JP2008092147A - 非可逆回路素子、その製造方法及び通信装置 - Google Patents

非可逆回路素子、その製造方法及び通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】部品点数が少なくて簡単な構造からなり、電気特性が安定化し、信頼性の高い非可逆回路素子、その製造方法及び通信装置を得る。
【解決手段】天板10と、永久磁石41と、該永久磁石41により直流磁界が印加されるフェライト32と、該フェライト32に配置された第1及び第2の中心電極と、回路基板20とを備えた非可逆回路素子(2ポート型アイソレータ)。天板10は誘電体からなり、下面に磁気シールド部材15が形成されている。磁気シールド部材15は永久磁石41とフェライト32の外周面に沿った環状をなし、回路基板20の表面との間には空気層からなるギャップを有している。
【選択図】図2

Description

本発明は、非可逆回路素子、特に、マイクロ波帯で使用されるアイソレータやサーキュレータなどの非可逆回路素子、その製造方法及び通信装置に関する。
従来より、アイソレータやサーキュレータなどの非可逆回路素子は、予め定められた特定方向にのみ信号を伝送し、逆方向には伝送しない特性を有している。この特性を利用して、例えば、アイソレータは、自動車電話、携帯電話などの移動体通信機器の送信回路部に使用されている。
この種の非可逆回路素子では、中心電極が形成されたフェライトとそれに直流磁界を印加する永久磁石の組立体を外部磁界から保護するため、該組立体の周囲を環状の磁気シールド部品(ヨーク)によって囲っていた。例えば、特許文献1には、整合回路素子などを内蔵した回路基板上に、フェライト・磁石組立体を実装するとともに軟鉄を環状に加工したヨークを配置している。
しかしながら、磁気シールド部品として軟鉄などを環状に加工したヨークを用いたため、部品点数や組立て工数が増加してコスト高になっていた。また、ヨークと回路基板との間が近接することからヨークと内部電極との間に浮遊容量が発生して非可逆回路素子としての電気特性のばらつきの原因となっていた。しかも、浮遊容量の発生を避けるために、内部電極の配置に大きな制約を生じ、回路基板の大型化や厚みの増大を来していた。
また、近年では、非可逆回路素子の低背化に伴ってヨークの高さが制約されて強度が低下し、製作上の困難性や組立て工程でのハンドリングの困難性も生じている。さらに、セラミック製の回路基板上に軟鉄製のヨークをはんだ付けした場合、後者の線膨張係数が前者の2〜10倍であるので、非可逆回路素子の動作時の発熱ではんだ付け部に熱応力が作用し、回路基板に反りや割れが発生したり、はんだ付け部が破壊し、信頼性が低下するという問題点を有している。
国際公開第2006/011383号パンフレット
そこで、本発明の目的は、部品点数が少なくて簡単な構造からなり、電気特性が安定化し、信頼性の高い非可逆回路素子、その製造方法及び通信装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、第1の発明に係る非可逆回路素子は、
永久磁石と、該永久磁石により直流磁界が印加されるフェライトと、該フェライトに配置された複数の中心電極と、表面に端子電極が形成された回路基板と、を備えた非可逆回路素子において、
前記永久磁石と前記フェライトは静磁界印加の向きが前記回路基板への実装面と平行になるように配置され、
前記永久磁石と前記フェライトの直上に誘電体からなる天板を備え、
前記天板の下面に前記永久磁石と前記フェライトの外周部に沿った環状をなす磁気シールド部材を備え、該磁気シールド部材と前記回路基板の表面との間に空気層からなるギャップを有していること、
を特徴とする。
第1の発明に係る非可逆回路素子においては、永久磁石とフェライトの直上に配置された誘電体からなる天板の下面に永久磁石とフェライトの外周部に沿った環状をなす磁気シールド部材を設けたため、従来の軟鉄製のヨークは不要であり、磁気シールド部材は天板と一体化された部品として容易に取り扱うことができ、ヨークを用いることに起因する熱変形での回路基板の損傷がなく、信頼性が向上する。また、磁気シールド部材と回路基板の表面との間に空気層からなるギャップを有しているため、磁気シールド部材と回路基板に内蔵された内部電極との間の浮遊容量の発生がほとんどなく、非可逆回路素子としての電気特性が安定化する。
第1の発明に係る非可逆回路素子において、中心電極は第1中心電極及び第2中心電極とからなり、第1中心電極の一端は入出力用第1ポートに電気的に接続され、他端は入出力用第2ポートに電気的に接続され、第2中心電極の一端は入出力用第2ポートに電気的に接続され、他端はグランド用第3ポートに電気的に接続されていることが好ましい。挿入損失の小さな2ポート型の集中定数型アイソレータを得ることができる。そして、第1及び第2中心電極は互いに絶縁されて交差した状態で導体膜によってフェライトに形成されていることが好ましい。第1及び第2中心電極をフォトリソ法などの薄膜形成技術によって高精度に安定化して形成することができる。
また、磁気シールド部材は天板の下面に形成された環状の磁性体膜であってもよく、該磁性体膜は鉄、ニッケル又はこれらの合金による1層又は多層のめっき膜からなり、さらに、銀、銅又はこれらの合金のめっき膜で被覆されていてもよい。あるいは、磁気シールド部材は天板の下面に設けた環状の磁性体板であってもよい。該磁性体板は天板の下面に接着剤にて固定されていてもよく、接着剤には耐熱性を有するエポキシ系熱硬化型を好適に用いることができる。
また、天板の上面には高周波シールド電極が形成されていることが好ましい。非可逆回路素子に高周波シールド部材を簡単な構成で組み込むことができ、小型化、低背化に寄与する。そして、天板にプリント基板を用いれば、導体損失や誘電体損失がより少なくなり、結果的に挿入損失が少なくなる。
第2の発明に係る製造方法は、前記第1の発明に係る非可逆回路素子の製造方法であって、
前記回路基板及び/又は前記天板がマザー基板の状態で供給され、該マザー基板を前記永久磁石及び前記フェライトの組立体と一体的に接合した後、回路基板及び/又は天板を所定のサイズに切断することを特徴とする。
第2の発明に係る製造方法においては、回路基板及び/又は天板をマザー基板の状態で永久磁石及びフェライトの組立体と一体化し、所定のサイズに切断するため、品質のばらつきが小さい非可逆回路素子を効率よく製造することができる。
第3の発明に係る通信装置は前記第1の発明に係る非可逆回路素子を備えたものであり、電気特性が安定化し、信頼性の高い通信装置を得ることができる。
本発明によれば、天板の下面に永久磁石とフェライトの外周部に沿った環状をなす磁気シールド部材を備えているため、部品点数が少なくて簡単な構造からなる非可逆回路素子を得ることができ、かつ、磁気シールド部材と回路基板の表面との間に空気層からなるギャップを有しているため、浮遊容量の発生がほとんどなく、電気特性が安定化し、信頼性が高くなる。
以下、本発明に係る非可逆回路素子、その製造方法及び通信装置の実施例について添付図面を参照して説明する。
(第1実施例、図1〜図8参照)
本発明に係る非可逆回路素子の第1実施例である2ポート型アイソレータの分解斜視図を図1及び図2に示す。図1は上方から見た斜視図、図2は下方から見た斜視図である。この2ポート型アイソレータは、集中定数型アイソレータであり、概略、天板10と、回路基板20と、フェライト32と永久磁石41とからなるフェライト・磁石組立体30とで構成されている。なお、図1及び図2において、斜線を付した部分は導電体である。
フェライト32には、図3に示すように、表裏の主面32a,32bに互いに電気的に絶縁された第1中心電極35及び第2中心電極36が形成されている。ここで、フェライト32は互いに平行な第1主面32a及び第2主面32bを有する直方体形状をなし、上面32c、下面32d及び端面32e,32fを有している。
また、永久磁石41はフェライト32の主面32a,32bに対して磁界を該主面32a,32bに略垂直方向に印加するように主面32a,32bに、例えば、エポキシ系の接着剤42を介して接着され(図5参照)、フェライト・磁石組立体30を形成している。永久磁石41の主面41aは前記フェライト32の主面32a,32bと同一寸法であり、互いの外形が一致するように主面32a,41a、主面32b,41aどうしを対向させて配置されている。
図3に示すように、第1中心電極35はフェライト32の第1主面32aにおいて右下から立ち上がって2本に分岐した状態で左上に長辺に対して比較的小さな角度で傾斜して形成され、左上方に立ち上がり、上面32c上の中継用電極35aを介して第2主面32bに回り込み、第2主面32bにおいて第1主面32aと透視状態で重なるように2本に分岐した状態で形成され、その一端は下面32dに形成された接続用電極35bに接続されている。また、第1中心電極35の他端は下面32dに形成された接続用電極35cに接続されている。このように、第1中心電極35はフェライト32に1ターン巻回されている。そして、第1中心電極35と以下に説明する第2中心電極36とは、間に絶縁膜が形成されて互いに絶縁された状態で交差している。
第2中心電極36は、まず、0.5ターン目36aが第1主面32aにおいて下辺略中央部から左上に長辺に対して比較的大きな角度で傾斜して第1中心電極35と交差した状態で形成され、上面32c上の中継用電極36bを介して第2主面32bに回り込み、この1ターン目36cが第2主面32bにおいてほぼ垂直に第1中心電極35と交差した状態で形成されている。1ターン目36cの下端部は下面32dの中継用電極36dを介して第1主面32aに回り込み、この1.5ターン目36eが第1主面32aにおいて0.5ターン目36aと平行に第1中心電極35と交差した状態で形成され、上面32c上の中継用電極36fを介して第2主面32bに回り込んでいる。以下同様に、2ターン目36g、中継用電極36h、2.5ターン目36i、中継用電極36j、3ターン目36k、中継用電極36l、3.5ターン目36m、中継用電極36n、4ターン目36o、がフェライト32の表面にそれぞれ形成されている。また、第2中心電極36の両端は、それぞれフェライト32の下面32dに形成された接続用電極35c,36pに接続されている。なお、接続用電極35cは第1中心電極35及び第2中心電極36のそれぞれの端部の接続用電極として共用されている。
即ち、第2中心電極36はフェライト32に螺旋状に4ターン巻回されていることになる。ここで、ターン数とは、中心電極36が第1又は第2主面32a,32bをそれぞれ1回横断した状態を0.5ターンとして計算している。そして、中心電極35,36の交差角は必要に応じて設定され、入力インピーダンスや挿入損失が調整されることになる。
また、接続用電極35b,35c,36pや中継用電極35a,36b,36d,36f,36h,36j,36l,36nはフェライト32の上下面32c,32dに形成された凹部37(図4参照)に電極用導体を充填して形成されている。また、上下面32c,32dには各種電極と平行にダミー凹部38も形成され、かつ、ダミー電極39a,39b,39cが形成されている。この種の電極は、マザーフェライト基板に予めスルーホールを形成し、このスルーホールを電極用導体で充填した後、スルーホールを分断する位置でカットすることによって形成される。なお、各種電極は凹部37,38に導体膜として形成したものであってもよい。
フェライト32としてはYIGフェライトなどが用いられている。第1及び第2中心電極35,36や各種電極は銀や銀合金の厚膜又は薄膜として印刷、転写、フォトリソグラフなどの工法で形成することができる。中心電極35,36の絶縁膜としてはガラスやアルミナなどの誘電体厚膜、ポリイミドなどの樹脂膜などを用いることができる。これらも印刷、転写、フォトリソグラフなどの工法で形成することができる。
永久磁石41は、通常、ストロンチウム系、バリウム系、ランタン−コバルト系のフェライトマグネットが用いられる。フェライトマグネットは、金属マグネットが導体であるのと比較して、誘電体でもあるため、マグネット内に高周波磁束が損失なく分布することができる。そのため、永久磁石41を中心電極35,36に近接させて配置しても、挿入損失をはじめとする電気特性をほとんど劣化させない。また、フェライト32の飽和磁化の温度特性と永久磁石41の磁束密度の温度特性が近いため、フェライト32と永久磁石41とを組み合わせてアイソレータを構成した場合、アイソレータの温度に依存する電気特性が良好になる。
永久磁石41とフェライト32とを接着する接着剤42としては、一液性の熱硬化型エポキシ接着剤を用いることが最適である。この接着剤は、常温での作業性がよく、接着部によく浸透して5〜25μm程度の薄い厚みになって密着する。また、耐熱性を有するため、リフローの熱で溶融したり、剥離することがなく、耐候性もよいので熱や湿度に対する信頼性が良好である。
回路基板20は、複数枚の誘電体シート上に所定の電極を形成して積層し、焼結した積層型基板であり、その内部には、図6に示すように、整合用コンデンサC1,C2,Cs1,Cs2,Cp1,Cp2、終端抵抗Rが内蔵されている。また、上面には端子電極25a,25b,25cが、下面には外部接続用端子電極26,27,28がそれぞれ形成されている。
これらの整合用回路素子と前記第1及び第2中心電極35,36との接続関係を図6及び図7、図8の等価回路を参照して説明する。なお、図7に示す等価回路は本発明に係る非可逆回路素子(2ポート型アイソレータ)における基本的な第1回路例を示し、図8に示す等価回路は第2回路例を示す。図6には図8に示す第2回路例の構成が示されている。
即ち、回路基板20の下面に形成された外部接続用端子電極26が入力ポートP1として機能し、この端子電極26は整合用コンデンサCs1を介して整合用コンデンサC1と終端抵抗Rとの接続点21aに接続されている。また、この接続点21aは回路基板20の上面に形成された端子電極25a及びフェライト32の下面32dに形成された接続用電極35bを介して第1中心電極35の一端に接続されている。
第1中心電極35の他端及び第2中心電極36の一端は、フェライト32の下面32dに形成された接続用電極35c及び回路基板20の上面に形成された端子電極25bを介して終端抵抗R及びコンデンサC1,C2に接続されている。
一方、回路基板20の下面に形成された外部接続用端子電極27が出力ポートP2として機能し、この電極27は整合用コンデンサCs2を介してコンデンサC2,C1と終端抵抗Rとの接続点21bに接続されている。
第2中心電極36の他端は、フェライト32の下面32dに形成された接続用電極36p及び回路基板20の上面に形成された端子電極25cを介してコンデンサC2及び回路基板20の下面に形成された外部接続用端子電極28と接続されている。外部接続用端子電極28はグランドポートP3として機能するものである。
また、入力ポートP1とコンデンサCs1の接続点には接地されたインピーダンス調整用のコンデンサCp1が接続されている。同様に、出力ポートP2とコンデンサCs2との接続点にも接地されたインピーダンス調整用のコンデンサCp2が接続されている。
前記フェライト・磁石組立体30は、回路基板20上に載置され、フェライト32の下面32dの各種電極が回路基板20上の端子電極25a,25b,25cとリフローはんだ付けされて一体化されるとともに、永久磁石41の下面が回路基板20上に接着剤にて一体化される。
リフロー用のはんだとしては、錫、銀、銅の合金系のはんだ、錫、銀、亜鉛の合金系のはんだ、錫、亜鉛、ビスマスの合金系のはんだ、錫、亜鉛、アルミニウムの合金系のはんだ、錫、銅、ビスマスの合金系のはんだなどを用いることができる。リフローはんだによる接続以外に、はんだバンプや金バンプによる接続、導電ペースト又は導電性接着剤による接続などであってもよい。
また、永久磁石41と回路基板20との接着剤としては、熱硬化性の一液性又は二液性のエポキシ系接着剤が適している。即ち、フェライト・磁石組立体30と回路基板20との接合にはんだ付けと接着とを併用することにより、接合が確実なものとなる。
回路基板20は、ガラスとアルミナやその他の誘電体の混合物を焼成したものや、樹脂やガラスとその他の誘電体からなる複合基板が用いられている。内部や外部の電極には、銀や銀合金の厚膜、銅厚膜、銅箔などが用いられている。特に、外部接続用の電極には、ニッケルめっきを施した上に金めっきを施すことが好ましい。防錆、耐はんだ喰われ性の向上、種々の原因によるはんだ接合自体の強度低下を防止するためである。
天板10は、誘電体からなり、その上面には高周波シールド電極11a,11bが形成されている。また、下面には、図2に示すように、磁性体からなる磁気シールド部材15が環状に設けられている。
この天板10は、まず、本アイソレータをチップマウンタを用いて図示しない基板に搭載する際に、バキュームノズルでピックアップする場所を提供するために設けられている。同時に、その上面に設けた高周波シールド電極11a,11b、及び、下面に設けた磁気シールド部材15によって、外部からの磁界の侵入、アイソレータからの磁界の漏れを防止する。
天板10は、例えば、厚さ0.06〜0.20mmのガラスエポキシ製のプリント基板からなる。ガラスエポキシ製のプリント基板を用いた理由は、フェライト32の近傍には中心電極35,36を流れる電流で発生した高周波磁束がフェライト32から飛び出して天板10の付近にも分布しているため、高周波損失の比較的少ないガラスエポキシプリント基板が最適であることによる。ふっ素樹脂ガラス基板やセラミック基板など誘電体損失の少ない材料が望ましいが、これらは高価である。加えて、強度面・取扱いの容易性でもガラスエポキシ材が優れている。
天板10の上面に設けた高周波シールド電極11a,11bとしては、例えば、厚さ18〜50μmの銅箔が用いられ、厚さ1〜5μmのニッケルめっき及び金フラッシュめっきで被覆されている。このようなめっき構成は、防錆効果に優れ、外観が綺麗で、レーザーやインクによる印字表示にも優れている。前記めっきの上に、さらに、銀めっきを厚さ1〜10μmに施してもよい。
天板10の下面に設けた磁気シールド部材15は、前記フェライト・磁石組立体30の外周部に沿って環状に設けられ、例えば、銅箔上に鉄めっきを施したものである。銅箔は厚さ18〜50μm、鉄めっきは厚さ3〜50μmである。そして、磁束飽和を考慮すると、鉄めっきは厚いことが望ましく、厚い鉄めっきを緻密に形成するには電気めっきが適している。
鉄めっき以外にも、磁性体としてニッケルめっきやその他の磁性体金属(合金を含む)のめっきを用いることが可能で、複数層にめっきを施してもよい。但し、コスト面、飽和磁束密度の高さ、透磁率の高さから、鉄めっきが優れている。また、鉄めっき上には防錆用に銀めっき、ニッケル下地めっきに金フラッシュめっきをかけることが望ましい。なお、磁気シールド部材15は必ずしも接地されている必要はないが、はんだや導電性接着剤などを介して接地されていてもよい。接地されていると、高周波シールドとしての機能も有することになる。
天板10は接着剤により前記フェライト・磁石組立体30の上面に固定される。この接着剤としては、一液性の熱硬化型エポキシ系接着剤を用いる。このようにして一体化された回路基板20、フェライト・磁石組立体30及び天板10の断面を図11に示す。図11(A)は従来のヨーク19を備えた構成であり、これでは回路基板20とヨーク19との間に空気ギャップGはほとんどなく、ヨーク19と回路基板20の内部電極との間に浮遊容量が発生していた。このような浮遊容量は図8に符号CAで示すように第1中心電極35の一端とグランドとの間に発生し、アイソレータの電気特性のばらつきの原因となっていた。
図11(B)は前記磁気シールド部材15の第1例(銅箔の厚さ20μm)の断面を示す。また、図11(C)は磁気シールド部材15の第2例(銅箔の厚さ70μm)の断面を示す。第1例及び第2例とも磁気シールド部材15と回路基板20との間には空気ギャップGが形成され、磁気シールド部材15と回路基板20の内部電極との間に浮遊容量が発生することが抑えられ、電気特性が安定化する。
ところで、以上の構成からなる2ポート型アイソレータにおいては、第1中心電極35の一端が入力ポートP1に接続され他端が出力ポートP2に接続され、第2中心電極36の一端が出力ポートP2に接続され他端がグランドポートP3に接続されているため、挿入損失の小さな2ポート型の集中定数型アイソレータとすることができる。さらに、動作時において、第2中心電極36に大きな高周波電流が流れ、第1中心電極35にはほとんど高周波電流が流れない。従って、第1中心電極35及び第2中心電極36によって生じる高周波磁界の方向は第2中心電極36の配置によってその方向が決まる。高周波磁界の方向が決まることにより、挿入損失をより低下させる対策が容易になる。
また、フェライト・磁石組立体30の直上に配置された誘電体からなる天板10の下面に永久磁石41とフェライト32の外周部に沿った環状をなす磁気シールド部材15を設けたため、従来の軟鉄製のヨークは不要であり、コストダウンを図ることができる。そして、磁気シールド部材15は天板10と一体化された部品として容易に取り扱うことができ、ヨークを用いることに起因する熱変形での回路基板20の損傷がなく、信頼性が向上する。また、磁気シールド部材15は切れ目のない環状体であり、磁気抵抗が少なく、磁界漏れが減少する。磁気シールド部材15と回路基板20の表面との間に空気ギャップGを有しているため、浮遊容量の発生がほとんどないことは前述した。
また、製造工程において、回路基板20及び天板10はマザー基板の状態で供給され、該マザー基板をフェライト・磁石組立体30と一体的に接合した後、回路基板20及び天板10は所定のサイズに切断される。このように、回路基板20及び天板10をマザー基板の状態でフェライト・磁石組立体30と一体化し、所定のサイズに切断すると、品質のばらつきが小さい非可逆回路素子を効率よく製造することができる。特に、図11(C)に示すように、回路基板20と天板10との外形が綺麗に揃うことになる。
勿論、天板10は1個のアイソレータごとにフェライト・磁石組立体30上に組み込んでもよい。この場合、回路基板20はマザー基板として形成され、その上に接合されたフェライト・磁石組立体30に個々の天板10を順次組み込んでもよい。
いずれの組立て方法を採用するにしても、高周波シールド電極11a,11bと磁気シールド部材15とが天板10に一体化されているため、天板10に組込み位置の精度を高めることで、アイソレータの電気特性のばらつきを最小にすることができる。また、磁気シールド部材15は薄型であるため、小型化、低背化したアイソレータに最適であり、薄型であっても天板10に一体的に形成されていることで、十分な強度を確保でき、取扱いが容易である。また、天板10の上下面に高周波シールド電極11a,11b及び磁気シールド部材15が形成されているサンドイッチ構造であるため、天板10自体に熱応力の発生が非常に少なく、天板10に反りが発生したり、高周波シールド電極11a,11bが剥がれるおそれは少ない。
さらに、フェライト・磁石組立体30は、フェライト32と一対の永久磁石41が接着剤42で一体化されていることで、機械的に安定となり、振動や衝撃で変形・破損しない堅牢なアイソレータとなる。このようなアイソレータは携帯型の通信機器に最適である。
本アイソレータにおいて、回路基板20は多層誘電体基板である。これにて、内部にコンデンサや抵抗などの回路網を内蔵することができ、アイソレータの小型化、薄型化が達成でき、回路素子間の接続が基板内で行われるために信頼性の向上が期待できる。勿論、回路基板20は必ずしも多層である必要はなく、単層であってもよく、整合用コンデンサなどをチップタイプとして外付けしてもよい。
(第2実施例、図9及び図11(D)参照)
本発明に係る非可逆回路素子の第2実施例である2ポート型アイソレータは、図9に示すように、天板10の下面に設けた銅箔17に環状の磁気シールド部材16をはんだ付けにて固定したもので、接着で固定してもよい。アイソレータとしての他の構成は前記第1実施例と同様である。
磁気シールド部材16は軟鉄鋼板をプレス又はシェービング工法で打ち抜いて、フェライト・磁石組立体30の外周部に沿った環状形状としたもので、厚さは0.005〜0.15mm程度である。この磁気シールド部材16には防錆めっきが施されている。防錆めっきとしては、銅下地めっきにニッケルめっきや銀めっきが施される。磁気シールド部材16としては、純鉄又は軟鉄綱が最適であり、鉄を含む合金であってもよく、表面には防錆めっきが施される。また、磁気シールド部材16の主材料は、ニッケルやニッケルを含む合金であってもよく、この場合、防錆処理は必ずしも必要ない。
本第2実施例のその他の構成は前記第1実施例と同様であり、その作用効果は前記第1実施例と同様である。特に、図11(D)に示すように、磁気シールド部材16と回路基板20との間には空気ギャップGが形成され、磁気シールド部材16と回路基板20の内部電極との間に浮遊容量が発生することが抑えられ、電気特性が安定化する。
(中心電極の変形例、図10参照)
図10に、第1及び第2中心電極35,36の変形例を含むフェライト・磁石組立体30を示す。第1及び第2中心電極35,36はフェライト32の内部に導体膜で形成され、第2中心電極36は3ターン巻回されている。
具体的には、フェライト32は中央セグメント32xと側面セグメント32y,32zに分割されており、中央セグメント32xの上下面に電極36b,36f,36j,35a及び35b,35c,36d,36h,36lが形成されている。側面セグメント32y,32zの主面には、第1中心電極35及び第2中心電極36の分割された部分が導体膜にて形成され、中央セグメント32xの両主面に側面セグメント32y,32zの主面を接着することで、中心電極35,36を内蔵したフェライト32が形成される。このように貼り合わせたフェライト32の両主面に接着剤42を介して永久磁石41を接着し、フェライト・磁石組立体30とする。
(通信装置、図12参照)
次に、本発明に係る通信装置として、携帯電話を例にして説明する。
図12は携帯電話220のRF部分の電気回路ブロック図である。図12において、222はアンテナ素子、223はデュプレクサ、231は送信側アイソレータ、232は送信側増幅器、233は送信側段間用帯域通過フィルタ、234は送信側ミキサ、235は受信側増幅器、236は受信側段間用帯域通過フィルタ、237は受信側ミキサ、238は電圧制御発振器(VCO)、239はローカル用帯域通過フィルタである。
ここに、送信側アイソレータ231として、前記2ポート型アイソレータを使用することができる。このアイソレータを実装することにより、好ましい電気特性を得ることができる。
(他の実施例)
なお、本発明に係る非可逆回路素子、その製造方法及び通信装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
例えば、永久磁石41のN極とS極を反転させれば、入力ポートP1と出力ポートP2が入れ替わる。また、前記実施例では、整合用回路素子の全てを回路基板に内蔵したものを示したが、チップタイプのインダクタやコンデンサを回路基板に外付けしてもよい。
また、前記第1及び第2中心電極35,36の形状は種々に変更することができる。例えば、前記実施例では、第1中心電極35はフェライト32の主面32a,32b上で2本に分岐したものを示したが、分岐していなくてもよい。また、第2中心電極36は1ターン以上巻回されていればよい。
本発明に係る非可逆回路素子(2ポート型アイソレータ)の第1実施例を示す上方からの分解斜視図である。 前記非可逆回路素子の第1実施例を示す下方からの分解斜視図である。 中心電極付きフェライトを示す斜視図である。 前記フェライトを示す斜視図である。 フェライト・磁石組立体を示す分解斜視図である。 回路基板内の回路構成を示すブロック図である。 2ポート型アイソレータの第1回路例を示す等価回路図である。 2ポート型アイソレータの第2回路例を示す等価回路図である。 本発明に係る非可逆回路素子(2ポート型アイソレータ)の第2実施例を示す下方からの分解斜視図である。 中心電極の変形例を含むフェライト・磁石組立体を示す斜視図である。 非可逆回路素子の断面を示し、(A)は従来のヨークを備えた素子の断面図、(B)は磁気シールド部材の第1例を備えた素子の断面図、(C)は磁気シールド部材の第2例を備えた素子の断面図、(D)は第2実施例である素子の断面図である。 本発明に係る通信装置の一実施例を示すブロック図である。
符号の説明
10…天板
11a,11b…高周波シールド電極
15,16…磁気シールド部材
20…回路基板
30…フェライト・磁石組立体
32…フェライト
35…第1中心電極
36…第2中心電極
41…永久磁石
220…携帯電話
P1…入力ポート
P2…出力ポート
P3…グランドポート

Claims (12)

  1. 永久磁石と、該永久磁石により直流磁界が印加されるフェライトと、該フェライトに配置された複数の中心電極と、表面に端子電極が形成された回路基板と、を備えた非可逆回路素子において、
    前記永久磁石と前記フェライトは静磁界印加の向きが前記回路基板への実装面と平行になるように配置され、
    前記永久磁石と前記フェライトの直上に誘電体からなる天板を備え、
    前記天板の下面に前記永久磁石と前記フェライトの外周部に沿った環状をなす磁気シールド部材を備え、該磁気シールド部材と前記回路基板の表面との間に空気層からなるギャップを有していること、
    を特徴とする非可逆回路素子。
  2. 前記中心電極は第1中心電極及び第2中心電極とからなり、第1中心電極の一端は入出力用第1ポートに電気的に接続され、他端は入出力用第2ポートに電気的に接続され、第2中心電極の一端は入出力用第2ポートに電気的に接続され、他端はグランド用第3ポートに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の非可逆回路素子。
  3. 前記第1及び第2中心電極は互いに絶縁されて交差した状態で導体膜によって前記フェライトに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の非可逆回路素子。
  4. 前記磁気シールド部材は前記天板の下面に形成された環状の磁性体膜であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の非可逆回路素子。
  5. 前記磁性体膜は鉄、ニッケル又はこれらの合金による1層又は多層のめっき膜からなり、さらに、銀、銅又はこれらの合金のめっき膜で被覆されていることを特徴とする請求項4に記載の非可逆回路素子。
  6. 前記磁気シールド部材は前記天板の下面に設けた環状の磁性体板であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の非可逆回路素子。
  7. 前記磁性体板は前記天板の下面に接着剤にて固定されていることを特徴とする請求項6に記載の非可逆回路素子。
  8. 前記接着剤はエポキシ系熱硬化型であることを特徴とする請求項7に記載の非可逆回路素子。
  9. 前記天板の上面には高周波シールド電極が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の非可逆回路素子。
  10. 前記天板はプリント基板であることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の非可逆回路素子。
  11. 前記回路基板及び/又は前記天板がマザー基板の状態で供給され、該マザー基板を前記永久磁石及び前記フェライトの組立体と一体的に接合した後、回路基板及び/又は天板を所定のサイズに切断することを特徴とする請求項1ないし請求項10に記載の非可逆回路素子の製造方法。
  12. 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の非可逆回路素子を備えたことを特徴とする通信装置。
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