JP6317110B2 - ジビニルアレーンオキシドの調製方法 - Google Patents

ジビニルアレーンオキシドの調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジビニルアレーンオキシド、特にジビニルアレーンに由来するジビニルアレーンジオキシドを調製する方法に関する。より具体的には、本発明は、(a)少なくとも1種のジビニルアレーン、及び(b)少なくとも1種のペルオキシカルボキシイミド酸を反応させる工程を含む、ジビニルアレーンオキシドを調製する方法に関する。
一般に、オレフィンのエポキシ化は、種々の異なる方法によって達成することができる。たとえば、従来技術の方法は、以下を含む。
(1)次亜塩素酸塩とオレフィンとの反応によるクロロヒドリンの形成、次いで塩基との反応によるエポキシドの形成、
(2)ペルオキシカルボン酸による酸化、
(3)有機ヒドロペルオキシド及び触媒による酸化、
(4)過酸化水素及び触媒による酸化、又は、
(5)触媒の存在下、他の酸化剤、例えば次亜塩素酸ナトリウム、ヨードシルベンゼン、又は過酸化炭酸塩による酸化。
ペルオキシカルボキシイミド酸によるオレフィンのエポキシ化は、米国特許第3053856号明細書に開示されている。米国特許第3053856号明細書の方法では、過酸化水素は制御されたpH条件でニトリルと反応し、ペルオキシカルボキシイミド酸を生成する。該ペルオキシカルボキシイミド酸はオレフィンと反応してエポキシド及びアミドを形成する。全体の反応は下記で示され、アセトニトリル及び過酸化水素を使用して、ペルオキシアセトイミド酸を作る。
Figure 0006317110
M.Worzakowska,J.Appl.Poly.Sci.,2007,Vol.103、pp.462〜469は、酸化マグネシウム触媒とアセトニトリル−過酸化水素、及びオレフィンに対して4倍より大きいモル過剰の過酸化水素を使用して、米国特許第3053856号明細書に開示された方法に類似する方法によってジビニルベンゼン(DVB)をエポキシ化することを開示する。Worzakowskaは、90パーセント(%)程度のエポキシ化を報告する。Worzakowskaの方法では、DVB、アセトニトリル、水(pH10)、及びMgOを反応器に入れ50℃まで加熱し、そこへ過酸化水素60%及びメタノールの混合物を2時間かけてゆっくり加え、続いて、合計5時間継続して加熱及び撹拌する。Worzakowskaが使用する方法は、必要とする過酸化水素が大過剰であるために、処理の安全性及び経済性において不利である。Worzakowskaの方法が産業規模で実行可能であるためには、この過剰の過酸化水素を、回収し、再利用しなければならない。
米国特許第2977374号明細書は、酢酸エチル中で過酢酸を使用したDVBのエポキシ化を開示し、49%のジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)の収率を報告する。米国特許第2977374号明細書には、81%のスチレンオキシドの収率が報告されている。スチレン及びDVBのようなオレフィンは、構造的に類似するが、米国特許第2977374号明細書で示すように、これらの2つのオレフィンのエポキシ化が必ずしも相当する結果を与えるというわけではない。過酢酸を使用したエポキシ化は副生成物として酢酸を生み出し、これはエポキシド生成物と反応してヒドロキシエステル副生成物を与えることで知られ、それによってエポキシド生成物の収率を低くする。ジオレフィンの場合、対応するモノオレフィンと比較して、出発物のジオレフィンのいずれの分子についても副生成物を形成する可能性が2倍ある。
Payneほか、J.Org.Chem.1961、Vol.26、p.659は、一般に、共反応物としてニトリルを使用するアルカリ触媒的エポキシ化及び酸化における過酸化水素の使用を開示する。上記Payneの引例のほか、種々のエポキシド生成物は、通常、クロロホルムの抽出によって回収される。
仏国特許発明第2419938号明細書は、140mmHg及び27〜28℃での蒸留で、メタノール及びアセトニトリルを除去することによってスチレンオキシド(有機層)を水相から分離する例を開示する。仏国特許発明第2419938号明細書は、ジビニルアレーンジオキシドの製造方法を開示するものではない。
米国特許第2912389号明細書は、不活性溶媒(例えばアセトン又は酢酸エチル)から分別蒸留を通してDVBDOを回収することを開示する。米国特許第2912389号明細書は、ジビニルアレーンジオキシドを調製する方法の間に製造される二相物質を製造する方法を開示するものではない。
既知の従来技術の方法における問題からみれば、できる限り低い酸化剤コストでジビニルアレーンジオキシド生成物の良好な収率を与える、産業規模のジビニルアレーンオキシド、特にDVBDOのようなジビニルアレーンジオキシドの製造方法を提供することが望まれている。
本発明は、以下の工程を含む少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドを製造するための方法に関する。
(a)(i)少なくとも1種のジビニルアレーン、及び(ii)少なくとも1種のペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤を、(iii)少なくとも1種の溶媒、及び(iv)少なくとも1種の塩基性化合物の存在下で反応させ、少なくとも1種のジビニルアレーンオキシド、及び少なくとも1種のアミドを含む反応溶出物を形成する工程、
(b)工程(a)の反応溶出物から、少なくとも1種の溶媒の少なくとも一部を除去して、(b1)少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドの少なくとも一部を含む有機相、及び(b2)水相を含む、二相の濃縮物を形成する工程、及び
(c)水相から少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドを含む有機相を分離する工程。
一実施形態において、本発明の方法の工程(b)は、(b)工程(a)の反応溶出物を蒸発させ、少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドから軽い物質(本明細書中に下記で定義される)を取り除くことを含む。ここで、二相液体の濃縮物は、如何なる更なる有機溶媒も添加することなく形成される。そして、ここで、二相液体の濃縮物は(b1)有機相、及び(b2)水相に分離する。前記有機相は、少なくとも1種のジビニルアレーンオキシド生成物の少なくとも一部を含む。
本発明の他の実施形態において、本方法は、例えば、軽い物質をバキュームストリッピングすることによって、合成後の反応混合物から粗製のDVBDO生成物のような粗製のジビニルアレーンオキシドを分離する工程を含む。この具体例では、残留する混合物は、ジビニルアレーンオキシド−リッチ(例えばDVBDO−リッチ)な油層、及び水層に自発的に分離する。これは抽出溶媒の使用を排除するという利点を提供し、したがって、方法全体として水及び溶媒の使用を減らす。
更に他の実施形態として、本発明は、例えば減圧蒸留によって、反応溶出物からより軽い溶媒(例えばメタノール、アセトニトリル)を分離して、特に生成物(例えば、DVBDO)が豊富な有機相、及び副生成物が豊富な水相を形成し、その後、相分離及び回収する工程を含む。本発明の工程の組合せは、使用する処理溶媒及び水の量を減らす。それに加えて、ハロゲン化溶媒を使用する必要がなくてよく、これにより、得られる所望の生成物の汚染はより少なくなる。
本発明を例示する目的で、以下の図面は、現在好ましい本発明の一形態を表す。しかし、本発明は、図面に示す厳密な構成及び装置に限定されないことを理解すべきである。添付した図面において、いくつかの図面を通して類似した引用符号を使用して類似した部分を示す。
ストリッピング工程なしで実施される方法を表すブロックフロー図である。 ストリッピング工程を伴って実施される本発明の方法の一実施形態を表すブロックフロー図である。
本明細書中で“ジビニルアレーンオキシド”は、モノオキシド、ジオキシド、多官能性オキシド、及びこれらの混合物の少なくとも1種であることを意味する。
本明細書中で“軽い物質”は、大気圧で200℃未満の沸点を有する構成成分を意味する。本明細書中に開示されるように、“軽い物質”は、例えば本発明の蒸留操作の間、本発明の方法の様々な点で存在してもよい。本発明における“軽い物質”は、例えば限定されないがジビニルアレーン、メタノール、水、アセトニトリル、又はこれらの混合物などの構成成分を含んでもよい。
その最も広い範囲において、本発明は、下記の工程を含む少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドの製造方法を含む。
(a)(i)少なくとも1種のジビニルアレーン、及び(ii)少なくとも1種のペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤を、(iii)少なくとも1種の溶媒、及び(iv)少なくとも1種の塩基性化合物の存在下で反応させ、少なくとも1種のジビニルアレーンオキシド、及び少なくとも1種のアミドを含む反応溶出物を形成する工程、
(b)工程(a)の反応溶出物に存在する少なくとも1種の軽い物質の少なくとも一部を工程(a)の反応溶出物から除去して、(b1)少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドの少なくとも一部を含む有機相、及び(b2)水相を含む二相の液体濃縮物を形成する工程、並びに
(c)水相から少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドを含む有機相を分離する工程。
本発明の上記の方法における最初の反応工程(a)は、少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドを含む反応溶出物を形成する条件の下、構成成分(i)〜(iv)を反応させることを含むエポキシ化反応工程を含む。
本発明において有用なジビニルアレーン源は、ジビニルアレーンの調製のための、任意の既知の源及び特に知られた方法に由来してもよい。例えば、ジビニルアレーンは、アレーン及びエチレンから、塩又は金属廃棄物を用いて調製することができる。
本発明の工程において有用なジビニルアレーン反応物は、以下のような一般的な化学構造I〜IVで例示することができる。
Figure 0006317110
Figure 0006317110
Figure 0006317110
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本発明のジビニルアレーン反応物の上記の構造I、II、III、及びIVにおける各々のR、R、R、及びRは個別に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基であってよく、ここでアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基はそれぞれ個別に1〜約18の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子;又は例えばハロゲン基、ニトロ基、イソシアネート基、若しくはR’O基を含む酸化剤に耐性のある基を有してもよく、ここでR’はそれぞれ個別に1〜約18の炭素原子、好ましくは1〜約4の炭素原子を有するアルキル、アリール、又はアラルキル基であってよく;xは0〜4の整数であってよく;yは2以上の整数であってよく;x+yは6以下の整数であってよく;zは0〜6の整数であってよく;z+yは8以下の整数であってよく;及びArは例えば1,3−フェニレン基を含むアレーン部である。
本発明の一実施形態として、本発明で有用なジビニルアレーンは、任意の環の位置に2つのビニル基(本明細書では「C=C結合」、「オレフィン」、又は「エチレンの二重結合」と称する)を有する、任意の置換又は非置換アレーン核を含んでもよい。例えば、アレーンはベンゼン、置換ベンゼン、又は(置換)環縮合ベンゼン、及びこれらの混合物を含んでもよい。一実施形態において、ジビニルベンゼンはオルト、メタ、若しくはパラ異性体、又はこれらの任意の混合物であってよい。更なる置換基として、例えば飽和アルキル基又はアリール基を含む酸化に耐性のある基から成ることができ、ここで、飽和アルキル基は1〜約18の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有してよく、及びアリール基は1〜約18の炭素原子、好ましくは6〜10の炭素原子;ハロゲン基;ニトロ基;イソシアネート基;又はR’O−基、ここで、R’は上記に定義したものと同様とすることができる;又はこれらの混合を有してよい。環縮合したベンゼンは、例えばナフタレン、テトラヒドロナフタレン、及びこれらと同種のもの、並びにこれらの混合物を含んでもよい。
他の実施形態において、ジビニルアレーンは多量の置換アレーンを含んでもよい。置換アレーンの量及び構造は、ジビニルアレーンの調製において使用する方法に依存する。たとえば、ジエチルベンゼン(DEB)の脱水素によって調製したDVBは、多量のエチルビニルベンゼン(EVB)、ナフタレン、ポリエチルベンゼン(例えばジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、テトラエチルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ジフェニルエタン、他のアルキル化ベンゼン、及びより高分子量の油)、フリーラジカル阻害剤、又はこれらの混合物を含んでもよい。
本発明の一実施形態として、任意にEVBを含むDVBをエポキシ化してもよい。使用するDVBは高純度DVBとして、例えば非常に少量のエチルビニルベンゼンオキシド(EVBO)を含むDVBDOを作ることができる。本明細書でDVBに関する高純度とは、例えば、約80%より多い、より好ましくは約90%より多い、最も好ましくは約95%より多いDVBを含み、残部が不純物又はEVBのような他の化合物であるDVBを意味する。
本発明の方法で使用されるジビニルアレーンは、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルエーテル又はこれらの混合物を含んでもよい。一つの好ましい実施形態として、本発明はジビニルベンゼンをジビニルアレーン反応物として使用する。ジビニルベンゼンをジビニルアレーン反応物として使用する実施形態において、形成されるジビニルアレーンジオキシドは、ジビニルベンゼンジオキシドを含む。
前述のように、本発明で使用するペルオキシカルボキシイミド酸反応物は、(i)予め形成、(ii)反応混合物内でその場(in-situ)で形成、又は(iii)(i)及び(ii)の組合せとすることができる。例えば、本発明で有用なペルオキシカルボキシイミド酸は、下記の一般的な化学式のペルオキシカルボキシイミド酸反応物を含んでもよい。
Figure 0006317110
ここで、上記の構造のRは、1〜約18の炭素原子、好ましくは1〜約6の炭素原子、及びより好ましくは1〜約4の炭素原子を有する飽和炭化水素とすることができ;又はRは1〜約18の炭素原子、好ましくは1〜約12の炭素原子、及びより好ましくは1〜約6の炭素原子を有する芳香族炭化水素とすることができ;ここで、Rは非芳香族性の多重結合を有しない。
本発明で有用なペルオキシカルボキシイミド酸の例として、限定されないが、ペルオキシプロピオンイミド酸、ペルオキシカプロンイミド酸、ペルオキシカプリンイミド酸、ペルオキシトリデカンイミド酸、ペルオキシ−1−及び4−メチルシクロヘキサンカルボキシイミド酸、ペルオキシシクロヘキサンアセトイミド酸、又はこれらの混合物を含む。
本発明の方法の一実施形態において、エポキシ化反応は、以下の反応式Iによって表すことができる。
Figure 0006317110
上記の例(式I)は、本発明によるエポキシ化方法を示し、ここにおいてジビニルベンゼン(DVB)は以下の一般式を有するペルオキシカルボキシイミド酸でエポキシ化される。
Figure 0006317110
ここで、上記の構造のRは、上記に定義したものと同様とすることができる。前述のように、本発明のペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤は、例えば、別個かつ独立の反応においてペルオキシカルボキシイミド酸を予め形成;又は反応混合物中でその場で等、種々の方法で得ることができる。個別に予め形成したペルオキシカルボキシイミド酸は、反応でうまく使用することができる一方、ペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤は、反応混合物中でその場で有利に形成される。ペルオキシカルボキシイミド酸は、例えばニトリルと過酸化水素とを反応させることによって、反応混合物中でその場で形成することができる。
本発明は、ニトリル及び過酸化水素(H)をエポキシ化すべきジビニルアレーンに添加し、ここでペルオキシカルボキシイミド酸が、わずかに塩基性の条件(例えば、pH計器で測定して少なくとも約7を超えるpH)の下、ニトリル及びHから形成され、そして同時にジビニルアレーン化合物をエポキシ化して生成物としてジビニルアレーンジオキシド及びアミドを形成することによるエポキシ化を行う際に、インサイチュ(その場、in-situ)の技術を利用するものである。pHを約7より大きく維持するために、塩基を反応混合物に加えてもよい。
その場でペルオキシカルボキシイミド酸を作る際に使用するニトリル化合物は、ニトリル基が過酸化水素と反応することができる唯一の基である化合物であってもよい。特に有用なニトリルは、下記の式を有するものとすることができる。
Figure 0006317110
ここで、上記の構造のRは、上記に定義したものと同様であってよい。ニトリル基が芳香環に直接結合するニトリルは、飽和ニトリルより更に活性で、従ってより短時間のエポキシ化を可能にしてプラント能力を高め得るペルオキシカルボキシイミド酸を形成することが知られているため、特に有用である場合がある。
本発明で使用する、過酸化水素との反応において本発明のエポキシ化剤として使用するカルボキシイミド酸を有利に作るニトリルの代表例は、1つ以上の下記の例を含む。即ち、下記の化学構造を有するペルオキシアセトイミド酸となるアセトニトリルのような脂肪族ニトリル、
Figure 0006317110
ペルオキシプロピオンイミド酸となるプロピオニトリル;ペルオキシカプロンイミド酸となるカプロニトリル;ペルオキシカプリンイミド酸となるカプリニトリル;ペルオキシトリデカンイミド酸となるトリデカンニトリル;脂環式ニトリル、例えば、ペルオキシ−1−及び4−メチルシクロヘキサンカルボキシイミド酸となる1−及び4−メチルシクロヘキサンニトリル;ペルオキシシクロヘキサンアセトイミド酸となるシクロヘキサンニトリル;芳香族ニトリル、例えば、ペルオキシオルト−、メタ−、及びパラ−トルイミド酸となるオルト−、メタ−、及びパラ−トルニトリル;下記の構造を有するペルオキシベンズイミド酸となるベンゾニトリルである。
Figure 0006317110
上記の構造は、特にエポキシ化剤として活性でもよい。シアン化水素とエポキシ化合物との反応によって容易に得られるβ−ヒドロキシニトリルは、本発明において用いられる他の有用な種類のニトリルであってもよい。例えば、過酸化水素との反応によってペルオキシβ−ヒドロキシプロピオンイミド酸を形成するβ−ヒドロキシプロピオニトリルを使用することができる。
本発明で使用するペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤を作る際に、ポリニトリルをモノニトリルの代わりに使用することもできる。ポリニトリルは、2又はそれ以上のニトリル基を有する任意の分子として定義され、ここで、ニトリル基とニトリル基との間は1〜18の炭素原子よって分離している。例えば、マロンニトリル、ヘキサメチレンジシアニド、アジポニトリル、及びこれらの混合物のようなジニトリルを本発明で使用することができる。可溶性ポリアクリロニトリルは、本発明で有用な他の種類のニトリルとすることができる。
一つの好ましい実施形態として、本発明で有用なニトリルは、アセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピオニトリル、又はこれらの混合物を含んでもよい。
特に有用なペルオキシカルボキシイミド酸は、下記の式を有するものとすることができる。
Figure 0006317110
ここで、上記の構造のRは、上記に定義したものと同様であってよい。他の実施形態において、例えばニトリルと過酸化水素との反応によってペルオキシカルボキシイミド酸が反応混合物中でその場で形成されるとき、本発明の方法で起こる全体の反応は、下記の反応式IIによって表すことができる。
Figure 0006317110
上記の例において、式IIは本発明の方法の一実施形態を示しており、これにおいてジビニルベンゼン(DVB)はエポキシ化され、エポキシ化の間、ペルオキシカルボキシイミド酸がその場で形成される。式IIにおいて、Rは上記に定義したものと同様であってよい。前述のように、ペルオキシカルボキシイミド酸は、反応混合物中にそのようなペルオキシカルボキシイミド酸を使用する前に、選択したニトリル化合物、例えば、任意の一つ以上の上述のニトリルと、過酸化水素との別の反応によって、調製する(予め形成する)ことができる。続いて、予め形成したペルオキシカルボキシイミド酸を、ジビニルアレーン化合物に加えて、反応条件下で密接に混合してエポキシ化してもよい。この場合、必要な塩基の存在下でのエポキシ化に使用するためにペルオキシカルボキシイミド酸を単離することを必要としない場合がある。
本発明の反応に使用する予め形成したペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤を作る代替の方法は、例えば塩基性条件下での塩化イミド酸と過酸化物との反応とすることができる。例えば、本発明で有用な塩化イミド酸は、下記の一般的な構造を有していてもよい。
Figure 0006317110
一実施形態において、過酸化水素は単独で、又は塩基(例えば水酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、若しくはこれと同種のもの、又はこれらの混合物)と組み合わせて使用することができる。ここで、上記の構造のRは、上記に定義したものと同様であってよい。
予め形成するか、その場で作るかにかかわらず、本発明の方法において、一般的に、生成するエポキシ基1モルにつき少なくとも1モルのペルオキシカルボキシイミド酸を使用してもよい。しかしながら、ジビニルアレーン化合物対ペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤の異なるモル比を使用することができる。例えば、より速い速度で他の反応物の完全な反応を促進するために、反応物の1つを化学量論過剰量で使用することは、しばしば有利である。本発明の構成成分であるジビニルアレーンは、2つのエチレン二重結合を含む。通常、ジビニルアレーンのエチレン二重結合1モルにつき、約0.25モル〜約4モルのペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤の比率を使用してもよい。本発明の方法の他の実施形態として、ジビニルアレーンのエチレン二重結合1モルにつき、約0.75モル〜約2モルのペルオキシカルボキシイミド酸の比率を使用してもよい。そして、更に他の実施形態において、ジビニルアレーンのエチレン二重結合1モルにつき、約0.95モル〜約1.30モルのペルオキシカルボキシイミド酸の比率を使用してもよい。
他の実施形態において、ペルオキシカルボキシイミド酸がニトリル及び過酸化水素から反応混合物中でその場で形成されるとき、一般的に、ジビニルアレーンのエチレン二重結合1モルにつき、約0.25モル〜約4モルの比率の過酸化水素を使用してもよい。更に他の実施形態として、エチレン二重結合に対する過酸化水素のモル比は、約0.5モル〜約4.0モルを含むことができ、使用してもよい。本発明の方法のさらに他の実施形態として、ジビニルアレーンのエチレン二重結合1モルにつき約0.75モル〜約2モルの過酸化水素の比率を使用してもよく;他の実施形態において、ジビニルアレーンのエチレン二重結合1モルにつき、約1.0モル〜約2.0モルの過酸化水素の比率を使用してもよく;また、さらに他の実施形態において、ジビニルアレーンのエチレン二重結合1モルにつき、約1.05モル〜約1.30モルの過酸化水素の比率を使用してもよい。
エチレン二重結合1モルにつき過酸化水素の上記比率を使用する1つの利点を例示するために、例えばDVBの両方のエチレン二重結合とペルオキシカルボキシイミド酸との逐次エポキシ化は、下記の式III及びIVで示すことができ、前記逐次エポキシ化は、本発明の方法の一実施形態を代表するものである。
Figure 0006317110
Figure 0006317110
式III及びIVで例示した逐次エポキシ化の上記の例において、ジビニルベンゼン(DVB)はペルオキシカルボキシイミド酸と反応してジビニルベンゼンモノオキシド及びアミドを形成し(式III)、続いて、更にモノオキシドとペルオキシカルボキシイミド酸とが反応してジビニルベンゼンジオキシド及びアミドを形成する(式IV)。上記の式III及びIVの化学構造式において、Rは上記に定義したものと同様とすることができる。
エチレン二重結合からエポキシ基への高い反応度が得られなければ、相当な量のジビニルアレーン及び/又はジビニルアレーンモノオキシドが反応生成物中に残存し得ることが分かった。エチレン二重結合に対する過酸化水素の上記の比率は、望ましいジビニルアレーンジオキシドへの高い反応度を有利に与えてもよい。
ペルオキシカルボキシイミド酸が(1)その場で作られるか、又は(2)予め形成されるかを問わず、過酸化水素に対してモル過剰のエチレン二重結合を使用した場合、大量のジビニルアレーン出発物質、及びジビニルアレーンモノオキシドがエポキシ化反応の終了時に残存してもよく;また、ジビニルアレーンジオキシドから有意量のジビニルアレーン及びジビニルアレーンモノオキシドを分離して、精製したジビニルアレーンジオキシドの生成物を得ることを必要としてもよい。したがって、本発明の方法において、両方の望ましい実施形態で、エチレン二重結合のエポキシ基への高い転化、及び過酸化水素の最小限の使用を達成することができるよう、不当に過剰の過酸化水素を使用せずにエチレン二重結合のエポキシ基への高い転化を得るために、エチレン二重結合に対してわずかにモル過剰の過酸化水素を使用することが有利な場合がある。
本発明の実施形態は、例えば、エチレン二重結合1モルにつき約1.0モル〜約2.0モルの過酸化水素の比率、より好ましくはエチレン二重結合1モルにつき約1.05モル〜約1.30モルの過酸化水素の比率を使用して、予め形成した、又はその場で形成したペルオキシカルボキシイミド酸を用いたジビニルアレーンのエポキシ化方法を含むものであって、反応は本発明の方法について本明細書中に開示する条件で行う。
本発明の方法は、以下の結果のうち一つ以上、好ましくはすべてを有利に提供する。
(1)チャージしたジビニルアレーンの転化は、一実施形態において約80%より大きい転化、他の実施形態において約90%より大きい転化、更に他の実施形態において約98%より大きい転化、及びさらに他の実施形態においてチャージしたジビニルアレーンの約99%より大きい転化を含んでもよい。本方法の目的は、チャージしたジビニルアレーンの100%の転化を得ることであり、通常、チャージしたジビニルアレーンの転化は、一実施形態において約80%〜約100%の転化、他の実施形態において約90%〜約100%の転化、更に他の実施形態において約98%〜約100%の転化、及び更に他の実施形態において約99%〜約100%であってよい。
(2)チャージしたジビニルアレーンに基づく中間物のジビニルアレーンモノオキシドのパーセント収率は、一実施形態において約50%未満、他の実施形態において約20%未満、更に他の実施形態において約10%未満、及びさらに他の実施形態において約5%未満を含んでもよい。他の実施形態において、ジビニルアレーンに基づくジビニルアレーンモノオキシドのパーセント収率は、約0.1%〜約50%、他の実施形態において約0.1%〜約20%、更に他の実施形態において約0.1%〜約10%、さらに他の実施形態において約0.1%〜約5%、及び更に他の実施形態において約0.1%〜約2%を含んでもよい。
(3)ジビニルアレーンに基づくジビニルアレーンジオキシド生成物のパーセント収率は、一実施形態において約50%より大きい収率、他の実施形態において約60%より大きい収率、更に他の実施形態において約70%より大きい収率、及びさらに他の実施形態において80%より大きいジビニルアレーンジオキシドの収率を含んでもよい。本処理の目的は、100%のジビニルアレーンジオキシド生成物の収率を得ることであり、通常、ジビニルアレーンに基づくジビニルアレーンジオキシド生成物のパーセント収率は、約50%〜約100%のジビニルアレーンジオキシドの収率、他の実施形態において約60%〜約100%の収率、他の実施形態において約70%〜約100%の収率、及び更に他の実施形態において約80%〜約100%の収率を含んでもよい。
(4)チャージした過酸化水素に基づくエポキシ基のパーセント収率は、一実施形態において約50%より大きいエポキシ基の収率、他の実施形態において約60%より大きい収率、更に他の実施形態において約70%より大きいエポキシ基の収率、及びさらに他の実施形態において約90%より大きいものを含んでもよい。本処理の目的は、チャージした過酸化水素に基づく100%のエポキシ基の収率を得ることであり、一般的に、エポキシ基のパーセント収率は約50%〜約100%の収率、他の実施形態において約60%〜約100%の収率、更に他の実施形態において約70%〜約100%の収率、及びさらに他の実施形態において約90%〜約100%の収率を含んでもよい。
ペルオキシカルボキシイミド酸がニトリルから反応混合物中でその場で形成される実施形態において、一般的に、約0.5:1〜約4:1のニトリル対過酸化水素のモル比を使用することができ、好ましくは約1:1〜約3:1のニトリル対過酸化水素の比を使用することができ、及びより好ましくは約1.2:1〜約2.5:1のニトリル対過酸化水素の比を使用することができる。そのような場合、ジビニルアレーンのエチレン二重結合に対する過酸化水素の範囲は、本発明の方法について上述した範囲であってもよい。過酸化水素との反応によってエポキシ化剤のその場での形成にポリニトリルを使用する場合、始めのニトリル1モルあたりのニトリル基の数を考慮したモル割合を使用すべきである。
ペルオキシカルボキシイミド酸を作る際に使用するニトリル化合物は、そのような化合物中のニトリル基が過酸化水素と反応することができる唯一の基であるニトリル化合物であってもよい。
反応は、好ましくは、水及び/又は反応物に適する一つ以上の有機溶媒を含んでもよい溶媒を使用した液相中で行ってもよい。例えば、本発明において過酸化水素及び/又は塩基性化合物の水溶液を使用してもよい。水に低溶性のジビニルアレーン化合物をエポキシ化する際、及び/又は実質的に水に不溶なペルオキシカルボキシイミド酸を使用する際、反応のための有機溶媒を水の代わりに又は水と共に役立ててもよい。アルコール、特に水溶性アルコールは有用な溶媒とすることができ、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、又はこれらの混合物を含む。多価アルコール、例えばエチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、又はこれらの混合物を使用することができる。炭化水素溶媒、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、及びこれと同種のものを含む芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、及びこれと同種のものを含む脂肪族炭化水素溶媒;又はこれらの混合物を本発明において使用することができる。例えばケトン、エーテル、塩素化溶媒、エステル、及びこれらの混合物等の他の非酸性溶媒を使用することができる。例えば、本発明で有用な溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、酢酸エチル、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、又はこれらの混合物を含んでもよい。本発明の方法において、重合性のエチレンの連鎖を有しない溶媒を使用してもよい。
好ましい一実施形態として、反応溶媒は、例えばメタノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、4−メチル−2−ペンタノン、1−メトキシ−2−プロパノール、又はこれらの混合物を含んでもよい。
一般的に、大量の液体の有機溶媒を用いて反応を行う際、ジビニルアレーンに対する有機溶媒の質量比は、約20より少なくてもよく、好ましくは約10より少なくてもよく、より好ましくは約5より少なくてもよい。本発明の他の実施形態として、ジビニルアレーンに対する有機溶媒の質量比は、約0.1〜約20、好ましくは約0.5〜約10、より好ましくは約1〜約5であってもよい。
本発明の他の実施形態は、例えば、反応物として、及び本発明の組成物の反応溶媒として上記に開示したニトリルの使用を含む。この例において、必要な反応、及び溶媒として機能するニトリルの機能性を提供するために過剰のニトリルを使用することができ、ここで、過剰のニトリルは上記に述べた質量比率の範囲に含まれる。
反応相は単相又は多相であることができ、つまり、反応混合物は一つの均一な相であることができ、又は反応混合物は一以上の液相及び/又は固相を含んでもよい。
反応混合物のpHを約7より大きいpHに維持するため、有機又は無機の塩基性化合物を反応混合物に加えることができる。塩基性化合物が反応混合物の必要なpHを維持するならば、実質的に可溶性及び実質的に不溶性の塩基性化合物の両方が効率的である場合がある。塩基性の無機化合物は低コストで容易に入手可能であるため、塩基性の無機化合物は一般に有利であり得る。適切な塩基性化合物は、例えば無機水酸化物、その例としてはアルカリ及びアルカリ土類水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及びこれと同種のもの、又はこれらの混合物とすることができ;アルカリ及びアルカリ土類金属に対応する酸化物、例えば酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及びこれらと同種のもの、又はこれらの混合物;塩基性の塩、例えば水溶性炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、及びこれと同種のもの、その例としては炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸カリウム、及びこれと同種のものとすることができ;又はこれらの混合物を含む。
一の好ましい実施形態として、塩基性化合物は、水酸化物、重炭酸塩、又はこれらの混合物を含んでもよく;より具体的には、他の実施形態において、塩基性化合物は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属重炭酸塩、又はこれらの混合物を含んでもよく;より更に具体的には、更に他の実施形態において、塩基性化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及びこれらの混合物を含んでもよい。
本発明で使用する有機の塩基性化合物は、一般に、それらの無機塩基より高いコストのため、より好ましくない場合がある。しかし、有機の塩基は、本発明においてなお有用な場合がある。本発明において使用してもよい有機の塩基性化合物は、例えばフェノールの塩、例えばカリウムフェネート、カルシウムフェネート、ナトリウムメタ−メチルフェノキシド、ナトリウムナフトキシド、アミン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、及びより高級の類似物、例えばトリエチルアミン、トリ―n―プロピルアミン、トリ―n―ブチルアミン、及びこれと同種のもの;又はこれらの混合物を含む。
任意の水溶性の塩基性化合物の水溶液を本発明の組成物に使用してもよく、一般に組成物中約0.1質量%〜約50質量%、好ましくは約1質量%〜約40質量%、より好ましくは約4質量%〜約10質量%とすることができる。
いくつかの実施形態において、不溶性の形態の塩基性化合物の使用に操作上の利点がある場合がある。例えば、陰イオン交換樹脂、特にアミン又は四級アンモニウムの塩基性樹脂は、本発明の方法に用いる不溶性塩基の特に便利な形態であり得る。これらの適切な塩基樹脂の例は、例えば、米国特許第2591573号明細書で開示され、引用によって本明細書中に含まれるクロロメチル化されたスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのアミノ化生成物;米国特許第2388235号明細書の方法によって作られ、引用することよって本明細書中に取り入れられる樹脂;陰イオン樹脂;弱塩基性イオン交換樹脂;及びこれと同種のもの、又はこれらの混合物を含む。塩基性樹脂は、遊離塩基の形態、又は塩、例えば強塩基性樹脂の炭酸塩の形態で使用してもよい。例えば、本発明において有用な不溶性塩基性化合物の他の種類として、ハイドロタルサイトを含んでもよく、これは中間層中に正電荷と陰イオン種とを有するブルーサイトのような層を有する、合成した陰イオン性の粘土であり、例えばK.Kanedaほか、Chem.Commun.1998、pp.295〜296で開示され、当該文献で引用された文献によって調製したハイドロタルサイトMg10Al(OH)24COであり、引用によって本明細書中に含まれる。
本発明の反応速度はpH依存性であり、迅速な反応を促進するために、少なくとも約7より大きい、好ましくは約9より大きいpHが望ましい場合がある。一般に、反応混合物のpHは、約7より大きく最高約12のpHを含んでもよい。一実施形態において、塩基性化合物を使用し、反応混合物のpHを約9〜約11.5に維持する。他の実施形態において、約9〜約10.5の範囲に反応混合物のpHを維持するよう塩基性化合物の添加を制御する場合、有益な結果が得られる場合がある。他の実施形態において、反応のpHを、約9.5〜約10.5の範囲に維持してもよい。好ましい実施形態において、反応のpHは、約9.5〜約10.1の範囲で維持する。本明細書において用語“pH”は、Thermoscientific#8272BNの、Fisher Scientificから得た標準的なpH7及びpH10の緩衝剤を使用して調整してもよいpH触針を備えるpH計器によって、反応温度において反応溶液中で測定したpHを意味する。一以上の一定の添加率、又は断続的な添加を備える塩基性化合物の添加プロファイルを、pH制御の代替系として使用してもよい。一実施形態において、少なくとも1種の塩基性化合物は、例えば約7〜約12の範囲に反応混合物のpHを維持する程度に十分に、ある割合で添加するか、又は最初の反応に全て一度に添加することができる。例えば、塩基性化合物は、水酸化ナトリウム(NaOH)とすることができる。
pH制御又はNaOHの添加プロファイルを使用するか否かにかかわらず、加えたNaOHの合計は、一般に、添加した全過酸化水素1モルにつき約0.01モル〜約0.15モルの範囲のNaOH、好ましくは添加した全過酸化水素1モルにつき約0.02モル〜約0.10モルのNaOH、及びより好ましくは添加した全過酸化水素1モルにつき約0.04モル〜約0.08モルの範囲のNaOHである。本発明の反応方法の反応温度は、例えば使用する特定のニトリル及び塩基性化合物等の要因により異なってもよい。一般に、反応温度は、約20℃〜約100℃の間で維持してもよい。約0℃〜運転圧力における混合物の沸点近辺の温度範囲を使用することができ、約20℃〜約100℃のオーダーの温度を通常使用してもよいが、好ましくは約20℃〜約60℃の温度範囲、及びより好ましくは約40℃〜50℃の温度範囲とすることができる。一般に、本発明の方法の反応温度がより高いほど、オレフィンのより高い転化を得るのに必要な反応時間は短くなる。例えば、約20℃においては約24時間の長さの反応時間を使用してもよい。しかし、約6時間未満の反応時間が望ましいとき、反応温度を約50℃に上げてもよい。他の実施形態において、一以上の反応物又は溶媒の沸点より上で操作する場合、反応物を少なくとも部分的に液相に維持する程度に十分な圧力の下で操作することが好ましい。
異なる実施形態において、反応混合物中の低沸点の構成成分の沸騰を誘発するために減圧を適用することにより、大気圧より低い圧力で処理を行うことによって、本発明の方法の温度を制御してもよく、ここにおいて、低沸点の構成成分の沸騰によって形成される蒸気の少なくとも一部は凝縮し、続いて任意に、凝縮した蒸気を反応混合物へと再利用する。
フリーラジカル重合の傾向を有する場合があるジビニルアレーンのエポキシ化の場合、一般に約70℃より低い温度を使用して、エチレン二重結合の望ましくない重合を避けてもよいが、他の実施形態において約60℃より低い温度が更に好ましい場合がある。
例えばフリーラジカル重合阻害剤を含む多数の添加物を、本発明の一部として、任意に使用することができる。例えば、一つ以上のフリーラジカル重合阻害剤を、例えば反応工程、回収工程、及び/又は精製工程を含む本発明の方法の任意の工程に加えてもよい。阻害剤は;フェノール;ヒドロキノン;キノン;芳香族ニトロ化合物、ニトロフェノール、アミン;ニトロソ化合物;窒素酸化物;又はこれらの混合物を含んでもよい。
本発明において使用してもよいフリーラジカル重合阻害剤は、例えばフェノール、例えば4−メトキシフェノール、4−tert−ブチルカテコール、又は2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール;ヒドロキノン、例えば1,4―ジヒドロキシベンゼン、又は3,5―ジ―tert―ブチルベンゼン―1,2―ジオール;キノン、例えば1,4―ベンゾキノン、又はナフタレン―1,2―ジオン;芳香族ニトロ化合物、例えば1,3―ジニトロベンゼン、又は1,4―ジニトロベンゼン;ニトロフェノール、例えば2―(sec―ブチル)―4,6―ジニトロフェノール、4―メチル―2―ニトロフェノール、又は4―メチル―2,6―ジニトロフェノール;アミン、例えばフェノチアジン、N―フェニル―N―プロピルベンゼン―1,4―ジアミン、N―(1,4―ジメチルペンチル)―N’フェニル―p―フェニレンジアミン、N,N―ジエチルヒドロキシルアミン、又は2,2,6,6―テトラメチルピペリジン;ニトロソ化合物、例えばN―ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩;窒素酸化物化合物(下記明細書中に詳細に開示する);又はこれらの混合物を含む。
窒素酸化物化合物は、本発明において特に有用であるフリーラジカル重合阻害剤の種類である。本明細書において使用する用語“窒素酸化物”は、本技術分野においてしばしば使用される用語“アミノキシル”、“ニトロキシル”、又は“ヒンダードアミンニトロキシルラジカル”と同義である。窒素酸化物は一般的に少なくとも一つのNO基を有する化合物であり、ここで、アスタリスクは不対電子を意味し、窒素原子は2つの炭素原子に結合しており、そのどちらにも水素原子は結合していない。本発明において有用な窒素酸化物化合物は、下記の一般的な構造を有する。
Figure 0006317110
ここで、それぞれのRは個々に1〜18の炭素原子のアルキル基であり、Tは5又は6員環を形成することが要求される基である。2種又はそれ以上のニトロキシル基は、結合基によってT部分を通して上記の環構造の2つを結合することによって、同じ分子内に存在してもよい。好ましくは、窒素酸化物は下記の群から選択される。
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン(本技術分野でTEMPOともいう)、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―オール(本技術分野で4―ヒドロキシTEMPOともいう)、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―オン、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチル―4―n―プロポキシピペリジン、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチル―4―n―ブトキシピペリジン、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチル―4―アリルオキシ―ピペリジン、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチル―4―アセトアミドピペリジン、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―(N―ブチルホルムアミド)ピペリジン、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチル―4―(2―メトキシエトキシアセトキシ)ピペリジン、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル ステアレート、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル アセテート、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル ブチラート、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル 2―エチルヘキサノアート、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル オクタノアート、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル ラウレート、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル ベンゾアート、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル 4―tert―ブチルベンゾアート、
ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)スクシネート、
ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)アジパート、
ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)セバケート、
ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)n―ブチルマロナート、
ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)フタレート、
ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)イソフタレート、
ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)テレフタレート、
ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)ヘキサハイドロテレフタレート、
N,N’―(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)アジパミド、
N―(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)カプロラクタム、
N―(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)ドデシルスクシンイミド、
2,4,6―トリス―[N―ブチル―N―(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)]―s―トリアジン、
4、4’―エチレンビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペラジン―3―オン)、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチル―4―(2,3―ジヒドロキシプロポキシ)ピペリジン、
1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチル―4―(2―ヒドロキシ―4―オキサペントキシ)ピペリジン、
及び、ジ―tert―ブチルニトロキシル。
一の好ましい実施形態として、本発明において有用な窒素酸化物は、ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)セバケート、1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン、1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―オール、1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチル―4―n―ブトキシピペリジン、及びこれらの混合物からなる群から選択してもよい。
上記に開示したように、同じ組内(例えば窒素酸化物)からの阻害剤の組合せを使用してもよく;又は上記の異なる組からの阻害剤の組合せを使用してもよく、例えばフェノールの阻害剤を窒素酸化物と組み合わせて使用してもよい。一実施形態において、4―tert―ブチルカテコールと、ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)セバケート、又は1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―オールのいずれかとの組合せを使用し、本反応においてフリーラジカル重合を妨げ、ジビニルアレーンオキシド(例えばDVBDO)を作る。
反応工程に導入するフリーラジカル重合阻害剤は、種々の形(例えば純粋な形、又は溶媒中に溶解した溶液としての阻害剤)で、及び種々の添加方法(例えば全て同時、連続的、又は断続的)で添加することができる。本発明において有用な阻害剤の濃度は、例えば反応に添加した全ジビニルアレーンに基づいて約0.01質量%〜最高約5質量%であることができる。好ましくは他の実施形態において、阻害剤の濃度は、反応に加える全ジビニルアレーンに基づいて約0.1質量%〜約2.0質量%の範囲であってもよい。
阻害剤は、全て反応の開始に(加熱の前に)、断続的に(例えば30分ごとに)、又は連続的に加えてもよい。添加方法の組合せを使用することができ、例えば全阻害剤の一部を反応の始めに添加していてもよく、また、阻害剤の残部を反応の間、連続的に添加することができる。断続的又は連続的に阻害剤を加える場合、単位時間あたりに加える全阻害剤の割合は、線形又は非線形であることができる。連続的な阻害剤の添加を使用する場合、添加は、時間ごとに、特に反応の終了の少し前に止めてもよく、これは所望の生成物の収率を犠牲にすることなく高効率の阻害剤の使用を与える場合がある。
フリーラジカル重合阻害剤は、その純粋な形で、又は適切な溶媒中の溶液として導入することができる。例えば、阻害剤とともに使用する溶媒は、任意の一つ以上の上記と同じ反応溶媒とすることができる。例えば、阻害剤は、例えば水、メタノール、アセトニトリル、アルキルビニルアレーンモノオキシド(例えばエチルビニルベンゼンモノオキシド)、ジビニルアレーン(例えばジビニルベンゼン)、ジビニルアレーンモノオキシド(例えばジビニルベンゼンモノオキシド)、ジビニルアレーンジオキシド(例えばジビニルベンゼンジオキシド)、又はこれらの混合物を含む任意の適切な溶媒中の溶液として導入することができる。一実施形態において、阻害剤は、例えば1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―オールであることができ、反応工程の間、水中の20%の溶液として導入することができる。
好ましい一実施形態として、反応混合物に加えるフリーラジカル重合阻害剤の総量は、反応に添加する全ジビニルアレーンに基づいて約0.01質量%〜約5.0質量%を含んでもよい。他の実施形態において、反応混合物に加えるフリーラジカル重合阻害剤の総量は、反応に加える全ジビニルアレーンに基づいて約0.1質量%〜約2.0質量%であってもよい。フリーラジカル重合阻害剤は全て一度に、断続的に、連続的に、又は添加方法の組合せを使用して反応混合物に加えてもよく、ここで阻害剤はその純粋な形で、又は適切な溶媒中で添加してもよい。
一の好ましい実施形態として、フリーラジカル重合阻害剤は、1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン、又は1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジンの置換された形を含んでもよい。他の実施形態において、フリーラジカル重合阻害剤は、1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―オール、1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチル―4―n―ブトキシピペリジン、ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)セバケート、4―tert―ブチルカテコール、又はこれらの混合物を含んでもよい。更に他の実施形態において、フリーラジカル重合阻害剤は、反応に添加した総ジビニルアレーンに基づいて例えば約0.1質量%〜約2.0質量%の反応に加える総量で、反応の過程に渡って断続的又は連続的に添加することができる、ビス(1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―イル)セバケートを含んでもよい。更に他の実施形態において、フリーラジカル重合阻害剤は、反応に添加した総ジビニルアレーンに基づいて例えば約0.1質量%〜約2.0質量%の反応に加える総量で、反応の過程に渡って断続的又は連続的に添加することができる、1―オキシル―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン―4―オールを含んでもよい。
他の実施形態において、本発明の方法は、フリーラジカル阻害剤を、単独又は酸素を含む気体と組み合わせて使用することができ;又は本方法は、酸素を含む気体単独で使用することができる。一般に、酸素を含む気体は、酸素―窒素の気体混合物とすることができる。一実施形態において、酸素―窒素気体混合物は、最高で約21%の酸素を含むことができ、残部は窒素である。他の実施形態において、酸素を含む気体は、最高約10%の酸素を含み残部が窒素である酸素―窒素気体混合物であってもよい。一般に、気体混合物の流量は、毎分総反応器体積の約0.01〜約1.0倍を含んでもよい。
一実施形態において、活性のために酸素を必要としてもよいフリーラジカル阻害剤を使用するとともに、本方法における気相は、最高約21%の酸素を含み残部が窒素を含むことができる。他の実施形態において、気体の酸素含有量は、一般に最高約21%、好ましくは最高約10%、より好ましくは最高約5%であって、残部が窒素又は任意に他の不活性気体若しくは不活性気体の混合物である。
他の実施形態において、酸素を含む気体を本方法の液相に直接導入してもよく、液相への酸素吸収を強化するために、任意に撹拌を用いて液相全体への気体の分散を助けてもよい。一の好ましい実施形態として、約5%の酸素を有し残部が窒素である気体組成物は、反応において連続的に、液相に直接導入される。気体の流量は、毎分約(0.01x総反応器体積)〜毎分約(1.0x総反応器体積)とすることができる。他の更に好ましい実施形態において、流量は、毎分約(0.05x総反応器体積)〜毎分約(0.5x総反応器体積)とすることができる。
水を、最初の反応混合物(過酸化水素又は予め形成したペルオキシカルボキシイミド酸の添加前)に、一般に、最初の反応混合物の質量に対して約1質量%〜約8質量%の量で任意に加えてもよい。
アルカリリン酸塩のような緩衝剤もまた、塩基性化合物と組み合わせて反応混合物に任意に加えてもよい。例えば、本発明において使用することができるアルカリリン酸塩は、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO);リン酸二水素カリウム(KHPO);リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)の無水物又は水和物のいずれかの形態、例えば12水和物(NaHPO12HO);リン酸水素二カリウム(KHPO);又はこれらの混合物を含む。
エチレンジアミンテトラ酢酸、又はそのジアルカリ塩(例えば二ナトリウム)のようなキレート剤を、過酸化水素の質量に対して約0.01質量%〜約1質量%の量で、最初の反応混合物に任意に加えてもよい。
本発明の反応は、例えばバッチ処理、半バッチ処理、連続的な処理、又はこれらの組合せを含む種々の方法で行ってもよい。バッチ、断続的、又は連続的な反応の方法を、本発明において使用することができ;反応物は任意の便利な順序で反応混合物に導入することができる。一の好ましい実施形態として、反応は(i)バッチ様式、又は(ii)連続的な様式で行ってもよい。ペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤のその場の形成の手順を使用する場合に、バッチ的反応の1つの有利な方法は、過酸化水素を反応混合物に加えること、例えば、有利には市販されている約30%〜約75%の濃度の過酸化水素水溶液を、最初のpHを本発明に従う範囲内にする程度に十分な塩基を含む溶媒中でエポキシ化するジビニルアレーン化合物と有機ニトリルとが撹拌された混合物に対して加えることを含む。好ましくは、所望の反応温度を維持するよう過酸化水素のフィード率を制御する間、反応混合物を冷却してもよい。必要に応じて更なる塩基を反応混合物に供給し、混合物のpHを本発明に従う範囲内に維持してもよい。代替の実施形態において、この操作の方法において塩基性化合物の総量を反応の開始時に反応混合物に加えてもよい。例えば、塩基として働く塩、例えば重炭酸ナトリウム、カリウムフェノキシド、酢酸ナトリウム、及びこれと同種のもの、又はこれらの混合物を、このようにして反応の所望のpHを維持するために使用してもよい。
代替として、反応は、予め形成したペルオキシカルボキシイミド酸、及び前記に示したタイプの適切な溶媒を、好ましくは望ましい塩基とともに、温度制御手段を備える撹拌反応器(適切にはオートクレーブ)へとチャージすることによって行うことができる。続いて、エポキシ化するジビニルアレーン化合物を、必要に応じて更なる塩基性化合物を用い又は用いずに反応器に入れて、反応器へのチャージが完了するまで反応混合物のpHを好ましい範囲内に維持してもよい。上記のどちらの添加の順序についても、望ましい反応度を促進するために、全ての反応物を添加した後、任意に更なる塩基性化合物を添加してpHを好ましい範囲内に維持しながら、しばらくの間その反応温度で反応混合物を撹拌し続けることが通常望ましくてもよい。
例えば、上記に開示したように最初のチャージを部分的に反応させ、続いて、好ましい量で塩基を連続的又は断続的に添加するとともに、連続的にジビニルアレーン化合物、過酸化水素、及び有機ニトリルを別々に反応器に加え、一方で反応器からジビニルアレーンオキシドを含む反応した混合物を連続的又は断続的に取り出すことによって、本発明の方法は、撹拌した反応器内で連続的に行うことができる。直列又は並列の外部交換器の有無にかかわらず、少なくとも1種の連続撹拌槽型反応器(CSTR)、少なくとも1種の栓流反応器(PFR)、少なくとも1種のループ型反応器、又はこれらの組合せを用いて、同様の有益な結果を得ることができる。少なくとも1種のポンプを使用して、連続的な流れとして反応器を通して反応混合物を循環させることができ、該連続的な流れの中に、エポキシ化するジビニルアレーン化合物、過酸化水素、ニトリル、及び塩基性化合物を、反応器から生成物を含有する混合物を除去する前に実質的な反応が達成されるよう、反応混合物を取り出す点から十分に離れた別の点に、連続的に供給してもよい。
代替として、ジビニルアレーン化合物を、管状又は他の適切な形の反応器を通して、反応混合物の流道に沿って分離した複数の点に供給することができ、該反応器中で適当な温度を維持してもよい。温度制御は、外部的冷却によって、又は、少なくとも部分的に反応物の溶媒及び/若しくは希釈剤として作用することもできる混合物の揮発性の構成成分の蒸発、例えばブタン若しくはイソペンタン等の液状ガスの炭化水素の蒸発によって達成することができ、この揮発性の構成成分が所望の反応温度において蒸発するよう、系の圧力を管理する。前述した方法の変更のように、過酸化水素溶液及び/又は使用する塩基の溶液は、好ましくは別々に、エポキシ化するジビニルアレーン化合物を供給する点の間の中間点で、反応混合物の流れに供給することができる。これらの操作方法のいずれかおいて、予め形成したペルオキシカルボキシイミド酸の供給の流れは、過酸化水素及びニトリルの供給に置換することができる。好都合にも、ペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤は粗製の反応混合物として供給してもよく、その中において、好ましくは上記に開示したようにエポキシ化が好ましく行われるアルカリ性pHで、ペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤が生成する。
本発明における方法の除去工程(b)は、例えば蒸発により行ってもよい。一実施形態において、蒸発処理は減圧の下で行ってもよい。他の実施形態において、工程(b)の減圧蒸発は蒸留処理を含んでもよい。例えば、一つの好ましい実施形態において、工程(b)は、約5℃〜約100℃の温度、及び0.1mmHg(13Pa)〜約200mmHg(26600Pa)の圧力;又は他の実施形態において、約30℃〜約60℃の温度、及び0.1mmHg(130Pa)〜約50mmHg(6700Pa)の圧力で行ってもよい。
他の実施形態において、本発明の方法は、例えば、工程(a)の反応溶出物をバキュームストリッピングしてジビニルアレーンオキシドから「軽い物質」を取り除くことを含む減圧分離工程(b)を含み、ここで二相の濃縮物が形成され、ここで濃縮物は(b1)有機相、及び(b2)水相に分離し、ジビニルアレーンオキシド生成物は前記有機相中で豊富となる。例えば、一実施形態において、工程(a)のエポキシ化反応溶出物は、例えば粗製のジビニルアレーンオキシド生成物であることができる。本発明において、上記のジビニルアレーンオキシド合成処理の反応溶出物は反応生成物の混合物でもよく、すなわち、ここで一実施形態において、溶出物の主要な構成成分は、例えば1つの液相中に、DVBDO/ジビニルベンゼンモノオキシド(DVBMO)/EVBMO(生成物)、メタノール、水、アセトニトリル、及びアセトアミド(副産物)であることができる。
一実施形態において、本発明の方法は、工程(a)の反応溶出物の少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドの質量の約50パーセント超が工程(b)の後の有機相に存在するよう行ってもよい。他の実施形態において、工程(b)の後の有機相に存在する、工程(a)の反応溶出物の少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドの質量は、約70パーセントより大きく、更に他の実施形態において約80パーセントより大きく、及び更に他の実施形態において約90パーセントより大きくてもよい。
それに加えて、本発明の方法は、工程(a)の反応溶出物の少なくとも1種のアミドの質量の約50パーセント超が工程(b)の後の水相に存在するよう行ってもよい。他の実施形態において、工程(b)の後の水相に存在する、工程(a)の反応溶出物の少なくとも1種のアミドの質量は、約70パーセントより大きく、更に他の実施形態において約80パーセントより大きく、そして、更に他の実施形態において約90パーセントより大きくてもよい。
本発明の方法の他の実施形態は、工程(b)のメタノール、水、及びアセトニトリルの一つ以上の少なくとも一部を除去することを含む。
本発明の方法は、工程(a)からのエポキシ化反応溶出物を減圧分離し、例えば反応混合物に存在する少なくとも一部、好ましくは大部分のメタノールのような溶媒及びアセトニトリルのようなニトリル化合物を除去することを含む。バキュームストリッピングの後の残りの反応生成物は、酸化物の豊富な有機相、例えばDVBDOの豊富な有機相、及びアミドの豊富な水相、例えばアセトアミドの豊富な水相に分離する。下記明細書中に開示するように、バキュームストリッピングの後に形成される有機相及び水相は、任意のよく知られた適切な手段、例えば重力(デキャンティング、コアレッシング)、又は遠心分離等によって互いに分離することができる。一般に、一実施形態において、バキュームストリッピング工程は、約0℃〜約195℃の温度、他の実施形態において約5℃〜100℃、及び更に他の実施形態において約30℃〜約60℃で行ってもよい。バキュームストリッピング工程は、一実施形態において一般に約0.1mmHg(13Pa)〜約700mmHg(93300Pa)の圧力、他の実施形態において約0.1mmHg(13Pa)〜約200mmHg(26700Pa)、及び更に他の実施形態において約0.1mmHg(13Pa)〜約50mmHg(6700Pa)で行ってもよい。
減圧分離は、当業者に知られている適切な装置、例えば容器(例えば撹拌槽、反応器)、蒸留塔、ワイプフィルム蒸発器、フラッシュ蒸発器、又はこれらの組合せにより行うことができる。
「軽い物質」の蒸発の前、又はその間の反応器溶出物の長時間の熱処理は、反応工程(a)で生成したエポキシ基のアルコール分解又は加水分解につながる可能性がある。その結果、蒸発はより低温でより長い滞留時間の高い減圧条件で、又はより高温でより短い滞留時間の瞬間的な条件で行ってもよい。
本発明の一実施形態において、蒸発は約50mmHg(6700Pa)〜約500mmHg(67000Pa)の絶対圧、約0℃〜約60℃の温度で、約1秒〜約12時間起こる。好ましい実施形態において、蒸発は約100mmHg(13300Pa)〜約200mmHg(26700Pa)の圧力、約30℃〜約60℃の温度で、約1秒〜約4時間起こる。そのような実施形態のために使用してもよい装置は、容器に熱交換器又は加熱ジャケットを備える容器とすることができる。好ましくは、容器中の流体は、攪拌機、ポンプ、サーモサイフォン、又はこれらの組合せによって容器中を循環し、熱交換の表面を通過する。例えば、残存アセトニトリルの含有量が約5質量%未満であるとき、蒸発は完了したものとみなされる。
本発明の他の実施形態において、蒸発は約40mmHg(5300Pa)未満の絶対圧、約60℃〜約200℃の温度、及び約1秒〜約10分未満の滞留時間で起こる。好ましくはこの実施形態において、蒸発は約60℃〜約80℃の温度、約40mmHg(5300Pa)未満の圧力、及び約1秒〜約10分未満の滞留時間で起こる。例えば、残存アセトニトリル含有量が約5質量%未満であるとき、蒸発は完了したものとみなされる。そのような実施形態のために使用してもよい装置は、流下膜式蒸発器、蒸留塔、ワイプフィルム蒸発器、フラッシュ蒸発器、又はこれらの組合せとすることができる。
任意にストリッピング剤を反応器溶出物に加えてバキュームストリッピングを促進してもよい。不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、又はCO等をストリッピング剤として使用してもよい。例えば、本発明で有用な液体のストリッピング剤は、1〜約6の炭素原子を有する低級アルカン;エーテル、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、及びメチルtert−ブチルエーテル;ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン(MIBK);又はこれらの混合物を含んでもよい。
任意に、蒸発工程の前に反応器溶出物を約6.5〜約8のpHに中和して、加水分解又はアルコール分解の率を減らしてもよい。
本発明の方法を行う際に、減圧蒸発の後に形成する有機相及び水相は、分離工程で分離してもよい。一般に本発明の方法における相分離工程は、一実施形態において約0℃〜約60℃の温度、他の実施形態において約25℃〜約50℃、及び更に他の実施形態において約35℃〜約45℃で行ってもよい。分離工程の圧力は、一般に一実施形態において約0.5気圧(atm)(50.7kPa)〜約10atm(1013.3kPa)、他の実施形態において約1atm(101.3kPa)〜約5atm(506.6kPa)、及び更に他の実施形態において約0.5atm(50.7kPa)〜約1.5atm(152.0kPa)であってよい。相分離は、本技術分野において知られている方法及び装置で補助又は強化してもよい。例えば、分離は重力(例えばデキャンティング又はコアレッシング)、又は遠心分離で補助してもよい。例えば、液−液分離を達成する適切な装置は、タンク、反応器、コアレッサ、デカンター、ミキサー―セトラー、遠心分離機(例えば一又は多段階遠心抽出器、及びポドビルニアク抽出器)、及びこれと同種のもの、又はこれらの組合せを含んでもよい。
他の実施形態において、有機相を上記に開示したように水相から分離した後、有機相を水で洗浄して、残留するアミドを除去してもよい。洗浄した有機物は、上記に開示したように、より高い生成物純度のために適切な手段でさらに続いて精製してもよい。
有機相の洗浄に使用することができる任意のよく知られた適切な手段は、例えば、液−液接触装置、抽出器、重力(デキャンティング、コアレッシング)又は遠心分離によって操作する抽出タワー/カラム、及びこれと同種のものを含む。適切な装置は、例えば、撹拌槽、ミキサー―セトラー、遠心分離機(例えば一又は多段階遠心抽出器、ポドビルニアク抽出器)、抽出カラム(例えばKarrカラム)、及びこれと同種のもの、又はこれらの組合せを含んでもよい。
有機洗浄工程は、一般に約5℃〜約100℃の温度で行ってもよい。一実施形態において、洗浄温度は約5℃〜約60℃、他の実施形態において約25℃〜約50℃、及び更に他の実施形態において約35℃〜約45℃であってよい。
洗浄の圧力は、一般に、約0.5atm(50.7kPa)〜約10atm(1013.3kPa)であってよい。一実施形態において、洗浄の圧力は、約0.5atm(50.7kPa)〜約10atm(1013.3kPa)、他の実施形態において約1atm(101.3kPa)〜約5atm(506.6kPa)、及び更に他の実施形態において約0.5atm(50.7kPa)〜約1.5atm(152.0kPa)であってよい。有機相の洗浄に使用する洗浄水の量は、一般に有機相の質量の約10質量%〜約1000質量%とすることができる。一実施形態において、洗浄水の総量は、一般に約30質量%〜約200質量%、他の実施形態において約50質量%〜約100質量%、及び更に他の実施形態において約50質量%〜約100質量%であってよい。洗浄は、少なくとも1回のバッチ操作、連続的様式(例えば少なくとも1つの接触段階について並流的又は対流的)、又はこれらの組合せで行ってもよい。
例えば、有機洗浄工程は、異なる水量を使用してもよく、又は洗浄に異なる時間をかけてもよく、又はそれらを組合せてもよい。一実施形態において、有機物の流れは、例えば約30分間、等しい量の水で、バッチ的な方法で洗浄することができる。他の実施形態において、同一量の水を二つの等しい部分に分けることができ、有機物を二連続の工程で、一部分の水を用いて各々の工程につき約15分間、洗浄することができる。例えば、洗浄した有機相が、残存するアセトアミドの含有量を、有機物に対する質量比に基づいて、一実施形態において一般に約1質量%未満、他の実施形態において約0.5質量%未満、及び更に他の実施形態において0.1質量%未満で含むとき、水洗浄は完了したとみなすことができる。
本発明の方法を実施する際に行うことができる他の任意の工程は、ジビニルアレーンオキシドを含む有機相を精製して、精製したジビニルアレーンオキシド生成物を形成することを含んでもよい。例えば、一実施形態において、工程(c)の少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドを含む有機相を精製して、約60パーセントを超える純度を有するジビニルアレーンオキシド生成物を提供してもよい。他の実施形態において、ジビニルアレーンオキシド生成物の純度は、約80パーセントの純度より大きく、更に他の実施形態において約90パーセントの純度より大きく、さらに他の実施形態において約95パーセントの純度より大きく、更に他の実施形態において約97パーセントの純度より大きく、さらに他の実施形態において約98パーセントの純度より大きく、及び更に他の実施形態において約99パーセントの純度より大きくてもよい。一実施形態において、本発明の方法の上記任意の精製工程は、例えば、工程(c)のジビニルアレーンオキシド生成物を含む有機相を蒸留して、上記に開示したような純度を有する精製したジビニルアレーンオキシド生成物を得ることを含む蒸留工程を含んでもよい。
例えばフラッシュ蒸留を含む任意のよく知られた適切な手段を使用して、有機相を蒸留することができる。一実施形態において、例えば、蒸留は以下の条件で行ってもよい。一般に、一実施形態において蒸留は約60℃〜約280℃、他の実施形態において約90℃〜約200℃、更に他の実施形態において約100℃〜約195℃、及びさらに他の実施形態において約130℃〜約170℃の温度で行ってもよい。一実施形態において、蒸留の圧力は、一般に約0.1mmHg(13Pa)〜約700mmHg(93300Pa)、他の実施形態において約0.1mmHg(13Pa)〜約100mmHg(13300Pa)、更に他の実施形態において約0.1mmHg(13Pa)〜約25mmHg(3300Pa)、及びさらに他の実施形態において約0.1mmHg(13Pa)〜約20mmHg(2670Pa)であってよい。蒸留物の滞留時間は一般に、一実施形態において約1秒〜約24時間、他の実施形態において約5秒〜約12時間、更に他の実施形態において約10秒〜約6時間、及びさらに他の実施形態において約30秒〜約4時間であってよい。
精製蒸留は、例えばフィルム蒸発器、流下膜式蒸発器、蒸留塔、バッチ蒸留、及びこれと同種のもの、又はこれらの組合せを含む任意の当業者に知られている適切な装置で行うことができる。本発明の蒸留/精製工程は、バッチ操作、半バッチ処理、連続的処理、又はこれらの組合せを含んでもよい。
精製(例えば蒸留)工程の間の、本発明の洗浄したジビニルアレーンオキシド生成物の長時間の熱処理は、例えば反応工程(a)で生成したエポキシ基の二量体、三量体、及び/又は四量体のようなオリゴマーを含むオリゴマー形成につながる可能性がある。オリゴマーの形成を避けるために、精製は低温で、高い減圧条件(例えば低い絶対圧)で、又はより高温で、瞬間的な条件で行ってもよい。蒸留の間、継続する加熱によってジビニルアレーンオキシドから形成したオリゴマーは、オリゴマーを含むジビニルアレーンオキシドが処理装置から流出するにはあまりに粘稠性になる状況を作る可能性があり、ジビニルアレーンオキシド生成物の回収率の損失にもつながる可能性がある。したがって、一の任意の実施形態において、「高沸点のポットボイラー(pot boiler)」化合物を、本発明において使用する装置内の処理流の流動性を維持する程度に十分な量で、精製処理を通過する供給流に加えてもよい。例えば、処理流の流動性を保つために、高沸点のポットボイラー化合物を供給流に加えることができ、又は分離工程の上流で任意の中間物の流れに添加して、一実施形態において一般に約0.5質量%〜約80質量%、他の実施形態において約1質量%〜約40質量%、更に他の実施形態において約5質量%〜約35質量%、及びさらに他の実施形態において約10質量%〜約30質量%の、残留物の流れにおけるポットボイラー化合物の最終濃度を得てもよい。本発明において有用な高沸点のポットボイラーは、一般に、1atm(101.3kPa)において約280℃より高い沸点、及び25℃において約0.2mmHg(26Pa)未満の蒸気圧を有する。本発明において使用する適切なポットボイラーの例は、例えば鉱油;液体のエポキシ樹脂、例えばDERTM383、及びDERTM331(Dow Chemical社の商標);熱伝導流体、例えばThermia―CTM(Shell社の商標)、DowthermMXTM(Dow Chemical社の商標)、及びDowthermTTM(Dow Chemical社の商標);又はこれらの混合物を含む。
任意に、阻害剤及びこれらの組合せの前記実施形態を精製工程又は装置に加えて、ジビニルアレーンオキシド生成物に残存するエチレン二重結合の重合を防いでもよい。
本発明の方法における他の任意の実施形態において、水相は、一回又はそれ以上、少なくとも1種の適切な有機溶媒で抽出して、水相に存在する残存したジビニルアレーンオキシドを回収してもよい。抽出の後、回収したジビニルアレーンオキシドを、更なる精製のために更に処理又は有機相と合わせてもよい。
例えば、水相を水不溶性の有機抽出溶媒で抽出し、(i)アセトアミド及びメタノールの大部分、又は他の水溶性の反応溶媒を含む水層、並びに(ii)残存したジビニルアレーンオキシド生成物の大部分を含む有機層を得てもよい。
本発明において有用な適切な有機抽出溶媒は、例えば、塩素化有機溶媒、例えばクロロホルム、及び塩化メチレン;エーテル、例えばジエチルエーテル;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、及びキシレン;ケトン、例えば4―メチルペンタノン;エステル、例えば酢酸エチル;又はこれらの混合物を含む。抽出物から回収したジビニルアレーンオキシド生成物を任意に水で洗浄して、任意の痕跡量の水溶性不純物を除去してもよく、続いて抽出溶媒を例えば蒸留のような既知の手段で除去してもよい。
水相の抽出処理は、一実施形態において一般に約5℃〜約100℃、他の実施形態において約5℃〜約80℃、更に他の実施形態において約5℃〜約60℃、及びさらに他の実施形態において約25℃〜約50℃の温度で行ってもよい。抽出工程の圧力は、一般に0.5atm(50.7kPa)〜約10atm(1013.3kPa)であってよい。圧力は、一実施形態において約0.5atm(50.7kPa)〜約10atm(1013.3kPa)、他の実施形態において約1atm(101.3kPa)〜約5atm(506.6kPa)、及び更に他の実施形態において約0.5atm(50.7kPa)〜約1.5atm(152.0kPa)であってよい。
一実施形態において、一般に、使用する抽出溶媒の量は、水相の質量の約10質量%〜約1000質量%であってよい。使用する抽出溶媒の質量と抽出する水相の質量の比は、約1:10〜約10:1であってよい。他の実施形態において、使用する抽出溶媒の量は、約30質量%〜約200質量%(例えば、約1:3.33〜約2:1の質量比)、更に他の実施形態において約30質量%〜100質量%(例えば、約1:3.33〜約1:1の質量比)であってよい。抽出工程の他の実施形態は、抽出の代替方法を含んでもよい。例えば、代替的に、他の実施形態において、水相を液体のエポキシ樹脂、例えばD.E.R.TM383、D.E.R.TM332、又はこれらの混合物等で抽出してもよい。
代替として、更に他の実施形態において、水相を精製工程からの生成物の流れ、例えばEVBMOが豊富な流れ等で抽出してもよい。
水性抽出工程は、異なる量の溶媒を使用してもよく、異なる時間で行ってもよく、又はこれらを組合せてよい。一実施形態において、水性の流れを、約30分間、等しい質量の溶媒で、バッチ的な方法で抽出することができる。他の実施形態において、等しい量の溶媒は、二又はそれ以上の等しい部分に分けることができ、例えば、水性の流れを、2又はそれ以上の連続的な工程で、一部分の溶媒を用いて各々の工程につき約15分間、抽出することができる。抽出した水相が、例えば、水相中の質量比に基づいて、残存ジビニルアレーンオキシド含有量を、一般に一実施形態おいて約1質量%未満、他の実施形態において0.5質量%未満、及び更に他の実施形態において0.1質量%未満で含むとき、水性の流れの抽出工程は完了したとみなすことができる。
ジビニルアレーンオキシド生成物の水相の抽出は、少なくとも1回のバッチ操作;又は連続的な様式(例えば、少なくとも1つの接触段階で、並流的又は対流的に);又はこれらの組合せで行ってもよい。
水相の抽出のために、任意のよく知られた装置を使用してもよい。例えば、抽出は適切な液−液接触装置、抽出器、重力(デキャンティング、コアレッシング)又は遠心分離で操作する抽出タワー/カラムによって行うことができる。適切な装置としては、例えば撹拌槽、ミキサーセトラー、遠心分離機(例えば、一又は多段階遠心抽出器、ポドビルニアク抽出器)、抽出カラム(例えばKarrカラム)、及びこれと同種のもの、又はこれらの組合せを含んでもよい。
本発明の他の実施形態において、水相を処理して、水相に存在する任意のアミドの少なくとも一部を回収してもよく、又は水相を廃物処理工程に送って、例えば結晶化、生分解、及びこれと同種のもの、又はこれらの組合せ等の適切な手段で処理してもよい。
本発明の方法、及び反応又は精製工程の任意の点において、任意に濾過を使用して、任意の固体不純物を分離してもよい。例えば、副生成物としてベンズアミドの場合、ベンズアミドを抽出工程の間沈殿させ、濾過を使用してジビニルアレーンオキシド生成物から沈殿したベンズアミドを除去してもよい。
本発明処理において形成した任意のジビニルアレーンモノオキシドは、ジビニルアレーンモノオキシドからジビニルアレーンジオキシドへの更なる変換の反応に再利用することができ、又は任意に、ジビニルアレーンモノオキシドを別の生成物の流れとして処理から取り出すことができる。それに加えて、本明細書中に開示する任意の添加物の使用は、本発明の方法におけるこの実施形態と組み合わせて使用することができる。
図1を引用して、出願係属中の米国特許出願第61/288,511号明細書に開示されている実施形態に類似した一実施形態を示す。図1において、本方法を、一般に反応器20、分離/回収装置30、及び精製処理装置40を含む、数字10によって示す。図1において、ジビニルアレーンの供給流21、過酸化水素水溶液の供給流22、塩基性化合物の供給流23、ニトリル化合物の供給流24、フリーラジカル重合阻害剤の供給流25、酸素/窒素混合気体の供給流26、及び反応溶媒の供給流27を示し、全ては本発明のエポキシ化反応工程を行うために、反応装置(本明細書中の反応器20)に供給されている。
反応器20からの生成物の流れ28を、供給流28として分離/回収装置(本明細書中の装置30)へ導入してもよく、ここにおいてジビニルアレーンオキシド生成物の流れ31を他の反応構成成分から分離して、装置30から回収する。例えば、反応構成成分を、装置30内でジビニルアレーンオキシド生成物(流れ31)から分離することができ、更なる処理装置に送り、回収及び/又は再利用することができる。この例において、生成物の流れ31を、生成物の更なる精製のために、精製処理/装置(本明細書中で装置40)に供給する。例えば、装置30から出る生成物から分離した他の反応構成成分は、アミドの流れ32、ニトリルの流れ33、水の流れ34、及び溶媒の流れ35を含んでもよい。一の任意の実施形態において、装置30を離れる流れ33、34、及び35の一部又は全部は、装置20へ再利用してもよく(示していない)、又は更なる処理のために他の操作装置に送ってもよい。任意の再利用の流れが不純物の蓄積を制限する定期的又は連続的なパージを必要とする場合がある。廃棄物の水溶液の流れ36を装置30から取り除き、廃棄物回収装置(示していない)に送ってもよい。
装置30内で生成物から他の反応構成成分を分離した後に、装置30からの生成物の流れ31を、供給流31として精製処理/装置40へ導入してもよく、ここにおいて生成物の流れ31はさらに精製され、精製した生成物の流れ41を形成して装置40を離れる。有機廃棄物の流れ42は、装置40から取り除いてもよく、有機廃棄物回収装置に送ってもよい(示していない)。
再び図1を引用すれば、他の任意の実施形態において、装置30を離れるアミドの流れ32の一部又は全部を、任意の変換装置(本明細書中の装置50(点線で示す))に、流れ32aを通して送ってもよく、ここにおいてアミドの流れ32aを既知の手段でニトリルに変換してもよく、続いて装置50からの変換したニトリルの流れ51を、供給流51を通して反応器20へ再利用してもよい。代替実施形態において、装置50(点線で示す)からの廃棄物の流れ52は装置50を出てもよく、更なる処理装置又は処分装置に任意に送ってもよい(示していない)。
図2は本発明の方法の一実施形態を示しており、その最も幅広い範囲において一般的に、反応器20、最初の蒸発装置60、水洗浄装置70、軽い物質の除去及び生成物の分離装置80、及び蒸留/精製装置90を含む数字110によって示す。図2に例示した方法は、ジビニルアレーンの供給流21、過酸化水素水溶液の供給流22、塩基性化合物の供給流23、ニトリル化合物24の供給流、フリーラジカル重合阻害剤の供給流25、酸素/窒素混合気体の供給流26、及び反応溶媒の供給流27を含み、全ては、本発明の方法のエポキシ化反応工程を行うために、反応装置(本明細書中で反応器20)に供給されている。この実施形態において、反応器20からの生成物の流れ28を、供給流28として蒸発装置60へ導入し、ここにおいて塔頂成分の軽い物質の少なくとも一部(流れ62)、例えばメタノール及びアセトニトリル等を、反応溶出物質28から分離する。塔頂成分(流れ62)、例えばメタノール及びアセトニトリルを、反応溶出物質28から分離すると同時に、残りの反応溶出物質28は、有機相及び水相を含む2つの相を形成する。任意の一実施形態において、例えばメタノール及びアセトニトリル等の装置60からの塔頂成分の全部又は少なくとも一部を他の処理装置に送ってもよく(示していない)、又は塔頂成分の全部又は一部を、点線の流れ62aで示すように反応器20へ再利用してもよい。廃棄物の流れを流れ62aに任意に加えてもよく、ここにおいて流れ62aの全部又は一部を処分に送って、不純物の増大を妨いでもよい(示していない)。装置60を出る水性の溶出物の流れ63を、更なる処理のために他の処理装置(示していない)に送るか、又は図2に示すように流れ73と結合することができる。
装置60からの有機溶出物の流れ61を、装置70内で水洗浄してもよい。洗浄した有機物の流れ71を、軽い物質の除去装置80に供給し、ここにおいてジビニルアレーンオキシド生成物の流れ81を他の反応構成成分から分離し、蒸留/精製装置90を通過させる。代替として、他の実施形態において(示していない)、供給流61を最初の蒸留装置60から装置80へ直接渡してもよく、ここにおいてジビニルアレーンオキシド生成物の流れ81を他の反応構成成分から分離し、蒸留/精製装置90を通過させる。代替として、更に他の実施形態において(示していない)、供給流61を更なる精製のため装置90へ直接渡してもよい。代替として、更に他の実施形態において(示していない)、供給流71を更なる精製のため装置90へ直接渡してもよい。
再び図2を引用すれば、図2に示す実施形態において、蒸留装置60からの生成物の流れ61を装置70へ渡す。続いて、水の流れ72を水洗浄装置70に供給し、水洗浄を行う。水洗浄した流れ71を、続いて装置80へ渡す。水性の流れ73を装置70から取り除き、回収装置に送ってもよい(示していない)。この実施形態において、流れ73を装置60からの流れ63と結合してもよく、更なる処理のために結合した水性の廃棄物の流れ74を形成する。任意の実施形態において、水性の流れ74中の少なくとも1つのアミドの一部を、既知の手段でニトリルに変換してもよく、ニトリルの供給の一部として反応器20に再利用してもよい(図2で示していない)。任意の再利用の流れが不純物の蓄積を制限する周期的又は連続的なパージを必要とする場合がある。他の実施形態において、水性の流れ74中の少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドの一部を既知の手段で回収し、更なる精製のために、生成物の流れ71(図2で示していない)と結合してもよい。他の実施形態において、流れ63及び73を、回収、変換、又は処分のいずれかのために、別々に処理することができる。
水洗浄したジビニルアレーン生成物の流れ71を、軽い物質の除去及び生成物の分離装置80に供給し、ここにおいて生成物の供給流から軽い物質を取り除き、濃縮した生成物の流れ81を形成する。例えば、軽い物質の流れ82、及び例えばEVBO/DVBMOの流れ83を、装置80から取り除いてもよい。続いて、流れ81中のジビニルアレーンオキシド生成物を、更なる処理のために蒸留/精製装置90に送る。廃棄物の流れ84を装置80から取り除いて、廃棄物回収装置に送ってもよい(示していない)。
装置80からの生成物の流れ81を蒸留/精製装置90に導入し、ここにおいて生成物の流れ81をさらに精製して、例えば、装置90から出るDVBDO生成物の流れ91のように、精製したジビニルアレーンジオキシド生成物の流れ91を形成し、該流れ91は、例えばDVBDOの連続的な加熱から発生するオリゴマー物質及びDVBポリマーのようなオリゴマーポリマーを含む、底の残留物の流れ又は有機廃棄物の流れ92から分離される。有機廃棄物の流れ92を装置90から取り除いて、有機廃棄物回収装置に送ってもよい(示していない)。
再び図2を引用すれば(図2で示していない)、少なくとも1つのポットボイラーを、流れ61、71、81、及び92の少なくとも1つ、装置70、80、及び90の少なくとも1つ、並びに/又はこれらの組合せに任意に加えてもよい。本発明の上記の処理は、本発明の方法の一つ以上の溶出物又は流れを処理するために、当業者によく知られた装置、器具、及び設備の一つ以上の組合せを含んでもよく、例えば、以下の任意の種類の容器を含む。例えばバッチ反応器、半バッチ反応器、CSTR、管状反応器、又はこれらの組合せを含む反応器;例えばストリッピング容器、蒸留塔、抽出装置、濾過装置、フラッシュ、蒸発装置、遠心分離機、及び撹拌機を含む分離器(バッチ、半バッチ、又は連続的);コンデンサー;管;パイプ;熱交換器;保管タンク;ポンプ;圧縮器;弁;フランジ;例えばカラム充填物のような、任意の上記の装置の中に使用される任意の内部の要素;並びに本発明の生成物の処理について及び/又は他の処理におけるそのような生成物の消費について、本技術分野において良く知られた任意の他の装置又は接続器。
本発明のジビニルアレーンオキシドは、例えば本発明の方法の一実施形態によって調製したジビニルアレーンジオキシド、特に例えばジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)等のジビニルベンゼンから生成したジビニルアレーンジオキシドのように、比較的低い液体の粘性を有するが従来のエポキシ樹脂より高剛性を有する、ジエポキシドの一種である。
本発明の方法によって調製したジビニルアレーンジオキシドは、例えば、任意の環の位置に2つのビニル基を有する、任意の置換又は非置換のアレーン核を含んでもよい。ジビニルアレーンジオキシドのアレーン部分は、ベンゼン、置換ベンゼン、(置換)環縮合ベンゼン、相同的に結合した(置換)ベンゼン、又はこれらの混合物から成ってもよい。ジビニルアレーンジオキシドのジビニルアレーン部分は、オルト、メタ、若しくはパラ異性体、又はこれらの任意の混合物であってよい。更なる置換基は、飽和アルキル、アリール、ハロゲン、ニトロ、イソシアネート、又はR’O―(ここでR’は1〜18の炭素原子を有する飽和アルキル又はアリールであってよい)を含む、酸化剤に耐性のある基から成ってもよい。環縮合ベンゼンは、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、及びこれと同種のものから成ってもよい。相同的に結合した(置換)ベンゼンは、ビフェニル、ジフェニルエーテル、及びこれと同種のものから成ってもよい。
本発明の方法によって調製したジビニルアレーンオキシド生成物は、一般に、以下の通りに一般的な化学構造V〜VIIIで例示することができる。
Figure 0006317110
Figure 0006317110
Figure 0006317110
Figure 0006317110
本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物の上記の構造V、VI、VII、及びVIIIにおいて、各々のR、R、R、及びRは個別に、水素;アルキル、シクロアルキル、アリール、若しくはアラルキル基であってよく、ここにおいてアルキル、シクロアルキル、アリール、及びアラルキル基は1〜約18の炭素原子、及び好ましくは1〜4つの炭素原子をそれぞれ個別に有していてもよい;又は例えばハロゲン、ニトロ、イソシアネート、若しくはR’O基を含む、酸化剤に耐性のある基であってよく、ここにおいてR’は上記に定義したものと同様とすることができ;xは0〜4の整数であってよく;yは2以上の整数であってよく;x+yは6以下の整数であってよく;zは0〜6の整数であってよく;z+yは8以下の整数であってよく;及びArは例えば1,3―フェニレン基を含むアレーン基である。
ジビニルアレーンオキシドの構造、及び構造異性体の組成は、使用するジビニルアレーン原料により決定する。エチレン結合をエポキシ化する反応は、反応物が変換された際の異性体分布に対して一般的に影響を及ぼさない。
本発明の一実施形態として、本発明の方法によって生成したジビニルアレーンオキシドは、例えばジビニルベンゼンモノオキシド、ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニルナフタレンモノオキシド、ジビニルナフタレンジオキシド、ジビニルビフェニルモノオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルモノオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジオキシド、及びこれらの混合物を含んでもよい。
本発明の好ましい実施形態として、本発明の方法によって製造したジビニルアレーンモノオキシド生成物は、例えば出発物質中のアルキルビニルアレーンの存在次第でアルキルビニルアレーンモノオキシドを含んでもよく、本発明の方法によって製造した前記アルキルビニルアレーンモノオキシドの実施形態は、ジビニルベンゼンモノオキシド、ジビニルナフタレンモノオキシド、ジビニルビフェニルモノオキシド、ジビニルジフェニルエーテルモノオキシド、又はこれらの混合物を含んでもよい。
本発明の他の好ましい実施形態として、例えば、エポキシ樹脂の配合において使用するジビニルアレーンオキシドはDVBDOであってよい。最も好ましくは、本発明において有用なジビニルアレーンジオキシド構成成分は、例えば、下記の構造IXの化学式に例示するようなDVBDOを含む。
Figure 0006317110
上記のDVBDO化合物の化学式は、下記のようにすることができる;C1010;DVBDOの分子量は約162.2;DVBDOの元素分析はおよそC(74.06)、H(6.21)、及びO(19.73)で、エポキシド当量約81g/mol。
ジビニルアレーンジオキシド、特に例えばDVBDO等のジビニルベンゼンから生成したものは、比較的低い液体の粘性を有するが、従来のエポキシ樹脂より高い剛性及び架橋密度を有するジエポキシドの一種である。
下記の構造Xは、本発明において有用なDVBDOの好ましい化学構造の実施形態を例示する。
Figure 0006317110
下記の構造XIは、本発明において有用なDVBDOの好ましい化学構造の、他の実施形態を例示する。
Figure 0006317110
DVBDOを本発明の方法によって調製する場合、3つの可能な異性体、オルト、メタ、及びパラの1つを得ることが可能であってよい。従って、本発明は、任意の上記の構造の一つに例示したDVBDOを個別に又はこれらの混合物として含む。上記の構造X及びXIはそれぞれ、DVBDOのメタ(1,3―DVBDO)異性体、及びDVBDOのパラ(1,4―DVBDO)異性体を示す。オルト異性体は珍しく、通常DVBDOはほとんどメタ異性体(構造X)とパラ異性体(構造XI)の約9:1〜約1:9の比の範囲で一般に生成する。本発明は、好ましくは一実施形態として、構造Xと構造XIとの約6:1〜約1:6の比の範囲を含み、他の実施形態において、構造Xと構造XIとの比は約4:1〜約1:4、又は約2:1〜約1:2であってよい。
ジビニルアレーンジオキシドの構造、及び構造異性体の組成は、使用したジビニルアレーン原料により決定する。一実施形態において、一般に約9:1〜約1:9の範囲のメタ:パラの比率を有するジビニルベンゼン原料が好ましい。他の実施形態として、ジビニルベンゼン原料は約6:1〜約1:6、更に他の実施形態において約4:1〜約1:4、約2.5:1〜約1:2.5、更に他の実施形態において約1.5:1〜約1:1.5であってよい。好ましい実施形態において、ジビニルベンゼン及びジビニルベンゼンジオキシドのメタ:パラの比率は、両者とも約9:1〜約1:9の比率であってよく、そして、他の実施形態において、ジビニルベンゼン及びジビニルベンゼンジオキシドのメタ:パラの比率は、両者とも約2.5:1〜約1:2.5の比率であってよい。
原料は、限定されないがエチルビニルベンゼン(EVB)、ナフタレン、ポリエチルベンゼン(例えばジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、テトラエチルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ジフェニルエタン、他のアルキル化ベンゼン、及びより高分子量の油)、フリーラジカル阻害剤、又はこれらの混合物を含む不純物を含んでもよい。この原料のジビニルベンゼン含有量は、一実施形態において約55%より大きく、他の実施形態において約63%より大きく、更に他の実施形態において約80%より大きく、更に他の実施形態において約90%より大きく、又は更に他の実施形態において約95%より大きくてもよい。生成し、より高純度なDVBDOを得るために分離しなければならない副生成物EVBOの量は、DVB原料の組成により決定する。一の好ましい実施形態として、ジビニルアレーン原料の純度は、約80パーセントより大きくてもよい。
一実施形態において、本発明の方法は、低粘性の液体のエポキシ樹脂であるジビニルベンゼンジオキシドの形成に特に適していてもよい。本発明の方法によって製造したジビニルアレーンジオキシドの粘度は、25℃において、一般に約10mP−s〜約100mP−s、好ましくは約10mP−s〜約50mP−s、及びより好ましくは約10mP−s〜約25mP−sである。
本発明のジビニルアレーンジオキシドの有用性は、有利にも、穏やかな温度(例えば、約100℃〜約200℃)で、最高で数時間(例えば、少なくとも2時間)、オリゴマー化又は単独重合することなく、それらの配合又は処理を許容するそれらの熱安定性にある場合がある。配合又は処理の間のオリゴマー化又は単独重合は、粘性の実質的な増加、又はゲル化(架橋)により明白となる場合がある。本発明のジビニルアレーンジオキシドは、適度な温度での配合又は処理中に、それらが粘性の実質的な増加又はゲル化をしない程度に十分な熱安定性を有する。
本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物は、エポキシ樹脂組成物又は配合物の調製に有用な場合があり、そしてこれらの組成物又は配合物はコーティング、フィルム、接着剤、ラミネート、複合物、電子機器、及びこれと同種のものの形態の、熱硬化性物質又は硬化した製品を調製するために有用な場合がある。
本発明の具体例として、一般に、本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物に基づく樹脂組成物は、注型、ポッティング、封止、成形、及び工具加工用に有用な場合がある。例えば、本発明は電気的注型用途、プラスチック成形及び工具加工、並びに複合パーツの製作に使用してもよい。
例えば他の樹脂、安定剤、フィラー、可塑剤、触媒不活性化剤、及びこれと同種のもの、又はこれらの混合物を含む任意の添加物の組み合わせを、本発明の樹脂組成物に加えてもよい。
本発明において使用する任意の添加物の濃度は、一般に0質量%〜約99.9質量%、好ましくは約0.1質量%〜約99.9質量%、より好ましくは約1質量%〜約99質量%、及び最も好ましくは約2質量%〜約98質量%とすることができる。
以下の例及び比較例は、本発明を更に詳細に例示するが、本発明の範囲を制限するものと解釈されるものではない。
下記の例で使用した原料は、下記の通りである。ジビニルベンゼン(DVB)(80%テクニカル、Aldrichから商業的に入手可能);アセトニトリル(Optima(登録商標)グレード、Fisher Scientificから商業的に入手可能);メタノール(Optima(登録商標)グレード、Fisher Scientificから商業的に入手可能);過酸化水素水溶液(H)(〜50質量%、Aldrichから商業的に入手可能(製品#516183));水酸化ナトリウム(NaOH)溶液(濃度1.0N、Ricca Chemical Co.から商業的に入手可能(製品#7450―32));クロロホルム(Optima(登録商標)グレード、Fisher Scientificから商業的に入手可能);及びD.E.RTM383(170〜183のEEWを有する液体のエポキシ樹脂、Dow Chemical社から商業的に入手可能)。例における収率は下記のように計算した。
[チャージしたジビニルベンゼンに基づくDVBDOのパーセント収率]
DVBDOのグラム収率は、(クロロホルム中での抽出及びその後の水洗浄の後に)得られた粗製の反応生成物の質量、及び内部標準ガスクロマトグラフィー(GC)法によって測定した粗製の生成物中に存在するDVBDOの質量比から計算した。チャージしたジビニルベンゼンに基づくDVBDOのパーセント収率を計算する式は、以下の通りに記述することができる。
DVBDOの収率(g)=(粗製の生成物の質量)x(粗製の生成物中のDVBDOの質量比)
チャージしたDVBに基づく理論的なDVBDOの収率(g)=[(チャージしたDVB試薬の質量)x(試薬中のDVBの質量比)/(130.2gDVB/mol)]x162.2gDVBDO/mol
DVBDOの収率(%)=(DVBDOの収率(g)/理論的なDVBDOの収率(g))×100%
[チャージした過酸化水素に基づくエポキシドのパーセント収率]
製造した全エポキシド(mol)=[(製造したDVBDO(g))/(162.2g/mol)x2+(製造したEVBMO(g))/(148g/mol)+(製造したDVBMO(g))/(146g/mol)]
ここで、製造したDVBDO、EVBMO、及びDVBMOの質量は、粗製の反応生成物の質量とGC質量パーセント分析により決定した構成成分の質量比との積から決定した。
チャージした過酸化水素に基づくエポキシドのパーセント収率=[(製造した全エポキシド(mol))/(チャージした過酸化水素(mol))]x100%
[ガスクロマトグラフィーによるDVB、EVBO、DVBMO、及びDVBDO濃度の分析法]
フレームイオン化検出器、自動注入器、ヘリウム搬送ガス、及びChemStationソフトウェアを備えるAgilentHP−6890プラスシリーズガスクロマトグラフ(GC)をGC分析に使用した。
[GC操作条件]
カラム:DB―1301(長さ30m、内径0.250mm、フィルム厚1.00μm)。
モード:一定流量
初期カラムフロー:1.1mL/分(mL/min)
初期圧力:〜13.75psi(94.8kPa)
検出温度:300℃
注入温度:280℃
注入体積:1マイクロリットル
気体流量:
水素流量:40mL/min
空気流量:450mL/min
モード:一定カラム+メイクアップフロー
結合流量:45mL/min
ヘリウム流量:
総流量:〜58mL/min
スプリットフロー:〜55mL/min
スプリット比:50:1
[GC温度プログラム]
初期温度60℃で1分保持し、10℃/分で150℃まで上昇させ、2℃/分で180℃まで上昇させ、5分間保持し、次いで10℃/分で250℃まで上昇させ、15分間保持した。
[GCキャリブレーション]
マルチレベル内部標準キャリブレーションを使用して、構成成分を定量化した。ダイグライム(ビス―2―メトキシエチルエーテル)が内部標準であった。下記の表に示す組成物の質量パーセントを有する標準を調製し、続いて総構成成分質量に基づく1.0質量パーセントのダイグライムを加えた。以下に掲げる構成成分において、m−及びp−はそれぞれメタ及びパラ異性体を意味する。
Figure 0006317110
標準は、上記のGC方法を使用して分析した。構成成分及び内部標準のそれぞれについての量/面積の比のGCキャリブレーション表を、Agilent ChemStationソフトウェアを使用して作成した。キャリブレーション点を通る直線の式を、ソフトウェアで計算した。各々の構成成分の応答係数を、その構成成分についてのキャリブレーションの式から得た。未知試料の定量化のため、各々の構成成分の実際の量を、未知物質の構成成分の応答、未知物質の内部標準の応答、未知物質に加えた内部標準の実際の質量、及びキャリブレーションの式から計算した構成成分の応答係数から、ChemStationソフトウェアによって計算した。この計算方法論は、Agilent(前Hewlett Packard社)のChemStationソフトウェアの製品パンフレットで見ることができる。
[GC試料調製]
以下の2つのタイプの試料調製、(1)標準的GC試料調製、(2)クロロホルム抽出GC試料調製を使用した。上記の調製につき手順は下記に開示する。
[標準的GC試料調製]
Figure 0006317110
[クロロホルム抽出GC試料調製]
直接注入による反応試料の分析は、複雑な試料マトリックスに起因して誤った結果を与えるので、抽出GC試料調製を反応試料のために使用する。手順は以下の通りである。
Figure 0006317110
以下の表は、異なる種類の試料について何れのGC試料調製方法を使用したかについて開示する。
Figure 0006317110
[合成例1−粗製のDVBDOを製造するための反応工程]
67gのジビニルベンゼン(DVB)(純度80%、エチルビニルベンゼン(EVB)20%含有)を、98.7gのアセトニトリル、及び234.5gのメタノールと共に1Lの5口丸底フラスコにチャージした。フラスコ中の混合物を700rpmで勢いよく撹拌し、50℃に加熱した。合計116.4gの35%のH溶液を、120分間に渡って反応器に加えて反応温度を50℃に維持した。1NのNaOH溶液を、同時間に加えてpH10を維持した。混合物を更に3時間反応させ、その点において過酸化水素は0.6質量%であった。得られた生成物は、粗製のDVBDO反応溶出物であった。
[合成例2−パイロット反応器を使用した粗製のDVBDO製造のための反応工程]
273kgのジビニルベンゼン(DVB)(純度80%、エチルビニルベンゼン(EVB)20%含有)を、400kgのアセトニトリル、及び544kgのメタノールと共に、650ガロンジャケット付きの撹拌した反応器にチャージした。反応混合物を120rpmで撹拌し、50℃まで加熱した。合計358kgの50質量%のH溶液を、270分間(最小)に渡って反応器に加えて、反応温度を50℃に維持した。10質量%のNaOH溶液を、同時間に加えてpH9〜10.5を維持した。混合物を更に1時間反応させ、その点において過酸化水素は2.05質量%であった。
続いて、混合物を、270分間、50℃未満で、及び撹拌速度40rpmでバキュームストリッピングして、未反応のアセトニトリル及びメタノール溶媒を回収した。合計815kgの軽い物質(アセトニトリル、メタノール、及び水の混合物)を回収し再利用した。残留した反応混合物を相分離し、789kgの水溶液及び293kgの粗製のDVBDO生成物溶出物を得た。粗製のDVBDO生成物溶出物を、40℃以下で、291kgの水を用いて水洗浄し、更なる処理のために277kgの粗製のDVBDO生成物を得た。
[合成例3−再利用した軽い物質及びパイロット反応器を使用した、粗製のDVBDOを製造するための反応工程]
247kgのジビニルベンゼン(DVB)(純度80%、エチルビニルベンゼン(EVB)20%含有)を、上記の合成例2のように、同じ650ガロンジャケット付きの撹拌した反応器にチャージした。合成例2に類似した運転条件で、743kgの再利用した軽い物質(アセトニトリル、メタノール、及び水の混合物)を、167kgの新しいアセトニトリル、及び50kgの新しいメタノールと共に、反応器にチャージした。反応混合物を120rpmで撹拌し、50℃まで加熱した。合計325kgの50質量%のH溶液を、255分間に渡って反応器に加え、反応温度を50℃に維持した。10質量%のNaOH溶液を同時間に加えて、pH9〜10.5を維持した。混合物を更に1時間反応させ、その点において過酸化水素は1.41質量%であった。
続いて、混合物を、345分間、50℃以下で、及び撹拌速度40rpmでバキュームストリッピングして、未反応のアセトニトリル及びメタノール溶媒を回収した。合計733kgの軽い物質(アセトニトリル、メタノール、及び水の混合物)を、この例と同じ様式で回収し、再利用した。残留した反応混合物を相分離し、867kgの水溶液、及び273kgの粗製のDVBDO生成物溶出物を得た。
粗製のDVBDO生成物溶出物を、40℃以下で、272kgの水を用いて水洗浄し、更なる処理のために259kgの粗製のDVBDO生成物を得た。
[比較例A−クロロホルム処理による抽出]
合成例1の粗製のDVBDO反応溶出物を、500mLの水で希釈し、200gのクロロホルムで2回抽出した。クロロホルム抽出物を300gの水で2回更に洗浄し、428gの粗製のDVBDO生成物を得た。粗製のDVBDO生成物を蒸留してクロロホルムを除去し、72.6gの粗製のDVBDO生成物を得た。粗製のDVBDO生成物は、48.4gのDVBDO、12.0gのEVBMO、及び0.865gのDVBMOを含むものであった。
[例1−バキュームストリッピング処理]
下記表1に開示した組成を有する合成例1の569gの粗製のDVBDO反応溶出物を、温度約45℃〜50℃、及び圧力約70〜480mmHgの減圧において、Lab Buchi RE111 ロータリーエバポレーター内でバキュームストリッピングした。バキュームストリッピングの後、合計69.2gの有機相、及び182.6gの水相を得た。有機相及び水相の組成を表Iに掲げる。
Figure 0006317110
[例2−有機相及び水相の更なる精製]
例1に類似して、反応溶出物を最初にバキュームストリッピングした。続いて残った有機相及び水相を分離した。有機相を、50質量%の水で1回洗浄した。アセトアミド濃度は、有機相中1.48%から0.05%まで減少した。バキュームストリッピングの後、水相を50質量%のトルエンで1回抽出した。DVBDO濃度は、水相中1.3%から0.09%まで減少した。
[例3−液体のエポキシ樹脂による水相の抽出]
例1に類似して、反応溶出物を最初にバキュームストリッピングした。続いて残った有機相及び水相を分離した。水相を25質量%のD.E.RTM383で抽出した。DVBDO濃度は、水相中0.99%から0.07%まで減少した。
[例4−水洗浄の後の有機生成物の精製/蒸留]
例1に類似して、反応溶出物を最初にバキュームストリッピングし、次いで水洗浄して、下記組成を有する粗製の有機生成物を得た:EVBMO―17.2質量%、DVBMO―0.8質量%、及びDVBDO―73.1質量%。
組成物を加熱マントル、蒸留カラム、減圧ポンプ、及び塔頂コンデンサーを備えたラボ蒸留装置に最初に供給した。EVBMO及びDVBMOは、以下の条件の組を使用して分離した。
塔頂圧力:4mmHg
塔頂コンデンサー温度:100℃
底部の圧力:10mmHg
底部のリボイラー温度:155℃
塔頂生成物の組成は、以下を含むものであった:EVBMO―88.7質量%、DVBMO―2.8質量%、及びDVBDO―6.3質量%。
残留する粗製の生成物の組成は、以下を含むものであった:EVBMO―1.6質量%、DVBMO―0.2質量%、及びDVBDO―88.2質量%。
粗製の生成物をD.E.R.383(ポットボイラー)と4:1の質量比で混合して同じ蒸留装置へ供給し、以下の条件の組を使用して、精製した最終生成物を製造した。
塔頂圧力:2mmHg
塔頂コンデンサー温度:125℃
底部の圧力:10mmHg
底部のリボイラー温度:180℃
精製した生成物を塔頂の濃縮物として収集したところ、塔頂の濃縮物の組成は以下を含むものであった:EVBMO―1.5質量%、DVBMO―0.3質量%、及びDVBDO―96.2質量%。
本発明の方法は、例が引用する表を含む、上述の特定の例によって限定されない。むしろ、上述の例及び表は、単に本発明の方法を例示するものである。
本発明の実施態様の一部を以下の項目1〜16に列記する。
[項目1]
少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドを製造する方法であって、
(a)(i)少なくとも1種のジビニルアレーンと、(ii)少なくとも1種のペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤とを、(iii)少なくとも1種の溶媒、及び(iv)少なくとも1種の塩基性化合物の存在下で反応させ、少なくとも1種のジビニルアレーンオキシド、及び少なくとも1種のアミドを含む反応溶出物を形成する工程;
(b)少なくとも1種の軽い物質の少なくとも一部を、工程(a)の反応溶出物から除去して、(b1)少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドの少なくとも一部を含む有機相、及び(b2)水相を含む二相の液体濃縮物を形成する工程;並びに
(c)少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドを含む有機相を、水相から分離する工程を含む、ジビニルアレーンオキシドを製造する方法。
[項目2]
工程(b)から工程(a)へ軽い物質を再利用する工程(d)を含む、項目1に記載した方法。
[項目3]
工程(a)の反応溶出物中の少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドの質量の約50パーセント超が工程(b)の後の有機相中に存在し、工程(a)の反応溶出物中のアミドの質量の約50パーセント超が工程(b)後の水相中に存在する、項目1に記載した方法。
[項目4]
工程(c)の少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドを含む有機相を精製して、約60パーセント超の純度を有する、精製したジビニルアレーンオキシド生成物を調製する工程(d)を含む、項目1に記載した方法。
[項目5]
除去工程(b)を蒸発によって行い、少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドの熱分解又は加水分解が最小となるよう、蒸発工程(b)を約0℃〜約200℃の温度、0.1mmHg(13Pa)〜約700mmHg(93300Pa)の圧力、及び約5分〜約200分の滞留時間で行う、項目1に記載した方法。
[項目6]
形成した少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドが、少なくとも1種のジビニルアレーンジオキシドであり、ジビニルアレーンのエチレン二重結合に対するペルオキシカルボキシイミド酸のモル比が約2.0未満を含み、ジビニルアレーンに基づくジビニルアレーンジオキシドのパーセント収率が約50パーセント超を含む、項目1に記載した方法。
[項目7]
ジビニルアレーンモノオキシド、アルキルビニルアレーンモノオキシド、又はこれらの混合物を含む副生成物を形成することを含む、項目6に記載した方法。
[項目8]
形成した副生成物がジビニルアレーンモノオキシドであり、ジビニルアレーンに基づくジビニルアレーンモノオキシドのパーセント収率が約50パーセント未満を含む、項目7に記載した方法。
[項目9]
ペルオキシカルボキシイミド酸が、(i)反応混合物とは別に形成した、予め形成したペルオキシカルボキシイミド酸、又は(ii)(a)過酸化水素水溶液、及び(b)ニトリルを反応混合物に加えることにより、反応混合物中でその場で形成したペルオキシカルボキシイミド酸を含む、項目1に記載した方法。
[項目10]
水で有機相を洗浄する工程を含み、水と有機相との比が約0.1:1〜約10:1であり、有機相中のアミドが約1質量%未満に減少する、項目1に記載した方法。
[項目11]
洗浄を約5℃〜約100℃の温度、及び約0.5atm(50.7kPa)〜約10atm(1013.3kPa)の圧力で行う、項目10に記載した方法。
[項目12]
抽出溶媒で水相を処理して、水相中に存在する少なくとも1種のジビニルアレーンオキシドの少なくとも一部を回収する工程を含み、溶媒と水相との比が約1:10〜約10:1を含み、水相中のジビニルアレーンオキシドが約1質量%未満に減少する、項目1に記載した方法。
[項目13]
処理工程を約5℃〜約100℃の温度、及び約0.5atm(50.7kPa)〜約10atm(152.0kPa)の圧力で行う、項目12に記載した方法。
[項目14]
少なくとも1種のジビニルアレーンオキシド生成物の蒸留/精製の工程を含み、蒸留/精製工程を約80℃〜約210℃の温度、約0.1mmHg(13Pa)〜約700mmHg(93300Pa)の圧力、及び約1分〜約600分の滞留時間で行う、項目1に記載した方法。
[項目15]
少なくとも1種の軽い物質及び副生成物を、少なくとも1種のジビニルアレーンオキシド生成物から取り除く、項目1に記載した方法。
[項目16]
ポットボイラー化合物を有機物の洗浄工程、及び/又は精製工程に加える工程を含み、有機物の洗浄工程、及び/又は精製工程に加えたポットボイラー化合物の濃度が、残留物の流れ中のポットボイラー化合物の濃度が約0.5質量%〜約80質量%となるものである、項目1に記載した方法。

Claims (16)

  1. アレーン反応物の置換基上のエチレン二重結合がエチレンオキシドに酸化されている少なくとも1種のアレーン生成物を製造する方法であって、
    (a)(i)少なくとも1種のアレーン反応物と、(ii)少なくとも1種のペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤とを、(iii)少なくとも1種の溶媒、(iv)少なくとも1種の塩基性化合物、及び(v)フリーラジカル重合阻害剤の存在下で反応させ、少なくとも1種のアレーン生成物、及び少なくとも1種のアミドを含む反応混合物を形成する工程であって、前記(iii)少なくとも1種の溶媒および前記(iv)少なくとも1種の塩基化合物の少なくとも1つが水を含み、前記(iii)少なくとも1種の溶媒が水と混合し、前記(i)少なくとも1種のアレーン反応物および前記(ii)少なくとも1種のペルオキシカルボキシイミド酸エポキシ化剤が前記(iii)少なくとも1種の溶媒と水との混合物に溶解する工程、
    (b)大気圧で200℃未満の沸点を有する少なくとも1種の構成成分の少なくとも一部を、工程(a)の反応混合物から除去することにより、(b1)少なくとも1種のアレーン生成物の少なくとも一部を含む有機相、及び(b2)水相を含む二相の液体濃縮物を形成する工程、並びに
    (c)少なくとも1種のアレーン生成物を含む有機相を、水相から分離する工程、
    を含む、アレーン生成物を製造する方法であって、前記アレーン反応物が、下記の構造:
    Figure 0006317110
    有し、前記アレーン生成物が、下記の構造:
    Figure 0006317110
    有し、
    前記ペルオキシカルボキシイミド酸が、(i)反応混合物とは別に形成した予め形成したペルオキシカルボキシイミド酸、又は(ii)(a)過酸化水素水溶液及び(b)ニトリルを反応混合物に加えることによって反応混合物中でその場で形成したペルオキシカルボキシイミド酸である、方法。
  2. 工程(b)から工程(a)へ大気圧で200℃未満の沸点を有する少なくとも1種の構成成分の少なくとも一部を再利用する工程(e)を含む、請求項1に記載した方法。
  3. 工程(a)の反応混合物中の少なくとも1種のアレーン生成物の質量の50パーセント超が工程(b)の後の有機相中に存在し、工程(a)の反応混合物中のアミドの質量の50パーセント超が工程(b)後の水相中に存在する、請求項1に記載した方法。
  4. 工程(c)の少なくとも1種のアレーン生成物を含む有機相を精製して、60パーセント超の純度を有する、精製したアレーン生成物を調製する工程(e)を含む、請求項1に記載した方法。
  5. 除去工程(b)を蒸発によって行い、前記除去工程(b)を0℃〜200℃の温度、0.1mmHg(13Pa)〜700mmHg(93300Pa)の圧力、及び5分〜200分の滞留時間で行う、請求項1に記載した方法。
  6. 形成した少なくとも1種のアレーン生成物が、前記アレーン反応物の置換基上のエチレン二重結合がエチレンオキシドに酸化されている少なくとも1種のアレーン生成物であり、アレーン反応物のエチレン二重結合に対するペルオキシカルボキシイミド酸のモル比が2.0未満であり、アレーン反応物に基づく前記アレーン反応物の置換基上のエチレン二重結合がエチレンオキシドに酸化されているアレーン生成物のパーセント収率が50パーセント超である、請求項1に記載した方法。
  7. 前記アレーン反応物の置換基上の1つのエチレン二重結合がエチレンオキシドに酸化されているアレーン、前記反応混合中にエチルビニルベンゼンが含まれている場合エチルビニルベンゼンモノオキシド、又はこれらの混合物を含む副生成物を形成することを含む、請求項6に記載した方法。
  8. 形成した副生成物が前記アレーン反応物の置換基上の1つのエチレン二重結合がエチレンオキシドに酸化されているアレーンであり、アレーン反応物に基づく前記アレーン反応物の置換基上の1つのエチレン二重結合がエチレンオキシドに酸化されているアレーンのパーセント収率が50パーセント未満である、請求項7に記載した方法。
  9. 水で有機相を洗浄する工程を含み、水の質量と有機相の質量との比が0.1:1〜10:1であり、有機相中のアミドが1質量%未満に減少する、請求項1に記載した方法。
  10. 洗浄を5℃〜100℃の温度、及び0.5atm(50.7kPa)〜10atm(1013.3kPa)の圧力で行う、請求項に記載した方法。
  11. (d)工程(c)の水相を抽出溶媒で処理して、水相中に存在する少なくとも1種のアレーン生成物の少なくとも一部を回収する工程をさらに含む、請求項1に記載した方法。
  12. 前記工程(d)において、抽出溶媒で水相を処理して、水相中に存在する少なくとも1種のアレーン生成物の少なくとも一部を回収する工程を含み、溶媒の質量と水相の質量との比が1:10〜10:1であり、水相中のアレーン生成物が1質量%未満に減少する、請求項1に記載した方法。
  13. 処理工程を5℃〜100℃の温度、及び0.5atm(50.7kPa)〜10atm(152.0kPa)の圧力で行う、請求項1に記載した方法。
  14. 前記工程(c)において生成された少なくとも1種のアレーン生成物を含む有機相を蒸留する工程をさらに含み、前記蒸留を80℃〜210℃の温度、0.1mmHg(13Pa)〜700mmHg(93300Pa)の圧力、及び1分〜600分の滞留時間で行う、請求項1に記載した方法。
  15. 前記工程(b)において、大気圧で200℃未満の沸点を有する少なくとも1種の構成成分の少なくとも一部、及び副生成物を、前記反応混合物から取り除く、請求項1に記載した方法。
  16. ポットボイラー化合物を有機相の洗浄工程、及び/又は精製工程に加える工程を含み、有機相の洗浄工程、及び/又は精製工程に加えたポットボイラー化合物の濃度が、残留物の流れ中のポットボイラー化合物の濃度で0.5質量%〜80質量%となる、請求項1に記載した方法。
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