JP2008088913A - 始動制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】車両に搭載された内燃機関を始動制御する始動制御システムにおいて、車両の移動を制限するロック機構が解除される前に内燃機関が始動されることを防止できるようにする。
【解決手段】始動制御システムにおいて、イモビECUは、電子キーとの認証を行うことにより運転者が正当な者であるか判定する(S120〜S140)。そして、電源ECUは、運転者が正当な者であると判定された場合に車両の移動を制限するステアリングロックをロック状態から解除状態に切り替え、ステアリングロックが解除状態にされていると判定されれば、内燃機関を始動させるためのスタータを駆動させる(S240〜S290)。従って、ステアリングロックが解除されるまではスタータ駆動手段が作動することがないので、ステアリングロックが解除される前にエンジンが始動されることを防止することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に搭載された内燃機関を始動制御する始動制御システムに関する。
従来の始動制御システムとして、キーシリンダに鍵が挿入され、鍵が回されることによりイグニッション(IG)スイッチがONされると、ステアリングロックを解除する機能を有するものが知られている。この始動制御システムにおいては、ステアリングロックとキーシリンダとがメカ的にリンクされており、ステアリングロックが解除される前には、内燃機関を始動するためのスタータ始動位置まで鍵を回転させることができないようにする始動防止機能が備えられている(例えば特許文献1参照)。このため、ステアリングロックが解除される前に内燃機関が始動されることを防止している。
特開2006−182191号公報(段落[0037]〜[0041])
ところで、近年においては、運転者がキーシリンダに鍵を挿入することなく所定のボタンを押すだけで内燃機関を始動させることができるプッシュスタートシステムが開発されている。
このプッシュスタートシステムにおいては、所定のボタンが押されると、当該システムが例えば電子キーと無線通信を行うことにより運転者の正当性を認証し、この認証後にIGON、ステアリングロック解除、およびスタータ始動の各種処理を連続的に実施する。
しかしながら、上記ステアリングロックは、メカ的に作動するものであるので、ロック解除指令を受けたとしてもメカ的な引っ掛かり等の阻害要因があれば、正常にロック解除することができない。このため、上記プッシュスタートシステムでは、ステアリングロックが解除されない状態で、内燃機関が始動される虞がある。この場合には、ステアリングを使用できない状態で車両が移動する虞があるため好ましくない。
なお、上記問題点は、プッシュスタートシステムのみならず、ステアリングロックと連動する始動防止機能を備えていない始動制御システムにおいても同様に起こり得る問題である。また、上記問題点は、ステアリングロックに限らず、車両の移動を制限するロック機構の解除を確認する前に内燃機関が始動する場合であれば同様に起こり得る問題である。
そこで、このような問題点を鑑み、車両に搭載された内燃機関を始動制御する始動制御システムにおいて、車両の移動を制限するロック機構が解除される前に内燃機関が始動されることを防止できるようにすることを本発明の目的とする。
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載の始動制御システムにおいて、ロック解除手段は、正当性判定手段により運転者が正当な者であると判定された場合に車両の移動を制限するロック機構をロック状態から解除状態に切り替える。そして、スタータ駆動手段は、解除判定手段によりロック機構が解除状態にされていると判定されれば、内燃機関を始動させるためのスタータを駆動させる。
このような始動制御システムによれば、ロック機構が解除されるまではスタータ駆動手段が作動することがないので、ロック機構が解除される前にエンジンが始動されることを防止することができる。
なお、本発明でいう正当性判定手段として、運転者の正当性を判定する手法としては、例えば、鍵の形状が車両におけるキーシリンダの形状と一致するか否か、運転者が所持するICカードの情報を読み出し、この情報が予め当該システムに記憶された情報と一致するか否か、或いは運転者の身体的特徴が予め当該システムに記憶された情報と一致するか否か等の手法を採用することができる。
ところで、請求項1に記載の始動制御システムにおいては、請求項2に記載のように、 解除判定手段によりロック機構が解除状態にされたと判定されると、信号線を介して所定の信号を出力する信号出力手段と、信号線を介して所定の信号を検出すると、信号線とは異なる通信線を介して接続された他の装置と通信を行い、この通信が正常に実施されたか否かを判定する通信判定手段と、通信判定手段により通信が正常であると判定されると、少なくとも内燃機関に燃料を供給する供給手段の作動を許可する作動許可手段と、を備えていてもよい。
このような始動制御システムによれば、通信判定手段により通信線における断線等の通信異常を検出することができる。また、ロック解除を確認する前に通信判定を行う構成では、ロック解除がうまくできなかった場合に再度通信判定を実施する必要が生じる可能性があるが、本発明の構成によれば、ロック解除の確認後に通信判定を実施するので、確実に通信判定を一度で完了させることができる。
さらに、請求項2に記載の始動制御システムにおいて、正当性判定手段が、解除判定手段およびスタータ駆動手段が備えられた装置とは別の装置として構成され、始動制御時におけるエラーを管理する他の装置としての管理装置に備えられている場合には、請求項3に記載のように、管理装置は、正当性判定手段による判定結果に応じた信号を出力する判定結果出力手段を備え、ロック解除手段は、判定結果出力手段により運転者が正当なものである旨の出力を受信した場合に作動するようにされていてもよい。
即ち、正当性判定手段が解除判定手段およびスタータ駆動手段とは別の管理装置に備えられている場合には、通信判定手段が解除判定手段よりも先に作動してしまうと、管理装置ではロック機構が解除されたか否かを認識することができない。ところが、本発明においては、解除判定手段によるロック機構の解除判定後に通信判定手段を作動させるので、管理装置は通信判定手段による通信が実施された時点でロック機構が解除された旨を認識することができる。
また、このような始動制御システムによれば、管理装置において正当性判定手段による判定結果、ロック機構の解除判定結果、および通信判定手段による通信判定結果を認識することができる。このため、管理装置は、始動制御時において異常が発生したときに、その異常発生箇所を特定することができる。
また、請求項2または請求項3に記載の始動制御システムにおいて、信号出力手段は、請求項4に記載のように、スタータを駆動させることによって、スタータに所定の信号としての駆動信号を出力させるようにされていてもよい。
即ち、従来の始動制御システムの構成においては、一般的にスタータから信号線が外部接続されており、この信号線が接続された装置においてスタータの駆動信号を検出することができるように構成されているので、本発明においても、この信号線を介して出力される駆動信号を検出するようにしている。
ここで、この駆動信号は、ロック機構が解除されてから出力される信号であるので、このような始動制御システムによれば、新たな信号線を接続することなくロック機構が解除された旨の信号を取り出すことができる。
さらに、請求項2〜請求項4の何れかに記載の始動制御システムにおいて、通信判定手段は、請求項5に記載のように、所定の信号の受信時点を起点に予め設定された通信判定時間以内に他の装置との通信が実施されたか否かに応じて、この通信が正常に実施されたか否かを判定するようにされていてもよい。
ここで、例えばスタート指令が入力されたことを起点に通信判定する場合においては、通信判定時間以内に通信が完了しない異常が生じた場合に、この異常が、ロック機構が解除されないことによる異常なのか、ロック機構は解除されている場合における通信異常なのかを識別することができない。しかしながら、本発明の始動制御システムによれば、ロック機構が解除状態にされたことを確認してから出力される所定の信号を起点に通信判定を実施するので、ロック機構が解除されないことによる異常と、通信異常とを良好に識別することができる。
また、請求項2〜請求項5の何れかに記載の始動制御システムにおいては、請求項6に記載のように、通信判定手段は、他の装置と通信を行うことによりこの通信判定手段が保持する識別子と他の装置が保持する識別子との整合性を判定し、各識別子の整合性が確認できた場合に、通信が正常に実施されたと判定するようにされていてもよい。
このような通信装置によれば、通信相手となる他の装置が有する識別子の整合性を判定するので、他の装置が不正に交換されている場合や不正に改造されていることを検出することができる。また、このような場合には、通信異常と判定するので、内燃機関が始動されることを防止することができる。
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[始動制御システム1の構成および作動]
図1は始動制御システム1の概略構成を示すブロック図である。
始動制御システム1は、例えば乗用車等の車両に搭載されており、運転者によりスタートボタン5が押下されると、内燃機関としてのエンジン(本実施形態においてはガソリンエンジン)を始動させるプッシュスタートシステムとして構成されている。特にこの始動制御システム1においては、スタートボタン5が押下されてからエンジンを始動させるまでの間に、車両の運転者が所持する電子キー6を認証し、車両の移動を制限するロック機構を有する盗難防止装置を解除する。
具体的に始動制御システム1は、図1に示すように、互いに通信線41,43を介して接続された、イモビECU10、電源ECU20、およびエンジンECU30を備えて構成されている。なお、ECUとは、CPU、ROM、RAM等を備えた電子制御装置を示す。
また、始動制御システム1において、イモビECU10には、車両の運転者が所持する電子キー6との間で認証を行うための電波を送受信するためのアンテナ11が備えられている。
また、電源ECU20には、車両の運転者がエンジンを始動させるときにプッシュ操作するスタートボタン5と、ステアリング操作を制限するステアリングロック7と、エンジンを始動するスタータ8とが接続されている。
また、エンジンECU30には、燃料をエンジン内に噴射する噴射装置31や、エンジン内の燃料を点火する点火装置33等が接続されている。また、エンジンECU30は、スタータ8に接続されたスタータ信号線51が接続されており、スタータ8が駆動中である旨を表すスタータ信号を検出できるようにされている。
ここで、イモビECU10は、当該車両のセキュリティ(特に盗難防止)に関する処理を担う装置であって、不正に車両に進入しようとする者や、不正な方法でエンジンを始動しようとする者を検出すると、エンジンの始動を禁止したり、図示しないスピーカを介して警告を行ったりする(アラーム機能)。また、このイモビECU10は、後述する始動制御処理において、各種認証情報を記録することにより、エンジンが始動されない場合にエンジンが始動されない理由を特定できるようにする。
電源ECU20は、スタートボタン5が押されたときに、従来装置におけるキーシリンダにおいて、鍵がスタータを作動する回転位置まで回されたのと同様の機能を電子的に実現する。即ち、従来装置におけるキーシリンダにおいて、イグニッション(IG)ONするための回転位置、IGON状態でエンジンを作動可能な状態とする回転位置、およびスタータを作動する回転位置、の順に鍵が回されたかのように接続された各種装置に信号を送信する。
エンジンECU30は、イモビECU10からの指令に応じて噴射装置31や点火装置33の作動を許可したり禁止したりする処理を実施するとともに、エンジンの作動全般を制御する。
このような始動制御システム1において、エンジンを始動する処理を図2を用いて説明する。図2には、イモビECU10、電源ECU20、およびエンジンECU30が実行する始動制御処理を示すフローチャートである。
ここで、電源ECU20における処理は常時繰り返し実行される処理であって、イモビECU10における処理は運転者によりスタートボタン5が押されたとき(S210)に開始される処理である。また、エンジンECU30における処理はIGがON状態にされたときに開始される処理である。
電源ECU20における処理では、まず、スタートボタン5が押下されたか否かを判定する(S210)。スタートボタン5が押下されていなければ(S210:No)、S210の処理を繰り返す。また、スタートボタン5が押下されていれば(S210:Yes)、通信線41を介して認証スタートをイモビECU10に要求する(S220)。
続いて、IGをON状態とし(S230)、イモビECU10からステアリングロック7の解除指示を受けるまで待機する(S240)。
イモビECU10における処理では、処理を開始すると通信線41を介して電源ECU20から認証スタート要求を受けるまで待機し(S110,S120:No)、認証スタート要求を受けると(S110,S120:Yes)、アンテナ11を介して電子キー6と通信を行い、電子キー6が有する識別子と予めイモビECU10に記憶された識別子とが一致するか否かを判定する(S130,S140)。
電子キー6が有する識別子とイモビECU10に記憶された識別子とが一致しなければ(S140:No)、S130の処理に戻る。また、電子キー6が有する識別子とイモビECU10に記憶された識別子とが一致すれば(S140)、電子キー6との認証が正常に実施されたものとして、通信線41を介して電源ECU20にステアリングロック7の解除を指示する(S150)。
続いて、ステアリングロック7が解除された旨の通知を電源ECU20から通信線41を介して受信するまで待機する(S160,S170)。
ここで、電源ECU20における処理では、イモビECU10からステアリングロック7の解除指示を受けると(S240)、ステアリングロック7を解除し(S250)、予め設定された所定時間(例えば0.5秒)以内にステアリングロック7が実際に解除されたか否かを判定する(S260,S270)。ここで、ステアリングロック7が実際に解除されたか否かの判定は、例えば、予めステアリングロック7の可動部の位置が解除位置にあること(解除状態にされていること)を検出するセンサを備えておき、このセンサからの検出結果を判定することにより行う。
このように、ステアリングロック7が実際に解除されたか否かを判定するようにしているのは、ステアリングロック7がメカ的に駆動するロック機構であるため、ステアリングロック7に対して解除指示を送信したとしても実際にはロック解除されていないことがあるためである。このようにロック解除されない原因としては、ロック機構におけるロックをかけるための可動部とロックされる部位との間の摩擦力の大きさが考えられ、この摩擦力の大きさが大きくなると、解除指示を送信したとしても可動部が移動し難くなるため、実際にはロック解除されない事態が生じうる。
また、S270の処理にて、所定時間以内にステアリングロック7が実際に解除されない場合には、一旦処理を終了するようにすることにより、運転者がスタートボタン5を押してから多くの時間が経過してから突然エンジンが始動されることを防止している。つまり、S270の処理は、従来の車両における始動制御処理と同様のフィーリング(スタートボタン5を押すとすぐにエンジンが始動されるという感覚)でエンジンを始動できるようにするために設けられている。
続いて、ステアリングロック7が解除されない場合(S260:No)、所定時間は待機し(S270:No)、所定時間が経過すれば(S270:Yes)電源ECU20における処理を始めから繰り返す。
また、所定時間以内にステアリングロック7が解除されていれば(S260:Yes)、通信線41を介してロック解除完了通知をイモビECU10に対して送信する(S280)。続いて、スタータ8を駆動し(S290)、エンジンが所定回転数(例えば1000rpm)になれば、電源ECU20における処理を始めから繰り返す。なお、スタータ8が駆動されると、スタータ8が駆動状態である旨を表すスタータ信号が、スタータ信号線51を介してエンジンECU30に入力される。
ここで、イモビECU10における処理では、電源ECU20からロック解除完了通知を受信すると(S170:Yes)、エンジンECU30との認証を実施する。この認証は、イモビECU10がエンジンECU30と通信を行い、エンジンECU30が有する識別子がイモビECU10にエンジンECU30の識別子として予め登録されたものと一致するか、或いはその他のパラメータに矛盾が生じていないか等を判定することにより行う。
そして、エンジンECU30との認証が完了すれば(S190:Yes)、イモビECU10における処理を終了する。また、エンジンECU30との認証が完了していなければ(S190:No)、S180の処理に戻る。
一方、エンジンECU30における処理では、IGがON状態にされると(S230)、イニシャル処理を実行する(S310)。イニシャル処理においては、エンジンECU30自身がエンジンを始動できるように準備する処理や、噴射装置31および点火装置33の作動を禁止する処理が含まれる。
続いて、スタータ信号を検出するまで待機する(S320)。スタータ信号を検出すると、通信線43を介してイモビECU10との認証を実行し(S330)、所定時間(例えば0.3秒)以内にイモビECU10との認証が完了したか否かを判定する(S340,S350)。
認証が完了していない場合(S340:No)、所定時間以内であれば(S350:No)、S320からの処理を繰り返す。また、所定時間を経過すれば(S350:Yes)、運転者にエラーを報知し(S360)、エンジンECU30における処理を終了する。
一方、認証が完了していれば(S340:Yes)、噴射装置31および点火装置33の作動を許可し(S370)、エンジンを始動させるとエンジンECU30における処理を終了する。
なお、上記S120,S160,S190,S240,S320の処理においては、所定時間(例えば、0.5秒)以内に次のステップに移行できない場合(ループする場合を含む)には、処理を終了する。 また、各ECU10,20,30は、各ステップにおける処理を実施する度に自らのRAM等のメモリに処理結果を記録するよう構成されている。この構成によれば、処理にエラーが生じた場合に、使用者やサービスマンがこの処理結果を確認することにより、そのエラーが発生した部位や原因を特定することができる。
次に、各種ECU10,20,30の作動タイミングについて図3を用いて説明する。図3はイモビECU10,電源ECU20,およびエンジンECU30が始動制御処理を実行する際の制御タイミングを示すタイミングチャートである。
まず、電源ECU20は、図3に示すように、運転者によりスタートボタン5が操作されるまで待機する(S210)。そして、スタートボタン5が押下されると、イモビECU10に認証要求を送信し(S220)、IGをON状態にする処理を実施する(S230)。
イモビECU10では、スタートボタン5が押下されると処理を開始し、電源ECU20から認証要求を受けると、電子キーの認証を行う(S110〜S130)。その後、認証が完了すれば、電源ECU20に対してステアリングロック7解除指示を送信し(S150)、ステアリングロック解除完了通知を受けるまで待機する。
ステアリングロック7解除指示を受けた電源ECU20は、ステアリングロック7を解除し、解除を確認すれば(S240〜S270)、電源ECU20に対してステアリングロック解除完了通知を送信する(S280)。そしてスタータ駆動処理を実施し、処理を終了する。
イモビECU10は、ステアリングロック解除完了通知を受けると、エンジンECU30との認証を開始し(S190)、この認証が終了すると、不正に車両が操作されようとすることを検出すると警告音を発するアラーム機能を解除し(S200)、処理を終了する。
一方、エンジンECU30は、電源ECU20によりIGがON状態にされたときに処理を開始し、まず、イモビECU10との認証を開始するまでに、イニシャル処理を完了する(S310)。そして、イモビECU10から通信要求を受けると、イモビECU10との認証を実施し(S330〜S350)、認証が完了すれば、噴射装置31および点火装置33の作動を許可し(S370)、エンジンを始動させると処理を終了する。
なお、イモビECU10は本発明でいう管理装置に相当し、噴射装置31は供給手段に相当する。また、ステアリングロック7は本発明でいうロック機構に相当し、スタータ8は信号出力手段に相当する。
さらに、始動制御処理において、S130,S140は本発明でいう正当性判定手段に相当し、S150の処理は判定結果出力手段に相当する。また、S250の処理は本発明でいうロック解除手段に相当し、S260の処理は解除判定手段に相当し、S290の処理はスタータ駆動手段に相当する。また、S330〜S350の処理は本発明でいう通信判定手段に相当し、S370の処理は作動許可手段に相当する。
[始動制御システム1による作用および効果]
上記のように詳述した始動制御システム1において、イモビECU10は、電子キー6との認証を行うことにより運転者が正当な者であるか否かを判定する。
そして、電源ECU20は、イモビECU10により運転者が正当な者であると判定された場合に、車両の移動を制限するステアリングロック7をロック状態から解除状態に切り替え、ステアリングロック7が解除状態にされていると判定すれば、内燃機関を始動させるためのスタータ8を駆動させる。
従って、このような始動制御システム1によれば、ステアリングロック7が解除されるまではスタータ8が作動することがないので、ステアリングロック7が解除される前にエンジンが始動されることを防止することができる。
また、電源ECU20は、スタータ8を駆動することにより、スタータ8にスタータ信号を出力させる。なお、スタータ信号は、スタータ信号線51を介してエンジンECU30に対して出力される。
そして、エンジンECU30は、スタータ信号線51を介してスタータ信号を検出すると、スタータ信号線51とは異なる通信線43を介して接続されたイモビECU10と通信を行い、この通信が正常に実施されたか否かを判定する。このときイモビECU10においても、エンジンECU30との通信が正常に実施されたか否かを判定する。
さらに、エンジンECU30は、イモビECU10との通信が正常であると判定すると、内燃機関に燃料を供給する噴射装置31や燃料に点火する点火装置33の作動を許可する。
従って、このような始動制御システム1によれば、イモビECU10およびエンジンECU30は、通信線41,43における断線等の通信異常を検出することができる。また、ロック解除を確認する前に通信判定を行う構成では、ロック解除がうまくできなかった場合に再度通信判定を実施する必要が生じる可能性があるが、本実施形態の構成によれば、ロック解除の確認後に通信判定を実施するので、確実に通信判定を一度で完了させることができる。
さらに、始動制御システム1において、電子キー6との認証を行う機能(S130の処理)を有するイモビECU10は、ステアリングロック7の解除判定機能(S260の処理)およびスタータ駆動機能(S290の処理)を有する電源ECU20とは別の装置として構成されている。また、イモビECU10は、始動制御時において異常(エラー)が生じた場合に、この異常のログを記憶する。そして、イモビECU10は、電子キー6との認証を行うことによる判定結果に応じた信号を電源ECU20に送信し、電源ECU20は運転者が正当なものである旨の出力を受信した場合に作動する。
即ち、始動制御システム1において、イモビECU10とエンジンECU30とにおける通信判定がステアリングロック7の解除よりも先に作動してしまうと、イモビECU10ではステアリングロック7が解除されたか否かを認識することができない虞がある。具体的には、ステアリングロック7の解除を判定する電源ECU20からイモビECU10にステアリングロック7が解除された旨の信号を入力すれば、イモビECU10がステアリングロック7の解除を認識することができるとも考えられるが、この信号を送信する際に通信異常(信号線の異常)等が発生すると、イモビECU10がステアリングロック7の解除を認識することができない。
ところが、本発明においては、ステアリングロック7の解除判定後にイモビECU10とエンジンECU30との通信判定を実施するので、イモビECU10はエンジンECU30との通信が実施された時点で、ステアリングロック7が解除された旨を認識することができる。
よって、このような始動制御システム1によれば、イモビECU10において電子キー6との認証を行うことによる判定結果、ステアリングロック7の解除判定結果、およびエンジンECU30との通信判定結果を認識することができる。このため、イモビECU10は、始動制御時において異常が発生したときに、その異常発生箇所を特定することができる。
また、従来の始動制御システム1の構成においては、一般的にスタータ8からスタータ信号線51が外部接続されており、このスタータ信号線51が接続された装置においてスタータ信号を検出することができるように構成されているので、本実施形態においても、このスタータ信号線51を介して出力されるスタータ信号を検出するようにしている。
ここで、本実施形態において、このスタータ信号は、ステアリングロック7が解除されてから出力される信号であるので、このような始動制御システム1によれば、新たなスタータ信号線51を接続することなくスタータ信号をステアリングロック7が解除された旨の信号として取り出すことができる。
さらに、エンジンECU30は、スタータ信号の受信時点を起点に予め設定された通信判定時間以内にイモビECU10との通信が実施されたか否かに応じて、この通信が正常に実施されたか否かを判定する。
ここで、例えばスタート指令が入力されたことを起点に通信判定する場合においては、通信判定時間以内に通信が完了しない異常が生じた場合に、この異常が、ステアリングロック7が解除されないことによる異常なのか、ステアリングロック7は解除されている場合における通信異常なのかを識別することができない。しかしながら、本実施形態の始動制御システム1によれば、ステアリングロック7が解除状態にされたことを確認してから出力されるスタータ信号を起点に通信判定を実施するので、ステアリングロック7が解除されないことによる異常と、通信異常とを良好に識別することができる。
また、イモビECU10およびエンジンECU30は、互いに通信を行うことにより、イモビECU10およびエンジンECU30がそれぞれ保持する識別子同士の整合性を判定し、各識別子の整合性が確認できた場合に、通信が正常に実施されたと判定する。
このような通信装置によれば、互いに通信相手となるイモビECU10またはエンジンECU30が有する識別子の整合性を判定するので、イモビECU10またはエンジンECU30が不正に交換されている場合や不正に改造されていることを検出することができる。また、このような場合には、通信異常と判定するので、内燃機関が始動されることを防止することができる。
なお、本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
例えば、本実施例においては、ステアリングロック7を始動制御処理に連動するよう構成したが、ステアリングロック7に限らず、車両の移動を制限するためのロック機構であれば、同様に始動制御処理に連動させることができる。
また、プッシュスタートシステムに本発明を採用したが、上記ロック機構と連動する始動防止機能を備えていない始動制御システム(例えばキーシリンダを有するシステム)においても上記始動制御処理を採用することができる。
始動制御システムの概略構成を示すブロック図である。 始動制御処理を示すフローチャートである。 イモビECU,電源ECU,およびエンジンECUが始動制御処理を実行する際の制御タイミングを示すタイミングチャートである。
符号の説明
1…始動制御システム、5…スタートボタン、6…電子キー、7…ステアリングロック、8…スタータ、10…イモビECU、11…アンテナ、20…電源ECU、30…エンジンECU、31…噴射装置、33…点火装置、41…通信線、43…通信線、51…スタータ信号線。

Claims (6)

  1. 車両の運転者により当該車両に搭載された内燃機関を始動するスタート指令が入力されると、前記運転者の正当性を判定する正当性判定手段と、
    前記正当性判定手段により前記運転者が正当な者であると判定された場合に当該車両の移動を制限するロック機構をロック状態から解除状態に切り替えるロック解除手段と、
    前記ロック機構が解除状態にされたか否かを判定する解除判定手段と、
    前記解除判定手段によりロック機構が解除状態にされたと判定されれば、内燃機関を始動させるためのスタータを駆動させるスタータ駆動手段と、
    を備えたことを特徴とする始動制御システム。
  2. 前記解除判定手段によりロック機構が解除状態にされたと判定されれば、信号線を介して所定の信号を出力する信号出力手段と、
    前記信号線を介して前記所定の信号を検出すると、前記信号線とは異なる通信線を介して接続された他の装置と通信を行い、この通信が正常に実施されたか否かを判定する通信判定手段と、
    前記通信判定手段により通信が正常であると判定されると、少なくとも前記内燃機関に燃料を供給する供給手段の作動を許可する作動許可手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の始動制御システム。
  3. 前記正当性判定手段は、前記解除判定手段および前記スタータ駆動手段が備えられた装置とは別の装置に備えられているとともに、始動制御時におけるエラーを管理する前記他の装置としての管理装置に備えられ、
    前記管理装置は、前記正当性判定手段による判定結果に応じた信号を出力する判定結果出力手段を備え、
    前記ロック解除手段は、前記判定結果出力手段により前記運転者が正当な者である旨の出力を受信した場合に作動するよう構成されていること
    を特徴とする請求項2に記載の始動制御システム。
  4. 前記信号出力手段は、前記スタータを駆動させることによって、前記スタータに前記所定の信号としての駆動信号を出力させること
    を特徴とする請求項2または請求項3に記載の始動制御システム。
  5. 前記通信判定手段は、前記所定の信号の受信時点を起点に予め設定された通信判定時間以内に前記他の装置との通信が実施されたか否かに応じて、この通信が正常に実施されたか否かを判定すること
    を特徴とする請求項2〜請求項4の何れかに記載の始動制御システム。
  6. 前記通信判定手段は、前記他の装置と通信を行うことにより当該通信判定手段が保持する識別子と前記他の装置が保持する識別子との整合性を判定し、各識別子の整合性が確認できた場合に、通信が正常に実施されたと判定すること
    を特徴とする請求項2〜請求項5の何れかに記載の始動制御システム。
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