JP2008094823A - 熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ネッタイシマカやネッタイイエカ、ハマダラカ類等の各種の熱帯感染症媒介蚊類に卓効を示し、かつ安価に製造でき、しかも人畜に対する安全性に優れた熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香の提供。
【解決手段】有効成分として、(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル (1R)−トランス−クリサンテマートを0.1〜0.5質量%含有し、好ましくは、加熱蒸散促進剤として、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドを、有効成分量に対して1.0〜5.0倍量含有してなる熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香に関するものである。
世界には多種の蚊が生息し、人を刺咬・吸血するだけでなく、感染症を媒介して重大な被害をもたらす。例えば、東南アジア地域やアフリカ等の熱帯地域では、マラリアがハマダラカ類、デング熱がネッタイシマカ・ヒトスジシマカ、黄熱病がネッタイシマカ、フィラリアがネッタイイエカ等によって媒介されることが知られている。これらの熱帯感染症から身を守る方法は、適当なワクチンがない今日、蚊に刺されないことが第一で、特に開放的な住居では蚊取線香の使用が最適である。蚊帳にピレスロイドを含浸させたものも使用されているが、就寝中しか使えないこと、蚊帳の中は暑苦しいことなど、使用性に問題が多い。
これまで蚊取線香の有効成分としては、ピレスロイド系殺虫成分のアレスリン類が世界的に使用されてきた。近年、東南アジア地域において一部ではあるが、主要種のネッタイイエカ類に対するアレスリン類の効き目が落ちているという報告があり、ネッタイイエカの方がネッタイシマカに比べて薬剤に強いというのが、一般的な評価であった。
しかしながら、本発明者らは、数年前にタイ国の野外で採集されタイ国のマヒドン大学熱帯医学部の研究所で累代飼育されているネッタイシマカを用いて実地試験を行ったところ、この系統のネッタイシマカは、タイ国国立試験機関で飼育されているネッタイシマカに較べて種々ピレスロイドに対する感受性が非常に低下しており、前記一般的評価とは逆にネッタイイエカよりも薬剤に強いことを新たに発見した。ネッタイシマカは、デング熱や黄熱病を媒介し、その対策は人類、特に東南アジアやアフリカ等の熱帯地域住民を感染症の被害から守っていくうえで極めて重要である。デング熱の権威である江下優樹博士の発表によると、デング熱は元来東南アジアでの疾患であったが、アフリカ、南北アメリカに流行地域は拡大し、媒介蚊であるネッタイシマカの生息地域も拡がり、タイ国東北部の家屋で捕集された蚊種のおよそ90%がネッタイシマカであったと報告されている[生活と環境、42巻(1997年)](非特許文献1)。本発見は、感染症媒介蚊防除に、新たな重要な課題を提起するものである。
近年、新しい殺虫成分の開発も進められ、例えば、後述する非特許文献2によれば、新規ピレスロイド系殺虫成分のメトフルトリン[4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシラート]を含有する蚊取線香がネッタイイエカやアカイエカに対して、d−アレスリンの1/40〜1/20の濃度で、d−アレスリン蚊取線香とほぼ同等のノックダウン効果を示したことが報告されている。しかしながら、メトフルトリンは、合成が複雑で製造コストも高く、d−アレスリン蚊取線香よりも数倍殺虫効力の高い蚊取線香を得ようとすると、安価に供給できないという難点を有しており、使用濃度に限界がある。また、感受性が低下した前記ネッタイシマカに対する効力評価は全くなされていない。
かかる現状において、ネッタイシマカやネッタイイエカ、ハマダラカ類等に卓効を示し、かつ製造コストが安価な殺虫成分の探索は、感染症媒介蚊対策として極めて効果的な対策手段である。本発明者による試験によって初めて明らかになったように、蚊の採取場所によって薬剤に対する感受性に大きな差異のあることが判明したが、その原因は薬剤に対する抵抗性の発達とは結論できない。何れにしても、前述した如く、分布率の最も大きいネッタイシマカのなかに、薬剤に強い集団が明らかに存在する以上、特にこの集団に対して有効な殺虫成分の探索は急務である。
このような場合、ネッタイシマカやネッタイイエカ、ハマダラカが現実に発生している現地において、これらの蚊に対する殺虫効力試験を行ったうえで、実験上の裏付を伴った有効成分の開発が技術的に有意義であると共に、不可欠な状態となっている。
本発明者は、特許文献1において、有効成分として前記d−アレスリンの類縁体である2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル クリサンテマート[特許文献1では、第一菊酸の4−ヒドロキシ−3−メチル−2−プロパルギル−2−シクロペンテン−1−オンエステルと記載されているが同一化合物である]を発明し、これを含有してなる有用な燻蒸用殺虫剤を開示したが、特許文献1は、熱帯感染症媒介蚊対策を意図したものでなく、現に実際の効力試験においても、前記熱帯感染症媒介蚊に対しては、然したる効力を期待できるような状況にはない。
特公昭52−45768号公報 生活と環境, 42(6) 19, 1997 Biosci. Biotechnol. Biochem., 68(1) 170, 2004
本発明は、特許文献1の場合と同様に、有効成分としてd−アレスリンの類縁体を採用したうえで、ネッタイシマカやネッタイイエカ、ハマダラカ類等の各種の熱帯感染症媒介蚊類に卓効を示し、かつ安価に製造でき、しかも人畜に対する安全性に優れた熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、次のような基本構成を採用する。
(1)有効成分として、(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル (1R)−トランス−クリサンテマートを0.1〜0.5質量%含有してなる熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香。
(2)加熱蒸散促進剤として、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドを、有効成分量に対して1.0〜5.0倍量含有してなる(1)記載の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香。
(3)加熱蒸散促進剤の補助剤として、アルキルベンゼンスルホン酸の低級アルキルアミン塩を、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドに対して0.2〜0.6倍量配合してなることを特徴とする(1)、(2)記載の何れかに記載の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香。
(4)熱帯感染症媒介蚊が、ネッタイシマカである(1)、(2)、(3)の何れかに記載の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香。
本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香は、ネッタイシマカやネッタイイエカ、ハマダラカ類等の各種の熱帯感染症媒介蚊類に卓効を示し、かつ安価に製造でき、しかも人畜に対する安全性に優れているので、その実用性は極めて高い。
本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香に用いる有効成分は、(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル (1R)−トランス−クリサンテマート[「d,d−T−プラレトリン」と称されており、以下「本化合物」と称する。]であって、既に公知の化合物に該当する。
そして本化合物は、天然除虫菊に含まれるピレトリン類の化学構造に類似し、炭素、水素及び酸素から成り立っているので、高活性、高揮散性を目指した合成ピレスロイドより哺乳動物や環境への安全性の点で好ましい状況にある。
本化合物は、常温で液状を呈し有機溶剤に一般に易溶であり、これと木粉等の蚊取線香基材と混合して本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香を構成する。
蚊取線香中の有効成分含量は、各種熱帯感染症媒介蚊に対する殺虫効力ならびに経済性等を考慮して0.1〜0.5質量%に設定するが、後記する加熱蒸散促進剤との組み合わせにおいてより効果的な相乗効果を期待でき、殺虫効力ならびに経済性のメリットのより大きな点で0.1〜0.3質量%が好ましい。
本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香は、前記(2)のように、加熱蒸散促進剤として、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(以降、加熱蒸散促進剤Aと称する)を、有効成分量に対して1.0〜5.0倍量配合するのが好ましい。
従来、種々製剤において、ピペロニルブトキサイド、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(加熱蒸散促進剤A)、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2,2,2]−オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(以降、共力剤Sと称する)等のピレスロイド用共力剤を混用することがしばしば行われてきた。すなわち、上記ピレスロイド用共力剤は、例えば液剤や粉剤等に用いた場合、それ自体では生物活性を示さないが、ピレスロイドと混用した場合、ピレスロイドの効力を増強することが知られている。なお、オクタクロロジプロピルエーテル(S−421)もピレスロイド用共力剤の範疇に含まれることがあるが、それ自体生物活性を示し、また変異原性の疑いが報告されていることからその使用には適さない。
共力剤のメカニズムについては多くの報告があり、例えば、昆虫体内で自らが代謝分解を受けてピレスロイドの酸化的解毒代謝を阻害したり、あるいはピレスロイドの皮膚への浸透を促進し、神経系作用点への到達を容易にすることによって、ピレスロイドの殺虫効力を高めることなどが知られている。しかしながら、かかる共力剤の作用機構は当然のことながら昆虫の種類に大きく依存し、共力剤による共力効果は通常10〜20%程度にとどまるのが一般的である。
これに対し、本発明者は線香形態でのある種配合剤の作用を鋭意検討し、本化合物に加熱蒸散促進剤Aを加えることによって、蚊取線香の殺虫効力が2〜3倍増強されており、かつこの点は後の実施例によって明らかにするとおりである。
このような大幅な殺虫効力の増強は、従来ピレスロイド製剤に使用されている共力剤のメカニズム、即ち上述した昆虫生理学的機構だけでは説明が不可能であって、加熱蒸散促進剤Aが、有効成分の揮散率上昇、更には揮散した有効成分の揮散に寄与し有効成分の気中濃度を高めていることを想定することができる。
無論、前記揮散率の上昇及び拡散に対する寄与に関する具体的なメカニズムは十分解明されている訳ではないが、何れにせよ、加熱蒸散促進剤Aによる殺虫効力の増強は、従来の公知技術には見られないような新たな知見である。
そして、本発明では、本化合物と加熱蒸散促進剤Aとの量的比率も重要である。即ち、加熱蒸散促進剤Aの有効成分量に対する配合量が、1.0倍量未満では加熱蒸散促進効果が乏しく、一方5.0倍量を過剰に超えて配合しても無意味であることから、有効成分に対する加熱蒸散促進剤Aの比率は1.0〜5.0倍量が好ましい。
前記(3)のように、加熱蒸散促進剤の補助剤として、加熱蒸散促進剤Aに加えて更にアルキルベンゼンスルホン酸の低級アルキルアミン塩を配合する構成を好適に採用することができる。ここで、アルキルベンゼンスルホン酸のアルキル基はC8〜C14程度、一方、アルキルアミン塩の低級アルキル基はC〜C4程度がよく、例えば、前記(4)のように、ドデシルベンゼンスルホン酸イソプロピルアミン塩やドデシルベンゼンスルホン酸エチルアミン塩を代表例としてあげることができる。
アルキルベンゼンスルホン酸の低級アルキルアミン塩の加熱蒸散促進剤Aに対する比率は、0.2〜0.6倍量の範囲がよく、この範囲を外れると加熱蒸散促進効果が弱くなる。
ところで、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2,2,2]−オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(共力剤S)は、加熱蒸散促進剤Aと化学構造が類似するものの、プラレトリン線香での効力増強効果は極めて低かった。これは、共力剤Sの加熱燻煙下での蒸散性が加熱蒸散促進剤Aに比べてかなり低いことに起因するものと考えられ、線香形態においては、有効成分と配合剤の蒸散物性が殺虫効力に密接に関与していることを裏付ける試験結果と評価することができる。
蚊取線香基材としては、支燃剤や粘結剤があり、前者には、木粉、除虫菊抽出粕粉、柑橘類の表皮粉、ココナッツシェル粉末等の植物性粉末や、木炭粉、素灰等の炭素粉末があげられる。また、後者の粘結剤としては、タブ粉、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を例示できる。
本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香には、必要により、色素、防腐剤、安定剤等が含有されてもよい。色素としては、例えばマラカイトグリーン等の有機染料があげられ、防腐剤としては、例えばソルビン酸、デヒドロ酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸等の酸、あるいはそれらの塩等が代表的である。また、安定剤としては、2,6−ジ−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール(BHT)や2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)等があげられるがこれらに限定されない。
更に、本発明の趣旨を妨げない限りにおいて、他の殺虫、防虫成分、例えばピレトリン、アレスリン、フラメトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、エムペントリン等の従来のピレスロイド系殺虫剤、殺菌剤、抗菌剤、忌避剤、あるいは芳香剤、消臭剤等を混合し、効力のすぐれた多目的組成物を得ることもできる。
本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香を調製するにあたっては、何ら特別の技術を必要とせず、公知の製造方法を採用できる。
例えば、プレミックス粉(有効成分や加熱蒸散促進剤等を支燃剤の一部に含有させたもの)と残部の蚊取線香基材を混合したものに水を加えて混練し、続いて押出機、打抜機によって成型後、乾燥して蚊取線香を製すればよい。また、蚊取線香基材のみを用いて成型後、これに有効成分等を含む液剤をスプレーあるいは塗布するようにしても構わない。
本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香は、ネッタイシマカ、ネッタイイエカ、ハマダラカ類、ヒトスジシマカ等の熱帯感染症媒介蚊類に卓効を示すが、特に感受性が低下したデング熱媒介蚊のネッタイシマカに有用である。もちろん、他種の蚊やハエ、ゴキブリ、屋内塵性ダニ類等の衛生害虫等の種々の害虫にも有効であり、その実用性は極めて高い。
次に、具体的実施例に基づいて本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香を更に詳細に説明する。
本化合物を0.1質量%とし、加熱蒸散促進剤Aを0.2質量%としたうえで、除虫菊抽出粕粉、木粉、澱粉等の蚊取線香基材を99.7質量%に対し均一に混合後、色素と防腐剤を含む水を加え、公知の方法によって本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香を得た。
本化合物を0.2質量%とし、加熱蒸散促進剤Aを0.5質量%と、2,6−ジ−ターシャリーブチル−4−メチルフェノールを0.1質量%としたうえで、ココナッツシェル粉末、木粉、タブ粉、澱粉等の蚊取線香基材を99.2質量%に対し均一に混合後、防腐剤を含む水を加え、公知の方法によって本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香を得た。
[線香燻煙時の有効成分揮散率の測定]
内容積約1.5Lの排気鐘の上部に、シリカゲル約6gを詰めた揮散物質捕集用トラップ(内径;25mm、長さ;10cm)を2本直列に繋ぎ、これを吸引ポンプに連結した。供試蚊取線香2gを線香立てに設置し、排気鐘の底面中央に置き、点火後、8L/分の割合で空気を吸引して揮散物質のサンプリングを行った。燻煙終了後、トラップに捕集された揮散物質及び排気鐘の内側に付着した揮散物質を洗い出し、回収された有効成分量をガスクロマトグラフ法により分析した。供試蚊取線香2gに含まれる理論有効成分量に対する回収量から、有効成分揮散率を算出した。
Figure 2008094823
試験の結果、本化合物0.1%含有蚊取線香に加熱蒸散促進剤Aを本化合物の2倍量配合することによって、有効成分の揮散率が約19%上昇することを実験で確認した。従って、安価な加熱蒸散促進剤Aを併用することは、本化合物含有蚊取線香の殺虫効力を増強させるうえで極めて有用である。
[ガラスチャンバーを用いた基礎効力試験]
供試虫として、タイ国国立試験機関で累代飼育しているネッタイシマカ成虫及びネッタイイエカ成虫を用い、この試験機関で基礎効力試験を実施した。即ち、70cm立方のガラスチャンバー内に、実施例1、又は実施例2と同様にして作成された本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香の0.5gを点火したものを入れ、燃焼終了後、ネッタイシマカ成虫又はネッタイイエカ成虫供試虫20匹を放った。20分間暴露させ、時間経過に伴い落下仰転した供試虫数を数え、KT90値を求めたところ表2のとおりであった。
Figure 2008094823
・加熱蒸散促進剤A:N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
・補助剤A:ドデシルベンゼンスルホン酸イソプロピルアミン塩
・共力剤S:N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2,2,2]−オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
本試験で用いたネッタイシマカ成虫は、タイ国国立試験機関で累代飼育されているものでピレスロイドに対し感受性が高い系統である。従って、試験の結果は、いずれの供試線香によっても、ネッタイシマカに対するKT90値は、ネッタイイエカに対するKT90値よりも遥かに小さかった。
本化合物を0.1〜0.5質量%含有する本発明の蚊取線香は、優れたノックダウン効果を示した。なかでも、加熱蒸散促進剤として加熱蒸散促進剤A{N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド}を有効成分に対して1.0〜5.0倍量配合した本発明の蚊取線香は、それらの蒸散物性が最適にマッチして有効成分の揮散効率と拡散性を高め、その結果、ノックダウン効果がネッタイシマカに対して約2〜2.5倍、またネッタイイエカに対して約2.5〜3倍増強し、極めて有用な蚊取線香であることが確認された。なお、本発明6に示すように、共力剤S{N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2,2,2]−オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド}は、加熱蒸散促進剤Aと化学構造が類似し、従来からピレスロイドの共力剤として汎用されているにもかかわらず、本化合物との組み合わせにおいて蒸散物性がマッチせず、本発明の蚊取線香形態では効力増強効果は低かった。
これに対し、本化合物の含量が0.1%未満の蚊取線香(比較例1)や、dl,d−T−プラレトリンのもの(比較例2)はノックダウン効果が低かった。また、dl,d−T80−アレスリンについては、比較例3及び4に示すように、本発明で用いる加熱蒸散促進剤Aを加えることによってそのノックダウン効果は向上するものの本発明の蚊取線香に及ばず、更に、メトフルトリン線香(比較例5)もノックダウン効果は劣っていた。
[25m3の部屋での実地効力試験]
前記実施例4は、70cm立方のガラスチャンバー(0.343m3)で実施したが、実際に蚊取線香が使用される25m3の部屋と比べると空間容積は1/73に過ぎず、実使用濃度より遥かに高濃度条件である。蚊取線香の性能を実際使用条件に即して評価するために、マヒドン大学熱帯医学部の研究所の25m3の部屋で実地効力試験を行った。すなわち、閉めきった25m3の部屋に蚊雌成虫100匹を放った後、部屋の中央に点火した供試蚊取線香(実施例1又は実施例2に準じて調製)を置いた。2時間暴露させ、時間経過に伴い落下仰転した虫数を数え、KT50値を求めた。
供試虫としては、数年前にタイ国の野外で採集されこの大学の研究所で累代飼育されているネッタイシマカ、ネッタイイエカ、及びダイラスハマダラカを用いた。ネッタイシマカ及びネッタイイエカについて得られた結果を表3に示す。
また、参考として、日本において、アカイエカに対する25m3の部屋での実地効力試験を同様に実施した。その結果を表3に併せて示す。
Figure 2008094823
本試験で用いたネッタイシマカ成虫は、前記実施例4で供試したネッタイシマカ[タイ国国立試験機関で飼育されている系統]に較べてピレスロイドに対する感受性が非常に低下しており、KT50値は実施例3とは逆にネッタイイエカよりも数倍大きくなった。なお、ダイラスハマダラカは、ピレスロイドに対して非常に感受性が高く、KT50値はネッタイイエカの1/2〜1/6であった。
試験の結果、本化合物を含有する本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香は、ネッタイイエカ、ダイラスハマダラカはもちろん、感受性が低下したネッタイシマカに対しても、高いノックダウン効果を示した。また、本化合物含有蚊取線香に効力増強剤Aを2.0倍量配合することによって、ノックダウン効果がネッタイシマカに対して約1.5倍、またネッタイイエカに対して約2.5倍増強することが認められた。
これに対し、比較例に示すように、dl,d−T80−アレスリン0.5%線香(実用されている濃度の2倍量)やメトフルトリン線香はネッタイシマカに対し効力が十分でなく、現在のところ、野外で生息するネッタイシマカに対しても卓効を示しうる蚊取線香としては、d,d−T−プラレトリン含有蚊取線香以外に見当たらない。
更に、日本のアカイエカと、ネッタイシマカ、ネッタイイエカやダイラスハマダラカの薬剤感受性は著しく異なり、ピレスロイドの種類によっても感受性に差異が認められたが、概してネッタイイエカはアカイエカに比べて数倍薬剤に強く、ネッタイシマカはネッタイイエカに比べて更に数倍薬剤に強い傾向を示した。本化合物のネッタイシマカやネッタイイエカに対する試験はこれまで全くなされておらず、その報告もない。本発明者は、ネッタイシマカやネッタイイエカ等に対する効力評価を現地で実施し、その試験結果に基づいて初めてその全貌を明らかにするとともに本発明を完成したのである。
段落[0003]で述べたように、デング熱は元来東南アジアでの疾患であったが、アフリカ、南北アメリカに流行地域は拡大し、媒介蚊であるネッタイシマカの生息地域も拡がり、タイ国東北部の家屋で捕集された蚊種のおよそ90%がネッタイシマカであったと報告されている。従って、ネッタイシマカがデング熱や黄熱病を媒介しその対策が急務であることを考慮すると、本発明の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香の有用性は明らかである。
本発明は、蚊取線香の製造販売分野において、須らく利用可能である。

Claims (4)

  1. 有効成分として、(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテニル (1R)−トランス−クリサンテマートを0.1〜0.5質量%含有してなることを特徴とする熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香。
  2. 加熱蒸散促進剤として、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドを、有効成分量に対して1.0〜5.0倍量含有してなることを特徴とする請求項1記載の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香。
  3. 加熱蒸散促進剤の補助剤として、アルキルベンゼンスルホン酸の低級アルキルアミン塩を、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドに対して0.2〜0.6倍量配合してなることを特徴とする請求項1、2のいずれか記載の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香。
  4. 熱帯感染症媒介蚊が、ネッタイシマカであることを特徴とする請求項1、2、3の何れかに記載の熱帯感染症媒介蚊防除用蚊取線香。
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