作モードに比較すると、より強い力(カール矯正力)で用紙Pが上側に凸となるように癖付けされる。
[第2実施形態]
図9は本発明の第2実施形態に係る画像形成装置におけるカール矯正装置の構成を示す概略図である。カール矯正装置14は、大きくは、カール矯正ロール対31,32と、エアー吹き付け部33と、制御部34とを用いて構成されている。また、一対の用紙搬送案内部材23A,23Bは、定着装置13とカール矯正装置14との間に真っ直ぐ(ストレート)に用紙搬送路を形成している。
カール矯正ロール対31,32は、上述した排出ロール対15に代えて設けられたものである。ただし、排出ロール対15とは別個で、定着装置13と排出ロール対15との間にカール矯正ロール対31,32を設けるようにしてもよい。カール矯正ロール対31,32は、例えば、一方のロール31を駆動側、他方のロール32を従動側として回転可能に設けられている。カール矯正装置14では、定着装置13から加熱ロール21と加圧ロール22の回転によって送り出された用紙Pをカール矯正ロール対31,32の間に挟み込んだ状態で、各々のロール31,32が回転することにより、画像定着済みの用紙Pを排出トレイ16に向けて送り出す。その際、ロール31とロール32は互いに反対方向に回転する。また、ロール31は用紙Pの第1面に接触し、ロール32は用紙Pの第2面に接触する。
カール矯正ロール対31,32を構成する2つのロールのうち、一方のロール31は剛体ロールで構成され、他方のロール32は弾性体ロールで構成されている。このため、ロール31は相対的に硬質のロールで、ロール32は相対的に軟質のロールとなっている。剛体ロールとしては、例えば断面が円形の金属製のロール(シャフト)を用いることができる。弾性体ロールとしては、例えば断面がドーナツ型のゴム製のロールを用いることができる。ロール31の外径はロール32の外径よりも小さく設定されている。また、ロール31の外周面はロール32の外周面に押し付けられ、これによって相対的に軟らかいロール32の外周面がロール31の外周面に倣って部分的に凹んだ状態になっている。このため、カール矯正ロール対31,32の接触部分では、そこを通過する用紙がロール31の外周面に倣って下側に凸となるように曲げられる。つまり、本発明の第2実施形態では、用紙曲げ手段として、カール矯正ロール対31,32を用いている。ロール32は、図10(A)に示すように、ロール31と平行に配置された回転軸35に所定の間隔で複数設けられている。回転軸35は、ロール32と一体に回転するもので、用紙搬送方向と直交する向きで配置されている。
エアー吹き付け部33は、カール矯正ロール対31,32の間(接触部分)を搬送中の用紙Pの曲げ部分にエアーを吹き付けるものである。エアー吹き付け部33は、ファン36とダクト37とを用いて構成されている。ファン36は、エアー流の発生源となるものである。ダクト37は、図10(B)に示すように、ファン36の回転によって発生させたエアー流を、回転軸35を迂回するかたちでカール矯正ロール対31,32の接触部分を通過する用紙へと導くものである。エアー吹き付け部33は、用紙搬送方向と直交する方向(ロール回転軸方向)に複数設けられている。また、エアー吹き付け部33は、回転軸35上で隣り合うロール32とロール32の間に1つずつ設けられている。
制御部34は、エアー吹き付け部33におけるファン36の駆動状態を、上記第1実施形態で例示した画像形成条件に基づいて制御するものである。すなわち、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量よりも小さいと判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第1の動作モードとして、図11(A)〜(C)に示すように、ファン36を停止させてエアー吹き付け部33をオフ状態とする。
また、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量以上であり、かつカールの方向が図12(A)に示すように上側に凸になると判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第2の動作モードとして、図12(B),(C)に示すように、ファン36を回転させてエアー吹き付け部33をオン状態とする。
上記第1の動作モードにおいては、カール矯正ロール対31,32の間を通過する用紙Pに対して、エアー吹き付け部33はエアーの吹き付けを行なわない。また、第2の動作モードにおいては、カール矯正ロール対31,32の間を通過する用紙Pに対して、エアー吹き付け部33がエアーの吹き付けを行なう。
このため、2つの動作モードでカールの矯正力を相対的に比較すると、エアーの吹き付けを行なわない第1の動作モードよりも、エアーの吹き付けを行なう第2の動作モードの方がカールの矯正力が大きくなる。したがって、エアー吹き付け部33のオンオフを制御部34で制御することにより、カールの矯正力を調整することができる。
また、第2の動作モードにおいては、カール矯正ロール対31,32の間を通過する用紙Pに対して、当該カール矯正ロール対31,32の接触部分で下側に凸となる状態(カールの方向と反対方向)に曲げられた用紙Pの第2面の曲げ部分にエアー吹き付け部33によってエアーが吹き付けられる。このため、第1の動作モードに比較すると、より強い力(カール矯正力)で用紙Pが下側に凸となるように癖付けされる。
したがって、例えば、ある画像形成条件で画像形成装置を動作させるときに、カール矯正ロール対31,32の間を通過させるだけでは用紙Pのカールを十分に矯正できない場合でも、制御部34が第2の動作モードを適用してエアー吹き付け部33をオンすることにより、用紙Pのカールを適切に矯正することが可能となる。
図13は本発明の第2実施形態に係る画像形成装置におけるカール矯正装置の他の構成を示す概略図である。図示したカール矯正装置14においては、用紙搬送方向に隣り合わせて、第1のカール矯正ロール対31,32と第2のカール矯正ロール対38,39が設けられている。第1のカール矯正ロール対31,32は、一方のロール31を剛体ロール、他方のロール32をそれよりも外径の大きい弾性体ロールとして、上側のロール31を下側のロール32に押し付けた構成となっている。第2のカール矯正ロール対38,39は、一方のロール38を剛体ロール、他方のロール39をそれよりも外径の大きい弾性体ロールとして、下側のロール38を上側のロール39に押し付けた構成となっている。このため、第1のカール矯正ロール対31,32の間を通過する用紙は、ロール31の外周面に倣って下側に凸となるように曲げられ、第2のカール矯正ロール対38,39の間を通過する用紙は、ロール38の外周面に倣って上側に凸となるように曲げられる。このため、第1のカール矯正ロール対31,32は第1の用紙曲げ部に相当し、第2のカール矯正ロール対38,39は第2の用紙曲げ部に相当するものとなっている。
また、第1のカール矯正ロール対31,32に対応して第1のエアー吹き付け部33が設けられるとともに、第2のカール矯正ロール対38,39に対応して第2のエアー吹き付け部40が設けられている。第1のエアー吹き付け部33は、第1のカール矯正ロール対31,32の間(接触部分)を搬送中の用紙Pの曲げ部分にエアーを吹き付けるもので、第1のファン36と第1のダクト37とを用いて構成されている。第2のエアー吹き付け部40は、第2のカール矯正ロール対38,39の間(接触部分)を搬送中の用紙Pの曲げ部にエアーを吹き付けるもので、第2のファン41と第2のダクト42とを用いて構成されている。
制御部34は、各々のエアー吹き付け部33,40におけるファン36,41の駆動状態を画像形成条件に基づいて制御するものである。すなわち、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量よりも小さいと判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第1の動作モードとして、図14(A),(B)に示すように、第1のファン36と第2のファン41を共に停止させて、第1のエアー吹き付け部33と第2のエアー吹き付け部40を共にオフ状態とする。
また、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量以上であり、かつカールの方向が図15(A)に示すように下側に凸になると判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第2の動作モードとして、図15(B),(C)に示すように、第1のファン36を停止させて第1のエアー吹き付け部33をオフ状態とする一方、第2のファン41を回転させて第2のエアー吹き付け部40をオン状態とする。
また、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量以上であり、かつカールの方向が図16(A)に示すように上側に凸になると判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第3の動作モードとして、図16(B),(C)に示すように、第1のファン36を回転させて第1のエアー吹き付け部33をオン状態とする一方、第2のファン41を停止させて第2のエアー吹き付け部40をオフ状態とする。
上記第1の動作モードにおいては、第1のカール矯正ロール対31,32の間を通過する用紙Pに対して、第1のエアー吹き付け部33はエアーの吹き付けを行なわない。また、第2のカール矯正ロール対38,39の間を通過する用紙Pに対して、第2のエアー吹き付け部40もエアーの吹き付けを行なわない。
また、第2の動作モードにおいては、第1のカール矯正ロール対31,32の間を通過する用紙Pに対して、第1のエアー吹き付け部33はエアーの吹き付けを行なわない。また、第2のカール矯正ロール対38,39の間を通過する用紙Pに対して、第2のエアー吹き付け部40はエアーの吹き付けを行なう。
また、第3の動作モードにおいては、第1のカール矯正ロール対31,32の間を通過する用紙Pに対して、第1のエアー吹き付け部33はエアーの吹き付けを行なう。また、第2のカール矯正ロール対38,39の間を通過する用紙Pに対して、第2のエアー吹き付け部40はエアーの吹き付けを行なわない。
このため、3つの動作モードでカールの矯正力を相対的に比較すると、エアーの吹き付けを全く行なわない第1の動作モードよりも、一方のエアー吹き付け部からエアーの吹き付けを行なう第2の動作モードや第3の動作モードの方がカールの矯正力が大きくなる。また、第2の動作モードと第3の動作モードでは、カールの矯正方向が反対方向になる。したがって、各々のエアー吹き付け部33,40のオンオフを制御部34で制御することにより、カールの矯正力や矯正方向を調整することができる。
また、第2の動作モードにおいては、第2のカール矯正ロール対38,39の接触部分で上側に凸となる状態(カールの方向と反対方向)に曲げられた用紙Pの第1面の曲げ部分に第2のエアー吹き付け部40によってエアーが吹き付けられる。このため、第1の動作モードに比較すると、より強い力(カール矯正力)で用紙Pが上側に凸となるように癖付けされる。
また、第3の動作モードにおいては、第1のカール矯正ロール対31,32の接触部分で下側に凸となる状態(カールの方向と反対方向)に曲げられた用紙Pの第2面の曲げ部分に第1のエアー吹き付け部33によってエアーが吹き付けられる。このため、第1の動作モードに比較すると、より強い力(カール矯正力)で用紙Pが下側に凸となるように癖付けされる。
[第3実施形態]
図17は本発明の第3実施形態に係る画像形成装置におけるカール矯正装置の構成を示す概略図である。カール矯正装置14は、大きくは、搬送ロール対43,44と、エアー吹き付け部45と、制御部46とを用いて構成されている。また、一対の用紙搬送案内部材23A,23Bは、定着装置13とカール矯正装置14との間に真っ直ぐ(ストレート)に用紙搬送路を形成している。
搬送ロール対43,44は、上述した排出ロール対15やカール矯正ロール対31,32に代えて設けられたものである。搬送ロール対43,44は、例えば、一方のロール43を駆動側、他方のロール44を従動側として回転可能に設けられている。各々のロール43,44は、互いに外径が等しい弾性体ロールで構成されている。また、各々のロール43,44は、互いに所定の圧力で接触する状態に配置されている。
一方のロール43の回転中心と他方のロール44の回転中心は、用紙搬送方向で相対的に位置がずれている。すなわち、一方のロール43の回転中心は、他方のロール44の回転中心よりも用紙搬送方向で上流寄りに配置されている。このため、定着装置13から一対の用紙搬送案内部材23A,23Bを通して水平方向に搬送される用紙Pに対して、一方のロール43の回転中心と他方のロール44の回転中心を結ぶ仮想軸Fは、水平方向(水平軸)に対して斜めに傾いた状態で配置される。このため、搬送ロール43,44の間を通して搬送される用紙は、当該搬送ロール対43,44の上流側の近傍で下側に凸となるように曲げられる。つまり、本発明の第3実施形態では、用紙曲げ手段として、搬送ロール対43,44を用いている。
カール矯正装置14では、定着装置13から加熱ロール21と加圧ロール22の回転によって送り出された用紙Pを搬送ロール対43,44の間に挟み込んだ状態で、各々のロール43,44が回転することにより、画像定着済みの用紙Pを排出トレイ16に向けて送り出す。その際、ロール43とロール44は互いに反対方向に回転する。また、ロール43は用紙Pの第1面に接触し、ロール44は用紙Pの第2面に接触する。
エアー吹き付け部45は、搬送ロール対43,44の間(接触部分)を搬送中の用紙Pの曲げ部分にエアーを吹き付けるものである。エアー吹き付け部45は、ファン47とダクト48とを用いて構成されている。ファン47は、エアー流の発生源となるものである。ダクト48は、ファン37の回転によって発生させたエアー流を、例えば下側の用紙搬送案内部材23Bに設けられた貫通穴(不図示)を通して搬送ロール対43,44の接触部分へと導くものである。エアー吹き付け部45によるエアーの吹き付け方向は、搬送ロール対43,44の上流側から斜め方向に向かって設定されている。
制御部46は、エアー吹き付け部45におけるファン47の駆動状態を画像形成条件に基づいて制御するものである。すなわち、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量よりも小さいと判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第1の動作モードとして、図18(A),(B)に示すように、ファン47を停止させてエアー吹き付け部45をオフ状態とする。
また、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量以上であり、かつカールの方向が図19(A)に示すように上側に凸になると判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第2の動作モードとして、図19(B),(C)に示すように、ファン47を回転させてエアー吹き付け部45をオン状態とする。
上記第1の動作モードにおいては、搬送ロール対43,44の間を通過する用紙Pに対して、エアー吹き付け部45はエアーの吹き付けを行なわない。また、第2の動作モードにおいては、搬送ロール対43,44の間を通過する用紙Pに対して、エアー吹き付け部45がエアーの吹き付けを行なう。
このため、2つの動作モードでカールの矯正力を相対的に比較すると、エアーの吹き付けを行なわない第1の動作モードよりも、エアーの吹き付けを行なう第2の動作モードの方がカールの矯正力が大きくなる。したがって、エアー吹き付け部45のオンオフを制御部46で制御することにより、カールの矯正力を調整することができる。
また、第2の動作モードにおいては、搬送ロール対43,44の間を通過する用紙Pに対して、当該カール矯正ロール対43,44の接触部分で下側に凸となる状態(カールの方向と反対方向)に曲げられた用紙Pの第2面の曲げ部分にエアー吹き付け部45によってエアーが吹き付けられる。このため、第1の動作モードに比較すると、より強い力(カール矯正力)で用紙Pが下側に凸となるように癖付けされる。
図20は本発明の第3実施形態に係る画像形成装置におけるカール矯正装置の他の構成を示す概略図である。図示したカール矯正装置14においては、定着装置13と排出ロール対15との間に搬送ロール対43,44が設けられている。また、定着装置13と搬送ロール対43,44との間には一対の用紙搬送案内部材23A,23Bが設けられ、搬送ロール対43,44と排出ロール対15との間には一対の用紙搬送案内部材49A,49Bが設けられている。一対の用紙搬送案内部材49A,49Bは、搬送ロール対43,44と排出ロール対15との間に用紙搬送路を形成し、この用紙搬送路に沿って用紙の搬送を案内するものである。搬送ロール対43,44を構成する2つのロールの回転中心は、上述したように用紙搬送方向で相対的に位置がずれている。このため、搬送ロール対43,44から排出ロール対15へと用紙を搬送する場合、搬送ロール対43,44の上流側では用紙が下側に凸となるように曲げられ、搬送ロール対43,44の下流側では用紙が上側に凸となるように曲げられる。このことから、搬送ロール対43,44は、第1の用紙曲げ部と第2の用紙曲げ部を構成するものとなっている。
また、搬送ロール対43,44を間に挟んで、搬送ロール対43,44の上流側には第1のエアー吹き付け部45が設けられ、搬送ロール対43,44の下流側には第2のエアー吹き付け部50が設けられている。第1のエアー吹き付け部45は、第1のファン47と第1のダクト48とを用いて構成されている。第1のファン47は、エアー流の発生源となるものである。第1のダクト48は、第1のファン37の回転によって発生させたエアー流を、例えば下側の用紙搬送案内部材23Bに設けられた貫通穴(不図示)を通して搬送ロール対43,44の接触部分へと導くものである。第1のエアー吹き付け部45は、搬送ロール対43,44の間(接触部分)を搬送中の用紙Pにエアーを吹き付けるもので、その吹き付け方向は、搬送ロール対43,44の上流側から斜め上方に向かって設定されている。このため、第1のエアー吹き付け部45は、搬送ロール対43,44によって下側に凸となるように曲げられた用紙の曲げ部分にエアーを吹き付けるものとなる。
第2のエアー吹き付け部50は、第1のファン51と第2のダクト52とを用いて構成されている。第2のファン51は、エアー流の発生源となるものである。第2のダクト52は、第2のファン51の回転によって発生させたエアー流を、例えば上側の用紙搬送案内部材49Aに設けられた貫通穴(不図示)を通して搬送ロール対43,44の接触部分へと導くものである。第2のエアー吹き付け部50は、搬送ロール対43,44の間(接触部分)を搬送中の用紙Pにエアーを吹き付けるもので、その吹き付け方向は、搬送ロール対43,44の下流側から斜め下方に向かって設定されている。このため、第2のエアー吹き付け部50は、搬送ロール対43,44によって上側に凸となるように曲げられた用紙の曲げ部分にエアーを吹き付けるものとなる。
制御部46は、各々のエアー吹き付け部45,50におけるファン47,51の駆動状態を画像形成条件に基づいて制御するものである。すなわち、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量よりも小さいと判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第1の動作モードとして、図21(A),(B)に示すように、第1のファン47と第2のファン51を共に停止させて、第1のエアー吹き付け部45と第2のエアー吹き付け部50を共にオフ状態とする。
また、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量以上であり、かつカールの方向が図22(A)に示すように下側に凸になると判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第2の動作モードとして、図22(B),(C)に示すように、第1のファン47を停止させて第1のエアー吹き付け部45をオフ状態とする一方、第2のファン51を回転させて第2のエアー吹き付け部50をオン状態とする。
また、画像定着時に用紙に生じるカール量が所定量以上であり、かつカールの方向が図23(A)に示すように上側に凸になると判断される画像形成条件で画像形成装置が動作している場合は、第3の動作モードとして、図23(B),(C)に示すように、第1のファン47を回転させて第1のエアー吹き付け部45をオン状態とする一方、第2のファン51を停止させて第2のエアー吹き付け部50をオフ状態とする。
上記第1の動作モードにおいては、搬送ロール対43,44の間を通過する用紙Pに対して、第1のエアー吹き付け部45はエアーの吹き付けを行なわず、第2のエアー吹き付け部50もエアーの吹き付けを行なわない。
また、第2の動作モードにおいては、搬送ロール対43,44の間を通過する用紙Pに対して、第1のエアー吹き付け部45はエアーの吹き付けを行なわず、第2のエアー吹き付け部50はエアーの吹き付けを行なう。
また、第3の動作モードにおいては、搬送ロール対43,44の間を通過する用紙Pに対して、第1のエアー吹き付け部45はエアーの吹き付けを行ない、第2のエアー吹き付け部50はエアーの吹き付けを行なわない。
このため、3つの動作モードでカールの矯正力を相対的に比較すると、エアーの吹き付けを行なわない第1の動作モードよりも、一方のエアー吹き付け部からエアーの吹き付けを行なう第2の動作モードや第3の動作モードの方がカールの矯正力が大きくなる。また、第2の動作モードと第3の動作モードでは、カールの矯正方向が反対方向になる。したがって、各々のエアー吹き付け部45,50のオンオフを制御部46で制御することにより、カールの矯正力や矯正方向を調整することができる。
また、第2の動作モードにおいては、搬送ロール対43,44の接触部近傍で上側に凸となる状態(カールの方向と反対方向)に曲げられた用紙Pの第1面の曲げ部分に第2のエアー吹き付け部50によってエアーが吹き付けられる。このため、第1の動作モードに比較すると、より強い力(カール矯正力)で用紙Pが上側に凸となるように癖付けされる。
また、第3の動作モードにおいては、搬送ロール対43,44の接触部近傍で下側に凸となる状態(カールの方向と反対方向)に曲げられた用紙Pの第2面の曲げ部分に第1のエアー吹き付け部45によってエアーが吹き付けられる。このため、第1の動作モードに比較すると、より強い力(カール矯正力)で用紙Pが下側に凸となるように癖付けされる。
なお、上記実施形態においては、画像形成条件に基づくエアー吹き付け手段の駆動状態として、エアー吹き付け手段のオンオフを制御手段で制御するものとしたが、本発明はこれに限らず、エアー吹き付け手段のオンオフの制御に加えて、例えば、エアー流の発生源となるファンの回転速度を制御パラメータとして、エアー吹き付け手段のエアー吹き付け強度を複数段階(例えば強、中、弱の3段階)に切り替え制御することにより、カール矯正力を調整してもよい。
1…画像形成装置、13…定着装置、14…カール矯正装置、23A,23B,49A,49B…用紙搬送案内部材、24,25,33,40,45,50…エアー吹き付け部、26,34,46…制御部、27,29,36,41,47,51…ファン、28,30,37,42,48,52…ダクト、31,32…カール矯正ロール対、38,39…カール矯正ロール対、43,44…搬送ロール対