JP2008088091A - 環状炭化水素化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明によれば、環状炭化水素化合物を効率よく安定に製造することができる。しかも本発明によれば有機溶媒(A)を有効に再利用して環状炭化水素化合物を製造する
ことができる。
【選択図】図1
Description
下記式(2−1)または下記式(2−2)で表される化合物の有機溶媒(A)溶液を添加して下記式(3−1)または下記式(3−2)で表される環状炭化水素化合物を製造する方法である。
水素原子;
炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基である連結基、または、酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基;および
極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、
a、b、cはそれぞれ独立に0〜2であり、
Aは単結合;−O−;−S−;−SO−;−SO2−;−CO−;−NR18−;−Si
R19 2−(但し、R18およびR19はそれぞれ独立にハロゲン原子を有しても良い炭素原子
数1〜30の1価の炭化水素基を表す。);および−(CH2)n−(nは0から2の整数)から選ばれる2価の基を表す。
水素原子;
酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の不飽和構造も含む炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基;および
極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表すか、または
一化合物中のR10およびR11が相互に結合し、それぞれが結合した炭素原子と共に炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でも良いし、他の環が縮合して多環構造を形成しても良い。)を形成しており、
XおよびYはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、スルホン酸エステル基(R20SO3−、
R20はハロゲン原子を有しても良い炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基)またはリン酸エステル基((R21O)R22P(O)O−、R21およびR22はハロゲン原子を有しても良い炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基)を表すか、または、一化合物中のXとYとが相互に結合して2価の基(R23P(O)(O−)2、R23はハロゲン原子を有しても良
い炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基)を表す。
)、(2−1)および(2−2)で定義の通りである。
媒(A)を回収して循環して再使用することができるので、有機溶媒(A)を有効に使用することができる。そのため、有機溶媒(A)はそのまま廃棄することがないので、廃棄溶
媒の処理設備などを特別に備える必要はなく、また溶媒コストも低減することができる。さらに、本発明においては、使用する有機溶媒(A)を循環再使用するにもかかわらず、
得られる環状炭化水素化合物は優れた光学特性を保っている。
図1は、本発明の環状炭化水素化合物の製造方法で使用する装置の例を示す図である。
本発明で使用される有機溶媒(A)としては、トルエン(BP=110.6℃)、キシレン(BP=138.3〜144.4℃)、アニソール(BP=153.8℃)などの芳香族溶媒;オクタン(BP=110〜120℃)、ノナン(BP=149.5℃)、デカン(BP=174℃)、ウンデカン(BP=195.9℃)などの
鎖状脂肪族溶媒;メチルシクロヘキサン(BP=100.9℃)、エチルシクロヘキサン(BP=131.8℃)などの環状脂肪族溶媒を挙げることができる。
用いて晶析して精製することが好ましいことから、晶析した後の有機溶媒の混合液からアルコールなどを例えば蒸留除去することができる有機溶媒を使用することが好ましい。このような点から、本発明では有機溶媒(A)として、芳香族溶媒を使用することが好まし
く、特にトルエン、キシレンを使用することが好ましい。このような有機溶媒(A)は二
種以上を組み合わせて使用することも可能であるが、有機溶媒(A)の循環再使用を考慮
すると、単独で使用することが好ましく、また沸点がクリティカルなトルエンを用いることが特に好ましい。
入する。また、環化反応装置20には、リサイクル有機溶媒(A)の導入管28も接合されて
おり、後の工程で分離される有機溶媒(A)を導入配管28から環化反応装置20内に導入す
ることもできる。
工程で分離されたリサイクル品であっても、環化反応に特段の影響はないため、本発明では、新品の有機溶媒(A)とリサイクル品の有機溶媒(A)とを任意の比率で使用することができる。
びR1〜R8で表される基または原子が結合したフルオレン誘導体から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。
物(1)1重量部に対して、有機溶媒(A)が通常は2〜20重量部、好ましくは3〜1
5重量部の範囲内の量で使用される。
化物を仕込んだ後、有機溶媒(A)が還流する条件に加熱する。例えば有機溶媒(A)としてトルエンを用いる場合には、トルエンが還流するようにトルエンの沸点(110.6℃)にま
で加熱する。
する。すなわち、この混合タンク10には、原料供給配管16と有機溶媒(A)供給配管が備え
られており、さらに、混合タンク10内に供給された原料と有機溶媒(A)とを攪拌するた
めの攪拌装置11および攪拌翼12が備えられている。この混合タンク10に、有機溶媒(A)
供給配管14から有機溶媒(A)を供給するとともに、原料供給配管16から化合物(2)を
供給して、攪拌することにより、化合物(2)を有機溶媒(A)に溶解させる。このとき
に混合タンク10内に供給される化合物(2)の量は、次の環化反応装置20内に供給されている化合物(1)1モルに対して通常は0.9〜1.1モルの範囲内にある。
ばよく、この混合タンク10に供給される化合物(2)100重量部に対して、通常は100〜1000重量部、好ましくは200〜500重量部程度である。化合物(2)を有機溶媒(A)に円滑に溶解させるために、この混合タンク10内は、加熱下に攪拌することも
できる。なお、この混合タンク10に導入される有機溶媒(A)は、後の工程で回収された
有機溶媒(A)のリサイクル品であってもよい。
水素原子;
酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基;および
極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、
d、eおよびfは、それぞれ0〜2を表し、XおよびYはそれぞれ一般式(2−2)で定義の通りであり、
R37〜R40はそれぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を表す。
)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンが、特に好ましく用いられる。
ン類と無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル類、フマル酸、またはフマル酸エステル類とのディールズ・アルダー反応により得られる化合物のカルボニル部位を還元させた後、還元反応により生成する水酸基を脱離基に変換する方法、cis−2−ブテン−
1,4−ジオールまたはtrans−2−ブテン−1,4−ジオールの水酸基を脱離基に変換
した後シクロペンタジエン類とのディールズ・アルダー反応を行う方法、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル類、フマル酸、またはフマル酸エステル類のカルボニル部位を還元させ、還元反応により生成する水酸基を脱離基に変換した後シクロペンタジエン類とのディールズ・アルダー反応を行う方法により得ることができる。
タンク10の底部に備えられた原料抜取配管18から抜き取って環化反応装置20に供給する。
当該溶液は、有機溶媒(A)が還流する温度にまで加熱された反応液に、攪拌下にゆっく
りと添加される。この化合物(2)の有機溶媒(A)溶液の添加速度は、反応装置の容量
にもよるが、通常は150〜700kg/1時間、好ましくは200〜500kg/1時間程度に設定され、通常は1〜5時間程度かけてゆっくり添加する。
この環化反応装置20から少量のサンプルを抜き取り、このサンプル中における化合物(2)の濃度を測定して、化合物(2)が用尽された段階をもって反応の終点とする。具体的には、抜取サンプル中の化合物(2)の濃度を、液体クロマトグラフなどの分析装置を用いて逐次測定し、残存濃度が1%以下、好ましくは0.5%以下になった時点でこの環化反応の終点とする。通常は、上記のような濃度に達するまでの反応時間は、アルカリ金属水酸化物の添加完了後、通常は1〜50時間、多くの場合2〜30時間である。
)相に分離するので、下相の水相をこの環化反応装置20の下端部に設けられた配管から抜き出し、バルブ27を調整して廃棄配管23から廃棄する。
アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩を抽出する操作を繰り返し行う。上記のようなアルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属塩の抽出操作は、水相のpH値が8以下にな
る、通常は2〜6回程度行う。
の割合は、通常は60%以上、多くの場合70%以上である。
その後、本発明では、化合物(3)を含有する有機溶媒(A)溶液から、有機溶媒(A)の少なくとも30重量%、好ましくは40〜60重量%を蒸留除去することが好ましい。
から回収有機溶媒(A)ホールドタンク40に導入することができる。
この濃縮溶媒回収塔30における溶媒の回収条件は、この濃縮溶媒回収塔30内の圧力を通常は1〜50kPaの減圧条件、好ましくは10〜40kPaの減圧条件下に、通常は45〜90℃、好ましくは60〜80℃に加熱して有機溶媒(A)を蒸留除去する。すなわち、本発明で使用する有機溶媒(A)は、常圧(1気圧)における沸点が100〜200℃の範囲内にあるので、上記のような減圧下では、この有機溶媒(A)を、通常は45〜90℃、好適には60〜80℃の温度で回収することができ、有機溶媒(A)を回収する際の加熱によって本発明の製造方法の目的生成物である環状炭化水素化合物が熱分解することがなく、得られる環状炭化水素化合物の品質が安定している。
タンク40に保持された後、その一部は有機溶媒(A)(リサイクル品)導入配管28から環化反応装置20に導入されて再び使用される。なお、図示されてはいないが、このホールドタンク40内の回収有機溶媒(A)を、混合タンク10に導入して再使用することもできる。
また回収有機溶媒(A)ホールドタンク40には有機溶媒(A)の抜取配管44が配置されて
おり、例えば、本発明の前工程、すなわち、本発明の原料物質を製造する装置などに供給して使用することができるようにされている。
に設けられた環状炭化水素化合物抜取配管52を通って次の工程に送られる。そして、この環状炭化水素化合物ホールドタンク50内に蓄えられる環状炭化水素化合物の有機溶媒(A)の含有率は、通常は30〜80重量%、好適には40〜60重量%程度である。したがって、混合タンク10で混合に使用される有機溶媒(A)の量および環化反応装置20で反応に使用される有機溶媒(A)の量からして、この反応系から反応生成物である環状炭化水素化合物と共に搬出される有機溶媒(A)の量を使用量の半分程度まで抑えることができる。そして、本発明の反応系においては、上述のように回収した有機溶媒(A)を使用しても反応自体に全く影響が見られないことから、本発明の反応系で新規に使用する有機溶媒(A)の量を低く抑えることができ、使用する有機溶媒(A)の相当部分を回収された有機溶媒(A)で賄うことができる。
本発明の方法で製造される環状炭化水素化合物は、例えば光学材料の原料として非常に有用性の高い化合物であり、僅かな品質の変化が光学部材の特性に影響を及ぼす虞があるが、本発明の方法で製造された環状炭化水素化合物に品質の変化は見られず、従って本発明の方法で製造した環状炭化水素化合物を用いて優れた特性の光学部材を形成することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
撹拌機器とコンデンサーを備えた容量3.1m3の反応器を窒素置換し、トルエン446kg、フルオレン65.3kg(393mol)を仕込んだ。
加温し、撹拌を行った。
別途容量1m3のタンクに5,6−ジ(p-トルエンスルホニルオキシメチル)ビシクロ[
2.2.1]ヘプト−2−エン 182kg(393mol)をトルエン549kgに溶解した溶液を調製した。
加えて70℃に加温して撹拌を行い、過剰の水酸化カリウムと副生成物のカリウム塩を水側に抽出した。
同様の操作を4回繰り返して水相のpHを8以下にした。トルエン相側の溶液を分析したところ、目的物生成率は76.2%であった。
)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを合成したところ、回収品でない新品のトルエンを使用して合成を行った時と比べて生成率はなんら変わらないことが分かった。
11・・・攪拌装置
12・・・攪拌翼
14・・・有機溶媒(A)供給配管
16・・・原料供給配管
18・・・原料抜取配管
20・・・環化反応装置
21・・・攪拌装置
22・・・攪拌翼
23・・・廃棄配管
24・・・水供給配管
25・・・有機溶媒(A)導入配管
26・・・還流装置(コンデンサー)
27・・・切り替えバルブ
28・・・有機溶媒(A)導入配管(リサイクル品)
29・・・配管
30・・・凝縮溶剤回収塔
31・・・攪拌装置
32・・・攪拌翼
33・・・還流装置(コンデンサー)
34・・・配管
35・・・切替バルブ
36・・・配管
38・・・有機溶媒(A)抜取配管
39・・・環状炭化水素化合物抜取配管
40・・・回収有機溶媒(A)ホールドタンク
44・・・有機溶媒(A)の抜取配管
50・・・環状炭化水素化合物ホールドタンク
52・・・環状炭化水素化合物抜取配管
55・・・アルカリ金属水酸化物供給装置
Claims (3)
- 沸点が100〜200℃である有機溶媒(A)中に、下記式(1)で表される化合物およびアルカリ金属水酸化物を投入し、次いで該有機溶媒(A)の還流条件下で、下記式(2−1)または下記式(2−2)で表される化合物の有機溶媒(A)溶液を添加することを特徴とする、下記式(3−1)または下記式(3−2)で表される環状炭化水素化合物の製造方法;
水素原子;
炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基である連結基、または、酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基;および
極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、
a、b、cはそれぞれ独立に0〜2であり、
Aは単結合;−O−;−S−;−SO−;−SO2−;−CO−;−NR18−;−Si
R19 2−(但し、R18およびR19はそれぞれ独立にハロゲン原子を有しても良い炭素原子
数1〜30の1価の炭化水素基を表す。);および−(CH2)n−(nは0から2の整数)から選ばれる2価の基を表す。];
水素原子;
酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の不飽和構造も含む炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基;および
極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表すか、または
一化合物中のR10およびR11が相互に結合し、それぞれが結合した炭素原子と共に炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でも良いし、他の環が縮合して多環構造を形成しても良い。)を形成しており、
XおよびYはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、スルホン酸エステル基(R20SO3−、
R20はハロゲン原子を有しても良い炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基)またはリン酸エステル基((R21O)R22P(O)O−、R21およびR22はハロゲン原子を有しても良い炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基)を表すか、または、一化合物中のXとYとが相互に結合して2価の基(R23P(O)(O−)2、ここでR23はハロゲン原子を有し
ても良い炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基)を表す。
R12〜R17はそれぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を表す。];
1)、(2−1)および(2−2)で定義の通り。]。 - 上記式(2−1)で表される化合物が、下記式(4)で表されるノルボルネン骨格を有する化合物であることを特徴とする請求項第1項記載の環状炭化水素化合物の製造方法;
水素原子;
酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の1価の炭化水素基;および
極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、
d、eおよびfは、それぞれ0〜2を表し、XおよびYはそれぞれ一般式(2−1)、(2−2)で定義の通り。
R37〜R40はそれぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基を表す。]。 - 製造された環状炭化水素化合物を含有する有機溶媒(A)溶液から、該有機溶媒(A)の少なくとも30重量%を蒸留除去し、該蒸留除去された有機溶媒(A)の少なくとも一部を、上記式(2−1)または上記式(2−2)で表される化合物の有機溶媒(A)溶液に、または、環化反応の際の反応溶媒の一部に循環使用することを特徴とする請求項第1
項または第2項いずれかの項記載の環状炭化水素化合物の製造方法。
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