JP2007187031A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンが強制的に停止された後のエンジンの再始動を迅速に行うことを可能にする内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】スタート/ストップスイッチ2が長押しされることによってエンジンが強制的に停止された場合、その後、所定時間が経過するまでの間または車速が所定車速以上である状態が維持されている間は、スタート/ストップスイッチ2の押し込み操作のみでエンジンを再始動させる。これにより、セキュリティ性を維持しながらも、不用意にエンジンが強制的に停止された場合の再始動を迅速に行うことを可能にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等に搭載される内燃機関(以下、エンジンという)の制御装置に係る。特に、本発明は、エンジンを強制停止させる機能を備えた制御装置におけるエンジンの迅速な再始動を可能にするための対策に関する。
従来より、例えば下記の特許文献1及び特許文献2に開示されているように、イグニッションキー(機械式の鍵)の回動操作を行うことなしにエンジンの始動及び停止を可能にするスマートイグニッション機能(以下、スマートIG機能という)を有するエンジン始動/停止装置が知られている。
この種のエンジン始動/停止装置では、例えばIDコードを記憶した携帯機(スマートキー)を携帯した所有者(運転者)がドアを開放する際や車室内に乗り込んだ際などに、車両に搭載された認証装置と携帯機との間で相互通信(IDコードの認証通信)が行われ、その相互通信が確立したことを条件としてエンジンが始動可能な状態となる。そして、車室内に設けられたスタート/ストップスイッチの押し込み操作によってエンジンが始動される。具体的には、ブレーキペダルを踏み込んだ状態でスタート/ストップスイッチの押し込み操作を行うことによりエンジンが始動される。また、エンジンを停止させる際には、シフトレバーを「P(パーキング)位置」にした状態でスタート/ストップスイッチの押し込み操作を行うことになる。
このように、この種のエンジン始動/停止装置は、運転者がスタート/ストップスイッチを押し込み操作することでエンジンを始動/停止させることができ、操作性の高いものである。また、携帯機を携帯しない者がスタート/ストップスイッチを操作してもエンジンは始動しないためセキュリティ性の高いものである。
ところで、この種のエンジン始動/停止装置としては、緊急時にエンジンを強制停止させる機能を備えているものがある。つまり、運転者がエンジンの駆動を強制的に停止させたい場合にその要求に応えるものである。
例えば、下記の特許文献3にも開示されているように、押しボタンスイッチ(上記スタート/ストップスイッチ)を操作することでエンジンの駆動を強制的に停止させるようにしている。具体的には、スタート/ストップスイッチを3秒間程度押し込む(所謂、長押しする)ことにより、車両の停車中(シフトレバーが「P位置」にない停車中)ばかりでなく、走行中であっても、燃料供給の停止(所謂、フューエルカット)や点火プラグの非点火(所謂、点火カット)等によってエンジンを強制的に停止できるようになっている。
このようにしてエンジンを強制停止させた後にエンジンを再始動させる場合の操作として、一般には、運転者がブレーキペダルを踏み込んだ状態でスタート/ストップスイッチを押し込み操作する。つまり、運転者がブレーキペダルを踏み込むことに伴って認証装置によるIDコードの認証通信が行われ、その相互通信が確立した場合に、その後のスタート/ストップスイッチを押し込み操作を有効にしてエンジンを再始動させるようにしている。
特開2005−125929号公報 特開2002−221132号公報 実開昭64−13268号公報
ところで、上述したようなエンジンの強制停止を可能とするエンジン始動/停止装置にあっては、運転者が意図してスタート/ストップスイッチを操作することによってエンジンを強制的に停止させた場合には、運転者はエンジンを強制停止させたことを認識しているので、エンジンを再始動させるための操作を冷静に認識できており、上述したような再始動操作(ブレーキペダルの踏み込み操作とスタート/ストップスイッチの押し込み操作との複合操作)によるエンジンの再始動が良好に行える状況である。
ところが、運転者が意図することなくエンジンが強制的に停止された場合、例えば、同乗者(子供など)が不用意にスタート/ストップスイッチを「長押し」したことによりエンジンが強制的に停止された場合には、運転者は、冷静な判断ができず、上記の再始動操作の手順に従ってエンジンを早急に再始動させるといったことが困難になる可能性がある。つまり、運転者がパニック状態に陥り、再始動操作を早期に実行することができず、エンジンの再始動に要する時間が長くなってしまうことが考えられる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンが強制的に停止された後のエンジンの再始動を迅速に行うことを可能にする内燃機関の制御装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、エンジンが強制的に停止された場合に限り、通常のエンジン始動動作よりも簡易な動作によってエンジンの再始動を可能にし、これによってエンジンの再始動が迅速に行えるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、内燃機関を始動させる際、この始動のための所定動作を行った後に運転者が始動操作部を操作することにより内燃機関が始動する一方、内燃機関を強制的に停止させる際、強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関を強制停止させるようにした内燃機関の制御装置を前提とする。この内燃機関の制御装置に対し、上記強制停止のための操作部が操作されて内燃機関が強制停止した後、所定の簡易再始動許容時間以内は、上記始動のための所定動作が行われていなくても始動操作部が操作されることで内燃機関を始動させる始動制御手段を備えさせている。
この特定事項により、通常の内燃機関の始動時には所定動作が行われた後に始動操作部が操作されることにより内燃機関が始動する。例えば上記スマートIG機能を有するものでは、運転者のIDコードの認証通信が行われ、この相互通信の確立(IDコードの一致)と、運転者によるブレーキペダルの踏み込み操作とが行われた状態で、始動操作部が操作されることにより内燃機関が始動する。そして、このようにして始動した内燃機関の駆動中に、強制停止のための操作部が操作されると、内燃機関が強制的に停止される。その後、所定の簡易再始動許容時間以内に(内燃機関が強制的に停止されてから比較的短時間のうちに)始動操作部が操作された場合には、上記始動のための所定動作(上記IDコードの認証通信及びブレーキペダルの踏み込み操作)を行っていなくても内燃機関が再始動する。つまり、強制停止のための操作部が不用意に操作されてしまって内燃機関が強制的に停止された場合には、運転者は、冷静な判断ができず(パニック状態に陥って)、上記ブレーキペダルの踏み込み操作等を必要とする始動のための所定動作を喚起できない可能性があるため、内燃機関が強制的に停止されてから比較的短時間の間に限り、上述のような所定動作を行わなくても内燃機関を再始動できるようにし、これによって迅速な再始動を可能にしている。
また、上述した如く、簡易的な再始動を許容するのは、所定時間(簡易再始動許容時間)以内としている。これは、内燃機関が強制的に停止された後に継続的に簡易再始動を許容してしまうと、セキュリティ性(盗難防止性)に支障を招く可能性があるためであり、比較的短時間(例えば10sec程度)の時間だけに限定して簡易的な再始動を許容し、スマートIG機能を有するものにあっては、その本来の機能の一つであるセキュリティ性を維持できるようにしている。
また、上記の目的を達成するための他の解決手段としては以下のものも挙げられる。つまり、内燃機関を始動させる際、この始動のための所定動作を行った後に運転者が始動操作部を操作することにより内燃機関が始動する一方、内燃機関を強制的に停止させる際、強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関を強制停止させるようにした内燃機関の制御装置を前提とする。この内燃機関の制御装置に対し、上記強制停止のための操作部が操作されて内燃機関が強制停止した後、車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上である状態が維持されている間は、上記始動のための所定動作が行われていなくても始動操作部が操作されることで内燃機関を始動させる始動制御手段を備えさせている。
この解決手段においては、内燃機関が駆動している車両の走行中に、強制停止のための操作部が操作されて内燃機関が強制的に停止された際、その後、車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上である状態が維持されている間は始動操作部が操作されることによる内燃機関の再始動を可能にしている。つまり、上記始動のための所定動作(例えば上記IDコードの認証通信及びブレーキペダルの踏み込み操作)を行っていなくても内燃機関が再始動できるようにしている。即ち、強制停止のための操作部が不用意に操作されてしまって内燃機関が強制的に停止された場合には、運転者は、冷静な判断ができず、上記ブレーキペダルの踏み込み操作等を必要とする始動のための所定動作を喚起できない可能性があるが、本解決手段によっても、このような所定動作を行うことなしに内燃機関を再始動できるようにし、迅速な再始動を可能にしている。
また、上述した如く、簡易的な再始動を許容するのは、車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上である状態が維持されている間としている。これは、車両の走行中はセキュリティ性が高い(走行中に車両が盗難される可能性は極めて低い)状況であることに鑑みたものであり、例えば車両速度が5km/h以上である状態が維持されている間は簡易的な再始動を許容し、スマートIG機能を有するものにあっては、その本来の機能の一つであるセキュリティ性を維持できるようにしている。
更に、上記の目的を達成するための他の解決手段としては以下の構成も掲げられる。つまり、内燃機関を始動させる際、運転者が始動準備操作を行った後に始動操作部を操作することにより内燃機関が始動する一方、内燃機関を強制的に停止させる際、強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関を強制停止させるようにした内燃機関の制御装置を前提とする。この内燃機関の制御装置に対し、上記強制停止のための操作部が操作されて内燃機関が強制停止した後、所定の簡易再始動許容時間以内は、上記始動操作部の操作のみで内燃機関を始動させる始動制御手段を備えさせている。
また、内燃機関を始動させる際、運転者が始動準備操作を行った後に始動操作部を操作することにより内燃機関が始動する一方、内燃機関を強制的に停止させる際、強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関を強制停止させるようにした内燃機関の制御装置を前提とする。この内燃機関の制御装置に対し、上記強制停止のための操作部が操作されて内燃機関が強制停止した後、車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上である状態が維持されている間は、上記始動操作部の操作のみで内燃機関を始動させる始動制御手段を備えさせている。
以上の解決手段においても、セキュリティ性を維持しながらも、不用意に内燃機関が強制停止された場合の再始動を迅速に行うことが可能になる。
上記内燃機関の制御装置のより具体的な構成としては以下のものが挙げられる。先ず、運転者が携帯する電子キーとの間で通信を行うことによって運転者のIDコードの認証を行う認証手段を備えたものに対し、上記内燃機関を始動させるための所定動作としては、運転者のIDコードの認証動作及び運転者によるブレーキペダルの踏み込み操作とすることが挙げられる。この構成の場合、内燃機関が強制停止した後の簡易再始動時には、運転者のIDコードの認証動作及び運転者によるブレーキペダルの踏み込み操作を行うことなしに、運転者が始動操作部を操作することのみで内燃機関を始動させることが可能となる。
また、上記運転者による始動準備操作としては、ブレーキペダルの踏み込み操作が挙げられる。この構成の場合、内燃機関が強制停止した後の簡易再始動時には、運転者は、ブレーキペダルの踏み込み操作を行うことなく、始動操作部を操作することのみで内燃機関を始動させることが可能となる。
また、内燃機関の始動のための上記始動操作部と内燃機関を強制停止させるための上記操作部とを同一の押しボタンスイッチとし、内燃機関の駆動中にこの押しボタンスイッチを所定の強制停止用操作時間(例えば3sec)以上押し込むことによって内燃機関が強制停止される構成とした場合には、車室内のスイッチの数を必要最小限に抑えながらも上述した効果を奏することができる。
更に、所定の簡易再始動許容時間以内に限って簡易再始動を可能にするものでは、強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関が強制停止された際、簡易再始動許容時間以内に限り、運転者に内燃機関が強制停止されたことを警告する警告手段を備えさせている。
同様に、車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上である場合に限って簡易再始動を可能にするものでは、強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関が強制停止された際、車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上である場合に限り、運転者に内燃機関が強制停止されたことを警告する警告手段を備えさせている。
これら警告手段を備えさせることにより、簡易再始動が可能な状況であるか否かを運転者に容易に認識させることができ、運転者に不要な操作を行わせることなしに迅速な内燃機関の再始動が可能になる。具体的には、上述の場合、運転者が、簡易再始動が可能な状況であることを認識していない場合には、ブレーキペダルの踏み込み操作を行う必要があると認識してしまい、このブレーキペダルの踏み込み操作を行いながら始動操作部を操作することになってしまう。本解決手段によれば、警告手段からの警告により、ブレーキペダルの踏み込み操作が必要ないことを運転者に認識させることができ、始動操作部の操作のみによる迅速な内燃機関の再始動が可能になる。
本発明では、内燃機関が強制的に停止された場合であって、所定の条件(上記簡易再始動許容時間以内または車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上)が成立している場合に限り、エンジンの再始動操作の簡素化が図れるようにしている。このため、セキュリティ性を維持しながらも、不用意に内燃機関が強制的に停止された場合の再始動を迅速に行うことが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、ガソリンエンジンの制御装置として本発明を適用した場合について説明する。
−エンジン始動/停止装置の概略構成−
図1は、本実施形態に係るエンジン制御装置に含まれるエンジン始動/停止装置の概略構成を示すブロック図である。このエンジン始動/停止装置は、車両に搭載された車載機1と電子キー(スマートキー)20とを備えている。
電子キー20は、キー照合用のIDコードを記憶しており、後述する送・受信機31からのリクエスト信号を受信した際、それに応じてIDコード信号を発信するようになっている。
車載機1は、スタート/ストップスイッチ(始動操作部)2、イモビライザECU(認証手段)3、エンジン制御ECU5、ACCリレー6、ブレーキスイッチ7、インジケータランプ(警告手段)81、ブザー(警告手段)82、ステアリングロックモータ9、車速センサ10、及びこれらと接続する電源ECU4を備えている。
スタート/ストップスイッチ2は、モーメンタリ式の押しボタンスイッチによって構成されている。即ち、このスタート/ストップスイッチ2が押圧操作されたときに接点が導通状態となりオン信号が電源ECU4に出力されるようになっている。
イモビライザECU3は、周知のCPU、ROM、RAMからなる制御ユニットであり、送・受信機(コード読み取り装置)31が接続されている。この送・受信機31は、上記電子キー20との間で通信を行うものであって、この電子キー20を携帯した運転者がドアを開放する際や車室内に乗り込んだ際などに、この電子キー20に記憶されているIDコードを読み出してイモビライザECU3に送信するようになっている。
具体的には、送・受信機31は運転者(車両に乗り込もうとする者)がドアハンドルに触れるとリクエスト信号を発信する。そして、運転者が携帯している電子キー20は送・受信機31からのリクエスト信号を受信すると、それに応じて予め設定された所定のIDコードを含む送信信号(IDコード信号)を送・受信機31に向けて出力し、これによってIDコード信号が送・受信機31からイモビライザECU3に送信されるようになっている。そして、このイモビライザECU3は、取得したIDコードとROMに記憶しているIDコードとを照合する。これらが一致していれば、電源ECU4に照合信号(IDコード一致情報)を送信すると共に、ドアの施錠(ドアロック)が解除される。また、イモビライザECU3は、取得したIDコードとROMに記憶しているIDコードとが一致しているという情報を保持する。
電源ECU4は、周知のCPU、ROM、RAMからなる制御ユニットである。この電源ECU4は、上記イモビライザECU3から照合信号を受信した場合に、ブレーキペダルが踏まれていない状態(ブレーキスイッチ7からのON信号を受けていない状態)でスタート/ストップスイッチ2の押圧操作がなされる度に、ACCリレー6の動作状態(ON/OFF)を切り換える。また、この電源ECU4は、エンジン始動待機状態(車速0km)の場合に、ブレーキペダルが踏まれたとき(ブレーキスイッチ7からのON信号を受けたとき)に、イモビライザECU3が保持しているIDコードの照合結果を取得する。そして、取得した照合結果が一致したとの照合結果である場合に、スタート/ストップスイッチ2の押圧操作がなされると、エンジン制御ECU5にエンジンを始動させるための始動信号を出力する。
エンジン制御ECU5は、周知のCPU、ROM、RAMからなる制御ユニットである。このエンジン制御ECU5は、スターターモータ51、インジェクタ(燃料噴射弁)52、点火プラグ53の作動状態を制御するものであって、通常のエンジン始動時(後述する強制停止後の再始動時ではない始動時)に電源ECU4からの始動信号を受信すると、スターターモータ51、インジェクタ52、点火プラグ53をそれぞれ作動させることでエンジンを始動させる。つまり、スターターモータ51を回転駆動(クランキング)させながらインジェクタ52からの燃料噴射及び点火プラグ53の点火によりエンジンを始動させる。
また、このエンジン制御ECU5は、電源ECU4からのエンジン停止信号を受信すると、インジェクタ52の燃料噴射動作及び点火プラグ53の点火動作を停止することでエンジンを停止させる。このエンジンの通常の停止動作(後述する強制停止ではない停止動作)としては、車両が停車しておりシフトレバーを「P位置」にした状態でスタート/ストップスイッチ2の押し込み操作(1sec程度の短時間の押し込み操作)を行うことにより電源ECU4からエンジン制御ECU5にエンジン停止信号が送信されてエンジンが停止することになる。
ACCリレー6は、動作状態で車両のアクセサリ回路を車載バッテリのプラス電源端子に接続し、アクセサリ回路を通電状態とする。
ブレーキスイッチ7は、運転者によるブレーキペダルの踏み込み操作がなされているときにオン状態となるスイッチであり、そのオン状態であることを示す信号を電源ECU4へ入力する。
車速センサ10は、トランスミッションの出力側シャフト等の回転を検出することにより現在の車両速度を検出するものであって、その車速検出信号を電源ECU4に送信するようになっている。
インジケータランプ81は、車室内のメータパネル上に設けられており、後述するエンジンの強制停止動作が行われた際に点滅し、運転者にエンジンが強制停止されたことを報知するものである。このインジケータランプ81の点滅を継続する条件については後述する。
ブザー82は、後述するエンジンの強制停止動作が行われた際に車室内に警告音を発し、運転者にエンジンが強制停止されたことを報知するものである。このブザー82の警告音発生を継続する条件についても後述する。
ステアリングロックモータ9は、ステアリングの回転を固定する(回転操作を不能にする)ためのものであって、電源ECU4からロック信号を受けるとステアリングの回転を固定し(ステアリングロック状態)、これによってセキュリティ性の向上を図るようにしている。また、ステアリングロックモータ9は、電源ECU4からアンロック信号を受けるとステアリングの回転操作を許可するようになっている(ステアリングアンロック状態)。
本実施形態に係るエンジン始動/停止装置は、エンジンの駆動中に上記スタート/ストップスイッチ2を「長押し」することによってエンジンを強制的に停止させることが可能となっている。つまり、何らかの緊急時に、運転者の要求に応じてエンジンを強制停止させる機能を備えている。
具体的には、車両の停車中(シフトレバーが「P位置」にない停車中)及び走行中に拘わらず、スタート/ストップスイッチ2が3sec以上継続して押し込まれた場合に、電源ECU4からエンジン制御ECU5へ強制停止信号が送信され、エンジン制御ECU5は、インジェクタ52からの燃料供給の停止(フューエルカット)及び点火プラグ53の非点火(点火カット)を行い、これによってエンジンを強制的に停止するようになっている。
このようにしてエンジンが強制的に停止された場合にあっては、電源ECU4はACCリレー6への給電は継続して行い、車室内のメータパネル上に設けられている上記インジケータランプ81を点滅させると共に、ブザー82から警告音を発生させ、これによって、エンジンが強制的に停止されたことを運転者に知らせるようになっている。また、このインジケータランプ81の点滅動作及びブザー82の警告音発生動作は、後述する「簡易再始動可能状態」の間、継続して行われ、この簡易再始動可能状態が解除されるかまたはエンジンの再始動が完了した際には、これら点滅動作及び警告音発生動作は停止される。
そして、本実施形態に係るエンジン始動/停止装置の特徴は、上述した操作(スタート/ストップスイッチ2の長押し操作)によってエンジンを強制的に停止させた後に、エンジンを再始動させる際の動作にある。
詳しくは、先ず、車両の停車中にスタート/ストップスイッチ2の長押し操作によってエンジンが強制的に停止した後には、所定の簡易再始動許容時間(例えば10sec)が経過するまでの間、上述したIDコードの認証動作及びブレーキペダルの踏み込み操作を行うことなしにスタート/ストップスイッチ2を押し込み操作するのみでエンジンの再始動を可能とするようにしている(始動制御手段によるエンジンの再始動動作)。つまり、スタート/ストップスイッチ2の押し込み操作のみで、電源ECU4からエンジン制御ECU5に始動信号が送信され、スターターモータ51を回転駆動させながらインジェクタ52からの燃料噴射及び点火プラグ53の点火によりエンジンを始動させるようになっている。
また、車両の走行中にスタート/ストップスイッチ2の長押し操作によってエンジンが強制的に停止した後には、その車両速度が所定の簡易再始動許容速度(例えば5km/h)以上である状態が維持されている間、上述したIDコードの認証動作及びブレーキペダルの踏み込み操作を行うことなしにスタート/ストップスイッチ2を押し込み操作するのみでエンジンの再始動を可能とするようにもなっている(始動制御手段によるエンジンの再始動動作)。つまり、スタート/ストップスイッチ2の押し込み操作のみで、電源ECU4からエンジン制御ECU5に始動信号が送信され、インジェクタ52からの燃料噴射及び点火プラグ53の点火によりエンジンを始動させるようになっている。この場合、車両は走行しておりクランクシャフトが回転しているためスターターモータ51の回転駆動は必要ない。このスターターモータ51の回転駆動を実施するか否かの判定は上記車速センサ10からの信号に基づいて行われる。
−エンジン始動動作−
次に、上述の如く構成されたエンジン始動/停止装置によるエンジン始動動作について説明する。図2は通常のエンジン始動時における処理動作を示すフローチャート図であり、図3は上述したエンジンの強制停止後におけるエンジン再始動時における処理動作を示すフローチャート図である。
(通常のエンジン始動時)
先ず、通常のエンジン始動時における処理動作について図2のフローチャートに沿って説明する。
エンジンの停止状態で、先ず、ステップS1にて、電子キー20のIDコードの取得を行う。つまり、電子キー20を携帯した運転者が車内に乗り込むなどした場合に、送・受信機31はその電子キー20のIDコードを読み出してイモビライザECU3に送信する。
ステップS2では、ブレーキ状態の確認を行う。すなわち、電源ECU4は、ブレーキスイッチ7からの信号を取得する。ステップS3では、取得したブレーキスイッチ7の信号から、電源ECU4は、ブレーキペダルの踏み込み操作がなされている状態(ブレーキスイッチ7のオン状態)であるか否かを判定する。ブレーキオンの場合、すなわちブレーキペダルが踏まれている状態ではステップS4へ進む。一方、ブレーキオフの場合、すなわちブレーキペダルが踏まれていない状態ではステップS9へ進む。
ステップS4では、IDコード照合結果を取得する。すなわち、電源ECU4は、イモビライザECU3が保持しているIDコードの照合結果を取得する。
ステップS5では、電源ECU4は、スタート/ストップスイッチ2からオン信号が入力されたか否かを確認する。ステップS6では、電源ECU4は、スタート/ストップスイッチ2からオン信号が入力されているか否かを判定する。スタート/ストップスイッチ2が押圧操作され、オン信号が入力されるとステップS7へ進む。一方、入力されなければ処理を終了する。
ステップS7では、電源ECU4は、ACCリレー6を動作状態とする。ステップS8では、電源ECU4が、エンジン制御ECU5へエンジン始動信号を送信する。これにより、スターターモータ51の回転駆動、インジェクタ52からの燃料噴射、点火プラグ53の点火によりエンジンが始動する。
一方、ステップS3での判定において、ブレーキオフの場合は、ステップS9にて、電源ECU4は、スタート/ストップスイッチ2からオン信号が入力されたか否かを確認する。ステップS10では、電源ECU4は、スタート/ストップスイッチ2からオン信号が入力されているか否かを判定する。スタート/ストップスイッチ2が押圧操作され、オン信号が入力されればステップS11へ進む。一方、入力されなければ処理を終了する。
ステップS11では、電源ECU4は、イモビライザECU3が保持しているIDコードの照合結果を取得する。ステップS12では、電源ECU4は、ACCリレー6を動作状態とする。
このように、ブレーキペダルが踏まれた時点でIDコードが一致しているか否かを確認することにより、スタート/ストップスイッチ2によるエンジン始動の指示がなされると直ちにエンジンを始動できるようになっている。
(エンジン強制停止後のエンジン始動時)
次に、エンジンが強制停止された後のエンジン始動時における処理動作について図3のフローチャートに沿って説明する。
先ず、ステップS20では、エンジンが強制停止されたか否かを判定する。つまり、スタート/ストップスイッチ2が3sec以上継続して押し込まれることでエンジンが強制的に停止したか否かを判定する。エンジンが強制停止されていない場合には、No判定されて本制御を終了する。一方、エンジンが強制停止された場合には、ステップS21に移り、このエンジンの強制停止タイミングと同時に、電源ECU4に内蔵されている内部タイマのカウントを開始する。この内部タイマは10secのカウントでタイムアップするタイマである。この内部タイマのカウントの開始と同時にステップS22において車速センサ10からの車速信号を受信し、現在の車速が5km/h以上であるか否かを判定する。
ここで、車速が5km/h以上であるYesに判定されると、「簡易再始動可能状態」となり、ステップS23に移って、スタート/ストップスイッチ2が押し込まれるのを待機し、このスタート/ストップスイッチ2が押し込まれてYesに判定されると、インジェクタ52からの燃料噴射及び点火プラグ53の点火によりエンジンを再始動させる(ステップS24)。このエンジンの再始動に伴い、上記インジケータランプ81の点滅動作及びブザー82の警告音発生動作は停止する。
一方、エンジンが強制停止された時点で車速が5km/h未満である場合(ステップS22でYes判定されることなしにステップS25に移行する場合)、または、エンジンが強制停止された時点での車速は5km/h以上であったが、その後、スタート/ストップスイッチ2が押し込まれることなしに車速が5km/h未満となった場合(ステップS22で一旦はYes判定されたが、その後、ステップS23でYes判定されることなしにステップS22でNo判定されてステップS25に移行する場合)には、ステップS25において上記タイマがタイムアップしたか否かを判定する。そして、タイマがタイムアップするまでの間は、「簡易再始動可能状態」となり、ステップS23に移って、スタート/ストップスイッチ2が押し込まれるのを待機し、このスタート/ストップスイッチ2が押し込まれてYesに判定されると、スターターモータ51の回転駆動、インジェクタ52からの燃料噴射、点火プラグ53の点火によりエンジンを再始動させる(ステップS24)。この場合にも、エンジンの再始動に伴い、上記インジケータランプ81の点滅動作及びブザー82の警告音発生動作は停止する。
一方、タイマがタイムアップしてステップS25においてYes判定されると、ステップS26に移り、簡易再始動可能状態が解除され、通常の始動モード、つまり、上述した図2のフローチャートに従った始動動作に移行する。この簡易再始動可能状態の解除によっても上記インジケータランプ81の点滅動作及びブザー82の警告音発生動作は停止する。
尚、上記ステップS25においてタイマがタイムアップするまでに、5km/h未満であった車速が5km/h以上となった場合(例えば下り坂の走行時など)には、ステップS22においてYes判定されることになり、その後にタイマがタイムアップしても「簡易再始動可能状態」が維持され、スタート/ストップスイッチ2が押し込まれるとエンジンが再始動することになる。
以上説明したように、本実施形態では、エンジンが強制的に停止された場合であって、上記簡易再始動許容時間以内または車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上である際に限り、エンジンの簡易再始動を可能な状態としている。このため、強制停止のための操作部が不用意に操作されてしまってエンジンが強制的に停止された場合であってもブレーキペダルの踏み込み操作等を必要とすることなしにエンジンを再始動させることが可能になり、迅速な再始動が可能である。また、上記簡易再始動許容時間以内または車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上である際に限り、エンジンの簡易再始動を可能としているため、十分なセキュリティ性も確保されている。
−その他の実施形態−
上述した実施形態では、ガソリンエンジンの制御装置として本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、ディーゼルエンジンの制御装置やハイブリッドエンジンの制御装置として適用することも可能である。
また、上記実施形態は、IDコード照合結果の確認は、ブレーキペダルの踏み込み操作がなされた時点(ブレーキスイッチ7のオン時点)で行っていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、車両がクラッチを備えるものである場合は、クラッチペダルの踏み込み操作がなされたときにオン状態となるクラッチスイッチを設け、そのクラッチスイッチの信号を電源ECU4へ入力するようにしてもよい。そして、このクラッチペダルの踏み込み操作がなれた時点(クラッチスイッチのオン時点)でIDコード照合結果の確認を行ってもよい。
また、エンジン強制停止後の簡易再始動を可能にする簡易再始動許容時間としては10secに設定していたが、本発明はこれに限らず任意に設定可能である。
また、エンジン強制停止後の簡易再始動を可能にする簡易再始動許容速度としては5km/h以上に設定していたが、本発明はこれに限らず任意に設定可能である。
また、上述した実施形態では、通常始動時には必要であって強制停止後の再始動時には必要のない動作として、IDコードの認証動作及びブレーキペダルの踏み込み操作としたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、IDコードの認証動作が所定時間間隔で電子キー20とイモビライザECU3との間で自動的に実施されるものにあっては、強制停止後の再始動のタイミングでIDコードの認証動作が実施される場合があるので、このものにあっては、強制停止後の再始動時にはブレーキペダルの踏み込み操作のみを不要とするようにしてもよい。
更に、上述した実施形態における電子キー20としては、エンジン始動時にも運転者が携帯するものであったが、インストルメントパネル上のキースロットに差し込んだ状態でエンジンの始動を可能にするものであってもよい。
実施形態に係るエンジン始動/停止装置の概略構成を示すブロック図である。 通常のエンジン始動時における処理動作を示すフローチャート図である。 エンジンの強制停止後のエンジン始動時における処理動作を示すフローチャート図である。
符号の説明
2 スタート/ストップスイッチ(始動操作部)
3 イモビライザECU(認証手段)
81 インジケータランプ(警告手段)
82 ブザー(警告手段)
20 電子キー

Claims (9)

  1. 内燃機関を始動させる際、この始動のための所定動作を行った後に運転者が始動操作部を操作することにより内燃機関が始動する一方、内燃機関を強制的に停止させる際、強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関を強制停止させるようにした内燃機関の制御装置において、
    上記強制停止のための操作部が操作されて内燃機関が強制停止した後、所定の簡易再始動許容時間以内は、上記始動のための所定動作が行われていなくても始動操作部が操作されることで内燃機関を始動させる始動制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 内燃機関を始動させる際、この始動のための所定動作を行った後に運転者が始動操作部を操作することにより内燃機関が始動する一方、内燃機関を強制的に停止させる際、強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関を強制停止させるようにした内燃機関の制御装置において、
    上記強制停止のための操作部が操作されて内燃機関が強制停止した後、車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上である状態が維持されている間は、上記始動のための所定動作が行われていなくても始動操作部が操作されることで内燃機関を始動させる始動制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 内燃機関を始動させる際、運転者が始動準備操作を行った後に始動操作部を操作することにより内燃機関が始動する一方、内燃機関を強制的に停止させる際、強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関を強制停止させるようにした内燃機関の制御装置において、
    上記強制停止のための操作部が操作されて内燃機関が強制停止した後、所定の簡易再始動許容時間以内は、上記始動操作部の操作のみで内燃機関を始動させる始動制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 内燃機関を始動させる際、運転者が始動準備操作を行った後に始動操作部を操作することにより内燃機関が始動する一方、内燃機関を強制的に停止させる際、強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関を強制停止させるようにした内燃機関の制御装置において、
    上記強制停止のための操作部が操作されて内燃機関が強制停止した後、車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上である状態が維持されている間は、上記始動操作部の操作のみで内燃機関を始動させる始動制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  5. 上記請求項1または2記載の内燃機関の制御装置において、
    運転者が携帯する電子キーとの間で通信を行うことによって運転者のIDコードの認証を行う認証手段を備えており、
    上記内燃機関を始動させるための所定動作は、運転者のIDコードの認証動作及び運転者によるブレーキペダルの踏み込み操作であることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  6. 上記請求項3または4記載の内燃機関の制御装置において、
    運転者による始動準備操作は、ブレーキペダルの踏み込み操作であることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  7. 上記請求項1〜6のうち何れか一つに記載の内燃機関の制御装置において、
    内燃機関の始動のための上記始動操作部と内燃機関を強制停止させるための上記操作部とは同一の押しボタンスイッチであって、内燃機関の駆動中にこの押しボタンスイッチを所定の強制停止用操作時間以上押し込むことによって内燃機関が強制停止されるよう構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  8. 上記請求項1または3記載の内燃機関の制御装置において、
    強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関が強制停止された際、簡易再始動許容時間以内に限り、運転者に内燃機関が強制停止されたことを警告する警告手段を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  9. 上記請求項2または4記載の内燃機関の制御装置において、
    強制停止のための操作部を操作することにより内燃機関が強制停止された際、車両速度が所定の簡易再始動許容速度以上である場合に限り、運転者に内燃機関が強制停止されたことを警告する警告手段を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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