JP2008095113A - フェノール性水酸基を有するポリイミド樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フェノール性水酸基のないジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを溶媒中で反応させて、末端に酸無水物基を有するアミック酸オリゴマーの溶液を調製し、脱水閉環して酸無水物末端のイミドオリゴマーを調製し、次いでフェノール性水酸基を有するジアミン中に滴下、反応させることを特徴とする、下記構造式(1)及び(2)で示される繰り返し単位を有し、ジアミンとしてアミノ基が結合した芳香族環とは異なる芳香族環にフェノール性水酸基を有するジアミンを用いて製造された、骨格中にフェノール性水酸基を有するポリイミド樹脂の製造方法。
[Xは4価の有機基、Yはフェノール性水酸基を有するジアミン残基Y1と芳香族ジアミン残基Y2とからなる2価の有機基、Zはシロキサンジアミン残基]
【選択図】なし
Description
H2N−Y1−NH2 (4)
H2N−Y2−NH2 (5)
H2N−Z−NH2 (6)
で示されるジアミン(但し、式(4)、(5)、(6)の各ジアミンの使用量をそれぞれy1モル、y2モル、zモルとした場合、y1/(y1+y2)が0.01〜1であり、(y1+y2)/(y1+y2+z)が0.1〜0.99の比率を有する)とを、先に式(6)又は式(5)及び(6)で示されるフェノール性水酸基のないジアミンと式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物あるいはこの前駆体であるテトラカルボン酸又はそのエステル誘導体とを溶媒中で反応させて末端に酸無水物基を有するアミック酸オリゴマーの溶液を調製し、該アミック酸オリゴマーを脱水閉環して酸無水物末端のイミドオリゴマーを調製し、次いで式(4)で示されるフェノール性水酸基を有するジアミン中に該イミドオリゴマーの溶液を反応溶液中の式(4)のジアミンのアミノ基Pと式(3)のテトラカルボン酸二無水物あるいはこの前駆体であるテトラカルボン酸又はそのエステル誘導体由来の酸無水物残基(あるいは2当量のカルボン酸基又はエステル基)Qとの割合がP/Q>1のモル比となるように滴下、反応させる(但し、上記式中、X,Y1,Y2,Zは下記の通りの意味を示す)ことを特徴とする下記構造式(1)及び(2)で示される繰り返し単位を有し、ジアミンとしてアミノ基が結合した芳香族環とは異なる芳香族環にフェノール性水酸基を有するジアミンを用いて製造された、骨格中にフェノール性水酸基を有するポリイミド樹脂の製造方法を提供する。
本発明のポリイミド樹脂は、下記構造式(1)及び(2)で示される繰り返し単位を有し、ジアミンとしてアミノ基が結合した芳香族環とは異なる芳香族環にフェノール性水酸基を有するジアミンを用いて製造された、骨格中にフェノール性水酸基を有するものである。
H2N−Y1−NH2 (4)
H2N−Y2−NH2 (5)
H2N−Z−NH2 (6)
で示されるジアミンとを反応させることにより得ることができる。但し、式(4)、(5)、(6)の各ジアミンの使用量をそれぞれy1モル、y2モル、zモルとした場合、その比率は、y1/(y1+y2)が0.01〜1であり、(y1+y2)/(y1+y2+z)が0.1〜0.99であり、またX,Y1(式[II]),Y2(群[III]),Zは上記した意味を示す。
で示されるもので、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,2,2−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノブチル)−1,1,2,2−テトラメチルジシロキサン、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)テトラメチルジシロキサン等が挙げられ、本発明のポリイミドに使用される式(6)のジアミノシロキサン成分は、ポリイミドを構成する全モノマー成分に対して1〜50モル%が好ましく、より好ましくはポリイミドを構成する全モノマー成分の2〜40モル%である。ジアミノシロキサン成分が1モル%未満では可撓性の付与効果に乏しく、50モル%を超えると透湿性が上昇して、耐熱性の低下が認められるため好ましくない。
環流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、分子鎖両末端がγ−アミノプロピルジメチルシロキシ基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン:KF−8010(信越化学工業(株)製)44.03部、反応溶媒としてシクロヘキサノン100部を仕込み、80℃で撹拌し、ジアミンを分散させた。酸無水物として6FDA(2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)38.72部とシクロヘキサノン100部の溶液を滴下して80℃で8時間撹拌反応を行うことにより、酸無水物リッチのアミック酸オリゴマーを合成した。
環流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、分子鎖両末端がγ−アミノプロピルジメチルシロキシ基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン:KF−8010(信越化学工業(株)製)44.03部、反応溶媒としてシクロヘキサノン100部を仕込み、80℃で撹拌し、ジアミンを分散させた。酸無水物として6FDA(2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)38.72部とシクロヘキサノン100部の溶液を滴下して80℃で8時間撹拌反応を行うことにより、酸無水物リッチのアミック酸オリゴマーを合成した。
環流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、上記に示すフェノール性水酸基を有する芳香族ジアミン(ジアミン−1)17.25部、分子鎖両末端がγ−アミノプロピルジメチルシロキシ基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン:KF−8010(信越化学工業(株)製)44.03部、反応溶媒としてシクロヘキサノン200部を仕込み、80℃で撹拌し、ジアミンを分散させた。そして、酸無水物として6FDA(2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)38.72部とシクロヘキサノン100部の溶液を滴下して80℃で8時間撹拌反応を行ったところ、ゲル化物が生成した。その後、トルエン25mlを投入してから温度を上げ、約160℃で2時間環流させた。水分定量受器に水がたまっていること、水の流出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器にたまっている流出液を除去しながら、160℃でトルエンを完全に除去した。反応終了後、骨格中にフェノール性の水酸基を有するポリイミド樹脂の400部のシクロヘキサノン溶液を得た。得られた溶液の溶媒を留去後、減圧乾燥してポリイミド樹脂を得た。
表1に示すような配合量で各種ジアミン(分子鎖両末端がγ−アミノプロピルジメチルシロキシ基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン:KF−8010(信越化学工業(株)製)、芳香族ジアミン:BAPP(2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン)の両方もしくはどちらか一方をシクロヘキサノン200部に溶解させた以外は参考合成例1に準じて、最初フェノール性の水酸基のないジアミンと酸無水物とでポリアミック酸を合成し(比較合成例7)、更にこれをフェノール性水酸基を有するジアミン(ジアミン成分として参考合成例4,5はジアミン−1、比較合成例6はフェノール性水酸基とアミノ基が同一の芳香族環に結合した芳香族ジアミン:HAB4,4’−(3,3’−ジヒドロキシ)ジアミノビフェニルを使用)の溶液中に滴下してフェノール性水酸基を有するポリアミック酸を合成し、参考合成例1と同様にしてポリイミド樹脂のシクロヘキサノン溶液を得た。
環流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、分子鎖両末端がγ−アミノプロピルジメチルシロキシ基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン:KF−8010(信越化学工業(株)製)42.95部、反応溶媒としてシクロヘキサノン100部を仕込み、80℃で撹拌し、ジアミンを分散させた。酸無水物として6FDA(2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)37.78部とシクロヘキサノン100部の溶液を滴下して80℃で8時間撹拌反応を行うことにより、酸無水物リッチのアミック酸オリゴマーを合成した。
環流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、ジアミノシロキサン:KF−8010(信越化学工業(株)製)44.00部、反応溶媒としてシクロヘキサノン100部を仕込み、80℃で撹拌し、ジアミンを分散させた。酸無水物として6FDA(2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)38.70部とシクロヘキサノン100部の溶液を滴下して80℃で8時間撹拌反応を行うことにより、酸無水物リッチのアミック酸オリゴマーを合成した。
環流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、ジアミノシロキサン:KF−8010(信越化学工業(株)製)43.07部、反応溶媒としてシクロヘキサノン100部を仕込み、80℃で撹拌し、ジアミンを分散させた。酸無水物として6FDA(2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)37.88部とシクロヘキサノン100部の溶液を滴下して80℃で8時間撹拌反応を行うことにより、酸無水物リッチのアミック酸オリゴマーを合成した。
[ポリイミド試験片作製方法]
本発明のポリイミド試験片は、次のようにして作製した。まず、有機性セパレータや金属箔等の支持体を準備した。上記合成例、参考合成例、比較合成例で得られたポリイミド耐熱樹脂のシクロヘキサノン溶液を作製し、その溶液を乾燥後の膜厚が50μmになるように、上記支持体の上にキャスティング法等により塗工した。これを80℃で30分間乾燥した。得られた試験片フィルムを有機性セパレータや金属箔等の支持体上から剥がして、ステンレス枠に固定し、175℃で1時間熱処理し、乾燥硬化させた。その後、上記支持体を剥離、エッチング等により除去することにより目的とするポリイミド耐熱樹脂フィルムを得た。
合成例、参考合成例、比較合成例で得られた耐熱樹脂組成物のシクロヘキサノン溶液を用い、前述の試験片作製方法により作製した。作製した試験片をステンレス枠に固定し、175℃で1時間熱処理し、乾燥硬化させた。20mm×5mm×50μmの試験片に関してガラス転移点を測定した。測定には熱機械特性の測定装置のTMA−2000(アルバック理工製)を用い、引張りモード、チャック間距離15mm、測定温度25〜300℃、昇温速度10℃/分、測定荷重10gの条件でガラス転移点を測定した。
合成例、参考合成例、比較合成例で得られた耐熱樹脂組成物のシクロヘキサノン溶液を用い、前述の試験片作製方法により作製した。作製した試験片をステンレス枠に固定し、175℃で1時間熱処理し、乾燥硬化させた。20mm×5mm×50μmの試験片に関して動的粘弾性率を測定した。測定には動的粘弾性測定装置を用い、引張りモード、チャック間距離15mm、測定温度20〜300℃、昇温速度5℃/分、測定周波数30Hzの条件で、25℃におけるヤング率を測定した。
参考合成例1で得られたポリイミドのシクロヘキサノン溶液20部に、表2に示されるように、62.93部のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂:EOCN1020(日本化薬社製、220g/Eq)、31.07部のフェノールノボラック:TD2131(大日本インキ(株)製、110g/Eq)、1部の3級リン系触媒:TPP(北興化学社製)と固形物重量%が25%となるように295.00部のシクロヘキサノンを添加後に撹拌し、耐熱樹脂組成物を得た。次に以下に示すような方法で、ガラス転移点、ヤング率、銅ポリイミド接着強度、5%重量減少温度を測定した。結果を表2に併記する。
合成例、参考合成例1、2、4、5、8、9、10で得られたポリイミドのシクロヘキサノン溶液に表2記載の配合比となるような配合比でオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂:EOCN1020、フェノールノボラック樹脂:TD2131、3級リン系硬化触媒、シクロヘキサノンを添加後に撹拌してポリイミド樹脂組成物を得て同様の実験に供した。結果を表2に併記する。
比較合成例3、6、7で得られたポリイミドのシクロヘキサノン溶液に表3記載の配合比となるような配合比でオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂:EOCN1020、フェノールノボラック樹脂:TD2131、3級リン系硬化触媒、シクロヘキサノンを添加後に撹拌して耐熱樹脂組成物を得て同様の実験に供した。結果を表3に併記する。
本発明のポリイミド樹脂組成物試験片は、次のようにして作製した。まず、有機性セパレータや金属箔等の支持体を準備した。参考例1〜9、比較例1〜7で得られたポリイミド樹脂組成物試験片のシクロヘキサノン溶液を作製し、その溶液を乾燥後の膜厚が50μmになるように、上記支持体の上にキャスティング法等により塗工した。これを80℃で30分間乾燥した。得られた接着フィルムを有機性セパレータや金属箔等の支持体上から剥がして、ステンレス枠に固定し、175℃で1時間熱処理し、乾燥硬化させた。その後、上記支持体を剥離、エッチング等により除去することにより、目的とするポリイミド樹脂組成物試験片を得た。
参考例1〜9、比較例1〜7で得られたポリイミド樹脂組成物試験片を前述の方法で作製した。得られたポリイミド樹脂組成物試験片をステンレス枠に固定し、175℃で1時間熱処理し、硬化させた。20mm×5mm×50μmの試験片に関してガラス転移点を測定した。測定には熱機械特性の測定装置のTMA−2000(アルバック理工製)を用い、引張りモード、チャック間距離15mm、測定温度25〜300℃、昇温速度10℃/分、測定荷重10gの条件でガラス転移点を測定した。
参考例1〜9、比較例1〜7で得られたポリイミド樹脂組成物試験片を前述の方法で作製した。得られたポリイミド樹脂組成物試験片をステンレス枠に固定し、175℃で1時間熱処理し、硬化させた。20mm×5mm×50μmの試験片に関して動的粘弾性率を測定した。測定には動的粘弾性測定装置を用い、引張りモード、チャック間距離15mm、測定温度20〜300℃、昇温速度5℃/分、測定周波数30Hzの条件で、25℃におけるヤング率を測定した。
参考例1〜9、比較例1〜7で得られたポリイミド樹脂組成物ワニスを5mm×5mmの大きさで穴をあけた180μm厚みのテフロン(登録商標)フィルムを貼り付けた18mm×18mmの42アロイ板上に塗布した。これを気流中で80℃で30分間乾燥し、溶剤を除去した。以下の実験において凸版印刷社製KAKU−42 42アロイを試験片として用いた。前述のポリイミド樹脂組成物を塗布した42アロイ試験片の間に挟んで、150℃,6kgf/cm2,1分間で圧着した。この圧着した積層体を80℃で1時間、150℃で1時間、200℃で1時間、窒素気流中、加熱処理してポリイミド樹脂組成物層を硬化させ、接着用試験片を製造した。その後、島津社製のオートグラフ引張り試験機を用いて、速度2.0mm/分で剪断接着力を測定した。
参考例1〜9、比較例1〜7で得られたポリイミド樹脂組成物ワニスを5mm×5mmの大きさで穴をあけた180μm厚みのテフロン(登録商標)フィルムを貼り付けた18mm×18mmの42アロイ板上に塗布した。これを気流中で80℃で30分間乾燥し、溶剤を除去した。以下の実験において、凸版印刷社製KAKU−42 42アロイを試験片として用いた。前述のポリイミド樹脂組成物を塗布した42アロイ試験片の間に挟んで、150℃,6kgf/cm2,1分間で圧着した。この圧着した積層体を80℃で1時間、150℃で1時間、200℃で1時間、窒素気流中、加熱処理してポリイミド樹脂組成物層を硬化させ、接着用試験片を製造した。前述の試験片をPCT条件下で24時間保持した後、島津社製のオートグラフ引張り試験機を用いて、速度2.0mm/分で剪断接着力を測定した。
Claims (1)
- 下記一般式(3)
H2N−Y1−NH2 (4)
H2N−Y2−NH2 (5)
H2N−Z−NH2 (6)
で示されるジアミン(但し、式(4)、(5)、(6)の各ジアミンの使用量をそれぞれy1モル、y2モル、zモルとした場合、y1/(y1+y2)が0.01〜1であり、(y1+y2)/(y1+y2+z)が0.1〜0.99の比率を有する)とを、先に式(6)又は式(5)及び(6)で示されるフェノール性水酸基のないジアミンと式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物あるいはこの前駆体であるテトラカルボン酸又はそのエステル誘導体とを溶媒中で反応させて末端に酸無水物基を有するアミック酸オリゴマーの溶液を調製し、該アミック酸オリゴマーを脱水閉環して酸無水物末端のイミドオリゴマーを調製し、次いで式(4)で示されるフェノール性水酸基を有するジアミン中に該イミドオリゴマーの溶液を反応溶液中の式(4)のジアミンのアミノ基Pと式(3)のテトラカルボン酸二無水物あるいはこの前駆体であるテトラカルボン酸又はそのエステル誘導体由来の酸無水物残基(あるいは2当量のカルボン酸基又はエステル基)Qとの割合がP/Q>1のモル比となるように滴下、反応させる(但し、上記式中、X,Y1,Y2,Zは下記の通りの意味を示す)ことを特徴とする下記構造式(1)及び(2)で示される繰り返し単位を有し、ジアミンとしてアミノ基が結合した芳香族環とは異なる芳香族環にフェノール性水酸基を有するジアミンを用いて製造された、骨格中にフェノール性水酸基を有するポリイミド樹脂の製造方法。
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