JP2008094118A - 点火装置の異常検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、点火装置の異常検出装置に関し、スクイブごとの異常診断を精度よくかつ適切に行うことにある。
【解決手段】互いに並列に設けられる複数のスクイブ10と、それぞれ対応するスクイブ10ごとに接続して点火作動のための点火電流が流通する複数の配線12と、を備える点火装置の異常を検出する装置において、複数の定電流源42,44,46を用いて、チャンネルごとに、そのスクイブ10を点火作動させるうえでの異常診断を行うべく流通させる定電流の電流値Ia,Ib,Icを変更する。そして、複数の配線12それぞれに互いに異なる定電流Ia,Ib,Icが流通される際に生ずる各ダイアグ電圧に基づいて、チャンネルごとの異常診断を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、点火装置の異常検出装置に係り、特に、例えば車両に搭載されたエアバッグを展開させるべく点火される複数のスクイブと、それぞれ対応するスクイブごとに接続して点火作動のための電流が流通する複数の配線と、を備える点火装置の異常を検出するうえで好適な点火装置の異常検出装置に関する。
近年、運転席のステアリングホイール内や助手席側のインストルメントパネルに設けられる前突に対する乗員保護用のエアバッグだけでなく、車両のフロントピラーから後席ピラーにかけて配設されるカーテンシールドエアバッグや運転席や助手席のシートバックに配設される側突に対するサイドエアバッグ,後席に着座する乗員を前突から保護する後席乗員保護用のエアバッグなど、車内の様々な位置にエアバッグが装備されることが多くなっている。そして、このような車両においては、車両の様々な位置に設けられた各エアバッグのスクイブと単一のマイコンとがワイヤーハーネス等で接続されており、マイコンにより各エアバッグの展開制御が行われている。
一方、従来から、エアバッグのスクイブに関する異常診断を行う装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置においては、異常診断を行うため、スクイブに一定の微小電流が流される。そして、微小電流が流れる際にスクイブの両端に生ずる電圧(厳密には、配線抵抗分をも含んだ電圧;以下、ダイアグ電圧と称す)が所定のしきい値範囲内にあるか否かを判別する異常診断が行われる。
特開2003−237529号公報
ところで、スクイブは、各スクイブ間でほぼ共通の抵抗値を有している。一方、上記の如く車両の様々な位置に設けられた複数のエアバッグ用スクイブと単一のマイコンとがワイヤーハーネス等で接続される構成においては、各ワイヤーハーネスの長さが異なるものとなるので、ワイヤーハーネスの配線抵抗がスクイブごとに異なるものとなる。この点、上記した異常診断を行う際に各スクイブごとに互いに電流値の同じ微小の定電流を流すものとすると、ワイヤーハーネスの長さすなわち配線抵抗に応じてマイコンの検出するダイアグ電圧が変動してしまい、その結果として、例えば正常に展開作動し得るエアバッグを故障しているものと判定したり或いは逆に故障しているエアバッグを正常に展開作動し得るものと判定したりして異常診断を誤るおそれがある。
尚、上記の如き異常診断の誤判定を防止するために、マイコンが異常診断に用いるダイアグ電圧に関するしきい値範囲をスクイブごとに異ならせることが考えられる。しかしながら、マイコンの検出可能な電圧領域は予め例えば0V〜5Vの範囲に定められているため、このような構成では、ワイヤーハーネスが極端に長いときすなわち配線抵抗が極端に大きいときにはしきい値範囲を上記の検出可能電圧範囲を超えて設定せざるを得ないこととなるおそれがある。一方、この際には各配線に流す定電流の電流値を同じにしたままでもその電流値を小さめにすれば、すべてのスクイブに対するしきい値範囲を上記の検出可能電圧範囲内に収めることは可能であるが、かかる構成では、各しきい値範囲を比較的狭くせざるを得ないので、外乱等の影響を受け易くなり、異常診断の誤判定を招き易くなる不都合が生ずる。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、スクイブごとの異常診断を精度よくかつ適切に行うことが可能な点火装置の異常検出装置を提供することを目的とする。
上記の目的は、互いに並列に設けられる複数のスクイブと、それぞれ対応するスクイブごとに接続して点火作動のための電流が流通する複数の配線と、を備える点火装置の異常を検出する装置であって、前記配線ごとに、該スクイブを点火作動させるうえでの異常診断を行うべく流通させる定電流の電流値を変更する定電流変更手段と、複数の前記配線それぞれに前記定電流変更手段により電流値が変更された前記定電流が流通される際に生ずる各電圧値に基づいて前記異常診断を行うダイアグ判定手段と、を備える点火装置の異常検出装置により達成される。
この態様の発明において、各スクイブに接続する配線ごとに、スクイブを点火作動させるうえでの異常診断を行うべく流通させる定電流の電流値は変更される。異常診断時に配線ごとに流れる定電流の電流値が異なれば、配線ごとにスクイブの両端側に生ずる各電圧値を調整することが可能であり、それら配線ごとの正常電圧値すべてを所定の範囲内に収めることが可能である。従って、本発明によれば、スクイブごとの異常診断を精度よくかつ適切に行うことができる。
尚、上記した点火装置の異常検出装置において、前記配線ごとに流通させるべき前記定電流それぞれを生成可能な複数の定電流源を備えることとすれば、複数の定電流源を用いて電流値の異なる定電流を生成することができる。
また、この場合、複数の前記定電流源はそれぞれ、前記配線ごとに対応して設けられ、対応する前記配線に流通させるべき前記定電流を生成することとすれば、電流値の異なる定電流を、配線ごとに定められた定電流源を用いてそれぞれ生成することができる。
更に、複数の前記定電流源はそれぞれ、対応するスクイブに関する異常診断が行われるべきときに、該配線に流通させるべき前記定電流を生成することとすればよい。
また、上記した点火装置の異常検出装置において、それぞれ前記配線ごとに設けられて該配線を導通・遮断する複数の切替手段を備え、複数の前記切替手段はそれぞれ、対応するスクイブに関する異常診断が行われるべきときに、該配線を前記定電流が流通可能となるように導通することとすれば、不必要にスクイブに定電流が流れるのを防止することができる。
この場合、複数の前記配線に接続し、前記配線ごとに前記定電流変更手段により電流値が変更された前記定電流が流通される際に生ずる各電圧を出力する唯一つの電圧出力部を備えることとすれば、配線ごとの出力電圧をそれぞれ検出するうえで電圧出力部を簡素に構成することができる。
本発明によれば、スクイブごとの異常診断を精度よくかつ適切に行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施例である車両に搭載されるシステムの構成図を示す。本実施例のシステムは、車両乗員を保護するために設けられたエアバッグを展開起動するのに用いられる点火装置の異常を検出する装置である。
図1に示す如く、本実施例の点火装置は、複数(n個;本実施例では3個以上)のスクイブ10を備えている。スクイブ10は、車両運転者や助手席に着座する乗員を保護するためにステアリングホイールやインストルメントパネルに配設される前突に対するフロントエアバッグや、シートバックに配設される側突に対するサイドエアバッグ,フロントピラーから後席ピラーにかけて配設されるカーテンシールドエアバッグ,後席に着座する乗員を保護するために設けられるエアバッグなど、車両の各位置に配設された複数のエアバッグにそれぞれ対応して、エアバッグごとに設けられている。各スクイブ10は、予め定められた所定のスクイブ抵抗Rsq(例えば、2Ω〜3Ω)を有している。尚、スクイブ10ごとのスクイブ抵抗Rsq1〜Rsqnは、ほぼ同じ値に設定されている。スクイブ10は、所定電流値で通電されることにより点火し高圧ガスを発生させてエアバッグを展開起動させる。
各スクイブ10には、点火作動のための点火電流が流通し得る配線12が接続されている。各スクイブ10及び配線12は、互いに並列に設けられている。各配線12はそれぞれ、スクイブ10を挟んで設けられた電源側線12aと接地側線12bとを有している。電源側線12aには電源側端子14を介して電源(図示せず)が、また、接地側線12bには接地側端子16を介してアース(図示せず)が、それぞれ接続し得る。
各配線12の途中(例えば、電源側端子14と電源との間や接地側端子16とアースとの間)にはそれぞれ、スクイブ10への点火電流の流通を許可/禁止するスイッチング素子(図示せず)が介在されている。この各配線12に対応したスイッチング素子はすべて、車両のセンターコンソール下方などに設けられたマイクロコンピュータや点火ICなどからなる電子制御ユニット(図示せず)内に設けられている。この電子制御ユニットは、車体に配設された加速度センサや衝撃センサからの信号に基づいて車両衝突の有無を検知してエアバッグの展開要否を判断し、適当なスイッチング素子に対してオン指令を行う。上記のスイッチング素子は、電子制御ユニットからのオン指令に従って配線12を導通して点火電流の流通を許可する。従って、各配線12には、電子制御ユニットにより当該スイッチング素子がオン駆動されることにより、電源側端子14側からスクイブ10を介して接地側端子16側へ向けて点火電流が流れる。
各配線12はそれぞれ、同じ種類のワイヤーハーネスにより構成されている。また、各配線12のスクイブ10から電子制御ユニットまでの長さは、そのスクイブ10の配置位置に応じて異なる。例えば、フロントエアバッグのスクイブ10からの配線12の長さは比較的短いが、カーテンシールドエアバッグや後席エアバッグのスクイブ10からの配線12の長さは比較的長いものとなっている。この点、各配線12は、互いに異なる配線抵抗(例えば200ミリΩや600ミリΩなど)を有し得る。以下、n個の配線12の各配線抵抗R1〜Rnは、ほぼ3つの値(例えば、200ミリΩと400ミリΩと600ミリΩ)に区分けされるものとする。
上記の構成においては、電子制御ユニットによる車両衝突の有無検知の結果としてエアバッグの展開条件が成立しないと判断されるときは、そのエアバッグのスクイブ10に点火電流が流れないようにスイッチング素子がオフ駆動される。一方、車両衝突が検知されてエアバッグの展開条件が成立すると判断されると、そのエアバッグのスクイブ10に点火電流が流れるようにスイッチング素子がオン駆動される。この場合には、展開条件が成立するエアバッグのスクイブ10に接続する配線12に点火電流が流れることで、そのスクイブ10が点火される。そして、エアバッグ内に向けて高圧ガスが発生して、そのエアバッグが展開起動される。
従って、上記の構成によれば、乗員保護用のエアバッグの展開要否の判定を行い、その展開の必要があるときに配線12を経由してスクイブ10に通電することでそのエアバッグを展開起動することができる。このため、車両衝突時に車両乗員に加わる衝撃を緩和してその適切な保護を図ることが可能である。
また、本実施例のシステムは、図1に示す如く、IC内に設けられた点火ダイアグ回路20を備えている。点火ダイアグ回路20は、外部端子22,24において、各スクイブ10に接続されている配線12の電源側線12a及び接地側線12bにそれぞれ接続している。点火ダイアグ回路20は、各配線12ごとすなわちチャンネルごとに対応して設けられた半導体からなる一対のスイッチング素子26,28を有している。
一対のスイッチング素子26,28は、同期してオン・オフ駆動される。また、配線12ごとのスイッチング素子26,28は、それぞれ独立してオン・オフ駆動可能である。各スイッチング素子26,28は、対応するスクイブ10や配線12の異常診断が行われない通常時はオフ駆動され、スクイブ10と後述の定電流源との接続を遮断するが、一方、対応するスクイブ10や配線12の異常診断が行われるダイアグ判定時はオン駆動され、スクイブ10と後述の定電流源との接続を導通する。
スイッチング素子26,28には、アンプ30の入力が接続されている。配線12ごとのスイッチング素子26,28はすべて、一つのアンプ30に接続している。配線12ごとのスイッチング素子26はすべてアンプ30の一方の入力端子に接続しており、また、配線12ごとのスイッチング素子28はすべてアンプ30の他方の入力端子に接続している。アンプ30は、スイッチング素子26側とスイッチング素子28側との間すなわちスクイブ10を介して配線12の電源側線12aと接地側線12bとの間に生ずる電圧差を利得Gで増幅して出力する(Vout)。
点火ダイアグ回路20は、外部端子32,34において、それぞれシリアルやパラレルの通信線33,35を介してマイコン36に接続している。アンプ30の出力は、外部端子32に接続している。このため、アンプ30の出力は、外部端子32を通じてマイコン36に供給される。マイコン36は、点火ダイアグ回路20のアンプ30から供給される出力電圧VoutをA/D変換して、スクイブ10を介して配線12の電源側線12aと接地側線12bとの間に生じている電圧(ダイアグ電圧Vout)を検出する。尚、マイコン36による点火ダイアグ回路20からの出力電圧Voutの検出は、所定範囲内の電圧(例えば0V〜5V)について行うことが可能である。
また、マイコン36には、運転者により操作可能な車両のイグニションスイッチ(図示せず)が接続されている。マイコン36は、イグニションスイッチの状態を検知して、ダイアグ判定を行うべきタイミングであるか否かを判別する。具体的には、イグニションスイッチがオフからオンに切り替わったときにダイアグ判定を行うべきタイミングであると判別する。マイコン36は、ダイアグ判定を行うべきタイミングに至ると、ダイアグ判定のための処理を行うべき旨のダイアグ指令を点火ダイアグ回路20の外部端子34に対して供給する。
点火ダイアグ回路20は、外部端子34に接続する定電流切替回路40を有している。定電流切替回路40には、マイコン36からのダイアグ指令が供給され得る。定電流切替回路40は、マイコン36からのダイアグ指令が供給されると、後述のダイアグ判定のための処理を実行する。
定電流切替回路40には、複数(本実施例では3個)の定電流源42,44,46が接続されている。定電流源42,44,46はすべて、スイッチング素子26とアンプ30とを結ぶ経路上に接続されている。定電流源42,44,46はそれぞれ、スイッチング素子26,28のオン時において、定電流切替回路40からのオン指令により、上記した点火電流よりも極めて小さくスクイブ10を点火させることが不可能な微小な定電流Ia,Ib,Icを配線12及びスクイブ10に流すことが可能である。定電流源42,44,46がそれぞれ流し得る定電流Ia,Ib,Icは、互いに異なる値であって、後述の如く配線12の配線抵抗R1〜Rnが取り得る3つの抵抗値に応じた値に設定されている。
また、定電流切替回路40には、上記した配線12ごとのスイッチング素子26,28のすべてが接続されている。定電流切替回路40は、ダイアグ判定のための処理を行わないときは、すべてのスイッチング素子26,28をオフ駆動する。一方、ダイアグ判定のための処理を行うときは、予め定められた順序に従って一配線ごとに対応の一対のスイッチング素子26,28をオン駆動する。
図2は、ダイアグ判定の際に配線12に流す定電流が配線12の長さに関係なくすなわち配線抵抗に関係なく一定であるものとした場合に生じ得る不都合を説明するための図を示す。
ところで、上記の如く、各配線12の長さはスクイブ10の配置位置に応じて異なるので、その配線抵抗は互いに異なるものとなり得、本実施例では3つの値のうち何れかの値をとる。このため、ダイアグ判定の際に各スクイブ10や配線12ごとに互いに電流値の同じ微小の定電流を流すものとすると、配線12の長さすなわち配線抵抗に応じてマイコン36の検出するダイアグ電圧Voutが変動してしまい、その結果、ダイアグ判定の異常診断を誤るおそれがある。
尚、この異常診断の誤判定を防止するために、マイコン36が異常診断に用いるダイアグ電圧Voutに関するしきい値範囲をスクイブごとに異ならせることが考えられる。例えば、配線抵抗の比較的大きな配線12に対してはしきい値範囲を大きめにシフトし、一方、配線抵抗の比較的小さな配線12に対してはしきい値範囲を小さめにシフトする。しかしながら、マイコン36の検出可能な電圧は予め所定範囲内(例えば0V〜5V)に制限されているため、上記の如き構成だけでは、配線12が極端に長くその配線抵抗が極めて大きいときに、図2に示す如く、ダイアグ電圧Voutのしきい値範囲を上記の検出可能電圧範囲を超えて設定せざるを得ない状況が起こり得る。一方、この際には、各配線12に流す定電流の電流値を同じにしたままでもその電流値を小さめにすれば、すべてのスクイブに対するしきい値範囲を上記の検出可能電圧範囲内に収めることは可能であるが、かかる構成では、各しきい値範囲を比較的狭くせざるを得ないので、外乱等の影響を受け易くなり、異常診断の誤判定を招き易くなる不都合が生ずる。
そこで、本実施例のシステムにおいては、かかる問題を解決して、スクイブごとの異常診断を精度よくかつ適切に行うこととしている。以下、図3〜図5を参照して、本実施例の特徴部について説明する。図3は、本実施例のシステムにおける、各スクイブ10と配線12とのチャンネルごとの抵抗(スクイブ抵抗と配線抵抗との加算値)とダイアグ判定時に流すべき定電流とダイアグ電圧の正常値(しきい値範囲)との関係を表した図を示す。図4は、本実施例のシステムにおいて実行される制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。また、図5は、本実施例のシステムにおいてダイアグ判定時に配線12に流す定電流を配線抵抗に応じて変更した場合に生ずる効果を説明するための図を示す。
本実施例のシステムにおいて、マイコン36は、イグニションスイッチがオフからオンに切り替わるか否かを判別して、ダイアグ判定を行うべきタイミングであるか否かを判別する(ステップ100)。その結果、ダイアグ判定を行うべきタイミングに至ると、以後、チャンネルごとにダイアグ判定のための処理を行うべき旨のダイアグ指令を点火ダイアグ回路20の外部端子34に対して出力して、点火ダイアグ回路20の定電流切替回路40に供給する(ステップ102)。
尚、各スクイブ10と配線12とを含んだチャンネル(ch.1〜ch.n)ごとには、スクイブ抵抗と配線抵抗とを加算した電気抵抗(R1+Rsq1〜Rn+Rsqn)が存在し、スクイブ抵抗Rsq1〜Rsqnはチャンネルごとにあまり変わらないが、配線抵抗R1〜Rnはその配線長に応じて大きく異なる。
そこで、本実施例のシステムにおいて、ダイアグ判定時に定電流源42,44,46がそれぞれ流し得る微小な定電流Ia,Ib,Icは、互いに異なるが、それぞれ配線抵抗R1〜Rnが取り得る3つの抵抗値に応じた値に設定されている。例えば、ch.1の配線抵抗R1が最も小さい抵抗値であり、ch.2の配線抵抗R2が中程度の抵抗値であり、また、チャンネルnの配線抵抗Rnが最も大きい抵抗値である場合は、上記3つの定電流Ia,Ib,Icのうち、定電流源42による定電流Iaは配線抵抗R1などの最も小さい抵抗値に対応して最も高く、定電流源44による定電流Ibは配線抵抗R2などの中程度の抵抗値に対応して中程度に、また、定電流源46による定電流Icは配線抵抗Rnなどの最も大きい抵抗値に対応して最も低く設定される。そして、チャンネルごとにダイアグ判定時に流すべき定電流Ia,Ib,Icが予め定められている。尚、本実施例において、各チャンネルの配線抵抗は3つの抵抗値の何れかを取り得るので、チャンネルごとに流すべき微小の定電流も3つの値Ia,Ib,Icのうちの何れかに設定される。
マイコン36は、スクイブ10ごとすなわちチャンネルごとの総抵抗とダイアグ判定時に流すべき定電流値とダイアグ判定に用いるしきい値範囲との関係を規定した図3に示す如きマップを予め有している。マイコン36は、予め定められたチャンネル順序で1チャンネルごとのダイアグ判定を行うことができるように、点火ダイアグ回路20の定電流切替回路40へのダイアグ指令を行う。マイコン36は、このダイアグ指令の供給を、ダイアグ判定すべきチャンネルを切り替えるごとにその切替後のチャンネルを指定して行う。
定電流切替回路40は、マイコン36からダイアグ指令を受けると、ダイアグ判定を行うべきチャンネルを特定し、そして、ダイアグ判定のための処理として、その特定したチャンネルに対応するスイッチング素子26,28のみをオン駆動させると共に、そのチャンネルに対応する定電流源42,44,46のみを作動させる(ステップ104)。定電流切替回路40は、マイコン36からのダイアグ指令を受けるごとに同様の処理を実行する。
例えば、ch.1〜ch.nの順序でダイアグ判定のための処理を行うべき場合には、まず、マイコン36がch.1のダイアグ判定を行うべきことを示すダイアグ指令を行い、定電流切替回路40がch.1に設けられたスイッチング素子26,28をオン駆動しかつ定電流源42を作動させる。尚、このスイッチング素子26,28のオン及び定電流源42の作動は所定時間(1チャンネルのダイアグ判定に要する時間以上の時間であって、マイコン36がダイアグ判定を完了するまでの時間)だけ継続して行われる。
そして、マイコン36がch.1のダイアグ判定を完了するとch.2のダイアグ判定を行うべきことを示すダイアグ指令を行い、定電流切替回路40がch.2に設けられたスイッチング素子26,28をオン駆動しかつ定電流源44を作動させる。以後、ch.3〜ch.n−1について同様に、一つ前のチャンネルのダイアグ判定が完了すると、マイコン36が次のチャンネルについて同様の処理を行う。そして、最後に、ch.n−1のダイアグ判定が完了すると、マイコン36がch.nのダイアグ判定を行うべきことを示すダイアグ指令を行い、定電流切替回路40がch.nのスイッチング素子26,28をオン駆動しかつ定電流源46を作動させ、その後そのダイアグ判定を完了するとそのch.nのスイッチング素子26,28をオフしかつ定電流源46を作動中止させる。
上記の如く各チャンネルのスイッチング素子26,28がオン駆動されかつ定電流源42,44,46が作動されると、そのチャンネルに対応する定電流源42,44,46から配線12を通じてスクイブ10に定電流Ia,Ib,Icが流れる。この際、配線12の電源側線12aと接地側線12bとの間には、スクイブ抵抗Rsq1〜Rsqnと配線抵抗R1〜Rnとの総抵抗に応じた電圧差が生ずる。アンプ30は、この電圧差を利得Gで増幅してダイアグ結果としてマイコン36に供給する。
マイコン36は、イグニションスイッチのオフからオンへの切り替わり後、1チャンネルごとに、点火ダイアグ回路20にダイアグ指令を行うと共に、そのダイアグ指令後にアンプ30から供給される電圧差(ダイアグ電圧Vout)に基づいてスクイブ10や配線12の異常診断に係るダイアグ判定を行う(ステップ106)。具体的には、1チャンネルごとに、スクイブ10を介して配線12の電源側線12aと接地側線12bとの間に生じているダイアグ電圧Voutが、そのチャンネルに対して予め定められたしきい値範囲内にあるか否かに基づいて、そのチャンネルにおける短絡や開放の有無についての異常診断を行う。
尚ここで、各チャンネルのダイアグ電圧のしきい値範囲は、そのチャンネルのスクイブ抵抗と配線抵抗とを加算した総抵抗値の正常幅とダイアグ判定時に流すべき定電流Ia,Ib,Icとに応じたものとなっており、チャンネルごとに予め独立して定められている。マイコン36は、この予め定められたチャンネルごとのしきい値範囲を利用してチャンネルごとの上記異常診断を行い、そして、各チャンネルごとに上記のダイアグ電圧Voutがしきい値範囲内にあれば正常と判定し、一方、上記のダイアグ電圧Voutがしきい値範囲内になければ、配線12の短絡や開放に伴う異常が生じていると判定する。
このように本実施例のシステムにおいては、イグニションオフからイグニションオンへの切替時に、スクイブチャンネルごとに短絡や開放の有無についての異常診断を行うことができる。そして、複数の定電流源42,44,46を用いて電流値の異なる定電流を生成可能な構成にしたうえで、そのチャンネルごとの異常診断を、その配線長に応じてチャンネルごとに異なる微小の定電流Ia,Ib,Icを流すことにより行うことができる。
異常診断に係るダイアグ判定時に流すべき定電流の電流値が異なれば、例えスクイブ抵抗と配線抵抗とが同じ状況にあっても、配線12の電源側線12aと接地側線12bとの間に生ずる電圧差を異ならせることが可能である。従って、本実施例の構成によれば、チャンネルごとに、ダイアグ判定時に流すべき定電流を適宜切り替えることができ、これにより、各ダイアグ電圧を調整することができる。
この点、マイコン36の検出可能なダイアグ電圧Voutは上記の如く予め所定範囲内(例えば0V〜5V)に制限されるが、上記した本実施例の構成によれば、図5に示す如く、チャンネルごとの正常時におけるダイアグ電圧Vout(すなわち、チャンネルごとのダイアグ電圧Voutのしきい値範囲)のすべてをその所定範囲内に収めることが可能である。従って、本実施例のシステムによれば、スクイブ10ごとすなわちチャンネルごとの異常診断を精度よく行うことが可能となっており、点火されるスクイブ10が多数となる多チャンネル化に対応することが可能となっている。
また、上記した本実施例の構成によれば、すべてのスクイブ10に対するしきい値範囲をマイコン36の検出可能なしきい値範囲内に収めるのにダイアグ判定時に各配線12に流す定電流の電流値を同じにしたままでその電流値を小さめにするだけの構成と異なり、各チャンネルのダイアグ電圧のしきい値範囲すべてを一律に狭くすることは不要である。このため、本実施例のシステムによれば、ダイアグ判定を行ううえで外乱等の影響を受け難く、異常診断の誤判定を招き易くなる不都合を回避することが可能となっている。
更に、本実施例のシステムにおいては、複数のスクイブ10が車両に搭載されて複数のチャンネルが設けられるが、各チャンネルのダイアグ判定処理が1チャンネルごとに行われると共に、その各チャンネルのダイアグ判定時に定電流の流通によって生ずるダイアグ電圧が独立して、点火ダイアグ回路20に設けられた唯一つの外部端子32からマイコン36に向けて出力される。この点、本実施例のシステムによれば、点火ダイアグ回路20の電圧出力部とマイコン36の電圧入力部とをチャンネルごとに独立して設けることは不要であって、チャンネルごとのダイアグ電圧それぞれをマイコン36が検出するうえで必要な、点火ダイアグ回路20の電圧出力部とマイコン36の電圧入力部とを繋ぐ部分を簡素に構成することが可能となっている。
尚、上記の実施例においては、スイッチング素子26,28が特許請求の範囲に記載した「切替手段」に、点火ダイアグ回路20のアンプ30及び外部端子32が特許請求の範囲に記載した「電圧出力部」に、それぞれ相当していると共に、マイコン36が、チャンネルごとにダイアグ判定時に流すべき定電流の電流値Ia,Ib,Icを変更することにより特許請求の範囲に記載した「定電流変更手段」が、チャンネルごとに定電流Ia,Ib,Icの流通により生ずる各ダイアグ電圧に基づいて短絡や開放の有無についての異常診断を行うことにより特許請求の範囲に記載した「ダイアグ判定手段」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記の実施例においては、3個以上の複数のスクイブチャンネルを設けると共に、それらのチャンネルの各配線抵抗を3つの抵抗値の何れかをとるものとしたうえで、ダイアグ判定時に流す各定電流を3つの電流値Ia,Ib,Icの何れかに設定するものとしたが、チャンネルごとの配線抵抗が4つ以上に異なるときは、ダイアグ判定時に流す各定電流をその配線抵抗に応じて、4つ以上の定められた電流値から何れかに設定するものであればよい。
また、上記の実施例においては、ダイアグ判定時に各チャンネルに流す3つの定電流Ia,Ib,Icを3つの定電流源42,44,46を用いて生成することとしているが、3つの定電流Ia,Ib,Icを生成するのに3つの定電流源42,44,46を用いる必要はなく、少なくとも互いに異なる定電流を生成可能な2つの定電流源を用いるものとすればよい。例えば、定電流I1,I2を生成可能な2つの定電流源のうち双方の定電流源の作動により定電流Ia(=I1+I2)を、一方の定電流源のみの作動により定電流Ib(=I1)を、他方の定電流源のみの作動により定電流Ic(=I2)を、それぞれ生成することとすればよい。かかる変形例によれば、上記した実施例の構成に比べて、定電流を発生させる定電流源の数を削減することができ、点火ダイアグ回路20を簡素に構成することが可能となる。尚、このことは、複数の互いに異なる定電流を生成するのに同数の定電流源を用いる必要はなく、生成すべき定電流の数よりも少ない数の定電流源を設けることとすれば十分であることを示しており、定電流源の組み合わせにより多数の定電流をそれぞれ発生可能であることを示している。
更に、上記の実施例においては、点火ダイアグ回路20内に設けられた定電流切替回路40により、チャンネルごとに流す各定電流Ia,Ib,Icを定電流源42,44,46への指令に従って切り替えることとしているが、更に、その各定電流Ia,Ib,Icの電流値をIC外部に設けられた基準抵抗を変えることにより可変とすることとしてもよい。車種によっては同じエアバッグのスクイブ10について配線抵抗が大きく異なることが起こり得るが、車種ごとに各定電流Ia,Ib,Icの電流値を切り替えることとすれば、エアバッグシステムのダイアグ判定を、同じ点火ダイアグ回路20を用いて複数の車種にそれぞれ対応して行うことができるため、従って、複数の車種での点火ダイアグ回路20の部品共通化を図ることが可能となり、同じ点火ダイアグ回路20の適用範囲を複数の車種に拡大することが可能となる。
本発明の一実施例である車両に搭載されるシステムの構成図である。 ダイアグ判定時に配線に流す定電流がその配線抵抗に関係なく一定であるものとした場合に生じ得る不都合を説明するための図である。 本実施例のシステムにおける、スクイブと配線とのチャンネルごとの抵抗(スクイブ抵抗と配線抵抗との加算値)とダイアグ判定時に流すべき定電流とダイアグ電圧の正常値(しきい値範囲)との関係を表した図である。 本実施例のシステムにおいて実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。 本実施例のシステムにおいてダイアグ判定時に配線に流す定電流を配線抵抗に応じて変更した場合に生ずる効果を説明するための図である。
符号の説明
10 スクイブ
12 配線
20 点火ダイアグ回路
26,28 スイッチング素子
36 マイコン
40 定電流切替回路
42,44,46 定電流源

Claims (6)

  1. 互いに並列に設けられる複数のスクイブと、それぞれ対応するスクイブごとに接続して点火作動のための電流が流通する複数の配線と、を備える点火装置の異常を検出する装置であって、
    前記配線ごとに、該スクイブを点火作動させるうえでの異常診断を行うべく流通させる定電流の電流値を変更する定電流変更手段と、
    複数の前記配線それぞれに前記定電流変更手段により電流値が変更された前記定電流が流通される際に生ずる各電圧値に基づいて前記異常診断を行うダイアグ判定手段と、
    を備えることを特徴とする点火装置の異常検出装置。
  2. 前記配線ごとに流通させるべき前記定電流それぞれを生成可能な複数の定電流源を備えることを特徴とする請求項1記載の点火装置の異常検出装置。
  3. 複数の前記定電流源はそれぞれ、前記配線ごとに対応して設けられ、対応する前記配線に流通させるべき前記定電流を生成することを特徴とする請求項2記載の点火装置の異常検出装置。
  4. 複数の前記定電流源はそれぞれ、対応するスクイブに関する異常診断が行われるべきときに、該配線に流通させるべき前記定電流を生成することを特徴とする請求項3記載の点火装置の異常検出装置。
  5. それぞれ前記配線ごとに設けられて該配線を導通・遮断する複数の切替手段を備え、
    複数の前記切替手段はそれぞれ、対応するスクイブに関する異常診断が行われるべきときに、該配線を前記定電流が流通可能となるように導通することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載の点火装置の異常検出装置。
  6. 複数の前記配線に接続し、前記配線ごとに前記定電流変更手段により電流値が変更された前記定電流が流通される際に生ずる各電圧を出力する唯一つの電圧出力部を備えることを特徴とする請求項5記載の点火装置の異常検出装置。
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