JP2008092616A - パルスモータ制御装置及びミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】ある励磁パターンで停止させたときに安定位置状態にあるか否かを判断できるようにする。
【解決手段】パルスモータ制御装置は、制御装置17と、X方向パルスモータ11と、X方向ロータリーエンコーダ13と、報知器26とを備えてなる。制御装置17は、X方向パルスモータ11を一方向へ基準トルクモードで回転させて、一方向モータトルク強度を測定し、X方向パルスモータ11を他方向へ前記基準トルクモードと同じモードで回転させて、他方向モータトルク強度を測定し、前記一方向モータトルク強度と、他方向モータトルク強度とを比較し、両モータトルク強度がほぼ一致したときに安定位置状態にあると判定し、両モータトルク強度が相違するときに不安定位置状態であると判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、パルスモータの偏差コントロールを行うのに好適するパルスモータ制御装置及びミシンに関する。
パルスモータの動作原理を図15(a)、(b)、(c)を参照して簡単に述べる。同図において、固定子101と回転子102とを展開して示している。固定子101には、固定子コイル101aが所定ピッチで設けられている。このパルスモータにおいては、駆動パルス1個毎に励磁相が1ステップづつ移動するように制御され、回転子102もその角度分だけ回転する。
そして、パルスモータに対する駆動指令パルス数と、回転角度に応じた位置信号(ロータリーエンコーダからの位置信号)との偏差を適宜設定してモータコントロール(以下偏差コントロールという)することによって、速度制御や、駆動トルク制御、あるいは加減速制御を図るようにしている。この偏差コントロールによるモータトルク制御の一例を図16に示す。この図16(a)では、偏差「2」、(b)では偏差「4」の場合を示している。偏差「2」よりも偏差「4」が駆動トルクは大きい。このように偏差コントロールを行うことで、パルスモータを種々制御できる。
この偏差コントロールを行うミシンとして、例えば特許文献1に記載のものがある。このものでは、パルスモータはロータリーエンコーダを備え、例えばXYテーブルの駆動用モータとして用いられている。また、このものでは、原点設定処理前の指令数カウンタと信号数カウンタとをクリアし、原点設定処理後に、両カウンタの比較を行って、布送り動作を行う構成としている。
特開2004−321771号公報
ところで、上記パルスモータなどの同期モータにおいては、無負荷状態で、ある励磁相で励磁したとき、軸の静止位置(角度)は一意に決まる(この状態をモータの安定位置という)。
しかし、パルスモータをXYテーブルなどの負荷に連結した場合、XYテーブルとベースとの摩擦や慣性によって、前記安定位置からずれた位置(以下、不安定位置という)でもモータ回転軸が停止する場合がある。この時、種々の問題が発生するが、代表的な問題について次に述べる。
「問題点1:モータトルクへの影響」
図17(b)では、回転子102が安定位置で停止している状態(安定位置状態Fb)を示しており、図17(a)には、摩擦などの影響で、安定位置に至らなかった状態(不安定位置状態Fa)を示し、図17(c)には、オーバーシュート後に安定位置に戻らなかった状態(不安定位置状態Fc)を示している。
従来では、上述の安定位置状態及び不安定位置状態を検知する手段がなく、上記不安定位置状態FaあるいはFcを基準位置として設定(駆動パルス及び信号パルスのカウンタをゼロクリア)しまう不具合がある。この後、偏差コントロールを行った場合について、図18(a)〜(c)を参照して説明すると、例えば偏差「2」としたとする。図18(b)の安定位置状態Fbの場合には、与えた偏差「2」で正常に動作する。しかし、図18(a)の不安定位置状態Faでは、偏差「2」を与えたにもかかわらず、偏差「3」として動き、トルクが期待値より強くなって期待値より速く動いてしまい、逆に図18(c)の不安定位置状態Fcでは、偏差「1」として動き、トルクが期待値より弱くなって期待値より遅く動いてしまう。特に、ミシンでは、大型のパルスモータを使用するから、偏差1つ分のずれは大きな影響を及ぼすことになる。
「問題点2:停止位置への影響」
図19を参照して説明する。図19(a−1)、(b−1)、(c−1)は図17(a)〜(c)と同じであり、図19(a−2)、(b−2)、(c−2)は、図19(a−1)、(b−1)、(c−1)の各状態から、目標位置へ制御上正常に移動できたとされる場合を示し、図19(a−3)、(b−3)、(c−3)は図19(a−1)、(b−1)、(c−1)の各状態から、安定位置状態に落ち着いた場合を示している。
図19(a−1)から、制御上正常に移動すると、図19(a−2)に示すように、移動後の位置も不安定位置状態Faとなる。この場合回転子102に右向きの力がかかった状態となる。
図19(c−1)から、制御上正常に移動すると、図19(c−3)に示すように、移動後の位置も不安定位置状態Fcとなる。この場合回転子102に右向きの力がかかった状態となる。
図19(a−1)から移動送り後、図19(a−3)に示すように、安定位置状態に収まると、この場合、信号数が一つ多いから、1パルス数だけ目標位置を超えていると制御系が判断してしまい、正常な制御がなされない。
図19(c−1)から移動送り後、図19(c−3)に示すように、安定位置状態に収まると、この場合、信号数が一つ多いから、1パルス数だけ目標位置に足りないと制御系が判断してしまい、正常な制御がなされない。
以上のように、従来では、ある励磁パターンでパルスモータを停止させたときに安定位置状態か不安定位置状態かを判断できず、偏差コントロールする場合に、パルスモータのモータトルクが期待値からずれたり、あるいはパルスモータによる目標位置への移動制御時に回転子に常に力が作用したり、目標位置からずれたりすることがある。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ある励磁パターンで停止させたときに安定位置状態にあるか否かを判断することができるパルスモータ制御装置及びミシンを提供することにある。
請求項1のパルスモータ制御装置は、パルスモータに対して駆動信号を出力してパルスモータの位置を制御するパルスモータ制御装置において、前記パルスモータを一方向へ基準トルクモードで回転させて、一方向モータトルク強度を測定する一方向強度測定手段と、前記パルスモータを他方向へ前記基準トルクモードと同じモードで回転させて、他方向モータトルク強度を測定する他方向強度測定手段と、前記一方向強度測定手段により測定した一方向モータトルク強度と、前記他方向強度測定手段により測定した他方向モータトルク強度とを比較し、両モータトルク強度がほぼ一致したときに安定位置状態にあると判定し、両モータトルク強度が相違するときに不安定位置状態であると判定する判定手段とを備えたところに特徴を有する。
パルスモータが安定位置状態にある場合には、回転子は一方向(例えば右方向)及び他方向(左方向)のいずれにもトルクが作用していないものであり、パルスモータが不安定位置状態である場合には、回転子は停止しているとはいうものの、一方向(例えば右回転方向)あるいは他方向(左回転方向)に作用するトルク(以下、内在トルクという)がある。
この点に着目した上記請求項1の発明よれば、ある励磁パターンで停止させたときにパルスモータが安定位置状態にある場合には、一方向強度測定手段で測定した一方向モータトルクと、他方向強度測定手段で測定した他方向モータトルクとは、ほぼ一致(完全一致も含む)となり、安定位置状態であることを正確に判定できる。また、パルスモータが不安定位置状態にあるときには、一方向強度測定手段で測定した一方向モータトルクと、他方向強度測定手段で測定した他方向モータトルクとは、相違し、もって、不安定位置状態であることを正確に判定できる。
請求項2のパルスモータ制御装置は、請求項1において、前記パルスモータの回転子の回転位置を検出して検出信号を出力する位置検出手段を備え、前記基準トルクモードは、所定偏差であり、前記一方向強度測定手段は、パルスモータを前記所定偏差で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間をもって一方向モータトルク強度を測定し、前記他方向強度測定手段は、パルスモータを前記所定偏差と同じ偏差で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間をもって他方向モータトルク強度を測定するところに特徴を有する。
この請求項2の発明によれば、駆動パルス数と位置検出信号の信号パルス数との偏差は、モータトルクの程度を示すと考えて良いことに着目している。従って前記所定偏差は基準モータトルクとして代用でき、基準モータトルクの強度(目安)設定が容易であり、そして、パルスモータを前記所定偏差で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間と、パルスモータを前記所定偏差と同じ偏差で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間とは、内在トルクの有無によって相違する。これによって一方向モータトルクと、他方向モータトルクとの相違を前記所要時間の相違でもって判定でき、この結果、所要時間算出という簡単な手段で、不安定位置状態であることを正確に判定できる。
請求項3のパルスモータ制御装置は、請求項1において、前記パルスモータの回転子の回転位置を検出して検出信号を出力する位置検出手段を備え、前記基準トルクモードは、所定加減速偏差であり、前記一方向強度測定手段は、前記パルスモータに対して前記所定加減速偏差で一方向への駆動パルスを所定値出力し、前記回転子のオーバーシュート量をもって一方向モータトルク強度を測定し、前記他方向強度測定手段は、前記パルスモータに対して前記所定加減速偏差と同じ加減速偏差で他方向への駆動パルスを所定値出力し、前記回転子のオーバーシュート量をもって他方向モータトルク強度を測定するところに特徴を有する。
この請求項3の発明によれば、一方向モータトルクと、他方向モータトルクとの相違を前記一方向のオーバーシュート量と他方向のオーバーシュート量の相違でもって判定でき、この結果、オーバーシュート算出という簡単な手段で、不安定位置状態であることを正確に判定できる。
請求項4のパルスモータ制御装置は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記判定手段により不安定位置状態であることが判定されたときに、不安定位置状態を解消する不安定解消手段を備えたところに特徴を有する。
この請求項4の発明によれば、不安定解消手段により、不安定位置状態を安定位置状態に戻すことができる。
請求項5のパルスモータ制御装置は、請求項4において、前記不安定解消手段は、前記一方向強度測定手段及び他方向強度測定手段による測定動作、及び前記判定手段による判定動作を再度実行するとともに、その実行回数が所定回数に達したときには、測定動作及び判定動作を中止するところに特徴を有する。
この請求項5の発明によれば、前記一方向強度測定手段及び他方向強度測定手段が測定動作をするうちに、安定位置状態に戻る可能性があり、特別な不安定解消処理をせずに、安定位置状態に戻すことができる。また、不安定解消処理の実行回数が所定回数に達したときには、測定動作及び判定動作を中止するから、不安定解消処理がいつまでもなされないときには中止できる。
請求項6のパルスモータ制御装置は、請求項1ないし5のいずれかにおいて、報知手段を備え、前記判定手段による判定結果を該報知手段により報知させるところに特徴を有する。
この請求項6の発明によれば、安定位置状態であるか否かを報知できて、適切な処置を迅速に行うことができる。
請求項7のパルスモータ制御装置は、パルスモータに対して駆動信号を出力してパルスモータの位置を制御するパルスモータ制御装置において、前記パルスモータを一方向及び他方向へそれぞれ基準トルクモードで回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差を検出する第1の強度差検出手段と、前記パルスモータを一方向へ前記基準トルクモードより一段低いところの低トルクモードで回転させると共に、前記基準トルクモードより一段高いところの高トルクモードで回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差を検出する第2の強度差検出手段と、前記パルスモータを一方向へ前記高トルクモードで回転させると共に、他方向へ前記低トルクモードで回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差を検出する第3の強度差検出手段と、前記第1の強度差検出手段、第2の強度差検出手段及び第3の強度差検出手段によりそれぞれ検出されたモータトルク強度差のうち、第1の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、安定位置状態であると判定し、第2の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が一方向であると判定し、第3の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が他方向であると判定する判定手段とを備えたところに特徴を有する。
この請求項7の発明は、前記不安定位置状態有無と、不安定位置状態有りの場合の内在トルク作用方向とを検出できるようにしている。すなわち、この請求項7の発明によれば、前記パルスモータを一方向及び他方向へそれぞれ基準トルクモードで回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差を検出する第1の強度差検出手段において、当該モータトルク強度差がほとんどゼロであると、前記内在トルクがなく、安定位置状態であると判定できる。また、前記内在トルクが一方向へ作用している不安定位置状態では、前記パルスモータを一方向へ前記基準トルクモードより一段低いところの低トルクモードで回転させると共に、前記基準トルクモードより一段高いところの高トルクモードで回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差を検出する第2の強度差検出手段において、当該モータトルク強度差がほとんどゼロとなる。また、前記内在トルクが他方向へ作用している不安定位置状態では、前記パルスモータを一方向へ前記高トルクモードで回転させると共に、他方向へ前記低トルクモードで回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差を検出する第3の強度差検出手段において、当該モータトルク強度差がほとんどゼロとなる。
従って、前記判定手段は、これら第1ないし第3の強度差検出手段の検出結果により、安定位置状態であるか不安定位置状態であるかを正確に判定できると共に、不安定位置状態有りの場合における内在トルク作用方向を正確に判定することができる。また、相対的に、内在トルク方向とは逆方向に回転子がずれているから、該回転子のずれ方向も判定することができる。
請求項8のパルスモータ制御装置は、請求項7において、前記パルスモータの回転子の回転位置を検出して検出信号を出力する位置検出手段を備え、前記基準トルクモードは第1の所定偏差N1(N1は2以上の整数)、前記低トルクモードは第2の所定偏差N2(N2=N1−1)、前記高トルクモードは第3の所定偏差N3(N3=N1+1)であり、前記第1の強度差検出手段は、前記パルスモータを第1の所定偏差N1で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間と、パルスモータを前記第1の所定偏差N1と同じ偏差で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間との差を、モータトルク強度差として検出し、前記第2の強度差検出手段は、パルスモータを第2の所定偏差N2で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間と、パルスモータを前記第3の所定偏差N3で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間との差を、モータトルク強度差として検出し、前記第3の強度差検出手段は、パルスモータを第3の所定偏差N3で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間と、パルスモータを前記第2の所定偏差N2で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間との差を、モータトルク強度差として検出するところに特徴を有する。
この請求項8の発明によれば、第1の所定偏差、第2の所定偏差及び第3の所定偏差を設定し、第1ないし第3の強度差検出手段が一方向での前記所要時間と他方向での前記所要時間により、モータトルク差を検出することで、前記不安定位置状態有無と、不安定位置状態有りの場合の内在トルク作用方向とを検出できるようにしており、比較的簡単な構成により、不安定位置状態の有無及び不安定位置状態有りの場合における内在トルク作用方向を正確に判定することができる。
請求項9のパルスモータ制御装置は、パルスモータに対して駆動信号を出力してパルスモータの位置を制御するパルスモータ制御装置において、前記パルスモータを、一方向へ基準トルクモードで加速回転及び減速回転させると共に他方向へ前記基準トルクモードで加速回転及び減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出する第1の強度差検出手段と、前記パルスモータを、一方向へ前記基準トルクモードより一段低いところの低トルクモードで加速回転し前記基準トルクモードより一段高いところの高トルクモードで減速回転させると共に、他方向へ前記高トルクモードで加速回転し前記低トルクモードで減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出する第2の強度差検出手段と、前記パルスモータを、一方向へ前記高トルクモードで加速回転し前記低トルクモードで減速回転させると共に、他方向へ前記低トルクモードで加速回転し前記高トルクモードで減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出する第3の強度差検出手段と、前記第1の強度差検出手段、第2の強度差検出手段及び第3の強度差検出手段によりそれぞれ検出されたモータトルク強度差のうち、第1の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、安定位置状態であると判定し、第2の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が一方向であると判定し、第3の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が他方向であると判定する判定手段とを備えたところに特徴とする。
この請求項9の発明によれば、前記第1の強度差検出手段において、当該モータトルク強度差がほとんどゼロであると、前記内在トルクがなく、安定位置状態であると判定できる。また、前記内在トルクが一方向へ作用している不安定位置状態では、前記第2の強度差検出手段において、当該モータトルク強度差がほとんどゼロとなる。また、前記内在トルクが他方向へ作用している不安定位置状態では、前記第3の強度差検出手段において、当該モータトルク強度差がほとんどゼロとなる。
従って、前記判定手段は、これら第1ないし第3の強度差検出手段の検出結果により、不安定位置状態の有無及び不安定位置状態有りの場合における内在トルク作用方向を正確に判定することができる。また、この請求項9の発明によれば、第1ないし第3の強度差検出手段がそれぞれオーバーシュート量の差を検出することにより、比較的簡単な構成により、モータトルク強度差を検出できる。
請求項10のパルスモータ制御装置は、請求項9において、前記パルスモータの回転子の回転位置を検出して検出信号を出力する位置検出手段を備え、前記第1の強度検出手段は、前記パルスモータを、一方向へ第1の所定偏差N1(N1は2以上の整数)で加速回転及び減速回転させると共に他方向へ前記第1の所定偏差N1で加速回転及び減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出し、前記第2の強度検出手段は、前記パルスモータを、一方向へ前記第2の所定偏差N2(N2=N1−1)で加速回転し前記第3の所定偏差N3(N3=N1+1)で減速回転させると共に、他方向へ前記第3の所定偏差N3で加速回転し前記第2の所定偏差N2で減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出し、前記第3の強度検出手段は、前記パルスモータを、一方向へ前記第3の所定偏差N3で加速回転し前記第2の所定偏差N2で減速回転させると共に、他方向へ前記第2の所定偏差N2で加速回転し前記第3の所定偏差N3で減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出するところに特徴を有する。
この請求項10の発明によれば、所定の偏差関係にある第1の所定偏差N1、第2の所定偏差N2及び第3の所定偏差N3を設定し、これらの所定偏差N1〜N3を用いて、第1ないし第3の強度差検出手段がそれぞれオーバーシュート量の差を検出するようにしたから、比較的簡単な構成により、不安定位置状態の有無及び不安定位置状態有りの場合における内在トルク作用方向を正確に判定することができる。
請求項11のパルスモータ制御装置は、請求項7ないし10のいずれかにおいて、前記判定手段により不安定位置状態であることが判定されたときに、内在トルク作用方向を考慮した補正を行う補正手段を備えたところに特徴を有する。
この請求項11の発明によれば、不安定位置状態でのモータ制御であっても、補正手段による補正によって、適正な制御が可能となる。
請求項12のパルスモータ制御装置は、請求項7ないし11のいずれかにおいて、報知手段を備え、前記判定手段による判定結果を該報知手段により報知させるところに特徴を有する。
この請求項12の発明によれば、安定位置状態であるか否かを認識できて、適切な処置を迅速に行うことができる。
請求項13のミシンは、被駆動系の駆動源としてパルスモータを備えると共に、前記請求項1ないし12のいずれかのパルスモータ制御装置を備えたところに特徴を有する。
この請求項13の発明によれば、パルスモータを適正に制御できるから、ミシンの被駆動系を適正に制御できる。
本発明によれば、ある励磁パターンで停止させたときに安定位置状態にあるか否かを判断することができる。
以下、本発明を模様縫いミシンに適用した第1の実施例について図1ないし図6を参照して説明する。図2に示すように、模様縫いミシン1は、ベッド部2と、ベッド部2の後端部から立設された脚柱部3と、その脚柱部3の上端部からベッド部2と対向するように前方へ延びるアーム部4等から構成されている。
脚柱部3及びアーム部4には、図示を省略するが、針棒6を介して縫針を上下駆動するためのミシンモータ7と、そのミシンモータ7の駆動力を主軸を介して針棒6に伝達する駆動力伝達機構等が設けられているが、公知の技術であるため、ここではその詳細は説明を省略する。また、アーム部4の前端5の内部に、針棒6を上下動させる針棒上下動機構が設けられている。
ベッド部2には、図示を省略するが、布保持機構と、この布保持機構をX方向(左右方向)とY方向(前後方向)に移動させる布送り機構に加え、縫針の上下動とタイミングを合わせて模様縫目を形成する回転釜と、ミシンモータ7の回転駆動力を主軸を介して回転釜に伝達する下軸と、縫製終了時に上糸と下糸を同時に切断する糸切り機構等が設けられている。
ここで布保持機構は、後述する布送り機構のX方向移動体に連結され、平面視にて矩形枠上の布保持枠8を下側の布受け板9とで加工布を挟持するもので、周知であり、この発明とは関係しないため、その詳細な説明を省略する。
前記布送り機構は、布保持枠8と布受け板9とからなる布保持体10をX方向及びY方向に移動させるものであり、この布送り機構について、図示を省略して簡単に説明する。ベッド部2内に、Y方向移動体をY方向に移動させるY方向移動機構(被駆動系)と、X方向移動体をX方向に移動させるX方向移動機構(被駆動系)等が設けられている。
前記X方向移動機構は本発明に係わるパルスモータであるX方向パルスモータ11(図1参照)によりX方向移動機構を駆動するように構成され、同じく本発明に係わるパルスモータであるY方向パルスモータ12(図1参照)によりY方向移動機構を駆動するように構成されている。
前記X方向パルスモータ11には位置検出手段としてのX方向ロータリーエンコーダ13が内蔵されていて、このX方向ロータリーエンコーダ13は、前記X方向パルスモータ11の回転軸に連結されたディスクと、発光部及び受光部を備えた検出器とを備えた周知構成のものであり、前記ディスクには回転角度を検出するためのスリットと、原点位置を検出するためのスリットが形成されている。
前記Y方向パルスモータ12にも位置検出手段としてのY方向ロータリーエンコーダ14が内蔵されていて、このY方向ロータリーエンコーダ14は、前記X方向ロータリーエンコーダ13と同じ構成である。Y方向パルスモータ12もX方向パルスモータ11と同様に制御されるが、X方向パルスモータ11の制御について以下述べる。
図1において、模様縫いミシン1の制御系について説明する。X方向原点センサ15は布送り機構のX方向移動機構のX方向原点位置を検出するためのセンサであり、また、Y方向原点センサ16は布送り機構のY方向移動機構のY方向原点位置を検出するためのセンサである。制御装置17は入出力インターフェース18と、CPU19と、ROM20及びRAM21等を含むコンピュータと、駆動回路22、23、24とを有する。
入出力インターフェース18には、起動停止スイッチ25と、報知手段としての報知器26(例えばブザー)と、ミシンモータ7駆動のための前記駆動回路22と、前記X方向パルスモータ11駆動のための前記駆動回路23と、Y方向パルスモータ12駆動のための前記駆動回路24と、X方向ロータリーエンコーダ13と、Y方向ロータリーエンコーダ14と、X方向原点センサ15と、Y方向原点センサ16が接続されている。
前記制御装置17のCPU19は、ROM20に記憶された各種制御のためのプログラムに従って制御処理を実行するものであり、
次に、本発明のパルスモータ制御装置の動作について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。このフローチャートに示す制御は、X方向パルスモータ11及びY方向パルスモータ12のいずれにも適用されるものであるが、例えば以下、X方向パルスモータ11の制御について説明する。
起動停止スイッチ25により電源がオンされるとこのフローチャートが開始される。ステップP1においては、X方向パルスモータ11の任意の励磁相をオンし、そしてステップP2でX方向移動機構を、基準位置であるX方向原点位置に移動させる。つまりX方向原点センサ15が原点位置検出信号を出力するまでX方向移動機構を移動する。
このステップP2の後、ステップP3に移行し、制御装置17が駆動回路23を介してX方向パルスモータ11に出力する駆動パルスの指令値カウンタ(ソフトカウンタ)と、X方向ロータリーエンコーダ13から入力される信号の信号カウンタ(ソフトカウンタ)をゼロクリアする。
ステップP4では、タイマー(ソフトタイマー)をゼロからスタートさせる。ステップP5では、X方向パルスモータ11に一方向(正方向(時計方向))に、基準トルクモードとしての偏差(指令値カウンタと信号カウンタの偏差)が常に例えば所定偏差「3」となるように、駆動パルスを出力する。つまり、X方向ロータリーエンコーダ13から入力される信号数に対して駆動パルスを「3」先行させるように制御する。この場合X方向パルスモータ11は、前記原点位置で安定位置状態であったとすると、所定偏差「3」相当のモータトルクで動作する。この場合駆動パルスは所定パルス数例えば80パルス出力する。
そしてステップP6で、信号カウンタが規定値(上述の80パルス)に達したことが判断されると、ステップP7で、このときの所要時間であるタイマー値Tcwをメモリ(RAM21)に記憶する。このタイマー値Tcwは、モータトルクが強いほど短くなるもので、モータトルク強度の目安となる。そして、ステップP8で駆動パルスの出力を停止する(通電励磁相の移動を停止する)。そして、ステップP9でX方向パルスモータ11の回転子11aが静止したことが判断されると、ステップP10で、タイマーを再度ゼロからスタートさせ、ステップP11〜ステップP14では、他方向について、前述のステップP5〜ステップP8と同様の制御を行う。この場合、ステップP13でこのときの所要時間であるタイマー値Tccwをメモリ(RAM21)に記憶する。このタイマー値Tccwも、モータトルクが強いほど短くなるもので、モータトルク強度の目安となる。
ステップP15では、上記タイマー値TcwとTccwとを比較し、つまり一方向でのモータトルク強度と他方向でのモータトルク強度とを比較し、それらがほぼ一致(完全一致でも良いし、ある範囲で一致しても良い)すれば、ステップP16に移行して安定位置状態であることを判定し、安定位置状態を知らせるモード(例えば「ピッ」といった1回の短いブザー音モード)で、前記報知器26を駆動する。この後、ステップP17で、原点位置に移動してこの制御を終了する。
前記ステップP15で一致しないことが判断されると、ステップP18に移行して、不安定位置状態であると判定し、不安定解消処理の実行回数のパラメータFnを初期値0から1インクリメントする。そしてこのパラメータFnが予め定められた所定回数Kに達していなければ、不安定解消処理を実行する。この不安定解消処理は、前記ステップP2〜ステップP15の制御、つまり、前記一方向強度測定手段及び他方向強度測定手段による測定動作、及び前記判定手段による判定動作を再度実行する処理であり、その実行回数パラメータFnが所定回数Kに達したときには、ステップP21で測定動作及び判定動作を中止し、ステップP22で報知器26に不安定位置状態であることを報知させる。この場合の報知モードは例えば「ピッピッピ」といった短いブザー音を3回鳴らすモードである。
前記ステップP15で、上記タイマー値Tcw(一方向でのモータトルク強度の目安)とTccwと(他方向でのモータトルク強度の目安)とがほぼ一致するときに安定位置状態であると判定し、ほぼ一致しないときに不安定位置状態と判定する根拠について、図4〜図6を参照して説明する。
図4(a)には、前記原点位置で回転子11aが固定子11bに対して安定位置である状態を示しており、この状態では一方向及び他方向での不安定な内在トルクは作用していない。この状態では、一方向へ所定偏差「3」を与えたときには、図4(b)に示すように、一方向へ偏差「3」相当のモータトルクが作用し、また、図4(c)に示すように、他方向へも偏差「3」相当のモータトルクが作用する。従って、前記原点位置での状態は安定位置であると判定できる。
また、図5(a)では、回転子11aが他方向へ偏差「1」分ずれた不安定位置状態を示しており、従って、この図5(a)では、一方向へ偏差「1」分の内在トルクが作用しているといえる。この状態から回転子11aが一方向へ偏差「3」が与えられると、実質的に偏差「4」となり、他方向へ偏差「3」が与えられると、実質的に偏差「2」となり、不安定位置状態であると判定できる。
図6(a)では回転子11aが一方向へ偏差「1」分ずれた不安定位置状態を示しており、従って、この図5(a)では、他方向へ偏差「1」分の内在トルクが作用しているといえる。この状態で一方向、他方向にそれぞれ偏差「3」を与えると、図6(b)、(c)で示すように、実質的な偏差がそれぞれ「2」、「4」となるから、この場合も不安定位置状態であると判定できる。
このような本実施例によれば、X方向パルスモータ11の基準トルクモードで、一方向及び他方向へ回転移動させ、一方向及び他方向のモータトルク強度がほぼ一致するか否かを判断して、安定位置状態であるか否かを判定するようにしたから、このX方向パルスモータ11が安定位置状態にある場合には、制御装置17が測定した一方向モータトルクと、他方向モータトルクとが、ほぼ一致することとなり、安定位置状態であることを正確に判定できる。また、X方向パルスモータ11が不安定位置状態にあるときには、一方向モータトルクと、他方向モータトルクとが相違することとなり、不安定位置状態であることを正確に判定できる。従って、X方向パルスモータ11の偏差コントロールを正常に行うことができるようになる。
また、本実施例によれば、前記X方向パルスモータ11の回転子11aの回転位置を検出して検出信号を出力するX方向ロータリーエンコーダ13と、前記X方向パルスモータ11の回転子11aを所定角度回転させるための駆動パルスを出力すると共に、この駆動パルス数と前記位置検出信号の信号パルス数との偏差が任意の偏差となるように前記X方向パルスモータ11を制御することが可能なモータ駆動制御手段たる制御装置17とを備え、前記基準トルクモードを、所定偏差としたから、基準モータトルクの設定が容易であり、そして、X方向パルスモータ11を前記所定偏差で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間をもって一方向モータトルク強度を測定し、前記所定偏差と同じ偏差で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間をもって他方向モータトルク強度を測定するようにしたから、一方向モータトルクと、他方向モータトルクとの相違を前記所要時間の相違でもって判定でき、この結果、所要時間算出という簡単な手段で、安定位置であるか不安定位置状態であるかを正確に判定できる。
また、本実施例によれば、不安定位置状態であることが判定されたときに、不安定解消処理を実行するようにしたから、不安定位置状態を安定位置状態に戻すことができる。
特に、前記不安定解消処理を、前記一方向モータトルク強度及び他方モータトルク強度の測定動作、及び前記判定動作を再度実行する処理内容としたから、次の効果を得ることができる。すなわち、X方向パルスモータ11を一方向及び他方向へ回転移動させてモータトルク強度を測定するといった測定動作をするうちに、X方向パルスモータ11が安定位置状態に戻る可能性があり、特別な不安定解消処理をせずに、安定位置状態に戻すことができる。また、実行回数が所定回数に達したときには、測定動作及び判定動作を中止するから、不安定解消処理がいつまでもなされないときには中止できる。
また、本実施例によれば、報知器26を備え、前記判定結果を該報知器26により報知させるようにしたから、安定位置状態であるか否かを認識できて、適切な処置を迅速に行うことができる。
尚、ステップP5〜ステップP8を実行する制御装置17が、一方向強度測定手段として機能し、ステップP11〜ステップP14を実行する制御装置17が、他方向強度測定手段として機能し、ステップP15を実行する制御装置17が判定手段として機能する。また、前記ステップP15の「NO」を経てステップP2〜ステップP15の処理を実行する制御装置17が不安定解消手段として機能する。
図7は本発明の第2の実施例を示しており、この実施例においては、次の点が第1の実施例と異なる。すなわち、第1の実施例では、所要時間をもってモータトルク強度を測定するようにしたが、この第2の実施例では、オーバーシュート量をもってモータトルク強度を測定するようにしている。この第2の実施例では、前記基準トルクモードを所定加減速偏差「3」としている。
この第2の実施例の特徴的部分について述べる。ステップQ4では、一方向へ、この所定加速偏差「3」で駆動パルスを出力してX方向パルスモータ11を加速駆動制御し、ステップQ5で、指令値カウンタが予め設定された規定加速パルス数に達したか否かを判断する。
達すれば、ステップQ6で一方向へ所定減速偏差「3」の駆動パルスを出力して減速駆動制御する。そして、移動値カウンタが規定移動パルス数に達すれば、つまり、駆動パルスを所定値(例えば80パルス)出力すれば(ステップQ7で判断)、ステップQ8で駆動パルスの出力を停止する。そしてステップQ9で信号カウンタ値CTcwを記憶する。そしてステップQ10でX方向パルスモータ11の回転子11aが静止したか否かを判断し、静止するまでに信号カウンタ値が増加すれば(ステップQ11で判断)、信号カウンタ値CTcwを更新記憶する(ステップQ12)。この信号カウンタ値CTcwは一方向についてのオーバーシュート量の目安ひいてはモータトルク強度の目安となる。
そして、回転子11aが静止すれば(ステップQ10の「YES」)、ステップQ13〜ステップQ21に移行して、X方向パルスモータ11の他方向回転移動について、所定加速偏差「3」で加速し、所定減速偏差「3」で減速し、他方向での信号カウンタ値CTccwを記憶する。この信号カウンタ値CTccwは他方向についてのオーバーシュート量の目安ひいてはモータトルク強度の目安となる。
そしてステップQ22で、前記一方向の信号カウンタ値CTcw及び他方向の信号カウンタ値CTccwがほぼ一致することが判断されると、ステップQ23で、安定位置状態を判定するとともにこの判定結果を報知する。ステップQ22で前記信号カウンタ値CTcw及び信号カウンタ値CTccwが相違すると、ステップQ25〜ステップQ29(第1の実施例におけるステップP18〜ステップP22同様の処理)を実行する。
ここで、この第2の実施例において、原点位置状態で、X方向パルスモータ11が安定位置状態であったとすると、前記第1の実施例の図4から理解できるように、前記一方向のオーバーシュート量(信号カウンタ値CTcw)及び他方向のオーバーシュート量(信号カウンタ値CTccw)はほぼ一致することになる。
また、原点位置状態で、X方向パルスモータ11が図5の不安定位置状態であったとすると、内在トルクが一方向に作用しているから、一方向加速時の実質偏差が「4」となり、加速力が大きくてオーバーシュート量は大きく、一方向減速時の実質偏差が「2」となり減速力が低くオーバーシュート量も大きくなり、結局、一方向のオーバーシュート量は大きくなる。また他方向加速時の実質偏差は「2」となり、加速力が小さくて他方向のオーバーシュート量は小さく、他方向減速時の実質偏差は「4」となり減速力が大きくて他方向のオーバーシュート量も小さく、結局、他方向のオーバーシュート量は小さくなる。
従って、前記一方向のオーバーシュート量(信号カウンタ値CTcw)及び他方向のオーバーシュート量(信号カウンタ値CTccw)は相違することになる。
また、原点位置状態で、X方向パルスモータ11が図6の不安定位置状態であったとすると、内在トルクが他方向に作用しているから、この場合も、前記一方向のオーバーシュート量(信号カウンタ値CTcw)及び他方向のオーバーシュート量(信号カウンタ値CTccw)は相違することになる。この場合、一方向のオーバーシュート量が小さく、他方向のオーバーシュート量は大きい。
この第2の実施例によれば、前記基準トルクモードを、所定加減速偏差とし、X方向パルスモータ11に対して前記所定加減速偏差で一方向への駆動パルスを所定値出力し、前記回転子11aのオーバーシュート量をもって一方向モータトルク強度を測定し、前記X方向パルスモータ11に対して前記所定加減速偏差と同じ加減速偏差で他方向への駆動パルスを所定値出力し、前記回転子11aのオーバーシュート量をもって他方向モータトルク強度を測定するから、一方向モータトルクと、他方向モータトルクとの相違を前記一方向のオーバーシュート量と他方向のオーバーシュート量の相違でもって判定でき、この結果、オーバーシュート量差算出という簡単な手段で、不安定位置状態であることを正確に判定できる。
尚、ステップQ4〜ステップQ12までの処理を実行する制御装置17が、請求項3の一方向強度測定手段として機能し、ステップQ13〜ステップQ21までの処理を実行する制御装置17が、請求項3の他方向強度測定手段として機能し、ステップQ22の処理を実行する制御装置17が、判定手段として機能する。
図8ないし図10は本発明の第3の実施例を示し、この第3の実施例について特徴的なところについて説明する。図8のフローチャートにおいて、ステップR4及びステップR5が第1の強度差検出手段に相当し、ステップR6及びステップR7が第2の強度差検出手段に相当し、ステップR8及びステップR9が第3の強度差検出手段に相当し、ステップR10が判定手段及び補正手段に相当する。そして、この第3の実施例における基準トルクモードは、第1の所定偏差「3」、前記基準トルクモードより一段低いところの低トルクモードは、第2の所定偏差「2」、前記基準トルクモードより一段高いところの高トルクモードは、第3の所定偏差「4」としている。
前記ステップR4では、第1の所定偏差「3」を一方向偏差及び他方向偏差として設定した上で、時間差算出処理(制御内容は図9に示している)を実行する。この図9のステップS1では、タイマー(ソフトタイマー)をゼロからスタートさせる。ステップS2では、X方向パルスモータ11に一方向に、設定された偏差(この場合第1の所定偏差「3」となるように、駆動パルスを出力する。そしてステップS3で、信号カウンタが規定値(例えば80パルス)に達したことが判断されると、ステップS4で、このときの所要時間であるタイマー値Tcwをメモリ(RAM21)に記憶する。ステップS5で駆動パルスの出力を停止する。そして、ステップS6でX方向パルスモータ11の回転子11aが静止したことが判断されると、ステップS7で、タイマーを再度ゼロからスタートさせ、ステップS8〜ステップS11では、他方向について、前述のステップP5〜ステップP8と同様の制御を行う。この場合、ステップS10でこのときの所要時間であるタイマー値Tccwをメモリ(RAM21)に記憶する。そして、ステップS12では所要時間差の絶対値を算出する(強度差を検出する)。そして、図8のステップR5に戻る。このステップR5では、算出された時間差(絶対値)を時間差D33として記憶する。
次のステップR6では、一方向偏差を第2の所定偏差「2」に設定し、他方向偏差を第3の所定偏差「4」に設定した上で、時間差算出処理(制御内容は前記図9に示している)を実行する。そして、ステップR7では、算出された時間差を時間差D24として記憶する。
そして、次のステップR8では、一方向偏差を第3の所定偏差「4」に設定し、他方向偏差を第2の所定偏差「2」に設定した上で、時間差算出処理(制御内容は前記図9に示している)を実行する。そして、ステップR9では、算出された時間差を時間差D42として記憶する。
次のステップR10では、判定・ずれ補正処理を実行する。この処理内容は図10に示している。この図10のステップT1では前記時間差D33、D24、D42のうちで時間差D24が一番小さいか否かを判断し、小さくなければ、ステップT2で時間差D42が小さいか否かを判断し、小さくなければ、つまり、時間差D33が一番小さければ、ステップT3で安定位置状態であると判定すると共に、その旨を報知する。
前記ステップT1で時間差D24が一番小さいことが判断されると、ステップT4に移行して、図5(a)の不安定位置状態(回転子11aが他方向へ偏差「1」分ずれた不安定位置状態(一方向へ偏差「1」分の内在トルクが作用している状態))であると判定し、信号カウンタを「1」減算する補正を行う。
前記ステップT2で時間差D42が一番小さいことが判断されると、ステップT5に移行して、図6(a)の不安定位置状態(回転子11aが一方向へ偏差「1」分ずれた不安定位置状態(他方向へ偏差「1」分の内在トルクが作用している状態))であると判定し、信号カウンタを「1」加算する補正を行う。
ここで、時間差D33が一番小さいことをもって、原点位置で安定位置状態であることを判定できる根拠は次にある。すなわち、前述の第1の実施例の図4(a)から理解できるように、安定位置状態では、一方向及び他方向とも第1の所定偏差「3」であるので、時間差D33はほぼゼロとなる。この場合、図5(a)に示す不安定位置状態(回転子11aが他方向へ偏差「1」分ずれた不安定位置状態(一方向へ偏差「1」分の内在トルクが作用している状態))であったとすると、一方向及び他方向とも第1の所定偏差「3」が与えられると、一方向への実質偏差が「4」(タイマー値小)、逆方向への実質偏差が「2」(タイマー値大)となり、時間差D24(絶対値)が大きい。また、図6(a)に不安定位置状態(回転子11aが一方向へ偏差「1」分ずれた不安定位置状態(他方向へ偏差「1」分の内在トルクが作用している状態))であったとすると、一方向及び他方向とも第1の所定偏差「3」が与えられると、一方向への実質偏差が「2」(タイマー値大)、逆方向への実質偏差が「4」(タイマー値大)となり、時間差D24(絶対値)が大きい。従って、時間差D33が一番小さいことをもって、原点位置で安定位置状態であることを判定できる。
また、一方向に第2の所定偏差「2」を与え、他方向へ第3の所定偏差「4」を与えたときには、図5(a)の不安定位置状態で、一方向実質偏差が「3」、他方向実質偏差も「3」となり、もって、時間差D24がほぼゼロとなり、図5(a)の不安定位置状態であることが判る。なお、一方向へ第2の所定偏差「2」、他方向へ第3の所定偏差「4」を与えたとき、図4(a)の安定位置状態では、一方向実質偏差はそのまま「2」、他方向実質偏差はそのまま「4」となり、もって、時間差D24はがゼロとならない。また、図6(a)の不安定位置状態では、一方向実質偏差が「1」、他方向実質偏差が「5」となり、もって時間差D24はゼロとならない。従って、時間差D24がほぼゼロとなる状態は、図5(a)の不安定位置状態であることが判る。
また、一方向へ第3の所定偏差「4」を与え、他方向へ第2の所定偏差「2」を与えたときには、図6(a)の不安定位置状態で、一方向実質偏差が「3」、他方向実質偏差も「3」となり、もって、図6(a)の不安定位置状態であることが判る。
なお、ステップR4及びステップR5の処理を実行する制御装置17が請求項7、8の第1の強度差検出手段として機能し、ステップR6及びステップR7の処理を実行する制御装置17が請求項7、8の第2の強度差検出手段として機能し、ステップR8及びステップR9の処理を実行する制御装置17が請求項7、8の第3の強度差検出手段として機能し、ステップR10の処理を実行する制御装置17が請求項7の判定手段として機能する。
このような第3の実施例によれば、第1の強度差検出手段として機能する制御装置17が、X方向パルスモータ11を一方向及び他方向へそれぞれ基準トルクモードである第1の所定偏差「3」で回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差たる時間差D33を検出し、第2の強度差検出手段として機能する制御装置17が、第2の前記X方向パルスモータ11を一方向へ前記基準トルクモードより一段低いところの低トルクモードである第2の所定偏差「2」で回転させると共に、前記基準トルクモードより一段高いところの高トルクモードである第3の所定偏差「4」で回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差たる時間差D24を検出し、第3の強度差検出手段として機能する制御装置17が、前記X方向パルスモータ11を一方向へ前記第3の所定偏差「4」で回転させると共に、他方向へ前記第2の所定偏差「2」で回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差たる時間差D33を検出し、前記時間差D33が一番小さいときに、安定位置状態であると判定し、前記時間差D24が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が一方向であると判定し、前記時間差D42が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が他方向であると判定するから、安定位置状態であるか不安定位置状態であるかを正確に判定できると共に、不安定位置状態有りの場合における内在トルク作用方向を正確に判定することができる。
また、この第3の実施例によれば、X方向パルスモータ11を第1の所定偏差「3」で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間と、X方向パルスモータ11を前記第1の所定偏差「3」と同じ偏差で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間との時間差D33を、モータトルク強度差として検出し、X方向パルスモータ11を第2の所定偏差「2」で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間と、X方向パルスモータ11を前記第3の所定偏差「4」で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間との時間差D24を、モータトルク強度差として検出し、X方向パルスモータ11を第3の所定偏差「4」で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間と、X方向パルスモータ11を前記第2の所定偏差「2」で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間との時間差D42を、モータトルク強度差として検出するようにすることで、所要時間差検出という比較的簡単な構成により、安定位置状態であるか不安定位置状態であるかを正確に判定できる共に、不安定位置状態有りの場合の内在トルク作用方向を正確に判定することができる。
また、この第3の実施例によれば、不安定位置状態であることが判定されたときに、内在トルク作用方向を考慮した補正を行うようにしたから、不安定位置状態でのモータ制御であっても、当該補正によって、適正な制御が可能となる。
図11ないし図14は本発明の第4の実施例を示しており、この実施例では、次の点が前記第3の実施例と異なる。すなわち、上記第3の実施例では、モータトルク強度差を所要時間差(時間差D33、D24、D42)により検出するようにしたが、この第4の実施例ではモータトルク強度差をオーバーシュート量差(絶対値)により検出するようにしている。
図11のステップU4では、一方向加速偏差、一方向減速偏差、他方向加速偏差、他方向減速偏差をいずれも第1の所定偏差「3」として設定した上で、オーバーシュート量差算出処理(制御内容は図12に示している)を実行する。この図12の制御内容は、基本的に前記第2の実施例の図9と同様である。
この図12のステップV1では、設定されている一方向加速偏差(この場合第1の所定偏差「3」)で駆動パルスを出力してX方向パルスモータ11を加速駆動制御し、ステップV2で、指令値カウンタが予め設定された規定加速パルス数に達したか否かを判断する。
達すれば、ステップV3で、設定されている一方向減速偏差(第1の所定減速偏差「3」)で駆動パルスを出力して減速駆動制御する。そして、ステップV4で、指令値カウンタが規定移動パルス数に達すれば(つまり、駆動パルスを所定値出力すれば)、ステップV5で駆動パルスの出力を停止する。そしてステップV6で信号カウンタ値CTcwを記憶する。そしてステップV7でX方向パルスモータ11の回転子11aが静止したか否かを判断し、静止するまでに信号カウンタ値が増加すれば(ステップV8で判断)、信号カウンタ値CTcwを更新記憶する(ステップV9)。この信号カウンタ値CTcwは一方向についてのオーバーシュート量の目安ひいてはモータトルク強度の目安となる。
そして、回転子11aが静止すれば(ステップV7の「YES」)、ステップV10〜ステップV18でX方向パルスモータ11の他方向回転について、設定されている他方向加速偏差(第1の所定偏差「3」)で加速し、設定されている他方向減速偏差(第1の所定偏差「3」)で減速し、他方向での信号カウンタ値CTccwを記憶する。この信号カウンタ値CTccwは他方向についてのオーバーシュート量の目安ひいてはモータトルク強度の目安となる。
そしてステップV19で、前記一方向の信号カウンタ値CTcwと他方向の信号カウンタ値CTccwとの差の絶対値を算出し、図11のフローチャートのステップU5に戻る。
図11のフローチャートのステップU5では、この時点で算出された差の絶対値を第1の差S33として記憶する。
このステップU5の次のステップU6では、一方向加速偏差を第2の所定偏差「2」に、一方向減速偏差を第3の所定偏差「4」に、他方向加速偏差を第3の所定偏差「4」に、他方向減速偏差を第2の所定偏差「2」に、それぞれ設定した上で、オーバーシュート量差算出処理(制御内容は図12に示している)を実行する。この図12のフローチャートにおいては、この場合、上述の設定された第2の所定偏差「2」、第3の所定偏差「4」を用いて、最終的にステップV19で、一方向の信号カウンタ値CTcwと他方向の信号カウンタ値CTccwとの差の絶対値を算出することになる。そして、図11のフローチャートのステップU7に戻る。
この図11のステップU7では、この時点で算出された差の絶対値を第2の差S24として記憶する。
このステップU7の次のステップU8では、一方向加速偏差を第3の所定偏差「4」に、一方向減速偏差を第2の所定偏差「2」に、他方向加速偏差を第2の所定偏差「2」に、他方向減速偏差を第3の所定偏差「4」に、それぞれ設定した上で、オーバーシュート量差算出処理(制御内容は図12に示している)を実行する。この図12のフローチャートにおいては、この場合、上述の設定された第2の所定偏差「2」、第3の所定偏差「4」を用いて、最終的にステップV19で、一方向の信号カウンタ値CTcwと他方向の信号カウンタ値CTccwとの差の絶対値を算出することになる。そして、図11のフローチャートのステップU9に戻る。
この図11のステップU9では、この時点で算出された差の絶対値を第2の差S42として記憶する。
次のステップU10では、判定・ずれ補正処理を実行する。この処理内容は図13に示している。この図13のステップW1では前記第1ないし第3の差S33、S24、S42のうちで第2の差S24が一番小さいか否かを判断し、小さくなければ、ステップW2で第3の差S42が小さいか否かを判断し、小さくなければ、つまり、第1の差S33が一番小さければ、ステップW3で安定位置状態であると判定すると共に、その旨を報知する。
前記ステップW1で第2の差S24が一番小さいことが判断されると、ステップW4に移行して、図5(a)の不安定位置状態(回転子11aが他方向へ偏差「1」分ずれた不安定位置状態(一方向へ偏差「1」分の内在トルクが作用している状態))であると判定し、信号カウンタを「1」減算する補正を行う。
前記ステップW2で第3の差S42が一番小さいことが判断されると、ステップW5に移行して、図6(a)の不安定位置状態(回転子11aが一方向へ偏差「1」分ずれた不安定位置状態(他方向へ偏差「1」分の内在トルクが作用している状態))であると判定し、信号カウンタを「1」加算する補正を行う。
なお、前記ステップU4及びステップU5の処理を実行する制御装置17が請求項9、10の第1の強度差検出手段として機能し、前記ステップU6及びステップU7の処理を実行する制御装置17が請求項9、10の第2の強度差検出手段として機能し、前記ステップU8及びステップU9が請求項9、10の第3の強度差検出手段として機能し、前記ステップU10の処理を実行する制御装置17が請求項9の判定手段として機能する。
ここで、前記第1の差S33が一番小さいことをもって、原点位置で安定位置状態であることを判定できる根拠は次にある。すなわち、前述の第1の実施例の図4(a)から理解できるように、安定位置状態では、一方向及び他方向とも同じ第1の所定偏差「3」で加減速すれば、第1の差S33はほぼゼロとなる。図5(a)の不安定位置状態では、一方向へのオーバーシュート量が大きくなり(CTcw>CTccw)、差S33(絶対値)はゼロにならない。図6(a)の不安定位置状態では、他方向へのオーバーシュート量が大きくなり(CTcw<CTccw)、第1の差S33(絶対値)はゼロにならない。
また、前記第2の差S24が一番小さいと、図5(a)の不安定位置状態であると判定できる。すなわち、図14(a)〜(e)に示すように、一方向に加速偏差の第2の所定偏差「2」を与えると実質加速偏差は「3」、同じく一方向に減速偏差(逆方向偏差)の第3の所定偏差「4」を与えると、実質減速偏差も「3」となる。他方向に加速偏差の第3の所定偏差「4」を与えると、実質加速偏差は「3」となり、他方向に減速偏差の第2の所定偏差「2」を与えると、実質減速偏差も「3」となり、もって差S24が一番小さいと、図5(a)の不安定位置状態であると判定できる。このとき、他の差S33、差S42は、ゼロにならない。
同様に、前記第3の差S42が一番小さいと、図6(a)の不安定位置状態であると判定できる。
この第4の実施例によれば、X方向パルスモータ11を、一方向へ基準トルクモードたる第1の所定偏差「3」で加速回転及び減速回転させると共に他方向へ前記基準トルクモードで加速回転及び減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差である第1の差S33をモータトルク強度差として検出し、X方向パルスモータ11を、一方向へ前記基準トルクモードより一段低いところの低トルクモードである第2の所定偏差「2」で加速回転し前記基準トルクモードより一段高いところの高トルクモードである第3の所定偏差「4」で減速回転させると共に、他方向へ前記高トルクモードで加速回転し前記低トルクモードで減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差である第2の差S24をモータトルク強度差として検出し、X方向パルスモータ11を、一方向へ前記高トルクモードで加速回転し前記低トルクモードで減速回転させると共に、他方向へ前記低トルクモードで加速回転し前記高トルクモードで減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差である第1の差S42をモータトルク強度差として検出し、これら第1ないし第3の差S33、S24、S42のうち、第1の差S33が一番小さいときに、安定位置状態であると判定し、第2の差S24が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が一方向であると判定し、第3の差42が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が他方向であると判定するようにした。
この第4の実施例によれば、安定位置状態であるか不安定位置状態であるかを正確に判定できると共に、不安定位置状態有りの場合における内在トルク作用方向を正確に判定することができる。
また、この第4の実施例によれば、第1の所定偏差「3」と、この第1の所定偏差「3」に対して「1」少ない第2の所定偏差「2」と、第1の所定偏差「3」に対して「「1」多い第3の所定偏差「4」を設定し、これらの所定偏差を用いて、第1の差S33と、第2の差S24と、第3の差S42を検出するようにしたから、比較的簡単な構成により、不安定位置状態の有無及び不安定位置状態有りの場合における内在トルク作用方向を正確に判定することができる。
なお、本発明は上記各実施例に限定されず、種々変更して実施することができる。本発明は、ミシン以外にも、パルスモータを搭載した機器に広く適用できる。基準位置としてX方向移動機構の原点位置を例示したが、これに限られず、任意に定めた位置を基準位置としても良い。上記各実施例では、X方向パルスモータを80パルス分一方向及び他方向へ移動させるようにしたが、そのパルス数は、適宜変更することができる。また、前述した第1の所定偏差、第2の所定偏差、第3の所定偏差は、それぞれ「3」、「2」、「4」に限定されず、第1の所定偏差N1(N1は2以上の整数)、第2の所定偏差N2(N2=N1−1)、第3の所定偏差N3(N3=N1+1)とすれば良い。報知手段としては、表示パネル等でも良い。
本発明の第1の実施例を示す模様縫いミシンの電気的構成のブロック図 模様縫いミシンの外観図 制御内容のフローチャート (a)〜(c)は作用説明のためのパルスモータの概略展開図(その1) (a)〜(c)は作用説明のためのパルスモータの概略展開図(その2) (a)〜(c)は作用説明のためのパルスモータの概略展開図(その3) 本発明の第2の実施例を示す制御内容のフローチャート 本発明の第3の実施例を示す制御内容のフローチャート 時間差算出処理の制御内容のフローチャート 判定・ずれ補正処理の制御内容のフローチャート 本発明の第4の実施例を示す制御内容のフローチャート オーバーシュート量差算出処理の制御内容のフローチャート 判定・ずれ補正処理の制御内容のフローチャート (a)〜(e)は作用説明のためのパルスモータの概略展開図 (a)〜(c)は従来例を説明するためのパルスモータの概略展開図(その1) (a)〜(c)は従来例を説明するためのパルスモータの概略展開図(その2) (a)〜(c)は従来例を説明するためのパルスモータの概略展開図(その3) (a)〜(c)は従来例を説明するためのパルスモータの概略展開図(その4) (a−1)〜(c−3)は従来例を説明するためのパルスモータの概略展開図(その5)
符号の説明
図面中、1は模様縫いミシン(ミシン)、11はX方向パルスモータ(パルスモータ)、12はY方向パルスモータ(パルスモータ)、13はX方向ロータリーエンコーダ(位置検出手段)、14はY方向ロータリーエンコーダ(位置検出手段)、17は制御装置(一方向強度測定手段、他方向強度測定手段、判定手段、不安定解消手段、第1〜第3の強度差検出手段)、26は報知器(報知手段)を示す。

Claims (13)

  1. パルスモータに対して駆動信号を出力してパルスモータの位置を制御するパルスモータ制御装置において、
    前記パルスモータを一方向へ基準トルクモードで回転させて、一方向モータトルク強度を測定する一方向強度測定手段と、
    前記パルスモータを他方向へ前記基準トルクモードと同じモードで回転させて、他方向モータトルク強度を測定する他方向強度測定手段と、
    前記一方向強度測定手段により測定した一方向モータトルク強度と、前記他方向強度測定手段により測定した他方向モータトルク強度とを比較し、両モータトルク強度がほぼ一致したときに安定位置状態にあると判定し、両モータトルク強度が相違するときに不安定位置状態であると判定する判定手段と
    を備えたことを特徴とするパルスモータ制御装置。
  2. 前記パルスモータの回転子の回転位置を検出して検出信号を出力する位置検出手段を備え、
    前記基準トルクモードは、所定偏差であり、
    前記一方向強度測定手段は、パルスモータを前記所定偏差で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間をもって一方向モータトルク強度を測定し、
    前記他方向強度測定手段は、パルスモータを前記所定偏差と同じ偏差で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間をもって他方向モータトルク強度を測定することを特徴とする請求項1に記載のパルスモータ制御装置。
  3. 前記パルスモータの回転子の回転位置を検出して検出信号を出力する位置検出手段を備え、
    前記基準トルクモードは、所定加減速偏差であり、
    前記一方向強度測定手段は、前記パルスモータに対して前記所定加減速偏差で一方向への駆動パルスを所定値出力し、前記回転子のオーバーシュート量をもって一方向モータトルク強度を測定し、
    前記他方向強度測定手段は、前記パルスモータに対して前記所定加減速偏差と同じ加減速偏差で他方向への駆動パルスを所定値出力し、前記回転子のオーバーシュート量をもって他方向モータトルク強度を測定することを特徴とする請求項1に記載のパルスモータ制御装置。
  4. 前記判定手段により不安定位置状態であることが判定されたときに、不安定位置状態を解消する不安定解消手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のパルスモータ制御装置。
  5. 前記不安定解消手段は、前記一方向強度測定手段及び他方向強度測定手段による測定動作、及び前記判定手段による判定動作を再度実行するとともに、その実行回数が所定回数に達したときには、測定動作及び判定動作を中止することを特徴とする請求項4に記載のパルスモータ制御装置。
  6. 報知手段を備え、前記判定手段による判定結果を該報知手段により報知させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のパルスモータ制御装置。
  7. パルスモータに対して駆動信号を出力してパルスモータの位置を制御するパルスモータ制御装置において、
    前記パルスモータを一方向及び他方向へそれぞれ基準トルクモードで回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差を検出する第1の強度差検出手段と、
    前記パルスモータを一方向へ前記基準トルクモードより一段低いところの低トルクモードで回転させると共に、前記基準トルクモードより一段高いところの高トルクモードで回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差を検出する第2の強度差検出手段と、
    前記パルスモータを一方向へ前記高トルクモードで回転させると共に、他方向へ前記低トルクモードで回転させて、一方向回転時と他方向回転時とでのモータトルク強度差を検出する第3の強度差検出手段と、
    前記第1の強度差検出手段、第2の強度差検出手段及び第3の強度差検出手段によりそれぞれ検出されたモータトルク強度差のうち、第1の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、安定位置状態であると判定し、第2の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が一方向であると判定し、第3の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が他方向であると判定する判定手段と
    を備えたことを特徴とするパルスモータ制御装置。
  8. 前記パルスモータの回転子の回転位置を検出して検出信号を出力する位置検出手段を備え、
    前記基準トルクモードは第1の所定偏差N1(N1は2以上の整数)、前記低トルクモードは第2の所定偏差N2(N2=N1−1)、前記高トルクモードは第3の所定偏差N3(N3=N1+1)であり、
    前記第1の強度差検出手段は、前記パルスモータを第1の所定偏差N1で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間と、パルスモータを前記第1の所定偏差N1と同じ偏差で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間との差を、モータトルク強度差として検出し、
    前記第2の強度差検出手段は、パルスモータを第2の所定偏差N2で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間と、パルスモータを前記第3の所定偏差N3で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間との差を、モータトルク強度差として検出し、
    前記第3の強度差検出手段は、パルスモータを第3の所定偏差N3で一方向への設定移動量回転させたときの所要時間と、パルスモータを前記第2の所定偏差N2で他方向への設定移動量回転させたときの所要時間との差を、モータトルク強度差として検出することを特徴とする請求項7に記載のパルスモータ制御装置。
  9. パルスモータに対して駆動信号を出力してパルスモータの位置を制御するパルスモータ制御装置において、
    前記パルスモータを、一方向へ基準トルクモードで加速回転及び減速回転させると共に他方向へ前記基準トルクモードで加速回転及び減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出する第1の強度差検出手段と、
    前記パルスモータを、一方向へ前記基準トルクモードより一段低いところの低トルクモードで加速回転し前記基準トルクモードより一段高いところの高トルクモードで減速回転させると共に、他方向へ前記高トルクモードで加速回転し前記低トルクモードで減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出する第2の強度差検出手段と、
    前記パルスモータを、一方向へ前記高トルクモードで加速回転し前記低トルクモードで減速回転させると共に、他方向へ前記低トルクモードで加速回転し前記高トルクモードで減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出する第3の強度差検出手段と、
    前記第1の強度差検出手段、第2の強度差検出手段及び第3の強度差検出手段によりそれぞれ検出されたモータトルク強度差のうち、第1の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、安定位置状態であると判定し、第2の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が一方向であると判定し、第3の強度差検出手段により検出されたモータトルク強度差が一番小さいときに、不安定位置状態であると判定すると共に、内在トルク作用方向が他方向であると判定する判定手段と
    を備えたことを特徴とするパルスモータ制御装置。
  10. 前記パルスモータの回転子の回転位置を検出して検出信号を出力する位置検出手段を備え、
    前記第1の強度検出手段は、前記パルスモータを、一方向へ第1の所定偏差N1(N1は2以上の整数)で加速回転及び減速回転させると共に他方向へ前記第1の所定偏差N1で加速回転及び減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出し、
    前記第2の強度検出手段は、前記パルスモータを、一方向へ前記第2の所定偏差N2(N2=N1−1)で加速回転し前記第3の所定偏差N3(N3=N1+1)で減速回転させると共に、他方向へ前記第3の所定偏差N3で加速回転し前記第2の所定偏差N2で減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出し、
    前記第3の強度検出手段は、前記パルスモータを、一方向へ前記第3の所定偏差N3で加速回転し前記第2の所定偏差N2で減速回転させると共に、他方向へ前記第2の所定偏差N2で加速回転し前記第3の所定偏差N3で減速回転させ、一方向及び他方向のオーバーシュート量の差をモータトルク強度差として検出することを特徴とする請求項9に記載のパルスモータ制御装置。
  11. 前記判定手段により不安定位置状態であることが判定されたときに、内在トルク作用方向を考慮した補正を行う補正手段を備えたことを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載のパルスモータ制御装置。
  12. 報知手段を備え、前記判定手段による判定結果を該報知手段により報知させることを特徴とする請求項7ないし11のいずれかに記載のパルスモータ制御装置。
  13. 被駆動系の駆動源としてパルスモータを備えると共に、前記請求項1ないし12のいずれかのパルスモータ制御装置を備えたことを特徴とするミシン。
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